ここには2007年9月のWhat New!を保存しています。

 

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この情報の最も新しい更新日は9月30日(日)です。

軍政、デモ制圧宣言

ミャンマー市民沈黙

恐怖拡大、

   デモ参加者減

(朝日 9月30日 朝刊)

[概要]ミャンマーの軍事政権は29日、国営紙で「最小限の力の行使で秩序を回復した」と一連のデモの制圧を宣言した。最大都市のヤンゴンでは治安部隊を増強し、デモを許さない姿勢を一層鮮明にした。一時は10万人まで達したデモだが、射撃をためらわない治安部隊への恐怖から、日を追うごとに参加者が減り、29日は小規模にとどまった。しかし市民らは息を潜めて状況を見守るが、心の中には怒りとあきらめが同居しているように見える。

 29日の午後、ヤンゴンの街の一角に約100人の市民がデモのために集まると、駆けつけた治安部隊が襲いかかり、何度も殴打。市民は逃げ出したが、5人が拘束された。目撃者は「激しい殴り方だった。とても耐えられないだろう」とAFP通信に語った。

 軍政は僧侶や市民をほぼ押さえ込み、民主化運動の指導者アウン・サン・シー・チーさんが率いる国民民主連盟(NLD)の幹部や活動家も相次いで拘束した。反政府デモはこのまま沈静化するように見えるが、在ヤンゴンの西側外交筋は、「軍政の暴力的なやり方は、市民の怒りを確実に高めた。うっ積した憤りがいずれ、何かのきっかけで爆発する可能性がある」と指摘している。

[コメント]国連のガンバリ特使はヤンゴンから首都ネピドーに向かわせた様である。ヤンゴン市内にガンバリ特使が姿を現せば、市民を刺激してデモが再発するのを恐れたようだ。ガンバリ特使がスーチーさんや民主化を求める僧と面会を求めても、実現しないか、報道を禁じられる措置がとられることは確実だ。国連安保理でミャンマー政府を非難する決議が全会一致で採決されることが望ましいが、中国が棄権して非難決議の効力を失わせることも間違いない。

 88年の民主化弾圧事件の時は、治安部隊に3000人の市民や学生が殺されたという。一部はジャングルにある少数民族の武装組織に逃げ込み、武装闘争を試みたが失敗している。政府軍が追撃したことよりも、ジャングルの厳しい環境に、学生が病気や精神不安で亡くなったり投降したものが多かったからだ。また、さらにタイや日本や欧米に逃れて、ミャンマー政府への抗議と民主化運動をおこなう者がいる。しかし19年経った今でも、外国に逃れた者たちがミャンマーに帰国する環境は出来ていない。

 今回の民主化運動の最大の失敗は指導体制がとれなかった点だろう。僧侶の自然発生的なデモや市民の感情的な支援だけでは、軍や警察といった治安組織を打ち負かすことはできない。また民主化勢力が長い時間をかけて、軍や治安部隊を説得してこなかったことも敗因である。

 これを機会にミャンマー国民の生活が窮乏することはあっても改善されることはない。その点でミャンマー軍政は大きな時限爆弾を抱えたことは間違いない。デモという民主的な手段では弾圧を受けるだけという市民の政治感覚は、ミャンマーの民主化運動がテロという非常手段に結びついていく危険性を内包している。同時にさらに治安部隊の過酷な弾圧が続くことになる。

 強硬なミャンマー軍事政権は、今回のデモを武力鎮圧したことで、自らの墓穴を掘ったことに気づいていない。しかしミャンマーの市民はインターネットというのは、独裁政権に対して非常に強い抵抗力を持っていることに気がついた。最近は携帯電話のネットやパソコンのインターネットが民主化運動で効果的な武器になっている。”インターネットはネットは武器よりも強し”という時代に軍政はまだ気がついていない。

 私は今回のミャンマーの民主化デモ鎮圧が、中国の天安門事件と似た弾圧方法が行われたように見える。密かに中国の治安機関の者がミャンマーの治安部隊の鎮圧作戦を指導したように感じる。88年の無差別射撃や暴力弾圧と比べると、治安部隊の弾圧のやり方が巧妙になってきている。

本日の更新は「メールに

お返事!」を見てください

(9月29日)

 そちらにヤンゴンで射殺された長井さんの関連情報を掲載しています。

ミャンマー軍が発砲

   死者10人

日本人カメラマン

長井健司さん死亡

取材中。流れ弾

(読売 9月28日 朝刊)

[概要]ヤンマーの首都ヤンゴンで軍事政権は反政府デモを封じ込めるために武力弾圧を強化し、僧侶1500人以上を拘束するとともに、集まった市民を自動小銃などで強制排除した。軍政に近い筋の話しとして、外国人2人を含む少なくとも10人が死亡し、数百人が負傷したという。亡くなった外国人の一人は日本人カメラマンの長井健司さん(50)で、日本のAPF通信の契約記者で、デモをビデオカメラで撮影していた最中に流れ弾に当たった。銃弾は心臓を貫通し、ほぼ即死状態だった。

 在ヤンゴンの消息筋によると、27日の未明から朝にかけて、治安部隊がヤンゴンの主要な僧院の8ヶ所(それ以上?)を襲い、建物を破壊し、多数の僧侶を拘束した。さらに別の十数か所では僧院を完全に包囲し、僧侶の動きを阻止した。ヤンゴン市内では大量放水と自動小銃の威嚇射撃で集まった市民を解散させている。今までのデモに主導的な立場だった僧侶の姿は見えなかった。

 軍政はデモへの対応を、デモの拠点を襲撃して事前に主導者の動きを止め、市内の警備は武力行使を強化して、極めて強硬な措置を展開している。市民の反発が続けば、さらに過激化する懸念が高まっている。

[コメント]長井さんに”流れ弾”が当たって心臓を貫通したとは考えられない。ミャンマーの治安部隊がデモの混乱時に長井さんを至近距離から心臓を狙って射殺したと思う。

 デモに混ざってビデオカメラで取材する外国人は、非常に目立つ存在である。秘密警察にとってはデモの主導者以上に目立っている。しかし取材ビザで入国している新聞社や通信社の記者は、国外追放処分であって、射殺することはまれである。(流れ弾は別) すでにミャンマーでは今回の騒動で共同通信の記者が国外追放を受けている。

 今は今回の背景(事情)を多くを語ることはできないが、戦場ジャーナリストは度胸だけでは危険すぎる職業である。時には秘密警察や兵士の視点(あるいは思考)から現状を考えることも大事である。騒乱時にジャーナリストが目立っては非常に危険な存在になる。

 無論、ジャーナルリストならばこのような危険な場所で取材することは大事である。しかし取材する方法や手段については、危険を回避するために考えるべき多くのことがある。長井さんのようなベテランが対応出来ないほど、ミャンマー情勢が急に変化したことが今回の不幸に繋がったのかもしれない。

  我々の仲間の長井健司さんのご冥福を祈りします。(合掌)

 (上の写真) 本日の毎日新聞(朝刊 1面)ですが、路上で倒れてビデオカメラで撮影する長井さんの写真と説明されています。衣類はミャンマー人に似たシャツや短パンを着て、足元はサンダル履きです。路上に倒れている原因はわかりませんが、死因になった心臓を貫通した銃弾では、路上に倒れたあとでビデオ撮影を続けることはできません。撮影をしているのではなく、倒れた際に手が頭の方向に振られた場合もあります。(普通、カメラマンの本性で、仰向きになって、画面の上下が逆で、撮影を続けることはありません)。この写真ではすぐそばを銃を持った兵士が近寄っています。この兵士によって至近距離から撃たれた可能性が高いように感じます。この写真を撮影したロイター通信のカメラマンはこの前後のカットを撮っていると思います。それで真相がわかると思います。

※朝日、読売、産経は、1面に同じロイター提供の写真を使っていまが、長井さんの姿をトリミングで除いた写真を掲載しています。なぜ長井さんの部分をカットしたのか。あるいは毎日だけがなぜ長井さんを入れた写真を掲載したのか。各紙のその理由が不明です。この写真を掲載したなら、「死因は銃弾が心臓貫通」と、「流れ弾」とか「ほぼ即死」という言葉で何か隠しているように思います。

軍政、武力鎮圧開始

ミャンマーデモ

  5人死亡

ヤンゴン 衝突拡大の懸念

(毎日 9月27日 朝刊)

[概要]軍事政権に反発する僧侶や市民のデモが続くミャンマーの首都ヤンゴンで、28日午後、軍の治安部隊がデモ隊に催涙ガスや威嚇発砲を使って武力鎮圧に乗り出した。AP通信が在外の亡命者の話しとして伝えたところ、ヤンゴンで5人が撃たれて死亡し、100人以上が負傷したと報じた。(読売新聞は病院関係者の話として僧侶3人が死亡と報じた)

 軍事政権は同日、国営放送を通じて「1名が死亡し、3人が負傷」と死者が出たことを認めた上で、「本物か疑わしい僧侶たちが襲ってきた」と武力行使を正当化した。ミャンマーは88年の民主化要求デモ以来の流血事態に発展し、政情が一気に不安定化した。27日はアウンサン・スー・チー書記長が率いる最大野党「国民民主同盟」(NLD)の創設記念日で、反軍政気運が盛り上がって衝突が激化する可能性が高い。

 現地からの情報では、ヤンゴン中心部の大仏塔シェエダゴンパゴダ(仏塔)の付近に、治安部隊はバリケードを築いて封鎖していたところ、正午ころから約1000人が集まりデモを始めようとした。このデモに治安部隊が襲いかかり、警棒で殴ったり、催涙ガスを発射して、少なくとも200人の僧侶が拘束されたという。

 拘束を免れた僧侶たちはデモ行進を開始し、約1万人規模に膨らんだ。その後デモ隊と治安部隊がもみ合い、騒乱状態に陥った。

[コメント]死者が5人というのは治安部隊がデモ隊への発砲を控えていると思う。すなわち、直接、デモ隊への発砲は今のところ許されていない。治安部隊の威嚇射撃は、デモ隊に実弾であることを知らしめるために行う。銃の弾が空砲ではないことを知らせるのだ。そのため威嚇射撃では地面や建物の壁などに撃ち込んだり、曳光弾を使って上空に撃つことがある。その弾が跳弾になって跳ね返ったり、上空に撃った弾が落ちてきて頭部などに命中することもある。それで死者が出る場合がある。

 指揮官からデモ隊への発砲が許可され、兵士が銃を水平に構えて発砲すれば、5人の死者という少ない数では済まない。軍用銃は威力が強いから、1発の銃弾でも3人以上の人を撃ち抜く威力を持っている。だから軍事経験のあるものなら、5人の死者と聞くと「軍は発砲を躊躇(ためら)っている」と判断する。これは治安部隊に対して、「自信がない」「迷っている」「弱気になっている」と考えることになるのだ。しかし5人という情報が間違っていたり、5人がデモの指揮者であるなら、以上の話しは別の推測を生むことになる。

