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2015.04.21

 沖縄・浦添市 那覇の米軍港湾施設、移設を受け入れ表明  

カテゴリ沖縄問題 出典 毎日新聞 4月21日 朝刊 
記事の概要
 ◇松本市長 公約の事実上撤回に

沖縄県浦添(うらそえ)市の松本哲治(てつじ)市長は20日、那覇市の米軍那覇港湾施設(那覇軍港、約56ヘクタール)の浦添市への移設を受け入れる方針を表明した。

松本市長は2013年2月の市長選で移設反対を掲げて初当選したが、公約を事実上撤回した。

松本市長は市役所で記者会見し「公約はどのような状況の変化があっても変えてはならないものではない。政治的な環境の変化を踏まえて決断した」と説明した。

那覇軍港は日米両政府が1974年に移設する条件付きで返還に合意し、95年の日米合同委員会で移設先を浦添市に決めた。

2001年に当時の市長が受け入れを表明した。

日米両政府が13年4月に合意した返還計画も、浦添市への代替施設建設が条件になっている。

代替施設(約49ヘクタール)は米軍牧港補給地区の沖合を埋め立てて建設する。

浦添市は周辺海域を埋め立ててリゾート施設を整備する計画で、松本市長は移設を容認する一方で代替施設の位置を変更するよう政府に求める方針。
コメント
これは辺野古新基地建設に反対する強い援護射撃である。これによって辺野古沿岸に新基地を建設する軍事的必要性はなくなる。

その理由は、米軍が現在の那覇軍港を日本に返還すれば、沖縄に軍港はなくなることになる。軍港ホワイトビーチは浮き桟橋の上に、沖縄本島の南側に面しているので台風の時期には使用が制限される。

そこで日本政府は辺野古新基地に併設する新軍港を作って那覇軍港の代替えにする気でいた。辺野古も本島の南側にあるが、そんなことを考える軍事知識は日本政府(防衛省以外)にない。

辺野古新基地に米海兵隊の強襲揚陸艦が接岸でき、重量物(戦車など)が積み下ろしできる強固な岸壁を作れば、それで米軍は満足するだろうと考えていたようだ。

しかし米軍は辺野古に新基地を作るよりも、本心は沖縄本島の南側に新たな軍港を作ることを求めていた。

沖縄本島の南側には、本部(もとぶ)港があるが、ここは嘉手納基地から離れ、港湾も狭く、米軍の大型艦や潜水艦(複数)の寄港には適していない。

そこで浦添沖を埋め立てて、那覇の軍港を移すことを考えた。嘉手納基地にも近く一体化した運用ができるからだ。

もし、浦添市に新たな軍港が出来るなら、米軍は辺野古に新基地を作る必要性は霧消する。オスプレイは日本に巡回訓練で来れば済むからである。

浦添市長が軍港受け入れを容認したということは、米軍にとっては大きな朗報である。同時に、辺野古沖を埋め立てて新基地建設に固守する軍事的な必然性はなくなった。

米軍にとって、沖縄で最大の軍事問題は、嘉手納基地の維持と新軍港の確保である。辺野古新基地建設ではない。それは外務省の必要性(米軍基地利権)である。

那覇市に隣接する浦添市の松本市長は、辺野古基地反対に強力な援護射撃を行ったのである。

私は彼の英断を支持する。軍事知識とは、ここまで読んで分析して行動しないと、表面的な変化だけで行動すれば失敗する。

浦添市の軍港受け入れには、背景に辺野古新基地建設に反対する意思があることを、ぜひ沖縄の人は理解して欲しい。




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