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2012.07.15

オスプレイ:防衛省、滑空距離データ把握せず 

カテゴリ 福島原発事故 出典 沖縄タイムス 7月14日 電子版 
記事の概要
垂直離着陸輸送機MV22オスプレイで、エンジンが止まった時に不時着ができるようにする「オートローテーション(自動回転)」機能を使った場合、実際どの程度飛べるのかという「滑空距離」のデータを防衛省が把握していないことが13日、同省への取材で分かった。

このデータは、パイロットがどの程度飛べるのかを念頭に、不時着地点を見つける判断に直結するもので、同省は具体的な安全性能の検証をしないまま配備を進めていることになる。

6月に防衛省が発行したパンフレット「MV―22オスプレイ―米海兵隊の最新鋭の航空機―」では、「万が一2つのエンジンが停止した場合の緊急着陸の際、その時の飛行状態に応じて、固定翼モードに移行して滑空するか、垂直離着陸モードに移行してオートローテーションを行う」と記載している。

森本敏防衛相は6日の会見でオートローテーション機能の有無について「防衛省が出したパンフレットにも、その点について記載してある通り。米国側に確認をし、内容についても表現ぶりについても調整の上、書いてある」と説明していた。

しかし、本紙が同機能を示す詳細なデータを求めたところ、防衛省報道室は「MV22のオートローテーションによる滑空距離については、米側からデータの提供を受けておらず把握していない」と回答した。

固定翼モードでの滑空距離についても把握していないと説明している。

一方、2004年に沖縄国際大学へ墜落した米軍大型輸送ヘリCH53などのオートローテーション機能による滑空距離については、事故後の07年、日米両政府の協議でまとめた安全対策に関する報告書で詳細に公開している。

報告書では、普天間飛行場周辺の訓練経路を飛んでいる際にエンジンが故障したとしても、この機能を使えば飛行場へ戻れると具体的な滑空距離を挙げて説明。

「一定の安全が確保されていることが確認された」と結論付け、「(安全対策の)検討の結果を、日米両当局が着実に実施していくことが適切」としている。

しかし、新たに配備を計画するオスプレイについては滑空距離を確認しておらず、同等の安全性を確かめていないことになる。

オスプレイのオートローテーション機能をめぐっては、09年の米議会公聴会で航空専門家が「安全にオートローテーションできない」と問題を指摘している。
コメント
ヘリの操縦では、飛行中にエンジンが停止した機体を、オートローテーションを使って、パイロットは近くの河川敷や空き地などに緊急着陸させる。

ヘリパイロットの教官クラスになると、オートローテーションで地上に描かれた1点に正確に着陸させる。その操縦訓練を見たことがあるが、教官の操縦では見事という意外に言葉が出なかった。

だからヘリモードで飛行するオスプレイに、オートローテーション機能は不可欠と思っていた。その基本機能をオスプレイは持っていないのだ。

なぜ野党は国会でこのことを議論しないのか。沖縄選出の議員が文書(質問主意書)で政府に問い合わせる方法もあった。

ここで忘れていけないのは、オスプレイが固定翼(飛行機)モードで不時着した場合、胴体より先にプロペラ(回転翼)が地面と接触する。超高速で回転するプロペラの破片は、胴体に飛び込んで中の乗員を傷つけないように外に向かって飛散する構造であることだ。

飛行場(滑走路)に隣接する市街地に、高速で飛び散ったプロペラの破片が民家に飛び込む危険である。

この点の関して、沖縄選出の国会議員は政府に質問主意書を提出して欲しい。憲法によって国会議員に認められた政治活動である。




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