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2013.11.15

 「日本版NSC」人事報道 官邸、情報入手経緯聞く 

カテゴリ安倍政権出典 読売新聞 11月15日 朝刊 
記事の概要
参院国家安全保障特別委員会は14日、理事懇談会を開き、審議中の国家安全保障会議(日本版NSC)設置法案に関連し、国家安全保障局長が内定したなどとする人事に関する報道が相次いだことを受け、政府に釈明を求めた。

中川特別委員長や、他の理事懇談会出席者によると、野党各党は一連の報道を巡り、同法案が成立しておらず、NSCの設置が決まっていないのにもかかわらず、「なぜ人事報道が先に出るのか」などと反発。

世耕官房副長官が「人事は白紙だ」と説明すると、@報道機関への抗議 Aどこから情報を得たかを含む経緯の調査ーーを委員会審議を進める前提として求め、与党側も了承したという。

その後、世耕氏は読売新聞を含む複数の報道機関の記者と面会し、「報道は事実無根で抗議する。取材の経緯を調査したい」などと申し入れた。

これに対し、読売新聞記者は「記事は適切な取材に基づいており、抗議には応じられない。取材の経緯は答えられない」と反論した。
コメント
まるで今国会で審議中の「特定秘密保護法案」の行く末を想像させるような事態である。

だれが新聞記者にNSC局長の人事情報を漏らしたのか。ある日、捜査令状を持った警察官(あるいは特捜検事)が読売新聞社を訪れ、この記事の関連資料(メモなど)の差し押さえを行うことになる。特定秘密保護法違反容疑である。

この取材を行った新聞記者を逮捕できないが、だれが新聞記者に情報を漏らしたかを捜査するためである。

当然ながら、人事情報を漏らした公務員や政治家はメディアとの会話に委縮し、新聞社は資料の差し押さえを嫌って外交・軍事の取材に自社制限を厳しくするようになるだろう。

そんな息苦しい社会の到来を予測させるような記事である。

本当に日本版NSCの局長に谷内氏が内定していないのかは、今後の発表で真偽がわかる。当然この人事情報が的中していても、それはたまたま偶然という説明では国民は信用しないだろう。

そんな喧嘩を安倍政権はメディアや国民に挑もうとしている。

私は最近、外で取材することが少なくなったので、取材中に尾行が着くことが少なくなったが、昔、自衛隊や米軍を取材していると尾行は勲章のようなものだった。

広島県の米軍の川上弾薬庫、広弾薬庫(呉市)、秋月弾薬庫(江田島)を取材しているときは、私の後ろに警察のパトカーがつき、弾薬庫の正門に行くと、弾薬庫の警備員から「あんたが軍事ジャーナルストの神浦か」と露骨に言われたこともある。

すると背後のパトカーから私服の警官が降りてきて、「次はどこに行くのか」と質問してきた。

取材の途中で弁当を食べようと小高い公園に車を止めると、私の車を見失った警官が警察無線で連絡をとりながら島を走る回るのを、公園で弁当を食べながらポケットの受信機で警察無線を聞きながら見ていた。

そんな時でも、夜になるとこっそりと米軍弾薬庫で働く日本人の家にお邪魔して、最近の米軍弾薬庫の様子を聞いていた。むろん、その時は尾行はさせない。

御巣鷹山に日航機が墜落した時は、取材中に尾行してきた私服の調査隊員を、テレビ局の近くに誘導して、その姿を撮影したこともある。

空挺団の初降下を取材し、バーベキューで飲みすぎ、帰りの電車で眠って下車駅を通過した時は、尾行していた隊員に新橋駅で肩を叩いて起こされたこともある。(笑) そのまま横須賀(横須賀線)まで私の居眠りに付き合いたくないと思ったようだ。

最近は調査隊OBと飲む機会もある。そういう体験をしたものとして、この人事情報を巡る動きでバタバタとする官邸が馬鹿に見える。

もしかしたら世耕さんが記者に漏らした可能性があるのである。この件で尾行がつくなら世耕さんが一番可能性が高いのである。それがこの世界の常識です。




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