 自衛隊の治安作戦の場合、威嚇射撃で実弾であることを知らしめた後に、次は「実弾射撃」の警告を行って、その次ぎにデモの指揮者を狙撃することになる。昨日死亡した5人がデモの指揮者なら、治安部隊は冷静に統制された射撃を行ったことになる。(若い人はご存じないと思うが、70年前後に自衛隊はデモ制圧訓練を行い、戦車なども使って武力鎮圧の訓練を行い、報道関係者にその演習を公開したことがある)

 とにかく今までのミャンマー情報では、治安部隊にデモ隊への直接射撃の許可が出ていないと判断すべきである。昨日までは、軍政はその”弱さ”を晒したことになる。本当の問題は今日である。軍政はその弱さを否定するためにデモへの直接射撃を命じるか、あるいはデモ隊側が一気に軍政の弱さを突くか、そのことがミャンマーの政情を決定的にさせる要素になる。

ミャンマー軍政

夜間外出禁止令

  発令

(NHK ニュース 9月26日)

[概要]NHKテレビのニュース(朝)によれば、昨夜、ミャンマのヤンゴンなどで夜間外出禁止令が出たという。夜9時から朝5時まで市民の外出を禁止するのもので、軍政はデモを沈静化させるための措置をとった。

[コメント]88年に民主化要求のデモに対して無差別に発砲し、1000人以上の犠牲者を出したたミャンマー東部の部隊を、ヤンゴン方面に移動したという情報がある。「彼らはカレン民族同盟(KNU)を相手にジャングルで過酷な戦闘に投入されている戦闘部隊で、命令をされれば市民に向かい発砲をいとわない」という。(ミャンマー活動家 毎日新聞 9月26日付より) 

 88年の時は市民や学生など民主化運動の活動家が多かった。だから兵士はデモ隊に銃弾を撃ったと思うだろう。しかし今回は国民から尊敬される僧侶がデモが主体である。だからいくら対ゲリラ戦の精鋭部隊の兵士でも、尊敬している僧侶に向かって発砲しないと考えてはいけない。兵士たちは閉鎖された環境(兵舎)にいて、情報が統制されて正確な情報がわからない。実はデモを率いる僧侶たちはニセ僧侶で、国家転覆を企てる者たちが偽装しているという精神教育(洗脳)が行われている可能性が高い。すると兵士は僧侶を尊敬しているから、逆にデモ隊の僧侶に対して憎しみが増す心理が生まれる。閉鎖された軍隊とはそのようなことが可能になる世界なのである。

 ミャンマー情勢はここ数日間が大きな山になる。ある程度の時間が過ぎれば、兵士たちに正確な情報が伝わりやすくなり、国際世論も高まって、軍政は過激な武力弾圧が行いにくくなるからだ。

 中国もそのことに気がついており、ミャンマーの軍政に対し、「早く適切な処理を求める」と言い始めた。これは武力弾圧が不可避にならないうちに、治安部隊を使ってデモを沈静化することを求めているように聞こえる。ここ数日でミャンマー情勢が激変する可能性が高い。

北の武器密輸摘発

米国

 心理作戦の一環か

独裁政権弱体化、

   経済的打撃狙う

(産経 9月26日 朝刊)

[概要]テロ支援国家指定解除を求める北朝鮮が、スリランカの反政府ゲリラ組織「タミル・イーラム解放のトラ」(LTTE)に機関銃や対戦車砲など大量の兵器密輸を企て、密輸船がスリランカ海軍に撃沈されていたことがわかった。LTTEは米国が「テロ組織」に指定している。

 情報筋によれば撃沈したのは3回で、昨年10月と今年の2月と3月。密輸船は北朝鮮の清津港を出港し、スリランカ近海でスリランカ海軍が拿捕しようとしたが、密輸船が発砲で抵抗したため撃沈した。3回目の今年3月は密輸船を海岸近くに追いこみ、浅瀬で撃沈したため積み荷の押収が可能だった。積み荷は韓国の北朝鮮脱北者(軍関係者)が確認し、朝鮮労働党軍需工業部(99号室)が調達した大量の68式自動小銃などであった。68式自動小銃とはロシアのAK47を北朝鮮がコピー生産したもので、北朝鮮の予備役が使用し、すべて粗悪な中古品だった。

 調査の結果、仲介は中国の兵器製造会社として知られる「北方工業公司」(ノリンコ)である疑いが強いという。スリランカ政府はインドの北朝鮮大使館と中国当局に抗議したが、両国とも武器密輸の関与を否定している。

 北朝鮮の密輸船(武器・麻薬など)はアメリカが外貨獲得阻止を目的に衛星などを使って厳重に監視している。そのため中東などへの武器輸出(主にミサイル貿易)は90年代まで年間10億ドルと言われていたが、「98年から01年までに10億ドルで、年間平均が2億5000万ドル」(米議会調査局)だった。近年の輸出額はさらに激減していると思われる。

 米国は対北朝鮮への心理作戦「作戦計画5030」を作成し、ウラン濃縮の疑惑が発覚した02年から、北朝鮮の外貨獲得を阻止するため、麻薬や武器の不法行為を厳しく監視して摘発している。作戦計画5030は米国が単独で行う作戦で、北朝鮮の経済的圧迫や弱体化を図る秘密計画。米国は公式に作戦計画5030の存在を認めていないが、情報当局者などの話から注目されてきた。

[コメント]北朝鮮がこのように米国にテロ指定を受けている武装組織に、大量の武器密輸を行っていることが発覚すれば、テロ支援国指定解除は難しいと思うのだが。

 それにしても米国の北朝鮮・密輸監視体制はすごい威力と思う。先日のイスラエル軍によるシリア爆撃も、この監視体制が捕らえた密輸情報を、アメリカからイスラエル軍に通報して空爆した可能性が高い。(ほぼ確実)。

 これは単にアメリカの偵察衛星だけの監視ではないと思う。すでに北朝鮮の主要な港湾には、近くの山頂などに岩や樹木に偽装した監視センサー(カメラ)が仕掛けられたり、沖合には日米の潜水艦が微弱電波を受信する電波傍受を行っている様な気がする。もちろんアメリカに協力する内部スパイなども存在しているのは確実だ。すなわち北朝鮮の密輸はアメリカの手のひらの上で行われているようなものである。これがミサイルや爆弾や銃弾は使わないが、人の心をターゲットにした心理戦争の実態である。

 このことが北朝鮮にテロ支援国指定解除を切望させる理由ではないだろうか。先日、ライス国務長官がロイター通信に対し、「日本の拉致問題解決がテロ支援国指定解除の条件にならない」と発言したのは、北朝鮮の期待感を誘い、さらに追いこむ心理的効果が高いと思った。血を流さない心理戦とはまことに厳しいもので、喉を掻きむしって水を欲しがる者に、冷えたコップに乾いた砂を入れて差し出すようなものもある。

ミャンマー反政府デモ

 10万人を超える

軍政 弾圧の構えも

中国 平和解決求める

(読売 9月25日 朝刊)

[概要]ミャンマーの僧侶による反政府デモが24日に10万人規模に達したことで、軍事政権は1988年の民主化運動弾圧事件以来、最大の危機と見て警備を強化しながら、事態収拾に向けた「次の一手」を画策し始めた。高僧を通じた懐柔策や、デモを先導する僧侶(全ビルマ仏教僧連盟)に対して強硬措置で臨む姿勢を初めて表明した。

 軍政は23日以降、ヤンゴン中心部で治安部隊を乗せた大型トラックを走らせるなど、臨戦態勢の様相を呈してきた。軍政が武力弾圧の口実を得るために、兵士の髪を剃って僧になりすまし、デモに参加して暴動を起こす準備をしているという情報もある。また治安部隊に拘束され、行方不明になっている僧侶が数十人に上るという噂もある。

 軍政は武力弾圧に乗り出せば、国際的に容認されないことを知り、中国も平和裏の解決を求めているという。そのようなジレンマで軍政はギリギリの判断を求められている。

米、関係国と協議

 ペリノ米大統領報道官は24日、ミャンマー情勢について「軍政が人々の声に耳を傾けることを望む」と述べ、「アウン・サン・スー・チーさんら正当な政治指導者」と対話をするように促した。同報道官は、「米国は国連安保理がこの問題に引き続き注意を払うことに関心を持っている」と述べ、安保理でミャンマー情勢を協議する方針を示した。(ワシントン)

在タイ独立系ミャンマー誌「イラワディ」 アウン・ゾー編集長の話

 軍政が僧侶のデモを取り締まらないのは、僧侶の社会的影響力もあるが、軍政の後ろ盾の中国が武力行使に否定的なためでもある。軍政は今月中旬、ニャン・ウィン外相を中国に急派し、情勢を報告させたが、中国は民主化のための努力を促した。

 ただ軍政が拡大一途の政治デモを座視続けるとは思えない。軍政は譲歩も妥協も知らない。必要と判断すれば武力行使に出る。ラングーン(ヤンゴン)などの病院では今、医師らが不測の事態を懸念し、自発的に救急医療体制を整えている。1988年の民主化勢力弾圧が事件が繰り返されない保証はない。(バンコク)

[コメント]軍政は民主化を求める市民のデモに無差別に発砲し、1000人以上の犠牲者が出たのが1988年の民主化弾圧事件である。それから19年が経過したことになる。今回は当時の惨事を知らない若い僧侶が民主化デモの先頭に立っているという。

 ミャンマーはもともとはアジアの大国である。昔から国民の識字率も高く、アジア圏ではトップレベルの経済や文化を誇っていた。それが軍政によって民主的な政治や、自由な文化活動が取り締まられて国力の衰退が始まった。一部の大学は閉鎖され、言論や学問の自由は奪われた。日本にも軍政の弾圧から逃れ、ミャンマーから逃げてきた人が多く滞在している。今回は88年のような犠牲者を出すことなく、軍政から民主的な国に変ぼうすることを希望している。

 中国がミャンマーと関係を強化するのは、中国の軍事戦略が強く影響している。まず中国は海路から東南アジア(ASEAN)を進出していない。米国の海軍力が強すぎるからである。中国がアメリカと海軍力を競って勝てるようなものではない。そのため東南アジアを流れるメコン川の開発から、東南アジアの内陸部に中国の支配権を拡大させる戦略をとった。そのメコン川がミャンマーを流れているのだ。中国の雲南省とミャンマーは陸続きである。中国はその裏庭のミャンマーをインド洋に通じる道として戦略を立てている。ミャンマーは中国海軍が使う軍港まで提供している。

 また中国は中東方面からのオイルレーンとして、海幅の狭いマラッカ海峡通過を避ける輸送戦略を描いている。そのため中東の石油をミャンマーで陸揚げし、パイプラインで中国に送る建設工事を行っている。万一、紛争でマラッカ海峡が封鎖されると、中東の石油が止まることを警戒しているのである。

