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2010.09.30

 北のジョンウン氏 後継へ 「万一」「統一」に備える韓国 3共同体構想 

カテゴリ韓国出典 朝日新聞 9月30日 朝刊 
記事の概要
韓国政府は北朝鮮がジョンウン氏への後継を明確に打ち出したことで、将来の統一を見据えた「統一税」構想などの議論を深め、南北関係に対する国民の意識を高めようとしている。

李明博大統領は8月、統一税とともに、統一までの流れとして平和、経済、民族の3共同体を作る構想を打ち出した。

その後、南北統一やその費用を論じ合う討論会が韓国各地で開かれるようになった。

研究者の間でも、金総書記の健康不安やジョンウン氏への後継の動きが目立ち始めるにつれ、南北の将来を真剣に考えるべきだという機運が広がったためだ。

統一省高官は「ドイツ統一の教訓に学ぼうということ。北は明らかに過渡期。税方式が適切かも含めて、現政権でシステムを整える」と話す。

韓国政府の推定では、ドイツ統一後、20年間に使われた関係費用は約2兆ユーロ(約220兆円)にのぼる。

統一費用については様々な試算がある。韓国政府傘下の研究院は6月、「北で急変事態が起きた場合の統一費用は7倍以上になり、30年間で2兆1400億ドル(約180兆円)に達す可能性をがある」との報告書を出した。

ただ李明博大統領の統一案が歴代韓国政権と違うのは、北が2度の核実験を強行し、核保有国と主張し始めたことだ。

李政権は、北に対する支援の条件として「まず非核化の道筋示せ」と呼びかけてきた。今になってこの看板を下ろすことができず、大胆な譲歩は不可能だ。

一方の韓国政府も南北関係で難しいかじ取りを迫られている。3月末の韓国哨戒艦沈没事件への独自制裁措置として、韓国は南北間の交易、交流の原則中止を表明し、北朝鮮に謝罪や関係者の処罰を求めた。

しかし沈没事件がジョンウン氏の「実績作り」との見方が浮上する中、北朝鮮は関与を否定し、南北対話の実現に向けた糸口は見えない。

韓国政府高官は「代表者会が南北関係のすべてを決めるわけではない。どんな事態にも対応できる準備が必要だ」と語った。
コメント
北朝鮮ではあと2ヶ月もすると厳寒の季節が始まる。厳しい飢餓は地方ばかりか、首都の平壌市民まで広がっていると聞いた。

もし、今度の冬が厳冬なら、平壌の高階層の住宅では水道管が凍って止まり、エレベーターも停電で動かないから、水や食糧、それに暖房用の練炭を階段をつかって運ぶしかない。

もし老人や病人の家庭なら、それは凍死に怯える厳しい生活となる。

平壌市民は、いつまでも軍部が優遇される先軍政治が継承されたと嘆いていられないだろう。

今回の尖閣諸島の漁船衝突事件で気がついたが、中国政府は北朝鮮が国民の不満や怒りで金王朝が打倒されることを恐れているのではないか。

北朝鮮で起きたことが中国に波及してくるのが怖いからである。

海保の巡視船の停船命令に従わず、逃走したばかりか、無謀にも巡視船に船体衝突(ぶっつけ)まで繰り返した漁船船長を、英雄として厚遇する異常さに中国政府の弱点を知った。

もし北朝鮮国民の怒りが爆発して、金王朝を打倒する政変が起これば、中国の国内に与える心理的な影響は計り知れない。

このことは今まで、異常な国家の北朝鮮に、必死で援助を続ける中国側の理由として気がついていなかった。

これからは中国が北朝鮮で金政権の崩壊後も、影響力を強めるためにいろいろな工作していることを考え、この中国民衆への影響(心理面)も重要な要素に加える必要がありそうだ。

話は変わるが、ここ数日間の新聞やテレビなどのメディアを見ると、今回のジョンウン氏の後継は予想通りに受けとっても、「先軍政治」を受け継いだことに違和感を持つ報道が多かったように思う。

金正日が死亡すれば、家族や党の後ろ盾だけではジョンウン氏の権力の維持は不可能で、軍のバックアップがなければ権力維持ができないと判断したことを窺わせるからだ。

しかし先軍政治で軍を優遇すれば、経済の立て直しは不可能で、人民の生活を改善することはできない。

すなわち北朝鮮は瓦解の道を突き進んでいるだけの話なのである。

そこで韓国はいかに荒廃した北朝鮮を受け止めるか。

韓国政府は統一モデルになるのが東西ドイツの統一という。しかし。あの時の旧ソ連は経済面で疲労困憊しており、今のように経済力を爆発させる中国とは比較にならない。

中国が北朝鮮に軍事力ではなく、経済援助という形で影響力を拡大させれば、中国外交の併呑政策によって北は飲み込まれる可能性が高い。

韓国は南北統一にかかるソロバン勘定だけではダメだという意味だ。

いかに崩壊した北朝鮮から中国の影響力拡大を防ぐか。このことが半島国家の韓国ばかりか、同じ海洋国家である日本やアメリカの重要な対朝鮮半島戦略になる。

中国とロシアは同じ大陸国家同士として、日本、韓国、アメリカに対応してくるだろう。彼らにとっては海に通じる地域を獲得することが国家繁栄のカギになるからだ。

中国は尖閣諸島での漁船衝突事件で、強硬外交で失ったものは計り知れない。私には、中国が北朝鮮に領土的な野心を持っていることも気がつかせてくれた。中国東北部に通じる日本海の港湾を獲得するためである。

金正日が死亡して、中国が北朝鮮に本格進出する前に、韓国は日本やアメリカに協力を求め、朝鮮半島の南北統一に全責任を持つことを情宣すべきである。



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