最新記事へリンク

所長
神浦元彰
軍事ジャーナリスト
Director
Kamiura Motoaki
Military Analyst

English Column of This Month!VOICE OF Mr.KAMIURA

What's new

日本や世界で現在進行形の最新の軍事情報を選別して、誰にでもわかるような文章で解説します。ホットな事件や紛争の背景や、将来の展開を予測したり、その問題の重要性を指摘します。J-rcomでは、日本で最も熱い軍事情報の発信基地にしたいと頑張ります。(1999年11月)

2009.12.10

 米議会 沖縄海兵隊 グアム移転費「満額」に 「普天間」11年度検討 

カテゴリ米軍再編出典 読売新聞 12月10日 朝刊 
記事の概要
米議会の両院協議会は8日、2010会計年度の駐沖海兵隊8000人のグアム移転に関する予算を、国防総省の要求額に近い約3億1000万ドルとすることを認めた。

グアム移転費用に関しては、下院は要求通り認め、上院は7割を削減して可決したが、両院が共同でまとめた軍事施設建設に関する最終法案では、普天間問題の進展は本格的に考慮しないことにした。

米議会筋は「普天間問題は2011会計年度の予算審議で本格的に考慮する」としている。

グアム移転に関する環境影響評価が来年夏まで続き、予算執行はいずれにしてもそれ以降になるため、普天間移設問題との関連は11会計年度の予算審議で検討すれば十分というわけだ。

議会が予算法案に先立って審議した、予算の大枠を決める国防予算法権限法では、グアム移転の予算を要求通りに認めた事情も影響しているようだ。
コメント
私は米上院議会が在沖海兵隊のグアム移転予算の7割をカットしたのは、日本政府の普天間飛行場の移設問題(遅れ)のためではなく、米海兵隊の側に事情があると指摘してきた。

そのように思うのは、「米海兵隊トップ 普天間移設、修正に言及」(日本経済新聞 09年6月5日 夕刊)と、「在沖海兵隊 グアム移転 訓練維持に懸念 司令官発言で波紋」(毎日新聞 09年6月7日 朝刊)の記事が報じたように、米海兵隊のトップレベルで、グアム基地への不安が強いことを知ったからだ。

海兵隊トップのコンウェン総司令官が、「沖縄からグアムに移転する米海兵隊の再編計画を修正したい」と上院軍事委員会で証言した。「グアムでは普天間飛行場の能力が得られない」とも発言している。

その理由を正確に知りたくて、私はグアムに行ったことはすでに書いた。そしてグアムではセスナをチャーターして空から在沖海兵隊がグアムに移転する予定の土地を見た。

そしてその狭さにあ然としたのだ。米海兵隊の1個師団の主力が移駐するにはあまりにも狭かったからだ。海兵隊のMV22が離発着する十分な滑走路を造ることも難しく、島内に演習場を造ることも難しかった。グアム移転で米海兵隊の首脳が頭をかかえる理由がすぐにわかった。

またグアムのアプラ米海軍基地も、在沖海兵隊(海兵第3師団)のための強襲揚陸艦、ドッグ型揚陸艦、事前集積戦、高速輸送船などを待機させるためには狭いように感じた。

しかし日本のメディアの中には、米上院がグアム移転費用の7割をカットしたのは、日本政府の普天間飛行場の移設の遅れが原因と報じた。これは今でも間違った指摘だと思う。あくまでアメリカ側にその原因(7割カットの)があったのである。

昨日、東京新聞は米軍座間基地に移駐する米陸軍・第一軍団司令部の移転計画が中止と報じた。今年になって、韓国の在韓米軍の第8軍団司令部がハワイ移駐も延期されている。(※本日のメールにお返事を参照してください)

このようにイラクとアフガンの戦争に足を取られている米軍は、米軍再編計画に大きな遅れを生じていることは間違いない。

メディアが鳩山政権を批判することは問題ないが、根拠のない理由を考えて、国民の世論を別な方向に誘導することは危険である。

今は誰もが、普天間移設問題で頭を冷やし、落ち着いて雑念を払い、何が最もよい解決法かを考えるべきと思う。アメリカの国防省にもそのことを強く求めたい。



関連記事