What's new
日本や世界で現在進行形の最新の軍事情報を選別して、誰にでもわかるような文章で解説します。ホットな事件や紛争の背景や、将来の展開を予測したり、その問題の重要性を指摘します。J-rcomでは、日本で最も熱い軍事情報の発信基地にしたいと頑張ります。(1999年11月)
2009.09.18
米、東欧MD中止 イラン核に包囲網 米ロ核軍縮に弾み ロシアと協調探る
カテゴリオバマ政権出典 朝日新聞 9月17日 朝刊
記事の概要
オバマ政権は17日、欧州の旧共産圏ポーランド、チェコにミサイル防衛(MD)関連施設を配備する計画を中止すると発表した。
また、イランから欧州への中・短距離(弾道※)ミサイルによる脅威を想定し、イージス艦搭載のSM3迎撃ミサイル(改良型※)を軸に、11年から新たなMD計画を進める。
米国防総省は最新の情報として、イランの中・短距離(弾道)ミサイル開発は予想より早く進む一方、大陸間(長距離※)弾道ミサイルの開発は遅れていると分析した。
ブッシュ前政権が「イランの核兵器や弾道ミサイルから欧州を守る」とうたって進めていたが、ロシアは「真の目的は我が国の戦略核を無力化すること」と強く反発していた。
この中止を受けて、年内妥結を目指してきた米ロ核軍縮交渉は、大きな障害が取り除かれそうだ。
一方、オバマ大統領は、東欧諸国が対ロシア優先で切り捨てたという不満に配慮し、「ポーランドやチェコとは今後も集団的な防衛で協力していく」と述べた。
オバマ大統領が東欧へのMD配備を中止した背景には、イランの核保有阻止に向け、ロシアの協力を得たいという思惑があるとみられる。
それは同時に、ロシアとの核軍縮交渉の進展、米ロ関係の改善に弾みをつけることにもなる。
オバマ大統領は今年3月、ロシアのメドベージェフ大統領に「ロシアがイランの長距離(弾道※)ミサイル開発をやめさせてくれるなら、MD配備を撤回してもよい」と提案したと報じられている。
オバマ大統領は「核なき世界」の実現に向け、不拡散と軍縮の両輪で進展を図るため、切り札を出してきた形だ。
ーーーーーーーー
※は記事にはありませんが、短。中、長距離ミサイルでは、巡航ミサイルの場合がありますので、それを区別するために弾道ミサイルという意味で付け加えました。
またアメリカが東欧に配備する新型のMDシステムは、現有のイージス艦搭載の対弾道ミサイル迎撃のSM3ではなく、それを改良(射程が500キロから1000キロに延びる)して地上配備型にしたものです。
※イージス艦搭載の対弾道ミサイルSM3を、当初、PAC3と間違えて記載していました。読者の方からメールを頂き、あわてて校正しました。記載を誤ったたことをお詫びします。
オバマ政権は17日、欧州の旧共産圏ポーランド、チェコにミサイル防衛(MD)関連施設を配備する計画を中止すると発表した。
また、イランから欧州への中・短距離(弾道※)ミサイルによる脅威を想定し、イージス艦搭載のSM3迎撃ミサイル(改良型※)を軸に、11年から新たなMD計画を進める。
米国防総省は最新の情報として、イランの中・短距離(弾道)ミサイル開発は予想より早く進む一方、大陸間(長距離※)弾道ミサイルの開発は遅れていると分析した。
ブッシュ前政権が「イランの核兵器や弾道ミサイルから欧州を守る」とうたって進めていたが、ロシアは「真の目的は我が国の戦略核を無力化すること」と強く反発していた。
この中止を受けて、年内妥結を目指してきた米ロ核軍縮交渉は、大きな障害が取り除かれそうだ。
一方、オバマ大統領は、東欧諸国が対ロシア優先で切り捨てたという不満に配慮し、「ポーランドやチェコとは今後も集団的な防衛で協力していく」と述べた。
オバマ大統領が東欧へのMD配備を中止した背景には、イランの核保有阻止に向け、ロシアの協力を得たいという思惑があるとみられる。
それは同時に、ロシアとの核軍縮交渉の進展、米ロ関係の改善に弾みをつけることにもなる。
オバマ大統領は今年3月、ロシアのメドベージェフ大統領に「ロシアがイランの長距離(弾道※)ミサイル開発をやめさせてくれるなら、MD配備を撤回してもよい」と提案したと報じられている。
オバマ大統領は「核なき世界」の実現に向け、不拡散と軍縮の両輪で進展を図るため、切り札を出してきた形だ。
ーーーーーーーー
※は記事にはありませんが、短。中、長距離ミサイルでは、巡航ミサイルの場合がありますので、それを区別するために弾道ミサイルという意味で付け加えました。