 このため中国はミャンマーへの経済援助はもちろんだが、ミャンマー軍に兵器などの提供も行っている。これは同時多発テロ(01年9月)が起きるまでの中国とパキスタンの関係に似ている。そのような軍事上の事情を知ると、ミャンマーの軍政が倒され、中国とミャンマーの関係が疎遠になれば、中国の石油戦略や対東南アジア政策に劇的な影響を受けることに気がつく。

 しかし中国は北京オリンピックを控えている。露骨なミャンマー軍政への支援は国際的な反発をかうことを知っている。そこで中国は表ではミャンマーの軍政に自重を求めつつ、裏では軍政に暗黙の了解で限定的な武力弾圧を許す可能性がある。まずは軍政がデモや集会、夜間の外出などを禁じる”非常事態宣言”が出すかが焦点になる。その次ぎに中国政府が行った天安門事件の軍事・鎮圧例が参考にされると思う。

ミャンマーデモ

生活困窮、

 軍政に不満

市民は僧侶を信頼

(朝日、産経、毎日、

    9月24日 朝刊)

[概要]拡大するミャンマー(ビルマ)政府への抗議デモは、軍事政権を打倒する民主化運動に発展しそうな勢いだ。背景には生活に困窮する市民の不満が積もりに積もっている。

 軍政は8月5日に市民に説明なく、突然、ガソリン類の小売価格を最大5倍に引き上げた。あおりでバス料金は2倍、消費財の値上がりも始まった。もともとミャンマーの僧侶は知識層が多く、政治関心も高い。市民の困窮を見て若手の僧侶から軍政への批判が高まった。軍政は高僧らに圧力をかける一方、僧院に僧衣や食糧を相次いで寄進したが、若手僧侶の動きを止められなかった。

 その僧侶に信頼を寄せる市民がデモに合流を始めた。22日には軟禁中のアウンサン・スー・チー氏の自宅前で、03年5月に軟禁されて4年4ヶ月ぶりに、大勢のデモ(僧侶)の前にスー・チー氏が姿を見せた。「国民の声を無視し続けた軍政のツケがある。今は着地点が見えない状況」(西側外交筋)と話す。(以上、朝日新聞より)

 ミャンマーの最大都市ヤンゴンで23日、僧侶が主導する約2万人のデモが行われた。僧侶のデモは6日間連続で、沿道の市民も積極的に合流し、反軍政を唱える姿が目立ち始めた。民主化要求のデモは、1988年の民主化要求デモ以来で、今までにない民主化運動に発展する可能性が出てきた。22日にスー・チーさんの自宅前ではデモの僧侶たちが読経し、門の内側に立つスー・チーさんに「スー・チーさん解放」や「反軍政」を口にし、スー・チーさん率いる「国民民主連盟」(NLD)を取り込む姿勢を見せた。若い僧侶が結成した「全ビルマ仏教僧連盟」が、初めて正面から政府を批判し、市民に反軍政で連帯を呼びかけた。今後、全仏教僧の指導的立場の高僧がどう対応するかに注目される。(以上、産経新聞 9月24日付け)

 デモ参加者の一部200人は23日、デモを離れてスー・チーさんの自宅に向かったが、自宅前に向かう道路でバリケードに阻止された。しかし僧侶たちはバリケードを押しのけてシー・チーさん宅に向かった。22日には治安当局がデモの自宅前を通過を許可したが、23日はスー・チーさんの自宅前で、約20人の治安当局員が金属製の盾を手にデモ隊をけん制した。スーチーさんは開いた門に姿を見せ、僧侶たちに手を合わせた。僧侶たちはスーチーさんに「ご健康を」「早く自由の身になれますよう」と声をかけた。軍事政権はズー・チーさんの絶大な人気と影響力を警戒し、外部との連絡をほぼ完全に断ってきた。スー・チーさんがデモと対面したことで反軍政への抗議は高まっており、ス−・チーさんが今後も精神的支柱として影響力を持ち続けることは間違いない。(以上、毎日新聞 9月24日付け)

[コメント]もはやミャンマーでは現軍政をクーデターで倒し、新たな軍事政権を樹立することは不可能になった。新たな政権はスー・チーさんが率いる「国民民主連盟」(NLD)が主体になる以外の選択肢はない。

 ミャンマーの軍部もごく一部の高官を除き、すでに軍政が破綻していることを知っている。僧侶のデモに向かって銃弾を発射し、武力でデモ鎮圧に動くことはないと推測している。それこそ火に油を注ぐ様なものである。しかし絶対に武力弾圧が起きないかと言われれば、「はい」とは言えないところにミャンマーの特殊事情がある。そのミャンマーの特殊事情とは、もし今回の政変を許せば、今まで軍政によって過酷な弾圧を受けた勢力が報復することを恐れているからだ。

 だからミャンマーの民主勢力側は、新たな政権による報復は行わないと宣言する必要がある。ミャンマーの新政権では公正な裁判を保証し、上官の命令によって行われた弾圧(虐殺など)は、兵士の責任を免除するなどの声明が効果的である。

 またミャンマーの少数民族など軍事政権によって弾圧された人々を、もとの土地(居住区)に返したり、受けた損害を補償して、過激な報復を行わないようにするコントロールも必要だ。

 そのような確証があれば、軍や治安部隊による武力弾圧は回避出来ると考える。何としても多くの血や命が失われることを防ぐことを考えなくてはならない。

 このような場合の対策を考えることも、軍事知識を活用する重要な分野である。例えば5〜10人程度の軍高官を外国に移送させることも対応策の一つである。

 いずれの場合も、強力な外国政府の支援や助言が必要になる。いまのところ、ミャンマーでそれを行えるのは中国とアメリカである。すでに中国とアメリカでミャンマーの混乱を回避させる水面下の交渉が始まっているのではないか。まだ米中で秘密会談が始まっていないなら、それこそミャンマーの悲劇が始まることになる。

 日本も将来は中国やアメリカのやり方とは違って、そのような役割が担える国になりたいと努力すべきと考えている。

パキスタン 現職優位も

政局は混迷

大統領選 来月6日

野党、再選阻止へ提訴

ビンラディン容疑者

 「政権転覆を」ネットで表明

(朝日 9月21日 朝刊)

[概要]パキスタンの選管委員会は大統領選挙を10月6日に実施すると発表した。続投をかけたムジャラフ大統領は再選された後に陸軍参謀長を辞任する意向をすでに固めたが、野党側は参謀長兼務のまま大統領選に立候補すれば「違憲」として今月に提訴している。野党の再選阻止に向けた活動で政局はさらに不安定化する恐れが出てきた。

 パキスタンの大統領選は国会議員と州議会議員の合計約1200人の間接投票で行われる。上下両院はムジャラフ氏を支持する与党が優勢。野党は今のところ候補者は出ていない。しかし与党の中には、ムシャラフ氏と野党指導者のブット元首相(海外亡命中)が今後の政権協力をめぐる交渉を続けることへの反発が強い。与党が一致してムジャラフ氏に投票するか不明。

 ムシャラフ氏の軍務兼務を審理する最高裁で、仮に野党が主張する「違憲」が認められると、ムシャラフ氏は「非常事態」を宣言し、年内にも行われる総選挙を強制的に延期する可能性も指摘されている。また軍内部ではムシャラフ氏の後任参謀長の人選が始まった。後任には、10月7日に退官を控えたハヤット副参謀長(大将)が昇格するとの見方がある。しかしムシャラフ氏はクーデターを防ぐ意味から、若く忠実な中将クラスを後継者に抜擢したい考えだという。このため、ハヤット大将の退官の前日に、大統領選の日を組むことで、同大将が参謀長に就任することを阻止する狙いもあったと見られる。

 アルカイダの指導者オサマ・ビンラディン容疑者がパキスタンのイスラム教徒に、ムシャラフ政権の転覆に立ち上がる呼びかけを20日、インターネット上に掲示したと、米国のテロ専門サイトが内容を伝えた。ビンラデインは声明で「イスラム法に基づき、政権転覆は正当化される」と述べた。ムシャラフ大統領が米国に協力していることや、今年7月にイスラマバードの「ラール・マスジード」で起きた神学生立てこもり事件で、軍の突入による解決を図ったことを挙げている。

[コメント]この記事の後段にあるビンラディンの声明はニセ物と思った。今までのビンラディンの声明は早くて3ヶ月前に撮影されたもの程度で、非常に遅いのが特徴である。パキスタンの大統領選は進行中の政治問題で、それをビンラディンがオンタイムでネットにアップデートしたような声明は聞いたことがない。また政権転覆の理由にしても、アメリカに協力しているとか、神学校事件で軍を使ったというものの、ビンラディンの発言としては軽すぎる内容と表現である。以上の2点がニセ物と疑う理由である。

 実はムジャラフ大統領とビンラディンだが、私は奇妙な共存関係にあると考えている。アフガン・パキスタン国境地帯のトラボラ地方に潜むビンラディンは、アフガン側から追跡してきた米軍の特殊部隊も、パキスタン側に越境して作戦をすることを米・パ協定で禁じられている。私はこのパキスタンとアメリカの協定でビンラディンは守られていると考えている。

 なぜムジャラフ大統領はビンラディンを捕らえ(殺す)ないのか。それはムジャラフ大統領が常にアメリカの庇護を受け続けるためである。今のようにトラボラ地帯にビンラディンやアルカイダが存在していれば、アメリカはムジャラフ大統領を守ることが絶対の条件になる。もしアメリカにとってムジャラフに代わって反米的なパキスタン大統領の誕生など、想像するだけでも怖いと思うだろう。その上パキスタンはなんといっても核兵器保有国である。アメリカが親米のムジャラフ氏を失って、パキスタンの核兵器がアルカイダなどに流れることは北朝鮮の核よりもはるかに脅威である。

 そのような理由から、ムジャラフ大統領とビンラディンは奇妙な共存関係にあると指摘するのである。同時にムジャラフ氏が本気でパキスタン軍を使いアルカイダ討伐を行わない理由と思う。

 今回のビンラディンのニセ声明はアメリカの情報機関などが、ムジャラフ再選を狙って流したものだと考えた。パキスタン国民にムジャラフ政権が転覆されれば、パキスタンはイラクのように大混乱すると脅したのだ。

 アメリカの民主党・大統領候補のオバマ氏が、アメリカのテロ戦争のやり方について質問され、「米軍をイラクからアフガンに主軸を移し、パキスタン政府の許可が出なくとも、アフガンからパキスタン国境地帯でアルカイダを殲滅させる作戦を行う」と答えている。(What New 07年8月3日 参照)その意味は、ひとまずトラボラ地帯に潜むアルカイダやビンラディンを殲滅して、同時多発テロで始まったアメリカの対テロ戦争を終わらせたいという意味を含んでいる。

