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2010.07.31

 アフガン戦争 米兵月間戦死者最悪 7月は63人が死亡 

カテゴリアフガン出典 毎日新聞 7月31日 朝刊 
記事の概要
AP通信は30日、アフガン南部で29日に米兵3人が爆発に巻き込まれて死亡し、7月に死亡した米兵は63人に達したと報じた。(朝日新聞は同日紙でAP通信が戦死者数は66人と報じた)

これは先月の60人を超え、01年の米軍によるアフガン攻撃以来の月間死者数が2ヶ月連続で最悪を記録した。

オバマ大統領は来年7月のアフガン撤退をめざし、反政府武装勢力タリバン掃討作戦を強化しているが、死者の増加は戦闘の泥沼化を示しており、厭戦ムードが高まりそうだ。

国際治安支援部隊(ISAF)によると、今月6日現在のISAF所属米兵は約7万8000人。オバマ大統領のアフガン新戦略発表前の昨年10月は約3万2000人だった。
コメント
アフガン駐留の米軍(ISAFを含む)は、この秋頃までに、タリバンの拠点であるアフガン南部のケシ畑を一掃し、麻薬加工工場やIED(簡易爆弾)改造工場を摘発することが重要だった。

その上で、タリバンを支えてきた住民に職業訓練や仕事を与え、反政府武装闘争から遠ざける出口戦略であった。

そのことを重視し、あえてタリバン兵士の掃討や追撃をしないで、向かってくれば砲撃や爆撃を活用して攻撃する程度にとどめた。

しかし米兵の戦死者の増加は、単に増派したらという理由以外に、米軍の作戦をタリバンが正確に把握し、米兵が捜索を行う秘密の麻薬加工工場やIED改造工場の付近に爆薬を仕掛け、米兵を誘導して爆死させる作戦を仕掛けているからである。

怪しい民家の周辺に地雷を埋め、駐車中の車にはIEDが仕掛けられ、家のドアや天井や地下には爆薬が仕掛けられている。

昔、カンボジアのジャングルを取材で訪れると、乾期に水が飲める水場の草むらに、対人地雷が多く埋まっていたのを思い出す。

水を飲むために水場に近づく細い道には地雷はない。しかし水を飲んだものがホットして、近くの草むらに入って小便をすると足を吹き飛ばされるのである。

喉が渇いて水を飲むまでは、出たい小便を我慢する癖がある。しかし十分に水を飲めば、心理的に小便がしたくなる心理を活用して、近くの草むらに地雷を仕掛けているのだ。

そうすることで、より多くの者を地雷の犠牲者に仕上げることが可能だ。

アフガンでそのような心理をついてIEDを仕掛けられたらたまらない。

アフガンで2ヶ月連続で米兵の最多戦死者数を更新する事情にはそのような背景がある。銃弾を撃ち合って戦死するケースとは違う。

米兵の戦死者の増加は、兵士の厭戦気分を高め、慎重な対応が必要なことから作戦の遅滞を招くことになる。

アフガンで仕掛けれる非正規戦によって、精神を痛み付けられた米兵の自殺が増えているという。09年は自殺者162人、自殺未遂1700件、陸軍での自殺率は10万人あたり20,2人で、入隊間もない兵士が6割を占めている。(この部分、朝日新聞 7月31日 朝刊 「自殺者も最悪」より)



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