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2009.07.11

 野口裕之の安全保障読本 北”核実験”は本当だったか

カテゴリ北朝鮮出典 産経新聞 7月6日 朝刊
記事の概要
北朝鮮が5月25日に核実験を行ったと発表した。世界中の多くのメディアが早くもその日から「核実験」を実施したと断定した。だが、日米韓軍事当局には実験を「偽装」とする見方が根強く残っている。

そもそも核実験ではクリプトン(Kr−85)やキセノン(Xe−133)など自然界では発見されない放射性物質が外部に放出される。従って、2つの放射性物質は、核実験実施を裏付ける確実な証拠となる。

06年10月の最初の核実験では、キセノンはカナダで検知され、数日後には日本海で米軍のWC−135大気収集型偵察機が放射性物質収集に成功している。

しかし今回は実験から42日を経た現在でも発見に至っていない。こうした状況から日米韓軍事当局は、「TNT火薬による偽装実験説」を払拭できないでいる。爆発規模が1キロトンなら、TNT火薬が1000トンの爆発力で、大量の高性能火薬を地下施設で爆破させても同程度の爆発力は作り出せる。

CIAなど情報機関を統括するブレア国家情報長官は、「実験」から3週間以上もたった6月15日、「恐らく」と断りつつ「地下核実験を行った」と「推定する」など、まるで歯切れが悪い。

日本では自衛隊の航空機の他に、文部科学省の環境放射能・放射線分析専門機関である日本分析センター(千葉県)のほか、47都道府県などに測定を依頼して大気の採取・測定を行っている。環境省でも日本海を中心に10カ所で観測を続行中だ。ほかに日本原子力研究開発機構では放射性物質観測所を群馬県と沖縄県で運営している。これに米中露のほか、韓国の原子力安全技術院と海空軍が協力して収集に全力を挙げている。

これだけの「包囲網」でなお、放射性物質は検出されていない。そうである以上、「かっこ悪い」報道は続くことになる。
コメント
この記事は5日前で7月6日付の産経新聞である。以来、この記事を何度も読み返し、自分なりに関係者に問い合わせを行い、いろいろな推測を重ねてきた。

そして私が得た結論も、この記事が指摘するように「核実験と断定できない」という「かっこ悪い」ものだった。むしろ各国のメディアや政府などが「核実験」と断定したことに不信感が高まった。

5月25日に北朝鮮が核実験実施という一報が飛び込んできた時、最初に電話で生出演したニッポン放送(ラジオ)番組の冒頭で、テリー伊藤さんに「まだ核実験を偽装した可能性がありますから、大気の核物質が確認できるまで核実験と断定できません」と話したのを覚えている。これは相手が北朝鮮に限らず、核実験を検証する普通の感覚なのである。

今としては北朝鮮が崩壊した後、北の核実験場を検証したIAEAが、2回目の地下核実験では核物質を確認できなかったという発表が行われることを楽しみにしている。(この件で友人と生ビール2杯(※)と中トロ(時価800円ぐらい)の刺身を賭けている)

※当初、生ビール3杯と書きましたが、友人から2杯の約束だったとの訂正が入りました。訂正しました。場所は、JR神田駅近くの居酒屋ということだそうです。



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