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2015.02.11

 中国初の空母購入の内幕、「スクラップと値切り、カジノ用と言い逃れ」実業家が香港紙に明かす 

カテゴリ中国軍出典 産経新聞 2月11日 朝刊 
記事の概要
中国人民解放軍出身で香港在住の実業家、徐増平氏が、中国初の空母「遼寧」となった艦船を1999年にウクライナから約2千万ドル(現在のレートで約24億円)で購入した際の内幕を、香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストに明かし、話題になっている。

徐氏は人民解放軍を退役後、88年に45歳で香港に移住して不動産業などで成功した。

その後、ソ連崩壊により建造元のウクライナが売却先を失い、40億ドルで売りに出していた空母「ワリヤーグ」に目を付けた。

同紙に語ったところでは、徐氏は96年にウクライナで会社を設立。

12人を駐在させて情報収集し、98年から99年にかけて自ら交渉に乗り出した。

中国製の強い蒸留酒「白酒」や多額の米ドル紙幣を持参してウクライナ側と直談判し、「空母ではなくスクラップ船として大幅に値切り倒した」という。

売買契約では軍事利用は禁じられていたが、「カジノ施設に改修する」と言い逃れ、マカオの会社名義で購入にこぎ着けた。

続いて、ウクライナが面する黒海から外洋に運び出すため、ボスポラス海峡の通過許可を求めてトルコ政府と交渉。

2000年にトルコを訪れた江沢民国家主席(当時)が、中国からの観光客増大を約束して許可を取り付けたという。

空母購入に中国当局の意向が働いていたことを示唆する証言とも受け取れる。

実際にはマカオではなく中国本土に運ばれ、遼寧省大連での改修をへて12年に正式に空母として就役した。

徐氏は「移送費用も含め総額1億2千万ドルの対価は中国側から全く支払われていない」とも主張。

内幕を明かした背景に、中国側との金銭トラブルがあった可能性も指摘されている。
コメント
この話の内容は、ほぼ今まで伝わっていたことと矛盾はない。しかし中国政府が購入費の1億2千万ドルを支払っていないという情報は最近になってでてきた話である。

そのことに怒った徐氏が中国政府に反撃に出た可能性がある。

中国政府(軍)としては、空母して使い物にならないポンコツ(スクラップ)を売り込んできたと反発しているのではないか。

「ワリヤーグ」の艦内の機関(エンジン)は取り外され、中国到着に新しい機関を設置すれば、あまりにも大きくなりすぎて他の施設(燃料庫や格納庫)を設置できない欠陥が出てきた。

空母で航空機の着艦に必要な拘束ロープはなく、その開発に中国海軍は今も苦労しているという。

インチキなスクラップを買わされたという中国海軍の怒りがわからない訳ではない。逆にウクライナは騙されたフリをして、まんまと中国に鉄のスクラップを空母に転用できるかもしれない・・と売り込むことに成功した。

軍事の世界では、騙すよりは「騙される方が悪い」のである。私はこの1億2千万ドルを中国政府は徐氏に支払わないと思う。恥の上塗りになるからである。




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