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2009.06.11

北決議案 臨検義務化見送り 7カ国合意、安保理提示

カテゴリ国連 国際機関出典 産経新聞 6月11日 朝刊 
記事の概要
2度目の核実験を行った北朝鮮に、国連安保理は常任理事国5カ国と日本、韓国を含んだ7カ国が対応を協議し、北への非難と制裁措置を盛り込んだ決議案に合意した。

焦点となっていた北朝鮮への貨物検査(臨検)の義務化は見送られた。これは軍事衝突を懸念する中国の要求を受け入れた。

決議案は06年の安保理決議1718を土台に、北朝鮮に出入りする「モノ・カネ」の流れを制限する制裁措置の強化を図った。

金融制裁では、人道目的を除く新規の取引を各国に禁じ、既存の取り引きも縮小を念頭に監視を強めるとした。また安保決議1718では大型武器の禁輸措置だけだが、今回の決議案では「すべての兵器とその関連物資や金融取引、技術訓練やサービス」にまで広げるなど、強化を図った。
コメント
この決議案は、武力行使を含む国連憲章第7章42条ではなく、非軍事的な制裁である7章41条に基づいている。また、北朝鮮籍の貨物船を公海上で行う臨検でも、北朝鮮(船の所属国)の同意を得て行うことを規定している。

もともとこの部分(臨検)につては、日本側も密かに期待していた決議案である。仮に日本が42条で北朝鮮の貨物船を公海上で臨検(軍事力の行使が可能)をやるとなれば、領海内でなければ「(臨検は)出来ない」という海保に代わり、海自の護衛艦に海保の職員を乗船させて行うことになる。(ソマリア沖海賊対応方式)

それでも北朝鮮と日本の軍事緊張は一気に高まる。さらにその後の対応を考えれば、今の日本にその準備と体制が出来ているとは思えない。北朝鮮に一方的に脅されて震えるだけだ。

北朝鮮に強い制裁を求めて、日本が42条の適応と強く求めると、アメリカの軍事力に依存する日本の姿を浮き彫りにする。日本は本当にやる気も能力もないくせに”強がる”である。

これは自民党国防部会が、今年末の「防衛大綱の見直し」に向け「敵基地攻撃」を提言したことに似ている。北朝鮮の弾道ミサイルがまず狙うのは、陸続きで向かい合い、今も休戦状態にある韓国軍と在韓米軍である。その次がその後方支援の在日米軍の基地という順番である。

自民党・国防部会は、その韓国軍と在韓・在日米軍が北朝鮮のミサイル基地を先制攻撃できない理由を考えていない。日本がこれから数発の海上発射式巡航ミサイルや対地ロケットを配備するより、米・韓軍は今でも北朝鮮のミサイル基地を攻撃可能な数千倍の敵基地攻撃力を持っている。しかし韓国軍や米軍からは、なぜ敵基地攻撃論が出てこないか理由を考えて欲しい。

若い頃にアフリカのモロッコを旅したことがある。安い食堂で我々日本人3人がメシを食べていると、地元の不良とイタリア人カップルがもめ始めた。そこにモロッコ人の不良の仲間が来店した。形勢不利と見たイタリア人は、私たちのテーブルにきて、「空手であいつらを倒してくれ」という。日本人3人が食べるのをやめて不良の方を見つめると、モロッコ人は完全に震えあがっていた。その頃、モロッコではブルース・リーの空手映画が大人気で、ブルース・リーは日本人と思われていたからだ。イタリア人カップルは、私たちと同じ安ホテルに泊まっているだけの顔見知りである。

結局、その場では何も起こらなかったが、我々日本人3人の共通した感想は、なんてイタリア人はズルイ奴だと話し合った。(もっと悪い言葉で話したが、イタリア人を差別することになるので”略”)

そんなことと同じ対応を日本はして欲しくない。

しかし今回の安保理決議案でも、弱体化している北朝鮮にかなり効くと思う。また北朝鮮が中国に依存する度合いは格段に増すことになる。この制裁案には期待できると感じた。



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