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対イラク 米、「実戦」準備急ぐ。 イラク軍の北部に軍の姿まばら。 主力、首都防衛に移動か (朝日 9月30日 朝刊 [要約]クエートのイラク国境で米・クエート合同演習が始まった。湾岸地域に展開する米兵2万人の半分にあたる1万1千人が参加し、約1ヶ月にわたり昼夜の関係なく演習を繰り返す。29日のワシントン・ポスト紙は、テキサス州の陸軍基地で、イラクのユーフラテス州を想定した渡河訓練が行われていると報じた。またニューヨーク・タイムス紙は、米軍は不足を指摘されていた無人偵察機や大量のGPS爆弾を発注したという。その一方で、イラク北部ではイラク軍は主力がバクダッドに集結のために移動しており、姿がまばらどという。精鋭を集めた共和国防衛隊はバクダッド防衛に集結した模様。また過去1ヶ月の間に、米軍は北部、西部、南部のレーダーサイトを航空機で攻撃し、防空網に大きなダメージを与えている。

[コメント]ユーフラテス川はバクダッド進攻の最大の障害になっている。当然ながら、この川に架かる橋にはイラク軍が3重、4重の防御陣地を築いて待ち構える。それでも防御陣地が壊滅されれば、イラク軍は鉄橋を爆破して米軍の通行を不能にするだろう。そこで米軍は、違う場所に緊急の橋を架ける必要がある。それも戦車1両の重量は60トンを越える。この超重量の戦車が通過できる丈夫な橋である。これには浮橋を使う。作業時間を短縮するため、対岸に橋頭堡を築き、同時に両岸から浮橋を組み繋いでいくのである。米軍の工兵隊と戦車部隊は、その渡河訓練をテキサスで行なっている。さらにイラク北部と南部の、飛行禁止空域下にある飛行場やレーダー施設(軍用・民用をとわない)の破壊も始まっているようだ。となれば、イラク軍が米軍に対抗する作戦は限られてくる。渡河可能な場所には、地雷を埋めて使用不能にする。都市部に米軍を誘い、市街戦で支援の空爆に制限を加える。イラク市民の楯を使い、米軍の進攻ルートに非難場を設置することになる。米軍の攻撃でイラク市民が犠牲になっていると国際世論に訴えるだろう。最悪の戦争モードになっていくような気がしてならない。地図は同日の朝日新聞に掲載されたもの。資料はニューヨーク・タイムス紙などを参照したという。
沖縄のオフ会、大きな盛り上がり(成功)、基地問題に新しい視点を提議。(9月30日) [コメント]28日(土)に沖縄で開催したオフ会は、「国際情勢の冷静な分析を!」(琉球新報 9月28日 論壇 佐久川さん)や、「(軍事)機能面から基地削減を考える」(沖縄タイムス 9月26日 寄稿 琉大研究員 藤中さん)が、オフ会当日には、「北朝鮮、崩壊なら米軍撤退」(琉球新報 9月28日 私のインタビュー記事)といったように、地元紙に「オフ会の趣旨」が大きく掲載されるなど、予想外の盛り上がりを見せました。今までの沖縄では、反戦平和を基調とした基地撤去運動や、米軍基地から地元経済に財政援助(基地対策・公共工事)を得る政策提議などが主流で、国際情勢や軍事分析の面での取り組みは皆無だったそうです。そこで今回のオフ会は地元(沖縄)に大きなインパクトを与えたと、ボランテアで参加された人たちが評価していました。特に20代、30代といった若い方は新鮮に感じられたようで、多くの参加者があり、すごい熱気を感じました。(動員はしていません。笑。) これから沖縄の基地問題は、新しい軍事情勢に入っていくでしょう。私もその変化を注視し、見守り、応援したいと思います。沖縄の皆さん、ありがとう。 
  お知らせ!  本日27日(金)より29日(日)までの3日間、沖縄でのオフ会に参加するため、ホームページの書き込みは行ないません。お仕事など緊急の連絡は、自宅の電話を旅先の携帯電話に自動転送して対応します。ご了承ください。
北朝鮮特区の通貨は米ドルか人民元 香港各紙報道 (読売 9月26日 朝刊) [要約]25日付けの香港各紙は、北朝鮮が新義州に設立する新議州の特別行政区は、公用語が中国語、朝鮮語、英語となり、通貨は米ドルか中国の人民元が使用されると報じた。また一般の住民が入れないように、周囲に壁を建設する計画だと報じた。一方、明報は、東岸の元山にも特別経済区を計画しているとの韓国の専門家の見方を紹介した。

[コメント]もし元山に特別区が建設されれば、公用語は日本語、ロシア語、朝鮮語で、通貨は米ドルか日本円になるのかと、つい考えてしまった。(笑) しかしである、もともと北朝鮮に外国に売れるようなものがあるのだろうか。マツタケ、しじみ、麦わら、川砂(砂利)、わざわざ特別区を建設して、なにを事業の柱にするのか。どうも北朝鮮・特別区のイメージがわかない。それとも安価で単純労働に向いた国民性を利用して、生産企業を誘致するのだろうか。しかし安価な製造業は中国が独占している。アジア市場に北朝鮮が参入できる隙間はない。同じように産業のないカンボジアでは、アンコールワット観光以外では、国内のいたるところに外国資本のカジノが乱立している。北朝鮮は特別区にカジノを中心とした外国人歓楽街を建設するのだろうか。しかし壁の外を見ると、飢えた人々が餓死寸前のところで遊ぶ気にはなれない。北朝鮮に香港のような特別区を作りたい気持ちはわかるが、それを可能にする社会環境にないと断言できる。そんなことを考えていると、92年頃にサイゴン(ホーチミン市)のホテルで出会った日本人の一団を思い出した。服などを製造する工場の経営者たちで、賃金が安く勤勉な人が多いベトナムに、製造工場を建設するために視察にきたという。サイゴンにするか、ハノイにするか迷っていた。しかし最終的にはハノイが有力だと語った。その理由は、「ハノイは賄賂がきいて、活動しやすい」からだった。北朝鮮・特別区もそんな理由で成功するのだろうか。まさか覚せい剤や偽札を産業に基盤に・・・・。
英 イラクが「大量破壊兵器、使用計画」 脅威を立証する文書公開。(朝日 9月25日 朝刊) [要約]ブレア英首相は、かねねよりイラク脅威の証拠を示すとしてきた。その文章が公開された。それによるとイラクは45分以内に生物・化学兵器が使える状態にあり、国内の反対派を攻撃する態勢をとっているという。また射程が650キロのアルフセイン型ミサイルを20基前後保有し、射程1000キロのミサイルを実用化することを目指していると記した。しかしテロとの関与は示されず、新事実には乏しい内容となった。(以上、朝日) 公表された文書は写真8枚と地図1枚、それに50ページの文書。それによると「イラクはアフリカからウランの入手に動いた」「英国の基地があるキプロスなど、トルコ、イスラエル、イランにも届く弾道ミサイルを展開」とし、査察を拒んでいる宮殿の衛星写真を掲載している。(以上、サンケイ)

[コメント]新しい情報という点では、特に目新しいものはない。やはり同時多発テロとの関連については何もないというのが最大の特徴である。最近は米、英の中からも、単独でのイラク攻撃は無謀という意見が広がってきている。軍事常識で言えば、味方は多ければ多いほど戦勝のチャンスがある。逆にギリギリやなんとかといった戦力は、わずかな失敗や誤算ですぐに劣勢に陥る危険がある。まさに孫子の兵法が説くところである。昔、アメリカが北ベトナムの空爆を開始すれば、北ベトナムは石器時代に逆戻りすると豪語したアメリカの政治家がいた。そのとき、南ベトナムのジャングルで、闇に潜み、森に隠れたベトコンと、死闘の毎日を過ごしていた若い指揮官たちがいた。それがパウエル国務長官やアミテージ国務副長官たちである。もし軍事を知るのものなら、例えイラクであっても、騎兵隊のようにラッパを吹いて突撃すれば、大変な犠牲がでる可能性を無視できない。
中国 小泉訪朝の熱烈評価 裏に中国のしたたかな計算 (サンケイ 9月24日 朝刊) [要約]アジア欧州会議(ASEM)第4回首脳会議に出席した小泉首相は、中国の朱首相と会談したさい、朱首相は小泉首相の訪朝を、「重要な外交行動を賞賛し、成果を祝いたい」と高い評価を見せた。しかし首相に同行している外務省筋は、中国が朝鮮半島情勢の変化を歓迎する裏には、短期的には、北朝鮮へ日本からの経済・食糧支援によって中国の負担が軽減できる。中期的には、核査察などで中国が北朝鮮をかばう必要がなくなる。長期的には朝鮮半島から米軍が撤退することで、東アジアでの米軍の存在感を薄めことになるためと語った。

