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タイトル メディア 日付 この情報の最も新しい更新日は7月31日です。
 ウズベキスタン 駐留米軍撤退を正式要求 (産経 7月31日 朝刊)

[概要]30日のワシントン・ポスト紙によると、ウズベキスタンは米国に対して180日以内の駐留米軍撤退を正式に要請した。背景には5月に起きたウズベク東部で起きた反政府政府の武力鎮圧を米国が強く批判していることの反発や、基地使用に伴う資金援助の拡大を狙う駆け引きがあるとみられている。(共同)

[コメント]これを読んで、ウズベクのカリモフ政権が本気で米軍撤退を考えているかという点が重要である。共同電が報じるように、「単に米軍基地使用料の値上げや、それを背景にした経済支援の拡大を狙う」と考えているかである。

 私はカリモフ大統領は本気で米軍撤退を考えていると思う。というのは独裁者というのは、その国で神の如く絶対の最高権力者である必要がある。もしウズベクに自分以上の権力を持っている者が存在し、それが独裁者に命令をしてくれば独裁体制は継続できない。ウズベクのカリモフ大統領以上の権力を持ったのが駐留米軍で、その独裁者への命令とは「5月の暴動に対して国際調査団の受け入れ」要求である。すなわちカリモフ大統領は自らの独裁体制を維持するために、自分に命令するような米軍を本気で撤退させる気なのである。でなければ独裁者を国民や側近が許さない。

 これを北朝鮮に置き換えて考えると、北朝鮮の独裁者は中国の陰謀で自らの体制を否定する毒薬を飲まされようとしている。それは米国による「北朝鮮の体制存続の保証要求」である。開催中の6カ国協議で北朝鮮はアメリカから、「北朝鮮が主権国家」であることと、「体制存続の保証」を求めている。おそらく北朝鮮は中国からそのように要求するようにアドバイスを受けたと思う。しかしこれこそが体制否定の「毒薬」なのである。

 先も述べたように独裁者は、神の如く絶対の最高権力者でなければ独裁体制は維持できない。以前は北朝鮮が「アメリカは帝国主義だ」「アメリカは悪意に満ちた戦争国家だ」「北朝鮮はアメリカに熱い鉄槌をくだす」などとアメリカを否定し非難していれば良かった。たとえ蟷螂の斧であっても、これは独裁者の権威を維持するために必要だったのだ。しかしそのアメリカから北朝鮮は主権国家であることを認知してもらい、体制存続の保証を求めているのである。これこそが北朝鮮の最高権力者を否定する行為になってしまうのだ。まさしく金正日の上にアメリカという権力者が存在するとしていることになる。これでは北朝鮮が独裁体制を存続し続けることは不可能である。だから「毒薬」なのである。

 今回の6カ国協議で、アメリカが妥協してでも北朝鮮に合意を求めるのは、核問題よりも独裁体制を否定するこの「毒薬」を飲ませるためである。この仕掛けを中国が考えたことは想像できる。老獪な中国とはそのような国なのである。北朝鮮に向かっては、「アメリカに北朝鮮の主権と体制存続の保証を求める絶好のチャンスだ」とささやき、アメリカには「北朝鮮の独裁体制を崩す最後のチャンス」と語りかける。

 これが今回の6カ国協議の舞台裏である。しかし今となって北朝鮮が合意書を拒否することは難しい。「主権国家を認める」「体制存続を保証する」「食糧・経済支援を再開する」という3本柱で縛られているからだ。貧する北朝鮮はもう拒否できないのである。アメリカが北朝鮮に合意書に同意すれば、平和利用の核開発を認めてもいいというのは、このような体制崩壊の戦略があるからである。まさに独裁者の哀れな末路である。

 もはや東アジアで北朝鮮のような独善的な独裁政権国家が存続できる曖昧さが許されない。地域の開発に障害となるからだ。だからこの勝負は「詰んだ」のである。

 「亡国のイージス」 (7月29日)  今夜出演するラジオ特番 「オールナイトニッポン 『亡国のイージス』・スペシャル」(深夜1時〜3時)のため、昨日から「亡国のイージス 上下巻」(講談社文庫)を読んでいます。昨日、やっと上巻を読み終えました。今日はこれから2本の打ち合わせを行いつつ、下巻を読みます。ちょっとホームページを更新する時間がありません。申し訳ありません。
 米紙報道 「北朝鮮核実験、可能性低い」 CIA,4月に議会へ見通し (朝日 7月27日 朝刊)

[概要]25日のニューヨーク・タイムス紙は、米政府が衛星写真に基づいて核実験用と見ていた北朝鮮東北部のトンネルについて、CIAは4月26日の段階で米議会に、核実験の可能性は低いとの見通しを伝えていたと報じた。核実験の兆候については、米紙ウォールストリート・ジャーナルが4月22日に、米政府が中国に「緊急連絡」として伝えたと報じた。さらにニューヨーク・タイムズ紙が5月6日付けで「核実験の準備が本格化」と報じている。

 そのような「核実験」情報は、衛星写真の分析の誤りやデータの不足から生じたミスで、外部に伝える情報ではなかったという。今回の記事では5月の記事が事実上誤りだったとして、経緯を検証した。

[コメント]この情報は当初、北朝鮮の6カ国協議への復帰を促すために、米政府から中国政府や日本政府に伝えられたという。しかし5月初旬からニューヨークで開催された核拡散防止を話し合う国際会議に投げられた爆弾でもある。ブッシュ大統領が推進する小型核兵器の開発から国際世論の目をそらさすためである。

(ブッシュ大統領が開発を主張する小型核兵器は、北朝鮮が非武装地帯の脇に掘った地下陣地に配備している大量破壊兵器(B・C兵器)の陣地を破壊するためが、第1の開発理由である)

 ところでこの米紙の報道を受けて、日本のマスコミの過熱ぶりが凄かったのはご存じの通りです。そのような状況で私は、「この情報は誤り、北朝鮮は核実験をおこなわない。北朝鮮がニセ工事でアメリカを挑発しているか、CIAが誤情報を意図的に流している」と主張してきた。

 といっても私に確かな情報はなく、今までの経験や知識だけが頼りの「やせ我慢」の主張でした。テレビやラジオで話した後、「これで核実験を行えば私は終わりだな」と何度か考えたことも事実です。自分の知識と経験で得た結論(主張)だから、それで死ねば本望と考えることにしました。だから中国や韓国が、相次いで「北朝鮮に核実験の兆候はない」と発表したときは、正直ホッとしました。

 どうして確証がないのに、そこまで頑張れるのかと問われれば、確証を待っていれば遅くなるからです。この場合、確証を持っているのは北朝鮮とアメリカのCIAです。中国や韓国は何らかの手段で確認作業を行う必要があります。その確認期間に2〜3週間は必要になるでしょう。北朝鮮当局がわざとウソをいう可能性があるです。北朝鮮の信頼できる情報筋と複数の確認作業を行い、できれば現地を視察する程度の調査活動が必要なのです。むろんCIAは共鳴効果でマスコミが北朝鮮の核実験は可能性が高いという報道を期待しています。

 しかし日本で中韓の確認をまつ間、「北朝鮮が核実験を行うのは00記念日の0月0日だ」というような記事や報道が溢れることになります。その中には、北朝鮮の核実験施設の内部をイラスト化したものも現れてくるのです。火事は火が小さい内に消すのが大事です。そこで私に確証はないのだが、今までの知識と経験で「やせ我慢」の主張をして自分に賭けるのである。自分を騙すことができないのです。そして密かに失敗を恐れて震えることになります。それでまた「やせ我慢」をすることになる。今までにそんなことをいろいろなテーマで何度も繰り返し、やっと生き残ってきたような気がします。

※ これから映画「亡国のイージス」をビデオで見ます。ビデオはニッポン放送(ラジオ)から送られてきました。あさって(明後日 29日 金曜日)のオールナイトニッポン(深夜1時〜3時まで)で、特集番組の「亡国のイージス・スペシャル」に出演するためです。この番組には出演者の勝地涼さんがメインパーソナリティだそうです。

 オールナイト・ニッポンは私が中学生の時代から聞いています。まさか自分が出演出来ると思いませんでした。初めての出演は嬉しい反面、かなり緊張しています。翌日がお休みの人はラジオを聞いてください。

 そうそう、月刊雑誌「丸」は私が中学生の頃に愛読書でした。その編集部から来月号に巻頭の記事を書くように依頼されました。中学生の頃、まさか私が「丸」の原稿が書けると思いませんでした。そろそろ私も1人前宣言をしてもいい頃になったかと考えています。全国の劣等生諸君、共に頑張ろう。エイ、エイ、オー!

