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2014.05.18

 多国籍軍への将来参加に含み 石破氏「現内閣はやらぬ」 

カテゴリ 集団的自衛権 出典 朝日新聞 5月18日 朝刊 
記事の概要
自民党の石破茂幹事長は17日、国連の多国籍軍などによる「集団安全保障」について、「国連軍とか多国籍軍、その前段階のものができた時に日本だけは参加しませんということは、国民の意識が何年かたって変わった時、(方針が)変わるかもしれない」と述べた。

同日午前の読売テレビの番組で語り、将来、武力行使を伴う多国籍軍へ参加する可能性があるとの考えを示した。

「集団安全保障」は、国連憲章が禁じる武力攻撃を行った国に、国連加盟国が団結して制裁を加える仕組み。

安倍晋三首相は憲法上の制約を理由に参加を否定しており、石破氏の発言は首相の方針との整合性を問われそうだ。

石破氏は番組で「安倍内閣ではやらない。その次の政権が何を訴えるかだ」とも述べた。

集団安全保障の参加に憲法上の制約はなく、不参加はあくまで安倍内閣に限った判断との考えを示したものだ。

武力行使を伴う集団安全保障については、首相の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)が15日、「憲法上の制約はない」として参加を提言した。

だが、首相は同日の記者会見で「憲法がこうした活動のすべてを許しているとは考えていない」と明言。

さらに日本が「湾岸戦争やイラク戦争に参加するようなことは、これからも決してない」と強調していた。

一方、憲法解釈の変更により集団的自衛権の行使容認について、首相は17日、「求められれば、国会の場で国民に丁寧に説明していきたいと思う」と述べた。

視察で訪れた福島で記者団に語った。
コメント
石破氏は、安倍首相が15日の記者会見で、湾岸戦争やイラク戦争での戦闘に参加することはないと表明しても、それは安倍政権の政策の問題で、今回の憲法解釈の変更で次の内閣が必要と思えば、自衛隊派遣に憲法の制約はなく、日本は多国籍軍に派遣出来ると述べた。

同じ趣旨のことを安保法制懇の柳井座長もインタビューで答えている。「安倍首相が『武力行使を伴う集団安全保障措置につ参加しない』というのは政策判断であって、憲法上の制約の問題ではないと思う」(朝日新聞 5月18日 朝刊 「柳井・安保法制懇座長インタビュー」)

湾岸戦争やイラク戦争は国連の決議による軍事活動ではなく、あの戦争はアメリカ軍と有志国の軍事活動だったが、アフガン戦争でNATO軍が行ったISAF(国際部隊治安維持活動)は国連安保理の決議で行われた。

だからアフガンでの戦争には、国連の集団安全保障措置として、日本は自衛隊を憲法の制約を受けることなく参加できるという意味になる。

第1次安倍内閣で安倍氏が熱望したNATO軍に自衛隊を参加させ、アフガンの戦争(ISAF)に日本が自衛隊を派遣することが可能になったことになる。

ただし記者会見では、それを安倍政権では行わないが、次の政権でやってもらうとして集団的自衛権の解釈変更と容認に取り組んでいたことになる。

このあたりのカラクリが安倍首相の記者会見で巧妙に隠したが、ところが石破氏と柳井座長は集団的自衛権容認で、軍事的な意味で憲法の制約を解いたことを明言した。

この部分が今後の国会や国民の議論で最大の論争点になる可能性が高い。

間違いなく、安倍政権は現憲法を改正することなく、一内閣の政策として現憲法の制約を無力化したことになるからだ。

これで日本が戦争の出来る国になるという言葉の現実味が強まった。




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