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2009.05.15

北朝鮮と中国は反感 「ゾッとする話」 野口東秀記者のコラム

カテゴリ北朝鮮出典産経新聞 5月15日 朝刊)
記事の概要
米国籍の女性記者2人が北朝鮮の兵士につかまった事件で、北朝鮮兵士は中国領内に入り込んできたという話しがある。かつて中朝国境地帯を延々と車で走り回り取材したことを思い出すとゾッとする。

 以前、ある「案内人」と一緒に自動小銃を手にした北朝鮮兵士と1メートルの距離で話しをした。「案内人」から事前に「撮影は絶対だめ。何をするかわからない」と注意されて、その指示を守って正解だった。この兵士は私を「中国人」と認識し、「中国は資本主義になった。修正主義者だ」とののしった。

 鴨緑江でモーターボートから対岸の北朝鮮側を撮影した時、ボートを操っていた中国人は「撮影は大丈夫だ」と言ったが、北朝鮮の監視所周辺にいた兵士が雨あられと石をなげてきて頭をかすった。こん棒を手に追っかけようとした兵士もいた。この時も彼らは私を中国人と思ったはずだ。

 中国側も北朝鮮には批判的だ。中国の国防大学教授の張召忠氏(海軍少将)は北朝鮮が先に弾道ミサイルを発射した後、「人工衛星」から送信しているという「金日成将軍の歌を聴かせてほしいものだ」とブログで書いた。痛烈な皮肉だ。中国政府関係者と本音で語りあることもあるが、北朝鮮を良く言うひとにはまだ会ったことがない。 
コメント
私もかつて撮影やカメラが原因で取り調べを受けたことがある。スペインでは取材許可(記者証なし)を受けないでフランコ総統の国葬中の宮殿に入ったことは自分が悪いが、アルジェリアを出国するための空港では撮影済みのフイルム200本が原因で連行された。

 ゴラン高原ではイスラエル軍の駐屯地営門を撮影して連行された。イスラエル軍情報部員が同行して、運転手がイスラエル人だから大丈夫と思ったのが甘かった。

 ベトナムではカンボジア国境の川を、頭に密輸のアメリカ製の煙草を載せて泳いでわたる少年を撮影して私服の公安に連行された。ベトナム人ガイドが「撮影しても大丈夫」と言ったのにである。

 だからこの記者が中国人を装えば大丈夫と思った気持ちがよくわかる。しかし同じ中国人でも平壌に観光や商売できた中国人と、国境の監視所付近で撮影する中国とは違うのである。

 最近は目立つようにジャーナリストらしい格好をすると誘拐されたりスパイと間違われる。逆に現地人らしい格好をしても、我々外国人にはわからないアンバランスで目立つようだ。紛争地や緊張が高まった地域での取材は本当に難しいと思う。それでも報道写真やテレビのニュースを見ると、素晴らしい写真を撮っているカメラマンがいる。

 ところで北朝鮮と中国との関係だが、まだ北朝鮮は韓国や日本やアメリカから中国東北部を守る壁と思っている人がいる。それは朝鮮戦争時代の頃の話しで、今は中国東北部の発展を阻害する障害地という説が中国でも一般的である。

 だから中国人が北朝鮮のことを「必要悪」だとは思わないのだ。南北朝鮮が統一されれば、黙っていてもアメリカ軍は朝鮮半島や沖縄から撤退する。

 中国東北部は朝鮮半島や日本、それにアメリカからの投資、人材、材料を得て大きく発展する。日韓米のヒト、モノ、カネが、中国東北部に流れ込むのである。北朝鮮はそのような未来を阻止しているだけの存在である。

 北朝鮮防壁論はすでに通用しない過去の遺物である。今は、北朝鮮を生かすも殺すも中国次第だ。



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