 6カ国協議 「合意文書」が最優先 原則論は事前に応酬 (毎日 7月26日 朝刊)

[概要]第4回6カ国協議は開催日前日の25日から、北京で2カ国間協議などが始まり事実上の審議に入った。これは原則論の応酬を事前に済ませ、26日からの協議で実質的な進展を目指す狙いがある。その実質的原則とは、北朝鮮が核計画を放棄することと、その見返りとして「安全の保証」や経済支援など「共通の達成目標」を拘束力のある合意文書にできるかにかかっている。昨年の第3回6カ国協議(昨年6月)では、米朝がウラン濃縮計画で激しく対立し、合意文書の取りまとめに失敗した経緯がある。こうした反省を踏まえ、米日韓は北朝鮮を厳しく追いつめず、北朝鮮の核計画放棄を合意文書に盛り込むことを目指している。

[コメント]日本人にとって拉致問題は、日朝間の最重要な課題と言ってもいいと思う。しかし北朝鮮が核武装国家になることで、東アジアの安全保障が不安定化することを考えれば、米、中、露、韓は、北朝鮮の核兵器保有を阻止することに必死になっている。特に米・中は北朝鮮の核兵器問題こそが最重要課題であると位置づけている。(その最大の理由は、北朝鮮からの核攻撃を抑止するために、日本が核武装することへの懸念である)

 これに対して中国は、金正日の現体制でも北朝鮮の非核化は可能と考え、アメリカは金正日のような非民主国家(独裁)では無理と考えていた。むしろ逆に、アメリカは金正日の体制を崩壊させれば、北朝鮮は国際社会から緊急援助を貰う立場上、核武装は不可能と考えていたようだ。だからアメリカは北朝鮮がいかに悪意に満ちた国家であるかという証明を試み、失敗したのが前回の6カ国協議なのである。

 今回はアメリカが北朝鮮に大きく譲歩し、北朝鮮を主権国家と認め、アメリカが先に軍事攻撃をしないことを明言し、ブッシュ大統領は金正日にミスターを付けて呼んだりした。また韓国は北朝鮮の核計画放棄宣言があれば、直ちに200万キロワットの電力を提供(送電)する旨を発表している。

 すなわち北朝鮮が合意文書を「断りにくい状況」が広がっている。もはや北朝鮮は「核計画放棄」(検証を含む)の合意文書に署名するしかないというのが私の見方である。今回は背水の陣で、外交上手の中国が慎重に策略を練り、金正日や周囲国に慎重な根回しをして今回の舞台(協議)を作ったたという印象がある。6カ国協議が中断した中国外交1年間の集大成である。

 もし北朝鮮の挑発に日米が乗らず、日米も北朝鮮を追いつめなければ、北朝鮮が同意文書への署名を断る理由がない。明らかに今回の6カ国協議は、北朝鮮に対する”王手”ではないか。残念だが、私にはその程度の読みしかできない。

 昨日まで、郷里の広島に帰郷していましたが、私はいつも北朝鮮が6カ国協議の合意文書を拒否する理由や状況を考えていました。ちょうど将棋の指し手のように考えていたのです。しかしこの毎日の記事を読んでから、これは「王手!」だとしか考えられなくなりました。この記事は第4回6各国協議の重要ポイントが簡潔・明瞭にまとまっていました。

 皆さんは北朝鮮の次の指し手をどのように読んでいますか。これはもう「詰み!」ではないでしょうか。 

 更新休止のお知らせ! (7月21日)  郷里の母を見舞うため、7月22日(金)〜7月25日(月)の4日間、広島に帰ります。その間、このホームページの掲載を休止します。
 6カ国協議 「韓国配備の米核兵器も同時撤去」 北が要求 (読売 7月21日 朝刊)

[概要]ロシアのインターファックス通信によると、香港の北朝鮮外交筋は20日、今月26日から北京で始まる6カ国協議で、「自国の核施設の廃棄と、韓国に配備されている米核兵器撤去の同時実施」を主張すると語った。同通信によると、北朝鮮は、米国が、巡航ミサイルや砲弾に搭載可能な核弾頭を、韓国に配備していると見なしている。「(6カ国)協議の最終目的が朝鮮半島の完全な非核化であるなら、北朝鮮と米国双方が同時に核廃棄を進める必要があるとのが北朝鮮の立場」と指摘した。

[コメント]このインターファクス通信といい、香港の北朝鮮外交筋といい、なんとも基礎知識がないことに驚いてしまう。北朝鮮は韓国のどこに米軍が核兵器を貯蔵しているというのか。その証拠がどこにあるのか。そんなことを北朝鮮がアメリカや韓国に主張すれば、中国やロシアから笑われることは必至である。

 この機会に在韓米軍の核兵器について説明しておこう。米ソ冷戦が終結した90年にブッシュ大統領(父)は、北朝鮮に核兵器開発の口実を与えないとして韓国に配備していた核兵器(注※)の撤去を命じた。北朝鮮が在韓米軍の核兵器撤去を強く要求していたからだ。91年にブッシュ大統領は韓国から核兵器を撤去したことを公式に宣言した。また韓国政府もそのことを公式に表明している。

 北朝鮮はこの発表を受けて、韓国と共に「朝鮮半島非核化宣言」を行い、92年にはIAEA(国際原子力機関)に加入し、国内の核施設の査察を受け入れている。そのような経緯があったことは北朝鮮自らが認めていることなのである。

 それ以降、アメリカが韓国に核兵器を密かに持ち込む理由はないし、必要も全くないのである。アメリカ軍は洋上の海軍の艦船を含め、核兵器を外国の基地に配備していないことを公式に表明している。(戦略核ミサイル搭載のSLBMは除く)。それ以来、日本でも在日米軍基地や米軍艦船(航空機を含む)に、密かに核兵器が持ち込まれたり、貯蔵されたり、一時的にも艦船に搭載されて寄港した疑惑が問題になったことはない。

 もしアメリカがそのような核兵器戦略を自らが破れば、それで大きな打撃を被るのはアメリカ自身である。アメリカに対して反核運動が起こり、国際的な反アメリカ世論が高まるからである。また北朝鮮ばかりか、イランなどに核兵器開発の口実を与えることになる。だからアメリカはそのような愚策は決してとれないのである。これがリアルな核戦略であり核兵器の軍事常識なのである。

 そのような事実は中国やロシアも十分承知している。だから6カ国協議で北朝鮮が在韓米軍の核兵器撤去を主張すれば、冷ややかな失笑を買うだけの話しである。

 しかし日本でも、まだ在韓米軍に核兵器が配備されていると信じている人がいることも確かである。せめて外交官やジャーナリストぐらいは、在韓米軍の核兵器は91年までにすべて撤去されたことを知っておいて欲しい。

注※ 在韓米軍は北朝鮮軍が非武装地帯に沿って地下陣地に配備し、ソウルや在韓米軍に照準を合わせた大量の化学砲弾(長射程砲、対地ミサイル、ロケット砲)の奇襲攻撃を抑止するため、在韓米軍に報復用の核兵器を配備していた。

 ミサイル防衛 PAC3 岐阜・福岡へ配備 首都圏に続き導入 (産経 7月20日 朝刊)

[概要]防衛庁は北朝鮮と中国の弾道ミサイルに対するミサイル防衛(MD)で、地対空ミサイルパトリオットPAC3の配備を、新たに空自の第4高射群(岐阜基地)と第2高射群(福岡・春日基地)にすることを決めた。すでに首都圏では第1高射群(埼玉・入間基地)の配備が決まっている。PAC3の配備は「政治と経済の中枢機能が集中している地域へ優先配備」(防衛庁幹部)が原則とされ、名古屋や大阪に機動的に展開できる岐阜が選ばれ、「中国の弾道ミサイルの脅威が高まっており、より緊急性を要する九州の防衛」(同)という判断で春日基地が選ばれた。入間基地はすでに平成16年度予算で配備が決まっているが、岐阜基地は平成18年度予算から、春日基地は19年度予算から4年間で配備される。

[コメント]これは大問題を含んでいる記事である。今までは北朝鮮の弾道ミサイルに対抗するために日本でのMD配備と報じられていた。それがいつもまにか「中国の弾道ミサイル」に対抗するためと目的が変わっている。日本のMDを構成するイージス艦のSM3ミサイルでは中国の弾道ミサイルに対応できない。中国の弾道ミサイルは飛翔距離が長く、飛翔高度も高かすぎ、また地上の発射位置が広すぎ(多すぎ)て予測不可能だからだ。私の記憶では”日本のMDが中国の弾道ミサイルに対抗する”との記事を読むのはこれが初めてと思う。これは記事を書いた記者の認識が浅いのか、あるいは防衛庁が意図的に流した情報なのか気にかかる。

