軍事通信員報告



ここは2006年の1月〜2月分を保管しています。

タイトル

通信内容 
 イラク保安部隊のカテゴリと新しいIED対策(2月27日)

スパイク通信員(札幌在住)

 こんにちは、スパイクです。

 ふたつの着目すべきニュースがありました。ひとつはイラク保安部隊に関する報告書(※1)。このニュースはCNNの日本語版サイトでも報じられていますが、抄訳である上に大隊を師団と間違える初歩的な誤訳もあり、正確ではありません(※2)。もうひとつは新しいIED対策です(※3)。

 国防総省は3ヶ月ごとに議会に対して報告書を提出します。今回の報告書はアスカリ廟爆破事件よりも前に書かれました。その中で、昨年ケーシー大将が述べ たイラク保安部隊の訓練度に関する説明はそれより悪い状況だったと明かしました。ケーシー大将はレベル1の大隊が3個から1個へ減ったと説明しましたが、その1個もレベル1から脱落したことが明らかになりました。逆に、レベル2の大隊は昨年9月に36個だったのが現在は53個に増えたとのことです。レベル2への昇格に伴いレベル3の大隊は52個から45個へ減りました。全体的には、戦闘に 参加できる大隊は88個から98個へ増えています。不思議なことに、今回の報告で はいくつの部隊がレベル1にあるかは説明されていません。

 記事によれば、レベル1は米軍の支援なしで武装勢力と戦える部隊。レベル2は若干の米軍の支援があれば武装勢力と戦える部隊。レベル3は任務の立案と実行を主導できない部隊です。

 以上の情報を総合すると、先日の「レベル1の部隊が40個大隊になった」という発表は信憑性が薄く、おそらくは今もってゼロのままなのです。すべての部隊はレベル2と3の状態にあるのでしょう。やはり思った通り、あの報告は不正確なものだったのです。

 新しいIED対策は衝撃的で、イラクに二車線の輸送路を新たに建設し、武装勢力にIEDを仕掛けられないようにするというのです。この輸送路は、輸送部隊が人口が多くて危険が高い地域を避けるように建設されます。このため、国防省は2006年度の予算に653億ドルを要求する予定です。

 この計画が何を意味するかというと、昨年盛んに宣伝されたIED対策が効果がなかったということです。この道路を造っても保護できるのは輸送車だけで、米軍やイラク保安部隊が活動に使う一般道路は保護できません。妨害電波や軍用犬 まで使った対策だけでは解決できないため、米軍は道路を新設することで何とかしようとしているのです。武装勢力がこの道路も攻撃する方法を見つけたら、建設した意味はなくなります。おそらく、道路は爆発物が仕掛けられないような高架式で、センサーで監視するのでしょうが、道路の建設で潤うのは民間軍事企業だけでしょう。しかも、輸送路のルートや全体の規模については明示されていな いことが、この計画の不完全さを思わせます。

 ちなみに、1月24日に連合軍が発表したところでは、2003年4月から2005年11月の間にIEDの攻撃は約28,000回起こっていると、記事には付記されています。私は、IEDについては昨年夏の段階で武装勢力側に勝負あったと考えています。米軍はギブアップできる立場にないので、あれこれと手を打っているのでしょう が、今後この問題が解決される見込みはほとんどありません。イラク戦については、日本のメディアよりもずっと多い情報を報じているアメリカのメディアも IEDの問題になると言葉を濁します。あまり書くと状況の悪さがはっきりしすぎてしまうため、愛国心からためらってしまうのでしょう。

 どちらのニュースもイラクの状況の厳しさを物語っています。アスカリ廟爆破事件の後で、ブッシュ大統領が演説でこの事件に触れたのですが、あまりにも脳 天気な内容でした。その演説でブッシュは「私は楽天家」と言ったのですが、それは誰もが知っています。すべての人が聞きたいのはイラク戦の行く末です。 もっとも、それをブッシュが持っていないことも誰もが知っていることですね。

※1  http://www.military.com/NewsContent/0,13319,89379,00.html

※2  http://www.cnn.co.jp/usa/CNN200602250019.html

※3  http://www.military.com/features/0,15240,89295,00.html

 シーア派のアスカル廟爆破事件の続報です。(2月24日)

スパイク通信員(札幌在住)

 こんにちは、スパイクです。

 兵数や配備の話が拡大していますが、もともと高三の方の質問が発端だという のが面白いですね。

 イラクのシーア派の四大聖廟の一つであるアスカリ廟が爆破された事件が非常に気になりました(※1)。現在、一番起こり得る問題がイラク国内の対立が激化して、内戦状態といえる状態になることだからです。

