| 所 長 ご 挨 拶 | |
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第112回 (5月 2009年) 先月は北朝鮮のテポドン2(改)による試験通信衛星”光明星2号”の打ち上げで、4月5日の前後合わせて20日間ぐらいは大騒ぎでした。しかし不思議なものでテポドン騒動が過ぎ去ると、いつものように穏やかな日常生活が帰ってきました。(まだ日本国内では新型インフルエンザの感染者は発表されていません) しかし今回、テポドンのような長距離弾道ミサイルには、日本のSM3とPAC3のミサイル防衛(MD)では迎撃できないとなると、政府の一部から早期警戒衛星を日本も打ち上げるべきという対処論が出てきました。相変わらず懲りない連中です。 早期警戒衛星にどのような軍事技術が必要で、そのために必要な時間と経費もまったく無視したいつもの脅威論です。それより、早期警戒衛星がどの様な軍事システムの中で、どの役割を担うかについて考量した形跡はありません。また「鰯(いわし)の頭」を祭り上げようとしています。 水面に映った月を見て、「あの月をとってくれ」とせがむ子供と同じです。ただし考えたふしがあるとすれば、日本にとって早期警戒衛星は無用でもあっても、現実に使われる可能性はまったくないし、その開発に10年以上の時間と2000億円のお金をかければ、あとは衛星の寿命(およそ5年)ごとに莫大な運用経費が見込まれる点だけです。要するに安定した防衛利権が目的なのです。 もし政治家やメディアが早期警戒衛星の軍事的な役割を知っていれば、そのような間違った軍事論を簡単に看破できる問題なのです。それが与野党の有力政治家を合わせて、軍事知識が高いという方からも、北朝鮮の弾道ミサイル対策で早期警戒衛星の必要性を唱えられているのです。だから日本の安全保障政策に悪影響を与える意味で深刻な問題なのです。 それでは早期警戒衛星が必要という政治家が罹っている新型インフルエンザに効くワクチンのことを書きます。 早期警戒衛星は核戦略システムとして必要なパーツなのです。核武装していない日本には不要なものなのです。また、日本が独自の早期警戒衛星を運用しても、北朝鮮や中国やロシアからの攻撃に対して役に立つ抑止力を持ちません。 ご存じのようにアメリカとロシアは互いに戦略核兵器で威嚇し、常に恐怖の均衡とよばれる核戦略で全面核戦争を抑止しています。そのためアメリカの早期警戒衛星は赤道上3万6千キロの宇宙空間に静止して、ロシアがアメリカに向けて発射する戦略核ミサイル(ICBM)を警戒しています。 早期警戒衛星が探知するのは、戦略核ミサイル(長距離核弾道ミサイル)を発射した際に発する熱と光です。その熱と光を探知すると直ちに北米防空司令部(NORAD)に通報します。 次ぎにアメリカのNORADが行うのは、アラスカに配備した早期警戒レーダーで北極圏上空を通過してアメリカに向かう弾道ミサイルの航跡を捕らえます。この段階ではすでにロシアの弾道ミサイル(ICBM)はブースト・コース(上昇段階)を終えているので、弾頭の速度や高度を計測すれば目標地点(落下地点)を割り出すことが可能です。(個別誘導・多弾頭は除く) そこでロシアのICBMがアメリカに向かっていることが分かれば、アメリカはロシアに報復するために米本土のICBMをロシアに向けて発射します。これはロシアのICBMをロシアがアメリカに到達するまで40分〜50分ほどかかるから出来ることなのです。そのためアメリカは常時、短時間でICBMを発射できる臨戦体制を取り続けることが必要です。 これはロシアにも同じことがいえます。早期警戒衛星とは、米露が互いに相手に一方的な「先制核攻撃」を許さないための核戦略システムなのです。これは、そうした能力で互いに核戦争を抑止しているという説明にもなります。これが米露の恐怖の核バランスといわれています。 日本の場合、仮に早期警戒衛星を打ち上げても、全体の核戦略システムがなければ抑止力になりません。また北朝鮮ばかりか中国やロシアであれば、相手のミサイル発射を早期警戒衛星で探知しても、距離が短すぎてリアクション(反撃)することはできないのです。 このような基礎的な軍事知識があれば、日本に早期警戒衛星が必要という考えは生まれてきません。 今度は私が問題を出します。 問題 日本の海自のイージス艦に搭載しているSM3(対弾道ミサイル弾)を陸上に配備すれば、射程が延びて広範囲を防御できるといえるかどうか。 考えるヒント SM3は敵弾頭のミッドコースで迎撃します。しかしPAC3は落下コースで迎撃します。そのため命中までの誘導方法が異なっています。兵器の用途としては”りゅう弾砲”と”機関銃”ぐらいの違いです。(注・・・軍事を何も知らない政治家を説得できる正しい答えを考えてください) つづく 5月3日 憲法記念日 |
以前の所長挨拶はファイル(文書倉庫)にあります。 |
著書紹介
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面白いほどよくわかる 『世界の軍隊と兵器』 05年1月30日 発売 日本文芸社刊 1400円(税別) |