テレビ収録のため

本日、更新が遅れます

(9月21日)

  すいません。本日、早朝よりテレビの収録があります。かなり時間をかけて、テロ特措法・延長の疑問と解説や、活動の問題点などを聞かれるようです。そのため、もう家を出る必要があります。午後には自宅に帰ってきますので、本日の更新ができると思います。(急用がはいるかもしれません)

 本日の朝刊各紙には興味のある記事が山盛りです。イラクでイランの革命防衛隊員が米軍に拘束されたようです。イラクのPMC(民間軍事会社)が市民を射殺したそうです。また金正日に認知症の情報があると報じています。ミャンマーの僧侶デモが拡大しているようです。またパキスタンの大統領選で緊張です。レバノンではまた国会議員の暗殺事件が起こりました。世界はすごい勢いで動いています。日本はコップの中の嵐を見物しているヒマはないようです。

核実験通達・・・異例20分前

中国官僚 北朝鮮の

批判本、日本で出版

援助に頼るも影響力排除

(産経 9月20日 朝刊)

[概要]中国の政・官・軍で対北朝鮮政策に現役でかかわっているとされる5人が、匿名で北朝鮮を非難する文書をまとめた本が日本で出版された。本のタイトルは「対北朝鮮・中国機密ファイル」(文芸春秋)で、中国側の北朝鮮不信の強さと、北朝鮮が中国の影響力を排除する姿が浮き彫りになっている。

 例えば、昨年10月の核実験では、「異例というべき20分前」は、本国から中国には「30分前に知らせよ」という通達を北京の駐大使が受けたが、、駐大使はさらに10分間遅らせたという。著者は「まさに現在の中朝関係を象徴する。完全に面子をつぶされた」と憤っている。また北朝鮮は1950年代から8000億元(約12兆8000億円)以上の援助を中国から受けていながら、裏では中国の影響力を懸命に排除してきたと中国側が見ていると分析している。

 編集した富坂聡氏によると、この本を執筆したのは党対外連絡部や外務省、中国軍事科学院の若手専門家。中国国内では「北朝鮮の暗部を書きすぎている」と出版できず、日本で出版することになった。中国では今のところ、対北朝鮮批判はできない状況という。

[コメント]中国では公式に出版出来ないから、非公式に日本で出版するという意味だと思う。若手研究者でも政治局のトップレベルから「日本出版」の了解は受けていると考えた方がよさそうだ。ぜひ読んでみたい本である。

 日本では北朝鮮の核実験(昨年10月)を、中国が密かに北朝鮮を支援して行わせたという考えを持つ人が多い。私がこのHPで北朝鮮の核実験を、「中国は腸(はらわた)が煮えくりかえって怒っているだろう」と書いたところ、多くの方から真面目に「中国の支援説」を解説するメールが届いて驚いた。そのような中国支援説を日本で打ち消すためにも、このような本が日本で出版されたのではないだろうか。これも中国流の信頼醸成法のひとつと思った。

 それにしても、「中国の面子が完全に潰された」という表現は、中国人にとって最も怒ったことであることを先日知ったばかりだ。日本人は真実を隠し、騙されることに怒るが、中国人は真実がどうであるよりも、面子を潰されることに怒るそうだ。「中国人と日本人」(日中出版より)。

 明日、渋谷に行く用事があるので、帰りに書店によって購入するつもりだ。ちょっと楽しみである。

ミャンマー

ヤンゴンで僧侶

政権に抗議デモ

(毎日 9月19日 朝刊)

[概要]ミャンマーの旧首都ヤンゴンなど2ヶ所で17日、計1000人以上が軍事政権を批判するデモを行った。ヤンゴンで大規模な政権批判が行われたのは初めて。ミャンマーでは国民から敬われている僧侶が政府批判を本格化したきたことで、市民の抗議行動が拡大する可能性が出てきた。

 ヤンゴンの西部シャトウェでも僧侶のデモがあり、軍が催涙ガス弾を発射。デモの僧侶数人を拘束した。デモでは僧侶たちがお経を唱えて行進した。

[コメント]本日の読売にはヤンゴンでデモに参加した僧侶は4000人とある。(朝日は400人余りの僧侶と報じた) ヤンゴンのデモでは僧侶が拘束されたり、催涙ガス弾が使われたことはなかったと報じられているが、旧首都で規模の大きい僧侶のデモとは驚いた。ヤンゴン近郊のバゴーでも800人の僧侶がデモを行っている。18日になってデモは7ヶ所に拡大したという情報もあるし、ヤンゴン西部のシェトウェのデモでは僧侶のデモに市民が合流したとの情報も出ている。

 ご存じのようにミヤンマーは軍事政権で、厳しい情報統制下の国である。デモの人数や場所(デモが行われた所)に曖昧な部分があるが、僧侶が軍事政権への批判を本格化させ、それに軍政に批判的な市民が合流し始めたことだけは間違いなさそうだ。軍事政権はまだ本格的な弾圧を差し控えている様である。

 これで思い出すのは南ベトナム政権の時代(1963年5月 ベトナム戦争初期)に、時のゴ・ジン・ジエム南ベトナム大統領の圧政に抗議して、僧侶が次々と焼身自殺をしたことである。路上に座禅を組んで座り、自分にガソリンをかけて火を付ける。そして座禅を組んだまま炎に包まれ、抗議の焼身自殺を行ったのである。結局、ゴ・ジン・ジエム大統領はその年の11月に側近たちの軍事クーデターで倒された。

 東南アジアの仏教国では、国民が僧侶に対する”敬い”は日本人には考えられないほど深い。人々は心底から僧侶を敬っているのだ。だからミヤンマーで起こった僧侶のデモは、学生デモとは比較にならないほど大きな政治的影響力を持っている。

 今回のデモは8月に行われたガソリンの値上げが発端という。そこに警官による僧侶への暴行事件が発生した。僧侶が警官の暴行を政府に抗議する形で政権批判のデモに拡大した。

 これでミャンマーの政情が流動化したと判断するのは早いかも知れないが、軍事政権に今までにない緊張状態が発生したことは確かである。ミャンマー政府と軍事関係の強い中国、軍事政権を非民主制を厳しく批判するアメリカ、軍事クーデターから1年がたつ隣国タイではタクシン前首相の復活(影響力拡大)が起きている。これからミャンマー情勢から目が離せない緊張の時間が始まる。

※防衛省はミャンマー在住の邦人保護(救出)のため、空自・空輸機部隊と陸自・特殊作戦群に準備と待機命令をいつでも出せる体制が必要だ。今回は空路(空港)が使えなければ、海路から脱出(救出)させる方法も検討する必要がある。

 また、戦争や内乱を取材する国際的なジャーナリストは、この時点でミャンマーへの取材ビザや観光ビザの取得に動き、隣国タイのバンコクやタイ・ミャンマーの国境付近で入国の機会を窺(うかが)うことになる。戦争や紛争を取材するジャーナリストは、出遅れては仕事を失うし、早出過ぎても命を失うことになる。そんなハゲタカのような連中を指して、「あいつはストリンガー」とバカにするメディア関係者(特派員など)もいる。

シリア空爆情報

イスラエル

   異例の沈黙

欧米で憶測

  「米政府了承」

  「イラン空爆の演習」

(読売 9月18日 朝刊)

[概要]イスラエル軍が今月6日にシリアを空爆したとの情報をめぐり、イスラエル国会・外交安保委員会のハネグビ委員長は、軍情報部に対し、この情報には今後も一切言及しないように要請した。

 この事件に絡み、北朝鮮がシリアに核を密輸していたとの疑惑が欧米で浮上する中、イスラエル政府の沈黙が様々な憶測を呼んでいる。

 米紙ニューヨーク・タイムスは12日、イスラエルは北朝鮮がシリアに核物質を移送していると見て、偵察飛行を繰り返していたと報道。英紙「サンデー・タイムス」は16日、イスラエルが空爆したのは北朝鮮から渡った核物質の地下貯蔵庫で、事前に米政府の了承を取り付けていたと報じた。英紙「オブザー」は同日(16日)、空爆は核開発を進めるイランに対する「攻撃の予行演習」だとの見方を示した。

 イスラエル政府が今回は異例の沈黙なのは、「シリアに警告を与えた上で、交戦を避けるため」(イスラエル軍事筋)との見方がある。シリア政府は「イスラエル軍機が領空を侵犯し、爆発物を投下した」と主張しているが、空爆の有無は明らかにしていない。

 事件直後、イスラエル軍機はレバノンのイスラム・シーア派の武装組織ヒズボラに輸送している武器を空爆したとの見方が強かった。

[コメント]ニューヨーク・タイムス紙がイスラエル軍機のシリア空爆を報じた頃(今月12日)から、日本でもその記事を引用する形でシリア爆撃が報道されていた。しかし北朝鮮から送られた核物質の地下施設と聞いて、今のこの緊張した時にシリアがそんなことをするかと気になった。だが、シリア、イスラエルの双方が空爆の詳細を語らない態度を見て、その可能性があると思うようになった。

 ヒズボラへの武器輸送なら、何もイスラエルが空爆を隠す必要はまったくない。むしろヒズボラへの武器輸送を抑止するために、イスラエルが空爆被害の写真を公表してもいいぐらいだ。またシリア政府もイスラエルが領空を侵犯しての空爆なら、国際的な犯罪行為と現場の写真を公表して非難するだろう。この空爆が原因で、イスラエル軍とシリア軍がゴラン高原などで直接交戦出来るような軍事環境はない。それが互いに沈黙するなど、確かに異例の事態が起きているようだ。

 北朝鮮から中東に向かう船はアメリカが厳重に監視している。ミサイル(スカッド)や核物質なら北朝鮮の港で船に積み込まれた時から監視可能である。このサイト内検索で調べることも可能だが、02年12月にイエメン沖でスペイン軍の艦船に拿捕された北朝鮮の貨物船は、11月中旬に弾道ミサイル(スカッド)15基を船倉の底(セメント袋の下)に搭載して、北朝鮮の港を出た時から、ニューヨーク・タイムズ紙で報じられていた。「先週、北朝鮮の貨物船が弾道ミサイルを積んで中東に向かっている」と。 

(※〜※の部分は、サイト内検索で改めて調べて、正確な時間や新聞名を訂正して加筆しました)

 この記事で気になるのは、シリア空爆はイランの核施設を空爆するための予行演習と書いている部分である。確かにイスラエルはイランの核施設を空爆した気持ちはある。しかしイランの核施設はイスラエルの空爆を警戒して、爆撃不可能な地下深い施設に設置されている。また核施設の周囲にはロシア製の最新鋭・対空ミサイル網が設置され、攻撃機や巡航ミサイルを迎撃できる体制が取られている。だからこれがイラン空爆の予行演習にはならない。