 国内の報道では、デモやモスクへの放火などが報じられていますが、 military.comの報道ではそれを上回る事件が起きています。攻撃されたスンニ派 のモスクは60カ所を越え、放火もしくは占拠されたとのこと。バグダッドではス ンニ派の居住地に500人の兵士が派遣され、シーア派の襲撃を警戒しています。 バスラではスンニ派の党支部が武装した男たちに包囲されているとの国内報道がありますが(※2)、military.comの報道ではライフル銃とRPGによる攻撃が行われ、建物から煙が立ち上っているとのことです。さらに、バスラ周辺の2カ所で 頭部に銃弾を撃ち込まれた9人の死体が発見されていますが、これを記者に語っ た警察官は報復を恐れて匿名を条件にしたとのこと。前出の国内報道では事態が 鎮静化に向かっていると書いていますが、 military.comの記事を見る限りでは そう思えません。29歳の建築業者だというマハムード・アル・サマリエのコメン トがこれからの事態を明確に語っているように思います。

 「この犯罪行為は暴動を起こすことが目的だ。犯人たちが処罰されるよう、我々は調査を求める。もし、政府がそれに失敗するなら、我々は銃を取って事件の背後にいる者たちを追い立てるだろう」  「暴動を起こすことが目的だ。だから、相手の手には乗らない」と考えるのではなく、事と次第によってはそうすると宣言しているところに注意が必要です。

 記事の最後にはアスカリ廟の宗教的な意味も書かれています。アスカリ廟は全イスラム世界からの巡礼者が訪れる場所です。シーア派の12人のイマームである モハンメド・アルマーディが姿を消した場所とされています。「イマーム」とは イスラム教の預言者モハンメドの正統な後継者のことで、12代続きました。アスカリ廟はこれらのイマームを埋葬しています。イマームはアルマーディの代で途絶えましたが、彼は死んだのではなく、隠れたのだと解釈されており、「隠れイマーム」とも呼ばれています。シーア派は彼がいつか復活して正義を行うと信じています。スンニ派ではイマームはカリフに相当するもので、どちらの宗派もモハンメドの後継者による統治を望んでいる点では共通しています。対立する宗派を挑発するのは、イラクにおいては非常に簡単です。かなりの確率でイラクの混 乱は増加すると考えておいた方が無難だと私は考えます。

 以上の投稿を書いた後、さらなる攻撃が報じられたので追加します。連合軍広報担当のリック・リンチ少将が、イラクは内戦状態ではないというコメントを出したという記事も報じられています(※3)。記事はリンチ少将が事態を過小評価していると書いています。少将は「通りすがりでのモスクへの発砲が若干…と いったところだ。だから、我々はイラクの内戦を目撃していない。我々は77、 80、100カ所のイラク国内のモスクが破壊されているのを見ていない。我々は路 上で人が死ぬところを見ていない」と言いました。少将の見解が報じられている内容と著しく食い違っているところが不安をよけいに強くします。

※1  http://www.military.com/NewsContent/0,13319,88589,00.html

※2  http://www.people.ne.jp/2006/02/23/jp20060223_57688.html

※3  http://www.military.com/NewsContent/0,13319,88997,00.html

 自衛隊は部隊ごとに災害派遣の担当地域を決めている。(2月23日)

リック通信員(埼玉在住)

 神浦さん、スパイクさん、こんばんは。

 兵員数の話題は久々のヒットでしたね(笑)いや、私にとって、ですが。 防衛は相対的なものですから、長い間、陸自が18万人体制だったのは、極東ソ連軍が18万の3倍だったから、という計算も成り立つわけです。((これも不確かな数字です(苦笑))

 スパイクさんの言われる「位置」も重要な要素だと思います。以前は日本全国一律の編成だった陸自が、最近では首都防衛、島嶼防衛、ゲリコマ対処部隊(?だったと思いますが、思い出せません) など地域の特性に合わせた部隊編成に切り替えていると聞きました。カリフォルニアでの島嶼防衛の訓練風景がテレビで放映されていたのは最近のことです。このように戦略が変わると、戦車や砲兵部隊は削減され普通科が増えるなど、数字の上でも大きな変化が現れるわけです。

 1つの県で1個連隊、というのはあくまでも仮定の話ですが、まんざら出鱈目でもなく、最近では部隊ごとに担任区域を設けて災害派遣や治安維持の範囲を明確にしているようです。では。

 自衛隊の駐屯地(基地)について考えるのも重要。(2月22日)

スパイク通信員(札幌在住)

 こんにちは、スパイクです。

 リック通信員さん、お久しぶりです。

 兵数の話ではありませんが、北海道の留萌市に第26普通科連隊(昭和28年移駐)が駐屯していることに、日本海側に面した漁港町になぜ普通科連隊なのかと、疑問を感じたことがありました。ある時、第二次世界大戦後期にソ連が留萌上陸を計画したことがあると聞いて、ひょっとしてそれに対する無言の抗議のための配備なのかと考えました。留萌港は昭和11年に開港し、かつては石炭の積出港として栄えた港です。昭和27年には重要港湾に指定されました。大型船が停泊できることから、港を簡単に占領されないようにするのが配備の理由だともいえますが、それなら港がある稚内市に普通科連隊が駐屯していない理由が分かりません。結局、留萌から深川方面へ進出され、第2師団の司令部がある旭川市の背後を脅かされることを防ぐためと考えるのが妥当なのでしょう。兵数だけでな く、配置位置について考えるのも面白いことですね。

