ここには2007年6月のWhat New!を保存しています。 |
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この情報の最も新しい更新日は6月30日(土)です。 |
| イラン各地で騒動 反政府組織 便乗か ガソリン割当制 生活直撃 不満 (毎日 6月29日 朝刊) |
[概要]イラン政府が27日に導入したガソリン割当制は、国民生活を直撃し、国内の不安定要因になってきた。導入に際して各地で起きた騒乱が、今後は反政府組織を巻き込んで拡大する可能性も否定出来ない。イランが最近、核開発問題やイラク情勢を巡る米国との対話に前向きな姿勢の背景には、米英などの経済制裁強化圧力と、ガソリン割当制への国民の不満が共振し、治安情勢に悪影響が出るのを回避したい狙いもある。 イラン政府が26日にガソリン割当制を発表して、首都テヘランで襲撃されたガソリンスタンドは19ヶ所で、80人が警察に拘束された。関係筋によると、若者らは携帯電話で仲間を集め、加勢を呼びかけていた。半政府組織「イスラム人民戦士機構」(MKO)が騒乱に便乗した可能性も指摘されている。 今後、政府援助で低く抑えられたガソリンの購入は、自家用車の場合は1ヶ月100リットルに制限され、割当を越えた分の価格は5倍程度と予測されているが、ガソリン購入に必要な電子カードは行き渡っていない。 イランでは国民の移動手段はもっぱら車だ。生活必需品の輸送もトラックに依存し、ガソリン代の高騰はインフレに直結する。割当制導入当日、テヘランのタクシー料金は20〜80パーセント上がり、生活必需品の値上がりに拍車をかけている。 イランではガソリン消費の急増に伴い、国家財政はひっ迫し、政府のガソリン補助金は8月までしか予算措置が講じられていない。さらに、「核問題で国連安保理がさらなる経済制裁強化を見越し、ガソリン禁輸に備えるため」という見方もある。その上、大渋滞が日常的なテヘランは「集団自殺的」と形容されるほど大気汚染が広がっている。ガソリン割当制は「待ったなし」の状況だった。 イランは最近、IAEA(国際原子力機関)に代表団のイラン派遣を招請し、疑惑解明への行動計画作成に合意した。イラク情勢では先月に続いて対米協議開催に積極的なシグナルをアメリカに送っている。これはガソリン割当制の導入に伴う国内経済の悪化を想定し、自国を取り巻く国際環境の改善を狙った外交的な動きと見ることが出来る。 [コメント]イランの核カードと弾道ミサイルカードの問題は、これから解決する方向で動きを加速するだろう。しかしイランはイスラエルに届く射程2000キロの弾道ミサイル・ハシャブ3の実験を成功させているという意見があると思う。だがイスラエル軍もテヘランを狙える弾道ミサイル・ジェリコ2を開発・配備しているので簡単に発射はできない。 むしろイランはイラクとアフガンの治安安定化に影響力を誇示して、米英の制裁緩和や国連の制裁解除を強く欲しがると思う。イラン革命防衛隊の戦略はその線で動いている様だ。 アメリカとしてもこのままイランで反政府勢力が活動を活発化させ、保守派との闘争で国内が大混乱(内乱状態)とするのは得策ではない。パレスチナ、レバノン、イラク、アフガンに次いで、イランまでも治安が悪化すれば、シリアやパキスタンの治安も保ててなくなる。地中海のレバノンからインド洋のパキスタンまで、戦火が広がればクルド問題やサウジ王制問題も大火事になる。 だから保守・強硬派のイランであっても、核問題が解決し、米英と関係が修復すれば、国際的には制裁解除や経済支援に向かうことになる。日本はそのつもりでイラン対応を急ぐべきと思う。 しかし世界で第2の産油国がガソリンさえも満足に供給出来ないとは、長期にわたる経済制裁は恐るべしである。同じ経済制裁を受けている北朝鮮は、日本で大使館の役割をしていた土地と建物(朝鮮総連中央本部)がハゲタカにだまし取られる寸前だった。北朝鮮が在日社会から吸い上げていた上納金(集金と送金)も大部分が断たれてしまったことになる。これも効果的な経済制裁の一手段である。 アメリカでは泥沼化したイラク問題が解決すると、これから軍事力よりも長期的な経済制裁の効果が注目されることになると思う。日本が今までのODAで鍛えた得意とする外交である。しかし日本ではアメリカなどの外資ファンドと日本企業との株式戦争が始まった。 |
