軍事通信員報告



2005年の4月〜6月分

 軍事通信員を希望します。(6月27日)

軍事通信員を希望します

1、アドレスは送信者のもので結構です。
2、本名 00 0
3、ハンドルネーム 銀牙
4、年齢 15歳
5、長野県
 以上です。宜しくお願いいたします。

(神浦・・・・15歳ならうちの娘と同じ年ですね。このホームページにもときどき中学生や高校生からメールが届きます。皆さんがしっかりしているので驚きます。でも15歳ではちょっと通信員に早いと思います。そのかわりにメールをください。掲載して、お返事を書きます。そのほうが気が楽だと思います。それに以前にも書いたことがありますが、「通信員報告」と「メールにお返事」を合体させ、お返事が必要のない情報提供を掲載するコーナーを新設するつもりです。よろしく)

 陸自のサマワ派遣隊とPMC(民間軍事会社)が、会議場で共同警備を実施した写真です。(6月24日)
スパイク通信員(札幌在住) 

 こんにちは、スパイクです。

 とうとう、サマワの自衛隊がIEDによる攻撃を受けました。幸い、車が損傷しただけで済んだものの、被害が出てもおかしくない状況 だったと思います。IEDの危険性は何度も書いてきたので繰り返 しません。

 折しも、自衛隊が狙われる原因の一つを示す写真を時事通信社が報じ ました。(※1)

 この写真には陸自隊員と英国のPMCの要員が一緒に復興支援調整会議の警備をしているのが写っています。自衛隊は治安維持活動はしないことになっているので、派遣部隊から誰かが会議に出席したため警備をしたのだと想像します。しかし、この復興支援調整会議がどういう 会議によっても、警備の是非は変わると思います。どんな内容の会議で、どんな人たちが出席したのでしょうか?

 また、会議の内容が何であれ、こうした光景がイラク人の目に触れる度に、サマワの派遣隊が恨みを買い、攻撃される可能性が高まると思うと心配になります。イラク人から憎まれているPMCの要員と自衛官が一緒にいるのだから、自衛隊もアメリカと同類だと見なされる危険性があります。

 自衛隊は米軍が指揮するイラク多国籍軍団の一員なのが本当で、自衛隊は占領統治には加わらないという国会答弁が嘘であることを、日本国民は今一度認識すべきだと思います。

※1
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050623-02537495-jijp-int.view-001

 バインズ司令官が米軍の一部撤退を示唆しました。(6月23日)
スパイク通信員(札幌在住)

 こんにちは、スパイクです。

 ここに来て、共和党筋からもイラク政策への批判が増えました。それに応えるように、バインズ司令官(米陸軍中将)が来年3月に撤退を開始すると公言しました。バインズ中将は第18空挺軍団の司令官で、「テロとの戦いは、アフガニスタンとイラクに限定された紛争というよりは、我々が国家として生き残るための国民全体の戦争だ」と発言したことがある人物です。これを報じた記事には彼の写真も載っています。(※1)

 国内報道はその情報を要約して報道していますが(※2)、国 外の報道(※3)と比較してみる必要もあります。バインズ中将が言ったニュアンスは国内報道から感じ取れるものとは少し違うように思われました。

 原文
 The top U.S. combat commander in Iraq says American troop levels likely will remain steady through early next year and that drawdowns likely will not depend on political developments in the nascent Iraqi government.

 日本語訳
 駐イラク米軍戦闘指揮官のトップは、米軍の規模は恐らくは来年の初めまでは安定した状態が続くだろう、撤退は恐らくは始まったばかりのイラク政府の政治的な進歩には依存しないだろうと語った。

 気になるのは、二つの件の両方に「恐らくは」という言葉がついていることです。特に、後の文はイラク政府の状況に関係なくと言っているにもかかわらず、「恐らくは」と言っているのが気になります。確定的な予測なのか、状況に左右される話なのか、論旨に乱れを感じます。

 国内の報道では触れていませんが、バインズ中将はイラクの保安部隊が12月の総選挙頃までに4〜6個旅団(12,000から 24,000人)が編成できるとも言っているので、この撤退計画はそれに相当する米軍部隊を引き上げるという主旨と思えます。それなら、なおさ ら確定的な話のように思えますが、慎重に「恐らくは」と言っていると ころが引っかかります。それに、イラクの保安部隊がそれ以上に増強できないなら、米軍もそれ以上撤退できないということであり、全面撤退のはじまりではないと思えてきます。

 それに、この記事は1月の選挙の時にも夏には撤退できるといわれながら、選挙後は再びテロが激化しているではないかと指摘しています。 今回もまた同じ結果になる懸念がすでにいわれているのです。

 すぐに撤退を始めるつもりはないのかという質問に、バインズ中将は 「そういう時期ではない。米軍の規模は状況次第で変わる」と答えまし た。未だに、米軍がテロリストたちに翻弄されていることを感じさせる 発言です。また、現在は約135,000人の米軍ですが、1月の選挙の時には16万人近くまで増強されました。何かあると米軍にはこの程度の増減があるわけで、現状の一割、13,500人を撤退させるという計画は通常の増減の範囲内に過ぎないとも言えます。

 という訳なので、この撤退は本格的撤退はじまりとは思えないし、この戦争の終わりはまだ見えていないと思います。今後ますますテロの頻度に注意するのが、事態の推移を考える上で重要だと思いました。

 この他、バインズ中将の発言で参考になったのは、米軍は外国人武装勢力は一月に数ダースが入国していると考えていること。IEDを 仕掛けるのに雇われた者は100〜150ドルの褒賞をもらっているらしいということでした。IEDと言えば、今日、CNNでイラク西方での掃討作戦の様子を見ましたが、米兵が進撃する市内の道路に地雷原処理車(陸自の装備品でいえば92式地雷原処理車)を投入していました。これはロケット弾で地雷処理用の爆薬ブロックを飛ばし、細長く並んだ爆薬ブロックを爆破して通路を作る装置です。これでIEDを爆破してから歩兵を前進させます。街中で使う物ではないと思っていたので驚き、当惑も憶えました。

※1
http://www.defenselink.mil/news/Apr2004/n04192004_200404194.html

※2
http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/america/news/ 20050622k0000e030042000c.html

※3
http://www.armytimes.com/story.php?f=1-292925-929221.php

 ロシア極東軍管区ニコラエヴィッチ上級大将が陸自の北部方面隊を訪問しました。 (6月15日)

スパイク通信員(札幌在住)

 こんにちは、スパイクです。

 現在、ロシア極東軍管区司令官のヤクボフ・ユーリ・ニコラエヴィッ チ上級大将が来日し、陸上自衛隊北部方面隊を訪問中です。詳細は、 BNNの記事を参照してください。(※1)

 最近は、ロシアとの関係はかつてのような問題はなく良好のようで す。今月、網走漁協所属の漁船がロシアの経済水域内で操業したとして、拿捕される事件がありました(※2)。日本側は日本側の経済水域内で操業していたと主張し、ロシア側はロシアの経済水域に入っていたと主張しました。実際、漁船が操業していた場所は境界線にかな り近い場所でした。しかし、最終的には潮に流されたのが原因で、意図的な越境ではないとして口頭注意の上、釈放ということで事件は落着しました。かつてとは状況が変わってきていると実感する事件でした。とすると、日本は韓国よりもロシアと関係がよいのかと考えてしまいまし た。

※1
http://www.bnn-s.com/bnn/bnnMain?news_genre=2&news_cd=220011027310

※2
http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/kiji.php3 ? &d=20050613&j=0022&k=200506130675

(神浦・・・・軍事的な緊張より、平和の方が繁栄するという実例ですね)

 米国のジョセフ・バイデン上院議員がイラクを訪問しています。(6月11日)

スパイク通信員(札幌在住)

 こんにちは、スパイクです。

  外国人武装勢力のイラクへの流入に関して新しい報道がありました。(※1)

 先週、ジョセフ・バイデン上院議員(民主党)はイラクを訪問し、陸軍の将官と海兵隊員と会談をしました。(バイデン議員の公式サイトは ※2)

 バイデン議員のコメントを簡単に説明しますと…

 「現在、国境を越えてくるイスラム教徒はさらに増加しているが…そ の多くはサウジ人だ。これは我が国が対応するのに難しい異なる側面を示す」  
 「米軍が発表しているイラクの武装勢力の数は実体の十分の一だ」
 「イラクで逮捕された武装勢力の中に、サウジ人は大勢いるのに、 ブッシュ政権はそれらについてほとんど説明していない」
 「ザルカウィの指揮下で自爆攻撃をした武装勢力の40%がサウジ人だという予測について、ラムズフェルド国防長官に質問したら、 『サウジは自国内でテロと戦っており、イラクに武装勢力を送り込んでいる他の国とは違う』と言われた。
 「私が現地で見ることと、家で見ることとはまったく食い違ってい る」(引用終わり)

 バイデン議員は、フセイン政権崩壊後に5回もイラクを訪問しています。だから、これらの発言は無視できませんが、サウジ人テロリストの実数については触れていません。十分の一というのはバイデン議員の個人的な見積もりだと思われます。しかし、40%がサウジ人という 観測はちょっと心配です。サウジとの関係を悪くしないために、逮捕し た武装勢力については情報をほとんど公開していないのではないか。人 権団体が「隠された捕虜収容所がある」と米政府を非難しているのは、 サウジ人隠しをするためではないか。しかし、それはアメリカの立場を余計に悪くしないかといった疑問が湧きます。

 それに、サウジがテロ取り締まりを強化してかなり経つのに、依然と してイラク入りする者が減らないのは、中東諸国がテロ対策に乗り出したという構図が事実ではないことを示しているように思えます。最近、 ニューズウィークはパキスタンはテロ対策を本気でやっていないと言っていますし、前に報告したようにラムズフェルドもパキスタンのことを指していると思われる「それらの地域の境界線に隠れることで自身を“有利”にする統治されていない地域がある国々がある(28日 報告)」と述べています。

 5月7〜14日のマタドール作戦、25日のニューマーケッ ト作戦により、アンバル州の武装勢力を掃討し、米軍によればどちらも成功したことになっています。しかし、昨日報告したように、同地でイ ラク兵22名(昨日の報告では20名)が拉致されるような事件が起きていることから、米軍にシリアからのルートを完全に駆逐する 能力がないのは明らかです。ラムズフェルドも「巨大な連合国さえも、 すべての場所を同時に防御することはできない(28日報告)」と述べています。

 最近、状況を打開する材料が特に減っているように思います。テロが政治目的を達成する前段階には、テロの慢性化があるものです。状況は間違いなく深刻化しています。


※1
http://www.military.com/NewsContent/0,13319,FL_fight_061005,00.html

※2
http://biden.senate.gov/

 イラクの武装勢力の現状を示すニュースです。(6月10日)

スパイク通信員(札幌在住)

 こんにちは、スパイクです。

 武装勢力の自爆攻撃の実行方法に関する情報がありました。 (※1)

 自爆攻撃を行う者は、車に体を縛り付け、逃げられないようにしているようです。ある事件で、イラク警察が爆発した車の破片の中に、アク セルペダルを見つけたところ、それにはテープで留められた足首がついたままだったのです。また、爆発する前に自爆車のハンドルに運転手の 手がテープで留められているのを目撃したイラク人がいたことも報告さ れています。凄まじい話ですが、自爆のやり方としてはこれまでも使われてきた方法だといえそうです。しかし、テープで体を縛っているのを 見つかる前に自爆しているのなら、彼らは攻撃地点の近くにあるアジトから出発している可能性がありますよね。多分、傍目には普通の家にしか見えないけど、必要に応じて物資が搬入されて自爆車への改造が行われ、志願者が出発していく家なのだと思います。バグダッド市内にもそういう場所がいくつもあるとすれば、怖い話ですね。

 その他、武装勢力の勢力に関する情報があります。(※2)

 イラク西方、シリア国境沿いで20名のイラク兵が誘拐された可能性があるとのことです。イラク兵たちはカイムの南西にある僻村アカ シャーのイラク軍基地から2台のミニバスで出発した後で行方不明にな りました。これが事実とするならば、この地域で実施された掃討作戦 「マタドール作戦」はまったく意味がなかったことになります。この作戦で、武装勢力がシリア国境からイラクへ入るルートを潰したことになっていました。その後、ルートが再開されないようにイラク兵がパト ロールしていたものと思われますが、ミイラ取りがミイラになってしまったわけです。ルートが閉じていないとすれば、稲妻作戦で武装勢力を捕まえてもいずれ補充され、テロ攻撃が再び激化することになります。すでに、こういうパターンが出来上がり、抜けられなくなっている感じがします。

※1
http://www.armytimes.com/story.php?f=1-292925-902301.php

※2
http://www.military.com/NewsContent/0,13319,FL_offensive_060905,00.html

 石破前防衛庁長官が台湾有事は日本の周辺事態と発言しました。(6月9日)

温泉好き通信員(東京近郊在住

 こんにちは、神浦さん。温泉好きです。

 先日、友人に誘われて中央大学で行われた国会議員の講演会へ行って参りました。

 参加された国会議員  長島昭久衆議院議員(民主党)

            原口一博衆議院議員(民主党)

            石破 茂衆議院議員(自民党)(公演された順に)

 予定では原口氏と石破氏だけの予定だったらしいのですが、郵政特別委員会が長引いて原口、石破両氏が遅れたために、急遽長島氏がつなぎとしてくることになったようです。

  しかし私としてはこの長島氏の公演が一番興味深かったように思います。民主党の安全保障問題担当といえば前原誠司氏が有名です。しかし話を聞くとこの長島氏はアメリカで安全保障を勉強された方で、米政権の高官とも人脈があり、なぜ今までクローズアップされていないのかが不思議でなりませんでした。このような人材が民主党にいたのかと少々感心しました。

 原口氏( TV タックルで有名の話も非常に面白かったのですが、神浦さんのサイトとはあまり関係の無い内容だったので割愛させていただきます。(笑)

 最後が石破前防衛長官でした。石破氏の公演の要点は「軍事を毛嫌いせずに知ってほしい」ということでした。軍事を勉強するのはマニアやオタクだけではなく、シビリアンコントロールを担う国民全体に必要なもので、危険な知識でもなんでもないと。自衛隊のイラク派遣などでこのサイトではすこぶる評判の悪い石破氏ですが、この点では神浦さんと意見は同じのようです。

 あと気になったのは北朝鮮と台湾に関する発言でした。北朝鮮問題に関して石破氏は「日本単独での経済制裁には反対。」と明確に発言されました。防衛長官になられる前に、拉致議連の幹部をされていた石破氏にしては意外な発言だと思いました。また台湾に関しては、中国の留学生の質問に答えたものですが、「台湾は中国の内政問題ではないか」との質問に石破氏は「ひとつの中国という中国政府の立場を尊重するが、中国 が台湾に武力行使を行い、それによってわが国の安全が明確に脅かされる場合は、周辺事態法に基づきアメリカと相応の対応をとる。」と答えました。台湾は周辺事態と明確に示したことになります。

 それでは失礼します。


 「イラクの自由作戦」が生んだ俗語集です。(6月9日)

スパイク通信員(札幌在住)

 こんにちは、スパイクです。

 「イラクの自由作戦が生んだ俗語集」なるものがありました (※1)。

 読んでみるとイラク戦の実情を反映した内容で、笑ったり考えさせられたりしました。しかし、アラブ世界への偏見に満ちた言葉もあり、本気でイラクを民主化したいのなら死語にすべき言葉も含まれていまし た。こうした言葉を差別的に用いるのではなく、反面教師としてご活用ください。なお、この報告は原文をほとんど訳してはあるものの完訳ではありません。


angele イラクにいる米軍の衛生要員の中で戦闘において死んだ者。

battle rattle 完全装備のバトル・ラトルは、防弾ベスト、防弾ヘル メット、ガスマスク、弾薬、武器とその他の基本的装備品を含めて50 ポンド近くの重さがある。第一の装備品は胴体、肩、背中をカバーする 柔らかいベストである。これは柔軟性のある材料、ケブラーとトゥアロ ンの混合物で作られている。ナイロン製のカモフラージュ柄の外装の中 に両者はサンドイッチ状の作りの形で見られる。ナイロン製のベストは 耐圧製の装備品を取りつける場所を持っている。第二の装備品は、ベス トの前後にあるポケットに収まるセラミック・プレートである。これら のプレートは心臓や肺を守る。イラクやアフガニスタンからのTV ニュース・レポートでは、米軍の要員がバトル・ラトルを完全に 着用しているのが見られる。バトル・ラトルを着ることでイラクとアフ ガニスタンどちらでも命を守ることができる。ヘルメット、防弾ジャ ケット、自動式の火器を着用した完全装備の兵士は、“バトル・ラト ル”“お遊び着”あるいは“ママの気休め”を着ていると呼ばれ、こう した言葉はこの装備が少人数の部隊で使われるためにそれほど多くは使 われなかったがイラクにおける戦争を見通していた。バトル・ラトルと いう言葉は、以前は1812年頃の軍艦において武装を呼ぶのに使わ れていた。(訳注:rattleは「ガタガタいう器具」という意味 で、訳しにくいのでそのままカタカナにしました)

CC: Coalition Country 連携する意思を持った同盟。

dirt sailor 海軍建設大隊(シービー船)のメンバー。イラクでは水 兵は通常の海軍の役割を演じていない。(訳注:直訳すると「汚だらけ の水兵」)

frankenstein 装甲の上にスポット溶接で盛り上がり、波打つ継ぎ目を 持つ海兵隊のモンスター・トラックのこと。2004年 12月の時点で、30,000両の車両がイラクとアフガニスタンにいる と見積もられ、旧式の約8,000両は装甲を持っていない。それら は保護を施され、約6, 000両は完全防護され、約10,000両 は追加キットを受け取り、取り付けられた。

gun truck コンボイの護衛に使われる武装した重装甲の車両。

haji 1:メッカを巡礼した者を指すアラビア語 2:アメリカの兵士 がイラク人を指すときに、アラブ系の格好や褐色の肌の者に対して使 う。アフガン人やバングラディッシュ人に対しても使う。

haji armor 兵士が車両を増強するためにイラク人を雇い、ハンビーの 側面に手に入る金属を溶接して取り付けた急ごしらえの装甲のこと。

haji mart イラクとアフガニスタンの米軍に共通で、フリーマーケッ ト、バザール、往来の商人のこと。通常、嘲りやふざけて用いられる。

haji patrol 1:護衛任務 2:現地雇用の部隊もまたハジ・パト ロールとみなされる。現地雇用者によって行われるあらゆる計画もそう 呼ばれる。

haji shop 最も小さな基地でも兵士がハジ・ショップと呼ぶ店、より 政治的に正確な用語としては、土地の人が経営する店が存在する。 PXに近いハジ・ショップでは煙草から偽ブランド品のサングラスや海賊 版のDVDまで何でも売る。

hillbilly armor 車両の装甲を増強するために、くず鉄を地元のゴミ 捨て場から掘り返して集めて作った車両装甲。この名前はテネシー州軍 第278連隊戦闘団のトーマス・ウィルソン技術兵が 2004年12月にラムズフェルド国防長官に、拾い集めなんかをする 必要性について鋭い質問を浴びせたことに由来する。ウィルソン技術兵 は「なぜ私たち兵士は車両の装甲を強化するために、くず鉄や信頼でき ない防弾ガラスを求めて地元のゴミ捨て場を掘り返す必要があるので しょうか?」と尋ねた。(訳注:名前の由来は、ウィルソン技術兵の出 身地・テネシー州がカントリー・ミュージック(ヒルビリー)で有名な ことから来ているのだと思われます。実態としてはハジ装甲と同じ意味 ですね)

I.E.D.  簡易爆弾

I.C.D.C. イラク民間防衛軍団

inside the wire 捕虜収容所の中のこと。捕虜収容所の“鉄条網の 中”で働くことは、ここで働く米兵にストレスを引き起こしかねない。 しかし、専門家や指揮官たちは隊員たちを手助けするためによく働き、 グアンタナモのような孤島の基地特有の労働条件に対して取り組んでい る。鉄条網の中で働く兵士たちは威圧的な二重扉をいくつも通り抜ける 必要がある。彼らは常にネームテープを隠し、収監者が近くにいる時は お互いを本名では呼ばない。ベトナムにあった米軍基地の境界線を現す ベトナム戦争時代の言葉。(訳注:要するにイラク戦はベトナム戦争よ り過酷…なのか?)

