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2010.10.27

 緊張するアジア 中国に対抗「一枚岩」 米露引き込み狙う 

カテゴリASEAN出典 読売新聞 10月27日 朝刊 
記事の概要
ハノイで28日から開かれるASEANの一連の会議では、海洋覇権を強め、経済的な支配力も増す中国問題が主要議題の一つになる。これからASEANは中国とどう向きあおうとしているのか。

インドネシアの国連代表部は今年夏、中国政府が昨年5月に各国に回覧した南シナ海に関する文書について、「国際法上の根拠はない」とする書簡を潘基文国連事務総長に提出した。

中国政府が各国に回覧した書簡は、文書につけた海図で無人の岩礁や環礁などの主権を主張。南沙、西沙両諸島などを収める南シナ海のほとんど全域を排他的経済水域(EEZ)と線引きしている。

インドネシア政府は「(海洋秩序を定めた)国連海洋法条約を無効とするに等しい」として断固反対した。

インドネシアの意思表示が1年遅れたことについて、南シナ海が国際問題化する前で、1国で中国を相手にすることは政治上困難だったという。

インドネシア領ナトゥナ諸島沖合ではすでに、警備の海軍と中国漁船のにらみあいが繰り返されている。

インドネシア当局者は「海軍艦船を改装した『漁業監視船』に保護された中国漁船を拿捕することは至難。現状では操業を座視するしかない」とこぼす。

軍事力では中国に劣勢なASEAN各国は今年、南シナ海問題で結束を強め、中国への対抗軸として米露を引き込みながら、安全保障面での中国の脅威を払拭しようとしている。

フィリピンのアキノ大統領は9月、「中国が南シナ海で威張り散らすようなら、一枚岩で立ち向かう」と強調した。

しかし中国海軍の動きも素早い。中国海軍は今月26日、タイ中部サタヒップでタイ海軍と初の合同軍事演習を始めた。中国は精鋭部隊の海軍陸戦隊も外国軍との演習で初めて投入する。

中国は南シナ海に関係のないタイに急接近し、高速鉄道網建設や巨額借款などの援助外交にとどまらず、武器供与も積極的に推進している。

中国がタイとの演習を行うのは、中国がASEANの「中国包囲網」にくさびを打ち込む狙いがあるのは明らかだ。

ASEANは加盟国の国情の違いから、共同防衛までは想定していない。中国はASEANの限界を見透かし、今後もASEANの「分断工作」を強めていきそうだ。

タイ外務相のASEAN局長は21日、記者会見で早くも、こう述べている。「南シナ海の領有権問題は2国間での議題。タイ政府はASEAN全体の議題にすべきではないと考える」。
コメント
下品な感想で申し分けないが、南シナ海をめぐる中国とASEANの攻防が「メチャクチャに面白くなってきた」。

中国はアメリカやロシアの介入を排除し、南シナ海に面したASEAN各国を団結させることなく、南シナ海の問題は当事国と1対1で話し合いたいと主張している。

しかしフィリピン、マレーシア、ベトナム、インドネシアは、団結して中国に立ち向かう姿勢を強めている。また米、露、日、豪、印も巻き込むことを画策している。

中国の強硬姿勢がどこまで通用するか、明日からハノイで開かれるASEAN首脳と日中韓、それに米露と、インドと豪州の首脳が話し合う。

世界の関心が南シナ海に集まる。

そこで忘れはいけないのは、東南アジアの政界・経済分野に強い影響力を持つ華僑の存在である。

果たして華僑が南シナ海の問題にどのような動きを見せるか。

とにかく一番喜んでいるのはアメリカ海軍である。イラク戦争、アフガン戦争が終われば、議会から予算削減の嵐を覚悟していたが、これで何とか一息継げそうである。やたらと南シナ海で無茶難題を主張する「中国海軍さまさま」である。

米ジョージワシントン大学のマイク・モチズキ教授は、中国のような新興国の特徴を次のように示している。(産経新聞 10月27日 朝刊)

ーーーー以下引用ーーーーー

新興の覇権国はまず、@自分の力を過大評価しがちになる。A既存の国際秩序に不満を抱く。B感情的な民族主義に傾斜する。C国家的な損得勘定の分析が出来なくなる。ーーー

ーーーーー以上引用ーーーーーー

そこで私は、日本は中国と友好的な戦略互恵関係を結んでいるのだから、中国に海軍力の正しい使い方を教えることを提案している。すなわち海軍の可能性と限界を海軍初心者の中国にアドバイスをすればいいと思う。

真正面から中国にそれを言えば反発するだろうから、日本帝国海軍の失敗の本質を学んでもらえばいい。中国人が大嫌いな大日本帝国海軍の失敗だから本気で学んでくれるのではないか。

第1列島線、第2列島線など、新興国の中国海軍が勝手に描いた幻想で、それは中国に繁栄や安定をもたらさず、対立と混乱を招く危険な思想だと理解できると思う。



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