 さらに気になるもう一点は、PAC3が首都圏や名古屋や大阪などの経済圏をミサイル防衛できると書いている点である。PAC3にそんな能力はない。PAC3の射程は20キロ(17年版 防衛ハンドブックより)である。敵の弾道ミサイルは終末飛翔段階で、ほぼ垂直で地上に向かい落下してくる。それを地上からPAC3は真上に迎撃する。だからPAC3もほぼ垂直に上に向かって打ち上げられる。となればPAC3が防衛出来る地域は半径が2〜3キロ程度の狭い地域でしかない。これはほぼ滑走路(飛行場)の広さである。

 PAC3は機動(移動)出来るので緊急事態を予測した段階で、入間基地から横田基地や座間基地の近くに移動する。そこで上空に半径2〜3キロ程度の防空の傘を開くのである。首都圏であれば政治や経済の中枢機能が集まった霞ヶ関周辺を守るのではない。あくまで米軍と自衛隊の司令部機能の中枢である横田基地や座間基地を守るのである。(優先順位)

 しかしPAC3で敵ミサイルの迎撃に成功しても、ほぼ垂直の位置(上空)で撃破するので、ミサイルの弾頭に搭載されたVXガス(毒ガス)はより広範囲に地上に降り注ぐことになる。

 再度言うが、この記事が記者の誤解で書かれたもののか、あるいは防衛庁幹部が意図的に書かせた(誘導した)ものなのか調査する必要がある。私に言わせて頂けるなら産経らしくない記事である。汚い記事であるからだ。

 防衛庁方針 海自艦 病院船に活用 離島、海外の災害救助 (読売 7月19日 朝刊)

[概要]防衛庁は海自の輸送艦に陸自の野外手術システムを積み、災害時に病院船として活用する方針を決めた。技術試験は6月中旬に輸送艦「しもきた」(呉所属)で行われ、船内の車両甲板で1日10人〜15人の開腹手術ができる野外手術システムで、手術や診察が可能かどうか確認した。その結果、排気やエンジンの騒音など問題点はあるが、基本的に数セットの設置が可能という結論が出た。これは06年3月から始まる陸海空3自衛隊を統合運用する先取りとなる。

[コメント]以前にもこのホームページで病院船の話しが出たが、その時は病院船という発想がすでに現代的でなく、大型輸送ヘリなどで野外手術システムなどを被災現場近くに運び、負傷した人の近くで緊急治療を行ったほうが効果的という結論になった。その点、輸送艦なら大型ヘリが使えるので、現場の状況を判断して前方に野外病院システムを展開することが可能になる。

 このように将来の自衛隊の装備は、戦闘用と民生共用の2極化する傾向が強まるような気がする。戦車や戦闘機は民生用に使えないから戦闘用である。しかし輸送艦や野外医療システムは軍民供用で活用できる。そのような2極化が進み、兵器も民生用に使われる比率が高まっていくだろう。同時に自衛隊の主要任務も、戦闘から災害救難に重点が移るようになるだろう。

 日本から北朝鮮という脅威が消滅すれば、その傾向はさらに加速していく。これからは自衛隊もソフトパワーの一翼を担うことになる。それだけ将来のRMA(軍事革命)で戦争が出来ない環境が強まるからだ。RMAで戦争に勝つことはできても、敵国を占領する兵力がなく、軍事以外の方法で反撃を受ける危険を回避するためだ。

 イラク 市場でテロ77人死亡 燃料輸送車使い自爆 攻撃、再び急増 (朝日 7月18日 朝刊)

[概要]イラク中部のムサイブで燃料輸送用のタンクローリーを使った自爆テロが発生し、市中心部にあるモスク近くの市場で爆発し、混雑していた市場の人77人が死亡し110人が負傷した。現場近くの両替商(28)は、「3万6千リットルの大型タンクローリーが自爆し、周辺の人が焼死した。肉親の遺体は焼けこげて誰かわからない」と話した。現場近くの歯科医(35)は、「犯人は市場で車を降りてタンクのバルブを開け、再び車に乗って運転しながらガソリンをまいた。その後、車から降りると爆発が起き、大爆発が起きた」と話した。さらに17日にバグダッド周辺でも4件の自爆テロが起き、少なくとも19人が死亡した。

[コメント]市街地のテロでガソリンを満載したタンクローリーを使う。これは対テロの専門家が最も恐れている市街地での手口だった。日本でテロの可能性といえばすぐに原発や新幹線をあげる。しかしこれは市街地を走るタンクローリーを想像させないためのシャドー(遮蔽物)の目標だった。日本のテロでもっとも怖いのはガソリンを満載した大型ガソリン・タンクローリーのことである。

 私がそのことに気がついたのは30年も前のことである。二十歳を過ぎた私は広島に住んでいた。そのとき昭和天皇が広島の原爆慰霊碑にお参りに来られたことがあった。その日、私のアパートの近くに住んでいたタンクローリーの運転手さんが会社を休んでいた。わけを聞くと、警察から天皇が広島に滞在中は、ガソリンを積んだタンクローリーは広島市内を走るのを禁止されたと話した。それでタンクローリーの運転の仕事が休みだったのだ。そのとき初めて、市街地でタンクローリーが爆発する危険を実感した。

 海外で大きなテロ事件が起きるたびに、私のところに日本でのテロの可能性を問い合わせる取材が殺到する。しかし取材の記者達には、今まで絶対に記事や番組にしないことを条件にこのタンクローリーの恐怖を話していた。地下街や地下道にタンクローリーから満載したガソリンをぶちまける。そして火を付ければ人々が集まった狭い空間に猛烈な火炎地獄が広がるのだ。むろん群衆が集まった場所にタンクローリーを突っ込む場合も最悪の事態が予測できる。

 私はこのムサイブでのテロを機会に、日本でタンクローリーの運行管理を徹底的に行うことを提案する。テロリストが運転手を刺殺して車を奪っても、登録された運転手以外は車を操作できないシステムを導入すべきだ。むろん可燃ガスや有毒な化学薬品を積んだタンクローリーも同様である。車のドアロックなども個人認証を厳密に行い、テロリストが奪ってもドアが開かないし、車が動かないようにする必要がある。

 今回のテロは自爆テロだが、その気になればタンクローリーはナイフとライターで大きなテロを起こせる可能性があることに気が付いてほしい。

 そのような規模をさらに拡大したのが、液化天然ガス(LNG)などを海上輸送している大型の液化ガス運搬船である。その中には浦賀水道から米海軍の横須賀基地に突入(自爆)するような場合も想定できる。また液化ガスの中にはプロパンのように比重が空気より重いので、可燃ガスが海面や地上を這うように流れるものもある。これが風に流され、都市や基地を襲うと大変なことになる。

 日本のテロといえば、原発、新幹線、サイバーテロと、まるで約束事のように言うが、テロの本当の怖さは予想不可能なことである。すでに想像できるものは怖さが半減している。

 ミサイル防衛 「PAC3}国内生産 三菱重工 年度内に契約 コスト高の可能性 (朝日 7月16日 夕刊) [概要]ミサイル防衛システム(MD)の地対空(対弾道弾)パトリオットPAC3を、三菱重工がライセンス生産をすることで米側と合意していた。防衛庁はPAC3を06年から国内配備を開始するが、06年と07年は防衛庁と米政府が結ぶ有償軍事援助(FMS)契約で米ロッキード・マーチン社から装備を購入する。しかし08年度以降のPAC3は、日本国内で調達するように防衛庁は米側に働きかけてきた。その結果、今年3月に三菱重工がPAC3をライセンス生産する契約を締結した。これを受ける形で、大野防衛庁長官は次世代迎撃ミサイルの共同開発に入る方針を正式に表明し、06年度予算の概算要求で数十億円の開発費を盛り込む意向を示した。防衛庁はPAC3のライセンス生産を三菱重工が得たことで、「日本の防衛産業の技術力が維持でき、故障の際も即応できる」としている。しかしMDシステム全体で8000億円〜1兆円が見込まれている上に、さらにライセンス生産で費用の膨張が懸念される。

[コメント]今年の5月だったか、三菱重工が石破前防衛庁長官を00で手厚く接待したと聞いた。今の時期であれば、PAC3のライセンス生産が決まったのかと想像したが、まさにその通りだったようである。

 日本の防衛産業トップである三菱重工は、MD開発費に正面装備(戦闘機、戦車、護衛艦など)費を充てる政府の方針で打撃を受けていた。しかしPAC3のライセンス生産で再び防衛産業の根幹を得たことになる。また防衛庁や自衛隊の大物OBを受け入れてきた天下り体制も存続になった。