[コメント]この外務省筋の方は、軍事を単にパワーゲームとして考えているふしがある。もし朝鮮半島が統一され、安定化すれば在韓米軍は当然ながら撤退をする。しかし米軍が撤退をするときに、力の空白を生むような撤退は絶対にしない。そのあたりの感覚がなければ、軍事を単にゲームのように認識してしまう。米軍が朝鮮半島から撤退する時は、当然のように別の形の軍事力を配備して、朝鮮半島に中国やロシアの覇権が及ばない処置をとる。すなわち米軍の存在感が薄まらないようにする。日本の軍事大国化を防ぐ意味もある。それは新兵器供与であったり、合同演習の定期化だったり、情報・指揮・運用の一体化であったりする。米軍が常時存在はしない、しかし存在感は逆に高める処置をとる。そのための軍事改革(RMA)を米軍は進めているだ。このような感覚は、これからの朝鮮半島情勢を考える上で必要である。
イラク攻撃 米軍、周辺国に展開。しかし国防省内で対立も生まれている。 (朝日 9月24日 朝刊) [要約]ニューヨーク・タイムズ紙は23日、イラク攻撃に関して、何段階もの準備を進めていることを明らかにした。クエートには2万2千人以上がすでに展開し、これから海兵隊2200人が入る。空母エイブラハム・リンカーンが湾岸地域に到着した。米軍特殊部隊はCIAと合流して、イラク国内の生物・化学兵器の偵察活動に入る。インド洋のディエゴガルシア島にはB-2爆撃機が出撃体制をとると報じた。しかし23日発売の米誌ニューズウィークは、国防省の制服組みがイラク周辺の攻撃拠点が定まらないために作戦遂行が難航しており、同省の文官との間で対立が生じていると報じた。

[コメント]米軍のイラク攻撃は、年明け早々がほぼ確実の情勢となった。しかし周辺諸国の米軍受け入れが難航し、大規模な地上軍投入は難しい状況が続いている。この場合、米軍のイラク攻撃はイラク軍の壊滅が目的ではない。あくまでフセイン体制の崩壊が目的で、目標はフセインの指揮命令系統や親衛隊部隊の攻撃に絞られる。米軍はできればイラク軍の大半を、フセイン体制崩壊後に備えて温存したいというのが本音である。城攻めに例えるなら、外堀、内堀は埋めない、石垣はくずさないで、一気に本丸を攻め落とし、城壁やお堀は今後も使いたいという意味である。これも湾岸戦争でクエートに侵攻したイラク軍を壊滅・敗走させた戦争目的と違うところである。そのイラクの本丸を攻め落とすには、ヘリなどで高度に機動化した部隊が必要となる。もしイラク軍の部隊が攻撃のために集中すれば、ただちに空爆で攻撃を加えることになる。これは空軍機や空母艦載機の任務である。地上軍は大量破壊兵器の製造や貯蔵施設を急襲し、施設や薬剤の破壊や無力化を行なうことになる。その施設が市街地や親衛隊のそばにあれば、軽武装のヘリ急襲部隊を投入することは難しい。戦車や装甲車を配備した重武装部隊の投入が必要である。このあたりが作戦立案や事前配備の難しさである。
日朝交渉 10月再開困難か。外務省 拉致対応を優先 (サンケイ 9月22日 朝刊)  [要約]日朝首脳会談で合意された国交正常化交渉再開を、10月に行うとしていたが、外務省は拉致問題の対応を優先的に扱うため11月にずれ込むもやむなしと判断を固めた。拉致家族などの訪朝や、死亡時の経緯など、真相究明に時間がかかると判断したためだ。交渉の会場は、拉致問題で東京が不可能になり、北京は北朝鮮側が嫌っている。そこでマレーシアのクアランプールなどが候補地にあがっている。

[コメント]北朝鮮は拉致者死亡8人リストに、これほど強い反発が日本から出ると予測しなかったのだろうか。かつて日本が行なった朝鮮人強制連行に比べて、その人数がわずかであるから、多少の反発がでてもすぐに沈静化すると判断したのではないか。しかし拉致問題は日朝国交回復のために、喉に刺さった小骨という言い方は、拉致者8名死亡で大きく変わった。日本の世論が死亡8人を許せないと怒りの声を上げたからだ。これから拉致・不明者問題は、日朝交渉再開の大きな壁になったのである。小泉首相は日朝首脳会談で確かに支持率を上げた。しかし同時に大きな不発弾を抱え込んでしまったのだ。北朝鮮以上に誤算したのは外務省である。外務省は北朝鮮に対する基本政策も出せないまま、拉致事件の後片付けに奔走することになる。
先制攻撃辞さぬ 米新戦略を発表。 イラク攻撃 米地上戦を視野 国防長官「空爆は不十分」 (朝日 9月21日 朝刊) [要約]ブッシュ政権は大量破壊兵器を持つ敵に対し、先制単独攻撃も辞さない新戦略を発表した。そのため米国は、圧倒的優勢な軍事力を堅持し、米国の脅威を排除する積極的な姿勢を鮮明にした。またラムズフェルド国防長官は19日、上院軍事委員会で証言し、「イラクの大量破壊兵器の全容を解明し、破壊するために地上軍の投入が必要」と語った。その際、ジョンズ・ポプキンス大学が行なった化学兵器攻撃のシミュレーションを紹介し、テロ組織が全米3箇所で天然痘ウイルスをばらまいた場合、2ヶ月以内に100万人が死亡、200万人が感染するという。イラク側の脅威は「待てば待つほど(生物・化学兵器)開発能力は高まる」との考えを示した。

[コメント]今のアメリカにはイラク攻撃しか頭にないが、この論理を北朝鮮にあてはめると、そのまま適応対象国になってします。米軍が駐留する朝鮮半島で、唯一、敵対的な勢力として北朝鮮軍が存在しているからである。そこで米国からの攻撃をかわすために、北朝鮮は日本と一時的に関係を改善し、それで体制の延命を図っているとはミエミエだ。アメリカ人の感情として、イラク問題が片付けば、次は北朝鮮に向かってくることも確実である。アメリカが北朝鮮の体制存続を容認する発言も、イラク攻撃が片付くまでの一時的な対応にすぎない。ところでイラク攻撃に地上軍を展開する発言だが、確かに空爆では地下施設や市街地の貯蔵施設を完全に破壊できないが、アフガン戦争では登場する機会がなかった戦車部隊など地上軍に、活躍(予算獲得のため)の機会を与えることも重要な要素である。しかし地上軍派遣となると、アフガン戦争とか比較できないほどの不安定な要素が生まれてくる。イラク軍が市民を米軍の前に並べる人間の楯を使った場合、市街戦になって戦線が入り乱れて航空攻撃が出来な場合、生物・化学兵器の貯蔵施設を攻撃して大規模な汚染が起きた場合、そのような想定にどのように対処するか、それを考えていくと大規模な兵力投入の道に向かってしまうことになる。地上軍の規模をどの程度に見積もっているのか。私としては、最終的に20万人を越える地上兵力(空・海を除く)がイラク国内に進攻すると想定している。
非武装地帯で地雷除去開始 南北連結に地雷用済み (読売 9月20日 朝刊) [要約]韓国と北朝鮮を結ぶ鉄道と道路再開のために、非武装地帯にある地雷を除去する作業が韓国側2ヶ所で始まった。北朝鮮側でも同時に始まったとみられる。ソウル近郊の京義線・都羅山駅から500メートル北上した地点では、軍事境界線までの幅200メートル、長さ1.8キロメートルに埋まる千数百個の対人、対戦車地雷を10月末までに撤去する予定。

