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2015.05.29

 米比国防相会談 「比防衛、米の義務は確固」 中国は人工島の「中止を」 

カテゴリ 南シナ海問題 出典 産経新聞 5月29日 朝刊 
記事の概要
カーター米国防長官は27日、フィリピンのガズミン国防相とハワイで会談し、南シナ海での中国による人工島建設への対応を協議した中で、「フィリピンを防衛する米国の義務は確固たるものだ」と強調し、同盟国であるフィリピンを、相互防衛条約に基づき中国から防衛する決意を示した。

両氏は中国に対し、人工島建設と紛争海域の軍事化を「即時に中止」するように求めた。

また、米比両政府の外務、国防当局者による協議を早急に開催することで一致した。

これに先立ち開かれた米太平洋軍司令官の交代式でカーター長官は「中国の行動は、アジア太平洋域内の各国を団結させつつあり、米国が地域に関与する必要性を増大させている。米国は向こう数十年間、地域の安全保障の主力であり続ける」と強調し、中国をけん制した。

さらに中国が「国際規範と、力によらない(紛争解決の)手法を支持する域内の総意から逸脱している」と重ねて批判。「国際法が許す限り、米軍は(人工島の周辺で)飛行や航行、作戦行動を続ける」と力説した。
コメント
ーーーーーー以下 引用ーーーーーーー

「挑発的」と中国反論  (朝日新聞 5月29日 朝刊)

「工事の規模とスピードは中国が大国として担うべき国際的な責任と義務に見合うものだ。一部の国々が騒ぎをあおっていることが、南シナ海の混乱の原因だ。米国が挑発的な言動をすぐにやめるように望む」

中国外務省の華春蛍副報道局長28日の定例記者会見で、カーター国防長官要求に強い言葉で反論した。

中国は26日に発表した国防白書で海軍強化の方針を鮮明にし、南シナ海などでの「海洋権益を守る戦いは長期化する」と、軍事衝突の可能性も排除しないという強い姿勢を強調した。

(略)

ーーーーーーーー以上引用−−−−−−−−−−−

中国が南シナ海の岩礁を埋め立てる人工島の領有権と、それを軍事的に否定するアメリカとのチキンレースが始まった。

双方の言葉や対応がますます激しさを増していく。

米海軍は人工島周辺に米海軍艦艇や航空機を入れて大規模な軍事演習を必ずやる。もはや米側が中止する段階は超えている。

かつて80年代のソ連軍(当時)は、日本海のウラジオ沖で大規模軍事演習を行う米空母機動艦隊に、沿岸の陸上基地から次々と航空機を飛び立たせ、同時に空母の全周からミサイル攻撃や爆撃を行う「飽和攻撃」で対抗した。

演習後にソ連軍の飽和攻撃を検証した米海軍は、ソ連軍機の攻撃(仮想)が米空母の防御網を突破し、空母に打撃を与えていたことが判明した。

その教訓によって、米海軍では空母を守るために対空戦闘を強化したイージス艦が開発・配備された経緯がある。

さて中国海軍は米空母機動艦隊に、いかなる戦術で対抗するのか。中国軍の能力を観察するチャンスである。

※この米ソ大規模演習を思い出すと、朝日新聞社の阪中編集委員(のち青学大教授)の顔が浮かんでくる。阪中氏にはいろいろ教えて頂いた。まさか30年後、南シナ海でおなじような事態が起こると想像できなかった。




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