KBR -- Kellogg, Brown & Root 連合軍で最大の契約業者(訳注: KBRはハリバートン社の子会社)

LN 現地雇用人のこと。イラクにいるならイラク人。アフガニスタンに いるならアフガニスタン人という具合。通常、 建設やその他の 仕事をする職をあてがわれた労働者として出会う。

outside the wire  (訳注:なぜか説明が書かれていませんでした。 すごく知りたい気がしますが)

REMF: rear-echelon motherf**r ベトナム戦争時代の言い回しの復 活。(訳注:「後方部隊のクソ野郎」という意味)

Remfland 比較的安全に支援要員が生活し働いている後方部隊がいる区 域。ベトナムと違い、REMFlandは物理的な位置というよりも精神 状態である。

sandbox イラクのこと。(訳注:直訳すれば「砂箱」)

sandpit イラクのこと。(訳注:直訳すれば「砂場」)

sustainer theater AAFESの映画チームは、“Sustainer”とよばれるバラド基地のアナコンダ劇場で上 映する映画の封切りスケジュールを編成している。兵士たちが劇場で封 切りを見る前に、映画を調達するプロセスは数週間の時間と労力がかか り、ダラスにある陸空軍生活品販売業務司令部で最初にはじまる。(訳 注:AAFES=陸空軍生活品販売業務)

TCN [ティーシーエヌ] 第三国人。契約業者として作戦域にいる中立国の市民。2004年夏、アンサール・アル・スンナで殺された ネパール人のトラック運転手はTCNだった。(訳注:日本語にあ る“第三国人”とは意味が違うので誤解なきよう)

※1
http://www.globalsecurity.org/military/ops/iraq-slang.htm

 最新のイラク情勢が日本で正確に伝わっていない。(6月8日)

スパイク通信員(札幌在住)

 こんにちは、スパイクです。

 稲妻作戦で大規模なバンカーが発見されたことは御存知だと思います。そのバンカーがプラスチック爆弾によって破壊されたことがCNN日本語版に書かれています(※1)。しかし、この爆破の半日前にスマート爆弾による爆撃が試みられたようです。 globalsecurity.orgに載った記事には、この爆破に先立つ6時間半前に、5発のスマート爆弾(five high-precision smart-bombs) が投下されたと書かれています。高価なスマート爆弾を使う必然性があったのか疑問です。

 国内の報道では稲妻作戦への反撃として検問所への自爆攻撃ばかり報 じられていますが、銃撃による攻撃も起こっているようです。先の日曜日に、イラク人女性警察官1名がバグダッドのアミン地区で銃の掃射を受けて車上で死亡しています(※2)。この事件はバグダッド市 内で行われた点が気になります。

 その他、色々と情報が入ってきていますが、今回の成果はどこかにメモっておくとよいでしょう。作戦終了後、作戦が行われた地域からテロ攻撃がなくなるかどうかを調べると、テロリズムの実際の動きが実感できるはずです。

 さて、戦没者記念日にブッシュ大統領は演説を行い、その後、記者の質問を受けているのですが。その中には「あなたは反乱が力を増して、 いっそう危険になっていると思いますか? イラク政府が武装勢力を打ち破り安全保障を確実にしようとしていると思いますか? 」と いう質問もありました。ブッシュの答えを簡単に言うと「私はイラク政府が武装勢力を打ち破ると考える。私は40,000人のイラク兵がバグダッドの治安を守る手助けをしているのに勇気づけられた。我々の仕事は彼らの訓練を手伝うことだ」でした。今まで通り言葉は綺麗ですが内容のない答えです。

※1
http://www.cnn.co.jp/world/CNN200506060018.html

※2
http://www.globalsecurity.org/military/library/news/2005/06/ mil-050606-mnfi01.htm

 第7師団の創立記念祭で61戦車が久しぶりに登場しました。(6月6日)

スパイク通信員(札幌在住)

 こんにちは、スパイクです。

 5日に千歳市に駐屯している第7師団の創立記念祭が行われました。

 今年、式典に参加した国会議員は以下の通りでした。やはり、選挙区が北海道にある方ばかりです。風間だけ比例代表区で、他の方は近隣に選挙区を持っています。ちなみに、千歳市は選挙に関しては「保守王国」とマスコミは呼びます。

 自民党 町村信孝(衆議院議員・北海道5区)
 自民党 伊達忠一(参議院議員・衆院道8区)
 公明党 風間昶(参議院議員・比例北海道区)
 民主党 鳩山由紀夫(衆議院議員・北海道9区)

 祝辞では、確か風間さんだったと思いますが、「寒い場所で訓練をし ている皆さん(自衛隊員)がクソ暑いサマワに派遣されることに違和感を憶えたものです」と発言しました。祝辞の挨拶に「クソ暑い」という 言葉はないもんだと思いました。

 観閲行進では、過去に使っていた主力戦車を行進させるという特別な出来事がありました。M24戦車、61式戦車、74式戦 車、90式戦車が順に登場しました。M24はトレーラーに乗せていましたが、61式戦車は自走していました。隊員が整備して走れるようにしたのです。61式戦車が走っているのを見るのは何年ぶりかと思いました。(写真を貼付しました)

 別の会場で装備品展示が行われていました。砲弾の行方不明事件を起こした96式自走迫撃砲を今年は展示しないのではないかと心配していたのですが、そんなことはありませんでした。しかし、普通一緒に展示するはずの模擬弾は置いていませんでした。去年は増加発射薬が付 いた状態の模擬弾が見られたのですが、今年は「置いておくと事件のことを質問されるから」と恐れたのかも知れません。来年は展示してほし いものです。

 米軍内で同性愛兵士の問題が起きています。(6月3日)

スパイク通信員(札幌在住)

 こんにちは、スパイクです。

 まず、昨日報告した21歳未満の米兵(ウィスコンシン州のみ) に飲酒を認める法案について追加します。

 記事にリンクされている掲示板を見てみると、二つのことが分かりま した。

  軍の基地内では21歳未満の兵士の飲酒が伝統的に認められている。
  大半の発言者は、法案の是非はともかく、21歳未満の兵士の飲酒に賛成している。

 ある元兵士の発言が現状を明確に表現していました。
 「私は1967年に17歳で陸軍へ入隊した。(基地内の)兵卒用や下士官用のクラブに通って、酒を飲むのはたやすいことだった」。

 他にも似たような発言がいくつも載っていました。発言者の中には法案成立を指示する声もあるものの、「どうせみんな飲んでるだろ」という現状容認的意見が中心のようです。こうした状況では、この法案の議論を始めると軍の黙認行為にフォーカスがあたり、やはりまずい話に発展しそうです。よって、支持者はさほど増えないと思われます。

 さて、本日の報告はキリスト教保守派が眉をしかめそうな話です。同性愛者が米軍内で立場が悪いのは有名ですが、同性愛者であることを公表した兵士が除隊することになったという報道がありました。 (※1)

 この兵士は工兵隊の軍曹(23歳)で、去年5月にハンビー車載の機関銃を撃っている時に手榴弾攻撃を受け、顔、腕、脚に破片が食い込み、パープル・ハート勲章を受勲した人物です。彼は陸軍に残ることを希望していましたが、名誉除隊となり除隊日に帰国するこ とになりました。国防総省によれば、同性愛者であることを公表したことが同省の「聞かざる・言わざる政策」に抵触するそうです。「聞かざる・言わざる政策」とは、「同性愛者の入隊は拒否しないが、告白もす るな」という同省の方針のことです。

 この話で米軍の軍事司法統一法典には「肛門性交罪(125 条)」という罪名があります。これは相手が同性、異性、動物であるかを問わず、いわゆるアナル・セックスを行った場合に適用されます。これは強姦罪とは違います。強姦罪は120条に定義されています。肛門性交罪は英語では「Sodomy」と書きますが、これは一 般的には男性同士の同性愛を指す言葉で、私は最初は同性愛を禁止する規則かと思いました。こういう用語を使っているところに米軍内での同性愛者差別の原因の一端がある気がします。科学が同性愛者が生まれるのが自然な現象であることを証明した以上、自分がヘテロであることを理由に同性愛者を差別はできないと考えるべきだと思います。だから、 同性愛者がカミングアウトしても構わないと思うし、法規の用語も見直 しをかけた方がよいと思います。それに、入隊希望者が少ない現状で、 同性愛者を除隊させてしまうのも理屈に合わない気がします。

※1
http://www.military.com/NewsContent/0,13319,FL_gay_060105,00.html

(神浦・・・軍隊の場合は、単に統計や生理学以外に、特殊な任務環境を考慮する必要があると思います。むろん女性兵士の同性愛者も同様です)

 米兵の飲酒年齢を下げる法案が話題になっています。(6月2日)

スパイク通信員(札幌在住)

 こんにちは、スパイクです。

 昨日、世界の治安が9・11テロ直後と大して変わっていない話を書きましたが、今度はちょっと呆れる報道を目にしました。

 ウィスコンシン州出身の下院議員マーク・ペティスが、ウィスコンシン州の兵士の飲酒年齢を19歳に引き下げる法案を推進しているそ うです(※1)。アメリカではお酒が飲めるようになるのは21歳から。それを19歳に変更して欲しいというわけです。ちなみに、ペティス議員は海軍出身者です。

  ペティス議員の提案には「飲酒運転防止母の会・ウィスコン シン州支部」が真っ向から反対しています。同支部は、交通事故と飲酒運転の因果関係と21歳までに脳の成長が続くことを根拠に、それ以前の飲酒は認めがたいと主張しています。

 どう考えても、この法案は成立しそうにありません。それに、この話をしようとすると、かつて大酒飲みだったブッシュ大統領が断酒していることや、彼の娘が歳をごまかして酒を飲んだ武勇伝が思い出され、笑 い話になってしまいます。それに、飲酒を禁じているイスラム教徒と戦争をしている現在、あまりにも不適当な話でもあります。こんな恩典でも与えないと兵隊が集まらないとでもいうのか、議員の背後に酒造メー カーでもいるのか分かりませんが、くだらない議論をしている暇があったら中東情勢を何とかしてほしいものです。最近のアメリカのすることは正直分かりません。最近、米映画にはブッシュの政策に反対するメッ セージを盛り込んだものが急増しています。アメリカに関して評価できるのがそれだけというのはまったく困りものです。

※1
http://www.military.com/NewsContent/0,13319,FL_drink_060105,00.html

 テロを恐れ米軍人(家族)がエジプト旅行をキャンセル。(6月1日)

スパイク通信員(札幌在住)

 こんにちは、スパイクです。

 イタリアにいる米海軍の要員と家族92名が、戦没将兵記念日に計画していたエジプトへのツアーをキャンセルしたというニュースが、 スター&ストライプ紙(欧州版)に掲載され、それが military.comに転載されました。(※1)

 すでにツアーの費用は支払い済みだったため、キャンセル料も必要となり、25名がより安価なギリシャのコルフ島への旅行に切り替え ました。このキャンセルの理由はテロリストに攻撃される危険性があるためで、決定は今月11日に行われました。ちょうど、イラクでテロが激化している頃に決定が出された格好です。イラクのアルカイダが 盛んに活動している時、エジプトに百人近いアメリカ人(しかも軍人とその家族)がグループで旅行に行く情報が漏れれば、エジプト国内のアルカイダやその他のテロ組織が食指を動かすということでしょう。また、こうしたエジプトへの旅行が禁止されるのは9・11テロ直後にも行われ、米海軍ヨーロッパ地域担当公安責任者ステファン・ホーフェル大尉によれば、禁止期間は少なくとも2年間でした。

 コルフ島はよい選択だったようです。まず、ギリシャの宗教はギリシャ正教です。コルフ島はトルコに近いエーゲ海ではなくイオニア海側の、しかも一番北にある島なのでイスラム教徒はいそうにありません。 孤島で人々の流入が制限され、監視もしやすく、訪問する観光客は大半がヨーロッパ人です。旅行したがっているアメリカ人がいたら、コルフ島を薦めてやりましょう。(笑)

 今回の措置の理由は旅行者の安全のためとなっています。でも、米政府はエジプトを渡航禁止国に指定しているわけではありません。戦没将兵記念日にはアーリントンでブッシュ大統領が演説します。「米国はよ り安全になった」と大統領が言った直後にアメリカ人がエジプトで殺さ れると、ブッシュ政権にとってダメージが大きいという判断も働いている気がします。バグダッドでの稲妻作戦もあって、ブッシュ大統領は戦没将兵記念日で恥をかかずに済みましたが、ヒッラなどバグダッド以外では大規模テロが発生しています。日本ではまだ報じられていないよう ですが、アルジャジーラはバグダッドの北にあるバクバの検問所で自爆攻撃があり、イラク兵1名を含む2名(多分犯人自身)が死に、負傷者 9名が出たと報じています。ある報道によると、稲妻作戦は来週も継続 して行われます。これらの報道の中にいい話はひとつもありません。

※1
http://www.military.com/NewContent/0,13190,SS_052705_USO,00.html

 ブッシュ大統領が海軍士官学校の卒業式で行った演説です。(5月30日)

スパイク通信員(札幌在住)

 こんにちは、スパイクです。

 今日は、ブッシュ大統領が27日に海軍士官学校卒業・任官式で行った演説を紹介します。(※1)

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大統領が国防総省の全面的な改変を概説

 アナポリス、2005年5月27日 - 技術の革命 的進歩は「我々に有利に戦争を変化させている」とブッシュ大統領は今日、米国海軍士官学校で語った。

 大統領は、このような技術進歩に対しての国の投資は「我々の戦争の定義を再認識させ、我々の平和を維持するのを手助けするだろう」と付け加えた。

 ブッシュは、2005年の士官学校の卒業・任官式で、米軍を再編成する遠大な計画を説明するための場として、彼自身の基調演説を用いた。それらの計画は、軍隊の編成方法や、訓練や装備品の変更だけでな く、国外国内共に基地をどこに配備するかにも関係している。

 再編成の努力の目標は、米軍を“より速く、より軽量で、より機敏で、そしてさらに強力”にし、新しい脅威に対抗するためによりよい位置に配置されることだとブッシュは言う。

 「今日、危険な脅威は世界中どこでも一瞬で発生する。そして我々は世界中でどこでもこれらの脅威に対抗こうしなければならない」と彼は言う。

 大統領は、聴衆の海軍将校候補生に、彼らが“君たちが任務を完了さ せるのに必要なすべての装備や資源”を所持することを約束し、そして 政府がこの誓約に必要な資金調達を実行していると言った。

 合衆国は過去4年の間に160億ドルを軍の能力の再編成のために投資し、そして現政権は次の4年にわたってさらなる推進のために780億ドルを要求したとブッシュは言う。 加え て、彼は研究開発に2,400億ドルが投じられ、これからの十年間でいっそう進歩した能力が開発され、現政権は次の4年の間に 2,750億ドルをこうした努力を続けるためにさらに要求した。

 「我々はすでに我々の軍隊を改変する技術の力を見ている」と彼は言 う。 1991年の湾岸戦争時に、例えば、空母甲板から離陸する航空機は1日あたり約200カ所の目標を攻撃できた。 現在、イラクの自由作戦では、その数字はその能力の3倍、 1日あたり600カ所以上にまで飛躍した、と大統領は指摘した。

 同時に、これらの攻撃はますます正確になっている、と彼は言う。新型のヘルファイア・ミサイルは、例えば、一つの建物の階を個別に攻撃でき、洞窟、掩蔽壕、堅固な建築物に隠れる敵軍を攻撃できる。

 「これから数年間の内に、サーモバリック(燃料気化爆弾)を搭載し たヘルファイアがドアをノックしにやって来て、テロリストたちは腰を抜かすことだろう!」 と聴衆が拍手喝采した時、ブッシュは 言った。

 再編成の前途は“さらにいっそう劇的だ”と大統領は約束し、聴衆に技術の計画と開発をかいま見せた。

 ・潜水艦が潜行できない深海へ行くことができる無人の深海艇
 ・弾道ミサイルを撃ち落とすことができる進化した破壊兵器
 ・敵の攻撃範囲内に特殊作戦部隊と巡航ミサイルを静粛に運搬できる攻撃型潜水艦
 ・戦闘に近づき軍隊に浮桟橋から攻撃させる能力を持った統合化した水上基地
 ・ほとんど完全に戦域を認識できる海中監視システム

 統合化した戦術用無線機のようなその他の技術革新は、“真に統合化 した軍として共に行動するために”激戦の中での情報共有を可能にする だろう、とブッシュは言う。

 「これらの技術的進歩は見たこともない敏捷性、スピード、正確性と パワーを君たちの手元に置くであろう」と大統領は海軍将校候補生に 言った。 それは“より有効性があり、より射程が長く、民間人の犠牲者を減らすと共に”敵を攻撃する能力も与える。(記事、終わり)
−−−−−−−−−−

 演説の骨子は、ハイテク兵器が続々と開発されているということで、 テロ戦争の行く末に関しては何ら触れられていません。紹介されている 兵器の中には驚くようなものもありますが、テロ戦争を決着するのに役 立つ兵器は僅かです。本来、どうやってアルカイダを駆逐するのかを演 説すべきなのですが、なにしろ材料がないのでハイテク兵器の話で聴衆の目を欺いたのだと思いました。

 以下は余談です。演説中にヘルファイア・ミサイルのところに登場し たサーモバリック型弾頭は、意外な武器にも搭載されることになるよう です。新型のグレネートランチャーXM25はこの弾頭を発射できま す。(※2)

 XM25は自動小銃のような形ですが、20ミリから25 ミリまでの口径のグレネード(擲弾)を発射する装置です(組み立て式 なので、5.56ミリの小銃も本体に組み込めます)。歩兵が携帯するグレネード・ランチャーとしては単発式ではなく、引き金を引くとグレネードが一発発射され、次弾が自動的に装填されるセミオート式なの が斬新です。だから、引き金を連続して引くと短時間で沢山のグレネー ドを発射できます。グレネードは命中すると爆発するので、これを連続 して敵陣に撃ち込めるのは極めて有利です。標的に弾を命中させるのではなく、爆発する弾を撃ち込むことで命中率を高めるよう設計されてい ます。開発元は「XM25は、防御拠点、地域、500メートルまでの隠れている標的への命中率を300から500%向上させる」としています。

 このXM25は5種類の弾頭(サーモバリック弾、フレシェット矢 弾、訓練弾、高性能爆薬弾、非致死性弾)を使用でき、サーモバリック 弾が使えるのが特徴です。これらの弾頭の性能は記事には書かれていませんが、サーモバリック弾が燃料気化爆弾そのものだとすると、歩兵にとってはかなりの脅威ではないかと思います。XM25は、基本的に空中で弾丸を爆発させて攻撃するシステムなので、伏せて被害を減らすことが難しいと想像できます。まして、燃料気化爆弾なら、その威力は恐ろしいものでしょう。

 現在進行中の技術革新は戦場の姿を大きく変えるのでしょうが、知れば知るほど気分が滅入ってくる気がします。人を殺す方法ばかり進歩させても安全は手に入りません。

※1
http://www.defenselink.mil/news/May2005/20050527_1385.html

※2
http://www.military.com/soldiertech/0,14632,Soldiertech_XM25,,00.html

 Multi-National Force-Iraqのサイトがリニューアルされました。(5月28日)

スパイク通信員(札幌在住)

 こんにちは、スパイクです。

 今日は、Multi-NationalForce-Iraqのサイトがリニューアルし たことを報告します。

 前に雰囲気が怪しいと散々書いたMulti-NationalForce-Iraqの サイトですが、最近リニューアルしました(※1)。デザインは よくなりましたが内容は変化はないようです。参加国の活動の紹介記事は、私がケチをつけたためではないでしょうが削除されており、国旗と 国名が表示されるだけになりました。今となっては、前のバタくさいデザインが懐かしいですね。

 ここを眺めていたら、ニュースのコーナーにラムズフェルドの名前が見えたので、気になって記事を訳しました。この記事のソースは defenselinkに掲載されています。(※2)

 これを読むと、ラムズフェルドが半分くらいは正しく現状を認識して いるものの、残りの半分は曖昧にしか認識しておらず、自らが決めた戦略と冴えない現状との因果関係については一言も触れていないことが分かります。皆さんは、どのような感想を持たれるでしょうか?


 国防長官が“戦争の顔”の変化を語る

 フィラデルフィア、2005年5月25日−テロとの戦 いは過去のいかなるアメリカの戦いとも異なっており、ドナルド・ラム ズフェルド国防長官が今日、全米国際問題評議会のメンバーにそれがど れほど異なっているかを述べた。

 アメリカに対するテロリスト攻撃から三年半経ってもなお、敵が何千という無辜の男性、女性と子供をなぜ殺したかを理解することは難し い、とラムズフェルド氏は言う。

 けれども、もしアメリカ人が攻撃を導いた悪魔を理解することができ ないなら、彼らは計画の背後にある動機を確実にするだけである。「彼 らの目標は非常に単純で、アメリカを活動不能にして、文明世界を脅迫 し、そして狂信者の新しい波を引き起こし、育てようとすることだ」と 長官は、テロリストによる2001年9月11日の攻撃に ついて言う。

 文明世界が対面する敵は過去のいかなるそれとも異なっている、とラ ムズフェルド氏は指摘した。テロリストは国や政府を持っていない。 「我々は官僚機構、あるいは法律、道徳、構造的な制約に拘束されない 敵と対面している」と彼は言う。

 敵は国家や宗教ではない。「それは実際にはひとつの特定できる組織ですらない」とラムズフェルド氏は言う。「どちらかと言うとそれは、 暴力的な過激主義のための狂信的な信奉者であり、第一に選択される武 器であるテロリズムを用いる運動である。彼らは中世のものの考え方を 近代的なツールや技術と統合する。彼らは敵対的、友好的な国家の中で、そして我々自身の国の中でさえ活動する。

 長官は過激派は降伏せず、和平交渉はしないであろうと言う。「彼らは斬首されたようにギブアップすることはないだろう。彼らは我々の世界の将来の暗い喜びのない展望を求めている」と彼は言う。

 敵の非常に不明確な性質は彼らを防戦に強くする、とラムズフェルド氏は言う。過激派はいつでも攻撃することができ、彼らに対して配備さ れた巨大な連合国さえも、すべての場所を同時に防御することはできな い。

 長官は、過激派が必要とするもの−中でも、新しいテロリストをリク ルートし教育するためのイデオロギー上の支援について触れた。敵も同様に指導力と命令系統を必要としている。彼らは安全な隠れ家と経済的援助を必要としている。そして、彼らは“大量殺戮兵器を潜在的に含 む”武器を必要としている、と彼が言う。

 最後には、敵は通信ネットワークと自由国家内の標的への接近方法を必要とする。

 連合国の成果にもかかわらず、新しいテロリストのリーダーは前進を続け、新しい過激派のネットワークが出現している、とラムズフェルド 氏は言う。「世界中のイスラム神学校は、まったくの見当違いの塊から新兵を生み出し続けている」と彼は言う。

 この戦争から生まれた二つの真実がある、とラムズフェルド氏は言う。第一に、この紛争は軍事的な手段だけによって勝利を収めることは ない。第二に、この争いはいかなる国であれ単独で勝利を収めることはない。

 アメリカの戦略は、暴力的な過激主義のイデオロギー的な要求を減らす方法を見いだすはずである。「これは、政治的、経済的自由の促進におけるブッシュ大統領の戦略の背後にある主要な動機である」とラムズフェルド氏は言う。「男女を問わず、人々は生活がもっとコントロール できて、意見を言い不満を解消する民間用の通気口を持っていれば、過激派に魅せられ可能性はずっと低くなる」

 アフガニスタンとイラクでの出来事は、自由への“強力かつ一貫した 要請”を証明している、と長官は言う。

 ラムズフェルド氏は、イラクの新政府は包括的でマイノリティの権利を尊重するであろうと言う。「多くのスンニ派はいま、選挙に参加しなかったのは失敗だったと考えており、進んで身を乗り出そうとしている」と彼は言う。「そしてイラクのシーア派は、選挙のあとでスンニ派の下で30年間も苦しんでいたのを終わらせ、それによりマイノリ ティたちにそういった生活を課す番になった。彼らはそうしなかった。 その代わりに彼らはスンニ派に手を差しのべた」

 ラムズフェルド氏は、彼がまた、現在165,000人以上になった イラクの保安部隊の成長に勇気づけられていると言う。「彼らは規模と信頼性と能力で発展しており、彼らは着実にますます多くの責任を連合軍から引き継いでいる」と彼は言う。

 しかし、形がなくぼんやりとした敵を攻撃するために、アメリカ政府自体が変化しなくてはならない、と彼は言う。「戦争と平和の間、外 交、紛争と安定化の作業の間にある古く硬直した仕切り−それらはもう 存在しない」と彼は言う。「そして種々の部局の役割はある一点におい て調整される」

 例として、彼はアメリカは戦時と有事の両方における各国への対処法を理解していると言う。「けれどもテロと戦っているとき、我々は過激派がそれらの地域の境界線に隠れることで自信を“有利”にする統治さ れていない地域がある国々があることに気がつく」と彼は言う。「これ らの国々と戦争をしているのではないから、彼らに対処することはでき ない」

 「テロとの戦争にどう対処するかにおける制限と抑制はかなり重大 で、世界の統治されていない地域の問題もまた非常に重大である」と彼 は指摘した。

 彼は、アメリカが“戦争状態になく、戦争をしたくない”国々にいる過激派に対する作戦をどう指揮するかという問題が浮かぶ、と言う。

 これは特に統治されていない地域の問題に対処する能力のない国々に とって問題である。「それは世界が理解することが重要な複雑性である」と彼は言う。

 ラムズフェルド氏は、大統領はテロに対して最も効果的な武器を選択する柔軟性を必要としていると言う。ある場合、軍隊は最良の武器とな るかもしれない、と彼は言う。別の場合、情報の共有や法の執行、あるいは資金が最良の対抗策であるかもしれない。「これらすべてがほとん ど等しく重要だ」と長官は言った。


※1
http://www.cjtf7.army.mil/

※2
http://www.defenselink.mil/news/May2005/20050525_1338.html

 米軍戦死者と政府高官のコメントのズレ (5月26日)
スパイク通信員(札幌在住)  

 こんにちは、スパイクです。

 「3日間で米兵14名が死亡」という記事が military.comに載りました(※1)。これで、今月の米軍の戦死者累積は前月を越えました。4月は52名が戦死しましたが、今月はすでに55名を記録しています。月末までにはもう少し増えてい るはずです。

 これまでのパターンから言うと、来月あたりから米兵士の戦死者数は徐々に減少に転じ、8月頃に最低を記録して、その後また増えるという 形になるでしょう。理由ははっきり分かりませんが、米軍の戦死者はこ んな感じで上下し続けていて、ここ数ヶ月もそのパターン通りに推移し ています。

 この仮説を念頭に、これからの数ヶ月を見てみたいと思いました。数字がどう推移するか、米政府高官がどんなことを言うかなど、チェック したいことがあります。これまで米政府高官やCNNのコメンテー ターが発した言葉で納得できたものはほとんどありません。

 4月にPMC要員が乗った民間ヘリが撃墜された時、CNNに 出演したコメンテーターは「武装勢力の最後のあがき」と解説しまし た。ところが、今月は首都バグダッドを中心に激しいテロ攻撃が行われ ました。ペンタゴンは簡易爆弾への対処は効果を上げたといいますが、 今月もかなりの兵士が同じ攻撃方法で死んでいます。マイヤーズ統幕議長は「武装勢力の規模は一年前とほとんど変わらない」と言いました。 あとで気がついたのですが、この発言は彼の退任が決まった後のもので す。彼は辞めるので気が楽になって本音を吐いたのかも知れません。イ ラクの自由作戦が実施された時の統幕議長は彼でしたから、さっさと辞めたいところだろうと思います。

 この戦争に見られる米政府高官の発言には感心できるものがほとんどありません。こうした評価の基準になるのが米兵士の戦死者数です。どんなタイミングで誰が何を言うかを見ていると、状況がよりよく見える気がしてきます。

 話は変わりますが、昨日の「防大の図書館に赤旗がある」という件 ですが……私はマルクスの「資本論」も置いていると聞いたことがあり ます。ソ連崩壊以前、ある自衛官から、彼が上官の許可をもらって資本論を読んだという話を聞きました。「敵に勝つには、まず敵を知らないとね。共産主義もその通りに実現すれば悪くないのじゃないですか」 と、彼は笑いながら話してくれました。今はこんな気風はなくなったのでしょうかね?