[コメント]かつて京義線はソウル侵攻の主要交通ルートだった。そのルートに埋められた地雷が除去される。この光景だけでも、かつて南北の軍事緊張を知る者には感無量のものがある。やがてこの新しい道を通って、多くの人や品物が行き交うことになるだろう。また京義線の中国国境にある新義州に、北朝鮮では始めての「特別行政区」を設けることが決まった。(読売) 新義州ではかつて(90年代)食糧配給(遅配)で暴動が起き、多くの人が殺されたという情報があった。もはや北朝鮮は後戻りできない。ちょうど幕末に横浜を開港し、西洋の風を日本に入れた状況に似ている。朝鮮半島情勢は激動し始めたと判断していい。写真は韓国軍が地雷除去のために非武装地帯に入れる地雷処理車。操縦は危険地帯にはいると、車外でリモコン(手前の兵士)で行なう。作業中に対戦車地雷が爆発すると、前部の凸凹した部分が激しく破損したり変形することもある。そのため簡単に交換できるように組み込まれている。
イラク査察問題 国連安保理内が再び対立 ロシア「新たな決議不要」 (朝日 9月19日 朝刊) [要約]イラクの国連査察無条件受け入れ表明で、国連の安保理内で再び意見の対立が鮮明になった。あくまで米国は「新たな決議案の採択」を求めているのに対し、ロシアは「新たな決議は不要」といい、すでにある決議で査察は可能と主張した。米国は新決議案が採択されるまで、査察団のイラク入りを許さない強硬手段にでる可能性がある。また米国は今週末までに、新採決案を安保理の各国に提示する予定だ。

[コメント]アメリカが欲しがっているのは、期限を決めて、国連査察を確実に行なうための決議案である。それに来月初めには米議会で、対イラク軍事攻撃承認が上院・下院で採決される予定になっている。その二つを合わせると、ブッシュ政権はイラクへの査察を、なんとしても武力(強制)査察で行ないたいことがわかる。しかしそれではフセイン政権は持たないとロシアは反対している。ロシアの主張は、危険なのは大量破壊兵器であって、フセイン体制の壊滅まで求めるなと考えている。ロシアの目的はイラクをはじめ、中東諸国で影響力の強化ををはかることだ。。
 国家が戦争を始めるためには、何よりも開戦の大義と勢いが必要である。湾岸戦争と違う点はこれである。イラクの査察妨害や査察無視を、アメリカが開戦の大義にするには無理ある。だが武力査察であれば開戦の大義はいらない。正義の主張でことたりる。しかしイラクのフセイン政権が倒れ、イラクに米軍に守られた親米的な政権が誕生することは同じである。ブッシュ政権にとって最も恐いのは、ズルズルと引き伸ばされて、攻撃開始の時期を失うことだ。いまのスケジュールで進めば、イラクとアメリカの軍事関係は来年の年明けに最高度に達する。それを逃せば、二年後の大統領選挙で敗北が待っている。
猛批判 たじろぐ官邸 「成功」居直る外務省 (読売 9月18日 夕刊) [要約]17日、平壌から帰国した小泉首相は、出迎えの福田官房長官に険しい表情を崩さなかった。18日になると官邸には抗議の電話が殺到しているという。外務省は幹部会で田中アジア太平洋州局長が日朝首脳会談は成功だったと報告した。小泉首相は会談の際、昼食に用意した弁当を、拉致者死亡のショックで手をつけなかったことがわかった。

[コメント]特に若い人に知って欲しいことは、今回の会談の主導権は完全に北朝鮮が握ったと言うことを知ることだ。これは事前に、北朝鮮で計算されたシナリオ通りに進められた。まず会談直前に拉致者のリストを手渡す。当然ながら、死亡者数の多さに日本側はショックを受ける。そこで午前中はまず日本側の抗議を受ける。それから昼食で中断する。昼食中に日本側が考える対抗策を考える。最悪の場合、日本は金正日総書記の謝罪がなければ会談中止をするだろうと想定する。そこで午後からは、金正日総書記自身が、拉致は自分が知らないところで行なわれた。関係者はすでに処罰した。このようなことは二度と起こさないと、日本に謝罪するというシナリオを作ったのである。これで完全に会談の主導権は北朝鮮が握ったのだ。小泉首相は弁当も食べれないほどショックを受けた。それからのミサイル発射凍結、不審船の活動停止など、日本側は中身が腐った天ぷらを食わされたのである。午後からの会談では、拉致者死亡の多さに日本側は動転していたに違いない。このように重要な会談や戦闘では、主導権を握るということがいかに大事で、そのことで勝敗の大部分が決まってしまうことを、この機会に覚えておいて欲しい。戦いの主導権を握れば、自分の都合に場所や時間に敵を導いて戦闘ができるのである。これほど有利なことはない。だから外務省が自画自賛しても、今回の首脳交渉は日本の負けである。会談の主導権を握るためなら、拉致者を殺してでも自己のシナリオを完璧にする国なのである。外務省は北朝鮮に首脳会談の主導権を奪われたことさえわかっていないだろう。
金総書記が謝罪 日朝国交交渉、来月再開 (各紙 9月18日 朝刊) [要約]小泉首相との日朝首脳会談で、金正日総書記は拉致事件に関し、「特殊機関の一部が日本語の教育や、日本人になりすます(戸籍奪取)ために行なった」と語った。不審船についても、軍の一部が自発的訓練で行なったことで、今後は中止させると謝罪した。また自分はそのことを知らなかったとも語った。ミサイル発射実験の凍結も延長すると発言し、それを受けて、小泉首相は来月より、日朝交渉を再開することを合意した。

[コメント]今回の会談合意を、小泉首相の成果として見ていいのかという点である。私はかねてよりテポドンは程度の低いミサイルで、開発をほのめかし、それを中止させることで見返りを狙うものと分析し、前前からそのことを話してきた。(核開発疑惑と同一ケース) 不審船に関しても、あんな小型の武装船は日本が拿捕(攻撃)しようと思えば、いつでも簡単に撃退できる程度の船と言ってきた。今回の会談は、それを止めるから、経済援助をくれとはなんとも勝手なものである。今回の日朝首脳会談は、日本に対しては経済援助、アメリカに対してはミサイルの発射実験や核開発の停止により、政権延命の保障と言うように、二股をかけていたようだ。しかし北朝鮮が当面する本当の問題はこれからだ。日本はこれからは拉致不明者の原因究明を強く求めることになる。本当に金正日総書記は知らなかったのかという点も重要である。アメリカは核査察や通常兵力の削減をより強硬に求めるだろう。韓国は鉄路開通など開放政策をさらに強く求めてくる。昨日の金正日謝罪で、北朝鮮という堤防に小さな穴が開いたことになる。その堤防は意外にも脆く崩れかかっていることがわかった。これから次々と穴が広がり、堤防から水がどんどんしみ出してくるようになるだろう。その最初の一穴を成功と呼ぶか、あるいは失敗と呼ぶかの違いである。
拉致不明者 4人(5人)生存 6人(8人)死亡 (9月17日 夕刻) (数人 )は後に訂正。 [コメント]最悪の結果である。6名死亡という報道を聞いた時、極悪な環境の政治犯収容所を連想した。もはや、北朝鮮が国際的に受けるダメージは計り知れない。これで現体制の崩壊は大きく進んだ。次の注目点は、中国の反応である。北朝鮮の最大の後援国である中国が、この拉致問題のニュースを国内にどのように伝えるか。北朝鮮からの亡命者を多数抱える中国にとって、これ以上に北朝鮮を支え続けられるのか。北朝鮮の目論みは裏目に出た。北朝鮮の金正日政権にとって、もはや自滅以外の選択肢はないようである。日本人にとって韓国の太陽政策に協調する気はなくなった。独裁者よ去れ。(18時27分)
北朝鮮、化学兵器4500トン、生物兵器1トン、年間生産能力 韓国国防省が公表(読売 9月17日 朝刊)  [要約]韓国国防省は最大野党のハンナラ党の代表に、北朝鮮の生物・化学兵器に関する情報を伝えた。それによれば、北朝鮮が保有する神経、窒素ガスなどの化学兵器は17種類、2500〜5000トン。毒性の強い細菌などの生物兵器は13種類に上ると推定している。年間生産能力は、化学兵器が4500トン、生物兵器が1トンと公表した。

