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所長
神浦元彰
軍事ジャーナリスト
Director
Kamiura Motoaki
Military Analyst

English Column of This Month!VOICE OF Mr.KAMIURA

Re:メールにお返事

日本や世界で現在進行形の最新の軍事情報を選別して、誰にでもわかるような文章で解説します。ホットな事件や紛争の背景や、将来の展開を予測したり、その問題の重要性を指摘します。J-rcomでは、日本で最も熱い軍事情報の発信基地にしたいと頑張ります。(1999年11月)

2010.05.19

 普天間の代替基地は嘉手納基地の第3滑走路ですか 

届いたメール
いつも拝見し、勉強させていただいております。

ぜひとも見解を伺いたいことがありましてご連絡させていただきました。先日、ジャーナリスト0000氏がツイッターにて興味深い発言をされました。

普天間飛行場の代替滑走路を沖縄本島に建設する理由です。以下、そのまま引用します。

「普天間基地の滑走路を沖縄に残す真の意味は、海兵隊のためではなく、嘉手納の米空軍基地の予備滑走路、第三滑走路としてのものだ。嘉手納を飛び立った米軍機が、嘉手納が攻撃されても無事に戻れるようにするためだ。家島などの離島の滑走路では継戦能力が失われるので沖縄本島ということになる。」

つまり海兵隊ではなく、嘉手納空軍の抑止力を保つためにこそ沖縄本島における代替滑走路が必要である、ということです。

これは日米交渉のなかでアメリカ政府から説明を受けたもので、この話を聞いてから鳩山氏も本島に代替施設が必要と考えなおすに至ったとのことです。

この説明は軍事的に見て正しいのでしょうか?また、そうだとすると神浦さんの提唱する嘉手納統合案も解決策としては不適当となるのでしょうか。

ご見解をお聞かせいただければ幸いです。
コメント
私は0000さんのことを知りませんし、会ったこともありません。また本や文章を読んだこともありません。

また”家島”は伊江島の誤りだと思います。

しかし明らかに、私の嘉手納弾薬庫の活用案と違います。

0000さんはいとも簡単に予備の滑走路があれば嘉手納基地が攻撃されても、第3の予備の滑走路に着陸できると書かれていますが、滑走路は使用する航空機や戦略目的で大きく違います。

まず、滑走路の長さです。オスプレイ(MV22)なら1600メートル以上が必要です。先日、嘉手納に飛来したB52爆撃機なら3000メートル以上が必要です。それに滑走路の幅や強度(厚さ)の重要な要素になります。ヘリパッドなら500メートル四方でいいと思います。

それにオスプレイは離・着陸時に高温の排気を滑走路面に吹き付けます。通常の滑走路の表面では熱で溶けると思います。

このように沖縄に作る新しい滑走路は、嘉手納基地(空軍)の代替にならないし、嘉手納が新基地(オスプレイ)の代替になることも難しいのです。

そのような意味から、嘉手納の滑走路と新基地の滑走路の運用は分けて考える必要があります。互いに予備基地にはならないと思います。

私が新基地に海兵隊の役割を想定しているのは、有事に嘉手納基地を警備に来る海兵隊を考えています。沖縄が巻き込まれた有事には、その程度のことしか海兵隊にはできないと思います。

ですから海兵隊の航空基地に嘉手納弾薬庫の一部を活用し、嘉手納基地を警備する海兵隊の地上部隊はキャンプ・ハンセンを宿営地に活用します。

キャンプ・ハンセンには陸自の第15旅団が駐屯します。平時には嘉手納基地の警備が可能ですが、有事には離島など島嶼作戦を行いますので嘉手納警備に十分な人数を割けないのです。

想定する有事の中には、大きな台風や大地震、それに大津波などの自然災害も含まれます。もし沖縄に口蹄疫が感染すると、防疫活動に自衛隊が出動することになると思います。
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