※1
http://www.military.com/NewsContent/0,13319,FL_killed_052505,00.html

 新型の偵察機器「アイ・ボール R1」をイスラエルが作りました。 (5月25日)

スパイク通信員(札幌在住)

 こんにちは、スパイクです。

 さて、本日の報告は「アイ・ボール R1」という新型の偵察機器で す。(※1)

 R1は『ゲゲゲの鬼太郎』に出てくる“目玉のおやじ”みたいな 形のイスラエル製の監視カメラです。この写真を見て笑わない人はいな いでしょう。簡単にいうと、ボールの中にカメラとマイクが入っていて、自分から見えない場所に投げ込んで使います。R1は接地する と自動的に底部が地面を向き、カメラが付近の映像をとらえます。映像と音声はワイヤレスで受信機(PDU)で確認します。電波は 200ヤード(約183m)まで届きます。近赤外線による暗視機能も持ちます。バッテリーの動作時間はR1が2時間、PDUが3 時間。

 文字で読むより、※2のアドレスにアクセスしてビデオをダウ ンロードして見るのが早いでしょう。「Complete Video」を右ク リックして、リンク先のファイルを保存するコマンドを選択し、デスク トップにダウンロードしてからビデオ再生ソフトでご覧ください。非常に分かりやすい解説ビデオです。

 しかし、確かに良くできた機械ですが、仮にこれをイラクに大量投入したところで大勢は何も変わらないでしょう。兵器の評価と戦争への影響度はまた別です。R1は現場の負担を少し軽くしますが、その効 果は現場の外には及ばないと考えるべきです。R1が兵士の死傷率を下げたとしても、それをカバーするほどの簡易爆弾の攻撃が起きれば、R1の効果は無になります。国内メディアの記事だと、こうい う機器を紹介する時、締めくくりは「イラクの武装勢力の掃討で活躍が 期待される」なんて書かれるものですが、こういう文は才能のない記者が書くもので、何も思いつけなかった証拠みたいなものだと思った方が無難です。

※1
http://www.military.com/soldiertech/0,14632,Soldiertech_Eye,,00.html

※2
http://www.remingtontd.com/video.htm

 アメリカにはミリタリーチャンネルもあります。 (5月23日)

スパイク通信員(札幌在住)

 こんにちは、スパイクです。

 21日のWhat's Newで話が出た軍事専門チャンネルは、ア メリカで既に実例があります。かなり前にこのことを知って、レポート に書こうと思いながら避けておりました。

 スカイ・パーフェクトTVでも視聴できるドキュメンタリー専門チャ ンネルの「ディスカバリー・チャンネル」からは、動物番組専門チャン ネル「アニマル・プラネット」が生まれるなどしていますが、そういう チャンネルの一つとして「ミリタリー・チャンネル」があります (※1)。この番組は日本では視聴できないのですが、在日米軍 関係者はどうしているのかちょっと不思議です。

 ミリタリー・チャンネルは24時間軍事番組ばかり流します。番 組表を見ると大体の内容が分かります。戦争の歴史から、現在行われて いる戦争まで幅広い番組が用意されています。見たい番組ばかりで羨ま しい気がします。

 この他、「ペンタゴン・チャンネル」という無料の官製放送もありま す。これは日本や韓国でも視聴できるそうですが米軍人向けの放送で、 受信機材が日本のと違うようです。放送の一部はネット上でも見ること ができます。内容は米国防総省の宣伝なので、あまり面白いものではな さそうですが、参考資料としては十分に使えるはずです。

※1
http://wings.discovery.com/

※2
http://www.pentagonchannel.mil/

(神浦・・・・日本でもある大手メディアで検討されているそうです)

 ブッシュ大統領に投げつけられた手榴弾が爆発しない理由。その2 (5月21日)
スパイク通信員(札幌在住) 

 こんにちは、スパイクです。

 昨日投稿した、グルジア共和国でブッシュ大統領を狙った手榴弾が爆 発しなかった原因ですが、実はその記事には紹介した文章の直前に 「FBIの初動捜査によると、手榴弾は機能不良により爆発しな かった」と書いてあります。それで、スプリングの問題だろうと考えた のですが、英語でいう「malfunction」は日本語ほど厳密に構造 上の問題を指さず、使用法の問題で機能しなかった場合も言う場合があ ることを思い出しました。

 そこで、神浦さんがいうハンカチに包まれたために爆発しなかった可 能性を考えるようになったのですが、ちょっとあり得ないと思いまし た。ハンカチを巻いたくらいで手榴弾の機能は阻害されません。そう考 えたものの根拠を見つけられず一日中悶々としていました。

 そうしたら、その後に出てきたニュースに「ハンカチによる不発説」 を裏付けるものが見つかりました。USA Todayの記事に「バージ ニア州、アレキサンドリアのGlobalSecurity.org、防衛政策部の 責任者ジョン・パイクは、手榴弾の周囲に巻かれた布がハンドルを締め 付け、爆発しなかったと思われると解説した」と書いてありました (※1)。ハンドルとは起爆器が動くのを押さえている部品で、 安全ピンを抜くとスプリングの力で弾け飛びます。私が思うに、ハンカ チは巻いただけでなく縛られており、安全ピンを抜いてもハンドルが外 れず、起爆器が動かなかったので爆発しなかったのです。これで納得で す。

 しかし、犯人がなぜそんなことをしたのかが気になります。この事件 は単なる脅しとは思えません。そこで出てくる結論は一つです。手榴弾 がすぐに爆発すれば会場はすぐに封鎖され、自分が逃走できなくなるか も知れない。そう考えて、誰かが拾ってハンカチをほどくようにすれば 少しでも爆発のタイミングを遅らせ、安全に逃げられる可能性が高まる と考えたと想像できますね。

 さらに言えば、攻撃対象はブッシュ大統領ではなく、聴衆だったので す。どうせ彼の前には防弾ガラスがあるのですから、手榴弾を爆発させ ても、運がよくても軽傷程度しか負わせられません。大統領の目の前で 人々が虐殺される光景を作り出せば、「人々を守れない大統領」のイ メージを世界中に配信できます。大統領を暗殺しなくても彼の演説を聞 きに集まった人々を殺すことで同等の効果があるのです。大統領が遊説 を減らせば大衆は彼を身近に感じなくなり支持率も落ちます。そういう 意味で、今回の事件はホワイトハウスには衝撃だろうと思います。

※1
http://news.yahoo.com/news?tmpl=story&u=/usatoday/20050519/ pl_usatoday/livegrenadeposedthreattobush

 ブッシュ大統領に投げつけられた手榴弾が爆発しない理由。 (5月19日)

スパイク通信員(札幌在住)

 こんにちは、スパイクです。

 今朝のNHKニュースをはじめ、各種新聞が報じていますが、グルジア共和国の首都トビリシで、ブッシュ大統領の演説会場から手榴弾が見つかった事件で、「手榴弾が聴衆の少女に当たり、衝撃が柔らかかった ことなどから、不発に終わったという」との情報が出てきました。手榴 弾は衝撃で爆発するわけではないので、この記事は意味が分かりませ ん。ひょっとすると手製の爆弾だったのかとも考えました。

 そこで、海外のニュースを調べてみると、手榴弾はソ連製の RGD-5の廉価版であると分かりました。さらに不発の原因は「起爆器が 雷管を十分強く叩くにはあまりにもゆっくりと動いたため」と書いてあ ることも分かりました。原文は下の通りです。
The activation device deployed too slowly to hit the blasting cap hard enough, agent Bryan Paarmann said.

 手榴弾の構造は手榴弾暴発事件の時に書きましたが、安全ピンを抜く とスプリングで動く起爆器が雷管を叩いて発火させ、遅延素子に着火 し、その炎が3〜4秒後くらいに手榴弾本体の火薬を爆発させる仕組み です。要するに、そのスプリングが不良品で雷管を叩く力が弱すぎたのです。ところが、こうした構造を知らずに英文だけを見ると、手榴弾が地面に落ちた時の衝撃で爆発するように読めてしまうのでしょう。こう いう誤訳は誰でもやります。私もモノを知らずに英文だけ読んで、まっ たく別のものを想像したことが何度もあります。とはいえ、落ちた場所が柔らかいと手榴弾が爆発しないのなら歩兵はとても困ることになり、 常識の範疇で気がついて欲しい気もします。時々、海外から配信された 記事の意味が分からずに頭の中が「?」で一杯になることがあります が、多くの場合で誤訳が原因です。

 私が見た範囲ではNHKと読売新聞のどちらも前述の内容を報じてい ました。通信社から配信された記事は原稿のまま掲載することになって いるので、今回の誤報はAP通信の翻訳スタッフが手榴弾の構造を知らず、誤訳したのが原因と思われます。また、翻訳する時、武器の固有名詞が重要な手がかりになる場合もあることを考慮して省略しないで欲しいと思いますね。

 最後に、RGD-5の写真が載っているページを紹介します。 (※3)

※1
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050518-00000216-yom-int

※2
http://news.yahoo.com/news?tmpl=story&u=/ap/20050518/ap_on_go_pr_wh/ bush_grenade_2

※3
http://www.jmas-ngo.jp/page/jitseki/tama/teryu/teryu5.jpg

(神浦・・・・あの手榴弾は白いハンカチに包まれて投げられたそうです。そのために作動しなかったと思います)

 米軍の戦死手当が大幅増額したのと、ハート・セキュリティ社による誘拐事件の詳報です。 (5月17日)

スパイク通信員(札幌在住)

 こんにちは、スパイクです。

□米軍の戦死手当が大幅増額に

 最近のイラクでのテロの激化により、アメリカは好材料をほとんど失ったようです。ニューズウィーク誌日本語版の5.18号は、「米軍の高官に、イラク戦争の細かい見通しを聞いても無駄だ。どうせ彼らには分からない」と書きました。アメリカのイラク戦争についての政府支持率も最低値になりました。

 そこで、米政府はライス国務長官にイラクを初めて訪問させることで イメージ挽回を図ったのですが、AP通信は「38 Bodies Discovered As Rice Visits Iraq(ライス長官がイラクを訪問した日に38体の遺体が発見される)」と、皮肉を込めて報じました(※1)。 ホワイトハウスはいまは何をやっても駄目という感じがします。

 戦争で手詰まりになるとどこの国もすることは同じです。ブッシュ大統領は先週、戦死手当をこれまでの 12,000ドルから 100,000ドルまでに増額する法律に署名しました (※2)。 この戦死手当は、2001年10月 7日以降、戦闘地域や戦闘に関する演習で死亡した兵士の親族に支払われます。条件に該当する死亡兵士の親族は、すでに戦死手当を受け取っ ていても、差額分をこれから受け取れます。これで一層戦争に金がかかることになります(もちろん、遺族は大いに助かるわけですが)。他に士気を高めるには勲章を増やす手もありますが、これも既にやっている ので、あまり勲章の数を増やすとインフレ状態になって逆効果だという 問題もあります。前出のニューズウィーク日本語版には、空軍と海軍の 退役者を陸軍に編入する制度ができたのだけど、志願者が少ないとも書 かれています。この手の工夫も実行中の戦争の筋が悪ければ意味があり ません。


□ハート・セキュリティ社による誘拐事件詳報

 ハート・セキュリティ社の一番新しいマスコミ向け発表を翻訳しました(※3)。あまり目新しいことは載っていませんが参考にはな るでしょう。広報の文であっても、時刻を「1830」のように軍隊 式で書いています。おまけに、記者会見やインタビューはしないとも断っています。ここがいかにも軍事会社を思わせますね。
 過去の発表を見ると、斎藤氏の任務については、昨年12月からイラクで働いていたとしながらも、任務の内容は事件が起きた時に輸送 団の護衛としか書いていません。ずっと護衛だったのか、別の仕事をし ていたこともあるのかは、ここからは分かりません。

ここから翻訳文です
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 イラク、アル・アサド ハート・セキュリティ社の輸送団への攻撃  2005年5月13日17:00更新

 Q&A

 輸送団のメンバーすべては明らかになったのですか?
 輸送団チームは14人のイラク人と4名の外国人、合計 18人で構成されています。当社は4人のイラク人と2名の外 国人が待ち伏せで生き残ったことを確認しています。

 2名の外国人のチーム・メンバーに関するニュースはあります か?
 斎藤昭彦に関する状況は変化していません。南アフリカ出身のニッ ク・クッツェーは二番目の行方不明者です。ニック・クッツェーが行方 不明で、死亡したと推定されると報告しなければならないのは遺憾の極 みです。

 行方不明のままのチーム・メンバーに関するニュースはありますか?
 数多くの遺体が現場から回収されました。残念なことに、攻撃の性質 上、犠牲者の特定には若干の時間を取ります。そのため、相当な長期間 いかなる新しい情報も入手できそうにありません。

 今は、すべての関係者にとって、特に犠牲者の家族や友人にとって最 も難しい時期であり、彼らは皆さんに彼らのプライバシーを尊重するこ とを望んでいます。

 さらなる更新のため当サイトを御注視ください。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

※1
http://news.yahoo.com/news?tmpl=story&u=/ap/20050515/ap_on_re_mi_ea/ iraq_9

※2
http://www.military.com/NewsContent/0,13319,FL_benefit_051505,00.html

※3
http://www.hartsecurity.com/news.asp

 行方不明の迫撃砲弾の捜索が終了しました。(5月14日)

スパイク通信員(札幌在住)

 こんにちは、スパイクです。

 北海道大演習林島松地区から発射された迫撃砲弾が行方不明になった事件がありましたが、13日をもって現場周辺での捜索が打ち切られま した。捜索開始と終了の記事がBNNに載っています (※1)。

 今週初めから大規模な人員が投入されたのを見て、今回で捜索は終了するものと思っていましたが、やはりそうなりました。 これ以上の捜索は意味がないと判断されたのでしょう。

 結局、この事件は謎だらけで終わりそうですが、事故と同じ環境で着弾実験をやって、それを公開して欲しいと思っています。あるいは、砲弾メーカーがそうしたデータを持っているのなら、それを公開してもよ いと思います。高度7メートルなら痕跡が見つからないことがあっても おかしくないのか否か。そうした説明が最後に欲しいところです。

※1
http://www.bnn-s.com/bnn/bnnMain?news_genre=2&news_cd=220011027255
http://www.bnn-s.com/bnn/bnnMain?news_genre=2&news_cd=220011027264

 昨日の追加報告です。(5月13日)

スパイク通信員(札幌在住)

 こんにちは、スパイクです。

 「TheU S Army Corps of Engineers」について情報提供をしていただいた方、 大変ありがとうございます。時間がなくて、ゆっくりサイトを見ることができな かったのですが、かのサイトに河川の模型を使った実験の写真が載っていた理由 が分かりました。

 それから…

 >以上を踏まえて個人的な意見を述べると、国家に雇われているわけではない人間を「傭兵」という語で表すのは不適当であると思います。

 私も「斎藤氏は傭兵ではない」と書きましたが、このご意見は少し杓子定規に 過ぎると思います。広義おいて、または一般常識的には、斎藤氏のような人は傭 兵とみなされているからです。

 先の投稿で書きましたが、ジュネーブ条約第一追加議定書第47条はすでに国際法学者の間で問題視されています。前掲の「新版 国際人道法 〔再増補〕」の中 でも、現在の傭兵の定義は、傭兵の範疇に含めてよい者も排除する可能性があると指摘しています。私には第47条は改正の必要があると感じるし、同時にPMCに ついても何らかの国際協定が必要で、その活動の範囲を制限すべきだと思ってい ます。私たちが目を向けなければならないのは、まさにそこなのだと思います。 本来、私はこれを言いたかったのです。

>職業によって適用される法律が変わるんですか?それとも弁護士の価値観で法 律は左右されるものなんですか?

  言葉尻を捉えた突っ込みになるかもしれませんが、同じ案件でも立場が違う法 律家に相談すると、まったく違った答えが返ってくることは私自身が経験してい ます。また、裁判でも裁判官の価値観で判決がいかようにでもなることも、実際 に法廷で見ています。法律問題を考える上ではこうした違いも踏まえなければな りません。傭兵やPMCの問題においても同じです。特に、傭兵の境界線はかな り曖昧で法律家により意見が異なることは容易に想像できます。

>要は、「人殺し」稼業従事者なのです。

 傭兵がアフリカ諸国から「人殺し」とみなされたように、PMCが新しい「人殺しの傭兵」として紛争当事国から呼ばれるようになる日はすでに到来していま す。だからこそ、ファルージャで武装勢力に殺されたPMC社員が暴徒に焼かれる事態が生まれたのだし、なお重要なのは、それをきっかけにファルージャ掃討という軍事行動が起こされた、つまり紛争そのものをPMCが左右するほど影響が大きくなっているのです。もっと、重要なのはアブグレイブ刑務所での捕虜虐待 事件で、実際に拷問を行ったのはPMCの社員で、軍事裁判にかけられている米軍人たちは拷問の準備をしたに過ぎない下っ端でした。ジュネーブ条約に違反する 行為を行ってもなんら罰することができないPMCは、明らかにダークな存在であり、現代のモンスターだといえます。PMCは明るみになっていない部分で何を やっているか分かりません。イラク以外の地域でもPMCの蛮行は報告されてい ます。斎藤氏がそうした活動を行ったかどうかは定かではありませんが、命令を受ければ拒否できないのは明らかです。もちろん、このことは斎藤氏の救出活動 を左右するものではありません。でも、この事件で浮上したPMCという存在を考える上で、避けて通れない問題です。

 最後に…神浦さんが書いたように、PMCを「警備会社」と呼ぶのは絶対にやめて 欲しいことです。これでは、自衛隊施設を警備する警備会社もPMCと区別がつか なくなります。実際に、PMC社員はちょいと武装した警備員だとしか思っていな い人を何人か見ています。すでに誤解はかなり広がっているようです。

 拘束された斎藤氏は厳密にいうと「傭兵」ではない。(5月12日)

スパイク通信員(札幌在住)

 こんにちは、スパイクです。

 国内マスコミ報道は通常の事件報道のように、被害者の心情にフォー カスする手法でこの事件を語ろうとしています。その結果、傭兵というダークな職業が賛美されている点が気にかかります。そこで、基本的な知識の再編集でしかないのですが、とりあえず知っておくべき事柄を整 理しました。マスコミの方々にはこうしたことを配慮した報道をお願い したいと思います。
(民間軍事企業の略称はPMC、PMF、PMI等色々あり ますが、国内マスコミがPMCを使っているので、便宜上今後は PMCに統一します)

□斎藤氏は厳密に言うと「傭兵」ではない

 斎藤氏は傭兵だったと報じられていますが、明らかになった範囲では、斎藤氏が傭兵であった時期はありません。俗っぽい表現では傭兵と言っても外れとはいえませんが、この言葉をそのまま使い続けると、その内に議論の整合性が取れなくなる危険があります。(なお、私には昨 日投稿された方の意見を批判する意図はありません)

 周知の通り、斎藤氏は自衛隊、フランス外人部隊、ハート・セキュリ ティ社の三つの軍事組織での経歴があります。このいずれもが実は傭兵部隊ではありません。自衛隊が傭兵部隊でないことは説明を要しませ ん。フランス外人部隊は俗に傭兵部隊とよばれていますが、実態はフラ ンス軍の指揮下にある正規軍です。ハート・セキュリティ社はPMCで、これは傭兵部隊とは違います。マスコミが傭兵斡旋業者と書いている場合がありますが、専門家は分けて考えています。

 傭兵の定義はジュネーブ条約第一追加議定書第47条に示されて います。この条項は、傭兵は戦闘員又は捕虜になる資格を有しないとして、6つの条件すべてに合致する者を傭兵であると定義しています。その条件は以下の通りです。

(a) 武力紛争における戦闘のために特に地方又は外国で特別に徴募さ れていること。
(b) 実際に敵対行為に直接参加していること。 
(c) 主として私的利得を得たいという願望から敵対行為に参加し、実際に紛争当事国によって又は紛争当事国のために当該紛争当事国の武装部隊の類似の階級に属し及び類似の任務を有する戦闘員に約束され又は支払われる額を相当上回り物質的報酬を約束されていること。
(d) 紛争当事国の国民でなく、また、紛争当事国が支配している地域の住民でないこと。
(e) 紛争当事国の武装部隊の構成員ではないこと。
(f) 紛争当事国でない国が自国の武装部隊の構成員として公の任務で派遣した者ではないこと。
(「自衛官国際法小六法」より引用。読みやすいように一部を編集済み)

