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2010.09.15

 米、最大規模の計画 サウジに武器5兆円売却 F15戦闘機84機、アパッチ70機など 

カテゴリ 中東、ペルシャ湾出典 読売新聞 9月15日 朝刊 
記事の概要
13日付けの米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは、米政府がサイジに兵器類約600億ドル(約5兆円)相当を売却する計画を米議会に通告する見通しだと報じた。

米国の武器売却計画では史上最大の規模になるという。

計画では、F15戦闘機84機を新規に売却するほか、現有のF15戦闘機70機を改良する。また、攻撃ヘリAH64D「アパッチ・ロングボウ」70機、多用途ヘリUH60「ブッラクホーク」72機、特殊作戦ヘリMH6「リトルバード」36機も売却。

F15やアパッチを製造するボーイング社は、計画が実現すれば、44州で計7万7000人の雇用が確保できると試算している。

また、オバマ政権はサウジに対して、沿岸海域での作戦行動を専門とする沿海戦闘艦や、イランの弾道ミサイルの脅威をにらんだ戦域高々度地域防衛(THAAD)システムの導入を働きかけているという。

サイジの軍備増強をめぐっては従来、イスラエルが警戒を強めていたが、今回の売却計画では、イスラエルを脅かす長距離攻撃兵器が含まれていないことや、イスラエル(※)が既に高性能のF35戦闘機を導入する方針であることから、強い反発はないとみられる。

※当初、サウジがF35を導入するような記述をしましたが、これはイスラエルが導入するが正しいので訂正しました。(神浦)
コメント
サウジの総人口が約2640万人で、サイジ軍の兵員数は約20万人である。陸軍7万5000人、海軍1万5500人、空軍1万8000人という規模で、これに米国や欧州製の最新兵器を組み込めば、今でもダントツの中東地域で最強の国家である。

例えば、今回の計画で70機を改修するというF15戦闘機は、C型が66機で、D型が18機である。このほかにトーネード戦闘機を22機保有している。

米国製のM1A1戦車が115両、新型のM1A2が200両、AMXー30が145両、M60A3戦車が450両というから、サウジ陸軍が砂漠戦で威力を発揮する戦車軍団の力は圧倒的だ。

その上の今回の増強計画である。最強の戦車軍団の上空をアパッチ・攻撃ヘリが固めて長い槍を突きだし、さらに上空を増強されたF15対地攻撃機や制空戦闘機が守るという布陣となる。

沿海域戦闘艦というのは、ペルシャ湾などでの戦闘を想定したもので、対地攻撃力などを強化した艦をいう。航空部隊や地上部隊から攻撃を受けにくいように艦影をレーダーに映りにくいステルス構造をしている。

これほどまでサイジの戦力を強化する必要があるのかと疑問になるが、それだけイランへの恐怖が強いからと思う。

それともアメリカはサウジを中東の最新武器の事前集積地(兼)配備・訓練所として活用する気なのか。

アメリカの今回の武器売却計画には、そのようなアメリカの意図があるものと考えられる。

※当初、イスラエルがF35戦闘機を導入するのに、サウジが導入するような記述をしました。この部分を削除し、訂正します。サウジにはF35を導入する予定はありません。間違えてすいません。(当初の更新の5時間後)



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