 イスラエル軍がイランの核施設を攻撃する方法は、地上部隊(あるいは工作員)を送り込んで”奇襲”し、施設内に爆薬を仕掛けて破壊するしか方法はない。イスラエルにとって非常にリスクの高い攻撃方法となる。

 さらに付け加えるなら、もしイスラエル軍機が空爆したのが北朝鮮の核物質であるなら、それはアメリカの了承を得たのではなく、アメリカからイスラエルに攻撃を頼まれとする方が常識的である。すでにアメリカは北朝鮮から核物質が持ち出されるならシリアと見て、厳重な監視体制を敷いている。北朝鮮が試しにダミーをシリアに送っても、直ちにシリア領内でイスラエル軍が爆撃することは間違いない。

イラク  アンバル

爆弾テロで死亡

治安改善立役者の部族長

(読売 9月14日 朝刊)

[概要]イラク西部のアンバル県のラマディで13日、イスラム教スンニ派の部族のアブドルサッタール・アブリーシャ部族長が爆弾テロで死亡した。同部族長は駐留米軍が地元部族を取り込んで、アルカイダ系の武装組織と戦わせ、治安改善を成功させた「アンバル・モデル」の立役者だった。ブッシュ大統領も今月に3日に同県を電撃訪問した際に会談した。

 イラク西部のアンバル県はスンニ派武装拠点で、米軍への攻撃が最も激しい地域だった。しかしアブルーシャ部族長が今年初め頃から、無差別テロを繰り返すアルカイダ系に反発する部族をまとめて米軍に協力。以後、米軍への攻撃は激減した。駐留米軍のペトレイアス司令官は10日の米議会公聴会で、同県を治安作戦の「成功例」として強調していた。

 犯行声明は出されていないが、アルカイダ系武装勢力が報復で殺害した可能性がある。

[コメント]犯行は路肩に仕掛けられた爆弾で車列が狙われた。一見するといかにもアルカイダ系の手口と想像出来る。しかしアルカイダ系の確かな犯行声明が出るまで、彼らの仕業と断定することは出来ない。というのは、アブルーシャ部族長が米軍に協力したのは、米軍から多額の報奨金と武器の提供を受けたからだという。だからこの多額の報奨金の分配をめぐって、他部族に暗殺されたという説もあるのだ。それほどイラク西部の「成功例」は基盤の弱いものだった。その背景は「アラビアのロレンス」の時代からさほど変化していない。

 イラク駐留米軍としては、できるだけ早くアブルーシャ部族長の後任(アンバル救済評議会長)を決め、さらなる多額の報奨金と武器の供与を後任者に行う必要がある。例えその後継者が暗殺した主犯であっても、他部族をまとめる力があれば罪は問わない。これは弱肉強食の世界ではごくごく普通の掟(おきて)である。

 しかし駐留米軍が露骨に新しい指導者に米兵の護衛を付けることはできない。それこそアルカイダに暗殺の機会を増やすだけである。現地部族をまとめる指導者の安全は、彼ら流のやり方に任せるしかない。米軍の役割は彼ら協力者の情報に基づいて攻撃を行うだけである。これがイラクの戦場の掟である。

 日本人はサマワで部族長を懐柔して、自衛隊派遣に成功したと思っているが、それはたまたまの結果論であっていつも適用できるとは限らない。たまたまの成功例を絶対の成功例と誤認することから、次の大きな失敗が生まれることを知ることが必要だ。 

露が投下実験成功

世界最強の

  気化爆弾

(産経 9月13日 朝刊)

[概要]ロシア軍のルクシン参謀次長は11日、国営テレビで世界で最も強力な新型気化爆弾の投下実験に成功したと発表した。同爆弾は核兵器と異なり放射能をまき散らすことはなく、「きれいな爆弾」だという。

 ルクシン次長によれば、新型爆弾は米国の同型比べ4倍の威力があるという。気化爆弾は燃料を空中に散布し、点火することで大爆発が発生。衝撃波と高温、急激な気圧低下によって敵を殺傷するもので、通常兵器で最も威力が大きい。米軍はアフガニスタンなどで使用しており、非人道的な兵器として禁止を求める声が上がっている。

[コメント]91年の湾岸戦争の時、沙漠に塹壕を掘って米軍を待ち構えるイラク軍の前方に気化爆弾を投下した。イラク兵は目の前で大爆発を目撃し、もくもくと天にのびるキノコ雲を見て、「アメリカが核兵器を使った」と誤認して投降が相次いだという。ベトナム戦争の時に米軍の気化爆弾は、巨大爆発でジャングルの樹木をなぎ倒し、緊急のヘリ基地を作り出すために使われた。01年に始まったアフガン戦争で、米軍は山岳地帯に潜むアルカイダやタリバンの攻撃に使った。険しい山岳地帯の谷間に投下して爆発させれば、洞窟などに隠れるゲリラを大爆発の爆風と衝撃波で殺傷出来るからである。

 そのような用法を考えると、ロシア軍はチェチェンなどの山岳地帯で、イスラム原理主義テロリストの掃討に使う可能性が高いと思う。米軍の同型爆弾より4倍の威力があるというなら、まったく別の原料を開発したか、爆発させるシステムを進化させたことが考えられる。

 これを人の住まない沙漠や山岳地帯で使わないで、船やトラックに乗せて都市に運搬し、巨大クレーンで吊り下げて空中で爆発させれば、ニューヨークで起きた米同時多発テロ以上の被害を与えることができる。核物質を使わないので、分解して輸送することもできる。(写真は上が爆発した瞬間。下は気化爆弾の本体 いすれもロシアのテレビニュースより (上)朝日新聞の本日付掲載、(下)産経新聞の本日付掲載) この気化爆弾の推定重量は5〜7トンクラスと思う。

※昨日の安倍首相の突然の辞意表明を受けて、昨日の夕刊と本日の朝刊はその関連記事で溢れています。またテレビやラジオでも、安倍氏の後継を動きを報じています。

 私としては今の臨時国会で最大の焦点になった、テロ特措法延長問題で堂々とした議論を期待していたのでとても残念です。小池前防衛相が訪米してテロ特措法延長に最善を尽くすことを約束し、安倍首相もシドニーでブッシュ大統領に外交公約と言って最善を約束しました。それがすでに自らの意志で辞めました。日本という国の政治評価が下がったことも心配ですが、テロ特措法延長の問題が国会で議論されないことはもっと心配です。これから自民党で新しい総裁が選ばれても、国会でテロ特延長問題の議論を発展させることを期待します。

補給、他国の油でも

支障ない可能性

海自派遣の

  根拠に疑問

インド洋の海自・補給活動

(朝日 9月12日 朝刊)

[概要]インド洋における海自の燃料補給で、日本が提供する高品質な燃料が必要とされてきたパキスタン海軍の艦船が、実際には米国など他国が提供する燃料でも活動が出来る可能性が高いことがわかった。

 吉川栄治・海幕長は11日の記者会見で、日本の燃料しかパキスタンの艦船が動かないかどうかの質問に、「それは(動かないことは)ないと思う」と否定。米国など日本以外の参加国による燃料の代替も「基本的に可能」と語った。吉川海幕長は「海自の補給艦が燃料清浄器をつけて、非常にクリアーな燃料補給を心がけている」と述べ、上質であることを強調したが、「海自の艦艇がつけている燃料清浄器は普通であれば(他国の補給艦も)つけている」とも話した。

 シーファー米駐日大使は先月3日、朝日新聞の取材で「パキスタン海軍の駆逐艦は高品質な油が必要だ。日本の参加がなければ、米国だけでなく、パキスタンが活動を続けられなくなることに影響を与える」と語り、日本の補給活動の継続を強く求めた。外務省の谷内正太郎事務次官も10日の記者会見で、「パキスタン海軍の船は、自動車で言えばハイオクを使わなければいけない艦船で、これを提供するのは自衛隊の補給艦しかない状況だ。それが使えなくなると、(パキスタン)行動が厳しくなる」と述べている。

 防衛閣僚経験者の一人は、米国が日本に給油を求める理由を、「無料で配っていること、(イスラム国家の)パキスタンが米国から給油を受けると国内世論がもたないからだ」と説明した。

[コメント]今まで10日の矢内外務事務次官の発言を知らなかったが、そんな程度の低い説明を外務次官が受けているのかと驚いた。燃料清浄器とはその名前が指すように、燃料内のゴミや水などの不純物を取り除くだけで、燃料の分子構造を変化させる様なものではない。

 秋の臨時国会でテロ特措法延長問題が大きく浮上してきて、今まで防衛省や外務省が情報開示を拒んできたものがマスコミに出始めた。それにしても外務次官の「パキスタン海軍の艦船が、日本の自衛隊が提供する高品質な燃料でなければ動かない」という説明には驚いた。だから外務省は本当に軍事オンチの巣窟と昔から指摘してきた。しかしこのままだと防衛省も外務省と同じ穴のムジナと言われる可能性がある。防衛省は正確な情報を国民に開示することを忘れないで欲しい。

 さらに本日の産経新聞が1面トップで、インド洋で多国籍軍が活動開始から今年6月までに摘発した件数を初めて報じた。

「日米軍事筋によると、海自のインド洋での活動開始から今年6月までの5年半に、摘発されたのは8件で、大半は同海域でタンカーや商船を狙った海賊で、アルカイダやタリバンなどイスラム・テログループは含まれていない」(産経新聞 9月12日付け 朝刊)という。

 いくら多国籍軍が海上で警備・監視活動したことが抑止になったと言っても、最近のアフガン情勢の悪化を考えると、これが効果的な活動とはとても思えない。コソ泥しかいないような静かな街で、防犯のために戦車で轟々(ごうごう)とパトロールすることが正しいのか。テロリストとの戦い方を間違えているのではないか。

 今まで海自が行っているインド洋の補給活動で、外務・防衛当局が頑(かたく)なに情報開示を拒んできた内情が段々と明らかになってきた。先の参議院選で野党の民主党が大勝して、かなり風通しがよくなってきたように感じる。今秋の臨時国家の論議を通じて、テロ特措法の現場がさらに明らかになれば、参院否決で衆院差し戻しの2/3の賛成案でも、延長されることはあり得ないと思っている。国民の理解が得られないからだ。また自民党が提出する代替えの新法もすでにほころび始めている。国会の承認をしない無期限に活動など、戦争を罪悪と考える普通の日本国民が許すわけがない。

 日本でやっと正しい価値観が生まれることを期待している。とにかく今までは本当にひどい暴論で無茶苦茶な軍政(防衛政策)が闊歩していた。軍事常識とは無縁の論争だった。

西武線で「自爆」計画

テロの芽、身近に

爆薬「TATP」の破壊力

(産経 9月11日 朝刊)

[概要]爆発物「TATP」を製造、所持したとして、爆発物取締罰則違反罪に問われた元会社員00被告(38才)の初公判が10日、東京地裁であった。00被告は定職に就けない疎外感から、インターネット情報を参考にして、市販薬品で爆発物を作った過程を詳述した。