 防衛庁は装備を自前(国産)でやれば、自衛力が高まると力説するが、それは戦争が数年間も続くような場合ではないのか。今はダメージを受けてても、すぐに立ち直れるように数の論理も重要である。すなわち同じものなら輸入であっても、安い高性能兵器を効率よく配備するという考えである。これから自衛隊はRMAで高性能な兵器をドンドン配備することになる。日本の防衛産業だけを生き残らせ、経費面では日本の防衛戦略は二の次では困る。

 このことについてはいろいろ言いたいことがあるが、要は防衛庁の国産論理に誰も立ち向かえないことである。与野党の政治家も軍事産業に遠慮をして何も言えない。軍事的な知識で堂々と議論する能力もない。そもそも私にはMDを配備することに疑問を持っているが、納得できる説明を聞いたことがない。

 今の私が言えることは、日本のこれからは最小限度の装備費で済ませ、それ以外の戦略を軍事力以外のソフトパワーに充てることだ。日本がこれから国際社会で競うのは、軍事力ではなくソフトパワーの競争になるからだ。イラクでアメリカ軍が失敗したのと、サマワで自衛隊が成功した例を比較して欲しい。

 スイス当局逮捕 露元原子力相 身柄巡り火花 露・引き渡し絶対阻止 米・イラン核開発支援 (読売 7月15日 朝刊)  

[概要]米国の国際手配に基づき、5月にスイスで逮捕されたロシアのエフゲニー・アダモフ元原子力相の身柄を巡り、アメリカとロシアの駆け引きが激化している。アダモフ氏はイランのブシェール原発建設支援を推進をした人物で、アメリカはアダモフ氏からイランの核開発情報を聞く狙いがある。これに対し、ロシアは同氏のアメリカ引き渡しはロシアの安全保障を損なうと強く反対している。

 アダモフ氏が逮捕された理由は明らかにされていないが、米国がロシアの核物質の流出を防止するために1990年代に実施した資金援助のうち、900万ドル分を横領した疑いを持っている。同氏は98年から01年までロシアの原子力相を努め、ロシアの原子力・核分野の内情を熟知している。ロシアのメディアはアダモフ氏が自ら設立した会社から、イランに核兵器開発に必要な技術情報を伝えた可能性があると報じている。プーチン政権の民主化後退や石油大手ユコス社の強制解体などで、ブッシュ政権は対露批判を強めており、アダモフ氏は米露関係の新たな懸念材料になっている。

[コメント]ロシアの極右野党・自由民主党から、ロシアの情報機関によるアダモフ氏暗殺の声が出ている。これに対し、アメリカからは司法取引で「横領罪を不起訴とする代わりに、イランの核開発情報を提供して欲しい」という申し出がアダモフ氏に行われていると推測できる。アダモフ氏がスイスから国外追放になっても、ロシアに送還されれば暗殺されることは間違いない。また別の外国に逃れても、ロシアの情報機関から送られる刺客が追跡している。となると、アダモフ氏はアメリカと司法取引して、イランの核開発情報をアメリカに提供するしか生存の道がなくなる。拘留しているスイスとしても、このようなやっかいな人物は早く国外に追放したいとアメリカに協力するだろう。

 ロシアの情報機関がアダモフ氏を暗殺するのが早いか、アメリカの情報機関(CIA)がスイスからアメリカに秘密移送するのが早いか。まるでハリウッドのスパイ映画のような様相になった。アダモフ氏が「私はすべてに無関係だ」と話しても誰も信じない。

 それにしてもなぜアダモフ氏はロシアを出て、スイスに向かったのか。ロシアにいることで身の危険を感じたのか。スパイ小説や推理ものを書きたいと思っる人は、この事件の今までの動きや、今後の展開に注目して欲しい。十分に小説のネタになる大事件である。

 英テロ実行犯 「ハイキングに行くように」 明るい22歳青年/8ヶ月の赤ん坊の父・・・・ 首謀者は国外逃亡? (産経 7月14日 朝刊)

[概要]ロンドンの同時爆破テロj事件で、ロンドン警視庁は実行犯と思われるパキスタン系英国人3人を特定した。残る一人もすでに特定したという情報がある。いすれもスポーツ好きで快活な青年だったり、生後8ヶ月の娘の父親で、障害者の学級で働いた経験がある者たちだった。バスを爆破したのは19歳の少年で、2年前から宗教心に目覚めたという。自爆テロに動揺したのか、この少年が爆弾の入った鞄の中を探っている映像が残っている。7日の爆発直前に4人の姿は駅など監視カメラにとらえられ、映像では「ハイキングに出かけるようにリッラクスしていた」という。イギリス当局はテロの背後に指揮をした首謀者がいると見て、国外へ逃亡した可能性を含め首謀者の特定に全力を挙げている。

[コメント]日本人が誤解していることに自爆テロの心理状態がある。彼らは宗教的な価値観から自爆テロに選ばれたことを喜ぶ心理があるようだ。85年にレバノンで起きた米海兵隊司令部に突入した自爆トッラク・テロ(ヒズボラ)では、営門で阻止する海兵隊員に、運転席の2人はニコニコ笑いながらトラックを加速し、司令部建物に突入して297人の海兵隊員を殺した。

 またイスラエルの通勤バスを爆破した自爆テロ犯は、微笑みを浮かべながらバスに乗り込んできたという。

 日本の神風特攻隊には悲壮なイメージがあるが、自爆テロ犯の心理とはまったく違うと言っていいのではないか。しかし中には自爆テロに不安を持っている者もいるようで、イラクの自爆テロでは車のハンドルと自分の手を手錠で結び、アクセルにおいた足が動かない(ブレーキを踏まない)ように、鎖で足とアクセルを固定した者もいるようだ。

 いずれもジハード(聖戦)で自爆(殉教)すれば天国に行けるというイスラムの教えが背景にあることは間違いない。ハイキングに行くようなリッラクスとはそのような心理状態になっているからだと思う。

 だからイスラム過激派(アルカイダ系)が自爆テロ犯をリクルート(募集)することは難しい仕事ではない。数ヶ月の期間があれば、自爆テロを実行する者を育成することは十分可能である。特にイラクのように米軍がイスラム社会に軍事侵攻しているような場合、自爆テロを仕掛けることは容易である。この違いこそ自殺を禁じたキリスト教と、殉教を称えるイスラム教の違いでもある。

 日本も攻撃は軍事目標に限るが、自爆攻撃を行っていた国であることをお忘れなく。何も自爆は神風攻撃だけでなく、体に地雷を着け、敵の戦車の下に飛び込んで爆発させる自爆攻撃もあった。究極に追い込まれれば、人間は自殺攻撃も美化する生物なのである。

 ロンドン・テロ 実行犯4人を特定 全員死亡? 「自爆」の可能性 (毎日 7月13日 朝刊)

[概要]ロンドン警視庁は7日の爆破テロで実行犯4人を特定したと発表した。キングズクロス駅の監視カメラで特定した。一人の死亡を確認したが、残り3人も死亡した可能性が高い。欧州では自爆テロが起きたケースがなく、アルカイダとの関連がより明確になるという。この事件に絡んで6人の逮捕状を請求し、うち一人を逮捕したという。

 またイギリスの捜査当局は英中部のリーズ近郊で民家6軒の家宅捜索を行い、無人の家で爆発物を発見し、軍当局が爆破処理した。今回のテロで使われた爆弾はバルカン半島から運ばれ、同一人物によって作られた可能性があると英タイムス紙が報じた。爆破現場で同一の爆弾部品が見つかった。

[コメント]捜査当局が自爆テロの一人を特定したということは、バラバラになった死体の頭部や、指の指紋などから早い段階で特定したのではないか。あるいは犯人が身分証明書など、特定できるものを身につけていたことも考えられる。このように政治性が高いテロの場合、実行犯を特定出来やすいように犯人が遺留品を残すことが多い。

 まずは一人を特定(家族の通報)し、その関連から他の3人を特定(街頭の監視カメラ)したと考える。また治安当局は自爆テロであることも早い段階で解明したのだが、これについてはわざと公表を遅らせたことも考えられる。イスラム過激派を高揚させないためと、ロンドン市民に強いショックを与えないためである。

 日本のようにテロの現場や手口、被害状況をそのままマスコミで速報すると、ショックを受けた人が地下鉄はおろか、外出もできないような精神的な被害を与える場合がある。

 ところでテロで使われた爆薬のC4(混合爆薬・プラスチック爆弾)だが、重さが4.5キロ以下と言われている。C4の比重は1,6であるから、水で約3Lの容積があると計算できる。2Lのペットボトルに入った飲料水の1.5本分だ。そこでC4と形状や色が似ている粘土を3L分の溶液に匹敵する量を買ってきた。(C4が4.5キロというのは10ポンドと同じ)

