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2015.04.26

 宮古島の警備部隊 連休明けに配備地提示 防衛省、複数カ所 地対艦・空ミサイルも 

カテゴリ自衛隊政策出典 産経新聞 4月26日 朝刊 
記事の概要
防衛省は25日、沖縄・宮古島での陸上自衛隊「警備部隊」の配備地について、大型連休明けに宮古島市へ提示する方針を固めた。

平成30年度末までに約600人の隊員を置き、地対艦ミサイル(SSM)と地対空ミサイル(SAM)も配備し、市内の複数箇所への配置を打診する。

中国の離島侵攻の脅威を踏まえた南西防衛強化の一環で、沖縄・与那国島への沿岸監視隊の配備に続き、実戦部隊の配備計画が本格化する。

左藤章防衛副大臣が宮古島市を訪れ、下地敏彦市長に配備地を提示する。下地氏は部隊の受け入れの可否を検討。配備に同意が得られれば、防衛省は8月の28年度予算案概算要求に用地取得費を計上する。

南西防衛強化に伴う警備部隊の配備は鹿児島・奄美大島に続くもので、宮古島で配備が実現すれば先島諸島では初めて。石垣島への配備も検討している。

警備部隊は離島が攻撃された有事の際、初動対処にあたる。

現状では沖縄本島より西側は宮古島に航空自衛隊のレーダーサイトがあるだけで、実戦部隊が配置されていない「防衛の空白地帯」となっており、警備部隊の配備はこの欠陥を是正する措置だ。

配備されるSSMは最新鋭の12式地対艦誘導弾。陸自は離島防衛では(1)沿岸海域(2)海岸地域(3)内陸部−の3段階で対処する構えで、SSMは第1段階の沿岸海域で敵艦艇を撃破する重要な役割を果たす。

中国海軍艦艇は沖縄本島と宮古島の間を抜ける形で東シナ海から太平洋に進出することを常態化させており、SSMは挑発のエスカレートに対する抑止力と対処能力となる。

中国軍の爆撃機などが沖縄本島と宮古島の間の上空を飛行することも活発化しており、宮古島へのSAMの配備も欠かせないとされる。
コメント
すでにこのHPでは、何度もこの宮古島の警備隊配備計画を説明している。

よく間違うのは、与那国島に配備される沿岸監視隊と、宮古島に配備される警備隊を混同することである。

与那国島の沿岸警備隊は情報職種で、戦闘部隊ではないことと、警備隊はれっきとした戦闘部隊で地対艦ミサイル(12式地対艦ミサイル)や地対空ミサイル(おそら(陸自のPAC2地対空ミサイル)を保有していることである。

対して、沿岸監視隊は拳銃、小銃、数丁の機関拳銃(サブマシンガン)、機関銃程度である。

兵員数も、沿岸監視隊は100〜150人だが、警備隊は500〜600人規模である。

これで有事に宮古島周辺を航行する中国海軍の艦艇の通行拒否(能力)を可能にする作戦である。ただし、宮古島の場合は12式対艦ミサイルの射程から、有事には対岸の沖縄本島にも地対艦ミサイルを配備して、両岸からこの水道(海峡)を封鎖(能力)する必要がある。

まず水上には海自の護衛艦、水中には海自の潜水艦、上空には哨戒機のP1やF2戦闘機(空自)に搭載した対艦ミサイルや対潜魚雷(P1)で海峡を封鎖する。

さらに、米軍が加わって、中国軍の太平洋進出を阻止する防御(封鎖)ラインを構成する。

これが怖くて、中国海軍は東シナ海ではなく、太平洋進出に南シナ海を選択したのである。

また、宮古島の警備隊を防衛するためには、石垣島に宮古島と連携する警備隊を配備する軍事上の必要性がある。

だから宮古島警備隊の次は、石垣島に警備隊を配備する計画を持っている。ただし、石垣島には常駐する警備隊なのか、有事に緊急展開してくる部隊なのか不明である。

石垣島に警備隊が常駐しなくとも、現在の石垣島の地形や施設(岸壁や空港など)を活用すれば、容易に石垣島警備隊の緊急展開が可能である。

間違っても、宮古島に配備される警備隊は尖閣諸島防衛のためなどと言わぬことである。本来の日本の南西諸島防衛の意義を誤ることになる。




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