| 機密データ流出防止 「情報」部署から異動 海自 外国人配偶者を持つ隊員 (産経 6月27日 朝刊) |
[概要]海上幕僚監部はイージス艦などの中枢情報が流出している問題で、外国人配偶者を持つ隊員を「特別防衛秘密(特防秘)」など高度な秘密情報に触れる職場から、他の部署に異動させる方針を固めた。該当する隊員は約10人いるとされ、8月以降の定期異動で順次発令する。国防の根幹にかかわる機密情報の海外への流出を防ぐための”苦肉の策”といえそうだ。 海自隊員は約4万人。このうち外国人配偶者を持つ者は約150人で、そのうち約100人が中国人配偶者を持つ。残る50人はフィリピン人や韓国人などの配偶者。このうち米側から供与された艦船や航空機などの構造、性能に関する「特防秘」など秘密情報に接することが可能な隊員10人を中心に移動させる。 イージス艦情報を流出させた2等海曹の妻が中国人で、昨年8月にも1等海曹が海自が収集した外国潜水艦情報を持ち出し、上海に渡航し親密な関係にあった中国人女性と頻繁にあっていたことも発覚している。 今回の海幕の方針は対米配慮に加え、「情報管理の徹底のためには、どんな批判を浴びようとも出来ることは何でもやるしかない」(海幕幹部)という意向が働いている。 [コメント]海幕はこれを情報保全のためと言うが、責任転嫁のためと言い直したほうが正確ではないか。もともと特防秘を漏らした(垂れ流した)のは海自幹部である。中国人妻の2海曹は「特防秘」であることの自覚すらなかった。それを神奈川県警が大スパイ事件と誤認したから大きな騒動になった。上流で元々の情報管理が悪く、それが垂れ流れて下流が汚染された。その下流に責任を押しつけて海幕は恥ずかしいと思わないかのか。 また自衛隊の内規に外国人と結婚してはならないという決まりはない。悪いのは外国人と結婚したことではなく、厳しく情報保全をしなかったことである。この記事で在日米軍関係者の話として、米軍では外国人と結婚した場合、「情報部門などの責任者になることはあり得ない」とされ、「不適当と判断される場合は制限を受けることを覚悟しなくてはならない」と書いている。本当か。今のイラクでCIAなどの要員として活動しているのは亡命イラク人や、イラク人妻を持つイラク系米国人なのである。かつて日本で活躍していた米軍の情報部員の中には、日本人妻を持つ者がいた。問題なのは妻の国籍ではなく、兵士自身の愛国心や情報保全の重要さを理解しているかの問題である。その一番重要な部分に触らないで、妻の国籍で隊員を排除する論理に違和感をもった。今までの経過から考えて、これで機密情報の漏えいが止まるとはまったく思えない。むしろ”悪貨は良貨を駆逐する”に匹敵する。 カンボジアに自衛隊が国連PKO派遣したとき、カンボジアから脱出し、日本に逃れて自衛隊に入った隊員がいた。彼のクメール語(カンボジア語)でどれだけPKO部隊が助かったか。これからは国際貢献が自衛隊の本来任務になった。これから中国、韓国、フィリピン、タイなど、外国人妻を持つ隊員は貴重な戦力となる。その子どもが自衛隊隊員に入っても同じである。また同じ外国人妻でも、アメリカ人や英国人、ドイツ人やフランス人ならいいのか。まったく海幕の狂った時代錯誤(差別意識)には呆れてしまう。この程度の解決策しか考えられないからダメなのである。ダメなものを「どんな批判を浴びてもやるしかない」とは絶望的な言葉に聞こえる。 これから海自は妻の国籍で、自衛官の将来までも否定する様では、アメリカ軍からも海自は”3流海軍”と非難されることになる。海幕長は誰だった。本当にこんなバカバカしい人事管理をやる気なのか。本当に呆れてしまう。海幕問題の根源を見た気持ちだ。腐っている。国際感覚まったくなし。 |