 テレビ局でそれだけの量の粘土を見て、担当ディレクターは「意外に少ないので驚いた」と話した。私は、「意外に多いと思った」と話した。お風呂場で使う洗面器の中に入る程度の大きさであった。昨年3月にスペインのマドリッドの爆弾テロでは1個の爆弾に20ポンドのC4が使われた。C4は中東の闇市場などで簡単に入手できる軍用爆薬である。

 ライス米国務長官、6者協議再開にらみ中国首脳部と会談
 (Asahi.com 7月10日 17時45分)

[概要]米国のライス国務長官は10日、北京で中国の李肇星外相など中国首脳部と会談した。
 中国を訪問している米国のライス国務長官は10日、北京で胡錦涛国家主席、温家宝首相、李肇星外相、唐家●国務委員(副首相級=外交担当)とそれぞれ個別に会談し、米朝間で北朝鮮の核問題をめぐる6者協議の再開が決まったことを受け、北朝鮮の核放棄への道筋について話し合った。
 会談後の記者会見でライス長官は、6者協議再開への中国側の努力に対し謝意を表明したうえで、会談で双方が「朝鮮半島の非核化」を目指す立場を改めて確認したことを明らかにした。7月の最終週に北京で行われる予定の6者協議については「成果を出す話し合いにしなければならない」と述べ、協議により事態の進展を目指す姿勢を強調した。

[コメント]北朝鮮は6カ国協議に復帰した理由を、アメリカが北朝鮮への敵対的対応を改めたからだという。アメリカは北朝鮮が主権国家であることを認め、北朝鮮に軍事的な攻撃を行わないことを表明したことを評価したそうだ。

 しかしアメリカが北朝鮮を軍事攻撃しない(できない)のは、米朝双方が明らかにしていない2つの理由あるからだ。このホームページを読む人はそのあたりの事情を理解しておく必要がある。

 その理由の一つ目は、未だかつて稼働中の原子炉施設を軍事攻撃した実例が存在しないことだ。稼働中の原子炉を爆破すれば、大気圏に放出された放射能物質が気流に流されて拡散する。その拡散の方向では、北朝鮮周辺の韓国、中国、ロシア、日本に深刻な放射能被害を与える可能性がある。そのような可能性があるのに、米軍は北朝鮮の核施設を攻撃できない

 二つ目は、38度線の非武装地帯に沿った地下陣地に配備された北朝鮮の化学砲弾(対地ミサイル)の脅威である。北朝鮮側からソウルや最前線の在韓米軍を攻撃出来る位置に、長射程砲(170ミリ砲)、地対地ロケット・フロッグ7、短距離地対地ミサイル・スカッドCなど、大量の大量破壊兵器(化学・生物)が韓国や在韓米軍の頭上に降り注ぐ可能性がある。北朝鮮はこれらの大量破壊兵器で米・韓国軍の北進を抑止している。

 以上、2つの理由で米軍は北朝鮮に軍事的な手段をとることはできない。さらに付け加えるなら、北朝鮮は中国と友好条約を結び、北朝鮮が軍事的な攻撃を受ければ、北朝鮮とともに戦う軍事同盟を結んでいる。最近になって、中国は中朝友好条約は軍事的な面を含まないと言い出した。北朝鮮の瀬戸際外交の被害を受けたくないという中国側の配慮だと思う。

 これらのことは米軍として、手足を縛られている状態を示している。だからアメリカ側からこのことをあえて公表しないのである。北朝鮮も大量破壊兵器によって基本戦略を構築していることに後ろめたさを感じている。このことでイラクのサダム・フセインのように、アメリカに軍事攻撃の理由を与えないか心配なのだ。だから北朝鮮に配備している大量破壊兵器で米韓を威嚇していない。

 このことを知らないで、アメリカが北朝鮮の核施設を爆撃するとか、外科的な精密爆撃で核施設を攻撃するというのは間違い。アメリカが北朝鮮を軍事攻撃しないと約束したのは、北朝鮮を6カ国協議に復帰させたいと思う面もあるが、北朝鮮を軍事攻撃できないという理由を認識したという意味でもある。

 朝鮮半島の政治・軍事を考える上で、公には語られないが非常に重要なことなので覚えておいて欲しい。 

 英同時テロ 爆破ほぼ同時刻 地下鉄3カ所 50秒の間 (産経 7月10日 朝刊)

[概要]ロンドン警視庁は地下鉄爆破時間が、3件共に午前8時50分頃の50秒間に起きていたと修正した。地下鉄には今も20人以上の死者が取り残されされているという。英各紙は警察が03年のカサブランカ(モロッコ)の爆破テロに関与したモロッコ人のムハンマド・ガジブジ師を追っていると伝えた。また米CNNはヨルダン人ザルカウィ容疑者の組織が関与したという見方を報じた。また国際テロ組織アルカイダ系の「アブハフス・アブマリス旅団」が犯行声明を出した。同旅団は昨年3月のマドリード列車同時爆破テロの際にも犯行声明を出している。

[コメント]米CNNが今回のロンドン地下鉄同時爆破テロを、イラクでアルカイダ組織を率いているザルカウィが指揮していると報じたのは明らかにCIAの情報操作である。イラクでのアメリカの戦争を正当化するために、ロンドンのテロとイラクのザルカウィを結びつけるようなニセ情報をリークした。これを情報機関ではミス・インフォメーションと呼ぶ世論操作のやり方である。最近、ブッシュ政権はイラク戦争で国民の支持率を急激に下げている。そのために行った幼稚なミス・インフォメーションなのである。日本人はこの程度の情報操作を見抜いてくれるものと信頼したい。

 私は先に出された犯行声明「ヨーロッパ アルカイダ聖戦秘密組織」はニセもの臭くてたまらないと述べた。名称の「秘密」という部分の幼稚さと、今回のテロ事件で犯人しか知り得ない情報(事実)が含まれていないからだ。もしアブハフス・アブアリス旅団」の犯行声明が本物なら、その内容を詳細に分析することで犯人(テロリスト)しか知り得ない情報が隠されていると思う。そのようにテロリストは自己を顕示したい強い欲望がある。イギリスのテロ捜査機関はそのような視点で声明文の分析を行っている。

 今回、日本ではすぐに声明文を本物と判断するような姿勢が見られた。そのような安易な判断はこれから避けるべきである。世の中には「声明マニア」という人がいる。これは一種の「愉快犯」で、大きな事件や事故が起きると、架空の名前を語り、「ウソの声明文」をマスコミに届けるものである。その中には、街の公衆電話から新聞社などに口頭で伝えるものである。そして今月は私の犯行声明文(ニセ)が何回マスコミに報じられたかを競うのである。 例えば、新宿で雑居ビルが火災になり、多くの人が焼死する事件があったとする。「あれは私が00の理由で放火した」とニセの電話をマスコミにかける。この種(愉快犯)の連中である。

 ちなみに私は、今回の声明文を出した「アブハウス・アブマスリ旅団」に強く関心を持っている。マドリッドの同時爆破テロにも登場したからである。今回の声明文の中に、犯行グループしか知らない事実が含まれていないか知りたい。(まだ犯行文は公開されていません)。

 繰り返し言うが、これから日本のマスコミは「声明文」の真偽を確認し慎重に対応して欲しい。一方的に、声明の内容の解説は誤報をばらまく危険があることを知っておくべきだ。

 それから今日のTVの00番組はひどかった。デタラメな推測を並べ、勝手な推論を延々と流していた。はるかにデタラメの許容範囲を越えていた。「日本に潜入してアルカイダメンバーが10人程度と公安当局が掴んでいた」などと、得意の”私の友人”によればという枕詞(まくらことば)がつくホラ話である。軍事知識も思いつきのデタラメで聞くに堪えなかった。軍事をなめると自滅することになる。 

 ロンドン連続爆破テロ 抜群の警備当局の危機管理能力 情報の出し方に学ぶ (7月9日)

[コメント]テロが起きないように社会を啓蒙して予防する。あるいは治安当局がテロリストを徹底的に取り締まる。しかしこれは厳密な意味で言う「危機管理(クライシス・マネージメント)」ではない。危機管理とはあくまでテロや事件、事故が発した際、その被害を最小限に抑えるためのマネージメントを行うことである。

 その点、今回の連続爆破テロで、ロンドン警視庁が行っているリスク・マネージメントはいろいろと考えさせられることが多い。例えばバスで起きた爆発の場合である。爆発後に現場に残ったイスの残骸から、爆発物が床で爆発したか、イスの上で爆発したか明白である。イスの金属部分がどちらに曲がっているかで解析できる。一時、爆発はイスの上で爆発したと報じられた。そのため自爆テロが疑われた。その後、自爆テロを疑わせる兆候は何もないと発表されている。また、犯人が爆弾を運搬中に誤って爆発した可能性と報じられ、さらに爆発は床で起きたと報道されだした。このような報道の誘導は自爆テロ説を覆すために意図的に行われたと考えるべきだ。

