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2009.05.25

講師に陸自将官 アフリカ平和維持軍講習 平和構築の論理を教育

カテゴリ自衛隊国際貢献出典 産経新聞 5月25日 朝刊 
記事の概要
アフリカ連合(AU)が創設を目指す平和維持軍の上級幹部養成を図る講習会が24日、エジプトの「アフリカ紛争解決・平和維持訓練カイロ地域センター(CCCPA)」で始まった。6月4日までにアフリカ14カ国から参加した軍幹部ら約25人に平和構築の理論教育や具体的な机上訓練を行う。

今回、防衛省は国連の要請で、この講習会にアフリカでの国連PKO経験がある榊枝宗男陸将補(陸自・小平学校校長)と元東ティモール担当国連事務総長特別代表を務めた長谷川祐弘氏(法政大学教授)を講師として派遣した。

これは2010年をめどに常設する「アフリカ待機軍」設置を目指し、国連PKO局の支援で07年から3回開催されているが、日本人が参加すのは初めてになる。

今まで日本は国連開発計画(UNDP)を通じて08年度から10年度まで、CCCPAに総額約300万ドルの資金支援を行っている。
コメント
これは将来、自衛隊が国連PKO活動としてアフリカに派遣された時、連携して活動する「アフリカ待機軍」に日本(自衛隊)の特別な事情を理解してもらう狙いがあると思う。

イラクのサマワに陸自部隊が派遣された時、そのサマワ地区の警備を担当するオランダ軍やオーストラリア軍に、自衛隊が置かれた現状(憲法上の制約など)を説明して理解してもらった。

今回は、「アフリカ待機軍」となる上級指揮官に、あらかじめ説明しておくという日本の配慮がある。自衛隊は国連PKO活動中でも、正当防衛や緊急避難以外に武器を使えないことを知ってもらうことは大事なことだ。

今までにアフリカに派遣された自衛隊PKO部隊は、現地の事情に精通していなかったことと、現地の者も日本や自衛隊のことを全く理解していなかったために苦い思い出がある。

ところで米軍の呪縛を解かれた自衛隊は、世界各地で国際貢献の動きを加速させている。今月4日から8日まで、フィリピンで行われたASEAN地域フォーラム(ARF)が初めて開催した合同災害救援実動演習に陸自部隊から24名の「ARF派遣部隊」を出し、バンバンガ州オロンガボ市で医療、防疫、浄水活動を行った。

陸自のARF派遣隊員と浄水機材を空輸したのは空自のC130輸送機(2機)だが、マニラ湾での捜索救助合同訓練では初めて海自の救難飛行艇US−2が岩国基地から参加している。陸自部隊のフィリピン派遣は初めてだが、海自のUS−2が海外に派遣されたことも初めてである。岩国からクラーク基地まで5時間だそうである。ずいぶん近くなったものだ。

オバマ政権はイラクから米軍の撤退を表明しているし、アフガンにも自衛隊の派遣を求めないことを表明している。小泉元首相のようにブッシュ政権に自衛隊を差しだしてイラクに派遣し、自己の権力維持を図る政治家もいなくなった。となれば、北朝鮮が消滅すれば、自衛隊は国際貢献に全力を尽くすしか存在意義が半減することになる。

やっと私が期待した将来の自衛隊のイメージに進みつつある。アジアで発生した大地震やサイクロンや台風被害、それに火山の噴火や大津波に、自衛隊の大災害救難部隊が現地で活躍する姿を見てみたい。

同時にこれは、中国やインドとの国際貢献の競争でもある。派遣人数の多さは中国、援助の質や細やかさはインド、それにかわる自衛隊の特色を作り出さなくてはいけない。



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