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2010.03.11

 北朝鮮 羅先(ラソン)の港使用権 中国企業が獲得 

カテゴリ北朝鮮出典 産経新聞 3月11日 朝刊 
記事の概要
北朝鮮の北東部の羅先にある羅津(ラジン)港の使用権を、中国企業が獲得していたことがわかった。

これによって中国は19世紀に失った日本海への直接の出口を獲得し、日本海進出の拠点が確保されたことになる。

羅先は1991年、北朝鮮当局が「自由経済貿易地帯」に指定されたが、外国人の経済活動を制限。周辺都市と港を結ぶ道路の整備などが遅れていた。

北京で開会中の全国人民大会(全人代・国会に相当)で吉林省延辺朝鮮族自治州の李州長が、遼寧省大連の企業が同港1号埠頭の最低10年間の使用権を獲得し、2600万元(約3億4000万円)を投入してインフラ整備を進めていることを明らかにした。

李州長は、「これで延辺から羅津港を通じて日本海から中国南東部に石炭を輸送することも可能だ」と述べた。

胡錦涛政権は、中国東北部の発展や、日本や韓国、ロシアとの貿易のさらなる促進のほか、北朝鮮に対する支援の意味合いもありそうだ。
コメント
2回目の核実験を理由に、中国からの支援を激減された北朝鮮は、羅先を中国に売ることで、当面の外貨を得ることにしたようだ。これが北朝鮮の開放・改革になるか注目したい。

それにしても中国がすぐに羅津に軍港を作ることはすまいが、時々は中国海軍の艦船が立ち寄ることは考えられる。

また中国は黄海側の丹東(中国)と新義州(北朝鮮)に新しく鉄橋をかけることに合意している。

ーーーーーーー共同通信 北京発ーー(以下、引用)ーー

朝鮮中央通信によると、北朝鮮で外資導入の受け皿とみられる「国家開発銀行」の設立理事会が10日、平壌で開かれ、理事長に国防委員会代表の全一春朝鮮労働党の第一副部長、副理事長に朴氏(中国人※)を選出した。

中国の朝鮮族の朴副理事長は、北朝鮮が国家主導で今年1月に設立した投資機関「朝鮮大豊国際投資グループ」の総裁を兼務している。

今後、同投資グループが外資誘致活動を、「国家開発銀行」が投資資金管理や運用を担当するとみられる。

※この(中国人)は記事にはありませんが、わかりやすくするために神浦が付け加えました。朝鮮族は日本の朝鮮支配(植民地)を嫌って中国に逃げた朝鮮民族ですが、今の国籍は中国籍です。

ーーーーー以上、引用(産経新聞 3月11日 朝刊)ーーー

すなわち中国の朝鮮族である朴氏が、中国の投資マネー(政府資金も含まれる)を集め、北朝鮮側に中抜きされないように、資金の管理や運用を行うという意味だろう。

中国にとって最も国益が生まれるように北朝鮮に作り変えるという野望の始まりである。

私には、これが中国の(北朝鮮への)併呑戦略の一環のように見えるのだが、中国にはそのような野望はないのか。

朝鮮半島が中国の支配下になれば、日本は脇腹に短刀を突きつけられたことになる。「尖閣諸島に中国軍が上陸してくる」などのばかな妄想とは次元が違う日本の軍事危機に直結する。

ーーーーーーーーーー

1995年の頃の話である。米ソ冷戦が終わり、ロシアの軍港ウラジオストックが外国人にも開放された。そこにはロシア海軍歩兵師団の1個師団が駐屯していた。

私が取材で、そのロシア海軍歩兵師団を訪問した。そして副司令官に「なぜウラジオに海軍歩兵師団を置いたのか」と質問した。彼の答えは、「沖縄の米海兵隊に対抗するためだ」と明確に答えた。

アメリカの在沖海兵隊は、韓国の在韓米軍を支援するために配備されていたことは何度も書いた。米韓軍共同の「作戦計画5027」で米本土から朝鮮有事に駆けつけるまでの90日間を支援するためである。

しかしそのことでソ連軍(当時)はウラジオに海軍歩兵1個師団を置いて対抗していたのだ。

しかし司令部の後に案内された師団の歴史資料館では、今までにこの海軍歩兵師団が派遣された世界地図が貼られていた。中米や南米は勿論だが、アフリカの内戦にも度々派遣されたことを印していた。

この部隊はアフリカなどで戦うことを想定し、戦車は旧式な型を配備していた。ソ連がかつて供与したものが現地にあり、それを使うための知恵だった。

実際は南米やアフリカで戦う戦闘集団だが、政治的な目的は沖縄の米海兵師団に対抗していることになる。これは在沖海兵隊が朝鮮半島に対応していながら、アフガンやイラクで戦うのと同じである。

なぜ、そのようなことを書いたかといえば、普天間移設問題で沖縄の米軍ホワイトビーチの沖合を埋め立て、1800メートルの滑走路を建設する案を検討中というニュースを知ったらだ。(沖縄タイムス 3月11日付け)

今の沖縄に海を埋め立てて1800メートルの軍用飛行場を作れば、中国に北朝鮮の羅津港を軍港にする口実を与えることになりかねないと思った。

普天間移設問題では、中国との軍事バランスという視点も必要と思う。安易に巨大な軍事基地を作ることで、新たに軍事的な緊張を作り出す危険もある。

もし中国が羅津港を軍港化すれば、日本も重大な軍事的な対応を取らざるを得なくなる。これは中国に対する警告も含まれている。



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