| IAEA協議 北朝鮮主導が確実 核施設封印 選定や履行方法 (毎日 6月27日 朝刊) |
[概要]26日に平壌入りしたIAEA実務代表団は寧辺核施設の停止・封印に向け具体策を協議するが、対象施設の選定や履行方法は北朝鮮側の判断に委ねられることになっている。03年に核拡散防止条約(NPT)を脱退した北朝鮮にIAEAの査察を受け入れる義務はなく、IAEAとの協議は北朝鮮の主導で進むことになる。 今年2月13日の6カ国協議で合意した核施設の停止・封印作業は、北朝鮮側が自国で決定した対象施設や作業手順で行うことをIAEAに通告し、IAEAは作業に立ち会うと解釈している。今年3月の朝鮮半島非核化作業部会でも、「我々が封印後にIAEAが確認に来ればいい」と主張した。 北朝鮮がそのように考える根拠は、NPTを03年1月に脱退しており、現在は国際法上の義務はないという判断をしているからだ。94年の米朝枠組み合意当時はNPTに加盟しており、IAEAの査察を順守する義務があった。だから当時の北朝鮮はIAEAが行った核施設の凍結や停止を受け入れた。 IAEAは今回、北朝鮮との協議が不調に終わると、6カ国協議の合意が崩れることを危惧し、北朝鮮主導を受け入れる方針だ。6カ国協議国の中にも、今回は一定の譲歩で北朝鮮のペースに合わせ、次回の合意に期待する意向が強いという。このため寧辺の5000キロワット黒鉛減速炉と核燃料再処理施設だけの活動停止・封印でもやむを得ないとの認識だ。 [コメント]昨日、欧州のテレビ局(日本支局)から北朝鮮の核問題で事前の電話取材が来た。そのテレビ局のスタッフからいくつかの質問を受けたが、北朝鮮の核問題で関心と知識の少なさに驚いた。相手も私の答えに驚いた様である。 例えば、 質問「北朝鮮で問題のウラン濃縮の行方をどのように見ているか」。 「北朝鮮はウラン濃縮は行っていない。パキスタンのカーン博士から遠心分離器を購入したが、昨年、パキスタンのムジャラフ大統領が出版した自伝では、約20基という数字が書かれている。200基でもなく、2000基でもない。20基ではウラン原爆に必要な量の製造はできない。ウラン濃縮はイランが担当している。北朝鮮は使用済み燃料棒を再処理するプルトニューム原爆の開発を行っている。またウランの遠心分離作業は大量の電力を必要とするが、北朝鮮に新しく火力発電所が建設されたり、送電線が張られた施設は確認されていない。北朝鮮はウラン濃縮に必要な数千個の遠心分離器を連結する特殊アルミ合金管をドイツから密輸することにも失敗している。しかし北朝鮮がパキスタンからウラン遠心分離器を購入したのは事実であるから、これを外交交渉の圧力材料として使うことが出来る」 質問「今回のIEAEの訪朝を核問題解決の前進と考えるか」 「今回は単に原子力施設の一部を使用停止し、封印するだけである。IAEAにとって最大の課題は、北朝鮮が使用済み燃料棒8000本を再処理して取りだした保管中のプルトニュームを封印することである。その点で北朝鮮が『核カード』を破ったことになならない。だからこれで北朝鮮の核問題が大きく前進したとは思わない」 おそらく欧州から見れば、これで北朝鮮はIAEAの核査察と封印、監視作業を受け入れ、北朝鮮の核問題は解決に向かって大きく動き出したと言いたかったのだろう。私の話はかなり期待を裏切った様である。 北朝鮮にとって核カードは最後に残った生存と維持をかけた唯一の交渉手段である。すでにテポドン1やテポドン2の発射実験は失敗している。射程1300キロのノドンに搭載できる小型核弾頭の実験も行っていない。ということは北朝鮮の核カードは、使用済み燃料棒を処理した後、密かに貯蔵されていいるプルトニュームだけである。IAEAがこれに手を付けない限り、北朝鮮はIAEAを受け入れるだろう。すなわち北朝鮮はこれ以上のプルトニュームを製造しないだけの話しである。逆にIAEAの当面の第一目標点は、北朝鮮がこれ以上のプルトニュームを増やさないこととなる。 そうして時間をかけて北朝鮮をNPTに復帰させ、最後に、貯蔵したプルトニュームを攻め落とす作戦となるだろう。もう北朝鮮の手の内は見え見えである。見え見えであっても、それを演じるしかないのも北朝鮮の現実である。国は落ちぶれたくないもである。 |