 それから、またブッシュ政権の支持率が落ちそうな情報が出てきました(※ 1)。イラク・アフガン戦で増加した退役軍人の治療のための費用が、過去5年間で120億ドルから380億ドルに跳ね上がりました。この数字は2015年までに640 億ドルまで上昇する見込みです。そこで、ブッシュ政権は、処方薬の被保険者負担を増やし、65歳以下の年間登録料を増やすことになったのです。これが決まれ ば、これから5年間で148億ドルを節約できるそうです。段々、こういうしょっぱい話が増えていくんでしょうね。(笑)

※1 http://www.military.com/NewsContent/0,13319,88440,00.html

 陸自が16万人体制というひとつの根拠。(2月21日)

リック通信員(埼玉在住)

 こんばんは、リックです。 お久しぶりですが、通信員の方々、お元気でしょうか。

本日は「自衛隊の数字は何を根拠にしているのか」が、興味深かったので報告します。

 軍事に限らず、数字を出したり見たりする場合は、マクロの視点とミクロの視点があります。例えば1つの県を守る(この守るには、軍事的な行動や災害派遣を含みます)には1個連隊を当てるとします。すると47都道府県ですから、47個連隊が必要です。4連隊で1個師団とすれば12個師団となるわけで、これをマクロの視点と考えます。次にミクロの視点ですが通常、軍隊の最小単位は班です。この班の人数にはいろいろありますが、歩兵で言えば10人前後が平均だと思います。班が3〜4個で小隊です。3〜4個小隊で中隊です。3〜4個中隊で連隊(自衛隊の普通科は大隊編制を取りませんが、米軍などは大隊編制としています)です。

 単純計算で10人×4×4×4=640が連隊の人数となりますが、実際には本部要員や整備などほぼ倍の人数が必要です。普通科だけで1個師団4000人いるわけです。師団には普通科の他に特科や戦車や施設など、全ての兵科が存在し、だいたい8000人前後です。したがって12個師団なら10万人となるわけです。自衛隊全体ではこの他補給処や、長官直轄部隊の空挺やヘリや教導団があるため、約16万人体制が現在の体制と近い数字になります。以上の数字はいささか怪しいところもあり、かなり簡単にはしょってるとご理解下さい。

 いずれにしても数字にはマクロからミクロへいく展開方式とミクロからマクロへいく積み上げ方式があること言いたかったのでした。

追伸
 1つの県で1個連隊の前提には何の根拠もありません。 創隊時のお偉いさんと同じように「何となく」です。すみません。

 昨日(下段)の報告の追加です。(2月21日)

スパイク通信員(札幌在住)

 こんにちは、スパイクです。

 昨日、私は報告の中で次のように書きました。

>昨年夏に3個大隊を編成できたと思ったらその後1個大隊に減ったという報告が出ていたはずです。

 念のために記事を確認したら、10月2日付けの記事でした。だから、夏というよりは秋というべきでした。Yahoo! USAに掲載された記事でしたが、現在は削除 されているようです。タイトルは「US generals say training of Iraqi forces is on target」でした。検索してみたい方は、これをキーワードに探してみてく ださい。他のサイトに掲載されている可能性もあります。

 この記事が載る数日前に、上院委員会においてケーシー大将は、独立して戦闘 を行える「レベル1」に評価できるイラク保安部隊は3個大隊から1個大隊に減ったと証言しました。ケーシー大将は、レベル1の部隊が少ないのは極めて高い評価基準を設定しているためだと、ABCテレビのインタビューに答えています。また、イラク保安部隊の訓練はまったく順調だとも述べていました。

 10月には1個大隊しかなかったレベル1の部隊が2月までに40個に膨れあがっ たとは信じにくいものがあります。評価基準を緩くして認定した可能性を疑います。撤退の可能性を少しでも示さないと米国民のイラク戦への支持がさらに減ってしまいます。イラク保安部隊が本当に十分な実力を持っているかを判断するには彼らの戦闘ぶりを見るしかありません。どこかのメディアが取材してくれることを願っています。

 そういえば、イラク保安部隊の訓練を取材した記事をまだ見たことがない気がします(知っている人がいたら教えてください)。本来なら、 これは宣伝材料として活用される事柄です。ひょっとして、教官が民間軍事企業の社員で、見せない方がよいと考えられているのかも知れません。

 イラク保安部隊の編制についての報道。(2月20日)

スパイク通信員(札幌在住)

 こんにちは、スパイクです。

 イラク保安部隊の訓練レベルに関する情報が出てきました。1月26日に報告した報道をさらに詳しくしたような内容です。(※1)

 米軍の発表によれば、現在、102個の大隊(700〜800人)のうち40個大隊が治安維持の任務に就いています。最終的には110個大隊を編成する予定です。イラク保安部隊227,000人の内訳は、106,000人が軍人で、121,000人が警察官です。 彼らはファルージャ、ラマディ、サマラなどの武装勢力との競合地域においても支配権を握っています。米政府系シンクタンク、戦略予算評価センターのアナリ スト、アンドリュー・クレピネヴィッチは「彼らが安全保障を提供する準備をできないのは退化だ」と述べています。

