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2010.09.28

 日本政府 尖閣周辺の中国監視船 中止要求 漁業監視船2隻が活動  

カテゴリ 東シナ海 出典 読売新聞 9月28日 朝刊 
記事の概要
仙谷官房長官は27日午後の記者会見で、尖閣諸島沖の日本領海周辺で中国の漁業監視船2隻が24日夕から活動していることを明らかにした。

自国船漁船の警護などが目的と見られる。

同海域での侵犯行為の既成事実化を図り、日本を揺さぶる狙いがあると見られ、政府は警戒感を強めている。

仙谷長官によると、監視船の2隻は、日本の領海に隣接する「接続水域」で活動し、海保の巡視船6隻が周囲を警戒している。

外務省はこれまで計4回、外交ルートを通じて中止を求めているが、27日午前6時の時点でも確認されている。

一方、前原外相は27日、中国の程駐日大使を外務省に呼び、中国で「フジタ」社員4人が拘束されている問題で、北京の日本大使館員との面会継続と弁護士による接見、問題の迅速な解決を求めた。

程大使は「至急、本国に正確に報告する」と応じた。

ただ、このフジタ社員の拘束問題では、丹羽駐中国大使が26日に中国外務省に会談を申し入れた際、中国側が明確な理由を示さないまま拒否していたことが27日、わかった。
コメント
この中国警戒船の派遣目的は、自国漁船の警護目的は半分ぐらい当たっていても、同海域での侵犯行為の既成事実化を図る狙いというのは完全な間違い。

この警戒船は、中国漁船が日本の領海侵犯を侵して、海保の巡視船に検挙されないように警戒しているのである。

私は一刻も早く中国が警戒船を同海域に派遣し、中国漁船の違法操業を取り締まることを求めていた。24日からでは遅いのである。

それを日本政府が誤った認識で、中国監視船の中国漁船の監視中止を求めるのは、本末転倒である。

中国政府としては、このような問題が二度と起きては欲しくないのである。日本政府に厳しく対応するのは、自国民の怒りや不満が自分たち(中国政府)に向かってこないためである。

中国にとって尖閣問題とは、中国の領土を日本が奪おうとしているという構図で、自国民の愛国心(ナショナリズム)を煽るためなのである。中国共産党というのはそのような情宣(心理)作戦を行う組織なのだ。

政府がこの程度の知識しかないから対応を誤るのである。

また、長島前防衛政務官など民主党議員の43人の代表が27日午後、仙谷長官を訪ね、8項目の要望を盛り込んだ「建白書」を提出したという。別に民主党の松原議員ら12人も、尖閣列島に自衛隊常駐の検討を求める声明を連名で発表した。(読売新聞 9月28日 朝刊)

これらの中に、同海域での米軍と自衛隊の共同演習の実施を求めるものがあった。(産経新聞 9月28日 朝刊)

これも大きな間違いである。

今回の事件は、中国漁船が日本の領海内で違法に操業し、海保の巡視船の停船命令に従わず、逃走中にわざと船体を巡視船にぶっけた「公務執行妨害罪」の容疑である。

明らかに警察(海保)が対応する事案で、自衛隊や米軍という軍事組織が対応する事案ではない。

街の暴走族の取り締まりに、自衛隊や米軍の戦車や装甲車の派遣を求めるようなものである。

これも軍事と警察の違いが理解できていない民主党議員の基本的なミスとなる。

同時に、同海域で、中国海軍が軍事演習するチャンスを与えるようなものである。よく考えて行動や発言をして欲しい。

民主党議員は頭を冷やし、基本的な国際常識に従い、また軍事的なことも考えた上でこの問題に取り組むこと。

尖閣諸島に自衛隊を1個大隊派遣(常駐)して、孤立した彼らの安全をどのように守るというのか。深夜に、北朝鮮の特殊部隊が中国漁民に偽装して自衛隊・駐留部隊を襲撃してきても、自衛隊の駐留部隊を助けることができないのである。

中国製の武器や弾丸が島内に残っていても、中国軍が自衛隊を襲撃したことの証明にはならない。北朝鮮という国は、日本と中国の関係を劇的に悪化させるためなら、その程度のことは平気でやる国なのである。

これでまた、民主党の軍事常識のなさを露呈させてしまった。

今回の漁船の衝突事件で、日本で安易な軍事問題に転化させないで頂きたい。ーーーと、警告します。



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