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2015.04.16

 G7外相会合 中国の埋め立てを非難…初の海洋安保宣言 

カテゴリ国連 国際機関出典 読売新聞 4月16日 朝刊 
記事の概要
先進7か国(G7)外相会合が15日、リューベック市内で開かれ、「海洋安全保障に関する外相宣言」を初めて取りまとめた。

海洋の「大規模埋め立て」などの一方的な現状変更に反対するとし、中国による南シナ海での岩礁埋め立てを非難した。

共同声明では、ウクライナ東部の停戦合意の完全な履行をロシアに求め、日本人人質事件を起こしたイスラム過激派組織「イスラム国」を「強く非難する」とした。

外相宣言では、「東シナ海及び南シナ海の状況を引き続き注視」するとし、「大規模埋め立てを含め、現状を変更し、緊張を高めるあらゆる一方的な行動を懸念している」と明記した。

さらに、「威嚇、強制、力による、領土または海洋の権利の主張を目的とするいかなる試みにも強く反対する」と強調した。

中国は近年、東シナ海の沖縄県・尖閣諸島周辺で領海侵入を繰り返し、同諸島を含む防空識別圏を設定している。

日本のシーレーン(海上交通路)である南シナ海では、岩礁を埋め立て、軍事利用が目的とみられる施設の建設を進めている。

外相宣言は、中国を名指しすることはしていないが、「東シナ海及び南シナ海の状況」という表現で、こうした中国の威圧的な行動を対象にしていることを明確にした。

G7で一致して中国をけん制する狙いがあるとみられる。

6月にドイツ・エルマウで開かれるG7首脳会議でも、海洋安全保障が議論される見通しだ。

また、岸田外相によると、この日の会合では、中国主導で設立準備が進むアジアインフラ投資銀行(AIIB)についても、「ガバナンス(統治)が重要」との認識で一致し、緊密に連携していくことを確認した。

一方、共同声明ではクリミアの併合を改めて非難し、ウクライナでの停戦合意の履行のため、ロシアが影響力を行使するよう「期待する」と表明。

ロシアが停戦を完全に履行しない限り、制裁を緩和しない姿勢を示した。

「イスラム国」に関しては、G7が地域の安定化に積極的に貢献する姿勢を示した。

会合では、核拡散防止条約(NPT)の3本柱である核軍縮・原子力の平和利用に対する支持を確認した。
コメント
これは政治の話なので、中国軍が南シナ海の岩礁を埋め立てて基地を作ることをG7が非難するのは当然あるが、しかし軍事となると話が違ってくる。

周囲から孤立した海域で、滑走路だけを建設しても、軍事的な意味(戦略性)はほとんどないからだ。

制海権や制空権がないのに、孤立した海洋の飛行場は守れないからだ。簡単に滑走路や格納庫を破壊され、軍用の飛行場としては意味をなさない。

かつてカンボジア西南部のポル・ポト派支配地域を取材したことがある。そこにはロシアの将校が指導して、ポル・ポト派の支配地域にベトナム軍の陣地を作った。

まさに孤立した地域に侵攻したベトナム軍の基地を建設したのである。やり方は、3つの小山に深い地下陣地を作った。そして山頂や小山の途中に機関銃や迫撃砲の砲座を作って連結させた。

仮にA,B,Cの3つの小山が1〜2キロ圏内にあると、互いが連結して守りあうのだ。

攻めるポル・ポト派がA山を攻めると、B山、C山から機関銃や迫撃砲弾を撃たれることになる。同時に3山を攻めても同じことである。

結局、ポル・ポト派は攻撃しての占領を諦め、近くの小川の水源を断って、飲み水をなくすることで撃退したと話していた。

南シナ海の地図で確認したが、中国が埋め立てた岩礁は離れ過ぎて、互いに防御できる関係にない。

だから軍事的には意味がない。まさに中国だからやっていることである。

しかし政治的には、力を背景にした現状の変更に他ならない。だからG7は非難したのである。軍事と政治をごちゃごちゃにすると、訳がわからなくなるので注意する必要がある。

安倍政権が進める安保法整備がそのいい実例である。




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