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2010.09.27

 米、グアムに無人偵察機 朝鮮半島、東シナ海を監視 日本上空も飛行へ 

カテゴリ米軍出典 読売新聞 9月27日 朝刊 
記事の概要
米太平洋空軍は今月、最新鋭の高高度無人偵察機「グローバルホーク」を1機グアムに配備した。今後、2機を追加配備し、来年早々から3機体制で実際の運用を始める予定だ。

米空軍によると、同機はこれまでイラクやアフガンなど危険地帯で活用された。米本土以外の本格配備はグアムが2例目で、米政府が西太平洋地域の安全保障を極めて重視していることを示すといえそうだ。

海洋活動を活発化させる中国や、北朝鮮のミサイル発射などの軍事活動を偵察・監視するのが狙い。

グローバルホークは、高度約2万キロを飛行。乗員交代が不要なため、32時間以上の滞空が可能だ。

上空から高精度の写真撮影や通信傍受などが可能なほか、レーダーを積み込めばミサイル発射の探知にも使える。

米軍は詳細な運用計画を公表していないが、専門家らによると、朝鮮半島周辺や東シナ海、南シナ海などでの情報収集が主任務になるとみられる。

ゲーリー・ノース太平洋空軍司令官は、グアム配備を発表した20日、「米空軍の任務に必要な作戦情報の収集能力を強化する。人道支援や災害救助、テロや海賊対策など地域の課題に対処するためにも、米国とパートナーの能力を強化する」と述べた。

来年の本格運用開始後は、日本の防空識別圏や領空を日常的に飛行する計画とみられる。

高度2万メートルを飛行する無人機は、日本の航空法の位置づけが明確でないことから、米軍は国土交通省に、法適用などに関する協議を年内に始めるように申し入れた。

日本の現在策定中の新たな中期防衛力整備計画で、グローバルホークを導入する可能性を検討している。
コメント
これはこのHPの What New 「米無人機 グアム初配備」(9月9日)の続報である。その時の配備数は1機と報じていたので、なんとも頼りない機数と思っていた。

しかし東南アジアや東アジア地域(特に中国から)から、大きな反発がなかったので、今回、本来の計画配備機数の3機体制を公表したと思う。

それに尖閣諸島で中国漁船が海保の巡視船に検挙される事件が起き、中国の強硬な姿勢に世界の関心が集まっていたので、この機会に3機の運用計画を公表して”中国を威嚇”し、アメリカの同盟国との関係強化を意識付ける狙いがあったと思う。

早い話が、日本の「米軍、思いやり予算」の減額が難しい環境になったということだ。

それにである。中国が掟(おきて)破りである宇宙での「衛星破壊実験」を行った事に対する対抗措置でもある。

2万メートルという高度だが、富士山の山頂(3776メートル)が東は茨城県から、西は三重県から視認できると聞いたことがある。(確実ではない)

そこで2万メートルの高度なら、朝鮮半島全域や中国沿海部深くまで領空に入ることなく、高精度の合成開口レーダー(側方監視画像レーダー)で地上の様子を手に取るように見ることが出来る。

最新の高精度の合成開口レーダーなら、500キロ離れて車種(同じ大きさのトラックと乗用車)の画像区別が出来ると聞いたことがある。

さらにグローバルホークが3機あれば、定点を上空から長期間にわたり監視できる体制がとれる。アメリカの偵察衛星の数時間に1回と、グローバルホークの常時監視では、全く異質な偵察・監視が可能になる。

このようにグローバルホークは軍事偵察衛星には出来ないことが可能になり、中国本土(沿海部)や南シナ海、東シナ海の監視能力は完璧にすることができる。

無論、運用コストも偵察衛星よりも格段に下げることができる。また危険を冒して、沖縄から中国の海南島近くまで飛行して、中国国内の通信傍受を行う必要もなくなる。

中国が米空軍のグローバルホークのグアム配備で被る損害(ミリタリーバランス上)は、軽空母を3隻建造するぐらいで相殺できるどころではない。

おそらくベトナム、マレーシア、フィリピンの軍関係者は、米空軍のグローバルホークのグアム配備に拍手喝采を送っていると思う。

果たして、日本や韓国がどう思っているのか、それは中国政府自身がこれから確認すべき政治・軍事問題である。



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