 この記事は少し気になります。昨年6月23日の私の報告で「バインズ中将はイ ラクの保安部隊が12月の総選挙頃までに4〜6個旅団(12,000から 24,000人) が編成できるとも言っているので(後略)」と書いたのですが、この予定人数をかなり上回っているのです。昨年夏に3個大隊を編成できたと思ったらその後1個大隊に減ったという報告が出ていたはずです。イラクには武器を扱える人が多いとはいえ、40個大隊が編成を終えたというのは随分と急に思えます。

 フセイン政権時代はスンニ派が中心だった軍人がシーア派が中心になることが進歩なのかは疑問だと私は思います。イラン国内のシーア派との結託が前から懸念されているからです。イラク保安部隊の完成は新しいカオスの始まりかも知れず、それこそが退化になることを心配します。

 先日の兵庫県の方の質問「自衛隊の数字は何を根拠にしているのか」はとても よい質問だと思いました。兵器の性能データばかりに目を奪われていると、軍事的な動きは読めませんね。軍事行動に必要な兵数の通り相場を調べてみたらどう でしょうか。部隊の規模による戦区の広さは大体の目安があります。具体的に数 字をあげている本もありますし、色々な戦争の作戦概略図を見れば、実際にどれだけの広さの場所にどれだけの兵力が配備されるのかが分かります。必要兵数は 各国の軍事ドクトリンによっても異なります。イラクの自由作戦の場合、米陸軍が勧告した必要兵数は54万人だったといいます。ところが、陸軍の中に5万人で勝てると言った将校がいて、ラムズフェルドは彼に侵攻作戦を立てさせました。 それがホワイトハウスでの議論を経て10万人強の人数で実施されました。同じ国の中でもこれだけ考え方に幅があります。これらの数字がどんな意味を持っているかを調べてみてはどうでしょう。

※1 http://www.military.com/NewsContent/0,13319,88288,00.html

 衆議院外務委員会での珍問答を見つけました。(2月13日)

スパイク通信員(札幌在住)

 こんにちは、スパイクです。

 インターネットの国会会議録検索システム(※1)を使って、衆議院外務委員会の議事録を読んでいたら、珍問答を見つけて笑ってしまいました。民主党の首藤信彦議員の質問に対して川口順子外務大臣が大胆とも言える回答を試みていま した。

 平成16年4月20日の有事法制にからんだジュネーブ条約追加議定書の批准についての議論です。第2追加議定書に対応する法案がないと首藤議員は追求しました。

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○首藤委員 (前略)

 ジュネーブ条約に加盟して国内法をつくっていくわけですが、今回、ジュネーブ条約の第二議定書に加盟するんですけれども、その部分の国内法は用意されていないように見受けられますけれども、その点はいかがでしょうか、外務大臣。

○川口国務大臣

 第二追加議定書ですけれども、これは、いわゆる内乱等の非国際的な武力紛争における敵対行為に直接参加していない者に対する人道的な待遇や傷病者、医療要員、医療組織、医療用輸送手段等に対する保護、これを定めているわけでございます。それから、軍事行動から生ずる危険から住民を保護するために、住民に対する攻撃を禁止するとともに、住民の生存に不可欠なもの等に対する保護等についても定めております。

 それで、こういった内容の第二追加議定書の規定ですけれども、憲法の基本的人権の保障に係る諸規定、刑法の関連規定及び国民保護法案の関連規定等の関係法令に基づいて実施をすることができるということでございます。

○首藤委員

 いや、それはちょっとおかしいんじゃないですか。そうなったら、 第一議定書だって関連している法律はたくさんありますよ。わざわざ第二議定書を外す、国内法をつくらないのはおかしいんじゃないですか。外務大臣、いかがですか。

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  川口大臣は意見を変えませんでした。これで納得がいかなかった首藤議員は5 月11日、外務委員会で再び同じ質問をしました。

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○首藤委員 (前略)

 このジュネーブ四条約の追加議定書第一に関しては国内法をつくりました。しかし、ジュネーブ第二議定書、これに関しては日本の国内法はないんですよ。本 当ならば、三条約七法案じゃなくて三条約八法案でなきゃいけないんですよ。それが、プロトコール第二に関しては国内法がないんですよ。用意されていないんですよ。  その意味で、そもそも今回の政府の提出というのは最初から欠陥があるわけですよ。そこを指摘したら、外務大臣はこうおっしゃいました。いや、そのプロトコール第二に関しては日本国憲法がその内容を担保しておりますと。そういうお話ですね。それは、人道に対する問題とか、人類に対する責務とか、世界平和とか、そういうことだと思いますけれども、プロトコール第二を今回いよいよ批准しますけれども、本当に、その国内法は日本国憲法だというふうに考えてよろしいですね。

○川口国務大臣

 ジュネーブの第二追加議定書でございますけれども、これは、 いわゆる内乱等の非国際的な武力紛争における敵対行為に直接参加していない者に対する人道的な待遇や、傷病者、医療要員、医療組織、医療用輸送手段等に対する保護について定めているものでございます。そしてまた、軍事行動から生ずる危険から住民を保護するために、住民に対する攻撃を禁止するとともに、住民の生存に不可欠なもの等に対する保護について定めている、そういったものでございます。  したがって、第二追加議定書の規定というのは、基本的に、憲法の基本的な人権の保障に係る諸規定、それから、刑法の関連規定等の関係の法令に基づいて実施するということができるということでございます。 (後略)