 なぜ自爆テロではダメなのか。それは自爆テロの場合だと、仲間のイスラム過激派を鼓舞させる効果があるからだ。情報でなんとしても自爆テロ説は否定したいという意味で操作が行われている。これがリスク・マネージメントである。

 また地下鉄の電車爆破現場の写真も公開されていない。これは悲惨な映像を流して、市民の不安を高め、テロの効果を高めることを警戒しているからだ。

 ところでイギリスでは6月に、警備当局がテロへの警戒度を下げることが決定されたという。このような決定を行うのは情報機関のMI5(防諜)である。MI5はイギリスにあるイスラム・コミニティー(アラブ人居住区)に多くのスパイ(エージェント)を忍び込ませている。そこで不審なアラブ人が住み着いている。あるいは過激な若者が小集会を繰り返している。そんな情報をエージェントから入手するのだ。しかし今回のテロでは、そのような情報を一切入手できなかった。むしろ異常な情報が少なくなって、警戒度を下げる処置をとったと推測できる。このことは犯人側がMI5のエージェントを警戒して、イスラム・コミニティーとの接触を禁じたからではないか。すなわちテロリストはイギリス以外のイスラム・コミニティーからロンドンに来て、爆破テロを実行した可能性が高いという逆説の証明になることができる。

 外国とはスペインである可能性が高い。昨年のマドリッドでの通勤列車爆破同時テロに今回のテロが酷似しているからである。前回は列車爆弾の起爆装置に携帯電話を使い、それらの部品から犯人グループが割り出された。そこで今回は犯人割り出しが出来ないようにタイマー式の時計を使ったか、それともマドリッドのテログループとの関連を誇示ために、身元が割り出せないメモリー機能を取り除いた携帯電話を使ったか。これからロンドン警視庁が公表する荷物爆弾の時限装置を推測する情報が待ち遠しい。

 ともあれ、ロンドン警視庁が行っている「危機管理」に注目している。

 ロンドン 同時爆破テロ 死者37人 負傷者700人以上 (各紙 7月8日 朝刊)

[コメント]昨日、ロンドンで起きた同時爆破テロの概要がわかってきた。爆発は4回でいずれもロンドン中心部の交通機関が狙われた。そのうち3回が地下鉄の車内で爆発が起き、もう1回が2階建てバスの2階部分で爆発が起きた。爆発の際に、毒ガスや放射能の成分は検出されなかった。(プロが行うテロの場合、爆発時に毒ガスや放射能を混ぜる手口がある)

 この同時爆破テロで39人(本日午前7時半現在)の死亡が確認され、700人以上が負傷して病院で手当を受けたという。その負傷者のうち、45名が重傷または重篤だという。最終的にこのテロの犠牲者が50人を超える可能性がある。

 今回の爆発物だが、まだ地下鉄電車の映像は公開されていない。2階部分が吹き飛んだバスの損傷を見ると、爆発はTNTやC4と呼ばれる軍用火薬が使われた可能性が高い。爆薬の量は5キロ〜10キロ程度と推測される。この量ならバッグに忍ばせたり、体に隠して着けることが可能である。昨年3月11日にスペインのマドリッドで同時列車爆破に使われた爆薬は一個11キロ程度と推測されている。朝の通勤時間というラッシュ時を狙ったことから、マドリッドでの爆破テロと酷似している。マドリッドの爆破は13個所で同時爆発が起き、191人が死亡している。今回は4個所ということを考えると、犯人はマドリッドの爆破事件と同様にアルカイダ系である可能性が高い。しかし今回、犯行声明を出した「ヨーロッパ・アルカイダ聖戦秘密組織」というのはウソ臭い。なぜなら秘密という言葉に耐えられないほどの幼稚さを感じる。まず、これはウソの声明と疑うべきである。

 今回は自爆テロか時限装置で爆発させたか不明だが、現場検証を詳細に行うことによって究明は可能である。なおマドリッド爆破テロ事件では自爆テロはなかった。

 今回の目的だが、あくまでG8サミットの開催日を狙ったもので、イスラム原理主義過激派のテロ攻撃である。

 ヨーロッパには各地にイスラム・コミニティーが存在し、それぞれの差別や貧困から「過激派の温床」になっている。またEUの統合で交通が自由になり、テロ作戦で国境を越えて統合・分散がやりやすく、ネットや携帯電話で通信も容易になった。今後ますますヨーロッパでは爆破テロが起きる可能性が高い。

 なお、イギリスはIRAと長年のテロの戦いで、テロ対処の方法を熟知している。またSAS特殊部隊のように世界で最高レベルの対テロ部隊を持っている。今回のテロ後の対処は見事というしか言葉がない。日本も学ぶべきことが多い。

※昨日は私の誕生日でした。一生忘れない誕生日になりました。

 帰郷を中止して更新を行います。(7月7日)    ロンドンでの地下鉄やバスでの同時爆破テロ事件を受けて、明日からの広島帰郷は中止しました。とても東京を離れることが出来なくなりました。

 今は21時30分ですが、スコットランド・ヤード(ロンドン警視庁)の危機管理の凄さに驚きました。パニック(ショック)防止のために死者の数をこれほど厳密に情報統制するとは立派です。これからお台場のテレビ局に行きます。

  ホームページ  更新休止のお知らせ !

(7月7日)

 入院中の母を見舞うために、7月8日(金)〜7月11日(月)の間、広島に帰郷します。そのためホームページの更新を休止します。広島には携帯電話を持参しています。仕事関係で急用の方は携帯に電話をお願いします。東京の自宅に電話を頂いても、自動的に携帯に転送します。よろしくお願いします。
 世界の目 イラク、ベトナム化の悪夢 リチャード・コーエン (毎日 7月7日 朝刊)

[概要]これはワシントン・ポスト紙のコラムニスト、リチャード・コーエン氏が書いたコラムの転載記事である

 イラクへの主権移譲1年目の6月28日にブッシュ大統領はイラク問題で演説を行った。それを聞いて、「イラクはベトナム化しない」という私の持論は覆された。「大規模戦闘終結宣言」が出た2年前、私は同僚にイラクがベトナム化しない理由はホーチミンのようなカリスマ指導者がいないことや、ソ連や中国のように人材や物資を支援する国がないからと説いた。しかしブッシュ大統領は28日の演説で、「テロ組織が米国本土を攻撃する前に、国外で打倒しなければならない」と言った。「アルカイダとサダム・フセインは関連ない」と独立調査委員会が誰にでもわかる言葉で報告したのにである。このようなセリフは、カビたベトナム時代の響きである。

 ブッシュ大統領は演説で「テロリスト」という言葉を23回も使い、ベトナム戦争時代の「共産主義は1枚岩」(ジョンソン大統領 63〜69年)と同じ話法を使った。演説でイラクの「ザルカウィ」というアルカイダ系テログループ・リーダーがすべての問題であるように印象を与えた。しかしイスラム教スンニ派武装組織と外国人テロリストの攻撃目標は違う。その上、ブッシュ大統領が称賛する民主化もイラクの人は何が何でも実現したいと思っていない。

 またブッシュ大統領は演説で真実をあいまいにさせた。投票に行った「800万の男女」、イラクに派兵した「30カ国」、「340億ドル」の復興支援を約束した「40カ国と3つの国際機関」、イラク支援のためにブリュッセルで会議を開いた「80カ国」というように、このような表現は修辞的な策略だ。

 もはやブッシュ大統領が従来の戦略や仮説を再考しなければ、これまでの実績を失うことになりかねない。ベトナムのサイゴン陥落のような、恥ずべき退却の悪夢が起きて欲しくない。

[コメント]これがアメリカ国民の一般的な考えとして広まるのは時間の問題である。ブッシュ大統領が言っていることは現実や真実と違うからである。もはやアメリカで反テロ戦争と言えば、だれもが無条件に軍事作戦を支持してくれる時代は終わった。国民が一向に改善しないイラク戦争を疑い始めたからだ。

 アメリカと最強の同盟関係を築いているイギリスさえもイラクから撤退することを検討している。2年後に1000人規模の軍事顧問団に縮小するという。(下段のコメントを参照)

 アメリカがイラクで泥沼に足を取られている間に、中国は周辺諸国との関係を強化し、影響力や発言力を格段に増した。今後、朝鮮半島で中国がアメリカの軍事力を消滅させる策略に出る可能性がある。(今日の「メールにお返事」を読んでください)

