最新記事へリンク

所長
神浦元彰
軍事ジャーナリスト
Director
Kamiura Motoaki
Military Analyst

English Column of This Month!VOICE OF Mr.KAMIURA

What's new

日本や世界で現在進行形の最新の軍事情報を選別して、誰にでもわかるような文章で解説します。ホットな事件や紛争の背景や、将来の展開を予測したり、その問題の重要性を指摘します。J-rcomでは、日本で最も熱い軍事情報の発信基地にしたいと頑張ります。(1999年11月)

2010.09.07

 台湾との関係 切断も狙う 米の「裏庭」中国浸食 コスタリカに70億円競技場「寄付」 

カテゴリ中国 台湾出典 読売新聞 9月7日 朝刊 
記事の概要
中国が米国の「裏庭」にあたる中米諸国に、コスタリカを足がかりにじわじわと進出している。

金にものを言わせる中国の援助攻勢の現場を見た。

首都サンホセ西部にあるサバナ公園で、黒壁に囲まれた国立スタジアムの建設現場を入ると、そこはまるで中国だった。約350人の中国人労働者が舗道ブロックを敷く作業を行っていた。

作業中の労働者は立ったまま、どんぶり飯をかき込んでいた。

スタジアムは収容人員約3万5000人、スポーツの殿堂として来年4月にオープン予定だ。総工費8300万ドル(約70億円)は中国が出した。

工事は中国政府系の「チナフェック」が請け負い、労働者と資機材の大半を本国から持ち込んだ。

これはアフリカなどで行う中国の援助攻勢と手法は全く同じだ。

コスタリカは2007年、台湾と約60年間の外交関係を破棄し、中国と国交を結んだ。

中米は台湾と外交関係を持つ23か国のうち11か国が集中している。親台湾の中米で中国に乗り換えた初のケースだった。

中国は見返りに2000万ドル(約16億円)の資金供与やスタジアムの寄付を約束するなど豊富な資金力で浸透を図ってきた。

サンホセの中心部に中華街を作る計画も後押しし、総事業費1400万ドル(約11億8000万円)のうち1000万ドルを中国が負担する。

一連の援助攻勢は「サンホセを『ショールーム』にし、台湾との外交関係を見せつける狙い」(外交筋)と見られている。

中国はかつて国連PKO活動でも、台湾を承認する国へのPKOは拒否権を行使したことがある。しかし04年に政策を転換させ、国交のないハイチにもPKOを派遣し、現在も16人が活動中だ。

ハイチでの国連PKO活動は影響力拡大戦略の一環とみられる。

中国の中米進出に米国が目くじらを立てるような動きは今のところ見られない。

しかしコスタリカでは反発も出てきた。コスタリカ政府は6月、サンホセでマンションを建設する計画で、チナフェックが出した中国人労働者100人への査証発給申請を却下した。

コスタリカの昨年の失業率は7,8%で、前年比2,9ポイント増。自国民の雇用が足りないのに、中国人を入れるなど論外」(コスタリカ建設業界会議所)と批判を受けた措置だ。

サンホセの有力紙ナシオンのアルバロ・ムルルョ記者(30)は「コスタリカのように資源のない小国に援助するのは友好以外に目的があるからだ。政界では中国と慎重につきあうべきという雰囲気が強い」と話した。
コメント
今頃になって中国流の進出(浸食)方法に気がつくなんて、ずいぶん遅れていると思って記事を読んだ。

それでもアメリカがかつて中米に進出したやり方よりもマシである。CIAが指導者をでっち上げるか、反米的な指導者を暗殺するか、指導者をワイロ漬けにして思いのまま振る舞うか。そんなやり方をアメリカがやって反米的な国が多くなった。

中国は技術者や労働者や建設資材を現地に送り込まなければ、援助資金の大半がワイロとして政府関係者の懐に入ることを知っているからだ。

中国はコネとワイロの大国として、そのあたりの中米事情を知り抜いているから中国流の援助を考えた。

だから中国は老獪(ろうかい)なのである。中国は軍事力を使わない征服の方法を知っている。

中国はアフガン復興でも、コスタリカと同じような援助形態をとると思う。日本はお金だけ出して、アフガン政府の高官に中抜きされるが、中国は自分たちの利益に直結する形に援助金を使うだろう。

だから日本に必要なのは、中国に負けない国際援助を考えることである。中国を批判していても何もならない。



関連記事