[コメント]小泉訪朝の前日に公表したのは、韓国・国防省が安易に北朝鮮に対して経済援助などの約束をしないように牽制したのだろう。北朝鮮がこの程度の大量破壊兵器を保有していることは今までの情報と大差ない。しかし最近になって様子が変わってきたことがある。それは北朝鮮の戦車、装甲車、航空機などが、老朽化(故障)して使いないとか、燃料の不足で動かなくなると、大量破壊兵器に依存する体質が強まったことである。もし韓国や米軍が北に攻め込めば、これらの大量破壊兵器で対抗するしかなく、そのような訓練を増やしていることである。逆に攻勢時に使うことは、下段の書いた理由で使えないと考えるのが常識である。それからブッシュ大統領の最近の演説を聞いていると、大量破壊兵器の脅威と戦うと言い出したことである。イラクの脅威ではなく、あくまで大量破壊兵器の脅威である。北朝鮮の化学・生物兵器はブッシュ大統領のターゲットになった。北朝鮮の体制にとって、残された時間はわずかである。
小泉首相 日朝首脳会談に出発 (NHKニュース 9月17日)  [コメント]今朝、6時46分に小泉首相をのせた政府専用機が平壌に向けて羽田を離陸した。日帰りの予定で、北朝鮮の金正日総書記と首脳会談が行なわれる。本日の朝刊やテレビのニュースを見ていると、日本では拉致問題の解決が首脳会談の最大テーマになった感がする。不審船問題、弾道ミサイル開発・輸出問題、大量破壊兵器問題、核兵器開発など、北朝鮮をめぐる軍事問題は影が薄くなったようだ。しかし、これでいいのである。北朝鮮が日本に軍事威嚇を加え、それで何かを得ようとするからだ。北朝鮮の軍事力など、もはや恐れるにあたらない。でも大量破壊兵器だけは恐そうだと思う人がいるかもしれない。湾岸戦争のとき、イラク軍は化学兵器をミサイルの弾頭に装填して攻撃する姿勢を見せた。しかしアメリカ軍から深刻な報復攻撃を告げられると、この攻撃を思いとどまっている。ヒットラーもノルマンジー上陸作戦のときは、すでにサリンを完成していた。もし航空機でノルマンジー海岸にサリンを散布すれば、連合軍に大変な被害者が発生しただろう。しかし報復の恐さから使用できなかった。ベルリン攻防戦でも使えなかった。軍事力には、単に戦闘で対抗するという概念のほかに、報復力という概念もある。イラク軍がイラン兵やクルド人に使ったのは、相手が圧倒的な報復力を持っていなかったからだ。その意味では、大量破壊兵器は弱い相手に対して使われる。だから日本が北朝鮮の大量破壊兵器を不必要に恐れることはない。仮に北朝鮮が日本に化学兵器を使用すれば、アメリカ軍は直ちに現体制が消え去るまで猛烈な報復攻撃を行なうだろう。それは日米安保条約の取り決めというより、日本が報復のために憲法改正を行い、再び軍事大国になることを阻止するためである。
イラク・アジズ副首相 「無条件査察を改めて拒否」 米パウエル国務長官は国連で、「多国籍軍の創設を示唆」(朝日 9月14日 朝刊) [要約]イラクのアジズ副首相はアラブ首長国連邦の衛星テレビのインタビューに答え、「無条件査察を受け入れても、問題解決にはならない」と答え、拒否する考えを示した。アメリカの攻撃は不可避として、国民に徹底抗戦の準備を急ぐように訴えた。イラクは査察受け入れに、制裁解除の見返りを求めている。また国連でパウエル米国務長官は、安保理が査察を強制的に行なえるように措置をとることを述べた。そのため、安保理が多国籍軍を創設した上で、「強制査察」に踏み切ることを示唆した。しかしアメリカ国内には、「フセイン体制崩壊後に不安がある」(ダッシュル上院民主党院内総務)という意見もある。

[コメント]大量破壊兵器を持った(疑い)国に、安保理が決議すれば、武力(強制)査察が行なえるというのは、国連に新たな任務を加えることである。しかしそれなら、インドやパキスタン、それに北朝鮮やイスラエルはどうなるという話になる。また生物・化学兵器だけなら、リビアやシリアなどいくつかの国が疑惑国として国連に報告されている。そもそも大量破壊兵器・保持は大国だけに許された許された既得権なのか。アメリカの「イラク強制査察論」論を議論すれば、いくつかの矛盾点が浮かび上がってくる。今の段階でイラクが強い姿勢に出ているのは、このようなアメリカの論理が国際的に認知されないという読みがあるのだろう。そこで問題になるのは中国の対応である。常任安保理国として、これから中国の対応が注目されることになる。英、仏、露、は米国に賛同する可能性が高い。もし中国がフセイン体制を見限り、フセイン後の親米イラク政権に期待するなら、イラク攻撃は即座にGOとなる。しかし中国が反対の姿勢をとれば、仏、露もイラク攻撃には慎重になるはずだ。アメリカと中国の関係悪化は避けれない。そこでアメリカとしては、これから中国説得に力を入れるだろう。しかし中国は間もなく世代交代の時期に入る。
ブッシュ国連演説 「イラク攻撃示唆」 しばらくは国連と協調を表明 査察再開要求 (各紙 9月13日 朝刊)  [要約]ブッシュ大統領は国連総会で演説し、イラクのフセイン政権が国連決議を無視し、大量破壊兵器の製造・貯蔵や、人権を弾圧する独裁体制であると述べ、国連の査察を即時再開し、大量破壊兵器の無条件破棄を求めた。また、そのためにアメリカは国連安保理と協調して対応していくとした。しかし単独でもイラクを軍事攻撃する可能性を否定しなかった。これでイラク問題は国連の安保理を軸に動き出すことになる。また注目の武力(強制)査察については言明しなかった。これは英国のブレア首相が国連演説で提案するようである。

[コメント]想像していたより、イラク攻撃に関しては表現が押さえ気味であった。またイラクに対する査察再開の期限も切らなかったので、最後通牒のような性格を帯びなかった。やはり同盟(友好)国やアラブ周辺諸国の強い懸念(イラク攻撃)を配慮しないわけにはいかなかったようだ。しかしブッシュ政権がイラク攻撃で苦境に追いつめられると、逆にイラクのフセイン体制に対する国際世論の危険視が高まってきたように感じる。アメリカがイラクを攻撃しなければ、フセイン体制はこのまま存続して大丈夫なのかという感情である。アメリカが軍事超大国として、自由勝手にイラクを攻撃するのは認められないが、フセインがイラクで行なっている危険な政治も許せないという感情である。私はこの気持ちこそが、正常な人間の感覚であり、交際世論に強い影響を与えることができるものと信じている。だから今後、国連安保理でイラクの大量破壊兵器に対する議論は重要である。その間にも、米軍は中東を管轄する中央軍に対し、司令部要員の600人を演習名目でカタールに派遣し、イラク開戦の際には現地司令部を開設できるようにする。今のところ、米英のフセイン政権崩壊作戦は、国連安保理で武力査察の議決を目指しつつ、その背後でイラクの周辺国に米英軍を集めて軍事威圧を加え、武力査察をイラクに応じさせることのようだ。もしイラクが武力査察に応じれば、ただちにイラク周辺に展開した米英軍がイラク国内に展開できる配備をとる。武力査察を拒否すれば、国連安保理の攻撃容認のお墨付きと、さらなる同盟軍の参戦を得て、イラク攻撃を開始することになる。またイラクとしては、二年後の次の米大統領選挙までイラク攻撃を引き伸ばし、ブッシュ政権に変わる新政権誕生に期待をかけてくるだろう。これが昨日のブッシュ国連演説でより鮮明に見えてきたことである。ともあれ、これより米英軍の中東移駐は活発化し、イラクとの軍事的な緊張が高まることは間違いない。写真は国連総会で演説するブッシュ大統領。
仏、イラク査察を新提案 期限切り「最後通帳」 拒否なら軍事行動決議 (サンケイ 9月12日 朝刊) [要約]フランスのドビルパン外相は、12日の国連演説で、イラクに対し国連の査察を受け入れるように「最後通牒」を行い、拒否すれば「国連安保理で軍事行動を決議」する打開策を提案する見通しだ。まず国連が3週間の期限を切ってイラクに査察要求を行なう。もしイラクが査察を拒否すれば、これによって米国のイラク攻撃が国連決議というお墨付きを得ることができる。フランスは国連(安保理)で軍事行動が決議されれば、フランス軍を参戦させると強調している。