 同被告は4月初め、ロンドンの地下鉄爆破テロ(05年)に使われた爆薬「TATP」を製造し、朝のラッシュ時に西武線電車の車内で自爆テロを行い、職に就いている人を巻き添えにしようと計画した。

 しかし最初に自宅アパートでTATPを10グラム製造したところ、微量でも爆発の威力でマグカップを変形させた。さらに市販の化学薬品を買い集め、製造と実験を繰り返すうちに、威力の大きさから自爆をためらい、時限発火式による爆発を思いついたという。警察公安部のよる家宅捜査では、自宅から鉄パイプ、豆電球、リード線、乾電池、タイマーなどの時限式起爆装置が押収された。

 押収されたTATPは約90グラムで、爆弾として完成すれば「平屋建て家が吹き飛ぶほどの破壊力だった」(警視庁幹部)という。捜査幹部は「ネット上には爆弾の製造方法などの情報が氾濫し、原料も簡単に入る」と指摘する。

 00被告は薬品を注文した薬局の通報で発覚し、犯人逮捕に至った極めて珍しいケースといえるという。警察公安部では来年の洞爺湖サミットに向け、「薬品業界の協力を得て、潜在するテロの芽を摘んでいく」(公安部幹部)としている。

[コメント]今日は米国で同時多発テロの起きた9月11日である。6年前の今夜のことは一生忘れられない夜になっている。その残忍なテロ攻撃に備えるために、我々の側もテロの方法や手段に無関心でいることはできない。

 そこで今日は特別にこのTATPの話しをすることにした。もし日本で爆薬を使ったテロ事件が起きるなら、外国の軍や警察から流出した軍用火薬(TNTやC4など)ではなく、全国にあるホームセンターで爆薬の材料を購入し、自宅で製造出来るTATPが使われると思う。TATPの特徴は、@材料(薬剤)が容易に入手出来る。A製造が簡単。B威力が大きい。(TNT火薬の70〜80パーセントの威力)である。

 まず原料は過酸化水素を使う。これは薬局で濃度30パーセントのものを売っている。今回の事件は00被告が薬局に過酸化水素の在庫を問い合わせ、その薬局から警察への通報で事件が発覚した。しかし日本で過酸化水素が爆薬製造に使われることを知っている薬剤師は少ないと思う。過酸化水素の濃度が3パーセントのものがオキシュール(オキシドール)で、怪我のときの消毒薬として子どもの頃から我が家にある。薬局で売られている濃度30パーセントのものは主に漂白剤として使われる。

 つぎに必要な薬剤はアセトンである。アセトンは塗料の溶剤として販売されている。今回、00被告にアセトンを売ったのはネット販売している業者で、警察の捜査でアセトンが爆薬の原料になるとは知らなかったという。アセトンは指のマネキュアを落とす時に、これを薄めた除光液として使うものもある。

 原料の過酸化水素とアセトンを触媒の塩酸や硫酸で反応させる。これで過酸化アセトン(TATP)が出来るのだ。まさにTATPは簡単に原料が入手でき、簡単に製造出来るという特徴を示している。

 しかしTATPは極めて敏感である。衝撃や熱、炎を加えると、爆発的に燃焼(あるいは爆発)する有機過酸化物である。だからTATPは製造中の事故が多く、爆弾マニアが両手首を飛ばしたり、失明、あるいは命を落とすこともある。また化学の実験中に自覚がないままTATPを製造してしまい、それが爆発してビーカーなどの破片でケガをした例もある。決してTATPを好奇心や犯罪目的で製造してならない、また爆発物を製造して行った犯罪は、極めて刑罰が重くなることも知っておく必要がある。

 またこの記事で、警察幹部がTATP90グラムで「平屋建て家が吹き飛ぶ破壊力がある」と言ったのは間違い。というのは手榴弾の中にTNT火薬で100〜150グラム程度が入っている。手榴弾1発で半径10〜15メートル程度の人を殺傷する威力がある。それも手榴弾の鉄殻の破片によって人が被害を受けるのだ。TATP90グラムを鉄パイプに詰めて爆発させても、家一軒を吹き飛ばす威力(爆風)はない。

 以上の話しを知って、「こんな危ない情報を公開して大丈夫か」と考える人もいると思う。しかしネットではさらに強力な爆発物の作り方を解説した情報が溢れている。そのことを考えるなら、むしろ過酸化アセトン(TATP)程度のことは多くの人が知って、そこから現実的で効果的なテロ対策を考えることが大事と思う。

 テロと戦うためには、テロを知ることも重要なことなのである。  (2007年9月11日)

海自給油活動

首相、

 新法検討を表明

継続は対外公約

 「私の責任重い」

(毎日 9月9日 朝刊)

[概要]安倍首相は8日夕、テロ対策特別措置法に基づくインド洋で海自の給油活動は、「対外的な公約で、私の責任は重い。どういう法的な担保にしていくかは工夫の余地がある」と述べた。10日招集の臨時国会に継続の根拠となる新たな法案を提出する考えを表明した。

 また野党が参院に提出を検討している首相問責決議案について、「当然、それは重たい」と表明した。しかし問責決議案が可決された場合でも「(衆議院解散・総選挙は)考えていない」と語った。

 新法に関しては、テロ特措法を単純に延長するのではなく、人道支援など民主党の要求も取り入れた新法法案提出を検討すると言及した。

 民主党が海上給油活動を中止し、陸上支援に転換することを主張していることに関しては、「海上阻止活動は不可欠な要素で、そこは何とか維持したい」と語り、否定的な考えを示した。

[コメント]本日(10日)は新聞休刊日でこれは昨日の紙面である。また昨日からのテレビ・ニュースでは、安倍首相がシドニーでの記者会見でテロ特措法延長が臨時国会で反対で可決された場合、「内閣総辞職する」と話すシーンが流されている。すでに民主党の小沢代表は新法案提出にも反対を表明している。ここままで行けば、安倍首相は参院の否決を受けて内閣総辞職か、参院で否決されても衆院に差し戻し2/3の賛成で可決するしかない。

 衆院なら与党は2/3以上の議席を持っているが、世論調査では延長反対が継続を上回っているという。それを与党が多数の力で強引に押し切ると与党のイメージは低下する。次の衆院選(総選挙)を考えるなら、安倍首相は内閣総辞職で政権から去るというのが常識的なところだ。

 それにしてもシドニーで安倍首相は、ブッシュ米大統領との会談でテロ特措法延長を約束した様に見えた。あとで安倍首相の言葉は、「最大限努力する」という言葉と説明されたが、すでにアメリカは安倍政権を見限っているように思う。

 その焦りで昨日、安倍首相は総辞職の覚悟があると決意を語ったが、先の参議院選で「小沢代表か、私かを選ぶ選挙だ」と叫びながら、選挙で負けても辞任して民意に従わなかったことを連想してしまう。

 私はテロ特措法が国会で議論された時、同時多発テロ(01年9月11日)からわずか1ヶ月しか経っておらず、国民が同時テロのショック状態なのに”論争抜き”で可決したことに強い危機感を持った。これで自衛隊が初めて戦場に派遣されるのに、そのための議論が省かれたからである。

 さらにイラク戦争が始まって、インド洋の海自はイラクに引きつけられのに、国民に情報を公開(説明)することを外務省と防衛省は拒んだ。

 やはりここは自衛隊の国際貢献という視野に立って、日本はテロ特措法を一度リセットして修正する必要がある。こんなやり方を許していては、数年以内に自衛隊はアメリカの戦場に再び行くことは必至だ。その具体的な苦痛は今の空自・イラク派遣を見ればすぐにわかる。反米武装組織の携帯式SAM(対空ミサイル)に常に狙われているという現実である。

米空母エンタープライズ

  ペルシャ湾展開

不審船を検査

  イラク米軍支援

海自海域 CTF150

(朝日 9月8日 朝刊)

[概要]バーレーンの米海軍第5艦隊司令部によると、9/11テロを受けた「不朽の自由作戦(OEF)」の下で、米、英、オーストラリアなど約20カ国の艦艇約40隻がペルシャ湾や北アラビア海など三つの作戦海域に展開。不審船に対して無線で質問や立ち入り検査をする対テロ作戦を実施中だ。

 ペルシャ湾北部の作戦海域「CTF158」では、イラクの国内総生産の大半を稼ぎ出すバスラ石油施設など二つの石油施設を米軍が警戒し、イラク軍兵士の訓練を実施。日本の海上自衛隊はペルシャ湾外側のアラビア海北部、オマーン湾、紅海の作戦海域「CTF150」でパキスタン軍艦船などの給油支援をしている。(写真は朝日新聞 9月8日 朝刊より)

[コメント]これで防衛省が野党から再三の質問にも黙していた「海自の給油活動海域」が明らかになった。それはCTF150ということである。それにしても紅海までも活動範囲に入っているとは。アフガンから逃亡するアルカイダの拘束や、海上からアフガンに運び込まれる武器や弾薬を阻止するという大義名分は変わっていた。

 それから作戦名であるが、アメリカが同時多発テロ直後の01年10月にアフガンで始めたのは「不朽の自由作戦(OEF)」で、アメリカがイラクで行っているのは「イラクの自由作戦(OIF)」である。イラク南部バスラに近いアラビア海北部の作戦(CTF158)は、「イラクの自由作戦」に強く関わっているが、海自が関わっているCTF150は100パーセント「不朽の自由作戦(OEF)」と無関係というわけではない。

 しかし日本のアフガンからアルカイダの逃亡を防ぐ後方支援という意味では、活動の法的根拠の曖昧さが強く残ると思う。戦前・戦中の大本営発表を思えば、戦争に関する説明や法解釈は厳密でなければと思う。今まで外務省は意図的に曖昧さや解釈変更のその場しのぎの軍政を行ってきた。

(※本日は更新休止の土曜日ですが、明日の日曜のテレビ番組で「不朽の自由作戦」と「イラクの自由作戦」が曖昧なものがあります。外務省が自民党の政治家にその辺の知恵をつけていると思いますので、本日、異例として掲載します。)

中朝国境の港湾、道路整備

北の建設事業

米企業が融資

米政府 後押しか

(読売 9月7日 朝刊)

[概要]中国と北朝鮮が北朝鮮北東部の羅先(ラソン)で進めている港湾や道路などの建設事業に、米国企業が30億元(約460億円)の融資を決めたことがわかった。この米企業は中国名「馬得利集団」。同社の蒋一成会長(中国系米国人)は中国吉林省長春の地元紙「城市晩報(5日付)」で「友人のクリストファー・ヒル国務次官補(6カ国協議米首席代表)が、この事業には実質的な経済支援が必要と教えてくれたので、投資することにした」と説明。米政府の関与を強く示唆した。