 普通の人がこれを読むと、PMCの社員も傭兵であるように読めるかも知れませんが、これらの条件は個人を前提としています。特に、 (d)(e)(f)はそのことを理解しやすい内容になっている点に注意してく ださい。

 それから、これも重要なのですが、この条件に該当する傭兵は実際には極めて少数になってしまいます。これについては、藤田久一著「新版  国際人道法 再増補」の中に第二章第一節の中に説明があります。第 47条には欠点があり、傭兵の範疇をかなり狭くしています。長くなるので省略しますが、気になる方は88ページを読んでみてください。

 傭兵は中世においてはごく当たり前の存在でしたが、近世にはいると国民皆兵制が定着し傭兵制度は廃れました。しかし、アフリカの解放戦争で傭兵は再び復活しました。このため、ジュネーブ法の改正において、傭兵の被害を受けたアフリカ諸国とヨーロッパ諸国の意見は真っ向 から対立しました。アフリカ諸国から見れば傭兵は「殺し屋」なので認めがたい。ヨーロッパ諸国は傭兵は外観が軍隊そのものだから戦闘員と して認めてよいと考えました。そのため、第47条の内容はもっぱ らアフリカにおける傭兵を対象にして決められました。この経緯も「新 版 国際人道法 〔再増補〕」に書いてあります(多分、大学の講義で も必ず教えられるはずのことです)。

 以上は私が考えたことではなく、他人の意見をまとめただけですが、 まずはこれくらいの基礎知識を仕込んでから考察を始めたらと思いま す。傭兵もPMCも、今後さらなる対策が必要になるはずです。かなり深刻な問題なのに、ちまたの議論を見ているとあまりにもミーハーで気がかりなので書いてみました。

 余談ですが、日本でもジュネーブ条約の追加議定書が発効したことは御存知だと思いますが、その中に条約の知識の普及範囲が軍関係者から 国民全体に拡大しました。よって、学校の教科書にも載る可能性が高まります。これからの子供は学校でジュネーブ条約の基礎を学ぶことにな るはずです。子供にバカにされることのないよう、今からしっかり勉強 しておきましょう。(笑)

※1 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050511-00000113-yom-soci

(神浦・・・・斎藤氏がPMCと契約し、PMCは戦地での戦闘任務をクライアント(政府、軍事・武装勢力、民間企業など)と契約しています。斎藤氏が得るのは報酬です。という考えにたてば、斎藤氏の業務は民間企業が、ある組織から軍事業務を請け負うことで、それは戦闘を目的にしたビジネスで傭兵だと思います。すなわち傭兵の条件を満たしていると思います。斎藤氏が契約したPMCはアフリカの部族闘争や反政府勢力の武力制圧なども請け負っています。新しいタイプの傭兵業務だと思います)

 イラクで拘束された斎藤氏の経歴に関する情報です。(5月11日)

スパイク通信員(札幌在住)

 こんにちは、スパイクです。

 その後、ハート・セキュリティ社のサイトの正しいアドレスが判明し ました(※1)。

 それから訂正があります。ハート・グループの創設は1997年で はなく1999年でした。1997年は企業のためにベセルがディ フェンス・システムズ・リミテッドを離れた年でした。それから、会社 登記はバミューダで行われています。税制が緩いタックスヘイヴンとし て有名なバミューダで登記したのは巧妙です。

 斎藤氏はフランス外人部隊で21年間の軍歴があり、階級は曹長(神浦・・・上級曹長のようです)、小隊長を務め、部下が200人いたと報じられています。 200人といえば中隊の人数で、小隊はせいぜい多くても40名程度です。フランス外人部隊の中隊の編成内容は知らないのですが、部下が 200名いたという表現からは、斎藤氏は小隊長ではなく、中隊付きの先任曹長だったのではないかという想像が浮かびます。つまり、中隊司令 部勤務で中隊長を補佐する立場の曹長だったということです。その前に小隊長を経験していてもおかしくありません。21年間も在籍した古参兵ならこの方が自然ですね。

 斎藤氏がハート社で警備主任だったというのは、身分証に「Security Manager」と記載があるためで、これは納得できました。とにかく、一 つの現場を任させるような立場だったはずです。
 身分証の写真からもう一つ気になるのはハート社の身分証の下に「TF RIE」と書かれた別の身分証があることです。これは「Task Force Restore Iraqi Electricity」の意味でした。イラクの電力施設を復旧 するための対策組織で、活動を紹介したホームページがあることも分か りました(※2)。
 で、このホームページの大元を辿っていくと、「US Army Corps of Engineers」(※3)に行き着き、さらにもう一つのサイトに行き着くことが分かりました。この組織の沿革を見ると、アメリカ独立の時代まで遡ります。1775年(独立宣言の前年)にボストン近郊のバ ンカー・ヒルに要塞を建設する承認を大陸会議が採択した時が発祥の時 です。1802〜1866年まではウェストポイント士官学校を監督下に置いていました。現在、34,600人の民間人と650人 の軍人を擁しています。ちょっと実態がピンと来ないのですが、官民一 体の組織のようです。米軍の周辺にある関連団体の一つかな。

 なんとなく斎藤氏を取り巻く環境が分かってきた感じがしています。 その他、色々と関連情報は出てきていますが、誰にでも分かる形にはまとめ切れそうにありません。

※1
http://www.energygroupinc.com/index.htm

※2
http://www.hq.usace.army.mil/cepa/iraq/Electricity/electricity.htm

※3
http://www.usace.army.mil/

 イラクで拘束された斎藤氏が勤務している戦争請負会社の情報です。(5月10日)

スパイク通信員(札幌在住)

 こんにちは、スパイクです。

 起床してテレビをつけたらイラクで日本人が誘拐されたとの報道に接 し、一気に目が覚めました。

 情報が少ないのでネットでも調べてみました。齋籐昭彦氏がどの会社に雇用されていたのかは分かりません。しかし、武装勢力が公開した身分証明書の拡大写真が見つかったので、「Hart GMSSCO」という 社名で検索したら、どんな会社か分かりました(※1)。

(その 後。NHKニュースは、社名をハート・セキュリティ社と報じまし た)

 公式サイトらしい「hartgrouplimited.com」(※2) は、なぜかアクセスできませんでした。「iraqsupplier.com」 (※3)と「sourcewatch.org」(※4)の記事から 見て、間違いなくPMFです。P・W・シンガー著の「戦争請負会社」の、主なPMFのウェブサイトのリスト(p471)にも 掲載されていました。

 「Hart GMSSCO」は「Hart Group」傘下の警備会社で、 「GMSSCO」は「Global Marine Security Systems Company」の略。「Hart Group」は1997年に英軍特殊部隊SASの元将校リチャード・N・ベセル(Richard N. Bethell)によって創立されました。おまけに、ベセルは最近ウェストベリー卿 (Lord Westbury)の称号を得ています。

 齋籐氏は警備員であり、写真で見る限り軍人風の風貌です。自衛隊出身者かその他の軍隊での経験があるのかも知れません。

 とりあえず分かったところまでを送りました。


※1
http://story.news.yahoo.com/news?tmpl=story&u=/050509/ photos_wl_me_afp/050509192722_ggarvnwq_photo0

※2
http://www.hartgrouplimited.com/

※3
http://www.iraqsupplier.com/docs/profiles/hart/home.htm

※4
http://www.sourcewatch.org/wiki.phtml/Hart_Group

 オランダ軍のサイトにサマワの自衛隊の写真が掲載されています。(4月28日)

スパイク通信員(札幌在住)

 こんにちは、スパイクです。

 記事の書き方を工夫してみることにしました。今回より冒頭にタイトルと要旨を書きます。これを読んで読むべきかどうかを判断して頂いてから本文を読んでもらうと、関心の低いテーマの記事を読んでしまうことを減らせると思います。

〔記事の要旨〕
□オーストラリア軍のサイトに見るイラク派遣隊
 豪軍のサイトに自衛隊に関係する記事とフジオカ三佐の写真があります。

□マイヤーズ統合参謀本部議長が弱気の発言
 マイヤーズ議長の弱気発言の本当の問題は、日本の記事に書かれなかった議長の言葉にありそうです。


□オーストラリア軍のサイトに見るイラク派遣隊

 イラクのムサンナ州に派遣されたオーストラリア軍が自衛隊をどう見ているのかが気になり、同軍の関連サイトを見て回りました。

 オーストラリア国防省のサイトには、簡単な記事が載っていました。豪軍は「触媒」という名前の作戦(Operation Catalyst)を実施しており、その任務の説明は「この任務郡は日本の復興活動(工兵要員)の安全を守るだけでなく、この地方のイラク軍の訓練を行 う」と書かれています(※1)。妥当な説明です。豪軍にはサマワに派遣されたという意識はないのか、「ムサンナ州に派遣された」という表現が使われてい ます。自衛隊の活動範囲はサマワ限定ですが、豪軍の活動範囲はムサンナ州全体です。

 このサイトには写真やビデオ映像が沢山アップされており見応えがあります(※2)。また、同国防省の新聞には自衛隊員が写った写真もあります (※3)。画面を少し下へスクロールすると右側にその写真が見えます。写真のキャプションは次のとおり。

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 ノウハウの共有
 MREに参加した、王立オランダ陸軍航空機動歩兵連隊・ピーター・ハーゲマン少佐。米海兵隊・マイケル・ヴァッカ中佐。英国海兵隊コマンド・エドワー ド・パークス中佐。日本陸上自衛隊・フジオカ・フミオ三佐。
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(「MRE」は任務をはじめるための予行演習のことです。the Mission Rehearsal Exercise)

 国防省が発行しているニュースペーパーなのに、「Entertainment」のコーナーにはホラー映画「リング2」の記事が載っているし、 「Only Joking」には互いの死角を疾走してきた戦車が側面衝突した写真や風刺漫画が載っていたり…日本では考えられないことでいっぱいです。あちこち見て 歩くと思わぬ発見があるかも知れません。

※1
http://www.defence.gov.au/opcatalyst/

※2
http://www.defence.gov.au/opcatalyst/gallery.htm

※3
http://www.defence.gov.au/news/armynews/editions/1118/features/ feature01.htm


□マイヤーズ統合参謀本部議長が弱気の発言

 つい最近「この調子でテロが沈静化すれば米軍は撤退できる」と景気のよい発言が米軍筋から聞こえたばかりでしたが、26日、マイヤーズ米統合参謀本部 議長が「武装勢力の能力は1年前とほとんど同じだ」と弱気の発言をしたことが報じられました(※4)。「現場」であるイラク派遣部隊からは景気のよい発 言が聞こえ、本国がそれを否定しているという構図は、ベトナム戦争の時もベトナムから本国への報告が杜撰だったことを思い出させます。同じことがイラク で起きていないか気になります。

 問題はそれだけではありませんでした。日本で報じられたのはマイヤーズ統合参謀本部議長の発言のすべてではありません。翻訳されなかった部分には問題 がこってりと含まれていました。記事に書かれた彼の残りの発言を順番につなげるとこうなります。

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私の私見では、アメリカと連合軍は武装勢力を打倒するものでありません。武装勢力を打ち破る者たちはイラク人だろうと思います。そして、イラク人は軍事 的手段だけでなく、政治的な進歩によってそれを行い、イラクの人々に彼らが国家に関与しているという実感を持たせるでしょう。私は、我々が明らかに勝っ ていると思います。私は、我々は最前から勝っているのだと思います。現状を見るならば、我々は選挙を実施しました。イラク人は政府を樹立する用意は大体 できており、期待するよりは遅れているとはいえ、内閣などが組織されようとしています。
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 米軍はテロリストを倒すためにイラクに行ったのに、いつの間にかトーンダウンしてイラク人に責任を投げている点に注意しましょう。「勝っている」とい う言葉には注意が必要です。確かにバグダッド陥落までは「勝った戦争」で、確かに“最前”は勝っていた訳です。でも、ワシントン流の言い方でその後の失 敗を成功に見せかけているのです。これからも「テロが減った」「テロが増えた」という無意味な見解の披瀝が繰り返されるはずですから、注意してみていき たいと思います。

 これまでのパターンからいうと、そろそろ米軍へのテロ攻撃が増える頃です。アルジャジーラの英語版サイトにはJR福知山線の脱線事故が詳しく報じられ ています。アラビア語版ではどうかは分かりませんが、テロリストが鉄道を狙ったテロを考えないか、少しだけ心配です。

※4
http://news.yahoo.com/news?tmpl=story&u=/ap/20050427/ap_on_re_mi_ea/ us_iraq_insurgency

 アメリカの戦争を「神(善)の戦争」と説くためにコミックを使う実例。(4月27日)

スパイク通信員(札幌在住)

 こんにちは、スパイクです。

 昨日の「メールにお返事」の投稿「記述の間違いを指摘しておきます。」に関しては、引用したサイトの問題性がすでに他の方から報告されています。他にも戦車を崇める替え歌があったりと、J-RCOMで取り上げるべき種類のサイトではないと思います。

 私の投稿に関する批判に関しては「またかいな」という気持ちです。折角の示唆も目的を間違えたために台無しです。どうしてこう軍事に関しては「オレだけが正しい」型の発言が多いのか。過去にも「お前が言うことは間違いだ。正しいのはオレだ」と私に言ってきた人が何人もいますが、例外なくどうでもいい話ばかりで酒席の笑い話にしかなりません。この手の意見は「オレオレ主義」とでも命名したいところです。

 なぜそう思うかというと…私は本の内容についてたまに出版社宛に投書をすることがあります。たとえば、それが翻訳の内容に関することである場合、訳語が不適切な理由と自分が適切だと思う訳語を明確に書きます。そうするのは、誤りを指摘して悦楽に浸ろうとするクレーマーとみなされることを防ぐためです。また、内容はできるだけ丁重かつ手間をとらずに理解できるようにします。訳し方をちょっと指摘したくらいで大したことをしたとは言えませんし、そのことを自分が理解していると相手に知ってほしいからです。

 そこで、投稿に対する具体的なコメントを書こうかと思ったのですが、皆さんはすでに色々とお考えだろうと思うし、疲れるだけなので止めました。…とい うわけで、また投稿するなら、もっと参考になる記事を送ってくださいと言うだけにします。

 今日はちょっと変わった報告です。

 米国防省のサイトを見たら、マーベル・コミックス社のスーパーヒーローのイラストが掲載されていました(※1)。何かと思ったら、今月28日にペンタ ゴンのメイン・コンコースでスーパーヒーローの着ぐるみショーが開かれるのです。ラムズフェルド長官も参加する予定です。ポスターには、家族ぐるみでカ メラ持参の上ご参加のことと書いてあります。「Superheroes to Visit Pentagon April 28, 2005 (pdf)」と書いてあるところをクリックするとポスターがダウンロードされます。このポスターの前列にいるのは映画化されたヒーローです。「Xメン」 のウルヴァリン、ハルク、スパイダーマン、岩みたいなのと女の子はこれから公開される映画「ファンタスティック・フォー」のメンバーです。

 アメリカのコミック雑誌の歴史をテーマにした番組でこんな解説を聞いたことがあります。第二次世界大戦時、米軍はコミック雑誌を米兵への支給品に含めていました。この頃のスーパーヒーローはファシストを敵にして戦っていました。ポスター後列右のキャプテン・アメリカは米軍が生んだ超戦士で、ヨーロッパ戦線でナチと戦いました。ベトナム戦争後にハルクが登場すると、今度はヒーローは米陸軍と戦うようになりました。ハルクは軍の実験で体が変質してしまい、軍から追われる身だったためです。ハルクの映画版は原作を尊重して、名前こそ出さなかったもののイラク戦を批判するシーンも設けました。ところが、 9・11テロが起こると、スーパーマンの恋人ロイス・レインが貿易センタービルで死んでしまうコミックが描かれるようになりました。

 そして、このイベントの話を聞くと、前とは違った形で第二次世界大戦の頃に戻ったという印象を受けます。言うまでもなく、コミック雑誌のファン層は若者です。特に、若い男性に人気があります。正義感が強い若者の支持を得るにはマーベル・コミックス社は米軍を支持せざるを得ません。互いの利益が合致し てこういうイベントになるのでしょう。似たようなケースは他にも見られます。プロレス団体のWWEは軍人を試合に無料招待したことがあります。非常にま ずい関係ができあがっている気がします。日本と違い、アメリカはまだ国のために戦うことに対するモチベーションが強い国です。それ自体は問題ないのですが、国が無益な戦争をしようとしている時でも疑問を持たないのは問題です。

 これにはアメリカの宗教熱が関係しているかと思いたくなるTV番組が最近ありました。新しいローマ法王の就任にちなんでか、CNNが「善(神)と悪」 についての討論番組を放送しました。司会者は有名なラリー・キングで、聖職者をはじめとして様々な人が意見を述べましたが、「善は神から生まれたもの」 との意見が多かったと記憶します。信仰の効用は認めますが、それは内心の問題です。社会的な問題に万能の技術を人間は持ち得ていないことを理解しなけれ ばなりません。だから、「神はアメリカを祝福している」→「テロリストはアメリカを攻撃した」→「故にテロリストを倒す戦いは善である」としか考えない のは止めてほしい。「戦場」という第二次世界大戦を舞台にした映画で、従軍牧師が「ファシストと戦う意義」について兵士に説くシーンがあるのですが、その論法もこんな感じでした。この作品は1949年に公開された古い映画ですが、そこに見られた考え方は現在とあまり変わらない気がするのです。すべての アメリカ人がこんなに単純だとは思いませんが、現在はそうした傾向が顕著に出ている時期だと思っています。

 最後におまけを…「スターズ&ストライプス」のサイトに便利なイラクの地図が載っています(※2)。米軍基地がすべて書き込まれているので、イラク関 係の記事を読む時に便利です。もちろん表記は全部英語です。トップページの左欄の下の方にある「IRAQ MAP」をクリックすると自動的にダウンロードされます。pdf形式なので、Adobe Acrobat Reader等の読み取りソフトが必要です。

(※1)
http://www.defenselink.mil/

(※2)
http://www.estripes.com/

 ヘリを撃墜した武装勢力が拘束されました。それから新型地雷マトッリクスの情報が見つかりました。(4月25日)

スパイク通信員(札幌在住)
 こんにちは、スパイクです。

□イラクでのヘリ撃墜事件

 その後、CNNがヘリ撃墜の瞬間の映像も報じました。Mi−8は低い高度を飛んでおり、かなり近い距離で後方からミサイルが撃たれています。武装勢力はヘリが自分たちの頭の上を通過したのを確認してから攻撃したように見えます。ミサイルが命中すると激しい爆発が起こり、Mi−8は炎の塊になって墜落 しました。映像を見る限りでは、使用された武器はRPGではなく携帯型の対地空ミサイルです。接地するほんの少し前に機体の右側から黒っぽい影が飛び出 して地面に落ちるのが微かに見えます。映像ははっきりしていませんが、これは生存した人が飛び降りたのが写ったのだと思います。

 報道では、これは武装勢力の最後の抵抗だと強調していました。前日の放送では武装勢力は移動の手段を失ったという話も出ていましたが、これは多国籍軍 の現在の任務が武装勢力の移動を分断することだと受け取った方がよいでしょう。自分たちがやっていることは効果が出ていると思いたいものです。しかしそ の割には、テロ攻撃が頻発していることを考えると、結論を出すのは早すぎます。なお、MNFI&MNCIのサイトによれば、ヘリ撃墜事件に関してイラク 人から情報提供があり、武装勢力6人を確保したとのことです。ヘリ撃墜に使われた青の米国製(キア・モータース社)のピックアップトラックから身元が分かったようですが、本格的な調査はこれからです。彼らが裁判にかけられるとすると、一般の民間人を殺害したことになるのでしょうか? 危険を覚悟で PMF業についている者を民間人とみなすのは理屈に合いません。PMFの立場が確定していないことから、これは裁判の争点になる気がします。

 それから、死んだアメリカ人はブラックウォーター・セキュリティ・コンサルティング社の社員だということが分かりました。警備会社とはいえ、イラクを訪問したブレア首相を警護するなど、日本の警備会社とはまったく違うことは、この会社のホームページを見れば分かります(※1)。イラクでは米外交機関の警備を請け負っているようですが、このサイトに掲載されているヘリに武装した警備員を乗せている写真を見ると米特殊部隊そのものです。また、 「black water」は文字通り黒い水を示す言葉ですが、「汚水、廃水」という意味もあります。普通の警備会社なら、こんな社名は使わないでしょう。この会社はPMFといってよく、軍組織とほとんど同一です。しかし、アメリカのマスコミは「罪もないアメリカの民間人が殺された」という感覚で報道しています。

□新地雷システム「マトリックス」

 以前に新型の地雷システム「マトリックス」のことを少しだけ書きましたが、やっと写真を見ることができました(※2)。これは航空機の着陸場所、火砲類の発射基地、その他の基地を防衛するための装置です。マトリックスは6月までにモスルにいるストライカー旅団で9月までテストが行われ、それから全部 隊に配備されます。この手の記事は軍事雑誌などにいずれ載るでしょうが、ちょっと見方をしたいと思います。

 簡単にいうと、マトリックスは無線で最大25個の地雷を管理するシステムです。操作はタッチパネル式のラップトップから「スパイダー」というプログラ ムを通じて行います。管理できる地雷はマトリックスはM-18クレイモア地雷、M-5群衆制圧地雷に対応しています。この二種類の地雷について簡単に説 明しますと…

 記事のページの一番上の写真がM-18です(※3)。上の板状の装置が地雷部分で、ケーブルと起爆器(左下)のセットになっています。M-5も見かけ はほとんど同じです。地雷の中にはシート状の火薬とボールが入っていて、ボールを狙った方角にまき散らし敵を殺傷します。ボールはM-18が金属製 (700個)、M-5がゴム製(600個)です。広範な範囲に効果があるので極めて効果的な兵器ですが、最低でも1人が操作のために起爆器の側にいる必 要があります。

 マトリックスはパソコンで地雷を集中的に遠隔操作することでこの欠点を埋めるものです。でも、具体的な仕組みはよく分からない部分もあります。

 そもそも写真に写っているのが何なのが記事からは分かりません。地雷を制御する送信機なのか? 敵を監視するレーダー装置か? 地雷そのものなのか?  本体から突き出ている6本の筒は送信用あるいはレーダー用のアンテナなのか? それとも金属ボールと火薬が収まったケースなのか?

