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2010.07.30

 タンカー損傷 衝突?波? 深まる謎 「潜水艦や機雷と・・・」 銃弾など痕跡なく 

カテゴリ 中東、ペルシャ湾出典 産経新聞 7月30日 朝刊 
記事の概要
中東のホルムズ海峡を航行中のタンカー「エム・スター」(16万トン)が損傷を受けたとされる問題で、運行する三井商船は29日、タンカーの右舷後部に約9メートル四方のへこみがあり、右舷甲板に設置されていた救命ボートがなくなっていることを明らかにした。

エム・スターは爆発があったとされる現場からアラブ首長国連邦のフジャイラ港に入港。29日から同社関連会社員のほか、米、英両国の海軍担当官も加わり、船体の調査に着手した。

同社は、エンジン付近の船内が濡れていないことで、「地震に伴う強力な波による被害」を否定した。

また外観などから、銃弾の痕跡がないことから、防衛省関係者は海賊から「攻撃を受けたとは思えない」と口をそろえた。

海上保安庁幹部は、「固いものが衝突した跡ではないか」との見解を示す。「強い波で船体がへこむことはあるが、もっと不規則な形になる」という。

ロイター通信はフジャイラ港の当局者が、「潜水艦との衝突か機雷の可能性がある」と述べたと報じた。

商船三井のよると、船体の鉄板の厚さは6センチ。爆発とされた爆音がした際、乗組員の一人が左舷の甲板で作業をしており、「水平線上に光が見えた」と報告しているという。

へこみの位置から離れた船体2階の内部が壊れていたため、大きな衝撃があったことは間違いない。

なくなった救命ボートがへこみの上部にあったことから、ボートが何らかの原因で外れ、船体にぶつかった可能性を指摘する関係者もある。

米国のクローリー国務次官補(広報担当)は28日の記者会見で、「現時点でタンカーが攻撃されたことを示す情報はない」と語っている。
コメント
久々の海洋ミステリーだが、このような場合、原因が究明されると、意外なほど「簡単な原因」が多かったように感じる。

同紙に掲載されたタンカーの写真を見たが、”へこみ具合”から明らかに火器(火薬類)で攻撃されたものではない。

私がイランの革命防衛隊からRPG7で攻撃されたタンカーを見た時、窓やドアが吹き飛び、壁や天井には飛び散ったRPGの破片の痕跡で白いペンキが剥がれていた。床にはロケット弾の赤く錆びた破片が転がっていた。

タンカーのへこみの状態からは、潜水艦との接触を思わせるが、米海軍の潜水艦なら無関係を装うことは難しい。当て逃げした潜水艦の艦長は、”艦長資格剥奪”など厳しく罰せられるからだ。

となれば、やはりタンカーの救命ボートが落下して、船体に接触したのだろうか。となれば救命ボートの塗料がタンカーの船体にこびりつくはずだが、その痕跡も見当たらない。

仮にクジラなどの巨大動物では、このほど大きなへこみは出来ないと思う。

しかし今は、微量な残量物で正体を明かす分析技術が進化している。船体のへこみ部分になんらかの物質が微量でも付着していると思う。

分析結果は意外なほど、「何ん〜だ」と思うかも知れない。

一番怖いと思うのは、浮遊してきた古い機雷が接触したが、たまたま爆発なかったという結果である。

調査の続報を待ちたい。

このホルムズ海峡で石油タンカーの事故なら、世界中の海運関係者や軍事関係者が注目しているはずである。



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