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2015.05.30

 中谷防衛相も中国を批判 「責任ある振る舞いを期待」 中国を名指し 

カテゴリ 南シナ海出典 読売新聞 5月30日 電子版 
記事の概要
中谷防衛相は30日午前、シンガポールで開催中のアジア安全保障会議で演説し、南シナ海のスプラトリー(南沙)諸島で中国が進める岩礁の埋め立てについて「残念で、我が国をはじめ周辺諸国は、こうした状況に不安を抱いている」と批判した。

中谷氏は同日、カーター米国防長官と会談し、日米が連携して中国に自制を求めていくことを確認する見通しだ。

中国は、ベトナムやフィリピンなども領有権を主張するスプラトリー諸島の実効支配を強め、沖縄県・尖閣諸島周辺では中国公船が領海侵入を繰り返している。

こうしたアジア太平洋の地域情勢に関し、中谷氏は「南シナ海で大規模な埋め立てや港湾・滑走路の建設が急速に進められている。東シナ海でも現状変更を試みる動きがある」と指摘。

力による一方的な現状変更に反対する考えを強調し、「中国を含む各国が責任ある立場で振る舞うことを期待する」と、中国を名指しする形で訴えた。
コメント
映画の有名なセリフに「事件は会議室で起きるのではない」というのがあるが、同じように「戦争は国会の委員会で起きるているのではない」という言葉を連想する。

国会で意味不明の安倍首相の答弁を聞いていると、この人は本当に軍事問題が苦手な人なんだと思う。

説明に明瞭さがまったく感じられない。自分の感性だけで答えているだけだから、安倍氏への質問に罠を仕掛けると簡単にかかりそうだ。

そこで中国が造成する南シナ海の人工島の軍事問題である。中国が滑走路や軍事施設の完成を待って、領有権を主張したらどう対応するのか。

日本は「力による変更は認められない」と繰り返し、あくまで中国の自立的な修正(撤退)を待つだけか。

アメリカが海軍艦艇や航空機を人工島の12カイリ以内に入れたらどうするのか。ここで沸き起こるのは南シナ海は日本の重要なシーレーン論である。

次に、人工島に配備された中国軍が、恐怖のあまり米海軍艦艇に島から攻撃を加えれば近くにいる自衛隊はどうするのか。(中国軍は本国の命令を無視したとする)

このように、ペルシャ湾のホルムズ海峡よりも、今は南シナ海の中国軍が日本の生命線のシーレーンを脅かしていると、安倍首相にワナを仕掛けることができるのだ。

これが軍事や戦争のリアリティーである。軍事は国会の委員会や政治家の答弁を吹き飛ばすパワーを秘めている。

中谷防衛相も国会の意味不明の議論よりも、より現実の軍事に踏み込んだ南シナ海問題の中国対応を明瞭に演説したいと願うだろう。

それによって世論が引っ張られ、メディアも中国の横暴を糾弾し始める。それにつられて国会も中国への集団的自衛権行使を主張する。

これも軍事のリアリティーである。私が安倍首相は”ヤブを突いて大蛇を出した”という意味がこれである。

日本がアメリカの戦争に参加するということと、抑止力は絵に描いた餅ではないことを日本人は知るチャンスである。

ドイツはアフガンのAISFに部隊を派遣して、初めて軍事のリアリティーを知ったという。




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