○首藤委員

 いや、質問に答えていただいていないですよ。ですから、それが憲法だと言うならば、ジュネーブ追加議定書第一だって憲法ですよ。あるいはジュ ネーブ条約だってそうでしょう。(後略)

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 この問答は首藤議員が正しいのでしょう。現行の法律だけで第二議定書の内容がすべて実現するとは考えられません。第二追加議定書は国内の紛争における一 般人の保護を定めた法律で、たとえば戦闘の方法として人を餓死させることを禁止し、農業施設を破壊してはならないとしています。こうした大規模な破壊を誰がやれるのかといえば、一般人よりは国家の側でしょう。勿論、そんなことは日本国内では起こらないでしょうが、法律としては想定しておくべきで、明文化して、特に公務員に熟知させておくことに第二追加議定書の意義があります。世界に色々と事例があるように、国内紛争において政府側がやりすぎることは珍しく ありません。それを明文化して防いでいこうというのが第二追加議定書です。そのために国内法を整備しないということは、日本は国内紛争が起きた時は、ジュ ネーブ条約に頓着せずに勝手にやります。公務員が逮捕される可能性がある法律は作りませんと言っているようにしか見えません。

 さらに、この日の質疑ではこんな問答もありました。これに先立つ4月13日の衆議院本会議での川口大臣の発言について首藤議員が質問しました。その川口大 臣の発言とは以下のふたつです。軍事教範に関する説明に注意して読んでください。

 「次に、追加議定書を締結していない米国との協力についてのお尋ねでございますが、米国は、第一追加議定書の締約国ではありませんが、第一追加議定書の規定のうち国際人道法の基本的な原則であるものについては軍事教範に取り込んでいると承知をしております。」  「また、ジュネーブ諸条約の両追加議定書については、米国は、締約国ではな いことから、両議定書の規定には拘束されませんが、国際人道法の基本的な原則については、米国の軍事教範に取り込まれていると承知をいたしております。」  首藤議員は、川口大臣の答弁は事実と違うと追求しました。

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○首藤委員 (前略)

 この拷問というのは、このイラクだけではなくて、アフガニスタンにおいて も、あるいはまたキューバのグアンタナモ基地で、アルカイダ兵に対して、いわゆるストレス尋問、感覚攻撃ということで、国防省が二十項目のストレス尋問項目を挙げて、これは国防省自体が取り組んでいた、そういう現代心理学や現代精神医学を使った尋問だということがおわかりになってきているわけですね。 (中略)

 そこで、私は、では、日本とアメリカが共同してこの国でもし軍事行動を行っ たとき、行おうとしたとき、日本はジュネーブ条約を守ってある一定の規範ある行動をとる、アメリカはもうめちゃくちゃやるというようになるとどうするんですかということを言ったら、川口大臣は、いや、アメリカはジュネーブ条約のプ ロトコール第一、第二にも参加していませんけれども、それはアメリカの軍事教範に盛り込まれていますと。

 川口大臣、アメリカの軍事教範のどこにここが盛り込まれていますでしょうか。

○川口国務大臣

 米軍の軍事教範ですけれども、これは米軍の文書ということでございますので、それについて一条一条、これはジュネーブ条約の何であるということを我が国としてきちんとこの場で解釈を申し上げるということはできませんけれども、いずれにしても、いろいろな米軍あるいは米国政府の方々の発言、 これに、米軍として、あるいは米国としてジュネーブ諸条約及びこの追加議定書に盛り込まれている多くのこと、これを守っていくということは表明されているということでございます。

○首藤委員

 そんな話はないですよ。軍事教範に、どこかに書いてあると、昔の何か文化大革命の紅衛兵みたいなことを言わないでください。何かあっても、とにかく赤い本を出して、ここに書いてある、ここに書いてある、中国の近代化も ここに書いてある、世界革命もここにあると。何も書いていなくて、ただ本を出 して、これに書いてある、これに書いてあると。それと同じじゃないですか。 (後略)

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 アメリカはジュネーブ条約だけで、追加議定書は批准していません。米陸軍のフィールド・マニュアル(軍事教範)には戦争に関する国際法をまとめた教範 「FM 27-10 The Law of Land Warfare」があります。この教範の1999年版を見る限りでは、対象となっているのは第1から第4までのジュネーブ条約だけであり、追加議定書はまったく含まれていません。アメリカは追加議定書を批准していないのだから、今でも軍事教範には追記されていないはずです。これは海兵隊のフィールド・マニュアルについても、ほぼ同じことがいえます。

 ジュネーブ条約の第4条約と第1追加議定書は国際紛争における一般人の保護を規定しています。だからと言って、ジュネーブ条約に第1追加議定書の基本的な部分は含まれていると言うのは暴論というものです。それなら、ジュネーブ4条約だけあればこと足り、追加議定書を作成する必要はないわけですから。まして、追加議定書の批准の議論の中ではまったく不適切な発言で、なにより質問に対して真面目に答えていません。首藤議員は国際政治の専門家なので、この答えには我慢ならなかったろうと想像します。