 操作員はどうやって遠くて広い地雷帯を監視するのでしょうか? 記事を読む限り対人レーダー装置はなさそう…です。記事には、地雷廃絶運動活動家の 「遠方から軍人と民間人を正しく判別して爆発させられるのか」など民間人にとっての新しい脅威となるという疑問が書かれています。これは重要な疑問だと 思いますが、この記事にリンクしている掲示板に見られる軍人たちの見解は「無知な活動家どもは何も分かっておらん」という口調であり、マトリックスの導 入を一様に歓迎しています。多分、軍は監視カメラを併用し、監視カメラで敵を確認して地雷を爆発させる方法を考えると思います。これは操作員を敵の狙撃 兵から守るためにも必要でしょう。しかし、カメラの映像では何かを見誤る可能性もありそうです。

 パソコンで制御する仕組みは不安定さを連想させます。たとえば、スパイダーのインターフェイスがどんなものかはまったく書かれていません。虫やトカゲ がタッチスクリーンの画面の上を這い回ったために地雷が暴発するような事はないのでしょうか? たとえば、キーを押しながら画面にタッチしないと爆発し ないといった防止策は用意されているのでしょうか?

 これら装備の名称が「マトリックス」とか「スパイダーマン」を連想させる「スパイダー」なのも気になります。これらはシステムを連想させる言葉ではあ るものの、若者に人気がある映画のタイトルでもあり、兵士に抵抗感なく兵器を使わせるための工夫と思われるのです。

 今後、イラクでマトリックスの暴発事故が起こらないか注意していきたいと思います。

(※1)
http://blackwatersecurity.com/

(※2)
http://www.military.com/soldiertech

(※3)
http://www.military.com/soldiertech/0,14632,Soldiertech_Matrix,,00.html

(神浦・・・・読者の方からメールが届きましたが、「Black Water」には、汚水や排水以外に、夜の暗い海中を示す隠語で、海軍特殊部隊という意味もあるそうです)

 どうでもいい記事を載せるMNCI&MNFIです。(4月23日)

スパイク通信員(札幌在住)

 こんにちは、スパイクです。

 例の怪しいMNCI&MNFIのサイトの「News Releases」に20日付けでこんなニュースが載りました(※1)。

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 4月13日、仕事から家に帰る途中のイラク人のトラックが泥濘につかまってしまった。第101機甲連隊E中隊(第3師団第256旅団戦闘団第156歩兵連隊第3大隊に配属)の米軍パトロール隊が装甲を強化したハンビーと共に彼に救いの手を差し伸べた。写真の中で手助けしている兵士はホースヘッド出身のイエドリアン・スミス技術兵…(以下、兵士の氏名や出身地の紹介)
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 こんなしょうもないニュースをわざわざ掲載した理由が分かりませんし、肝心の写真が載っていません。やはりここは変なサイトだというイメージが抜けません。役に立つ情報は、第101機甲連隊E中隊がニューヨークの州兵部隊で第3師団に配属されているということです。州兵がこのように陸軍部隊に組み込まれて運用されていることが分かります。

 さて、21日にイラクで商用ヘリが墜落する事件がありました。共同通信は「イラク戦争後、イラクで民間の商用ヘリが撃墜されたのは初めて」と報じてい ますが、実情は少し違うようです。

 military.comによれば、このヘリはロシア製のMi−8です(※2)。Mi−8は軍用ヘリで、極めてポピュラーな機種です。Mi−8は60 年代に登場し、様々なバリエーションを生み、後継機と合わせると1万機以上が生産されました。また、世界55ヶ国で使われ、イラン・イラク戦争でも使わ れました。だから、イラク人にも広く知られた軍用機です。さらに、Mi−8の後継機も外観はオリジナルにそっくりで、遠目にMi−8に見える機体は今もイラク国内をたくさん飛んでいるはずです。

 墜落したヘリは(かつて東側国だった)ブルガリアのヘリ・エア社が所有しており、カナダのトロントに本社があるスカイリンク・アビテーション社が チャーターしていました。だから、機体はヘリ・エア社用に塗装されていたはずで、近くで見れば民間機と分かったでしょう。しかし、遠目には軍用機に見え るかも知れません。ヘリ・エア社の幹部は地対空ミサイルによる攻撃が行われたと言っていますが、これが正しいなら機体の模様が見えないほどの距離から攻 撃されたのであってもおかしくありません。武装勢力が軍用機だと思ったのか、民間機との区別は特につけていないのかは分かりませんが、この事件が情勢の変化を示す証拠はありません。

 他に気になるのは、このヘリがどんな目的で飛んでいたかです。スカイリンク・アビテーション社が国防総省と米政府のどちらと契約を結んでいたかは明らかではありません。ホームページを見る限りでは、スカイリンク・アビテーション社は普通の空輸会社です(※3)。業務の受注を受けたものの、カナダの機体やパイロットを派遣する気はなくて、ブルガリアに下請けに出したのでしょう。しかし、登場していたアメリカ人6名は民間の警備会社の人間で、彼らはいわゆる民営軍事請負業(PMF)の関係者であった可能性があります。今のところその辺の情報や武装勢力がそれを知って攻撃したのかも分かっていません。 社名や任務の内容が詳しく発表されないようならPMFであった可能性が高まります。

 CNNの報道も見ましたが、アメリカ人が殺されたことで、キャスターはすっかり「銃後の思想」に凝り固まっていました。彼は「選挙後のテロの沈静が終 わったのか」とコメンテーターに質問していましたが、そもそも沈静化の話は米政府のブラフでした。連日イラク人が大勢殺されているのに、アメリカ人が6人死んだだけで目を丸くするのでは、普段何を見ているのかと思います。搭乗員が写った場面を放映する時は直前で止め、「我々はテロリストのプロパガンダには乗らない。これ以上は見せません」と繰り返し述べていました。撃たれる場面を報じないのは遺族の告訴を防ぐのが第一の理由で、キャスターのコメント には「銃後の思想」が強く感じられました。アメリカ人が殺されたことで急に愛国心を掻き立てられたと自分では信じている印象です。ところでヘリは原形を とどめないほど燃え尽くしていました。この状況で一部の搭乗員が助かったのは、地面に激突する直前に機体から飛び降りたのだと思います。

 最後に、まったく関係がない話ですが、昨日の「メールにお返事」にあった警察のプロファイリング部門はすでに動き出しているようです。以下に情報があ ります(※4)。

※ 1
http://www.mnf-iraq.com/media-information/April/050421b.htm

※ 2
http://www.military.com/NewsContent/0,13319,FL_helo_042105,00.html

※ 3
http://www.skylinkaviation.com/

※4
http://www.kacho.ne.jp/hobby/mpd/hobby-k-b-030926.htm
http://www.c-crews.co.jp/gnext_express/news/back/0307/030703_14.html

 3月以降の米軍兵士の死因第一はIEDでした。(4月22日)

スパイク通信員(札幌在住)

 こんにちは、スパイクです。

 本当にIEDが最大の戦死の原因かを確認したくて、3月1日から4月16日までの60件の戦死者記録を調べました。情報源は globalsecurity.orgの損害レポートです(※1)。

 集計結果はこうなりました。

 死因 パーセンテージ(実数)
 IED 43.3 (26)
 銃撃 21.7 (13)
 迫撃砲 10.0 (6)      
 理由不明の戦死 8.3 (5)
 非敵対的な
 アクシデント 5.0 (3)
 交通事故 3.3 (2)
 爆発 3.3 (2)
 病気 1.7 (1)
 RPG 1.7 (1)
 地雷 1.7 (1)

 IEDと銃撃だけで半分を超えています。IEDと銃撃を比較するとIEDが約2倍。あと3ヶ月くらい様子を見て、割合はこのままでも戦死件数が減って いくようならテロ対策の効果が出てきたと言えますが、参考にしたページに載っているグラフを見れば分かるように、これまでも戦死者数(テロ発生件数にほ ぼ比例すると言ってよい)が何度も激変してきたことを考えると、その可能性はほとんどないと思います。とりあえず今月はこの調子で行くと戦死者・戦傷者 の数は先月並みの見込みで、イラク人を狙ったテロが相変わらず多いので、まだ武装勢力は標的をイラク人に絞っている状態です。これが米軍に集中しだした 時、戦死の件数が急増して依然と変わらない値になるようなら米政府の説明は崩壊したと言って構わないと思います。

 テロの指標として戦死者データを使うのは、私にすべてのテロ事件をチェックする時間がないからです。本当ならすべてのテロ事件を調べればよいのです が、米軍の戦死者データは手軽に手に入り、概ねテロ全体像と相関性があるので活用している次第です。

※1
http://www.globalsecurity.org/military/ops/iraq_casualties.htm

 これが米軍のIED攻撃の対策です。(4月21日)

スパイク通信員(札幌在住)

 こんにちは、スパイクです。

 19日夜、イラク多国籍軍団&イラク多国籍隊(MNCI、MNFI)のwebmaster宛に、一昨日投稿した日本の人道支援活動に関する質問を送 り、回答するよう要請しました。要旨は次の通りです。

 ・日本政府が2004年12月9日に自衛隊のイラク派遣を一年間延長し、陸上自衛隊の約600名の男女がサマワで給水、医療、再建活動を続けていることを書かない理由は何か。
 ・これらの情報は各国が提出した文書を掲載していて、日本政府が情報を提供していないのが原因か。あるいは、他に何らかの理由があるか。

 今のところ回答はなくサイトの情報も更新されていません。あまり期待していませんが、返事が届いたらお知らせします。

 さて、MNCI&MNFIのサイトの怪しい雰囲気が気になるのでさらに記事を読んでみました。

 画面左側にあるニュースの欄にIED(簡易爆弾)対策に関するニュースが載りました。18日付の米軍プレス・サービスの記事「DoD Joint Task Force Making Progress Against IED Threat」は、IEDに関する対策が進行中だと書いています。余談ですが、最近私は「VBIED」という言葉があるのも知りました。この実体は我々 がよく知る車を使った爆弾のことで、「Vehicle Borne IED」の略です。車に爆弾を仕掛けてから、遠隔操作で爆発させるか、自ら自爆攻撃を仕掛けるかで爆発させます。タンク内のガソリンが簡単に爆薬として使える利点がある例の奴です。

 ペンタゴンと陸軍はそれぞれIEDの対策本部を設置しており、ペンタゴン側の対策本部が対策が功を奏していると言っています。ジョセフ・ボテル准将は ペンタゴン・チャンネルと米軍プレス・サービスの取材に答え、三つの主要な対策を説明しました。

 第一は、車両の装甲を強化することです。

 第二は、「ジャマー(無線妨害装置)」で無線式の起爆装置を機能しなくするというハイテク技術の応用です。つまり、妨害電波で起爆装置に爆破の信号が届かないようにすることで、効果が証明されたとしています。

 第三は、「周りにあるものをよく観察する」ように兵士を訓練することです。

 以上の対策で十分なのでしょうか?

 私が知るところでは、3月26日にバグダッドで2名の軍曹が車両に乗ってパトロール中にVBIEDで戦死していますし、昨日もバグダッドではIEDで兵士が2名死んでいます。他にも走行中にIEDで攻撃された事例は最近も多数あります。現在でも徒歩、車両に搭乗中に限らず米兵はIEDで死傷し続けており、これは今でも米兵の死因のトップなのです。

 ボテル准将はジャマーについて、「銀の弾丸ではないが、道具箱の中にある応用できるツールのひとつだ」と表現力に富んだコメントを発していますが、平 たく言えばこれは「ジャマーは効かないこともある」ということです。

 三番目の対策は、要するに「爆弾がしかえられていそうな場所を認識し、近づかないための訓練をする」ということです。これ関するボテル准将のコメント は傑作です。

 「我々が持つ最善のセンサーは我々の兵士だ」
 「IEDの脅威に対する兵士の最高の武器は、油断なく自らを取り巻く環境を見ることだ」
 「我々は彼らの頭脳や目を複製することはできない。だから、我々は彼らに何を探せばよいかを訓練している」

 要は、兵士に「周りをよく見ろ!」と言っているだけです。これはIEDの脅威が伝えられた時に私が最初に考えたことでもあり、いまさら対策だと言われ ても…という気持ちです。危険が考えられても行かないと任務を果たせない場所には行くことになるでしょうし、車で走行中は完全に安全を確認することはで きません。「彼らの頭脳や目は複製できない」というのは、IEDが仕掛けられた場所を探知できていないというのと同じです。米兵がIEDを仕掛けた場所に気がつくようになれば、武装勢力もこれまでのやり方では駄目だと気がつきます。やがて、武装勢力は新しい爆弾の隠し方を見つけ、あとはいたちごっこの繰り返しです。

 …と私は考えるのですが…ボテル准将は「極めて良好な仕事をなし終えた」と自画自賛し、2003年全体で犠牲者の数は40%減少し、IED攻撃を受けた兵士が死亡する確率は50%から18%に減ったとしています。本当でしょうか? また、数字のトリックがなされているような気がしました。

 今週はじめに3月と4月の戦死者のリストをざっと眺めたのですが、依然として戦死の原因のトップはIEDによるものでした。正確に数えたわけではありませんが、むしろRPGや迫撃砲による攻撃が減っていて、IEDの攻撃は以前と変わらないと感じました。戦死者のデータは公開されていますが、負傷者の データは総数くらいしか分からないので何とも言えませんが。多分、アメリカには情報公開制度を使って、統計的に研究している人がいると想像します。その 人の論文が読めれば面白いことが分かるかも知れません。

 ボテル准将は気になることも言っています。

 「我々の努力の大半は我々自身を爆発から防ぐことに向けられている。しかし、究極的にはこの脅威を防ぐために実行者たちの後を追い、殺すか逮捕する必要がある。そうすれば、我々はIEDが仕掛けられることすら防げるのだ」

 爆弾の製造自体を防ぐというのなら、捜査の対象は広く大衆の中に及んでいきます。その手法や装備が開発されるとして、無関係の市民を殺傷しないことを 願うしかありません。とにかく、今後もIEDで米軍兵士やイラク人が被害を受け続けるのははっきりしています。

 ところで、21日朝に見たら、MNCI&MNFIのニュースのリストからこの記事は消えていました。元記事は「Defend America」に載ったもので、18日付のトップページには見出しと記事の冒頭が載っています(※2)。サーバーの問題みたいで、全文が載っている ページを開こうとするとアクセスができませんでしたが、頭のよい武装勢力はこのサイトもチェックしていて、MNCI&MNFIの記事を削除しても意味は ないかも知れません。ともかくも、この記事の内容が頼りないものだったことを証明している気がしますね。

(※1)
http://www.cjtf7.army.mil/

(※2)
http://www.defendamerica.mil/cgi-bin/bye.cgi?http://www.dod.mil/news/ Apr2005/20050418_643.html

 さらにイラク多国籍軍サイトの関連情報です。(4月20日)

スパイク通信員(札幌在住)

 こんにちは、スパイクです。

 前回紹介したイラク多国籍軍団とイラク多国籍隊のサイト(※1)ですが、ちょっと怪しい雰囲気が気になり、さらに探索してみました。

 「Multinational NEWS」の中に「Humanitarian Efforts」(人道支援活動)というページがあります。ここなら自衛隊の記事があるかもしれないと思いましたが、やはり何も載っておりませんでし た。でも、ファルージャの病院を再建する記事は載っています。どうやら、いまのイラクでは自分で街を破壊して、そこに病院を再建してみせるくらい面の皮が厚くないとニュースにならないと見えます。

 ところで、前回紹介した「Multi-National Force」の各国の活動紹介では、この種の活動で先進国のノルウェーの活動実績は実に詳細です。人道支援に関する記述の一部を紹介します。

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 ノルウェーの対イラク人道支援は主に国連機構、赤十字社、ノルウェーのNGOを通じて行われている。イラクにおいて、私たちは清潔な飲料水を提供し、 給水施設の復旧、医療、人道的地雷除去に貢献してきた。さらにノルウェーはイラク北部における地方の復興と地域開発を支援している。
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 あまりにも合理的で行き届いたやり方なので、読んでいて恥ずかしくなってしまいました。国連、赤十字社、NGOを活用する支援活動はいまやトレンドで すが、御存知のように日本政府はアメリカにいい顔するためだけにやっているのでNGOは邪魔としか思っていません。イラク北部はクルド人の問題に取り組 んでいるという意味でしょう。ニーズを意識した計画になっているのに感心します。ノルウェーはバスラ付近に工兵隊を派遣しましたが、復興支援活動をする には危険すぎる状況だとして昨年6月末に撤退しました。現在は、非軍事的な方法での支援を行っています。ちなみに、イラクの自由作戦に参加する可能性を 国防大臣が主張した時、ノルウェー軍の軍人は「米軍の傭兵になりさがるのか」と批判したと聞きます。

 さて、各国の活動内容を読んでいると各文の書き方がまちまちであるため、このサイトで取りまとめた情報ではなく、各国から提出された情報を載せているようにも思えます。日本政府が情報を出していない可能性もあります。そうだとすると、サマワにいるのが人道支援部隊だと明確に示さないは怠慢だとしか思 えません。治安維持ではなく人道支援のみが任務だと示す絶好の場所なのですから。

 それから、トップページの一番下の「Senior Leaders」をクリックするとイラク多国籍隊の司令官ジョージ・ケーシー大将の顔が拝めます。最近「イラク保安部隊の訓練が実を結び、現在のペースで治安が安定するなら、イラク駐留米軍を削減できる可能性がある」と発言した張本人はこいつ…もとい…この方です。その下に日本の復興支援の記事より遥かに長い文が掲載されていますがこれは彼のキャリアです。しかし…このような書き方をする人はかつて見たことがありません。他のサイトの指揮官の自己紹 介を読めば一目瞭然なのですが、文章でざっと軍歴を紹介するのが普通です。軍務だけでなく、士官学校でスポーツ部のコーチを務めたといったことも書き添える場合もあります。ところが、ケーシー大将は学歴、昇進、転属、軍職、受勲の履歴を完全なリスト形式で提示しています。普通ではない書き方が非常に気になります。たとえば、これをハワイに駐屯している第25歩兵師団のサイトを比較してみると、違いが非常によく分かります(※2)。一番上に載っている オルソン中将とケーシー大将の顔を見比べて「どちらとランチを共にしたいか?」と自問すればオルソン中将を選びたくなりませんか? 私はケーシー大将の 評判を知りたくなりました。

 このサイトを見ていると、イラクから発信されている情報をチェックする価値がありそうだと感じますね。

(※1)
http://www.cjtf7.army.mil/

(※2)
http://www.25idl.army.mil/commandgroup_25idl.asp

 アブグレイブ刑務所の虐待調査報告書のコメントなどです。(4月19日)

スパイク通信員(札幌在住)

 こんにちは、スパイクです。

 アブグレイブ刑務所の虐待事件の報告書は法律用の文面らしく難解でしたが、日本人はなかなかこういう書面に接することがないので参考になるのではない かと思います。

 この虐待事件は日本人の米軍憲兵に対するイメージを一変させたといえそうです。日本の大衆が米軍憲兵を始めて意識したのは、終戦後に進駐軍がやってき た時だと思います。白いヘルメットと白い手袋を身につけ、キビキビした動作で交通整理をする姿は、日本人に強い印象となって残ったといいます。それに比 べると、この虐待事件に見る憲兵は実に無能です。違法行為であることも分からず、言われるままに虐待を繰り返し、懲役刑の上に不名誉除隊、もちろん恩給 をもらう権利も消滅しました。でも、仕方がないのかも知れません。脱走について書いてあるところを読むと、一日に2回行うと決められている収監者の点呼 を、週に2回しかやっていなかったそうです。これでは職務怠慢といわれても仕方がありません(拷問で忙しかったのかも知れませんが)。

 翻訳している最中にCJTF-7に交代したイラク多国籍軍団とイラク多国籍隊のサイトを見つけました(※1)。ここはイラクの多国籍軍の公式なサイト だから、自衛隊に関する情報もあるはずと思いました。

 で、トップページの「MultinationalForce」メニューを開き、その中にある「MultinationalForces」を選択してみ ると、多国籍軍に参加している国々の国旗が表示されました。日の丸は一番下にあり、クリックするとこれまでの活動内容が表示されます。しかし、その内容 はちょっとばかりショックでした。サマワでの給水・再建・医療活動については一つも書かれていなかったからです。ひょっとすると、他の国も同じように人 道支援については説明がないのかと思ったのですが、オーストラリア軍が石油・ガス施設を復旧するために専門家を提供していることは書いてあります。おま けに日本人が思っているよりも遥かに米軍に協力しているかのように書かれています(実際にはこの通りかも)。ちょっと訳文を読んでみてください。

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日本の対アフガニスタン援助
1.アフガニスタン復興支援東京国際会議での公約
 ※2年半の間に最高5億ドル
 ※初年度に最高2.5億ドル
2. 2月22日のアフガニスタン復興支援東京国際会議でのDDR(武装解除、復員および元戦闘員の再統合)の公約分3,500万ドル

テロ特措法による活動
1. 2隻の燃料物資補給の艦船および3隻の支援・防衛用の護衛艦をインド洋に配備して、艦隊の燃料を補給する機能を提供した。2003年2月25日現在、こ の艦隊はOEF MIO(訳注:OEFは不朽の自由作戦、MIOは海上阻止活動)を遂行中の連合国の艦船に177回の洋上補給を実施し、F-76燃料を7,400万ガロ ン供給した。
2.2003年2月25現在、C-130、C-1およびU-4は太平洋軍司令部(PACOM)責任地域内で補給及び輸送を支援し143回の任務を完了し た。
3.戦車揚陸艦でタイ軍の工兵隊の建設重機を輸送した。

在日米軍の保安体制の整備
 日本政府は自衛隊法の改正により、日本国内の米軍の施設と用地および重要な施設を防衛する任務を自衛隊に与える立法手段を取った。

自衛隊による人道的支援
1.自衛隊の輸送機は、2002年10月にUNHCRの要求に応じてイスラマバード、パキスタンにテントや毛布などの援助材料を輸送した。
2.自衛隊の艦船は2002年12月のUNHCRの要求に応じてカラチ、パキスタンにテント及び毛布等の援助材料など約200トンを輸送した。

 2002年11月19日、日本政府はOEFに貢献するため、自衛隊を承認する基本計画を6ヵ月延長することを承認した。
 4人の連絡将校をCENTCOMに派遣した。
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 サマワの「サ」の字もないでしょう? ここはイラクの多国籍軍の公式サイトですよ。実質的には米軍が仕切っている場所ですよ。おかしいと思いません か? これを見ていて、いかにサマワ宿営地の活動がイラク復興支援の中で小さい存在かを痛感して、なんだか情けなくなってきました。同盟軍にさえ認識さ れていないなんてあんまりですよ。実際、私は笑っていたら涙が出てきちゃいました。

 でも、もしかしたら、ニュースのページには何か載っているかと思い、「News Releases」を選択してみましたが、ティクリートやモスルでテロ攻撃が激化していることが分かっただけで、3月分まで見ても自衛隊の記事はありま せん。おまけに17日のニュースに、虐待事件の報告書にも名前が出たブッカ基地から脱走したイラク人11名を全員再逮捕したという記事が載っていまし た。米軍はまた収監者に脱走されたようです。脱走した者たちは塀の下に穴を掘り、基地から15キロも遠くまで逃げたそうです。報告書が何の役にも立って いないじゃないか!

