最新記事へリンク

所長
神浦元彰
軍事ジャーナリスト
Director
Kamiura Motoaki
Military Analyst

English Column of This Month!VOICE OF Mr.KAMIURA

Re:メールにお返事

日本や世界で現在進行形の最新の軍事情報を選別して、誰にでもわかるような文章で解説します。ホットな事件や紛争の背景や、将来の展開を予測したり、その問題の重要性を指摘します。J-rcomでは、日本で最も熱い軍事情報の発信基地にしたいと頑張ります。(1999年11月)

2014.07.03

 日本が抑止力としての戦力のあり方は 

届いたメール
集団的自衛権容認についてです。

北朝鮮の脅威が日本で騒がれた頃から常に事件が起きると、神浦さんの見解を読み、感心しておりました。

中国、北朝鮮に対しての苛立ちや不安をすべて払拭してくれて、政府の弱腰による外交に日本人として情けなく思っていたところを、日本人としての誇りを感じられました。

しかし、日本版NSCの創設や集団的自衛権に関しては神浦さんの意見は否定しているように感じます。

従属国のようなアメリカ追従ではなく、自立した普通の独立国に日本がなるためには、少なくとも自国の領土を自分で守れる事と同盟国と協調できる軍事力そして情報分析力が必要なのではないでしょうか。

所長の考える日本の在り方、とにかく戦争回避ありきの左翼的な人々と同じ考えなのでしょうか?教えて下さい。

私は、中韓朝は日本と戦争したら負けると思えば絶対に戦争は仕掛けないと思います。

私がもっとも恐れるのが日本人に流れるDNAです。一度、戦う気にさせたら誰にも止められないと思います。

中国が挑発するのも日本が法に縛られ身動きが取れない軍隊しか保持していないと日本に危険を感じてないからです。

日本が、その気になれば戦争になってしまう脅威を感じさせなければ、いずれ本当の戦争になるまで中国の挑発はエスカレートすると思ってます。

そうなった時の急激な右翼化、軍拡化を日本人として最も恐れます。

日本は、今までの憲法だけでは成立しないと思います。

銃の規制とは違うと思います。持てば守れるが持てば撃たれるような発想はしてはいけません、

天下無双の侍のように刀を抜けば勝つので抜かない、この精神じゃいけないのでしょうか。
コメント
日本の集団的自衛権ですが、私はすでに日米同盟では自衛隊と米軍は一体化していると思っています。しかし、それはあくまで日本の自衛(専守防衛)のための軍事同盟関係で、自衛隊が海外で戦う米軍と一緒に戦争をする必要は現憲法の精神で必要ないと思います。

現憲法を改憲すれば可能です。

アメリカも日本を防衛するのは、日本の米軍基地を存続させ、活用するためで、日本の防衛の戦争で米兵が戦死しても、米兵は日本のために戦死したのではなく、アメリカの米軍基地(アメリカの国益)を守るために戦死したのです。

アメリカ兵が日本で戦死したから、自衛隊員が海外の米軍と共に闘う必要はありません。兵力以外でアメリカに協力できることは山ほどあります。

しかし、集団的自衛権の行使容認はそんな議論で始まったのではありません。

今は、自衛隊とともに組むのは米軍でなくてもいいし、海外であるなら中東でも構わないという論理で議論されました。

これは集団的自衛権の行使容認の目的が、自衛隊を海外の戦争に派遣することで、外務省の日本の安全保障の主導権を握りたいという野望で行われています。

過去の防衛(庁)の時代は、防衛庁の役割は自衛隊の管理と運営でした。日本の安全保障は外務省の日米安全保障担当が担っていました。

しかし防衛庁が防衛省に昇格して、日本の安全保障を防衛省が担うようになって、外務省は在日米軍基地(日米安保条約)に権限が縮小されました。外務省はこのことに強い危機感を持ったようです。

そこで外務省は日本版NSCを創設して、再び上部から防衛省を指図できるようにしまた。

その上で、日本や日本周辺での戦争(有事)は、あくまで防衛省が主導権を握っているので、防衛省の力が及ばない中東などの戦場に自衛隊を派遣し、日本の安全保障を外務省が作った日本版NSCで主導権を取り返したという野望です。

ですから集団的自衛権の行使容認は、日本の抑止力を高めて戦争を防止するという役割ではなく、外務省の省益を高めるための戦争を始めたいという野心のためです。

だから私は反対し、批判しています。

そんな背景も最近はかなりの人が理解してもらえるようになりましたが、まだまだ知らない人が圧倒的に多いようです。

日本人の多くは日本が戦争によって利益を増やすようなことはしないと考えていると思います。しかし、外務省は海外の戦争を活用しないと省益の拡大が出来ないと考え、行動しています。

私は多くの人に、そんな背景を知って欲しいと考えています。
BACK