この本を私の著書と呼ぶことはできない。大部分は軍事ジャーナリストの芦川 淳さんと、軍事フォト・ジャーナリストの菊池雅之さんが書いた本である。二人とも、将来は日本を代表する軍事通になる素質を持っている人である。。
この本で私の担当は、監修と第7章の「新しい日本の防衛政策」を書いた。私としては高校生レベルの軍事入門書として読んで頂きたいと考えていた。しかし意外なことだが、若い新聞記者やテレビ関係の報道ディレクターが読んでいた。私のところに取材に来る前に、この本を読んできましたと話す人が多くいた。今までは、軍事とは関係のないところに生き、仕事柄、初めて軍事の世界に触れる人には都合のいい本だったようだ。 出版社に聞けば、やはり売れているようで、早々と半年で軍事本では珍しい重版になった。ともすれば私たちは軍事の専門家として、高度な内容の本を書きたがる傾向がある。社会に自分を認めて欲しいという欲求があるからだと思う。しかし世の中が求めているのは、確かな基礎知識に基づいた初級クラスの軍事解説本も忘れてはいけないと気が付いた。 これから軍事を勉強してみたいと興味を持った方にお勧めしたい1冊である。 |
| 『戦争の科学』(監修) 03年9月10日 発売 主婦の友社刊 3000円 (税別) |
5月のある日、主婦の友社の編集者が訪ねてきて、「この本を翻訳して、日本でも出版したいと思います。ぜひ協力してください」と話した。原題は『SCIENCE GOES TO WAR』である。すでに下訳ができていて、読んでみると戦争というより兵器の歴史書だった。まずは日本語訳の間違いを訂正するために原書と突合せながら読んでみた。するとこの和訳が実に上手い。いやむしろ上手すぎると思った。言葉を訂正するどころか、逆に、言葉の使い方に感心しながら読んだ。翻訳はまったく問題がなかった。ところが原書には、今の時代では必須のRMA(軍事革命)の記述がなかった。そこで、「この本のタイトルでRMAの項目がなければ欠陥品になります」と編集者に話した。そこで最後の解説の部分として、RMAを書き加えることになった。それを私が担当することになった。 「高校生にわかるように書きます」と言って、もっともわかり易いRMAの解説を書いた。それから原書にはないイラストを友人の長谷川正治氏を紹介した。ぜひとも図説のイラストが必要と思ったからだ。これで8月末に完成した。訳者の茂木健さんに脱帽した。 |
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| 『北朝鮮 消滅』 03年3月1日 発売。 イースト・プレス社刊 1500円(税別) |
北朝鮮という国を軍事的な視点で見ると、今までは異常な体制支配で隠された部分から、真の姿が浮かび上がってきた。なぜアメリカは北朝鮮を軍事攻撃できないのか。韓国の太陽政策はなぜ生まれたのか。日本と北朝鮮の国交正常化はなぜ進展しないのか。 そもそも北朝鮮の軍事力とはどうなのか。テポドンやノドンが日本に飛来する可能性はあるのか。そして、北朝鮮をめぐる中国やロシアの対応に隠された真意はどこにあるのか。 イラク戦争でフセイン独裁体制が米英の軍事力で倒された今こそ、この本が解き明かす北朝鮮の真実が近未来を予測します。 この本は1500円で、2003年3月1日が発行日です。 |
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| 『北朝鮮 対日 潜入工作』 共著 別冊宝島宝島 038 宝島社刊 1200円(税別) |
私が担当したのは、「生物・化学兵器の原料流出のみを警戒せよ!」です。何だか変なタイトルですが、もう北朝鮮の兵器は脅威ではない。エンジンのかからない戦車、飛ばない戦闘機(飛ばせないパイロット)、潜航せきない潜水艦の数を数えて怖がっててもしかたがない。しかし生物・化学兵器だけは怖い。これに対する警戒は必要と書いたら、このようなタイトルになりました。 原稿を書いたのが02年の7月、本が出たのが8月、そして9月から小泉訪朝と拉致事件被害者の帰国と、日本で北朝鮮関連のことで大騒動になりました。そのためか、何度かこの本が増刷され、こんど宝島文庫にもなるそうです。 北朝鮮は怖くなければ北朝鮮ではない。怖い北朝鮮が大好きという方には、この本は絶対のお勧めです。金正日の危険度を知る上では面白い本です。 |
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「裸の自衛隊」 神浦元彰 監修 宝島文庫社 ¥533(税別) |
歴史的な名著として話題になった自衛隊本。ベストセラーの初版から9年たっての文庫本なのに、初版〔文庫〕で10万部を刷ったという驚異の本。この「裸の自衛隊〔文庫〕」では、記事中以外に、「INTRODUCTIN」と「あとがき」を担当しています。他の著名な執筆者の鋭い取材や分析には、軍事の専門家でない方が、むしろ自衛隊を正確に見ていると脱帽しました。自衛隊の本当の姿を知りたい人にはお勧めです。現職や元自衛官には圧倒的な人気でしたが、防衛庁高官や自衛隊の偉さんたちにはヒンシュクをかいました。 |