| イラン IAEA代表団を招待 (朝日 6月26日 朝刊) |
[概要]国際原子力機関(IAEA)は26日、イラン核交渉責任者のラリジャニ最高安全保障委員会事務局長が24日夜、エルバラダイ事務局長とウィーンで再び会談し、IAEA代表団をテヘランに招待したことを明らかにした。 両者は22日の会談で、核兵器開発疑惑や疑問点を解明する行動計画を2ヶ月以内に作成することで一致しており、IAEAは「ならべく早く派遣したい」としている。 [コメント]イランの核問題も段々と終演に近づいてきた。しかし忘れてはいけないのは、このイランの核問題解決は、イランとアメリカが直接交渉してイラクの安定化にイランが協力し、アメリカ軍がイラクから撤退することに合意した成果という点である。 イランが核兵器開発(ウラン濃縮)を急いだのは、アメリカがイランに軍事侵攻をしてくるという危機感からである。しかしアメリカがイランに軍事不可侵攻を約束すれば、イランが核兵器開発を急ぐ理由の大半が消滅する。ブッシュ政権のネオコン勢力はイラクの次ぎにイランへの軍事侵攻を企てていたという確かな証拠がある。しかしすでにブッシュ政権からネオコンは追われ、アメリカにとってイラクの泥沼化からの脱出(出口)は緊急の政治課題になっている。 イランの革命防衛隊がイラクのシーア派武装勢力を使い、イラク国内の治安悪化させたことは言うまでもない。でもアメリカとイランの直接交渉が始まり、イランがイラクのシーア派武装勢力を押さえることに合意した。これでイラク駐留アメリカ軍の出口が見えてきたわけである。 イランの核兵器開発はアメリカ軍の侵攻阻止だった。しかし北朝鮮の核兵器開発はアメリカからの体制保証と援助(支援)を獲得することである。その点から北朝鮮の核問題はまだまだ紆余曲折があると思う。 |
| 久間防衛相 ミサイル攻撃は MDで99%排除 (毎日 6月25日 朝刊) |
[概要]久間章生防衛相は24日、沖縄県宮古島市のホテルで講演し、北朝鮮などから弾道ミサイル攻撃を受けた場合の防衛態勢で、「今のミサイル防衛(MD)システムで99パーセントは排除出来る」と語った。久間氏は「今のSM3で9割以上迎撃でき、外れた1割をPAC3が撃つ確立は9割」と説明した。 [コメント]今年1月に防衛庁から防衛省昇格以来で最大のジョークだと思う。私は今までに何度もMDを「鰯(いわし)の頭」と言ってきた。”鰯の頭も信心”の鰯である。久間防衛相がそんなにも信心深い人だとは知らなかった。もしジョークや特異な宗教観ではなく、科学的な根拠があるならぜひ根拠をお聞きしたい。防衛相としてウソやデタラメだったなら国民に謝るべきだ。 仮に、日本に発射されるノドン・ミサイルは移動式の発射台から発射してくる。北朝鮮のトンネルから出てきて1〜2時間ほどでノドンが発射されるのに、海自のイージス艦はノドンの飛翔コースの下(有効範囲)の海域まで軍港からどう移動(航海)するのか。もしノドンが同時に別の場所や別の目標に数発発射されたらどうするのか。また入間基地(埼玉県)に配備されたPAC3を数時間で都心に移動(自走)させるかのか知りたい。 こんなインチキを言わなくては辻褄(つじつま)が合わないのがMDである。防衛相が平気でウソやたちの悪いジョークを言うから、海自の幹部はイージス艦などの”特別防衛秘密(特防秘)”を垂れ流すのだ。 今朝はこの記事を読んでつい笑ってしまったが、お昼ご飯を食べている時に、笑って済ませてはいけないことに気がついた。私も笑って見過ごしたことを反省するから、久間防衛相もいい加減な発言を反省して頂きたい。意図的にウソをついたとはいわないが、政治家のウソは(税金)泥棒の始まりであることをお忘れなく。 ※ 本日は仕事が16時前に終わり、16時30分頃に自宅に帰ってきました。そこで簡単にこの件だけを更新することにしました。 |
