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2014.09.01

 米軍、北部で空爆拡大 イラク軍、アメルリをイスラム国から奪還か 

カテゴリイラク出典 読売新聞 9月1日 朝刊 
記事の概要
米国防総省は8月30日、米軍がイラク北部アメルリでイスラム教スンニ派の過激派組織「イスラム国」に包囲されている住民に人道支援物資を投下するとともに、アメルリ周辺のイスラム国の戦闘部隊に対して空爆を実施したと発表した。

イラク軍は地上作戦を展開し、アメルリをイスラム国から奪還した模様だ。

米軍のイラク空爆は、アルビル、センジャール、モスル・ダムに続いて4地域目。物資投下には、英仏豪3か国も参加し、イスラム国に対処する「有志連合」の構築が進んでいることをうかがわせた。

米中央軍によると、作戦はイラク政府の要請に基づき、オバマ大統領が承認した。空爆はイラク時間の31日未明(日本時間31日朝)、物資投下支援のため3回実施された。

住民には食料、水、医療品が投下された。

アメルリはシーア派のトルクメン人が多く、イスラム国は2か月以上、1万5000人以上とみられる住民を包囲。国連事務総長特別代表のニコライ・ムラデノフ氏(イラク担当)は、「アメルリの住民は絶望的状況に追い込まれている。虐殺が起きないよう直ちに行動すべきだ」とする声明を発表していた。

地上では31日、イラク軍がアメルリに進撃し、イラク国営テレビによると、アメルリを奪還した。

周辺の町村も解放し、軍の制圧下に置いたという。

イラク軍にはシーア派民兵も加わり、イスラム国の戦闘員は周辺の砂漠地帯に逃げた。

イラク軍関係者は31日、本紙の電話取材に対し、戦闘と並行して孤立した住民をヘリコプターで退避させたことを明らかにした。

米国防総省のカービー報道官は8月30日の声明で、「作戦は、アメリルで包囲されている住民を守るために必要な範囲と期間に限定される」と述べ、なし崩しの空爆拡大ではないことを強調した。
コメント
この記事で気になったのは、「物資投下には、英仏豪3か国も参加し、イスラム国に対処する『有志連合』の構築が進んでいることをうかがわせた。」とある部分だ。

これがアメリカ軍の”新たな戦争の実験”とはすでに指摘した。その実験の中に、空爆直後に現地の地上部隊が進攻することと、この有志連合の合同空輸作戦も含まれるのかと思ったからだ。

敵の攻撃で孤立した住民に、食料や水、それに医薬品を投下し、さらに危機に直面した者にはヘリで救出(現地軍)する作戦である。

これが必要なのは、アメリカ軍は住民をエサにしてイスラム国をおびき寄せ、それを空爆する囮作戦を行っているという非難を避けることができる。

危機に陥った住民をヘリで救出すれば、エサとか囮というような非難を受けることはない。

軍事作戦では、戦いを効率よく、かつ確実に勝つために、味方さえもエサや囮に使うことは日常的にある。

ただし、それを兵士以外の一般人を使うことは許されない。




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