 この問答がマスコミで報じられたかどうかは知りませんが、多分報じられていないでしょう。ニュースになるのはもっと単純で面白い問答や政局がらみの話だけです。新聞には字数の、テレビには放送時間の制約があり、国会質疑の細かい 部分までは報じません。しかし、中にはこういう重大なやりとりがあるわけです。こうしたことも国民の知る権利として重要だということを言いたいと思いま す。この問答について、若い人に言いたいのは、いまの大人たちがやっているのは情けないことにこの程度だということです。大人がいう変な理屈に従わず、常に本物の情報にあたり、何が真相かを見極める習慣と技術を身につけるようにし て欲しいと思います。

※1 http://kokkai.ndl.go.jp/

 米軍のイラク帰還兵が防弾チョッキを弁済?(2月10日)

スパイク通信員(札幌在住)

 こんにちは、スパイクです。

 また、防弾チョッキにからむ話ですが、強度の話ではなく、官僚制度が生んだ珍事です。笑い話と思って聞いてください。

 ウィリアム・レブローク中尉は、2005年1月11日にブラッドリー歩兵先頭車に乗っている時、IEDの爆発で右腕を負傷し、動脈を切断されました。ヘリコプ ターで搬送される途中、衛生兵が彼の防弾チョッキを脱がせました。彼は血まみれだったので防弾チョッキにも血がついていました。衛生兵たちは生物学的汚染物質をマニュアルどおりに処理しました。つまり、防弾チョッキを焼却したのです。彼はドイツを経由して本国に送還され、7回も手術を受けましたが完全には回復せず、除隊することになりました。使用していた装備品を返却する段階に なって、防弾チョッキがないことが問題になりました。レブロークが最後に防弾チョッキを見たのは搬送されるヘリコプターの中で、その後適切に処置されていると信じていたようです。陸軍では装備品が破壊されたことを書面にする規則がありますが、レブロークの防弾チョッキの焼却は記録されていませんでした。そこで、彼は大隊の指揮官に亡失を証明する書面に署名してもらい、事態を収拾しようとしたのですが指揮官は拒否し、防弾チョッキが焼却されたことを証言する目撃者が必要だと言ったのでした。これができない場合、防弾チョッキの弁済として700ドルを払って直ちに除隊するか、払わないであと数ヶ月勤務するかを選択しなければなりません。レブロークは現金の持ち合わせがなかったらしく、戦友から金をかき集めて提出しなければならなかったというわけです。レブロークは士官学校出身で、4年間の軍歴があり、イラクでは半年間勤務しました。この話が本国に伝わると、上院議員たちがラムズフェルドをはじめとする軍高官に抗議し、700ドルを返済するよう求めました。また、彼の地元では700ドルを超える寄付金が集まりました。レブロークは寄付金を受け取る気はないようです。

 実にアメリカらしいエピソードです。それぞれの立場で規則を守った結果、 700ドルを払わなければいけなくなったということです。関係者は誰もが高いモラルを持っており、それ故にこういう事態になったのですが、類似する話は米軍に関する情報の中によく出てきます。  

 ただ、最近は防弾チョッキがアメリカのメディアで取りあげすぎだと思います。イラク戦が行き詰まっているのは防弾チョッキのせいではなく、根本的な戦略の誤りが原因です。防弾チョッキを強化したところでIEDによる被害を防げるわけではありませんし、ハンヴィーの装甲をいくら厚くしてもイラク戦は終わりません。それにまったく関係のない事件が対テロ戦争には追加打撃を加えています。デンマークの政治風刺漫画がイスラム国で暴動を呼び起こすように、アメリ カの政策とは関係のないところでも問題は悪化しています。メディアでは指摘さ れていませんが、今年の新潟地方の大雪やシベリアの大寒波が地球温暖化が原因ということも考えられないでしょうか。海水温度が上がると北極の寒波がより南へ拡がるといいます。今年の夏も台風やハリケーンが暴れ、冬は大雪だと、科学者たちがいう仮説の信憑性はさらに高まります。そうなると、京都議定書に背を向けたブッシュ政権への批判はなお高まるでしょう。本来はこうした問題が取り あげられるべきなのですが、世の中には関係のないことへ熱中する変な傾向もあります。アメリカは、いまは問題を防弾チョッキのせいにして、何となく事態を理解した気分になっているのだと思います。

※1  http://www.military.com/NewsContent/0,13319,87399,00.html

 米軍で新型の防弾マスクが公開されました。(2月7日)

スパイク通信員(札幌在住)

  こんにちは、スパイクです。

 米兵の防弾チョッキが問題になっていますが、顔面を守る防弾マスク(※1) というものが紹介されました。このマスクは「ストーム・トルーパー型」と呼ばれているそうで、笑ってしまいました。確かに、兵士が着用した姿が「スター・ ウォーズ」の帝国軍のストーム・トルーパーにそっくりです。重さは600g 弱。 44マグナム弾もストップするとのことです。今のところ、イラク駐留軍の伍長ひ とりが使用しています。メーカーのサイトにはテストのビデオ映像も載っていま す(※2)。