| 本日の更新は休止します (6月25日) |
※ 本日は早朝より、仕事や打ち合わせで外出します。申し訳ありませんが、更新する時間がありません。せっかくアクセスして頂いたのにすいません。休日の昨日(日曜)と一昨日(土曜)は更新しています。そちらを未読の方はぜひお読み下さい。 |
| 防衛省方針 自衛隊員 中国などに留学 信頼関係を醸成 (読売 6月24日 朝刊) |
[概要]防衛省は中国とパキスタンの国防大学に、自衛隊と防衛省内の若手・中堅幹部を留学させる方針を固めた。現地で軍関係者とともに安全保障や戦略論を学ばせ、相互の信頼醸成をつなげるのが狙い。早ければ今年中に1名ずつ、1年間派遣する。パキスタンへの派遣は初めて。中国へは約1ヶ月半の短期セミナーへの派遣実績がある。 派遣するのは自衛隊の佐官級か、防衛省の課長、課長補佐級。これまで数ヶ月の短期留学を除けば、防衛省職員と自衛隊員の留学先は欧米と韓国と豪州に限られていた。防衛省は中国とパキスタンへの留学を通じて、軍事費の不透明さが指摘される中国と、文化圏が異なるパキスタンとの間で、信頼関係を深めたいと話している。 日本にはこれまで中国から4人、パキスタンから43人の留学生を防衛研究所などに受け入れていた。 [コメント]この記事は防衛関係者の留学先を、欧米か、韓国か、豪州に限られたというが、タイの国防大学にも留学生(3佐クラス)を派遣していたはずだが、中止になったとは聞いていない。自衛隊のカンボジアPKO派遣の時にはタイ国防大学留学経験者の情報収集が大いに役立った。私自身も93年にカンボジア南西部で、国連PKO活動(UNTAC)に派遣されたタイ陸軍の工兵大隊を訪れた時、その大隊長から自衛隊の000はタイ国防大学で共に学んだ仲と話していた。そのため私にも巨大な現地の地図を差しながら、丁寧にポル・ポト派の最新情勢を説明して頂いた思い出がある。 それから今回、パキスタンが新しく選ばれたのは、私が指摘している自衛隊のアフガン派遣計画を意識してのことと思う。自衛隊のアフガン派遣部隊の後方支援拠点として、パキスタンは日本にとって重要な位置になる。だからこの機会にパキスタンの情勢や政変などの可能性を詳細に見ておきたいのだろう。すでに自衛隊のアフガン派遣計画は関係省庁で始動しているとみていいのではないか。 中国への派遣は自衛隊員であれば2佐の派遣となる可能性が高い。中国から中佐クラスを防研で受け入れているので、日本も2佐か課長補佐が選ばれると思う。すでに本人には内示が出て、語学研修などを受け入れていると思う。自衛官にとって中国軍の留学はちょっとエキサイトする。単に頭がいいだけでは通用しない。心技体ともに中国軍人や国防関係者から尊敬され、これからの日中・軍事交流の扉を開くぐらいの覚悟で臨んで欲しい。 近い将来、朝鮮半島で中国と日本が対峙することがないように、北朝鮮が崩壊して統一国家が誕生した場合に、日中の信頼醸成が崩れないように頑張って欲しい。 |
| アフガン 治安悪化で対立 米「タリバンに武器支援」 イラン「根拠ない」と反発 (毎日 6月23日 朝刊) |