またアメリカが東欧に配備する新型のMDシステムは、現有のイージス艦搭載の対弾道ミサイル迎撃のSM3ではなく、それを改良(射程が500キロから1000キロに延びる)して地上配備型にしたものです。
※イージス艦搭載の対弾道ミサイルSM3を、当初、PAC3と間違えて記載していました。読者の方からメールを頂き、あわてて校正しました。記載を誤ったたことをお詫びします。
コメント
オバマ大統領がプラハで宣言した核廃絶への道と、東欧にアメリカのMDを配備することは両立しないと思っていたので、今回のMD計画中止にはうなずける。
アメリカがいくらMDは対イランだと説明しても、ポーランドに配備されるアメリカのMDミサイルが、近い将来に地上配備型のレーザー照射兵器に転換されれば、ロシアから発射される多くのICBMは無力化される。
それではロシアにとって核抑止力が不安定になるから、ロシアはさらなる核兵戦力拡大に引き込まれることになる。
そのようにオバマ大統領には、東欧のMD配備中止で、ロシアと核兵器拡大競争になるのを防ぐ意味があった。
また北朝鮮の核武装を無力化するために、中国の協力が避けられないように、イランの核武装を避けるためにはロシアの協力は絶対に必要だ。
同時にロシアにとっても、将来、イランの核兵器に狙われる事態は避けたいのが本音である。その点でロシアはアメリカに協力できる素地がある。
ある意味、アメリカはロシアのイラン介入を図るために、東欧のMD配備をちらつかせる外交戦術の可能性もあった。
これは北朝鮮にアメリカとの直接対話に最後の期待を持たせ、それがアメリカに出来ないような環境を作り、北朝鮮を追いつめていく外交戦術と似たものがある。
北朝鮮が核実験と長射程弾道ミサイル(ICBM)の実験を行えば、アメリカを直接交渉のテーブルに引き込み、核威嚇でアメリカから援助や保証を得るという考え方で北朝鮮を誘導する方法である。
しかし現実は、北朝鮮が核兵器と短、中、長距離弾道ミサイルを持てば、韓国ばかりか、中国や日本などの周辺国に核の強い核脅威を与え、そのことによってアメリカは核兵器や長距離弾道ミサイルの個別交渉は行えないという環境になる。
まさに核兵器の廃絶しか存続の道を断ち切られた、北朝鮮が直面している現状がそれを示していると思う。
オバマ大統領が”チェンジ”で行っている政策と比べれば、日本の官僚政治の改革など小さなことと思ってしまう。政治とはそれくらい大きな変化で進歩して欲しいと願う。
オバマ大統領がプラハで宣言した核廃絶への道と、東欧にアメリカのMDを配備することは両立しないと思っていたので、今回のMD計画中止にはうなずける。
アメリカがいくらMDは対イランだと説明しても、ポーランドに配備されるアメリカのMDミサイルが、近い将来に地上配備型のレーザー照射兵器に転換されれば、ロシアから発射される多くのICBMは無力化される。
それではロシアにとって核抑止力が不安定になるから、ロシアはさらなる核兵戦力拡大に引き込まれることになる。
そのようにオバマ大統領には、東欧のMD配備中止で、ロシアと核兵器拡大競争になるのを防ぐ意味があった。
また北朝鮮の核武装を無力化するために、中国の協力が避けられないように、イランの核武装を避けるためにはロシアの協力は絶対に必要だ。
同時にロシアにとっても、将来、イランの核兵器に狙われる事態は避けたいのが本音である。その点でロシアはアメリカに協力できる素地がある。
ある意味、アメリカはロシアのイラン介入を図るために、東欧のMD配備をちらつかせる外交戦術の可能性もあった。
これは北朝鮮にアメリカとの直接対話に最後の期待を持たせ、それがアメリカに出来ないような環境を作り、北朝鮮を追いつめていく外交戦術と似たものがある。
北朝鮮が核実験と長射程弾道ミサイル(ICBM)の実験を行えば、アメリカを直接交渉のテーブルに引き込み、核威嚇でアメリカから援助や保証を得るという考え方で北朝鮮を誘導する方法である。
しかし現実は、北朝鮮が核兵器と短、中、長距離弾道ミサイルを持てば、韓国ばかりか、中国や日本などの周辺国に核の強い核脅威を与え、そのことによってアメリカは核兵器や長距離弾道ミサイルの個別交渉は行えないという環境になる。
まさに核兵器の廃絶しか存続の道を断ち切られた、北朝鮮が直面している現状がそれを示していると思う。
オバマ大統領が”チェンジ”で行っている政策と比べれば、日本の官僚政治の改革など小さなことと思ってしまう。政治とはそれくらい大きな変化で進歩して欲しいと願う。
