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2012.11.04

 防衛省 国産無人偵察機を開発へ 「北朝鮮の」※ミサイルを早期探知 

カテゴリ自衛隊政策出典 読売新聞 11月4日 朝刊 
記事の概要
防衛省は、弾道ミサイル発射を早期に探知できる高感度の赤外線センターを備えた国産無人偵察機の実用化に向けた開発に着手する方針を固めた。

北朝鮮の弾道ミサイル発射や、軍事力を増強する中国軍の動向をみらみ、警戒監視能力の一層の向上が必要と判断した。

防衛省は来年度予算の概算要求で、「滞空型無人機システムの研究」として4年間で計30億円を計上。12月に決定する予定の予算案にも一定額が盛り込まれる見通しとなった。

防衛省は現在、弾道ミサイルの探知システムとして、地上配備型レーダーとイージス艦を配備し、米軍の早期警戒衛星の情報(SEW)の提供も得て対処している。

ただ、レーダーなどは一定の高度に上がった段階でないと探知できないという制約がある。4月に北朝鮮が人工衛星と称して発射を強行した弾道ミサイルについても、打ち上げに失敗して低い高度で落下したため探知できなかった。

これに対し、実用化を目指す無人機は高度約1万3500メートルを飛べ、日本近海の上空から、低い高度の動きの探知が可能となる。

パイロットが乗らないため、22時間ほどの連続航行も可能と想定している。

防衛省はまず来年度には、無人機の試験機の基礎設計を行い、試験機が完成後に強度調査などを進めた上で、2020年度の実用化を目標とする。

熱を感知する赤外線センサーについてはほぼ開発済みで、防衛省幹部は「技術的な基盤はそろっている」としている。

無人機による警戒監視が実現すれば、地上配備型レーダーより早く弾道ミサイル発射を探知でき、早期に迎撃態勢を取れるほか、衛星では難しい発射後の追尾もできるため、発射後に失速した場合も航跡を捕捉し続けることが可能になる。
コメント
また、防衛省は新兵器開発の説明について、その新兵器の注目(目的)を別の問題にすり替える(国民への)騙しを行っている。

そのため、この見出しにある「北朝鮮の」※という言葉は私が入れたものである。この無人機は中国やロシアの内陸部から日本に向かって発射される中距離弾道ミサイルの発射は探知出来ないし、また中距離弾道ミサイルを追尾(ブースト段階)するにも限界(制約)があるからだ。

あえて北朝鮮という言葉を使わなければ、この無人偵察機の役割を正確に理解できないからだと意味があると思う。

この説明では、日本のミサイル防衛(海上配備のSM3と地上配備のPAC3)にように、あくまで射程が1300キロの北朝鮮ノドンに対するものであって、中国やロシアそれに北朝鮮(テポドン)のような中距離弾道ミサイルには日本のMDは対応出来ないという現実を繰り返すことになる。

だから防衛省は日本のMD導入に関しては、北朝鮮がテポドン1の発射(1998年8月)という神風が吹くまで動きがとれず、そのテポドンの発射を受けて北朝鮮のミサイル脅威のためにミサイル防衛を導入する決定をした。

北朝鮮と言う言葉を出せば、日本のMD導入ばかりか、国産の軍事偵察衛星を打ち上げという総額1兆円規模(それぞれの)の防衛費を捻出させたのである。

それが今度は、日本の無人機導入で北朝鮮のミサイル発射の失敗に対応出来るという苦しい言い訳を行っている。

この無人偵察機の飛行高度が1万3500メートルでは、中国やロシアの内陸部から発射される中距離弾道ミサイルの発射を探知することはできない。

繰り返すが、今回も北朝鮮のミサイル脅威という言葉を使って、日本が無人偵察機を導入する理由にしたいという「誤魔化し」の説明が行われている。

こんな国民をバカにするやり方はもう止めようよ。

もし北朝鮮の弾道ミサイル発射直後の探知や追尾で、韓国から政治的な理由からミサイル発射情報が得られなくとも、米軍経由でほぼリアルタイムで日本が情報入手は可能である。

この記事のような、こんな勝手な理由を許せば、日本が核武装していないのに、中国やロシアの中距離弾道ミサイルの発射を探知するために、日本も静止衛星(早期警戒衛星)を打ち上げようという論に繋がっていく。

これもまた国民の税金をドブに捨て、政治家や官僚などの新国防族、それに防衛産業を利するだけのことである。

日本は堂々と国民に向かって、東日本大地震や大津波の被害の情報収集や、福島原発の被害状況(事故直後)、あるいは東シナ海や南西諸島防衛の洋上監視に大型の無人偵察機を運用するでいいのではないか。

この記事のような説明を行っていると、もし北朝鮮の支配体制が崩壊し、南北統一国家が誕生すれば、日本が無人機導入の根拠を失っていくし、仮に大型無人機を導入しても、朝鮮半島に統一国家が誕生すれば日本に無用なものとなってしまう。

また、最近の新兵器開発の傾向として、無人機に攻撃ミサイル(複数)や精密誘導爆弾(JDAM)を搭載して、遠距離であっても重要拠点や移動中の目標を攻撃出来るものを開発する傾向が強めている。

日本が開発する大型無人機も攻撃性を持つことは必然である。技術的に将来の巡航ミサイル開発と重なる研究分野は多い。

しかし、それで中国にとやかく言われる筋合いはない。中国はいつでも日本を攻撃出来る中距離弾道ミサイルを大量に配備しているからだ。

また韓国も、射程800キロの弾道ミサイルの開発に、先日、アメリカと合意したばかりである。韓国からもとやかく言われる筋合いはない。

もっと日本の防衛構想は、堂々と国民の方を向いて正しく説明(議論)をして欲しい、でないと、尖閣を中国軍から奪還するために、日本に海兵隊が必要だというような「防衛費目当て」の誤魔化しが横行するようになる。




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