※1  http://www.defensetech.org/archives/002147.html

※2  http://www.mtekweaponsystems.com/FAST%20G1.html

 額賀防衛庁長官は防衛施設庁と自衛隊を混同している?(2月6日)

スパイク通信員(札幌在住)

 こんにちは、スパイクです。

 今回は報告ではなく質問です。5日のテレビ番組に額賀防衛庁長官が出演し、 防衛施設庁の談合事件について語りました。その中で気になる発言がありまし た。額賀長官はなぜこうした談合が起こるのかについて「自衛官は定年が早く、 年金支給がはじまるまでにかなりの時間がかかるため、再就職先を心配する傾向にある」と言いました。今回の事件を起こしたのは自衛隊ではなく防衛施設庁です。自衛官は特別職で、ほとんどの人は50代で定年を迎えます。事件に関与したのは防衛施設庁の一般職で、彼らの定年は60歳のはずです。だから、長官の認識は筋違いで、こんな長官に問題を解決できるわけがないといわざるを得ないと私は思いました。しかし、自衛隊から防衛施設庁への出向が珍しいことではないのなら、長官は事実を言ったことになります。スタジオにいる人たちは質問もせず、某評論家が「上はいい加減でも、末端の自衛官は真面目にやっている…」と 長官の発言を肯定したために話はさらに拡散し、焦点はぼやけ、談合が行われる本当の理由も説明されないまま終わったので大変に不愉快でした。防衛施設庁に出向するのは警察関係が多いと聞いています。自衛官が出向することはあるので しょうか?

 話は変わりますが、2月3日の靖国神社に関する投稿は私には主旨が分かりません。神浦さんのコメントには反対意見になるかも知れませんが、簡単に述べます。

>国家レベルで靖国神社参拝に対して口を挟んでいるのは中華人民共和国、大韓 民国、北朝鮮の3カ国に過ぎません。実は、この3カ国には共通点があります。 何かというと、対日戦の戦勝国でもなく、東京裁判の当事国でもないということです。

 この共通点は投稿者の事実誤認です。こういう共通点を持つ国は他にいくつかあります。たとえば、ベトナムがそうです。ベトナムが靖国参拝に反対しないのは、日本軍の進駐を植民地解放戦争とみなして支持したからではありません。ベ トナム政府が発行した本には日本帝国主義という言葉がはっきりと書いてあります。だから、この共通点は靖国参拝に反対する国に固有の特徴とはいえません。

>日中関係が靖国問題をめぐって紛糾するのは、日本を中華帝国の一部と見なすか否かという、非常にローカルな問題が、中華人民国にとっては非常に大きな問題だからです。  

 これも理解できない話です。靖国問題や歴史問題で本当に日本を中国の配下にできると本気で信じているのでしょうか?

 日中関係の現状から戦争を連想するのは無茶です。靖国問題や歴史問題が安全保障問題であるかのように語られるのは、現代日本の非常識のひとつだと思います。左右どちらであれ、こうした議論に私は与したくありません。

 ところで、歴史問題では韓国については、私はあまり心配していません。韓国の若い世代の日本への関心が極めて強いことを実際に韓国人と話して知っていますし、歴史教科書の見直しの動きがも起きているからです。民主化以降の韓国映 画には軍事独裁時代を一歩退いた目で描く作品が珍しくなくなりました。韓国の朝鮮日報は今年に入ってこの問題を何度も取りあげています。

 日中韓の歴史教科書の比較検証(※1)、3回にわたる崔文衡教授による韓国の歴史教科書批判(※ 2)、国定教科書から検定教科書へ切り替えるという記事(※3)など、韓国人 自身が歴史認識を変えようとしている一端が見えます。時間はかかるでしょうが悪い方向には行きません。

※1http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2006/01/30/20060130000000.html

※2 http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2006/01/15/20060115000017.html

※3 http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2006/01/31/20060131000006.html

(神浦・・・・防衛施設庁の職員数は約3100名ですが、そのうち自衛官が出向しているのは90人程度です。陸が40人、海と空が25人ずつぐらいです。他は施設庁職員は国家公務員で定年は60才です。また今回、問題になっているのは天下りです。額賀防衛庁長官の言い訳は、もうそれ以外に語るべくものがなくなったからでしょう。まさか知らなかったなどと言えるようなものではありません。あのTV番組は私も見ましたが、まともな防衛庁職員、自衛隊員、施設庁職員もがっかりしたと思います。)

 イラクの多国籍軍司令官が交代します。(2月2日)

スパイク通信員(札幌在住)

