最新記事へリンク

所長
神浦元彰
軍事ジャーナリスト
Director
Kamiura Motoaki
Military Analyst

English Column of This Month!VOICE OF Mr.KAMIURA

What's new

日本や世界で現在進行形の最新の軍事情報を選別して、誰にでもわかるような文章で解説します。ホットな事件や紛争の背景や、将来の展開を予測したり、その問題の重要性を指摘します。J-rcomでは、日本で最も熱い軍事情報の発信基地にしたいと頑張ります。(1999年11月)

2011.09.27

 オバマ氏広島訪問は尚早…藪中前次官が米に見解 ウィキリークスに公電記述 

カテゴリ日本政府出典 読売新聞 9月27日 朝刊 
記事の概要
一昨年11月のオバマ米大統領の初来日に先立ち、外務省の藪中三十二次官(当時)が米政府に対し、大統領が広島を訪れるのは「時期尚早だ」と伝えていたことが分かった。

内部告発サイト「ウィキリークス」が8月末に大量公開した米機密公電に実名入りで書かれていた。

公電は、2009年8月28日に行われたルース駐日米大使と藪中氏の会談内容に関するもので、在日米大使館が作成した。

オバマ氏が同年4月、「核兵器のない世界」を目指すと表明したため、米大統領として初めて被爆地を訪問するかどうかが注目されていた。

公電によると、藪中氏は「大騒ぎしない形での簡素な訪問」なら象徴的な意義があるとも述べていた。

オバマ氏は被爆地訪問に前向きとされるが、大統領就任後2回の来日時に訪問は実現していない。
コメント
今は反核は反体制のシンボル的な政治運動ではない。

イラク戦争でアメリカが勝てない戦争であることがわかると、国際テロリストに拡散した核兵器が渡り、それがアメリカで使われることを危惧した米国の指導者や研究者たちは反核を唱え始めている。

キッシンジャー元国務長官、シェルツ元国務長官、ペリー元国務長官など多くの米国の指導者だった人が今は反核宣言を行って、核兵器のない世界を目指すべきと主張を始めていることはご存じの通りである。

同時にロシアの側にもアメリカの反核宣言に同調する政治家や研究者も出始めている。

もしオバマ大統領が広島の原爆記念式典に参列しても、それが広島や長崎の被爆者の反発や反感を受ける可能性はまったくない。それどころか、オバマ大統領は広島や長崎ばかりか世界中の人から大歓迎を受けると思う。

なぜ藪中元外務次官は反対をしたのか。それはわが国が核武装を禁止(非核3原則)しながら、アメリカの核兵器に依存する矛盾した”核の傘”政策をとっているからである。

これも外務省の軍事オンチが考えた核戦略で、日本に向かって核兵器が発射されれば、アメリカは自国への核攻撃の可能性があっても、相手国(中国やロシア)に核報復を行ってくれるという希望的な想像政策である。

軍事世界の厳しい現実を知れば、日本が核攻撃を受けても、アメリカが自国に戦略核兵器が打ち込まれることを覚悟して、相手国に戦略核攻撃を行うなどありえないのだ。

その矛盾がばれないように、藪中事務次官(当時)はアメリカに対してオバマ大統領が広島や長崎に来ないように請願した。

外務官僚が正しく核戦略を学べば、”核の傘”などという空想論は今の世界に通用しないことがわかるはずである。

そこで野田首相に提案する。野田首相は11月にAPEC首脳会議のためにハワイに行くことが決まっている。その時、パールハーバーにある戦艦アリゾナの記念館で献花をして頂きたい。

日本軍の真珠湾攻撃(1941年)で沈没した戦艦アリゾナである。

私は初めてハワイに行った時に、まずパールハーバーのアリゾナ記念館で黙祷をした。これは日本人として当然のことと思っている。

しかし今までに日本の首相で戦艦アリゾナの記念館に行って献花したことはない。まったく不自然である。

これも日本の外務省がアメリカ大統領を広島や長崎に行かせないための深謀遠慮だと思っている。日本の空想的”核の傘”論が崩れるのを防ぐためである。

来年は米大統領選の年である。オバマ大統領が再選できるように、8月の広島(長崎)訪問を実現行しやすくするために、野田首相は11月に戦艦アリゾナにいって献花すべきと提案する。

どれほど外務省が反対しても、その程度の政治決断は行って欲しい。

世界中の人が核戦争の恐怖から解放されるためである。そのために、このような積み重ねが核兵器を廃絶する方向に世界を向ける。





関連記事