 気分を変えてもう一点。

 以前に交戦規定とは何かという質問がありました。報告書の翻訳の調査中に、CJTF-7が使っていた交戦規定を記したpdfファイルが見つかったので 訳しました(ファイルがアップロードされていたアドレスは失念しました)。これは兵士に配られる書面のようです。交戦規定に関してはもっと専門的な規定 が別にあるはずです。実際には、兵士が交戦規定に関して問題を起こすと、法務官が分厚い法律書を手にやってきて難解な議論を展開することになるのでしょ う。

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CJTF-7合衆国交戦規定カード

 このカードに書かれた事柄は、君が君自身を守るために致死性の暴力を使用することを妨げるものではない。

1.以下の指示に従って敵軍と民兵部隊を攻撃できる。

 a.絶対的確証(PID)が交戦の前に必要である。PID とは君の標的は合法的に軍事的な標的であるという「合理的な確信」のことである。PIDが得られない場合、君の直上の指揮官に判断を仰げ。
 b.降伏したり病気や怪我のために戦えない者は誰であれ攻撃してはならない。
 c.自分自身、所属部隊、友軍、君の指揮下に置かれた者や資産を守る正当防衛の場合を除き、下に示す例外を照準したり攻撃してはならない。
  ・民間人
  ・病院、モスク、教会、聖堂、学校、博物館、国家記念物やその他のいかなる歴史的文化的な場所
 d.敵対的な勢力が敵対的な目的のために使っておらず、君の正当防衛のために必要でない限り、人混みや建物の中に発砲してはならない。
 e.コラテラル・ダメージ(訳注:付帯的被害)は最小限度にせよ。

2.致死性の暴力を含め、君は君に対して敵対的な行為を行ったり行おうとしている者から君自身を守るために暴力を用いることが許される。君は以下を防衛 するのに同等のレベルの暴力を使うことが許される。
  ・所属部隊、その他の友軍(イラク警察と保安部隊を含む)
  ・敵捕虜と抑留者
  ・殺人や強姦のような致死の可能性があるとか重大な身体的危害を引き起こすような犯罪者に直面した市民
  ・指定された組織あるいは資産。赤十字社・赤新月社の要員、国連と合衆国や国連が支援する組織
 発砲する前に警告せよ

 時間が許すなら、大きく明瞭な声で警告を与えてもよい。
  キィーフ・アーミック(止まらないと撃つぞ)
  アーミィ セ・ラ・ハク(武器を捨てろ)

3.もし彼らが君の任務の完遂を妨げたり、重要な情報を持っていたり、正当防衛のために必要なら、民間人を拘留してもよい。
 ・敬意と威厳をもってすべての人々と彼らの資産を扱え。
 ・イラクの保安部隊と警察は武器を携帯する権限を与えられている。

4.致死性の暴力を含め、以下のものを含む資産の種類を守るために必要性のある暴力が認められている。
 ・公共施設
 ・病院と公衆衛生施設
 ・送電及び石油関連施設
 ・連合軍と捕獲した敵の武器と弾薬
 ・金融機関
 ・指揮官が指定した他の任務に必要な資産

 忘れるな
 ・敵対的な勢力と軍事目標だけを攻撃せよ。
 ・同士討ちを避けよ−近くにいる部隊やイラク警察と保安部隊に注意を払え。
 ・可能なら民間人と彼らの資産を守れ。
 ・略奪や盗みをはたらくな。
 ・威厳と名誉をもって行動せよ。
 ・戦争の法律を遵守せよ。違反行為を見つけたら報告せよ。
 ・君は常に君自身や他人を守るために、致死性の暴力を含めて必要性のある暴力を行使する権利を有している。

 この交戦規定は君の指揮官が別の交戦規定へ変更を命じるまで有効である。
---------------------------------------------------------------------

※1
http://www.cjtf7.army.mil/

 アブグレイブ刑務所での虐待調査報告書を訳しました。(4月18日)

スパイク通信員(札幌在住)

 こんにちは、スパイクです。

 アブグレイブ刑務所での虐待事件の調査報告書を訳してみました。といっても、全部ではなく15〜20ページの第一部だけです。捜査結果は三部まであり、第一部は「虐待事件」、第二部は「脱走と責任」、第三部は「指揮環境等」です。第一部は全体(約50ページ)の十分の一程度の分量です。とはいえ、 ちと長いです。ワープロソフトにコピーして、読みやすい形に書体を変えるとよいかも知れません。不備などもあると思いますが、ご指摘頂ければと思いま す。

 なお、添付資料の番号は添付資料が報告書の中にないので削除しました。関係者の供述の中には文法的におかしい表現があり、そこには「原文のまま」という注釈がついています。読みやすさのために、変な表現は妥当な意味に直し、注釈は削除しました。イラク人の名前の訳し方は非常にむずかしく、ほとんどノ ウハウを持たずに訳しているので、あまり突っ込まないでください(笑) その他できるだけ分かりやすいように訳注をつけました。文中に含めるには長い注 釈は下に書きました。調べがつかなかった用語も若干あります。

 私のコメントはさて置くとしまして、これを読んだ方がどのように感じられるのかは、私にとって大きな関心です。しかし、プリントしてランチの時に読むのは止めた方がよいでしょう。美味しい食事が台無しになるはずです。


捜査結果と勧告
第一部

 捜査は最近起こった収容者への虐待事件、特にアブ・グレイブ刑務所(バグダッド中央収監施設)での虐待容疑を取り囲むすべての事実と証拠が調査されな ければならない。

1.ジェリー・モセロ大佐指揮下の合衆国陸軍犯罪捜査部(CID)と高度に訓練されたプロの捜査員からなるチームはアブグレイブ刑務所における収監者虐待という数件の複雑で極めて不穏な事件を調査する卓越した作業を終えた。彼らは目撃者や犯罪を犯した可能性がある容疑者、収監者に50回以上の尋問を行った。彼らはさらに2003年10月から12月までの間に憲兵隊要員によって多数回行われた収監者の虐待の詳細を収めた写真とビデオを暴露した。数人 の犯罪を犯した可能性のある容疑者が、この虐待における彼らの個人的な掛かり合いと仲間の兵士の掛かり合いに関して完全な自白を提出した。数人の犯罪を 犯した可能性のある容疑者が、統一軍事裁判法(UCMJ)第31条と合衆国憲法修正条項第5条の権利を主張した。(訳注:第31条と第5条は共に自己負 罪拒否特権に関する条項。何人も自己に不利な供述を強制されないこと)

2.これらすべての陳述と証拠書類の広範なかつ徹底的な調査に加えて、我々は第800憲兵旅団の多数の将校、下士官、兵卒に加え刑務所で働いている第 205軍事情報旅団のメンバーの供述を取った。我々はすでにCIDに包括的な陳述を提供していた多数の目撃者全員に再度供述を取る必要があるとは考え ず、当職はこの調査の目的のためにそれらの陳述を採用した。

 捜査結果の第一部において、当職は次の特定の事実認定を示す。

1.前進作戦基地(FOB)アブグレイブ刑務所(BCCF)は、バグダッド中央収監施設で犯罪と安全保障上の収監者を警備し、CJTF-7の尋問を行い やすくし、刑務所におけるその他のCPA(訳注:連合国暫定当局のこと)の作戦を支援し、自由イラクの安全保障という現在進行中の作戦の成功を保証する ために配属された兵士たちの擁護と生活の質を高めること。
(訳注:「CJTF-7」は「第7共同統合機動部隊」のこと。現在は存在しない組織です。CJTF-7はイラク国内の多国籍軍を統括する組織でしたが、 統治が上手く進まないため2004年5月15日にイラク多国籍軍団(MultinationalCorpsIraq)とイラク多国籍隊 (MultinationalForceIraq)に分割され消滅しました。イラク多国籍軍団は各国軍から成る多国籍軍を統括し、イラク多国籍隊はイラ ク人治安部隊の訓練や政治・戦略的な部分を担当しています)

2.第205軍事情報旅団の指揮官がCJTF-7により2003年11月19日付でアブグレイブ刑務所(BCCF)の指揮官に指名されたこと。第205 軍事情報旅団はCJTF-7のために作戦上、戦略上の尋問を行うこと。2003年11月19日から2004年2月15日に権限交替(TOA)になるま で、トーマス・M・パパス大佐が第205軍事情報旅団のアブグレイブ刑務所(BCCF)の指揮官であったこと。

3.第800憲兵旅団第320憲兵隊大隊はガンシ基地、ヴィジラント基地、アブグレイブ刑務所(BCCF)の独房棟1号棟の警備隊として責任を負ってい ること。2003年2月から彼が2004年1月17日に任務を停止させられるまで、ジェリー・フィラバーム中佐が第320憲兵大隊の大隊指揮官を務めた こと。2002年12月から2004年1月17日に任務を停止させられるまで、ドナルド・リーズ大尉がFOBアブグレイブ刑務所で収監者の警備責任を 負っていた第372憲兵中隊の中隊指揮官を務めたこと。当職はさらに第320憲兵大隊と第372憲兵中隊両方が、FOBアブグレイブ刑務所の敷地の中で 配備されていたことを見出した。

4.2003年7月から現在まで、ジャニス・L・カーピンスキー准将が第800憲兵旅団の指揮官であったこと。

5.2003年10月から12月までの間に、アブグレイブ刑務所(BCCF)において、サディスト的で露骨で非人道的な犯罪である幾多の虐待事件が何人 もの収監者に対して行われたこと。収監者に対する組織的で非合法的な虐待は、アブグレイブ刑務所(BCCF)の1-A棟の憲兵の看守隊の数名(第800 憲兵旅団・第320憲兵隊大隊・第372憲兵中隊)によって意図的に行われた。虐待の容疑は詳細な証人の陳述と非常に生々しい写真の証拠が発見されたこ とによって立証された。これらの写真とビデオの微妙な内容の性質上、進行中のCIDの捜査、数人の容疑者の刑事起訴の潜在性のため、写真証拠は当職の調 査の本文には含めない。写真とビデオは犯罪調査部とCTJF-7の検察チームを通じて入手できる。前述の罪に加えて、第325軍事情報大隊、第205軍 事情報旅団と共同尋問聴取センター(JIDC)のメンバーによって犯された虐待もあった。具体的には、2003年11月24日に第205軍事情報旅団の ルシアナ・スペンサー技術兵が収監者の服を脱がせ、裸のまま監房に戻して貶めようとしたことである。

6.当職は憲兵隊要員による意図的な収監者虐待には以下の行為が含まれることを見出した。

a.収監者への殴打、平手打ち、蹴り。素足の上への飛び乗り。
b.裸にした男性又は女性の収監者に対しビデオ撮影、写真撮影を行った。
c.撮影のために収監者を様々な性的に露骨な位置関係に強制的に並べた。
d.収監者の衣類を脱がせ、一回に数日間の間裸のままにした。
e.男性の収監者に女性の下着を着るよう強制した。
f.写真撮影やビデオ撮影の間、男性収監者の一団に自慰を強制した。
g.裸にした男性の収監者を山状に並べ、それから彼らの上に飛び乗った。
h.裸にした収監者を戦闘糧食の箱の上に立たせ、頭の上に砂袋を乗せ、電気を使った拷問を模して、収監者の指とつま先、ペニスにワイヤーを取り付けた。
i.強制的に15歳の仲間の収監者を強姦したと申し立てられた収監者の脚に「私は強姦犯です」と書き、裸にして写真に撮った。
j.裸の収監者の首に犬用の鎖か革紐を巻いて、写真撮影のために女性兵士がポーズを撮った。
k.男性の憲兵看守が女性の収監者と性交を行った。
l.(口かせをつけない)軍用犬を使い、収監者を脅したり襲撃させたりし、少なくとも一件で収監者に噛みつかせ、何人をも負傷させた。
m.死亡したイラク人収監者の写真を撮影した。

7.これらの調査結果は数人の容疑者が提出した告白書、収監者の告白書、目撃者の供述によって十分に立証される。調査結果に到達する中で、当職は次の目 撃者と容疑者の事前陳述を慎重に考察した。

a.ジェレミー・シビッツ技術兵 第372番目憲兵中隊 − 容疑者
b.サブリナ・ハーマン技術兵 第372番目憲兵中隊 − 容疑者
c.ジャバル・S・デイビス軍曹 第372番目憲兵中隊 − 容疑者
c.リンディー・R・イングランド上等兵 第372番目憲兵中隊 − 容疑者
d.アデル・ナクラ 民間人通訳 タイタン・コーポレーション 第205軍事情報旅団に配属 − 容疑者
e.ジョセフ・M・ダービー技術兵 第372番目憲兵中隊
f.ニール・A・ワーリン軍曹 第109戦域支援医療大隊
g.サミュエル・ジェファーソン・プロヴァンス軍曹 第302軍事情報大隊
h.トーリン・S・ネルソン 受託業者 タイタン・コーポレーション 第205軍事情報旅団に配属
j.マシュー・スコット・ボーランガー伍長 第372番目憲兵中隊
k.マチュー・C・ビズダム技術兵 第372番目憲兵中隊
l.リットル・ルーベン・R・レイトン二等軍曹 衛生兵 第109医療部隊
m.ジョン・V・ポラック技術兵 第229憲兵中隊

8.さらに、何人かの収監者が以下の虐待行為を供述し、この状況について、当職は彼らの供述とその他の目撃者が提供した補強証拠の明快さに基づいて信憑 性があることを見出した。

a.ケミカルライトを壊し、収監者に液状の燐を注いだ。
b.収監者を実弾を込めた9mm口径のピストルで脅した。
c.裸の収監者に冷水をかけた。
d.ほうきの枝と椅子で収監者を打ちすえた。
e.男性の収監者を強姦すると脅迫した。
f.憲兵の看守に監房の壁にたたきつけられて負傷した収監者の傷を縫い合わせることを許可した。
g.ケミカルライトと恐らくはほうきの枝を使って収監者に肛門性交を行った。
h.軍用犬を使い、収監者を襲撃させたり攻撃すると脅して脅迫し、少なくとも一件では収監者に実際に噛みつかせた。

9.当職は慎重に以下の収監者によって提供された陳述を考察し、この状況下のことについて、当職は彼らの陳述と他の目撃者によって提供された補強証拠の 明快さに基づいて信頼できることを見出した。

a.アムジェド・イサイル・ワリード 収監者番号 151365
b.ヒィアダー・サーベー・アベッド・ミツブ・アボーディ 収監者番号 13077
c.ヘッシン・モセイン・アル・ザイアディ 収監者番号 19446
d.カジム・メハディ・ヒラス 収監者番号 151108
e.ムハマド・ユマ・ユマ 収監者番号 152307
f.ムスタファ・ヤシム・ムスタファ 収監者番号 150542
g.シャラン・サイド・アルシャロニ 収監者番号 150422
h.アブドゥ・アルワブ・ヨウス 収監者番号 150425
i.アサド・ハンザ・ハンホス 収監者番号 152529
j.ノリ・サミア・ガンバー・アル・ヤッセリ 収監者番号 7787
k.ザアー・サルマン・ダウッド 収監者番号 150427
l.アメーン・サィード・アル・シェイク 収監者番号 151362
m.アブドゥ・フセイン・サード・ファーレ 収監者番号 18470

10.当職は、AR190-8(訳注:「AR」は陸軍軍規のこと。「190-8」は捕虜、要員の抑留、民間人の収監、その他の抑留者に関する規則)の規 定に著しく違反しており、そして捜査結果はライダー少将の報告の中に見出された通り、軍事情報部(MI)の尋問者とその他の合衆国政府機関の(OGA) の尋問者は、憲兵の看守が参考人を効率よく尋問するために心身の状態を調整するように積極的に要請した。ライダー少将の報告にある捜査結果とは反対に、 当職は第800憲兵旅団第372憲兵中隊に配属された要員たちがMIの尋問のために「状態を調整する」よう流儀を変える命令を受けたことを見出した。当 職は憲兵の要員たちが実際にそれらのMIの尋問に参加したという直接証拠を見出さない。
(訳注:「要員の抑留」の「要員」は衛生要員と宗教要員のことです。この二種類の要員は一般の兵士とは違い、敵軍に捕獲されても立場上は捕虜にはなりま せん(第3ジュネーヴ条約第33条)。彼らは医療行為、宗教行為など職責の範囲に置いて他の捕虜より遙かに広範な行動が認められています)

11.当職は、虐待で苦痛を受けた収監者と以下の目撃者の供述によって実際に証明された虐待に基づいてこの調査結果に到達した。

a.第372憲兵中隊のサブリナ・ハーマン技術兵は宣誓証言で、収監者が指、足指とペニスにワイヤーを付けられ箱の上に立たされた事件に関して「彼女の 仕事は収監者を目が覚めたままにすることだった」と供述した。彼女はMIがグレイナー伍長に話をしていたと供述した。彼女は「MIは彼らに話をするよう にさせることを望んだ。グレイナーとフレデリックがMIとOGAのためにした仕事はこれらの人々に話をするようにさせることだった」と供述した。

b.第372憲兵中隊のジャバル・S・デイビス軍曹は次のように宣誓供述した。「自分は1A棟のMIの管理区域で道徳的に疑問を感じる様々なことをさせ られている囚人を目撃しました。1A棟で自分たちは彼らから、彼らは別の規則と別の待遇に関する標準業務準則を持っていると言われました。自分はその部 門用の規則や標準業務準則を見たことはなく口頭だけでした。1A棟で責任を負っていたのはグレイナー伍長でした。伍長はエージェントとMIの兵士は彼に 仕事をを命じるが、文章にされたことは一度もなかったと不平を言いました」。なぜ1A棟と1B棟の規則は他の棟と違っているのかと尋ねると、デイビス軍 曹は「他の棟は通常の囚人で、A1棟と1B棟は軍事情報部(MI)の管理下にあるからです」と言った。なぜ軍曹がこの虐待に関する一連の命令を告発しな かったのかと尋ねるとデイビス軍曹は「彼らが異常あるいは指針を外れた事柄をしているのなら、誰かが何かを言うはずだと思います。それに、その棟はMI が管理していて、MIの要員が虐待を容認したと思いました」」と言った。デイビス軍曹は「MIが看守に囚人を虐待するよう遠回しに言うのを聞いた」とも 言った。MIは君に何を言ったのかと尋ねたら、彼は「この男が我々に口を開くようにしてくれ」「悪い夜をみさせてやれ」「処置を受けたことをはっきりさ せろ」と言った。「彼は、これらの発言はグレイナー伍長とフレデリック二等軍曹に対して行われた」と言った。最後にデイビス軍曹は「自分の理解では、 MIの要員はMIの抑留者の扱い方でグレイナーを賞賛していました。たとえば、「よくやった。彼らは本当に早く口を割る。彼らはどんな質問にも答える。 彼らは最後には実によい情報を教えてくれる。良質の仕事を続けろ、といったことを言いました」と供述した。

c.第372憲兵中隊のジェイソン・ケンネル技術兵は、収監者が虐待されたときその場にいたかどうかを尋ねられた。彼は「自分は彼らが裸なのを見ました が、MIは自分たちに彼らのマットレス、シーツ、衣類を取り去るよう命じていました」と供述した。彼はMIの誰がそれをするように命じたのか思い出せな かったが、「彼らが自分にそれをして欲しければ、彼らは事務仕事を自分に与える必要がありました」と述べた。彼はあとで「自分たちは囚人を悩ませること はできなかった」と告げられた。

d.アメリカの民間人で契約通訳のアデル・L・ナクラ氏は強姦を告発した複数の収監者について取り調べを受けた。彼は「彼ら(収監者)は全員が裸の、 MIから送られてきた人々の一団でした。憲兵はあの晩そこにおり、収監者たちにはグレイナー軍曹が統率し、フレデリック軍曹は連中に尋問する間に彼らが することを受け入れるよう命じました。収監者たちは奇妙なエクセサイズをさせられました。彼らは彼らの腹の上で滑らされたり、飛び跳ねさせられたり、水 をかけて幾分濡らしたり、男性との性交を好む「ゲイ」などのあらゆる種類の名前で呼ばれ、その時彼らは手錠を互いの手にかけ足かけをかけ、それぞれの上 に下の男のペニスが上の男の尻に接触するように積み重ねられていました」と言った。(訳注:この説明はやや分かりにくいのですが、要するに寝そべった男 同士を重ね合わせ、下の側の性器が上の側の尻に接触するように配置し、その状態で性交を模して水平方向や垂直方向に動くよう命じたのだと思われます。水は性器や性器が接触する部分にかけ、滑りをよくしたのでしょう。また、フレデリックの階級は最初は二等軍曹(SSG)でしたが、ここでは軍曹(SGT) になっています。理由は不明。彼の名前が容疑者リストにないのは疑問)

e.第109戦域支援医療大隊の衛生兵ニール・A・ワーリン軍曹は「1Aの監房は重要度の高い収監者の房として使われており、1Bの監房は危険度が高く トラブルを起こす収監者の房として使われていました。自分が刑務所に遠征した間、男性の収監者が最初に施設に連れて来られたとき、彼らの何人かは女性の 下着を着せられました。なんにせよ彼らは打ちのめされると考えました」と証言した。

12.当職は、イラクの自由作戦に参加するためにイラクに派遣される前、第320憲兵大隊と第372憲兵中隊が拘留/収監業務の訓練を受けていなかった ことを見出した。当職はまた、捕虜の待遇に関するジュネーヴ条約(訳注:第3ジュネーヴ条約)、FM27-10(訳注:陸上戦闘に関する法律)、 AR190-8あるいはFM3-19.40.(訳注:憲兵の拘留/収監業務)が適用されるルールについて、ごく僅かな教育や訓練しか行われていなかった ことを見出した。さらに、当職はいくばくかでもジュネーヴ条約のコピーが憲兵要員や収監者が手に入るようにされるべきだったということを見出した。

13.旅団の指導力がその兵士に伝わっておらず、戦術的な熟達を裏付けていなかったもうひとつの明白な実例は、2003年5月12日にイラクのブッカ基 地で起こった収監者虐待事件に関係している。第223憲兵中隊の兵士たちはブッカ基地の第800憲兵旅団司令部に、ブッカ基地で第320憲兵大隊の4名 の憲兵隊員が調査中の多くの収監者を虐待していたと報告した。広範なCIDの調査は、第320憲兵大隊の4人の兵士は、タリル空軍基地からの輸送任務の 直後からこれらの収監者を蹴ったり、打ちすえていたと結論した。

14.UCMJに基づく正式な告訴がこれらの兵士に対して起こされ、第32条に関する調査がジェントリィ中佐によって行われた。彼は4人の被告に一般軍 法会議を勧め、それをカーピンスキー准将が支持した。文書化された虐待の事実があるにもかかわらず、カーピンスキー准将は第800憲兵旅団の兵士に収監 者の取り扱いに関するジュネーヴ条約の要件を再認識させようとしたり、こうした虐待が繰り返されないことを確実にするためのいかなる手順をも今までに払 おうとした証拠がない。そして、ブッカ基地の虐待事件に関係した兵士の指揮官フィラバーム中佐が、彼の部下が収監者の取り扱いに関して適切に訓練された ことを確実にするために指導力をふるったという証拠もない。