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「北朝鮮最後の謀略」 神浦元彰 著 二見書房 ¥825(税別) |
神浦所長が最初に挑戦した「軍事小説」。本当はこれで直木賞を狙っていたが、候補どころか話題にもなりませんでした。〔もちろん冗談〕 小説の話しの内容は、ロシアの犯罪組織から核爆弾を密かに買った北朝鮮の指導者が、横須賀港に寄港している米原子力空母の船底に核爆弾を仕掛け、関東一帯を「チェルノブイリにする」という計画が発覚。それを阻止すべき自衛隊の特殊部隊が投入された。北朝鮮軍工作員指揮官の許少佐の謀略に翻弄される日本。その間にも、核爆弾は改装された貨物船で東京湾に運ばれ、水中から原子力空母の船底にセットされた。(裏話・この小説はアメリカの高官が、「北朝鮮が1〜2発の核爆弾を持っていても、1万発以上の核弾頭を持っているアメリカの脅威にはならない」と言った事に頭にきて書いたのがもともとの動機です) |
| 「北朝鮮『最終戦争』」 神浦元彰 著 二見文庫 ¥495(税別) |
北朝鮮がテポドンを発射実験して、日本政府やマスコミのあまりの動揺ぶりに「ビビルな日本、北朝鮮は怖くない」と、科学的な軍事分析してみせた本がこれ。内容はノンフィクションですが、軍事常識や理論を勉強するには最適の本です。各所に具体例を挙げながら、理論的な説明をしておきました。この本は一部の朝鮮半島の専門家には高い評価をして頂きましたが、「北朝鮮が攻めてくる」と危機感を煽ってなんぼの人には敵視されました。しかし北朝鮮がいくら全体主義の国でも、国民の大多数が飢えているのに、大きな戦争を始める余裕はないでしょう。(裏話・この本で言いたいのは、本当に怖いのは北朝鮮ではなく、その背後にいる中国で、その将来の日中関係によっては、深刻な事態になると警告をしたかった。新たな冷戦を生まないために、中国と日本と米国が軍事対立をしないことが大事) | |
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「アジア有事
七つの戦争」 神浦元彰 他(共著) 二見書房 \1748(税別) |
「何か面白い本を書こうよ」と、軍事評論家の野木恵一さんと話していたら、これからのアジアの10年間を、軍事情勢から分析し予測してみようと企画したのがこの本。そしていつもすごい記事を書くなと関心をしていた、河津幸英〔軍事研究誌 論説委員〕さんと、航空ジャーナリストの石川潤一さんにも加わって頂いて、4人の共著で出版しました。
本当は4人で酒でも飲みながら、ワイワイガヤガヤとやりながら、進行していこうとぐらいに考えていました。ところが、野木さんは昔から酒を飲まないことを知っていましたが、河津さんも酒を飲みませんでした。石川さんもほんの付き合い程度しか酒を飲まないと聞いて大ショック。大酒飲みの私としては、極めてまじめに企画から、執筆まで真剣に取り組んだ本です。出版後にA新聞社の有名軍事編集委員から電話を頂き、よく書けているとお褒めの言葉を頂きました。4人が大酒のみだったら、どんな本が出来たのでしょうか。 |
| 「日本の最も危険な日」 神浦元彰著 青春出版社 絶版 発行1978年6月 | 22年前の本です。「神浦さん、将来、大物になる人は20代で本を出しています。書いてみませんか」と、私が29歳の春に青春出版社編集部の行本さん(当時、現在は文化創作出版社)に言われ、中高生を読者対象にして、わかりやすく軍事常識の解説書を書いたのがこれ。日本や日本周辺で考えられる軍事問題を99項目とりあげて解説をしました。たとえば、「なぜ中国は台湾を攻めないのか」「小さな地域紛争(人種、宗教、国境など)から、人類を滅ぼす全面核戦争までの戦争分類法」「米ソ、戦略核兵器の種類と核戦略」「北海道脅威論のいい加減さ」「開発中の精密誘導兵器の恐怖」などなど、いろいろな項目で書きました。たしか30歳の7月の誕生日にぎりぎり間に合ったと記憶しています。この本を出したのを機会に、テレビなどマスコミに軍事問題で出るようになりました。そのころ週刊ポストで最も若い記者だった二木啓孝氏(現、日刊ゲンダイの編集部長)と、この本が縁で知り合い、同じ年ということで仲良くなり今も付き合っています。私の肩書きの「軍事ジャーナリスト」というのも、二木氏が20代で軍事評論家はないだろうと命名しました。この本で私の本格的な軍事人生(取材・研究・発表)が始まったようなものです。それが今、私の書斎の本箱を見たら、なんと1冊もないんです。びっくりしました。私と同じ頃に青春出版社から「天中殺」の本が出て、歴史的なほど爆発的に売れました。そして日本中で占いブームが起きたときは驚きました。まだ藤本義一氏が日本テレビで11PMの司会をやていた頃の話です。その11PMにも何度か出演させて頂きました。 |