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2011.12.10

 ジョセフ・ナイ元国防次官補 沖縄海兵隊 「豪移転も選択肢」 「豪は沖縄と比べ訓練場が広い」 

カテゴリ沖縄問題 出典 朝日新聞 12月10日 朝刊 
記事の概要
オバマ政権に近い米国の知日派の代表格として知られるジョセフ・ナイ元国防次官補(現ハーバード大学教授)が7日、朝日新聞の単独会見に応じた。

普天間飛行場を拠点とする海兵隊の一部を、オーストラリアなどに移す選択肢もあり得るとい考え方を示した。

オバマ大統領は11月、オーストラリアに米海兵隊を将来2500人規模駐留させる方針を打ち出した。

ナイ氏は個人の見解と断った上で、沖縄県の海兵隊について「一部は県内に移転させるとしても、一部は豪州に回り持ちで動かすこともあり得るのではないか。(他の)一部が、グアム、韓国、米国内に行ってもいい」と述べた。

ナイ氏は昨年のインタビューでは、普天間飛行場を県内に移転させる現行計画について、「完全なものではないが、より良い案があるとは思わない」として履行を求めていた。

考えを変えた理由について、「我々にとって主要なテーマは米日安保関係の重要性だ。沖縄の海兵隊の(配置の)詳細というのは2番目、3番目の問題であり、それが大きなテーマを混乱させてはならない」と説明した。

ナイ氏は、「豪州は沖縄と比べ、訓練する余地がより大きい。」という利点を言及。「我々は将来的に、沖縄の人々の負担を軽減出来るような方策を検討すべきである」と語った。

ナイ氏はクリントン政権で国防次官補を務め、冷戦後の日米安保の再定義に取り組んだ。(ボストン 尾形聡彦記者)
コメント
まったくの同感である。さすがに米国のソフト・パワー論を提唱したジョセフ・ナイ氏だけのことはある。論理にスキがない。

おそらくジョセフ・ナイ氏も私と同じ考えと思うので書いておくが、在沖海兵隊の一部が韓国、グアム、ダーウィン(豪)、米本土に分散・撤退した場合、沖縄における米海兵隊の役割を説明しよう。

それは米空軍基地である嘉手納飛行場と隣接する嘉手納弾薬庫を警備(防衛)することである。海兵隊が沖縄本島全域を防衛するためではない。それはこれから増強される自衛隊の役割となる。

有事に米海兵隊の一部は嘉手納飛行場に飛来し、キャンプ・ハンセンに軍事拠点を置くことになる。そのためキャンプ・シュワブ基地では嘉手納から離れすぎるのである。米軍の嘉手納飛行場、嘉手納弾薬庫、キャンプ・ハンセンはワンセットである。

そのためキャンプ・ハンセンには沖縄本島全域を防衛地域とする陸上自衛隊(第15旅団)が移駐していく。同時に、キャンプ・ハンセンは有事に米海兵隊を受け入れられるように海兵隊の事前集積の役割も担っていく。

そこで問題になるのが、米海兵隊が使う北部訓練場のジャングル戦訓練場だが、これは東南アジア(例えばフィリピン)に移転させて海兵隊は巡回訓練に使うことが可能である。(英軍SAS部隊はマレーシアに訓練場を借りてジャングル戦の訓練に使っている)。

こうすれば、沖縄の米軍基地は嘉手納以南はもちろんだが、キャンプ・ハンセン以北の米軍施設も地元に全面返還が可能になる。

普天間問題は嘉手納統合という形になるが、嘉手納からは米空軍の半分がグアムに移転していくから、年に数回、海兵隊が巡回訓練に嘉手納に訪れても、嘉手納基地の負担(住民との摩擦)は今よりはるかに激減する。

これは将来の日米安保を見据え、日米安保のより深化を図ることができる案なので、ジョセフ・ナイ氏も同じような考え方をしていると思う。これが軍事常識という共通言語である。

さらに付け加えれば、今は那覇飛行場にいる空自・海自の航空部隊は嘉手納飛行場に移り、嘉手納でより効率的な防空体制と運用を固めることで、那覇空港の自衛隊使用分を地元に返還することが可能になる。

まずは沖縄で、この案の検討をお願いしたい。むろん米軍基地の再開発(民間施設)のアイディアが非常に重要である。その責任は地元の知恵で負って欲しい。政治家や官僚と組んだ本土の大企業に委ねる必要はない。

もはや、この案以外に日米が普天間問題を解決できる方法はない。

この朝日の記事でジョセフ・ナイ氏の考え方を知って、普天間飛行場の返還に希望が見えてきた。普天間問題は必ず解決できると思う。




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