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2012.08.20

 尖閣に日本人上陸10人 中国で反日デモ続発、一部暴徒化、日本料理店などが被害

カテゴリ 福島原発事故 出典 産経新聞 8月20日 朝刊 
記事の概要
沖縄県・尖閣諸島周辺を訪問していた日本人一行のうち地方議員5人を含む10人が19日、同諸島の魚釣島に上陸した。

10人は約2時間、島にとどまり、灯台に日の丸を掲げるなどした。魚釣島では、不法上陸した香港の活動家ら14人が逮捕、強制送還されたばかり。

中国各地では同日、反日デモが続発し、一部参加者が暴徒化し、日本料理店などが被害を受けた。

上陸したのは東京都議や兵庫県議、茨城県取手市議ら。国会議員は含まれていない。10人は超党派の「日本の領土を守るため行動する議員連盟」(会長・山谷えり子参院議員)などとともに、戦時中に同海域で起きた疎開船遭難事件の洋上慰霊祭に参加していた。

山谷氏ら国会議員8人を含む約150人は19日未明、周辺海域に到着。慰霊祭を行った後、午前7時40分ごろ、複数の船から10人が海に入り、魚釣島まで泳いだ。

10人は島内で日の丸を振りかざすなどした後、午前10時ごろまでに全員が船に戻った。

第11管区海上保安本部(那覇市)は船に戻った10人から上陸の経緯や理由について事情を聴いた。県警も軽犯罪法違反(禁止区域への立ち入り)の疑いで調べている。

山谷氏は石垣島で記者会見し、10人の行動について「正当化できるものではないかもしれないが、気持ちは分かる」と述べた。

尖閣諸島は石垣市の行政区域だが、政府は地権者と政府関係者以外の上陸を認めていない。同議連などは事前に上陸許可を申請していたが、政府がこれを拒否したため、洋上での慰霊祭に切り替えていた。

遭難事件は昭和20年7月3日に発生。石垣島から台湾に向かった疎開船2隻が米軍機の爆撃で沈没するなどし、75人が亡くなった。8月19日は救助船が生存者を救出した日にあたる。
コメント
尖閣や竹島のような領土問題を、市民運動レベルの示威と報復合戦で行うことはお勧めできない。主張が適切にコントロールできなくなるからである。

特に、「すぐにでも軍事力で解決しろ」と考えるような者に問題解決委ねることは最悪である。

先日もあるテレビ番組で述べたが、ゲストの一人が「これから尖閣に漁民を装った人民解放軍軍の兵士が上陸する。そして一夜にして軍服に着替え、島の周囲を何百の中国海軍艦艇が遊弋するだろう」述べた。

そこで私は、「1998年8月に北朝鮮がテポドン1号を発射したとき、日本の東北地方上空は通過したが、太平洋に落下(打ち上げ失敗)したにもかかわらず、日本では明日にでも北朝鮮から東京にミサイルの雨が降ってくると大騒ぎしたメディアがあった。それと今の状況は酷似していますね」と指摘した。

テポドン騒動のために役にも立たないミサイル防衛(MD)の約1兆円と、国産の軍事偵察衛星の約5000億円をドブに捨てた。なぜなら日本のMD(SAM3とPAC3)はノドンにしか使えないし、軍事偵察衛星は福島の原発事故でまったく役に立たなかった。

私は今にも人民解放軍が尖閣を軍事占領するぞというように、いい加減な想像で危機を煽る人を「危機屋」と呼んでいるが、その危機屋が今もメディアで活躍中だ。

日本は領土問題では冷静に対処して、理論で相手を追い詰めていく方法が効果的と思う。相手と同じレベルで騒いでいたのでは、相手の違法行為を評価することにも通じる。




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