 同事業は羅先にある羅津港の埠頭や、同港と中朝国境にある吉林省の”コン春”を結ぶ約50キロの道路を整備するもの。中国東北部から日本海に出る物流ルートを確保するのが狙い。1昨年に羅先に拠点を置く中朝合弁会社「羅先国際物流合営公司」が設立され、昨年に工事が着工された。しかし投資総額は約80億元(約1230億円)で、資金の調達難から事業に遅れが出ていた。

 米企業の融資には、米朝経済交流を促し、北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議の進展につなげたい米政府の後押しがあった可能性がある。

[コメント]モンゴルのグランバートルで行われた日朝国交正常化作業部会の第2回会合は、拉致問題の進展がないまま終了した。しかし今回は具体的な成果が何もなかったからと日本が悔やむ必要は全くない。前回は「拉致問題は解決済み」と日朝会合を初日冒頭で蹴飛ばした北朝鮮が、今回は「これから作業部会の話し合いを頻繁に継続させる」と明言している。、もはや日本人拉致問題を解決出来なければ、北朝鮮がアメリカからテロ支援国の解除が得られないので困からである。この事実は6カ国協議でも変わらない。

 この記事で気がついて欲しいのは、北朝鮮という閉鎖的な国家が存在することで、中国東北部(旧満州地域 吉林省 黒竜江省 遼寧省)の経済発展が阻害されているという点である。朝鮮戦争の様に北朝鮮が中国東北部の”防波堤”()になるというようなことはなくなった。すなわち中国にとって東北部の経済発展(地域格差の解消)させるために、北朝鮮という閉鎖国家は邪魔ということである。

 すでに韓国は北朝鮮の開城に工業団地を獲得している。ソウル〜開城への南北道路も完成し、切断されていた鉄道の整備も終えた。北朝鮮はそうして外貨を稼ぐしか、北朝鮮の体制が存続出来ないからである。北朝鮮が意地を張れるのも時間の問題である。その間、日本は拉致者全員の帰国を強く求めるべきである。

 北朝鮮では健康に不安を抱える金正日の後継として、すでに長男の金正男が中国から帰国して政務に就いているという。次男や3男では性格的に無理と判断したようだ。そのような新しい状況で北朝鮮問題は推移している。

 それにしてもアメリカのヒル国務次官補もなかなかの策士である。北朝鮮の事業に米国企業が投資することはできないが、中朝の合弁事業に米国企業が中国側に投資することは可能である。これから北朝鮮は中朝合弁事業の恐ろしさを実感することになるだろう。

 また近い将来に北朝鮮が開放されることで、日本の日本海側で中国、極東ロシア、朝鮮半島との交易・交流が盛んになることは必至である。今から準備を怠りなく。

これは中国の核戦力に深く関係している。中国がアメリカ本土を狙える戦略核戦力を持つことで、米中間では偶発戦争を含めて軍事的な直接対決は出来なくなった。そのことから中国から見て北朝鮮の軍事的(地政学的)な価値が激変したことになる。

アフガンで戦闘

韓国人拉致関与

司令官が死亡

(毎日 9月5日 朝刊)

[概要]アフガン内務省は4日、中部ガズニ州でアフガン治安部隊と旧支配勢力タリバンとの戦闘で「タリバン兵16人を殺害した」と発表した。この16人の中には韓国人拉致・殺害事件に関与した司令官のマティーン師が含まれているという。アフガン政府はマティーン師を「韓国人拉致事件の背後にいる主要人物」としていた。

[コメント]このWhat New 欄の8月31日に、これからアフガン治安部隊は「韓国人拉致・殺害を行ったタリバン・メンバー全員の生首を晒すことになる」と書いたのはこのことである。メンバーはただ一人でも関係した者を取り逃さないように徹底して行われる。言うまでもなく見せしめのためで、アフガンではこれが同様の拉致事件の再発を抑止出来る方法になるからだ。

 そのためこの戦闘で数人は生かして捕らえられ、メンバーすべての名前を聞き出したあとで殺害される。これがアフガン戦争の現実であり、きれい事で済む様な世界ではないのである。

 私が子どもの頃に父から聞いた話しである。中国で戦った戦争のことを話さない父が珍しく戦争の話しをした。日本軍が行軍していると、住民が逃げ出した無人の村があった。その裏に広がる丘の中腹で、逃げ遅れた子どもが一人丘に座っていた。まだ数を数えることも出来ないような幼い子供である。しかし日本軍兵士(もしかすると私の父)が子どもに近づいてみると、左に小枝が積まれ、わずかに右にも小枝があった。右の小枝の数を数えると、子どもの目の前を通過した日本軍で馬に乗った指揮官の人数と一致していることがわかった。子どもは小枝を左から右に移すことで、村を通過する日本軍の規模(指揮官の人数)を偵察していたのである。

 「その子どもはどうなったの」と聞くと、それに父は何も答えなかった。私はその時はわからなかったが、現実の戦争を知るうちに、その子どもは日本軍に殺されたと思う様になった。子どもをスパイとして処刑したのではなく、そのような子どもをスパイとして使う中国軍に”見せしめ”のために殺したのだ。本来、戦争とはそのようなものなのである。

 今の日本では戦争論がエライ人の戦(政)略論で語られることが多い。だからアフガンで韓国人拉致事件に関与したタリバン全員が生首を晒されるということに気がつかない。凄惨な戦場の現場を知らないから、机上の空論が空中を飛び交っているのが現状である。

 父が中国で凍った川を渡河したとき、砲弾の破片で腹を引き裂かれた日本兵が、氷の上で内蔵が飛び出た自分の腹を抱え、何人も「痛い、痛い」と泣き叫んでいたという。私が見たのはカンボジアの首都プノンペン郊外で、米軍の空爆で犠牲になった農民の頭蓋骨(数百個)を集め、ポル・ポト派の虐殺で殺された犠牲者として巨大なガラスケース(タワー)に展示していた。戦争の犠牲者は死んでも見せしめのために活用される。

テロ支援国家

北「指定解除合意」

米否定、既成事実化狙う

拉致問題進展へ合意?

(産経 9月4日 朝刊)

[概要]北朝鮮の朝鮮中央通信は3日、北朝鮮外務省報道官がジュネーブで開催された米朝作業部会で、双方が年内に核計画の完全申告や核施設の無能力化で合意したことを受け、「米国がテロ指定国家解除を行うことになった」と報じた。米国務省当局は3日、米朝がテロ支援国家指定解除で合意したとの報道は「事実ではない」と否定した。

 北朝鮮外務省報道官は朝鮮中央通信の記者の質問に答える形で、「これにより米国はテロ支援国家指定からわが国を削除し、敵国貿易法による制裁を全面的に解除し、政治経済的な保障措置を行うことになった」と述べた。今回は北朝鮮政府の公式見解ではなく、外務報道官が記者との質疑応答という低いレベルから、戦術的なブラフ(脅し)の色彩が濃い。

 しかし米国のテロ支援国家指定の根拠のひとつは日本の拉致問題で、この拉致問題の前進がないまま解除すれば、日本が猛反発することをブッシュ政権は熟知しており、問題解決は単純ではない。

 北朝鮮側はブッシュ政権が核問題進展の成果を急ぎ、年内の「申告と無力化」に積極的なことから、交渉の主導権を握る目的でテロ支援国家解除問題の焦点化を狙った可能性が高い。

 5日からの日朝作業部会では拉致問題が主要議題のひとつで、日本が拉致問題の解決なしにテロ支援国家解除に賛成するとはあり得ない。このため日朝協議進展に何らかの合意があったとの見方も浮上している。米国のヒル国務次官補は2日の米朝協議後、記者会見で「日朝協議を歓迎し、日朝協議が成功すると信じるに足る理由がある」と語った。また、複数の6カ国協議筋は、「ヒル次官は米朝、日朝の作部会を同じ速度で進め、6カ国協議全体を前進させようと考えている」と説明する。

 北朝鮮の金桂寛外務次官はジュネーブで3日、記者団に、年内の核無力化は可能との見方を表明し「米朝会談結果に満足」と話したが、「対米関係は時間がかかると」とも語った。

[コメント]ブッシュ政権は北朝鮮が信頼出来る「核の申告と無力化」を行えば、本気でテロ支援指定解除を考えていると思う。また北朝鮮はアメリカが満足する「核の申告と無力化」を行っても、最終的にブッシュ政権がテロ支援国指定解除するのは、日本の”拉致問題解決”が必要ということも知っている。

 そこで北朝鮮は次はどうのように出て、日本はどのように対応するかという点である。そこで考えておくことは、もともと北朝鮮が核武装開発を始めたのは、在韓米軍や韓国軍が北進(北朝鮮侵攻)してくることを阻止(抑止)するためだった。しかし軍事境界線(非武装地帯)に沿って北朝鮮側の地下陣地に配備し、弾頭に生物・化学兵器を装填した長距離砲、地対地ロケット、短距離弾道ミサイルによって、北進は抑止出来ることを知った。(94年の米朝軍事危機)

 それから北朝鮮の核兵器開発は、アメリカなどから体制存続の保障、食糧や燃料の緊急援助、経済的な支援、さらにはテロ支援国家指定を解除させるためと性格が変わった。北朝鮮軍が強力な核武装をするよりも、核武装解除を如何に高くアメリカに売りつけるかという点である。そのためには北朝鮮の不完全な核兵器でも交渉は可能である。(間もなく開発可能とメッセージを送れる) ブッシュ政権は北朝鮮にそれを高く買ってやるといった。それがアメリカのテロ支援国家指定解除である。

 テロ支援国家指定解除はまさに北朝鮮が敵対国(準戦争状態)から普通の関係国に立場が変わることになる。テロ支援指定が解除されれば北朝鮮はアメリカに邪魔されることなく、どこからも資金の借り受けや投資を受けることが可能になる。北朝鮮のように産業インフラが壊滅的な国でも、外国から投資を受ければ大きなビジネスが可能になるのである。

 まず北朝鮮では従業員の給与を世界最低レベルまで安くすることができる。その従業員は労働組合などがないし、他の企業に引き抜かれる心配もない。また外国企業はワイロを払えば特別な優遇を受けることも可能だ。また全体主義で育てられた北朝鮮の国民性は、巨大マスゲームの様に長時間の単純作業に向いている。そのように考えていくと崩壊寸前の北朝鮮であっても、大きなビジネスチャンスを内包していることに気がつく。

 アメリカがテロ支援国家指定を解除すれば、韓国、中国、日本、米国などから、北朝鮮に投資や融資が殺到すると考えていい。例えば、外国企業は北朝鮮に小・中規模の工場を港の近くに建設し、多数が生活出来る粗末な従業員宿舎を建てて、食事を与えるだけで、忠実で忍耐強くて若い労働力を容易に集まめられる。、工場に必要な電力は自前で自家発電し、生産した商品は港から貨物船を使って海外に運べば、企業は大きな利益が期待出来るのである。むろん金正日体制には企業から莫大な税金という献金(外貨)が流れ込んでくる。