[コメント]この提案には裏がある。イラクが国連の査察(今は中断)を再び受け入れても、前のように査察を意図的に遅らせたり、直前に対象施設から物資の持ち出しを行なっては意味がない。再び査察活動が中断するだけである。そこで最近のアメリカは武力査察を要求に付け加えている。おそらくブッシュ演説は、この武力査察を強調するだろう。もしイラクが意図的に査察を妨害したり、遅らせた場合、イラク国内に駐留する米英軍が強制的に査察を支援できるというものである。このアメリカ案とフランス案は似ているように見えて、実は全く異質のものである。イラクが武力査察に応じれば、イラク国内に米英軍が駐留することになる。それこそフセイン体制は一気に最大の危機を招く。アメリカはフランス案を時間稼ぎとしか思わないだろう。とにかく12日(現地時間)に行なわれる、国連でのブッシュ演説に注目したい。
長期化する米軍のアフガン駐留 対テロから治安維持に役割変更 兵士らに不満募る (朝日 9月12日 朝刊) [要約]対アルカイダ戦争を戦った米軍だが、最近はアルカイダ勢力との交戦はほとんどなく、捜索活動が重点となっている。しかしアフガンの治安が安定しないので、米軍駐留の長期化が言われ始めてきた。アフガン安定には国軍の育成が絶対に必要で、そのために米軍特殊部隊が国軍兵士の訓練を開始した。また地域の病院や学校の再建、発電所や道路の整備などの活動も強化し、地域に貢献する「民生部」を作って対応を始めた。しかし米軍の兵舎建設などは行なわれず、全員が10人一組のテント生活で、トイレも建設現場などにある仮設式。兵士にストレスや不満が高まっている。

[コメント]アフガンにいる米兵の平均年齢は22歳で、女性兵士も1割を占めている。任期は原則6ヶ月(空軍3ヶ月)で、現地の兵士はふた回り目に当たっている。(朝日) 主な捜索方法は現地からの情報を元に、夜間に米軍兵士を捜索対象の村近くにヘリで空輸し、夜間暗視装置を使って徒歩で対象の家や施設に接近する。そして対象の周辺を囲み、逃亡を防ぐ処置をとって、突入班が家の中に突入する。その際、大きな爆発音で、家の中の者(就寝中)に心理的な圧迫をして突入する方法をとる。制圧後、簡単な容疑者の尋問を行い、基地に連行してくるのである。しかし元もとのタレコミ情報が信頼できない。中には無関係の者を連行してくることもある。といって情報を無視することもできない。さらに待ち伏せされたり、地雷や不発弾の恐怖が兵士を苦しめる。何だか、昔のベトナム戦争に様相が似てきた。非対称戦(ゲリラ戦)とはこのようなものである。 
奄美沖・不審船引き揚げ  国籍・目的の解明に(毎日 9月11日 夕刊) [要約]奄美大島沖の東シナ海に沈没した不審船の引き揚げが行なわれ、本日午後、90メートルの海底からクレーンで引きあげられ、作業船の海水プールに入れられた。八ヵ月ぶりに海面に現した不審船は、船底に4つのスクリューが並び、後部に観音開きの扉がついており、中国の船名が書かれていた。すでに海底から回収された武器や、乗組員が持っていた菓子の袋から、北朝鮮を示すものが見つかっている。海保はこれから危険物の点検を行なって、国籍や目的の調査に入る。

[コメント]海面から引き揚げられたとき、最初に気になったのは船底の具合だった。自爆のため、どれほど大きな穴が開いているか気になっていた。しかし船底は破損していなかった。そのかわり、船橋部分は完全に吹き飛んでいた。ということは、自爆は自沈のためではなく、航海計器(GPSや無線機など)や装備・搭載品を爆破処分するために、自爆したことが考えられる。その爆風で、後部の隔壁と観音開きのドアが損傷し、そこから海水が浸水して沈んだようだ。よって、搭載してあったGPSの航跡データから、今までの行動を知ることは難しくなった。不審船は相手の海岸ギリギリで行動する。もし座礁すれば、船底を爆破して海水を入れても沈没しない。それより、航海計器や通信機などや、潜水艇などを処分することが重要である。それを考えれば、船橋の爆破は納得できる爆砕処理である。さてこの時期の引き揚げだが、日本政府としては小泉訪朝時に、不審船カードを切りたいと思っているかもしれない。しかし9月4日の不審船騒動で、北朝鮮は完全に居直りを決めている。これからは国籍を掲示し、船名や母港を書いて不審船の活動を行うと宣言した。それがイヤなら、日本政府に不審船活動停止の補償金を持ってこいという意味である。そのあたりの軍事常識を考えて、北朝鮮に不審船カードを切らないと、逆に居直られてバカを見ることになる。そのいい例が、核開発をほのめかして、軽水炉原子炉発電とその完成までのエネルギー補償を決めたKEDOである。写真(上)は毎日新聞の夕刊(9/11)に掲載された不審船。船底が破壊されていないのと、後部の観音開きの扉が破損していることに気がつく。海水は後部の扉から浸水したようだ。図(下)は海上保安庁が公開した後部に搭載してある小型舟艇の図。前部は暗くて見えないとしているが、証拠隠滅のため爆破されている可能性がある。その爆発で隔壁が破れ。海水が船内に浸水し、それで沈没した可能性が高い。自爆の再、2度の爆発が確認され、その数分後に沈没している。
同時多発テロから1年目 世界の動き (各紙 9月11日 朝刊) [要約]衝撃的だった同時多発テロから1年が経過した。本日、ニューヨークや世界各地で犠牲者の追悼行事が行なわれるが、新聞各紙では、同時多発テロに関連した軍事的な動きも報道されている。「ビンラデン氏はアフガン南西部の険しい山岳地帯に潜伏している(パキスタン軍情報部筋)」(毎日新聞)。「アルカイダ活発化の兆し。大量資金が金に変えられ、アフガンからスーダンへ運び込まれた。テロネットワークの実態把握は困難のため、封じ込め手段は見出せない」(サンケイ新聞)。「明日のブッシュ国連演説、対テロ消えイラク一色。イラク攻撃の理由でアルカイダとの関係を証明できず」(朝日新聞)。「米軍、アルカイダ掃討作戦(チャンピオン・ストライク)に第82空挺部隊を中心に数百人を投入。カンダハルの北東パクティァ州のシキン近くの山岳地帯で交戦。アルカイダ残存兵力のせん滅と逃亡ルートの切断」(読売新聞)。この他、テロ情報でインドネシア、マレーシアの米大使館が一時閉鎖したことなどを報じている。

