最新記事へリンク

所長
神浦元彰
軍事ジャーナリスト
Director
Kamiura Motoaki
Military Analyst

English Column of This Month!VOICE OF Mr.KAMIURA

What's new

日本や世界で現在進行形の最新の軍事情報を選別して、誰にでもわかるような文章で解説します。ホットな事件や紛争の背景や、将来の展開を予測したり、その問題の重要性を指摘します。J-rcomでは、日本で最も熱い軍事情報の発信基地にしたいと頑張ります。(1999年11月)

2010.03.17

 カルザイ大統領 アフガン安定化 周辺国が脅威に オバマ大統領とビデオ会談 

カテゴリアフガン出典 毎日新聞 3月17日 朝刊 
記事の概要
アフガンのカルザイ大統領は16日、オバマ大統領とビデオ電話で会談し、周辺国が現地情勢をエスカレートさせている「代理戦争」が、アフガン安定化への脅威になっているとの認識を示した。

アフガンでは今年に入り、同国への影響力拡大を狙うインドとパキスタンが暗闘を繰り広げ、イランも米国が主導するアフガン安定策に対抗する独自の支援策を表明している。

カルザイ政権内では、こうした周辺国の確執が旧支配勢力のタリバンとの和解をより複雑にしているという懸念があり、オバマ大統領の指導力に期待している。

今回の会談では、治安回復の妨げとなっている汚職や麻薬対策も凝議した。
コメント
アフガンでは先月、増強された米軍やNATO軍、それにアフガン国軍が動員され、タリバンの拠点である南部マルジャの制圧に成功した。

マルジャ周辺はタリバン兵士1000人以上が潜んでいると推測された地域で、麻薬の原料になるアヘン畑が広がるタリバンの資金源の要衝でもあった。

タリバンの資金源を断つことは、タリバンの指導者オマル師に降伏を迫る最大の圧力に成り得る。

さらにタリバンを育てて、アフガンに送り込んだパキスタン軍情報部(ISI)と米CIAが協力が協力し、タリバンでナンバー2のアブドル・ガニ・バラダル師をパキスタンのカラチで拘束した。

アブドル・ガニ・バラダル師はタリバンの政治・軍事の責任者で、IED(簡易仕掛け爆弾)の闘争を推進する責任者でもあった。

さらにアフガン南部からイランやアフガン北部に通じる麻薬密輸ルートが深刻な打撃を受けているという。イランの革命防衛防衛隊は国内の反政府運動でタリバン支援どころではなくなり、パキスタンも地下人脈でタリバンとの関係維持が難しくなった。

そこで次のタリバン支援者として浮上するのが、インドの立場である。インドはパキスタンの背後であるアフガンの治安悪化を利用して、パキスタンがインドとの対立を強めないように暗躍するという構図である。

そこでカルザイ大統領は先手を打って、今回のオバマ大統領の電話会談を通じて、インドを牽制した訳である。

しかしタリバンとインドが共闘関係を持つとは考えられない。インドは言論が自由な国で、中国やイランの様に情報を統制できる国ではない。

もしインドが裏でタリバンを支援すれば、それは必ずインド国民が知ることになり、現政権の責任が強く問われることになる。

インドは単純に敵の敵は味方という構図にはならない。今のところは、インドを牽制してパキスタン軍情報部(SIS)の顔を立てた程度の話と思う。

オバマ大統領は来年7月からのアフガン撤退を成功させ、再来年の米大統領選で再選のための風を吹かせたいのだ。





関連記事