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2015.04.16

 中国元軍制服組トップ、郭伯雄氏が失脚 汚職疑いで取り調べ 習近平氏、軍部掌握図る 

カテゴリ 福島原発事故 出典 産経新聞 4月16日 朝刊 
記事の概要
中国共産党の習近平指導部が15日までに、胡錦濤前指導部で軍制服組の最高位を務めた郭伯雄・前中央軍事委員会副主席(72)の身柄を拘束し、汚職の疑いで取り調べを始めたことが分かった。

複数の共産党関係者が明らかにした。

郭氏と同じ時期に軍事委副主席を務めた徐才厚氏(今年3月に死亡)は昨年夏にすでに党籍を剥奪されている。

前政権を支えた制服組のツートップがともに失脚するのは異例で、軍に大きな衝撃と動揺を与えるのは必至だ。

共産党筋によれば、北京市内で軟禁状態にあった郭氏を、杜金才・党中央規律検査委員会副書記が4月9日に訪ね、実質の身柄拘束となる「双規」を通告した。

「双規」とは「規定された時間と場所で、疑いのある問題に関して説明を求める」という共産党内部の規則に基づく措置で、政治的には失脚を意味する。

中国国防省は3月2日、郭氏の息子、郭正鋼・浙江省軍区副政治委員(少将)を収賄容疑で立件。正鋼氏の妻、呉芳芳氏もその直後に拘束された。

正鋼氏たちの証言に基づき、郭氏の容疑が固められたとみられる。

郭氏が軍事委副主席に在任中、部下から多額の賄賂を受け取り、昇進や軍用地の民間転売などで便宜を図った疑いがあるという。

今後、郭氏の親族や軍内の元側近など、大量の拘束者が出る可能性がある。

陸軍出身の郭氏は江沢民元国家主席に近いとされ、2013年春に引退するまで、軍の制服組トップを約10年間務めた。現在も軍内部に大きな影響力を保持しているとされる。

習近平国家主席は昨年春頃以降、自身が福建省に勤務した時代に親交があった、同省に駐屯する31集団軍の幹部を次々と重要ポストに登用するなどの露骨な側近人事を行い、軍部の掌握に力を入れてきた。

徐才厚氏に続いて郭氏を排除するという決断の背景には、軍長老の介入を徹底的に排除し、一気に権力基盤を固めたい思惑があるとみられる。

同時に、地位を問わず腐敗高官と徹底的に戦う姿勢を国民に誇示し、人気を集める狙いがありそうだ。
コメント
ーーーーーー以下、引用ーーーーーーー

中国人民解放軍を指揮する中央軍事委員会主席は国の最高指導者である党総書記が兼務するのが一般的で、制服組の副主席は2人体制だ。

胡錦濤時代は、東北部の瀋陽軍区出身の徐才厚氏が政治将校のトップとして思想、人事を担当し、「東北のトラ」のあだ名で呼ばれた。

一方、西北部の蘭州軍区出身の郭伯雄氏は軍事将校のトップとして作戦、訓練を担当し、「西北の狼(おおかみ)」と名付けられた。

2人はそれぞれ軍内の2大派閥である「東北閥」と「西北閥」の長でもあった。軍内には他にも「東南閥」「太子党閥」など複数の派閥があるが、勢力は2大派閥に及ばない。

軍関係者に対する摘発は、習近平氏の盟友である劉源・軍総後勤部政治委員が主導しているとされる。

徐才厚氏に対する捜査のメスが入ってから1年もたたずに、郭氏にも追及が及んだことで、胡錦濤時代、徐、郭両氏に登用され、軍中枢にいたほとんどの幹部が今後、芋づる式に摘発される可能性があり、動揺が一気に広がりそうだ。

習指導部はこれまで、30人以上の将官級幹部を汚職容疑などで立件したが、100人以上に拡大するとの見方もある。

また、身の危険を感じた軍幹部が結束して反撃に出る可能性もあり、今後の展開は予断を許さない状況だ。

ーーーーー以上、引用 産経新聞 4月16日 朝刊 「習指導部 大きな賭け 胡錦濤時代の軍部を否定」 よりーーーーーーー

これだけ大規模な軍トップの粛清をやるなら、短時間で一気にやることが必要になる。相手に談合する時間を与えないためである。

最初にトップを押さえて摘発の強い意志を見せることも反撃を押さえることができる。

さらには、ある将官は自分への摘発を恐れて、派閥内部の情報を習指導部に漏らすものが続出するだろう。ということで、派閥の組織的な反撃はできにくい状況を作ることができる。

軍事には「クーデターの技術」という原則のようなものがあるが、軍のトップ・グループを粛清するにも技術(原則)がある。

習指導部が行っている胡錦濤時代の軍閥トップの摘発は、その技術の原則に忠実に従って行っているように見える。まさに中国的である。




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