捜査結果・第一部に関する勧告

1.直ちに、イラク戦域に、抑留/再定住作戦、国際法と作戦上の法律、情報工学、施設運営、尋問と諜報活動テクニック、従軍牧師、アラブ文化の啓発、 I/R活動(訳注:「I/R」は前述の抑留/再定住の略)に付随する医療行為の専門家から成る統合された多目的移動訓練チーム(MTT)を派遣するこ と。このチームはすべての収監者の問題と収監作業における広範な訓練を監督し、実施する必要がある。

2.CJTF-7における収監者作業や尋問作業のいかなる局面にも関係する憲兵と軍事情報部の要員と下位の部隊は、直ちに国際法・作戦に関する法律が専 門の法律家によりFM27-10の「地上戦闘に関する法律」、とりわけ捕虜の取り扱いに関する第3ジュネーヴ条約、敵捕虜、抑留された要員、民間人の抑留者、その他の収監者、それからAR190-8の訓練を受けること。

3.CJTF-7のただひとりの指揮官がイラク戦域の全域で全面的に収監作業の責任を負うこと。当職はまた、陸軍の憲兵隊最高指揮官が最低でも2名の主 題の専門家、収監作業を調整する上でCJTF-7を補助する下士官1名を配属することを推奨する。

4.収監施設の指揮官と尋問施設の指揮官は、捕虜の取り扱いに関する第3ジュネーヴ条約と保護に関する注意書きの十分なだけのコピーが英語と収監者の言 語の両方で利用できるようにされ、すべての収監施設で目立つように掲示されることを確実にすること。取り扱いに疑問を持つ収監者はジュネーヴ条約を読む 完全な機会を与えられなければならない。

5.各留置施設の指揮官と尋問施設の指揮官は、収監者の取り扱いに関する完全で広範な標準業務準則(SOP)を発行すること。すべての要員はSOPを読 み、内容を理解したことを示すために署名をする必要がある。

6.ライダー中将の査察報告で推奨されたことと、当職のこの事件に関する調査報告と勧告に従い、イラクの自由作戦を支援する抑留/監禁/留置作業を行う イラク戦域にいるすべての部隊はUCMJに基づきCJTF-7へ行われる法的措置を含みあらゆる面でOPCON(訳注:作戦統制)下に置かれること。

7.CJTFのC3をイラク共同作戦区域(JOA)における収監作業の幕僚担当者として任命すること。(CJTF-7のC3であるトム・ミラー少将は COMCJTF-7によって任命された)
(訳注:「COMCJTF-7」は「CJTF-7」の司令官のこと。「C3」は軍職らしいのですが意味が分かりませんでした。「指揮・統制・通信」のこ とを「C3」と呼びますが、これは概念を示す言葉なので違うと思われます)

8.アブグレイブ刑務所(BCCF)の虐待事件に関係した第205軍事情報旅団と共同尋問聴取センター(JIDC)の軍事情報部の要員の過失性の程度を 決定するためにUP AR 381-10の手続15の審問が行われること。(訳注:「UP AR 381-10の手続15」が具体的にどのようなものかは分かりませんでした)

9.収監者作業の担当者は、収監作業で起きる問題に支援・助言をするために、国際法と作戦上の法律に関して専門的な訓練を積み知識を持つ熱意のある先任 法務官が指名されることが極めて重大であること。

 米軍が最前線に配置できる治療装置を構想しています。(4月16日)

スパイク通信員(札幌在住)
 こんにちは、スパイクです。

 金曜日夜に放送されたCNNで米国防総省が考えているという新しい負傷兵治療システムがCG画像で紹介されていました。

 戦場で負傷者が出ると、無人の搬送機が走ってきて、負傷兵を乗せて装甲車の後部に運びます。装甲車の中には立体駐車場みたいな装置が搭載されていて、 それに四床のベッドが取り付けられています。負傷兵は搬送機から装甲車の中のベッドに移されます。装甲車の中には外科手術用のマニュピレーターが搭載さ れていて、戦線の遙か後方にいる医師がマニュピレーターを操作して負傷兵を治療するのです。最前線の近くに医療施設を設置できるのが、この装備の利点と見えました。

 まだアイデアの段階で、実現するかどうかはまったく分からないということです。番組でも機械の故障などで兵士が死んでしまう可能性を指摘していまし た。私は患者が体の前後両方に怪我をしていたらどうするのだろうと思いました。たとえば、ナパーム弾で全身に火傷を負った場合とかです。いかなる位置に 傷があっても患者をひっくり返して治療できるのでしょうか? また、包帯をどうやって巻くのかが分かりません。激痛で身をよじった負傷兵が上のベッドか ら落ちてきて、下のベットに寝ていた負傷兵の上に被さってしまうとか、そのためにベッドが回転しなくなるとか、不安材料は色々ありそうです。

 この手のアイデアは山ほどあり、実用化されるものは少ないのですが、この医療装置を開発するために手をあげる企業はいくつもあるでしょう。研究費が国 から山ほど出るし、最終的に失敗しても企業の名誉も懐も痛まないからです。しかし、万能の治療システムは作れないと思います。多分、最初は重傷者を安全 に後送するだけのシステムになるのではないかと思います。でも、搬送機のアイデアは使えるかも知れません。

 それにしても、アメリカは次から次へと新兵器を考えつくものだと感心します。最近は新型の地雷システム「マトリックス」とかいうものが登場したようで す。どうも映画で描かれた兵器が十年くらい後に完成するという状況が出てきたようです。前述の治療システムには兵士を後送する航空機もあるのですが、形 が「ターミネーター」に登場する人間を殺しまくるロボット飛行機にそっくりでした。戦闘ロボットのタロンも「ターミネーター」の殺人兵器「HK」を連想 させました。未来の歩兵装備のプロトタイプは「ロボコップ」みたいです。これだけの知恵がありながら、アメリカが戦争を防ぐ技術を考えようとしない訳が 分かりません。ヨーロッパがEUを結成した理由の一つは戦争を防止することであった訳で、アメリカはそれ以上に国家による戦争の危険を減少させる政治形 態を模索してもよいと思うのですが、今やすっかり前近代的な戦争国家です。時々、アジアにもEUみたいなものがあったら今よりずっと安全を実感できると 私は思うのですが、アメリカは軍事技術の開発でそれを達成しようとしています。

 あと、ワシントン上空を飛ぶ航空機のパイロットに飛行禁止区域だと緑と赤のビームライトで知らせている話も報じていました。しかし、テロリストに逆に目印として活用される恐れがあると思いました。
 石川県から軍事通信員に応募します。(4月14日)

もっちゃん通信員(石川県在住)
 いつも、お世話になっております。もっちゃんといいます。 様々な情報が載ったホームページを拝見して、いつも勉強になっております。 また先日、東シナ海油田開発の問題を回答していただきまして、ありがとうございました。

 さて、私は現在、石川県に住んでおります。北朝鮮による拉致事件や工作船事件の影響から日本海側に住む者として、海を挟んだ隣国の動向に深い関心を持っております。また石川県には航空自衛隊の施設である小松空港や輪島レーダーといった基地などがあり、国際情勢の変化に対応して装備や活動内容も少しづつ改まっていると、地元紙では報道されています。

 このような北陸地方からの軍事情報を伝える軍事通信員に是非なりたいと思い、今回応募させていただきました。ご検討をよろしくお願いいたします。

(神浦・・・・了解です。それではさっそくこの通信欄に掲載しました。これからもよろしくお願いします。不審船のような北朝鮮対策など、地元で動きがあれば教えてください)

 米軍が武器密輸業者を攻撃としたのは、自衛した村民の可能性があります。(4月14日)

スパイク通信員(札幌在住)

 こんにちは、スパイクです。

 イラクの治安は順調に回復しているはずですが、水曜日にバグダッドの東側近郊で米軍の燃料輸送の車列が攻撃され、トラックが火炎に包まれ、黒煙がバグ ダッド市内からも見えたとのこと(※1)。ちょうど、ラムズフェルドがバグダッドを訪問している最中のことでしたが、米軍はまだ何もコメントしていませ ん。バグダッド周辺の幹線道路でさえ安全ではないのに、米政府や米軍から出る声明だけは景気がよいのは変です。

 記事を書いた記者も情報がないのか呆れているのか分かりませんが、この事件のことよりも他の事件について多く書いています。

 たとえば、火曜日に起きた事件で、米軍と地元の報告の食い違いが細かく書かれていました。整理するとこうなります(記者はどの主張が正しいかを検証す るのは不可能だと書いています)。

 〔米軍〕
 火曜日に米軍はシリア国境沿いのイラクの町カイムで武器密輸業者と戦闘員と交戦し、数は不明ながら外国人武装勢力を殺害したと発表した。武装勢力は米軍兵士が密輸業者の一団を襲撃すると発砲を始め、少なくとも1名の自爆攻撃を含む何人かの戦闘員を殺害したが、米軍に被害はなかった。先週、同じ地域で武器密輸業者を逮捕し、容疑者はシリアからイラクへ武器、兵士、金をテロリストのために運んでいたと自供した。

 〔カイムの住人/病院〕
 この衝突で少なくとも9人が死亡し、死者は民間人だと考えられる。住人によれば、武力衝突は火曜日の未明にカイム市内と周辺で始まったが、襲撃と関係があるかは明らかでない。院長によれば、9体の遺体と2ダースの負傷者を引き取った。カイムの北にある小村の住人によれば、1ダース以上の人々が放置され、病院に収容されていないとのこと。事件が起きた時、多くの住人は家におり、南方近郊の家族は他の場所へ避難した。覆面を被った兵士がカイムの町の中に陣取っているのが目撃された。

 覆面をした武装勢力が目撃されたとしても、それが密輸団と関係があるかどうかは不明です。元々、武力による自治が基本の社会ですから、米軍が攻撃しに来たと考えた普通の市民が自衛のために武装して集まったのかも知れません。

 それから、アブグレイブ収容の件で訂正があります。米軍には死者は出ていない模様です。その後、別のニュースを調べている内に読み違いをしていたことに気がつきました。米軍の戦死者はその週の総数を表す数字でしたが、アブグレイブ刑務所の戦死者と混同してしまったのです。他の記事によれば、武装勢力は約50名が負傷したと米軍が発表したと報じていますが、切りがよい数字なので推定と思われます(※2)。武装勢力は同時に複数の場所から攻撃し、二つある監視塔を攻撃した後、車で自爆攻撃を行い、正門を開けようとしたが失敗し、攻撃ヘリに押し戻されたとのこと。アルカイダの犯行声明では、自爆攻撃を行った7名を含む武装勢力10名が戦死し、2名が負傷したとのことです。自爆攻撃が7回もというのは米軍が確認していないので、アルカイダがホラを吹いている気がします。

 その後、アブグレイブ収容の航空写真を見つけました(※3)。この写真を見ると、収容所の周りは視界が通る場所が多く、攻撃側は不利に見えます。周りには街も拡がっています。

 また、この収容所に対しては、翌週の月曜日にもう一度自動車による自爆攻撃があり、イラク人4名が死亡しています。このページに例の虐待事件の公式な報告書がアップロードされています。読む時間があって、何か興味を引くことが書いてあったら報告します。

※1
http://www.military.com/NewsContent/0,13319,FL_fuel_041305,00.html

※2
http://www.ctv.ca/servlet/ArticleNews/story/CTVNews/1112609550989_8/

※3
http://www.military.com/Content/MoreContent1/0,,051104_Taguba,00.html

 シューメーカー将軍が語ったイラク駐留米軍の削減発言の真意についてです。(4月13日)

スパイク通信員(札幌在住)

 こんにちは、スパイクです。

 陸軍高官が月曜日に、イラク保安部隊の訓練が実を結び、現在のペースで治安が安定するなら、イラク駐留米軍を削減できる可能性があると発言したそう (※1)です。アブ・グレイブ収容所の惨事から日が経たぬうちにこういう発言が出るとは思いませんでした。

 発言したのはペーター・シューメーカー将軍ですが、いつ駐留軍を削減できるのかについては語りませんでした。おまけに、陸軍の新兵徴募が目標数に達し ていないことも認めており、よく見るとよいところが一つもない記者会見だったように見えます。

 話の出所は中央軍司令官のジョージ・ケーシー将軍で、彼がそう言っているというだけの話です。具体的な数字や期日は一つも出ていません。単に「イラク 保安部隊を整備したら」「治安が回復したら」という「〜たら・〜れば」式の仮定の話です。その仮定の前提が実現する可能性についてはまったく触れられて いません。

 3月の徴募の状況は、現役が目標6,800人に対して2,150人。予備役が目標1,600人に対して739人。この不足分は2月よりも悪化していま す。2000年5月以来、現役と予備役の徴募目標が不達だったのはこの時が最初だそうです。州兵は目標5,933人に対して12%足りませんでしたが、 これは31%不足した2月(目標5,533人に対して3,824人達成)よりはよかったそうです。負荷の高い職の応募者が少ないのが特徴的です。

 翌日ラムズフェルドがイラクを訪問する予定だったから、ちょっと景気のよい話が出た程度のような気がします。同じ話は去年から繰り返されているのです から。

※1
http://www.military.com/NewsContent/0,13319,FL_general_041205,00.html

 ビンラデインが「大イスラエル国」という言葉を使いました。(4月12日)

スパイク通信員(札幌在住)

 こんにちは、スパイクです。

 どうやら「大イスラエル国」という新しい用語があるようです(※1)。globalsecurity.orgにビンラディンが主張したという、拡張したイスラエルの領土地図が載りました(地図をクリックすると拡大できます)。しかし、かなり誇大妄想的な主張と見えます。要するに西はナイル川、東はユーフラテス川までの間が全部イスラエルになってしまった地図で、スエズ運河もペルシャ湾の港湾も押さえれば鬼に金棒というわけです。図の下にある解説 を読んでみました。
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 2003年2月、オマサ・ビンラディンのものとされる音声テープはブッシュ大統領を「愚か者」と呼び、アメリカの対イラク戦争計画は中東と北アフリカ のイスラム諸国を攻撃する計画の一端だと主張した。ビンラディンのものとされるかすれ声は、遂行中の対イラク戦争におけるアメリカの目標はイスラエルの利益のために局地地図を塗り替えることであると語った。「イラクを攻撃するための準備が、シリア、イラン、エジプトとスーダンを含む地域の国々に向けて 準備された一連の攻撃の一端であることは明確である」とその声は言った。「十字軍の戦役が狙うのは、イラク、エジプト、シリア、ヨルダンの重要部分、そ してサウジアラビアの大部分を含む、いわゆる大イスラエル国(The Greater Israel State)を樹立するムードを用意することである」

 この中東のほとんどを含む大イスラエルという概念は、疑いなくこの地域の大衆文化に普及しており、ビンラディンやその他の宣伝家がいかにして利用したかを理解するのは容易である。イスラエルがこの地域の国々の多くの領域を占領しようと努めると主張していることは、パレスチナ人をこの地域のすべての人々に共通する闘争の戦線の上に置く。
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 どこにも似たような話はあるものだと思いました。この種の話がイスラム社会に浸透していても不思議ではありません。左上の地図は中東で外国人向けに書かれたようですが、国境線が蛇で描かれた上、「ユダヤ主義者の夢」とか「フリーメーソンの瞳」の文字が躍っています。おどろおどろしい雰囲気はちょっとは楽しませてくれますが、これだけの領域をイスラエルが支配するというのは現実的ではないし、国際社会の同意も得られません。これは中東の人にとって最 悪の状況という前提から導き出した空想話としか思えません。しかし、この話は現状に不満を持つ中東人に吹き込むには十分なパワーを持っており、そこに不安を感じます。扇動家が現れる時は、必ずといってよいほど大衆の側が受け入れる土壌を持っているものです。ヒトラー然りだし、オウム真理教の教義はそれ まで繰り返しマスコミで取り上げられていたオカルト話が基本でした。いくら教祖様のいうことが正しく見えても、それは大衆文化の中に古くから存在する既 存の物語の焼き直しであり、教祖様はそれを自分が考えたように見せているだけです。中東諸国がアルカイダの宣伝に従うなと自国民に徹底しても志願者は止 められないでしょう。

※1
http://www.globalsecurity.org/military/world/israel/greater-israel - maps.htm

 北海道演習場の不明・迫撃砲弾の捜索情報と、在日米軍に再編に関する情報です。(4月11日)
スパイク通信員(札幌在住) 

 こんにちは、スパイクです。

 土曜日朝のNHKのローカルニュースで、迫撃砲弾の着弾地点は道道恵庭岳公園線から山林側に200m入ったところだと報じられました。「えにわ湖北西」という情報と合わせて、これで場所をかなり絞れるようになりました。地図で言うと、恐らく「水清橋」の付近(多分南側)だろうと思います。最初に見当をつけたのがこの辺だったので、納得できる範囲です。地図で見ると本当に道路に近いです。やはり、かなり危険な状況だったことが分かりました。殺傷範囲が15mの手榴弾でも破片は最大で230mも飛ぶといいます。着弾予想地点がもう少し道路に近かったら相当に危険だったはずです。猟銃でも公道を越える射撃は禁止されているのに、まして迫撃砲ではなお危険です。ニュースでは破片の他に、立木にも比較的新しい傷が見つかっていると報じていました。こう いうのは結論を待たず、写真に撮ってどんどん公開すればよいのだと思います。現場は雪解けで雪崩が起きやすくなっているので、一時的に人員を50名くらいに減らし、その後再び捜索を強化するそうです。遅々としてはいるものの、少しずつ問題は絞られてきているようで安心しました。

 それから、北海道新聞が「共同転地演習」について報じています(※1)。これまでは北海道に各地の部隊が演習に来るのが当たり前でしたが、今後は北海道の部隊が関東へ移動する演習が加わるようです。首都圏でテロや大規模災害が起きた場合に備え、北部方面隊が移動する訓練を行うとのことです。大規模災害はともかく、テロへの対処には北海道の部隊を動かしている余裕はない気がします。マスコミが取り上げて話題になりそうですが、それ故に国民が不必要な恐怖感を抱くのが心配です。作家の村上龍が「半島を出よ」(北九州に北朝鮮が侵攻する話)という小説を発表したこともあり、北朝鮮脅威論が半ば常識になりつつあるようです。ソ連脅威論の時と状況がよく似ているように思います。念のためにやる程度の訓練が、自衛隊が訓練を行うことで権威づけとなり、条件反射的に国民が北朝鮮を脅威だとみなすようになるという心気症的な現象です。

※1
http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/kiji.php3 ? &d=20050408&j=0022&k=200504081150


 military.comの「合衆国が日本が軍事役割の増加を要望」というタイトルを見て、何だか気になったので全部読んでみました(※2)。してみると、全体的な事柄は盛り込まれているものの、そんなに目新しい内容ではなかったのですが、アメリカには極東の米軍兵力を削減することが日本の軍備増強を促進するという考え方があることが分かる記事です。

 記事は、在日米軍の指揮官ブルース・A・ライト中将の言葉を引いて、在日米軍改変の現状を語りました。日米双方の議題にあがっているのは大きく以下の3点としています。

 沖縄における軋轢の主要な原因である海兵隊普天間航空基地の移転
 米軍司令部がある東京の西の郊外にある航空基地との統合利用
 ワシントンにあるフォート・ルイスの陸軍第一軍団の指揮機能の座間基地への統合

 記事は、増強にしろ縮小にしろ、日本に駐留する兵士の総数では大きい変更はないが、土地の専有面積は実質的に変化するとも書いていますね。ちょっと気になるのは「政府筋からの匿名の情報リークに基づいた日本のメディアの報道によれば、合衆国の国外に恒久的に拠点を置いた最も大きな海兵隊の派遣隊を、 南の沖縄から日本のもう一方の極点、北端の島である北海道に移転する案さえ浮上したという。」というところですね。空母キティホーク戦闘群の戦闘機部隊が横須賀から南方へ移る可能性があるとも書いています。

 ぷっと吹き出したくなったのは思いやり予算に関する記者の見解でした。「アメリカが供給する安全保障と引き換えに、日本はとほうもない50億ドルを支払う。これは世界中でも比類ない協定だ。」 やはり、アメリカ人にも変に見えるんだと思った次第です。

(※2)
http://www.military.com/NewsContent/0,13319,FL_japan_040905,00.html

 英国防省サイトに自衛隊員の写真が掲載されました。(4月9日)

スパイク通信員(札幌在住)

 こんにちは、スパイクです。

□英国防省サイトに陸自隊員の写真が掲載されました

 「陸自との救護訓練、英国防省HPに 宿営地襲撃想定」という記事が朝日新聞に載りました(※1)。「サムライ演習」と名付けらた日英合同演習が2日 に行われたということです。記事は「防衛庁は今回の訓練を公表していないが、英国側が自衛隊との間に密接な協力関係があることを強調するために訓練風景を公開したのではないかと見られている。」と結論していますが、そういう示威的な目的ではなく、ごく普通の訓練のようです。

 英国防省のサイトに載った記事のタイトルは「写真で見る/近衛竜騎兵連隊のイラクでの生活」というほどの意味です(※2) このページの右端の下の方に該当する写真が載っています。キャプションからは「サムライ演習」が行われたことが分かる程度で、ごく普通の活動報告に過ぎません。記事の本文から は、「サムライ演習」は緊急対応チーム(IRT)をテストする合同演習で、偶発的な事件による負傷者を英国海軍のヘリコプター・シー・キングでイギリスの衛生兵を自衛隊の宿営地に派遣することだったと分かります。これらは当然行われるべき演習で、特筆するようなものではありません。それよりも、その上の記事が気になります。竜騎兵連隊が観測所をサマワの中心部にある高層ビルの屋上に設けたと書いてあり、右端の写真もそれを裏付けるものです。これでイギリス軍のやり方の一端が分かった気がします。

 「竜騎兵」という古めかしい言葉が出てきましたが、これは銃を持った騎兵のことです。騎兵は歩兵用よりも長さ短い銃「騎銃」を使います。この連隊のサイトに載っている小史を読むと納得できました。歴史ある部隊であることは分かったけど…まあそれだけです。(※3)
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 第一竜騎兵近衛連隊(ウェールズ騎兵連隊)は近衛騎兵連隊の先達である。本連隊の起源は1685年にジェームズ二世が「第一竜騎兵近衛連隊」と「女王 の鹿毛馬(第二竜騎兵近衛連隊)」の両方を編成した時に遡る。これら二つの連隊は1959年に第一竜騎兵近衛連隊に統合された。

 連隊は主にウェールズ、ヘレフォードシャー、シュロップシャーから募るだけでなく、全国から集めた兵士を有しており、家系のつながりは数多い。司令部 はカーディフのマインディ・バラックススに置かれている。

 竜騎兵近衛連隊が出陣したワーテルロー会戦の記念日は、当連隊の戦場における名誉の主たるものである。1815年の戦いが終わった夜、僅かに生き残っ た将校と先任下士官たちは夕食を平等に分け合った。1815年以来ずっと、この伝統は会戦の記念日によって維持されてきた。

 連隊章はハプスブルグ家の双頭の鷲である。これは1896年にオーストリア皇帝フランツ・ジョセフが名誉連隊長になった時に、第一竜騎兵近衛連隊に対して授与されたものである。連隊章はハウスブルグ家の鷲のかわりに竜騎兵近衛連隊の部隊番号を使用すると決められた第一次世界大戦を除いて継続的に使用されてきた。フランツ・ジョセフは捕虜にした竜騎兵連隊員すべてを皇帝自身のゲストとして扱うことで連隊にメッセージを送った。
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 ワーテルローで竜騎兵近衛連隊は、ウーグモンの城館でフランスの槍騎兵と戦いました…と書いていたら、ロッド・スタイガーがナポレオンを演じた「ワー テルロー」のそのシーンを思い出しました。ウーグモン争奪戦は先陣を切った戦いでしたが、決着がつかずほとんど一日中続きました。

 余談ですが、英陸軍のサイトに行くと、給与に関する情報が豊富に載っているのに驚きます。他の軍隊のサイトにも似たようなところが結構あります。パー トタイムの職種も随分とあるようで、日本とは雰囲気が違いますね。

□アル・グレイブ収容所襲撃の結果

 先日、「3月の戦死者が減ったことは武装勢力の衰退を意味しない」と私は書きましたが、military.comが「イラクの武装勢力が勢力を拡大」 という記事を載せました(※4)。やはり、あれは意味のない報告でした。家族がイラク派遣されている人たちに、ぬか喜びと悲しみを交互に与えることの残酷さを考えるべきでしょう。

 また、アブ・グレイブ収容所の米軍の損失は「数名の重傷者を含む44名の負傷者」どころではなく、「陸軍兵士4名、海兵隊員1名が死亡し、40名が負 傷」という結果だったとも書いてあります。やはり、搬送された負傷者はその後死亡したのでしょう。遮蔽物を利用でき、攻撃ヘリの支援もあった米軍がこれ だけ被害を受けて本当に敵を1名しか倒せなかったとすると問題は深刻です。

 武装勢力の専門家で、ワシントンにある国防総合大学のトーマス・X・ハムメス大佐の言葉が載っているのですが、ちょっと面白いです。

 「人々を公正に効果的に統治できると証明すれば、彼らは誰が悪党かを教えてくれるだろう」
 「いま回答を求めてはならない。まだ戦いを始めて2年しか経っていない」
 「我々は3イニングの表にいるのであり、この試合は9イニング制なのだ」

 私の感想は順に…
  「公正に効果的に統治」なんて達成不可能では?
  テロを止めさせるためにイラクに侵攻したって誰かが言っていたよね?
  本当にあと7年で終わるの? 延長戦があるんじゃないの?