[コメント]この1年間で、軍事をめぐる世界の動きは一変した。アメリカはアフガンでのアルカイダ壊滅作戦のほとんどを終了したが、親米・新政権のカルザイ政権は不安定さを増している。その上、アメリカが次の大規模テロを受けることを、米国民の多くが予感していいる。そんな中、アメリカの次の標的になったフセイン政権打倒への軍事行動が始まろうとしている。しかしフセイン後を担う現実的な中東構想が見えてこない。イラク戦争によってもたらされる混乱だけである。世界はあふれる戦争とテロの予感に満ちている。そんな息苦しさを強く感じる9・11となった。
 昨日、映画「宣戦布告」の試写を見た。テーマは有事法制の必要性だが、その戦争ストーリーを越えて現実は進んでいる。北朝鮮の武装工作員数名が、わけもなく、山に立てこもったぐらいの想定では、日本の政治も軍事も不審船を撃沈するより簡単にせん滅するだろう。日本はアメリカの同時多発テロを経験して、テロ集団が国内に潜入すれば、もはや軍事力行使にためらいはない。日本でも非常事態意識は、従来の有事法制の概念さえも変えている。だから映画で描かれている有事法制の議論が、あまりにも古くて滑稽である。しかしそれは原作者や映画製作者のせいではない。現実の世界が同時多発テロを経験し、予想をはるかに越えて劇変したからだ。
 同時多発テロから1年が経過して、日本ではなにが変わって、新しく何が生まれたのか。今日一日は静かにその検証を考えてみたい。写真は本日の読売新聞に掲載されたカブールに近いバグラム空軍基地の米兵たち。10日撮影。(田中秀敏氏・撮影)
核兵器 「イラク、生産は可能」 英戦略研究所 (毎日 9月10日 朝刊) [要約]英国の国際戦略研究所(IISS)は、9日、イラクのイラクの大量破壊兵器開発の現状に関する報告書を公表した。フセイン政権は兵器用核物質を製造する能力を持たないが、同物質を国外から入手すれば、数ヶ月で核兵器を生産することができる。ただし湾岸戦争で核施設が破壊されたので、外国の十分な援助があっても、核物質の国内製造には数年が必要と評価した。生物兵器では、国連査察中断後だけでも、炭そ菌やボツリヌス菌などが数千リットルが製造された可能性があると書かれている。(以上、毎日) チェイニ副大統領は8日のテレビ出演で、フセイン大統領が過去20年間にわたり、核兵器開発を行なっており、プルトニュームなど核兵器の原料を入手しようとしていたと話した。また過去12〜14ヶ月の間に、ウラン濃縮に必要なアルミニューム管を入手しょうとしたが、米国がこれを阻止したと語った。(以上、サンケイ)

[コメント]数日前から、ブッシュ政権の高官たちは、いっせいにイラクの核兵器開発の危険を語り始めた。どうやらアメリカはイラク攻撃の第一目的を、イラクの核兵器開発阻止と決めたようである。イラクが核兵器開発を行なっていたのは事実だし、イラン・イラク戦争や反政府勢力のクルド族にも化学兵器を使用したのは有名な話だ。それにフセイン大統領が大量破壊兵器に異常な執念があることは間違いない。やはりブッシュ政権は、イラクの核開発など大量破壊兵器疑惑を、国連の査察再開で無力化したいのだ。そのために国連の了解を得て、米英軍の軍事力も行使できる武装査察を行なうつもりだ。(8日 英の主要各紙報道) これなら国連・安保理の同意や、同盟国の支持、イラク周辺国の了解が得やすいと判断したのだろう。やっとイラク攻撃の実像が見えてきた。また、武装査察に必要な地上軍投入で、フセイン体制は崩壊できると判断したようだ。とにかく12日の国連演説ですべてが明らかになる。ついに米国旗ではなく、国連旗が錦の御旗になる日がくるのだろうか。
ドイツ紙報道 イラク1年以内に原爆製造 (サンケイ 9月8日 朝刊) [要約]ドイツの有力紙ウェルト紙は、8日、ラムズフェルド米国防長官が米国の特定の上下院銀員に対し、イラクが1年以内に広島型原爆の製造に成功するだろうと話したと報じた。その情報によれば、フセイン大統領の命令で旧ソ連や北朝鮮出身の科学者が原爆製造にあたっているという。また生物・化学兵器に関しては、3万リットルのボツリヌス菌、6トンのVX神経ガス、6千リットルの炭ソ菌を所有し、中国製のミサイルやイラク軍が保有する航空機で、クエートやイスラエルに駐留する米軍に先制攻撃を加える可能性があるという機密情報を伝えた。

[コメント]この情報の信憑性がどの程度のものか不明だが、イラク攻撃に反対を表明しているドイツ政府に対して、アメリカは8月初旬に特使(大使?)から不満(失望感)を表明している。また同時多発テロ後の米国政府内では、同盟国に対しても謀略情報を意図的に流す世論操作機関が創立された。そのような事情を考えると、この情報の信憑性は50パーセント以下と見るのが普通である。しかしたとえウソであっても、アメリカ政府がイラク攻撃の目的(正当化)をどこに置いているかを知ることができる情報である。イラクの生物・化学兵器が、突然、米軍の上に降り注ぎ、先制攻撃される悪夢に怯えているのだ。かつてソ連軍の核ミサイルが発射され、アメリカの頭上に降り注ぎ、先制核攻撃されることに怯えたのと同じである。軍事力が世界最強であるから、そのような先制攻撃の恐怖にいつも震え、その恐怖ゆえに過剰に反応するジレンマに陥っている。そのような感覚(危機感)を同盟国にも求める(共有する)ことが可能なのか。私は極めて難しいと思う。アメリカのアフガン戦争とその後の動きを見ていると、まるで騎兵隊がインデアン居留区に突撃ラッパを吹きながら突っ込んでいくのと同じである。新たな支配地区に騎兵隊の砦を築き、毎日、騎兵隊が周囲をパトロールして支配を拡大していく。それと同じような気がする。むしろ今のアフガン再建に参考になるのは、日本の明治維新だと考えている。江戸幕府の幕藩体制が崩壊し、明治政府という中央政権が出来上がっていった過程ではないか。各地の旧体制の抵抗勢力を制圧しつつ、藩閥に関係のない帝大や士官学校を作り、行政組織を固めていった明治維新の歴史である。日本はそんな援助をアフガンに行なうことを提案する。カブールに部族主義から脱した国家のエリートを育てる大学を再建するのだ。
旧日本軍化学兵器 回収作業始まる。中国・黒龍江省 (読売 9月7日 朝刊) [要約]中国・黒龍江省の孫呉県で、日中共同の旧日本軍の化学兵器発掘・回収作業が始まった。日本側の推定では、約70万発と予測される中国の遺棄化学砲弾の処理には、今後10年以上かかると思われている。孫呉での作業には、日本側から自衛官6人を含む33人、中国側から人民解放軍兵士ら175人が参加する見通し。発掘や回収には爆発や汚染の危険が予測され、防毒衣や防毒マスクをつけた過酷な状況下で作業が行なわれる。

[コメント]新たに制定された化学兵器禁止条約で、化学兵器を外国に遺棄した国は、その国が責任を持って回収・撤去させる義務項目が加わった。このために日本では自衛隊員を含む作業班が中国で活動している。しかし最大の埋設場所である吉林省ハルパ嶺(推定67万発)にはまだ作業の目処がついていない。今はハルパ嶺の本格作業にむけて、そのための練習段階である。ハルパ嶺の埋設地は広い湿地帯の中にあった。夏は湿地のために交通が難しい。また冬は零下30度にも達する極寒地帯である。2月に訪れた時、バッグの中のペットボトルの水が固く凍りつき、焚き火の中にペットボトルのまま投げ込んで、火の熱で解けた水を飲んだ思い出がある。(ペットボトル本体は火で溶けない)。近くの敦化市には車で片道3時間ぐらいかかった。またハルパ嶺一帯は朝鮮族が多く住む地域である。とても10年程度で終わるような回収作業ではない。回収資金も1兆円を越えると予測している。ここでの作業には、専用の宿舎や作業場を建設する必要がある。写真は孫呉で回収作業の砲弾鑑定スタッフ。
米、対イラク攻撃作戦着々 年明けにも決断 武力行使「正当化」さぐる (読売 9月7日 朝刊) [要約]フセイン打倒を目指してアメリカ軍が本格的に動き出した。アメリカではイラク攻撃開始の時期を年明け以降という見方が強まっている。そのための米議会での攻撃承認決議や、欧州同盟国などへの説得を強め、イラク周辺国に支持を説得する工作が強化されるだろう。その一方で、米海軍では東海岸南部の基地から、戦車、重火器を湾岸地域に搬送する作戦が始まった。9月下旬に搬送されるものには、M1戦車、ブラッドリー戦闘装甲車など67台が含まれている。目的は数ヶ月にわたって行なわれるヨルダン、クエートとの合同演習のためと説明されているが、この1ヶ月に米海軍が湾岸地域に戦車など重装備を搬送するのは3回目。またホワイト陸軍長官は重火器や補給物資の一部をすでにカタールからクエートに移送したことを明らかにした。このような動きは、イラク攻撃を誇示しながら、イラクへの「無条件全面査察」を受け入れさせる威嚇戦術(心理戦)の側面もあるようだ。(読売新聞 林路郎・特派員の報告)

