最新記事へリンク

所長
神浦元彰
軍事ジャーナリスト
Director
Kamiura Motoaki
Military Analyst

English Column of This Month!VOICE OF Mr.KAMIURA

Re:メールにお返事

日本や世界で現在進行形の最新の軍事情報を選別して、誰にでもわかるような文章で解説します。ホットな事件や紛争の背景や、将来の展開を予測したり、その問題の重要性を指摘します。J-rcomでは、日本で最も熱い軍事情報の発信基地にしたいと頑張ります。(1999年11月)

2010.11.05

 漁船と巡視船の衝突ビデオがネットに流出しています 

届いたメール
尖閣諸島での中国漁船と海上保安庁の巡視船が衝突するビデオがインターネット(Youtube)に流出しているとの噂が出ています。

下記にURLを添付します(削除されていたらすいません)。
ビデオの真贋、もし本物なら何者がどんな意図でこれを流出させたのか、日本の情報管理はどうなっているのかなど、論評いただければと思います。

http://www.youtube.com/watch?v=JXkawnuyTn8
http://www.youtube.com/watch?v=bY0tgl6YLGI
http://www.youtube.com/watch?v=3eJsXP4HLVs
http://www.youtube.com/watch?v=gOUvdNjs_Cg
http://www.youtube.com/watch?v=q3JYT0G94-E
http://www.youtube.com/watch?v=A7h0S1nk9Hk

実際の衝突シーン ミン晋漁5179
http://www.youtube.com/watch?v=q3JYT0G94-E&has#t=1m10s
コメント
情報、ありがとうございます。

それではビデオを見てお返事を書きます。

ーーーーーーーーーー

今、ネットをチェックしましたが、どうやら削除されている様です。しかし今朝のTVニュースで数秒間の映像は見ることができました。

明らかに、中国漁船が意図的に巡視船に衝突させる様子を感じました。海保が公務執行妨害でこの漁船を逮捕したことは理解できます。

このビデオを流出させた意図ですが、やはり取り締まり関係者が政府のやり方に不満を持ち、内部資料を流出させたものと思います。

その点では、今の時代では情報の封鎖ということが難しくなっているのだと思います。ウィニーで意図しないのに秘密情報が流出していくという以上に、簡単に秘密情報をネットに流すことが可能になってきたということだと思います。

そこで今回のように、当分は”削除と転載”という”イタチごっこ”が続くことになりますが、結局、削除する側が圧倒的に不利な戦いです。

ここで思い出すのは、かつて東シナ海で海保の巡視船が北朝鮮の不審船を追跡し、停船命令を出しても止まらない不審船に銃撃を加え、不審船が自爆して沈没した事件です。

実は、あの追跡方法は国際法上はいろいろな問題を内包していたのです。

あの不審船は日本の領海を侵犯していません。偽装とはいえ中国の国旗と船名を表示していました。明らかに航海の自由を認められた船だったのです。

しかし銃撃戦の末、不審船は自爆して沈みました。確かに不審船であることを日本は証明する必要がありました。

そこで私はすぐにこのHPで、不審船を引き揚げるように提言しました。現場の東シナ海が浅いことと、引き揚げて不審船の改造や武装を明らかにする必要があると考えたからです。

直ちに日本政府で、不審船の回収が決まった背景にはそのような理由がありました。あの追跡方法と銃撃は、もし太平洋のように深い海では危ないやり方だったのです。

あの不審船は横浜港に展示されていますが、今はあの海保のやり方に抗議する国はありません。あの不審船の改造や武装を見ると、海保のやり方に反発するどころか、海保の判断と行動を賛辞する人ばかりです。

今回も海保の関係者は同じような判断をしたように思います。このままでは中国漁船の違法行為が見逃されることになる。そこで取り締まり関係者がルール違反でもネットに映像を出したように感じました。

かつて自衛隊の統幕議長(当時)だった栗栖氏が、「日本は有事法制の整備が出来ていないので、有事に自衛隊は超法規的な行動をとる」と雑誌のインタビューで発言して、金丸防衛庁長官(当時)に解任されることがありました。法整備の遅れや政府の対応が不適切な場合、現場は危機感をもって違法であっても行動するという精神がありました。

今回も同じような背景があると思います。

同じようなことは中国でも起こっています。政府のネット規制や情報統制が出来なくなりつつあります。

FAXが普及していった頃から、そのような時代が来ていることを強く感じるようになりました。内部告発が非常に多くなりましたから。

これも大きな時代の流れです。携帯電話で撮った映像が、ツイッターで全世界に配信される時代なのです。
BACK