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2014.06.01

 クローズアップ2014:アジア安保会議 日本、対中包囲へ総力 

カテゴリ安倍政権出典 毎日新聞 6月1日 朝刊 
記事の概要
シンガポールで開かれているアジア安全保障会議(シャングリラ会合)に出席した安倍晋三首相は、中国の海洋進出を強く批判し、ヘーゲル米国防長官も歩調を合わせた。

南シナ海問題を抱える東南アジア諸国連合(ASEAN)に対中包囲網を広げる試みは一定の成果を上げたといえる。

しかし、中国はすぐさま反発し、今のところ強硬姿勢を転換する気配はない。

首相は引き続きASEAN各国との連携を図り、中国に圧力をかける構えだ。

 ◇南シナ海協力拡大

「安全保障に関する日本の考え方や取り組みを広く国際社会に発信でき、たいへん有意義だった」

 安倍首相は31日、シンガポールの首相府でリー・シェンロン首相と会談し、シャングリラ会合の手応えを語った。

 昨年も会合に出席した小野寺五典防衛相は同日、「この1年で法の支配が重要だとの日本の主張が浸透した」と記者団に会場の雰囲気の変化を指摘した。

 昼食会でも、昨年はヘーゲル氏が最も注目を集めたのに対し、今年は小野寺氏の元に各国の防衛関係者が次々に訪れ、あいさつを交わした。

 南シナ海では中国とベトナム、フィリピンの対立が拡大し、中国の「力による現状変更」への危機感はASEAN内でかつてなく高まっている。

 沖縄県・尖閣諸島周辺への中国の領海侵入を繰り返し批判してきた日本にとって、今回はASEANを巻き込む好条件がそろっていた。

 首相は就任後1年足らずでASEAN加盟10カ国すべてを訪問し、中国の台頭をにらんだ包囲網作りを進めてきた。

 昨年12月には東京で日ASEAN特別首脳会議を開催。「力による威嚇、力の行使の放棄」を盛り込んだ共同声明を発表し、国際法の順守を求める姿勢で足並みをそろえた。

 とはいえ、ASEANは中国との経済的な結び付きが強い。中国との決定的な対立は回避したいのが本音で、今回の会合が中国の強硬姿勢を変える転機になるかどうかは見通せない。

 このため、首相は今後、ASEANとの安全保障分野の協力を防衛装備や訓練などで具体的に拡大させる方針だ。

 30日の基調講演では、ベトナムに巡視艇を早期に提供する調査に入ったことを紹介。新たな防衛装備移転三原則にも言及し、「日本のすぐれた装備を出していける。ASEAN諸国が海を守る能力を支援する」と呼びかけた。

 さらに31日のシェンロン首相との共同記者発表では「2015年までのASEAN統合を支援したい」と表明。

 中国の海洋進出に連携して対抗する機運をしぼませないよう意を尽くした。


 ◇中国、強硬姿勢崩さず

「覇権主義に満ちており、威嚇だ」。南シナ海問題などで名指し批判された中国の王冠中・人民解放軍副総参謀長は、会議の合間に報道陣の取材に応じ、ヘーゲル米国防長官の講演に強い調子で反論した。

 前夜の安倍首相による基調講演と歩調を合わせていると指摘。

「誰が争議や衝突を引き起こしているのか見て取れる」とも強調した。

 演説を「威嚇」と表現するほどの過剰反応を見せた背景には、中国が今回の会議を自国の主張を広める場と位置付けていたことがある。

 中国は今回の会議に英語が堪能な全国人民代表大会(全人代)外事委員会の傅瑩(ふえい)主任ら約25人という過去最大級の代表団を派遣。

 全体の論調は中国当局寄りと言われる香港フェニックステレビが今回からスポンサーに加わったこともあり、中国メディアは「傍観者だったが、今年は積極的に発言し、主導権を勝ち取るため」と分析していた。

 「航海の自由は(米国が)腕力を示すために要求しているのではないか」−−。日米中からパネリストが参加し、公海の維持と管理をテーマにした31日の分科会でも、中国側参加者は自説を展開した。