 それにもかかわらず、小泉さんはアメリカの庇護で政権維持に必死である。日本のまわりで煙や火の手があがっているのに、ブッシュ大統領に渡すお土産(郵政民営化)で頭がいっぱいのようだ。 

 それからこのコラムを書いたリチャード・コーエン氏が、2年前にイラクがベトナム化しない理由を、カリスマ指導者がいないことと、外国の援助が期待できないからと考えていたとは驚いた。イラクのカリスマ指導者はイスラム教である。異教徒との聖戦なら殉教を命じる最高の戦争指導者である。またテロやゲリラは大国の大規模な軍事援助はいらない。旧イラク軍が保管していた弾薬や武器で十分である。私は自慢するわけではないが、イラクでの大規模戦闘終結宣言が出た段階で、イラク人が異教徒の支配を嫌い、イラク占領統治はベトナム化すると分析していた。今は、イラクの安定化を達成することなく、イラクから米軍が撤退すると考えている。

※ 「別に自慢するわけではないが・・・・」というセリフのあとに続くのは常に自慢話という法則があるそうだ。

 イラク パキスタン大使ら狙撃される (読売 7月6日 朝刊)

[概要]イラク警察によると5日、パキスタンの駐イラク大使のモハメド・ユニス・ハーン大使と、バーレーンの駐イラク大使のハサン・マンサリ氏が相次いで狙撃され、ハーン氏は無事だったが、アンサリ氏は手に負傷を負った。2日にはエジプトの次期駐イラク大使が拉致されている。武装勢力がイスラム圏の外交官を標的にした新たな戦術に出ている可能性がある。

[コメント]やはり2日前に推測した通りの事態になった。イラクの反米武装勢力はイスラム圏のイラク大使を標的にしたのだ。となると拉致されたエジプト大使は処刑される可能性が極めて高い。それもインターネットを使って断首される残酷なシーンが使われると予測できる。この作戦で武装勢力の狙いは、イスラム圏の国(大使)をイラクから撤退させ、イラクをイスラム社会と異教徒との戦いという構図にしたいからである。

 これでイラクはますますイスラム原理主義過激派の温床にすることができる。これを見ても、もはやイラクでアメリカのネオコンが勝つことはできない。

 すでに英紙(フェナンシャル・タイムス紙)では英軍がイラクから撤退(削減)する計画があると報じた。その記事では現在のイラク駐留英軍8500人が、?来年4月までに4000人〜5000人に削減する。?07年3月までに軍事顧問ら1000人規模に縮小するという。(読売 7/6付け)

 イラク情勢は新たな段階に向かって動き出したと考えるべきである。日本がとるべき対応について、国会で議論されるような様子はない。もはや自衛隊がサマワに居ることも忘れてしまったようだ。

 メコン川流域開発 中国、影響力狙い攻勢 流域6カ国首脳会議 (産経 7月5日 朝刊)

[概要]インドシナ半島の経済開発を共同で進める「メコン川流域開発計画(GMS)」の、第2回首脳会議が4日より中国・雲南省の昆明で始まった。中国は温家宝首相が出席し、東南アジアへの”接近外交”を繰り広げるようだ。

 流域開発のひとつに昆明ーラオスーバンコクを結ぶ「南北回廊」の道路建設(08年開通予定)があるが、日本はこれを中国の南下政策として消極的に対応した。対して、中国はラオスにダム建設の資金援助を申し出るなど積極姿勢が目立った。また中国はタイの果物や野菜を輸入する代わりに、16億バーツ(約43億円)相当の装甲車132台をタイに提供することに合意している。また中国はカンボジアに対し軍病院の改修を行っている。ミヤンマーに対しては水力発電所の建設を資金援助して、昨年は3つのダムが中国の援助で完成し、さらに水力発電所の建設に同意した。今後、ミャンマーの総電力の6割は中国の支援で建設された発電所でまかなわれる。

 中国は日本のODAと関係が深かったASEAN地域から、中国が巻き返して発言力を増したいという作戦のようだ。しかしメコン流域の国の中には、中国との民間競争に負けるという警戒感も出始めている。

[コメント]このホームページを開設した当時、海軍力の弱い中国は雲南省からメコン川を南下し、東南アジアに経済進出してくると書いたことがある。当時は、中国が経済進出にメコン川を使うという発想が一般的ではなかった。だから多くの人がその説に驚いた。しかしそれから約5年が経過した。メコン川の急流にあった難所の岩場は爆破され、取り除かれた。メコン川の至るところに新港が整備され、川を使った交易港が開設された。また新港にはラオスやミャンマーの内陸部に道路網が整備され、まさにメコン川はインドシナ半島における経済動脈を果たすようになった。メコン川流域には中国製品があふれている。

 もし中国の海軍力が強ければ、このようなメコン川の経済開発は行われなかったと思う。中国がメコン川流域開発を構想してわずか10年足らずで、これだけの政治・経済・外交・軍事的な影響力を示したことになる。まさに中国恐るべしである。

 今、ミャンマーで中国は石油パイプラインを建設し、中東の石油がマラッカ海峡を通過することなく、インド洋から中国の雲南省に安定して輸送できるルートを建設中である。またミャンマーの天然ガスや石油の採掘調査権を、ミャンマー国内の6鉱区にわたり、昨年10月に獲得している。中国にとって南下政策(東南アジア進出)は狙い通りの成果を上げているようだ。

 逆に日本の影響力はインドシナで激減している。ミャンマー、タイ、ラオス、カンボジア、ベトナムに関しては、これから中国の影響力は飛躍的に高まっても、日本の影響力が強まることはない。これは小泉外交が東南アジアの変化に対応していない現れではないか。

 おりしも中央アジアのカザフスタンでは、今日と明日、中国、ロシア、中央アジア4カ国で作る上海協力機構(SCO)の首脳会談が開催される。中国の胡錦涛主席が出席し、中国と戦略的な関係強化に動きだす。中国が中央アジアでの安定化(治安維持)に協力する見返りに、中国はカザフなどから石油や天然ガスの供給を受けることが議題になる。米軍が中央アジアから撤退する期限を迫られる可能性もある。

 中国はメコン川開発で南を固め、上海協力機構で西を固める。そして北のロシアと戦略的なパートナーシップを結んで固めることに成功した。残るは東の朝鮮半島を中心とする東アジアである。この勢いなら、朝鮮半島を併呑することも可能になる。日本の喉元に槍先が突きつけられる可能性がある。

 日本が小泉政権のアジア外交で失ったものは大きい。

※自衛隊の隊員募集に深刻な変化が現れ始めた。長引く不況と公務員人気で好調だった隊員募集に変化が現れた。昨年あたりから応募者が激減したのである。警察官や消防官の募集は好調というから、自衛隊だけに限って現れた変化だと思う。その原因は自衛隊のイラク派遣と誰もが指摘する。小泉首相が政治的に判断だけで、自衛隊を無理矢理イラクに派遣したことで、自衛隊への応募が激減したのである。ウソだと思ったら、自衛隊の募集を担当する人に話を聞くべきである。小泉首相と石破前防衛庁長官の名前は、多くの自衛隊員の心に「無能・、無責任」と焼き付いたと思う。私は許さない。

 イラク エジプト大使拉致 バグダッドで車の武装集団 (毎日 7月4日 朝刊)

[概要]エジプトのシェリフ大使がバグダッド市内で新聞を購入しようと車外にでたら、2台のドイツ製乗用車BMWに乗った武装勢力に連れ去られた。武装勢力からエジプト政府に解放条件が出されたか詳細はわかっていない。シェリフ大使は先月1日にエジプト政府がイラクに初めて赴任させた大使だった。

[コメント]イスラム国家の駐イラク大使が、武装勢力に拉致されるという新しい展開が生まれた。今までにパキスタン、トルコ、マレーシア、インドネシアなど、イスラム国家からイラクに多国籍軍を派遣させないという武装勢力の目的は達成されていた。しかしこれで駐イラク大使の派遣や大使館の設置も、武装勢力の攻撃の対象になったことになる。

 エジプトなどイスラム国民は、バグダッドの生活環境に親しみを感じるので、気軽に新聞を購入するために車外に出た。そこを狙われた。このようにイラクの情勢は好転なんかしていない。アメリカはイラクの泥沼に引き込まれたまま、そこから脱出できる方法を見つけていない。頼みの綱はイラク警察やイラク軍の治安能力を育てることと、イスラム国家から多国籍軍を派遣してもらうことだった。イスラム教徒が治安回復でイラクに展開すれば、異教徒の占領というイメージが薄れるからだ。しかし今回のエジプト大使の拉致でその望みは絶たれた。

