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2014.06.15

 「アフガン後方支援、実態は戦場」 独軍、55人の死者 平和貢献だったはず 

カテゴリ 集団的自衛権 出典 朝日新聞 6月15日 朝刊 
記事の概要
安倍晋三首相は日本が集団的自衛権を使えるようにするため、行使を限定することで公明党の理解を求め、閣議決定する構えでいる。

限定するという手法で実際に歯止めが利くのかどうか。集団的自衛権をめぐる海外の事例のうち、ドイツの経緯を追った。

1990年代に専守防衛の方針を変更し、安倍首相がやろうとしている解釈改憲の手法で北大西洋条約機構(NATO)の域外派兵に乗り出したドイツは、昨年10月に撤退したアフガニスタンに絡んで計55人の犠牲者を出した。

アフガンでは後方支援に限定した派兵だったが、戦闘に巻き込まれた死亡例が6割あった。

「後方での治安維持や復興支援のはずが、毎日のように戦闘に巻き込まれた。当初の想定と実態が次第にかけ離れていった」。アフガンに駐留した独軍幹部はこう振り返る。

ドイツは戦後制定した基本法(憲法)で侵略戦争を禁じ、長らく専守防衛に徹してきた。だが、91年の湾岸戦争で米国から「カネを出しただけ」などと批判を浴び、当時のコール政権は基本法の解釈を変更してNATO域外にも独軍を派遣する方針に転換。

連邦憲法裁判所は94年、原則として議会の事前承認がある場合に限り、独軍のNATO域外活動を合憲と認めた。

2001年の米同時多発テロで、NATOは米国主導のアフガン戦争の支援を決定。

ただ、独国内では戦闘行為への参加に世論の反発が強く、当時のシュレーダー政権は米軍などの後方支援のほか、治安維持と復興支援を目的とする国際治安支援部隊(ISAF)への参加を限定した。

ただ、現地では戦闘の前線と後方の区別があいまいだった。

ISAFに加わった元独軍上級曹長のペーター・ヘメレさん(52)は03年、カブール近郊で自爆テロに遭遇。各国隊員を輸送する車列を先導中、後方のバスが爆破されて6人が死亡した。

ヘレンさんは「平和貢献のつもりだったが、私が立っていたのは戦場でした」と話す。独軍によると、アフガンに派遣された02年から今年6月までに、帰還後の心的外傷後ストレス障害による自殺者などを含めて兵士55人が死亡。

このうち35人は自爆テロや銃撃など戦闘による犠牲者だったという。

独国際政治安全保障研究所のマルクス・カイム国際安全保障部長は「ドイツ兵の多くは後方支援部隊にいながら死亡した。戦闘現場と後方支援の現場を分けられるとい考え方は、幻想だ」と指摘している。
コメント
この件については、本日の朝日新聞が2面で「後方支援 安全という幻想」で特集記事を掲載しています。集団的自衛権にご関心のある方は、そちらの記事を読まれることをお勧めします。

私は独軍のアフガンISAF部隊が、後方支援ながら35人の戦死者がでたことは知っていた。しかし心的外傷後ストレスで20人の自殺者が出たことは知らなかった。

私に35人の戦死者がいたことを教えてくれたのは、BSテレビ朝日の金曜日のスタッフ(プロデューサー)だった、集団的自衛権の取材でISAFの独軍を取材した時に出てきた人数である。

アフガンのISAFは国連決議の集団的自衛権で派遣されている。アメリカに対する集団的自衛権の発動ではない。

安倍政権が集団的自衛権行使容認で、アメリカ以外の友好国や国際機関に強く関わるのは、このアフガンISAFのような活動に自衛隊を参加させるためと思っている。

アフガンのような戦場に自衛隊を派遣するには、集団的自衛権の行使容認しかあり得ないからである。

小泉元首相の「自衛隊がいるところが非戦闘地域」という説明では、通用しないからである。

そんなことを隠して、国民に知らせないで、集団的自衛権の行使容認を強行しているのが現状である。

やるなら憲法を改正してやるぐらいの覚悟が問われている。その覚悟がないのに、姑息な解釈変更と閣議決定だけで憲法を死文にさせる。そのあとには自衛隊員の犠牲が続くことになる。




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