最新記事へリンク

所長
神浦元彰
軍事ジャーナリスト
Director
Kamiura Motoaki
Military Analyst

English Column of This Month!VOICE OF Mr.KAMIURA

What's new

日本や世界で現在進行形の最新の軍事情報を選別して、誰にでもわかるような文章で解説します。ホットな事件や紛争の背景や、将来の展開を予測したり、その問題の重要性を指摘します。J-rcomでは、日本で最も熱い軍事情報の発信基地にしたいと頑張ります。(1999年11月)

2010.04.15

 普天間移設 迷走 米軍再編 韓国が注視 北朝鮮と対峙「沖縄にいれば心強い」 

カテゴリ沖縄問題 出典 毎日新聞 4月15日 朝刊 
記事の概要
米軍普天間の移設問題の迷走を、海を隔てて見つめる目がある。北朝鮮と対峙する韓国。ひとたび「朝鮮半島有事」になれば、海兵隊など在沖縄米軍の存在意義は大きい。

在韓米軍の役割変化、規模縮小の流れの中で広がる日米同盟のひずみに、自国の安全保障への影響を懸念している。

「沖縄の海兵隊は北朝鮮の体制崩壊時、核兵器を速やかに除去するのが最重要任務。米太平洋海兵隊のスタルダー司令官は認める。毎年恒例の米韓合同軍事演習「キ・リゾルブ」「フォール・イーグル」のたびに、沖縄から派遣される海兵隊は大きな役割を演じている。

その合同演習の規模は縮小傾向にある。冷戦の終結、さらには北朝鮮の核問題解決のために米朝対話が始まって以来、米韓は北朝鮮を過度に刺激しないことで一致する。

今回の「4年ごとの国防政策見直し」(2010 QDR)は、冷戦後の米国の基本方針だった「二正面作戦」(二つの地域紛争に同時に対処する方針」を捨てた。

イランとアフガンの二つの戦争に疲弊している米国は、「地球上、どこでも起こり得る戦争」に対応するため、在韓米軍を含めて兵力を「プール」して、他の戦地に派遣する考えを示した。

しかし北朝鮮情勢は依然、見通せない。朝鮮半島有事の際、在沖米軍の立場は高まる。韓国国防省のシンクタンク・国防研究所の宋研究員は「米軍が普天間にこだわるのは『将来何が起きるかわからない』と考えるからだ。北朝鮮内部で混乱が起きるかもしれない。距離的に近い沖縄に米海兵隊がいるのは韓国として心強い」と語る。

04年に在韓米軍削減計画が決まり、米韓は現在、米韓連合軍司令官(在韓米軍司令官が兼務)に属する作戦統制権を12年までに韓国に完全移管することで合意している。

だが韓国政府内では、2年後に統制権移管は適当か、さまざまな意見がある。韓国の金国防相は4月8日、「(有事の統制権について)軍だけでなく国家の問題として検討している」と国会で答弁した。金国防相の慎重な発言は、在韓米軍の役割変化とともに、普天間問題の迷走と無関係でないとの見方も強い。

「日米韓3か国は事実上の三角同盟体制。その一角の日米同盟が崩れれば、朝鮮半島の急変に対応する能力は間違いなく低下する」(韓国・中央大の金・政治学教授)。

米軍再編の波に巻き込まれてていく韓国の不安がのぞく。
コメント
普天間移設問題の真剣な議論を経て、在沖海兵隊は日本の抑止力にために存在していないことは多くの人が理解した。また、尖閣諸島を中国軍からの軍事侵攻を撃退するためという説明も正しい軍事論ではないことも理解したようだ。

台湾有事に在沖海兵隊が投入される可能性も極めて低いことも、米中両国が戦略核兵器で向かい合っていることから説明した。

あくまで、沖縄に海兵隊が常駐配備されているのは、在韓米軍が配備されている朝鮮半島有事に駆けつけることが第1の任務なのである。

その朝鮮有事(戦争)の可能性が低くなったことと、米軍全体の兵力不足から、在沖海兵隊の一部はイラクやアフガンに派遣されているのである。

しかし新たな朝鮮半島有事も発生した。北朝鮮の崩壊による大量破壊兵器の国外流出という有事である。北朝鮮が大量に保有する毒ガス(化学兵器)、細菌(生物兵器)、核(核物質を含む)を速やかに制圧(除去)する必要が米韓両軍にあることだ。

しかし、これを中国から見れば、米韓両軍は北朝鮮崩壊を機に、大量破壊兵器の除去を理由にして、北朝鮮に流れ込み、北の軍事占領を正当化するとも見えてしまう。

だから中国やアメリカは6か国協議の形を作り、北の核放棄について話し合いながら、北朝鮮有事(崩壊)の際にも、北を除く5か国で協議できる体制を作ったと思っていた。

今は、米韓は中国が北朝鮮の統合を狙っていると疑い、中国は米韓が北朝鮮の軍事統一を企てていると疑うのである。

だから6か国協議は重要なのである。この会合で今後の北朝鮮(崩壊後)の扱いを決めなくてはいけない。

北が崩壊すれば、中国は北朝鮮を韓国と分離したまま新たな統治形体を考えていないことを表明し、米韓は「作戦5029」は大量破壊兵器の制圧が目的で、それ以外の兵力を北朝鮮に投入せず、投入した部隊も任務終了後に北から撤退することを表明するのである。

その後は、崩壊した北朝鮮を除く5か国で、朝鮮半島の新しい統治と旧・北朝鮮地域の復興を支援する会合の場に設定する。

韓国は新たな統一国家の基礎となる新憲法案を提議し、安全保障をどのような体制で行うかの指針を示す。

このように、たまたま耳にすることの多い「普天間の代替施設は15年程度」という言葉には、このように朝鮮半島が北の崩壊を受けて、健全な体制に移行する期間という政治的な意味が含まれている。

北朝鮮という国が消滅すれば、海兵隊が沖縄に常駐する軍事合理的な理由はない。アメリカが日本に、沖縄に海兵隊が統一的な運用が可能な新基地を求めているのは、グアムの基地機能が失われた場合(台風や地震など)、その代替能力を持った第2グアム基地構想なのである。

私はそれをハワイに作ることを求めることは、日米同盟の強化に役立つとことと思う。これ以上、沖縄の米軍基地を強化させることは、日米同盟にダメージが大きくなると思うからだ。これからは沖縄の米軍基地負担を軽減させることが必要だ。



関連記事