 とにかくイスラム原理主義は出来るだけ多くのアメリカ軍が、出来るだけイラクに長くいて欲しいのだ。そのことによって武装勢力はアメリカという反イスラム国家と戦う正当性が生まれる。まさにイラクはテロの温床になり、戦士訓練センターとして最高の環境を提供している。

 軍事大国のアメリカであるがゆえに軍事過信が生んだ悲劇である。なにやら大国の滅亡という歴史の繰り返しが始まったようである。

 中ロ首脳会談 日本に厳しい視線 歴史認識でも強調姿勢 (朝日 7月2日 朝刊)

[概要]胡錦涛主席のロシア訪問で、中ロの蜜月ぶりが鮮明になってきた。ロシア誌の寄稿で、「日本はナチス・ドイツと同盟だったことを過小評価している」(ガルージン駐日公使)と指摘して、中国と歴史認識で近い姿勢を見せた。日中が競ったシベリアのパイプライン建設では、建設ルートこそ日本の主張を受け入れたが、原油の輸出先は中国を優先させた。しかし中ロに潜在的な緊張関係があるのも事実である。ロシアはインドには最新鋭のスホイ30KMIを輸出したが、中国には旧式なスホイ30MKKしか認めていない。これはロシア軍内部で中国に対する慎重な意見が根強いからだ。

 今回の訪ロで胡錦涛主席は、「中国は西部大開発と東北部地方の旧工業地帯の振興を進めており、ロシアも極東とシベリア地区の開発を打ち出した。我々は互いに補い、ともに繁栄すべきだ」と呼びかけた。

[コメント]中ロが激しく対立した時の尺度で、これからの中ロ関係を考えると必ず誤る。かつて中国にはシベリアやモンゴルから、ソ連軍の大戦車軍団が南下し、北京に迫るという悪夢に取り憑かれていた時代がある。またソ連はシベリアや沿海州に多数の中国人が押し寄せ、総人口が10億人の中国に呑み込まれるという恐怖があった。だから中ソは激しく対立したのである。

 しかし今は中ロ関係で極限の軍事情勢を考えることには無理がある。胡錦涛主席の言うように、中国の西部開発や東北部開発には、隣接するロシアの支持と援助は欠かせない。特に石油などのエネルギー問題である。これは日本や韓国に期待できない戦略物資である。中国の豊富な人と物、ロシアのエネルギーがあれば、資金と技術は日本や韓国や米国が「ネギと味噌」を背負ってやってくると考えなのだろう。さらにロシアには潤沢な石油収入で東部(シベリア)の開発を行うことが出来る戦略である。

 このような考えには日本が軍事大国化しないで、日米安保も中国やロシア領土に及ばないという認識が支えている。すなわち中ロが急いで東アジアでの軍事力拡張を行う必要がないことを前提にして、中ロの蜜月が始まったと考えられるのである。

 しかし日本はそう簡単に割り切れない。東アジアで大発展を成し遂げた中ロが共同し、潤沢な資金を使って軍事力整備を行えば、短期間に強大な軍事力を築く素質を持っているからだ。そのような危機意識が日米で強くなる。

 そこで東アジアの地域安全保障を話し合う国際機関が必要になる。むろん、アメリカや韓国を含んだ国際機関である必要がある。それが今は北朝鮮の核問題を話し合う6カ国協議なのである。何としても、中断している6カ国協議を再開し、地域の安全保障問題を話し合う機関に成長させなければいけない。これは北朝鮮以外の強い希望になる。中ロ関係が蜜月になればなるほど、6カ国協議の意義は強まっていく。すでに6カ国で北朝鮮が勝手気ままにわがままを言えるような事態ではなくなっている。

※ 本日はこれから横須賀の少年工科学校に向かいます。37年前に我々の同期生が訓練中に13人が水死した日です。毎年、7月の第1土曜日は、同期が死んだ池を埋め立てた場所で、有志が集まり、花を手向け、酒を飲み交わして思い出を語っています。今年はちょうどあの日が第1土曜日になりました。それでは行って参ります。

 

 中ロ首脳会談 共同宣言で米けん制へ 日米安保にらむ (毎日 7月1日 朝刊)

 

 中国台頭視野 米印、軍事で緊密化 兵器共同開発も (産経 7月1日 朝刊9

[概要]中国の胡錦涛主席が30日、4日間の公式訪ロでモスクワを訪問した。プーチン大統領と中ロ間の「戦略的な協力パートナーシップ」を強調し、米国の1極主義をけん制する「21世紀の国際秩序に関する宣言」に署名する。中国とロシアは6月2日に東部国境画定に関する協定の批准文書を交換し、「対ロ関係で唯一残されたトゲ」(中国外交筋)を完全解決している。中ロ共同宣言では多国主義、平等・互恵の原則に基づき、国連主導の国際秩序の構築を主張。米国のブッシュ大統領をけん制するという。さらに中国はロシアから石油や電力などのエネルギー供給や、沿海部で合同軍事演習の実施、ロシア製武器の購入などを活発化したい意向を持っている。これは日米が今年2月に台湾問題を共通戦略と位置づけたことに対抗する狙いがある。(以上、毎日新聞)

[概要]インドのムカジー国防相はワシントンでラムズフェルド国防長官と会談し、米国とインドが兵器の共同生産などを含む戦略的関係を構築することで合意した。インドの核実験後で冷却化していた米印関係は、これで新たな軍事協力の改善に動き出すことになる。米印関係が緊密化する背景は、中国の台頭を無視できない事情がある。インドのタイムズ・オブ・インディア紙では、アメリカがインドが大国になることを支援する約束をした」と評価している。(以上、産経新聞)

[コメント]中国をとりまく国際関係が激しく動き出した。中国はEUから武器禁輸解除が延期され、ロシアからの武器購入に軸足を移した。またロシアは最近の原油価格の高騰で莫大な外貨(石油収入)が流入し、もう貧しいロシアではなくなったという気持ちがある。すなわち新たなナショナリズムで大ロシア主義が復活し始めてきた。(また貧富の差が拡大し、社会が不安定化して、強権政治が強まる可能性がある)

 さらにイラク統治でつまずいたネオコンは、あらたなアメリカの敵として中国を名指し始めている。ネオコンが中国をロシアに追い込むような政策をとっているのも確かである。

 日本にとってやっかいなのは、中国とロシアが軍事同盟を強めれば、その最大の被害者は日本ということである。朝鮮半島は被害者となる前に、中国やロシアに飲み込まれてしまうだろう。そこで日本では米ソ冷戦時代とは比較にならないほどの緊張が生まれてくる。

 だから日本は海洋国家なのだから、同じ海洋国家のアメリカと軍事同盟を強化せよという主張が出始めてきた。中露の台頭に備えるためだ。しかし私はこれこそ火に油を注ぐ愚策と考えている。なぜなら今のアメリカの強さは無限で絶対的なものではなからだ。

 米ソ冷戦時代の最前線はヨーロッパにあった。NATOとワルシャワ同盟軍が対峙していたヨーロッパが冷戦の最前線なのである。当時、中国がロシアと対立していた東アジアは、ヨーロッパと比べものにならないほど軍事的な緊張感は低かった。

 しかし中露両国が戦略的に結びつけば、日本が受ける軍事的な緊張(圧力)は最前線としての感覚が生まれる。一方のアメリカは世界規模で戦争を行っている軍事国家である。そのアメリカの強さは情報ネットワークと先端技術が生み出す出す最新兵器と、ネオコンが作り出した幻の脅威(テロと大量破壊兵器との戦い)と、それにキリスト原理主義と呼ばれる宗教保守勢力なのである。まずハイテク兵器はイラクのようなゲリラ戦(市街戦)には効果がなかった。ネオコンが作った仮想敵もそろそろ化けの皮がはげだした。アルカイダさえ現実には存在しないテロ組織という報道が始まった。またアメリカ南部の極端な宗教保守勢力も、一般のアメリカ人から警戒論が広がってきている。それがアメリカ国内のイラク戦争不支持への高まりである。このようにアメリカの強さが弱さに見えだした。日本が安易にアメリカの強さを追随していく危険はないか。

 そこで日本はどうする。あくまでブッシュ大統領やネオコンと一蓮托生して、地獄の中まで「米国一国主義」にお付き合いをするのか。韓国のように緩衝材として役割を作り出すのか。中国やロシアと戦略的なパートナーシップを結ぶ可能性はないだろうが、これから日本は商売国家として東アジアの軍事問題に無関心を装うか。難しい判断が求められる。

 とまあ、偉そうなことを言っても、私にもその先はわからない。中国とロシアの戦略パートナーシップは発展するのか、それとも瓦解するのか。今のところ双方の利害関係が一致して、発展する可能性が高そうに見える。


※これ以前のデータはJ−rcomFilesにあります。