 こんにちは、スパイクです。

 イラクにいる多国籍軍の指揮官ジョン・R・ヴィンス中将が交代します(※ 1)。新任の指揮官はピーター・W・キアレッリ中将です。

 記事は彼がこれまでの方針を変更することに焦点を当てています。キアレッリ 中将は武装勢力を殺したり捕らえることよりも、イラク人の生活の質を向上させることを強調するそうです。中将は、テロリストと武装勢力の支持基盤を奪うと明言。彼は2003年と2004年に第1騎兵師団を指揮した時、バグダッドで反乱軍を鎮圧する時に使った方法を使うとのことです。2004年以降、キアレッリ中将は井戸採掘や下水工事のように小規模の計画を完了させるのに成功しているとのこと です。彼はシーア派が住むサドル・シティのスラム街において、配管工や井戸掘 り職人が工事をしている間近で、彼らを護衛するために重装備の武装勢力と市街戦を戦いました。それは、シーア派のゲリラの抵抗を終わらせる草の根の力の育 成に役立ったとのことです。サドル・シティの住民はまだ不自由な環境にあるも のの、米軍に対する意識が好転しているとのこと。

 ワシントンとイギリスの対武装勢力の専門家たちが国防総省に「サーチ・アン ド・デストロイ」型の攻撃は貴重な時間の浪費で新しいゲリラを生む元にしかな らず、ブッシュ政権好みの巨大な発電所建設のような都市再建案は武装勢力に破壊され、地元に利益をもたらさないと批判しているためです。また、政府の会計 監査は上下水道と送電システムの改修計画は増加する保安のために費やされるため、完成しない見込みと発表したそうです。そんな状況なので、ブッシュ政権にとってキアレッリ中将のような人は望ましいのだとか。  

 ようやく有効なカードが出てきたという感触はありますが、ブッシュ政権が作り出した戦略の誤りを戦術でカバーできるのか、ちょっと疑問です。今後、キア レッリ中将の采配に注目していこうと思います。

※1 http://www.military.com/NewsContent/0,13319,86768,00.html

 ジル・キャロルの誘拐事件の続報です。(2月1日)

スパイク通信員(札幌在住)

 こんにちは、スパイクです。

 前回触れたジル・キャロルの誘拐事件ですが、アル・ジャジーラにもう少し詳 しい記事が載っていました(※1)。日本でも報じられたように、31日、アルジャジーラがキャロルのビデオを放送しました。

 キャロルが誘拐されたのは1月7日。一回目のメッセージ・ビデオが放送されたのが17日。女性収監者5名が釈放されたのが26日。2回目のメッセージ・ビデオが放送された31日ですが、ビデオに記録されている日付は28日です。米軍が女性収監者5名を釈放したのは26日なので、この動きを知った上で新しいビデオを作成してアルジャジーラに送ったと考えられます。

 この事件では心配なことがいくつかあります。まず、キャロルが誘拐される時に通訳が射殺されていること。メッセージ・ビデオによると犯人グループが「復讐の旅団」という名前であること。一度目のビデオでキャロルはグレーのスゥ エットを着て、髪も隠していなかったのに、二回目ではイラク女性のようにベールを被っていることです。犯人グループが要求を強めるために着せたものと思われます。ビデオに音声がついていなかったのは、キャロルの精神状態が相当に追いつめられているためかもしれません。記事の写真に写っているキャロルの表情はかなり取り乱しているように見えます。放送すると家族にショックを与え、テロリストを利するだけとアルジャジーラが配慮したのかもしれません。キャロルがインタビューを申し込んでいたスンニ派の有力政治家アドナン・アル・デュライミがテレビで彼女の釈放を訴えているのが功を奏してくれればよいのですが。

 アル・ジャジーラには自衛隊のサマワ撤退の記事も載っていました(※2)。 比較的短い簡単な記事ですが「日本の平和主義憲法の下で武器の使用が禁じられている軍隊は復興支援任務の間に犠牲者を出していない」と書いてあるのが目をひきました。アル・ジャジーラは好意的に見てくれているようです。米軍は日本の治安維持もやらせたいようですが、受けていたらどうなっていたことか。

 それから、ヤマハのラジコン・ヘリコプターの報道ですが、西日本新聞が神浦 さんのコメントを報じていましたね(※3)。米軍が現在開発している近未来戦闘システム(FCS)の無人ヘリは18〜24時間連続飛行ができて、行動半径が75キロを目指しています(※4)。化学、生物、放射線、原子力、エネルギーなどの探知機を搭載して偵察活動が行えるということですから、もうラジコンのイメー ジを超越しています。もちろん、まだ青写真しかないものですが。

※1 http://english.aljazeera.net/NR/exeres/209438EF-42CF-417F-BEBC-E8B633D1F912.htm

※2 http://english.aljazeera.net/NR/exeres/E918C59C-CDAE-4644-B7F7-929B459A86C4.htm

※3 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060128-00000071-nnp-kyu

※4 http://www.army.mil/fcs/factfiles/uav4.html

(神浦・・・・西日本新聞のコメントですが、私は東京新聞のインタビューに答えたものですが、それが西日本新聞に転載されたようです。よくわかりませんが、北海道新聞、河北新報、東京新聞、中国新聞(広島)、中日新聞、西日本新聞は情報を共有する会社間協定があるようですね。西日本新聞の記事を読んだ中国語メディアから、無人ヘリの件でインタビューの申し込みがありました。中国人記者は日本の動きを細部にわたり詳細に知っているので驚きました。だから、逆にこちらが中国側の動きを知らないと大恥をかくことになります。)