 金正日が小泉前首相に会って拉致事件を認めたのは、日本から国交正常化後に支払われる100億ドルともいわれる経済支援金(戦時賠償金)が欲しかったからである。そのために手付けとして3組の日本人拉致者を帰国させた。しかしそのことで日本では北朝鮮に対する激しい怒りが起きたことはご存じの通りである。金正日が目論んだ日本から100億ドル獲得作戦は裏目にでた。

 それと同様に、北朝鮮にテロ支援国家指定が解除されれば、莫大な利益(外貨)が金正日に入ることはすでに話した。こうなれば金正日はアメリカに「核の申告と無料化」とともに、日本人拉致問題を一気に片づける可能性は充分にある。すなわち北朝鮮にいる日本人拉致者全員を、一旦日本に帰国させることは可能である。金正日体制はそこまで存亡の危機に追いこまれ、テロ支援国家指定解除を求めているのである。(まさに対北朝鮮経済制裁で最終点まで追いつめた)

 そこで日本側の対応だが、日本はテロ支援指定解除は拉致問題の全面解決しかないと断固主張する。北朝鮮に日朝交渉でそのことを骨の髄まで叩き込むのである。アメリカは北朝鮮に「核の申告と無力化」でテロ支援指定解除という甘い蜜を示しながら、日本は拉致問題の全面解決しかテロ指定解除はないと厳しく迫る。ブッシュ政権も日本の拉致問題を無視して、「核の申告と無力化」だけで北朝鮮にテロ支援指定解除することはない。

 もしアメリカが日本の拉致問題を無視してテロ支援支援指定を解除したら、それこそ米軍再編や日米安保同盟は最大の危機を迎えることになる。テロ特措法延長問題などとは比較にならないほど日米関係が悪化することは言うまでもない。朝鮮半島統一という将来まで目を向けるなら、アメリカが日本を裏切って北朝鮮を優遇する理由はない。

 これから日本は6カ国協議で主導権を握るぐらいの覚悟でちょうどいい。やっと安倍首相の対北朝鮮・強硬姿勢が評価されることになった。安倍首相は溺れかけている時に、一個の浮き輪が投げられたに等しい状況と考えるべきである。これをワラにするか、浮き輪にするかは安倍首相自身の政治判断である。

※北進という言葉が南進と間違えていました。更新して6時間後に訂正したことをお断りするとともに、間違いをお詫びいたします。

政府・与党

「テロ新法」検討

野党側の主張取り入れ

(産経 9月3日 朝刊)

[概要]政府・与党は海自のインド洋派遣を継続するため、新たな法制定に向けた検討を始めた。これは11月1日に期限が切れる現行のテロ特措法が、参議院で過半数を占める野党の反対で、延長・成立の見通しが立っていないからだ。このため野党の主張を取り入れて新法を提案し、海自の活動が中断に追いこまれるのを避ける狙いがある。

 高村防衛相は2日、都内で記者団に「11月2日以降も(テロリストに対する多国籍軍の)海上阻止活動に対する海上給油を続けなければいけない。それについて有効な方法はあらゆる可能性を追求する」と語り、海自の給油活動継続のために新法制定を検討する姿勢を示した。

 現行のテロ特措法は、補給、輸送、医療、通信など、広範な分野で多国籍軍への協力を定めている。しかし新法では海自が行っている給油・給水活動に絞り込むことが検討されている。

 新法案は野党が協議に応じれば、テロ特措法改正案の提出を見送り、新法案が提出される可能性もある。しかし民主党の小沢代表は海自の派遣に反対姿勢を崩しておらず、テロ特措法改正案と同様、新法の協議に応じるかは不明だ。

[コメント]そろそろ与党は現行のテロ特措法が、アフガン作戦ではなく米軍のイラク作戦に使われていると気がつき始めた。イラク作戦を支援するために政府が作った特措法はイラク復興支援法である。テロ特措法(アフガン向け)とイラク復興支援特措法(イラク向け)を混同してはいけない。

 昨日のサンプロ(テレビ朝日 サンデー・プロジェクト)を見た人なら知っているが、ペルシャ湾を中心にイラク戦域を担当しているのは米海軍の第5艦隊司令部である。その第5艦隊の司令官がホームページで、第5艦隊の燃料の85パーセント(35万トン?)を海自が補給していると書いている。パキスタン海軍への給油と給水は僅かなもので、そのことを与党は過大に表現していることに違和感を持つ人は多いと思う。なぜ過大評価するのか。それはイラク作戦の補給を担っていることを隠すためである。

 すなわちテロ特措法は米軍の「(イラク)不朽の自由作戦」のために使われ、アフガンとの関連は極めて薄くなっている。日本の国民はパキスタンの沖合で海自が給油・給水と知らされていたのに、実際はペルシャ湾やアフリカ沖、イエメン沖で活動していたのである。また国民は大本営発表の様に騙されることになるか。9月10日からの臨時国会で、この情報を隠し続けてきた防衛省と外務省の責任問題が前面に出てくることななる。テロ新法提案で防衛・外務の責任問題が回避出来るとは思わない。

本日、日曜日

更新を休止します

体力、気力を回復させため

(9月2日 日曜日)

[コメント]本日は9月に入って初めての日曜日です。東京は猛暑の8月と変わって涼しい風が吹いています。カミさんと娘は早朝から河口湖(山梨県)のライブコンサートに出かけました。同居の義母は昨日からショートステーに行き、今日は珍しく我が家では私一人になりました。

 こんな静かな一日をどうして過ごそうかと考えましたが、とりあえず毎日の運動を復活させることにしました。実は8月の初旬に体調を崩したのは、夕方に行った2時間半の野外運動(ウォーキング)でした。ウォーキングなら暑さは関係ないと考えたのが失敗でした。途中で水分は十分にとったつもりでした。しかし最後の30分間は意識が朦朧(もうろう)とし、いつ意識を失って路上に倒れるか不安でした。このような経験は初めてです。発熱は翌日の一日で収まりましたが、体のだるさはそれからも続きました。それ以上に困ったのは、暑い戸外に出ることを体が猛烈に拒絶することです。外に出ようとすると、体を動かすことが苦痛になるくらいの”だるさ”になります。そのため8月は一度も自転車に乗っていません。

 自宅でクーラーの効いた部屋にいればだるさは消えます。しかし昼間にクーラーを切り、窓を開けて外から熱風が吹き込めば、体がだるくなって動く気がしなくなります。最初は食欲減退で栄養(スタミナ)不足かと思い、焼き肉や鰻などを積極的に食べましたが改善しません。そのため8月の大部分は戸外での運動はもちろんですが、屋内のスポーツクラブでの運動もできませんでした。これは夏バテというよりも、フラフラ状態になった8月初旬の運動が影響していると思います。おそらくあの時は、軽い熱中症に近い症状だっと考えるようになりました。

 9月になって今日のように、東京で涼しい風が吹くようになると、あのだるさがウソのように消えてしまいました。そこで今日から再び、体力、気力を回復させるために、自分なりに運動を再開することにしました。やはり若い時の様に無茶や無理な運動はできませんね。今日は久しぶりに自転車で河川敷を走ってきます。

 それからこれから大きな事件や出来事が起きていなければ、土曜と日曜はできるだけあHPの更新を休むつもりです。ですからこれから土曜、日曜日の新聞記事を、月曜日に更新してコメントすることもあると思います。皆さんからのメールも、土曜、日曜に届いたものは、遅れて月曜日以降に掲載することになると思います。このことをご承知ください。できれば一日でも長く、このHPを継続させるためです。しかし大事件や大きな問題が起これば、土曜、日曜に関係なく、体力、気力が続く限り更新を行います。

永田町 フィールドノート

守屋防衛次官

  最後の日

(読売 9月1日 朝刊)

[概要]政府は31日の閣議で、守屋防衛事務次官を同日付で退任させる防衛庁人事を決定した。ところが高村防衛大臣は閣議後の記者会見で、「守屋氏が防衛省顧問に就任するという話しがあるが」と質問されると、みるみる不機嫌になり、「びっくりしている。私は何も決定していない。何も事務方から(情報が)上がってこない。現時点では、賛成でも反対でもない・・・」と述べた。その後、高村防衛相は守屋氏に直接そう言い渡した。守屋氏は「私は何も言っていません」と釈明したという。

 防衛省(旧防衛庁も)では次官経験者が顧問につくことはよくある。ただ守屋氏は来週から連日出勤するつもりで、部屋も通常の顧問室ではなく、次官室の1階下の報道官室(10階)を使うことを検討し、すでに下見もしているという。守屋氏の顧問就任は認められる見通しだが、人事権を持つ防衛相への相談を後回しにし、不協和音を生じさせた。

 守屋氏は在日米軍再編などの懸案に真正面から取り組み、防衛省を長年支えたという強烈な自負心がある。その自負心が最後のおごりにつながったのかもしれない。

[コメント]高村防衛相は守屋氏の顧問(常任)就任を昨日の新聞報道で初めて知ったという。そのニュースをラジオで聞いた瞬間、嫌〜な気持ちが沸き起こった。また守屋氏かという感じである。

 守屋氏はどうして潔(いさぎよ)い身の引き方ができないのか。防衛省の職員や新防衛大臣から、今までの経験や実績を評価され、一歩下がり畏(かしこ)まって顧問に就くならわかる。しかし、これでは在職中の醜聞を隠すために無理やり居残ったか、まだ未完の防衛利権に未練たらたらのためと非難されることになる。小池前防衛相と争った傷をさらに広げることにならないか。

 人の悪口を言わないと評判の防衛庁OBに、守屋氏の人物評(長所)を質問したことがある。その人でさえ、「守屋は異常。尋常ではない」のひと言で切り捨てた。別の人からも、防衛省幹部人事をめぐる卑劣な手法、防衛企業との異常な癒着を聞いたことがある。しかし私が知っていることはごくごく一部の話しでしかない。これから一斉に守屋氏に関する醜聞が表に出てくるだろう。役人は次官になれば明日にでも”責任をとって辞任する”覚悟で職務に就かなければならない。その「散りぎわ」の覚悟が守屋氏にはなかった。武士(もののふ)がいう「常在戦場」という言葉には”闘いに備える”覚悟と”散りぎわ”の覚悟が必要と思う。

 すでに防衛関係者の間では公然と守屋氏のスキャンダルが語られ始めだした。また、急な退任で再就職先が決まらないという事情もある。しかし日本は侍(さむらい)の国である。侍社会は守屋氏の引き様を許さない。ここは身を正して潔く野に下るべきと思う。小泉前首相の飯島秘書官が支配した時代は終わった。すでに守屋氏を守る人は姿を消した。

 



※これ以前のデータはJ−rcomFilesにあります。