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2010.07.29

 ホルムズ海峡 商船三井タンカー被弾か 船員一人軽傷 

カテゴリ 中東、ペルシャ湾出典 朝日新聞 7月29日 朝刊 
記事の概要
商船三井に入った連絡によると、ペルシャ湾の入り口にあたるホルムズ海峡西側で、同社保有の大型原油タンカー、エム・スター(マーシャル諸島船籍、16万トン)が航行中に、右舷後部で爆発があり、乗組員一人が爆発によるガラスの破片で軽傷を負った。

爆発直前に当直の乗組員が、水平線上に光が走るのを目撃したという。同社は外部から何者から攻撃を受けた可能性が高いと見ている。

国土交通省によると、ホルムズ海峡ではこれまで日本関係の船が襲われる海賊事件が起きたことはなく、爆発前後に船に近づいたり侵入を試みた不審者などは確認されていない。

同省はテロや軍事演習の誤射の可能性があるとみて、外務省などとともに情報収集を急いでいる。

米海軍の第5艦隊司令部(バーレーン)も在ドバイの英国海軍情報機関のUKMTOを通じて情報を把握。「ホルムズ海峡は安全であり、航行は事件の影響を受けていない」としつつ、状況の監視を続けるとの声明を発表した。

現場は、中東から日本に原油や液化天然ガスを運ぶタンカーが必ず通る海域。日本船主協会によると、09年に同海峡を通った日本の海運会社所有の船舶約3400隻のうち、4割にあたる1400隻が原油タンカーという。
コメント
イラン・イラク戦争当時、イランの革命防衛隊から日本の原油タンカーがホルムズ海峡で攻撃を受けたことがある。この時はイラクを支持する西側諸国の石油タンカーがイランから攻撃を受けた。

使われた武器はRPG7携帯式対戦車ロケットと自動小銃などだった。RPG7は射程が短いため、小型ボートに乗った革命防衛隊がタンカーに接近し、海上の至近距離からRPG7をタンカーに発射した。

ホルムズ海峡から日本に帰国し、川崎港沖に停泊したタンカーに乗り込み、RPG7の爆発で被害を受けた船室を取材した記憶がある。

今回は水辺線上で光が走るのを目撃したというから、使われた武器はRPG7ではなく、砲撃である可能性が高いように思う。艦載砲か陸上砲かはわからない。

むろん海賊の犯行とも考えられない。保険金目当ての海賊が軍艦や海上警察の艦船が密集しているホルムズ海峡で活動するとは思えないからだ。

もしテロであるなら、犯行を行ったものが「犯行声明」か「テロ宣言」を出す必要がある。今回の攻撃目的を宣言し、政治的な要求を行うためである。

あるいは軍事演習の誤砲でないなら、攻撃を行った国は立場を明確にして、国際社会に攻撃した理由を説明することが必要だ。

もしイランが国連安保理の制裁の対抗して、このような攻撃を行ったとは考えられない。イランにとって日本は数少ない友好国のひとつで、イランがホルムズ海峡で無差別に日本のタンカー攻撃を行ったとは考えられない。

今回の事件を受けて、米第5艦隊はもちろんだが、イランも自ら調査を開始して犯人捜しに乗り出すと思う。

今のところ、砲撃した犯人を想像させる状況はなにもない。さらなるタンカーの被害状況を知りたい。



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