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2014.08.31

 イスラム国、拉致の女性売買 強制結婚も 

カテゴリ イスラム国 出典 共同通信 8月31日 電子版 
記事の概要
シリア人権監視団(英国)は30日、過激派「イスラム国」がイラク北部で拉致したクルド民族少数派ヤジド派の女性約300人を「戦利品」として仲間に分け与え、このうち少なくとも27人が1人千ドル(約10万円)で人身売買され、強制結婚させられたとの声明を発表した。

イスラム国が8月初めにヤジド派の村を武力制圧した際、女性数百人が拉致されたとみられるが、より詳細な情報が明らかになった。

人権監視団によると、イスラム国は少女を含む約300人のヤジド派女性をシリアに移送し、戦闘員に分け与えた。
コメント
これが21世紀の出来事かと疑ってしまうほど残忍である。イスラム国なら異教徒であることを理由に、奴隷として使うこともあり得るのではないか。

私はイスラム国のメディア情報を扱うときは、意図的に残忍性を高める情報操作(心理戦)が行われていないか気を付けているが、それでも予想を上回る残忍性である。

今、イスラム国にアメリカ軍の空爆で深刻な打撃を与えることはできる。

しかし、その後、イスラム国のメンバーが世界に流出したり、アサド政府軍が漁夫の利でイスラム国に代わって統治することは許されない。

空爆を受けたイスラム国のメンバーが、世界各地に飛び散らないように支配地を包囲して制圧し、イスラム国の支配地を代わって統治できる勢力を作ることが必要なのである。

それをアメリカは穏健なスンニ派による政治(武装)集団と考えているようである。その集団の主体はイラク北部や西部にいるスンニ派住民になりそうである。

実はアメリカ軍はイラク占領時代に、北部や西部で勢力を伸ばすイスラム過激派(イスラム国の前身)を追い払ったのは、旧サダム政府軍でイラク軍部隊の主流派だったスンニ派元兵士を起用して、追い払った経緯があった。

それがイラクからシリアに逃れ、シリア内戦で再び勢力を復活させた。

だからイラクのスンニ派を再組織して、イスラム国と対峙させる作戦は2回目となる。

今回はイスラム国に危機感を持つクルド人武装組織や、イラク軍のシーア派勢力(政府軍)もイスラム国と戦う穏健なスンニ派勢力を支援することになる。

このイラクの挙国一致の体制こそが、イラクを安定化させる戦略とアメリカは考えている。

今のところ、イスラム国の戦闘技術は高い(戦争慣れ)ようだが、作戦立案能力は低いようである。「戦略の失敗は戦術では補えない」と諺(ことわざ)通りになる可能性が高いと思う。




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