[コメント]昨日行なわれたブッシュ大統領と、露、仏、英、加、4カ国と電話による首脳との話し合いでは、プーチン大統領(露)、シラク大統領(仏)からイラク攻撃に反対を告げられたようだ。またアラブ連盟の外相会議でも、全会一致でアメリカのイラク攻撃反対が決議された。ブシュ大統領が主張するイラク攻撃は時間の経過と共に、ますます反対の意見が内外で高まってきている。そこで次の注目点は、国連で12日にブッシュ大統領が行なう予定の演説である。この9・11から1年目のこの演説で、ブッシュ大統領が「イラク攻撃の明白な証拠」(ラムズフェルド国防長官)を示さないなら、さらなる窮地に陥ることになる。とにかく今は、この演説の内容に注目したい。
カルザイ大統領 暗殺未遂事件 カブールで爆弾 15人死亡 150人以上負傷 (読売 9月6日 朝刊) [要約]弟の結婚式に出席するためカンダハルにいたカルザイ大統領が、軍服(政府軍)を着た男に銃撃される暗殺未遂事件が発生した。しかし警護をしていた米特殊部隊の兵士が犯人を含む3人を射殺し、カルザイ大統領は無事だった。この日、カブール市内の繁華街でも自動車に仕掛けられた爆弾が爆発し、15人が死亡し、150人以上が負傷するテロ事件が発生した。アブドラ外相、内務省のバシル・サランギ司令官(カブールの治安担当者)は、アルカイダが関与している可能性が高いと語った。

[コメント]昨日、ある新聞社のインタビューで、「9・11テロから1年目」でこれから起こるテロの可能性が高いもの予測していた。私がその真っ先に上げたのが、カルザイ・アフガン大統領の暗殺であった。その理由は、アメリカのアフガン支配の象徴的な人物で、大統領という立場上から大衆の前に姿を見せる機会が多く、事前に行動予定を掴みやすいからというものであった。もしカルザイ大統領がアルカイダに暗殺されれば、アメリカのアフガン戦争は何だったのかということになる。まさに、アメリカが描いたアフガン(中央アジアを含む)の未来が、根底から崩されたことになるからだ。アメリカのイラク攻撃などふっとんでしまう。今のアフガンに緊急に必要なのは、強力な国軍と警察力を作り上げることである。その武力を背景にして、各部族の武装を解除し、法を定めて、税を徴収することである。その強い国軍創立のために、地方軍閥の有力者の子弟をあつめ、カブールに士官学校をつくることである。いまのように、国軍兵士育成は街の失業者を安い資金で集め、それを部族色の濃いものに指揮させていたら百害あって一利なしである。新しく作る士官学校では、4年の就学期間中に1年程度の海外留学を義務付けるといい。自衛隊も富士学校(静岡県・陸自)に10人程度を受け入れるくらいの対応をしてもいいのでは。アフガンなどのNGO活動は非軍事的な視点で行なわれるが、このような軍事的な視点でのアフガン再建案も議論してもいいのではないか。今、アメリカがアフガンでやっていることは、かつての植民地政策というものではないか。本当の国作りにはなっていないと思う。昨日の暗殺者は一人だったが、もし周到に計画した5人の暗殺者が同時に襲撃したら、カルザイ大統領が生存できていたか危なかった。写真はカンダハルでカルザイ大統領を狙った暗殺事件で、犯人を探す警護担当の米軍特殊部隊の兵士。このような写真を撮られることが危険なのである。狙撃手なら瞬時にこの米兵を撃ち倒す。レンズは400ミリ程度の望遠か。
能登半島沖に不審船 政府「経済水域外」深追いするな (各紙 9月5日 朝刊) [要約]能登半島沖の日本海に、北朝鮮の不審船に酷似した国籍不明船が航行しているのを海自のP3Cが発見した。海上保安庁は「日本海中部海域不審船対策室」を設置、巡視船や高速特殊警備船など15隻を現場に向かわせた。海上自衛隊もP3Cのほかに護衛艦「あまぎり」を出動させた。不審船は日本の排他的経済水域(FEZ)には入っておらず、政府からは「深追いするな」という指示が出された。不審船はゆっくりしたスピード(時速10キロ程度)で西に向かって航行している。

[コメント]この不審船の最初の発見は、交信電波を傍受したことである。数日前から、北朝鮮の司令部と盛んに海上から無線交信を行い、自分の存在と位置を日本側に傍受させたからだ。不審船が無線交信で使う周波数や電波の形式は、すでに日本の情報機関は熟知している。それなのにわざわざ電波を出すことの意味は2つしかない。その一つは陽動作戦である。わざと自分に注意を集め、そのすきに別の場所で本作戦を実施するためだ。二つ目は示威のためである。相手が手を出せない公海上で行い、自分の存在や活動を認めさせ威嚇するためである。今回は明らかに2つめ(示威)の目的である。日朝・首脳会談で主導権をとるために、北朝鮮は不審船の存在と活動を日本に示威して見せた。日本が不審船問題を首脳会談の議題に上げ、北朝鮮の譲歩を求めてくるように仕掛けたのである。これも一種の挑発である。東シナ海で不審船が撃沈されても、北朝鮮の不審船は活動を停止したわけでないという態度を表明した。この程度の分析は軍事知識でも初級クラスである。だから日本政府が、「深追いをするな」と指示したことは正しい。またこれ以外の分析をした者は間違い。情勢分析官の採用テストなら×が与えられる。しかし、この程度で日本を挑発するなんてかわいいものである。
 そこで提案だが、小泉首相は金正日総書記との会談で、「ミサイル発射問題」と「不審船問題」を会談のテーマに上げないでもらいた。日本がとやかくいわなくても、弾道ミサイル(たとえ幼稚でも)を発射すればどのような結末を招くか、北朝鮮自身がよく知っているからだ。日本がお願いする問題ではない。また日本には、北朝鮮の弾道ミサイルの攻撃に対して、数千倍の報復を行なう軍事力とそれをバックアップする外交力がある。不審船も北朝鮮に活動を止めてくださいとお願いしなくていい問題だ。不審船が日本の法を破れば拿捕して取り調べるし、拿捕に抵抗すれば撃沈するだけですむ。さらに不審船の背後に北朝鮮当局がいるとわかれば、援助や支援を中断するだけの話である。日本が北朝鮮にお金や食糧を与えて、問題を起こさないでくださいと嘆願する必要はない。すこしばかり極論だが、北朝鮮が日本に「どうか助けてください。我々はナニをすればいいのでしょうか」と言わせることが、首脳会談で主導権を握ることである。アメリカはそれでは困る、日本もミサイル問題で何か言ってくれというだろうが。写真はP3Cが撮影した不審船。漁具を積み、北朝鮮の漁港を船体に記入し、煙突に北朝鮮国旗を描いているが、後部に観音扉があるなど、形状は不審船に酷似している。これからは不審船と呼ばないで、偽装工作船とか、武装工作船と呼ぶほうが適当かもしれない。
対北朝鮮 「過去の清算」100億ドル超か (毎日 9月4日 朝刊) [要約]北朝鮮が日本に求めている植民地時代の「過去の清算」をめぐり、日本と北朝鮮にまったく違う認識がある。日本は北朝鮮(朝鮮半島)と戦争状態になかったとして、戦時賠償義務を一切認めていない。このため韓国とも65年の日韓国交正常化の時に、経済協力という名目で5億ドル(無償3億ドル、有償2億ドル)を支払っただけだった。しかし北朝鮮は600万人が強制連行され、100万人以上の犠牲者が出たとして、日本の予測を上回る要求額を提示する可能性がある。日本の政府内には「100億ドル超」と予測するものもいる。これに対して、米国は日本が支払った『過去の精算』が、北朝鮮の軍事費にまわされる可能性があると警戒している。