 「尖閣諸島に関し領土問題は存在しない」との日本の立場についても「日本の首相は法の支配が紛争解決のベースと言ったが、なんとうまい戦略か。紛争があるのにないと言えば、問題が解決したことになる」と、強烈に皮肉った。

 攻撃的な姿勢にマレーシア国防相が「怒りをかき立てるような発言を控えるように」とたしなめる一幕もあった。

 中国は、南シナ海など洋上での偶発的衝突を避ける安全手順の策定には賛成した。だが「いつどのように適用するかは別途、2国間で決める必要がある」とする。

 包囲網が形成される中でもスタンスを変えない中国について、ある会議参加者は「参加はしているが、同じルールを守る意思はないと言いに来ているようなものだ。強硬姿勢を変える可能性があるとは思えない」と懸念を示した。


 ◇集団的自衛権、各国に説明 韓国、支持明言せず

 日本の首相として初めてシャングリラ会合に出席した安倍首相のもう一つの目的は、集団的自衛権の行使容認に向けた政府の取り組みを自ら説明することだった。

 首相は30日の基調講演で「どの国も一国だけで平和を守れる時代ではない」と強調。31日にはシンガポールのシェンロン首相との会談で「各国に丁寧に説明していきたい」と理解を求め、「日米同盟を基盤として日本が地域の平和と安定に積極的に貢献することを歓迎したい」と支持を引き出した。

 行使容認を事実上の国際公約とすることで、国内の慎重論を切り崩そうという狙いが透ける。

 首相は、ASEAN加盟10カ国を訪問した際に集団的自衛権を含む積極的平和主義の外交方針を説明するなど、議論の本格化に備えて地ならしを進めてきた。

 ASEAN各国の首脳から批判や慎重意見はこれまで出ていない。

 首相の講演を会場で聞いた中国軍将校は歴史認識問題と結びつけて批判したが、中国側の反発は織り込み済み。

 一方、韓国に対しては、朝鮮半島有事を想定し、反対論が広がらないよう神経をとがらせている。

 「韓国内にさまざまな不安の声があると承知している。(自衛隊が)同意なしに相手国に入ることは決してない。専守防衛の基本的な考え方に沿って進める」

 31日の日米韓防衛相会談で、小野寺五典防衛相は韓国への配慮をにじませた。

 ただ、韓国の金寛鎮国防相は「説明に感謝する」と述べるにとどめた。
コメント
安倍首相が本気で中国包囲網を考えているなら破綻すると思う。米ソ冷戦を思わせる「封じ込める」というイメージで中国包囲網では中国は孤立しない。

東南アジアに行くと、とにかく華僑の影響力が強く、経済ばかりか政治にも大きな役割を担っている。

ロシアも中国カードを日本に切ろうとしているし、中央アジアも中国の影響力が拡大している。中国は人口が多く、国土が広すぎて包囲できないのだ。

むしろアメリカのように、中国を孤立させて放置する方が危険なのである。中国には積極的に関与して、中国を危険な方向に進ませないようにするほうが健全である。

先日、秋葉原(東京)のヨドバシカメラに買い物に行った友人が、売り場が中国人旅行者ばかりなので、思わず「どなたか、日本語の話せるお店の方はいませんか」と大声を上げたと話していた。

近くのスポーツクラブでは、中国人のクラスが出来て、平日に中国語でやる太極拳の教室があるという。(日本人の参加も可)

そんな時代に日本の中国包囲網は無理である。

中国でも反日教育を叩きこまれた世代から、日本を見直す空気が広がっているという。その多くが、日本に旅行で訪れた人が日本人社会の素晴らしさを知ったからだという。

その中には、「日本が軍国主義といっても日本で軍人の姿を見なかった」というものもあるそうだ。

その中国は内政に大きな問題を抱え、いつ爆発してもおかしくない状態なのだ。もし中国が国内で爆発すれば、日本や周辺国ばかりか、世界的な大混乱を招くことになる。

安倍首相が中国を封鎖しようとしていることは誰も知っているが、本当にそんな政策が通用するのか、逆にデメリットがないのかと考えている人は多いと思う。

私もその一人である。




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