 おまけに記事はこう言っています。「過去2ヶ月、イラク人の軍と市民に対する攻撃が増加しているが、米軍は詳細は把握していない」 なんだ、これが米 軍への攻撃が減った理由だったのですよ。単に米軍を攻撃する暇がなかっただけで、武装勢力は他の破壊活動で忙しかったというわけです。これからは米軍だ けでなく、イラク人に対するテロ件数を考慮に入れて武装勢力の規模を考えなければ。

※1
http://www.asahi.com/international/update/0408/004.html

※2
http://news.mod.uk/news/press/news_headline_story.asp?newsItem_id=3205

※3
http://www.army.mod.uk/armcorps/queensdr/index.html

※4
http://www.military.com/NewsContent/0,13319,FL_iraq_040705,00.html

 不明の迫撃砲弾の破片が見つかったという情報があります。(4月7日)

スパイク通信員(札幌在住)

 こんにちは、スパイクです。

 先月に起きた迫撃砲弾行方不明事件ですが、自衛隊は徹底的な捜索を行っていました。現在、砲弾の破片らしきものが見つかり、鑑定中とのことです。

「陸自・迫撃砲行方不明から1ヵ月、捜索の現場は今」
http://www.bnn-s.com/bnn/bnnMain?news_genre=17&news_cd=H20021022492#

 MO120RT迫撃砲の砲弾は、15m上空で爆 発した場合、2000m/sの速度で破片が飛び、15mmの装甲を打ち抜くそうです。破片は80cmほどの積雪を通り抜け、地面にぶつかって止まっているはず。しかし、地上にもはっきりわかるクレーター状の跡が見つからなかったのが不思議です。現場に生えている木はやはり北海道の森林にありがちな幹の細い針葉樹林でした。もともと、パルプの原料用に大量に植えられたのですが、パルプは輸入した方が安い時代が到来し、宝の山になり損ねたなれの果てで す。幹が細いので破片が当たらなかった可能性もありますが、一本くらいは破片が刺さっている木があってもよさそうなものです。

 爆発高度7mにして、爆風で折れた木が見つかっていないのは、やはり近接信管の誤動作が原因かと思ってしまいます。つまり、着弾予想地点以外の場所で爆発したということです。でも、幅1.8km、長さ2.4kmの捜索域は、単なる着弾予想地点ではなく、近接信管が作動した領域をすべて含んでいる可能性もありますね。

 こんな時、火薬の臭いを嗅ぎ分ける犬がいたら…と思いました。海外では人や麻薬を探すだけでなく、腐った木製電柱を見分けたり、史学調査用に古くに埋葬された遺体を見つけたり、中には癌細胞の臭いを嗅ぎ分けるといった、変わった訓練を受けた犬がいるそうです。そんな犬がいれば、この作業も楽なのにと思いました。

(神浦・・・・アフガンで地雷探知犬の訓練が行われています。しかし戦場に散乱している砲弾の破片や不発弾の火薬臭に感応し、地雷探知犬が埋まっている対人地雷を効率的に探知できないと聞きました)

 北朝鮮が経済発展するという記事を見つけました。(4月7日)

温泉好き通信員(東京近郊在住)

 こんにちは、温泉好きです。最近とても忙しく、メールを差し上げることができませんでした。

 お母上が入院されたということで、とても驚き心配しておりました。手術が成功されたと聞き、ほっとしておりますが、神浦さん自身もお体には十分お気を付けください。

 さて、今回は少々面白い記事を見つけました。

http://tanakanews.com/f0113korea.htm

 多少古い記事なのですが、北朝鮮崩壊論があちこちでささやかれる中、北朝鮮の経済発展に言及しているものは初めてで、少々引き込まれてしまいました。このサイトの田中さんは、ほかにも中東、欧米、アジア、南米など、幅広い地域に関する記事を書いていらっしゃるようです。私もまだすべて読んでいませんが。とりあえずご報告まで。

追記:さりげなくラジオ毎回聞いていました。元々ラジオは好きでよく聞いていたのですが、そのラジオにお会いしたことがある方(神浦・・・私のようです)が出るとまた違った感覚で聞くことができました。

 神浦さんのおかげか、ラジオ好きのおかげかどうかしても、某騒動ではニッポン放送を応援してしまいましたが、また、某新聞で神浦さんがこの問題についてコメントしている記事を見つけたときは、さすがにびっくりしました。

 それでは失礼します。

(神浦・・・お久しぶりです。人力飛行機は順調にいっていますか。ところで北朝鮮の経済発展ですが、国内の電力、道路、通信、港湾、法整備など、産業インフラが壊滅的です。今、外国人投資家(韓国を含む)が北朝鮮に投資するのは、今のうちに優良地を取得し、土地を買い占めておく作戦と思います)

 イラクで初めて米軍の名誉勲章が出ました。(4月6日)

スパイク通信員(札幌在住)

 こんにちは、スパイクです。

 アブ・グレイブ収容所襲撃の様子がさらに情報が出てきました。攻撃ヘリが入口を爆破しようとした車を攻撃したため、収容者が脱走できなかったというの を読むと、武装勢力側の狙いは収容者の脱走にあったのかという気がしました。中には、襲撃の時間を2時間と書いている記事もありますが、これはちょっと 長すぎる気がします。これだけ時間があれば、武装勢力の何人かを拘束できたはずです。米軍は武装勢力50人が負傷したとしていますが確証はないはずで す。もっとも、米軍は拘束に成功していても発表しないこともあるかも知れません。ヘリを出したのに武装勢力の大半が、まるで忍者のように逃げ去ったのは 疑問が残ります。

 さて、イラク戦争はじめての名誉勲章が出ました。4日、ブッシュ大統領は、故ポール・レイ・スミス上級軍曹(33)に、軍人に与えられる最高位の勲章 である名誉勲章を授与しました(※1)。ホワイトハウスで行われた式典にはスミスの妻と娘、息子が出席しました。最後の名誉勲章の授章は、ソマリアで墜 落したブラックホークの乗員を守るために戦死した2名のデルタ・フォース隊員でした。彼が戦死するまでの模様をまとめてみました。

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 2003年4月4日朝、第3歩兵師団の一部の部隊がバグダッドに到着し、バグダッド国際空港を占領した。包囲されたイラク人民兵と特別共和国防衛隊は 反撃を始めた。空港の西端近くで、湾岸戦争の従軍経験があるスミスは、少尉が偵察任務に出た間に先任軍曹として、第3歩兵師団・第11工兵大隊・B中 隊・第2小隊の指揮を執っていた。スミスの任務はイラク人捕虜を留置場代わりの中庭に移動するというごく普通の仕事だった。バグダッドと空港をつなぐメ インロードの北側にある中庭はイラク軍部隊(民兵・共和国防衛隊)に近いところにあった。

 スミスと彼の小隊の一部が仕事を始めてすぐに、一人の兵士が武装したイラク人数十名が中庭の門がある壁に接近しているのを見つけた。イラク人の別のグ ループは塔の周辺を占領した。スミスはブラッドリー歩兵戦闘車の応援を要請し、彼と兵士たちは迎撃するために中庭の近くに集まった。M113装甲兵員輸 送車が戦闘に加わった。イラク人は約百人ほどで、ライフル銃、迫撃砲とRPGで武装していた。スミスはイラク人を追い返すために壁の向こうに手榴弾を投 げ、ロケット弾を発射した。ブラッドリーはRPGの攻撃を受けて後退した。。迫撃砲がM113に命中し、3名の搭乗員が負傷して重機関銃を操作する者が いなくなった。

 部下にM113の負傷兵を安全な場所へ移すように指示すると、スミスは機銃の銃座に登り、塔と構内に殺到するイラク人に向けて射撃を始めた。スミスの 上体と頭部は機銃を操作するために露出していた。「これはジョン・ウェイン流の行動ではない」と、戦闘の近くにいた、第11大隊で最も階級が高い下士官 ゲーリー・コーカー部隊最先任上級曹長は言う。「彼は非常に整然としており、自分が門を押さえていること、自分は決してそこを離れようとしていないこ と、誰も自分をそこから去らせようとしないことを知っていた」さらにコーカーは言う。「あんな量の銃火の中に立っていられたのはまったく驚きだ」  15分以上の間、スミスはM113の中からマイケル・シーマン二等兵が渡す弾薬300発以上を撃った。

 そして、スミスは敵の銃弾を受けて致命傷を負った。ほとんど同時にティモシー・キャンベル曹長が手榴弾を使って塔からの攻撃を終わらせ、生き残ったイ ラク兵は降伏した。衛生兵が手を尽くしたが、スミスは約30分後に死亡した。スミスとその仲間は20人から50人のイラク兵を殺したと記録された。スミ スの背後には軽武装で損害を受けやすい、衛生部隊、偵察部隊、迫撃砲部隊、指揮所がいた。スミスの行動は少なくとも100人以上の兵士の命を救ったと陸 軍は言う。
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 確かに名誉勲章に相応しい働きです。彼は敵の前に立ちはだかり、敵を撃退し、大隊の基幹部隊を救ったのですから、大隊長は最大級の賛辞を込めて表彰の 申請書を書いたことでしょう。陸軍は彼を讃えるためのサイトを作りました(※2)。このサイトの「battlescape」をクリックすると、当日の様 子が音付きのアニメーションで詳しく説明してもらえます。

 コーカー部隊最先任上級曹長が何と言おうと、これはジョン・ウェイン流の行動です。M113の構造図を見れば、この機銃を使うと、身をほとんど守れな いことが分かります(※3)。しかし、敵の突撃を止めるには重機関銃で掃射するのが一番です。手近な機銃として、スミスはM113の機銃を使ったので しょう。他に方法がなかったのです。

 名誉勲章は1861年に制定されて以来、3,400人がその名誉に預かりました。そのうち600人以上は死後に受勲しています。映画「戦火の勇気」は フィクションながらも、湾岸戦争で始めて女性が名誉勲章を与えられる話で。メグ・ライアンが演じたヘリのパイロットは死後に名誉勲章を与えられました。 名誉勲章の審査には時間がかかり、議会の採決も必要です。記事では18ヶ月以上かかることがあるとしています。

 この記事を読んで感じたのは、これほどの人に偽物の英雄であるブッシュ大統領が勲章を与えるのは、まるで絵になっていないということです。これがパ パ・ブッシュなら、史上最年少の雷撃機パイロットだったことで格好が付くのでしょうが、州軍が務まらなかったといわれるブッシュではどうにもならない感 じです。名誉勲章には恩典があります。受勲者の子供を無条件で士官学校に入学する権利を与える力があるのです。スミスには娘と息子がいます。特に、11 歳という息子の方が心配です。父の跡を継いで軍人になろうと思って欲しくない。本当の敵は勲章を授けた大統領だということをいつか分かって欲しいと思い ます。

※1
http://www.usatoday.com/news/washington/2005-04-04-medal-of-honor_x.htm

※2
http://www.army.mil/medalofhonor/

※3
http://www.globalsecurity.org/military/systems/ground/m113-pics.htm

 イラクのアブグレイド刑務所がアルカイダ系武装勢力に襲撃されました。(4月5日)

スパイク通信員(札幌在住)

 こんにちは、スパイクです。

 2日。アブ・グレイブ刑務所が武装勢力に襲撃されました。翌日、アブムサブ・ザルカウィ容疑者の「イラクの聖戦アルカイダ組織」が犯行声明を出しまし た。

 この事件は日本ではそれほど大きくは報道されていません。国内では米軍の負傷者は44名だったと報じられただけです。こう聞くと、大したことのない事件だったように思えます。ところが、military.comの記事を見ると「数名の兵士が重症で搬送されたと広報官は言ったが、ほとんどの負傷者は軽症でその場で治療された」と書いてあります。44名が軽傷しただけに思える襲撃ですが、実際には重傷者が出ていたのです。重傷者の状況は分かりません が、今後KIA(戦死)に変わる可能性もあります。記事によれば、収容所には3,446名の収容者がいます。ここにはそれなりの医療設備があるはずですが、収容所の医療設備では対処できない程度の重傷者が出たのです。
 さらに、報道には疑問を感じさせる記述があります。武装勢力側は1名が死んだものの、逮捕者はいません。死んだ1名を除いては、武装勢力はほとんど損害がなかった可能性があるわけです。  
 おまけに、アブ・グレイブ刑務所はバグダッドに近い場所にあるのに、援軍が来援したのかどうかは記事には書いていません。記事では襲撃は最低で40分 間(日本の報道では1時間)続きました。十分に付近の部隊が救援に駆けつけられる時間ですが、そうした事実は書いてありません。それなのに、武装勢力は1時間あまり攻撃を続けた後に消え失せたというのです。
 武装勢力の規模はどれほどだったのかも、「dozens of insurgents」とか「a very big attack」としか書かれていません。これは米軍が敵の規模を掌握する前に戦いが終わったことを伺わせます。
 ある中尉の言によれば、「武装勢力が収容者の脱獄を助けようとしたのかどうかは不明なるも、刑務所の壁を破壊できなかったので、誰も脱走できなかった」とのこと。武装勢力は、収容者を脱走させる計画が失敗したので引き上げたのか、もともと適当に攻撃して引き上げる計画だったのかいずれかでしょう。 どちらにしても、アブ・グレイブ収容所を狙ったのは、ここが米軍の腐敗を象徴する場所だからで、治安回復が虚像だということを実証し、アピールするためなのでしょう。結果としては、米兵が建物という防御に有利な地におり、周辺には味方もいるという状況で、数名の重傷者を出したのは、1名が戦死した武装勢力に比べるとより大きく負けたと考えられます。

 この襲撃で総選挙以降は治安が回復したという米政府の主張が崩れた、と報じられています。しかし、もともとこの見解自体はどうしようもない代物で、一 時でもそれを信じたのなら、自らの不明を嘆くべきだと思います。
 戦死者の推移を集計したグラフを見れば、この見解の嘘は一目瞭然です(※2)。このグラフを自分の目でじっくりと解析して、自分の結論を出してみてく ださい。
 確かに米軍の戦死者は、1月→107人、2月→58人、3月→33人、と減ってきてはいます。だけど、似たような減少傾向を示したのは今回だけではあ りません。去年の4月から3ヶ月の状況も似たようなものでした。4月→135人、5月→80人、6月→42人と3ヶ月連続で戦死者が減ったあと、翌月か らまた盛り返していきました。4月はファルージャ戦があった月で、今年の1月は選挙という大きなイベントがありました。こういう数字の変動はほかの期間 にも見つけられるのであって、米政府の主張はこじつけに過ぎないのです。ほかによい情報があれば報告に盛り込まれたはずです。こうまでして苦しい説明を したのは、イラク戦が“何もかも終わっている”からに他なりません。
 この事例は、国家が嘘の数字を国民に提示し「状況が好転してきたぞ。もう少し様子を見よう」という気にさせて戦争を続けようとする見本みたいなもので す。

※1
http://www.military.com/Resources/EQG/EQGmain ? file=EG_ground_veh&cat=g&lev=1

※2
http://www.globalsecurity.org/military/ops/iraq_casualties.htm

 (神浦・・・米軍はこの攻撃に対し、3機の攻撃ヘリで救援したという情報があります。)

 民間戦争請負業(PMF)の国際法的な規定があいまいです。(4月4日)

スパイク通信員(札幌在住)

 こんにちは、スパイクです。

 よさそうな本を見つけました。「戦争請負会社」(P・W・シンガー著/NHK出版)です。サブタイトルは邦題から外されていますが、「民間軍事請負業の台頭」です。ハリバートン社に代表される民間の軍事関連法人に関する研究論文です。恐らく、民間軍事請負業に関しては最初の専門書だと思われます。シンガー氏はブルッキングズ研究所の研究員で、国家安全保障とイスラム世界外交政策の専門家です。昨年12月に刊行された本で、まだ最初の方を読んだだけですが、なかなかよい内容です。

 冒頭の「日本語版の刊行によせて」に、なぜ今まで自分が気がつかなかったのか不思議なことが書かれていました。その部分を転載します。
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 より大きな懸念は、本書が警告した傾向や意味合いの多くが、そっくりそのまま表面に姿を現したことであろう。民営軍事請負業が異常な速さで発展している一方、政府の対応は遅々としている。現行の国際法は主として個人傭兵を対象に書かれていて、この産業についてはほとんど対応していない。国家レベルでの規制や監視も最小限しかない。
 その結果、民営軍事請負業とその社員は、引き続き法律の灰色領域に存在していて、法的地位も不明瞭で説明責任も最小限のままである。たとえば、アブグレイブ虐待事件に関与した米国陸軍兵士が相応に軍法会議にかけられていながら、米国陸軍の調査報告書で名指しされた民間契約者はただの一人も告発されていない。米国陸軍はたとえそうしたくても裁判権さえないと見ているからだ。民営軍事請負業は軍事作戦の一部ではあるだろうが、企業もその社員も軍隊の一部ではなく、軍の命令系統や軍法からも外れた存在なのだ。
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 シンガー氏が何を問題視しているのかについて説明します。

 国際法は傭兵に交戦者資格を与えていません。以前にも書きましたが、交戦者資格がない者は捕虜になる資格がありません(交戦者資格を持たない者が戦闘に参加しても、直ちに戦争犯罪となるわけではありませんが、行った行為に対しては個人として責任を問われることがあります)。

 交戦者資格を持つ者は、戦場で負傷したり捕虜になった場合に人道的な扱いを受ける権利を有します。しかし、傭兵にはその資格はないとされています。傭兵の定義は省略しますが条件が6つあります。民営軍事請負業(以下、PMF)の社員はどう控えめに見てもこの条件のにすべて該当します。同時に、PMF の社員はどう見ても、交戦者資格を持つ民兵とみなすことはできそうにありません。

 PMFの社員が傭兵だと結論すると別の問題が浮上します。「傭兵の募集、使用、資金援助および訓練に関する国際条約」という国際条約が、傭兵に関わる行為を禁止しているのです。国際条約は加盟している国にだけ守る義務がありますが、条約が存在する以上、これと矛盾する形でPMFに交戦者資格を与える ことはできないことになります。

 しかし、国際法が前提としたのは、法人ではなく個人としての傭兵でした。PMFの社員の立場をどう考えるか、まだ国際的な取り決めは何もないのです。 アブグレイブ刑務所の事件も問題ですが、ファルージャ掃討のきっかけになったのは、PMFの社員が殺されたことでした。正規軍の軍事行動の原因になった組織の立場がはっきりしないというのは、実は大変な問題だというのがシンガー氏の主張です。現状では、PMFはやりたい放題に近い状態です。いずれこの問題は国際的な基準が作られなければなりません。

 平和国家日本としては、当然こうした問題に積極的に取り組み、国際会議に提案をしていく…なんて余裕も頭もないのが日本の悲しいところです。しかし最低でも、PMFが正規軍と共同で軍事行動を行うことを禁じる国際法を作ることは可能だと思います。これで、PMFは従来のように糧食や整備など非戦闘行為だけに活動が限定されることになります。こうした活動は軍属といって伝統的にどの国にもあったものです。

 PMFが水増し請求で荒稼ぎをしているという記事が最近のニューズウィーク日本語版に載っていました。PMFが行うサービスの適正価格という問題は今後数多く出てくるでしょう。「ロボコップ」という映画は、警察の民営化が、効率のよい警官ロボットをもたらすという話でした。PMFとハイテク兵器という点で、この映画は未来を先取りしていたのかも知れませんね。

 最後に別件を書きます。

 迫撃砲弾行方不明事件で、近接信管が雲を地面と誤認した可能性を新たに考えました。航空機や気象用のレーダーは、電波で雲を探知します。数GHz程度の電波は雨や雪に反射します。これよりも波長が短いと霧にも反射します。近接信管が使用する電波の波長は分からないのですが、雲に反応して砲弾が高空にある内に作動した可能性も検討してよいかと思いました。これなら、砲弾の破片は広範囲に散乱し、発見できなかったとしてもおかしくありません。

 手榴弾暴発事件については、静電気によって爆破用雷管が爆発した可能性を思いつきました。希に、人が感電死するほどの静電気が自然発生することがあり ます。爆発した手榴弾に取り付けた雷管を、まだスイッチにつながる電気ケーブルと接続していなければ、3個目の手榴弾だけが爆発してもおかしくないと思 われます。さらに詳しい作業手順が分かれば、この真偽が判定できると思います。ケーブル接続に爆発したのなら、やはり手榴弾の不良が原因だと思います。