[コメント]為替レートの変化を考慮しても、日本が北朝鮮に支払う補償額は15億ドル程度となるだろう。しかし北朝鮮が要求する額は、金丸訪朝時で200億ドル程度という情報を聞いたことがある。それを半分に値切って100億ドル超という数字がでたのだろう。もし北朝鮮の体制が崩壊したら、新しい政権のもとで北朝鮮の再建に必要な緊急インフラ整備に、最低でも200億ドル程度はかかるという数字を聞いたことがある。(冷戦終結直後の試算)。だから日本が5年から10年間で、合計で半分の100億ドルの経済支援を行なって、それらのインフラ整備を行なうと思っていた。といっても、北朝鮮の現体制が崩壊し、民主的な政権が生まれたことを前提にし、国際的な支援が受けやすいことを考慮した試算である。韓国も北朝鮮が崩壊し、南北統一にかかる当初の経済負担を、200億ドルから300億ドルと試算しているはずである。(韓国のシンクタンク)。しかし一説には1000億ドルという数字もあると聞いた。このように、北朝鮮の現体制を維持させて、経済支援を行なうのか、それとも現体制崩壊後のインフラ整備を重点に支援を行なうのか。北朝鮮の現体制をどのように判断するかで、基本構想(補償額)はまったく違うものになる。またそれを日本が打ち出せないなら、北朝鮮との首脳会談はまだ時期尚早なのである。
訪朝に政治生命かける。首相の発言なかった。(読売 9月3日 夕刊) [要約]小泉首相が自民党の役員に、「訪朝に政治生命を賭ける」と発言したという問題で、記者団に説明した町村信孝幹事長代理が、自分の思い込みで話したのもので、実際はそのような発言をしなかったと福田官房長官が記者会見で語った。

[コメント]複数の新聞が報じていたので、そのような事実があったと思ったが、福田官房長が訂正したので、当ホームページもあの小泉首相の発言はなかったと訂正する。それにしても、あのような誤報が出ることも恥ずかしいことである。それにしても本日も政府首脳の発言に行き違いがあった。扇国土交通相は不審船の国籍を小泉首相の訪朝までに明らかにすると語っていたが、福田官房長官は国籍の確定は月末となり、訪朝までは無理だと話していた。これも扇国土交通相の思い込みで訂正するのだろうか。
イラク攻撃めぐり 米政権内対立露呈 国務長官・慎重 副大統領・強硬 (読売 9月3日 朝刊) [要約]パウエル国務長官は英BBC放送のインタビューで、「まず(国連のイラク)査察の結果を見るべき」と発言した。しかしチェイニ副大統領は先週の演説で、国連の査察に強い疑問を示し、イラクへの先制攻撃も辞さないと表明したばかり。このような意見の違いに、ブッシュ大統領は沈黙したままである。一方、ラムズフェルド国防長官は単独でも、イラク攻撃をすることの必要性を認める発言をしている。

[コメント]具体的なイラク攻撃の作戦となると、チェイニ副大統領は、まず心理的にイラクを追い詰めていき、フセイン体制を内部から崩壊させる強力な心理戦を行なう。その次の軍事行動では、特殊部隊と空爆部隊が主力になり、イラク軍の内部崩壊を誘導する作戦を行なうというものである。アメリカが強い姿勢にでれば、イラク軍やイラク国民がフセイン政権を倒してくれることを期待している。これに対してパウエル国務長官は、イラク攻撃には大規模な地上軍の投入が必要で、それによって都市などの攻防戦で多数の戦死者が出るという考えである。この二つの違いが、イラク攻撃をめぐって対立している。一説では、チェイニ副大統領は米国の軍事産業の代弁者で、大きな戦争に発展することを期待しているという意見もあるが、それはあまりにも勘ぐりすぎと思う。だが結果的には、パウエル長官がイラク攻撃への慎重論を述べれば、米国政府が1枚岩でないことを露呈させてしまい、そのことでチェイニ副大統領の強硬策は心理的な意味を失ってしまう。するとパウエル長官の意見が正当性を高めることになる。私はすでにアメリカは、イラク軍事攻撃ではない方法でフセイン排除を進めている気がする。もはやアメリカのイラク攻撃は無理である。そこでCIAなどの謀略機関が、フセイン暗殺やクーデターなどを工作するのではないか。正確にフセイン大統領が登場する場所と時間がわかれば、暗殺が可能な方法がないわけではない。写真の左がチェイニ副大統領、右がパウエル国務長官。チェイニ副大統領のこんな表情の写真を配信されるようでは、イラク攻撃が難しい局面にきたことをうかがわさせる。
長野知事選 田中氏が圧勝 82万票を獲得 再選決定 2位の長谷川氏に41万の大差(各紙 9月2日 朝刊)
[要約]県議会の不信任決議を受けた田中知事失職にともなう長野県知事選挙で、前知事の田中康夫氏が、県議会議員や市町村長が押す長谷川敬子氏を大差で破って当選した。県議会や国と田中氏が対立した「脱ダム宣言」が、県民の信認を受けた形になった。来年4月には県議選があり、田中氏側は候補者選びを開始している。

[コメント]田中氏とは文化放送(ラジオ)の番組「とことん好奇心」(今は終了)で何度か話しをしたことがある。この番組のコメンテーターは、すでに何人かがマスコミ出身の国家議員(特に女性)となっている。田中氏と他のコメンテーターの違いは、田中氏は「軍事をよく知らなくても、自分の主張を強く押し出すタイプ」の人だった。ともすれば、軍事問題がテーマになると、多くのコメンテーターは自分の軍事無知を隠すために、最初は威勢のいい話(理想論)をするが、私が「それはちょっと違います」と発言すると、すぐに沈黙する人が多かった。しかし田中氏は、それでも自説を曲げず、さらに議論を挑んでくるタイプの人である。だからそれをラジオで聞いていても、議論の展開が面白いのである。沈黙は無知を隠すことにならないことを田中氏は知っている。余談だが、人権派の遠藤弁護士(故人)は、どんなことを言っても強引に自説を展開する人だった。相手が自説に同意しようが反論しょうが無関係であった。それはそれで面白い。
 さて今回の長野知事選で、私がハッと気がついたことがある。それは従来の既成概念を破壊することは簡単だが、その上で、新しいものを作り出す作業はその何十倍も努力が必要であるということである。例えば、外務省は自主外交能力がない、道路公団は銭くい虫だ、政官の癒着が日本をだめにした、そのように批判すれば、国民受けして国選レベルでも当選する可能性はある。今までの日本の野党に、その程度の能力しか期待されてこなかった。しかしこれからはダメである。もし既成のものがダメなら、新しいものを作り出す能力が求められる。はっきりと国民に見える新しい形を、具体手に提示できない人はだめなのだ。
 たとえば軍事政策である。今の日本の軍事政策がだめな点を上げれば山ほどある。しかしだめだだめだというなら、新たな日本の軍事政策はどうあるべきなのか。その新国家戦略を立案し提示できる能力が求められている。もちろん薄っぺらなインチキ論や、手前勝手な論理や、国際常識として通用できない戦略は、日本破滅の道につながる危険がある。それが通用するほど国民やマスコミはバカではない。
 今朝のNHKニュースで田中氏はインタビューに答え面白いことを言っていた。これから県議会制度を改革して、夜間や土日に県議会を開催し、普通に働いている人が県政(県議員)に参加できるようにしたいと。土木建設会社の社長と、県議との兼業では「脱ダム」はできないという理由からだ。保母さん、看護婦さん、商店主、農業や林業の従事者、学校の先生、そんな普通の人が県政を動かすのである。
 今の国会議員(国防族)や防衛官僚で、兵器産業(防衛関連企業)からの資金援助や、天下り先などの援助を受けていない人はないだろう。まず、そのような政・官・産の癒着を断つことが、日本に健全な国防政策を提議する第一段階かもしれない。すくなくとも国民はそのことを期待していることを、長野知事選挙では見事に証明してみせた。そして日本が変わらなければいけないことも、ますます長期化する日本の経済悪化が国民に示している。