[概要]アフガンの治安悪化に絡み、米政府高官は「イランがタリバンに武器支援している」と主張し、一方、イラン政府は「根拠がない」と反発して「米政府は治安悪化の責任を押しつけようとしている」と非難した。 バーンズ米国務次官は今月12日「イランの革命防衛隊がタリバンに武器支援している証拠がある」と主張した。ゲーツ国防長官も「大量のイラン製武器がアフガンに流れている」と述べ、イラン政府の関与を示唆した。これに対してイラン外務省のサファリ次官は21日、アフガン南部カンダハルのイラン総領事館が最近タリバンの攻撃を受けたことを挙げ、「むしろ米英が治安確保の義務を怠っている」と反論した。 イランとタリバンはこれまで敵対し、98年には全面戦争の危機に直面したことがある。01年の同時多発テロ後は、米英軍の対アルカイダ・タリバン戦争をイランが支援し、アフガン新政府の樹立にイランも大きな役割を果たした。 イランはシーア派の国でタリバンはスンニ派で、両者は敵対し水と油の関係という。最近のタリバンは麻薬ビジネスで軍資金を得ており、イラン東部の国境地帯が麻薬流出経路になり、イラン政府は麻薬マフィアと戦争を続けている。そのためイランがタリバンに武器支援するなら、それは敵に塩を送る行為にほかならない。アフガン政府のワルダク国防相は「イラン製兵器は麻薬マフィアなどのルートから入ってきた」と指摘し、イラン関与説に疑問を呈している。 [コメント]イラン政府がアフガンのタリバンに武器を送ることはなくとも、イランの革命防衛隊ならば「敵に塩」の武器を与えることは考えられる。タリバンと麻薬戦争中のイラン政府と、謀略や秘密工作が主任務のイラン革命防衛隊の動きを同一と見るべきではない。イラン政府で革命防衛隊に指示出来るのは、トップレベルのごくごく一部と推測するのが常識である。 本日の毎日新聞に「自爆テロの時代 イラン少年義勇兵が影響」という西川恵氏(専門編集委員)のコラムが掲載されている。イラン・イラク戦争(80年〜88年)の時、イラン革命防衛隊は農村の小・中学校でバシジ(義勇兵)をあつめ、祖国防衛の国難で、「死ねば神の国に行ける」と殉教を説いたという。少年達は「アラーホ・アクバル(神は偉大なり」」と書いた鉢巻きをつけて地雷原に突入した。当時のイラク軍捕虜は西川氏の取材に「素足の子ども達が倒れても倒れても、その後からわくように向かってきた。恐ろしかった」と話したという。これが最近多発している自爆テロの日常化の始まりだという。 このように革命防衛隊はことの善悪で行動する組織ではないのである。イスラム教シーア派国家を死守するために、ことの善悪を越えて防衛する組織なのである。多くの軍事思想の中には、確かに善悪を超越したものが少なくない。広島、長崎に原爆を投下し、日本の大都市を空爆で焼き払い、大量の市民を虐殺したことも同類である。朝鮮戦争の時に、北朝鮮軍は非難していた女性や子どもを銃で脅し、米軍陣地前の地雷原を歩かせている。もし立ち止まれば背後から北朝鮮軍の兵士が射殺した。またアメリカ軍は陣地に押し寄せる女性や子どもの避難民を、機関銃や手榴弾でなぎ倒した。そうしなければ地雷原を突破されて、背後の北朝鮮兵に蹂躙(じゅうりん)されるからである。そこにはことの善悪で説明出来ない戦争の現実がある。 アメリカがイラン革命防衛隊の知略や謀略と戦うには、米軍の正規軍や表の外交交渉とは異次元の力で対抗するしかない。アメリカはイラクの反米武装組織に負けたのではなく、イラクで暗躍するイラン革命防衛隊に敗北したのである。 |
| 参院選後 政府検討 アフガンに調査団 復興への人的貢献探る (産経 6月22日 朝刊) |
[概要]政府は21日、アフガン復興支援の具体策を探るため、今年夏に現地調査団を派遣する方針を固めた。外務、防衛両省の担当者が首都カブールを訪問する。アフガン政府や米軍、NATO軍から治安情勢を聴取し、自衛隊員や文民警察官派遣の可能性を検討する。日本政府はすでに、無償資金協力などを通じて支援を行っているが、人的貢献が不可避と判断した。 安倍首相は今年1月、NATOがアフガンで実施している地方復興支援チーム(PRT)への支援強化を約束したため、アフガンでは日本の人的貢献に期待が強まっていた。 ただ自衛隊員派遣に関しては、テロ対策特別措置法がアフガンの米軍やNATO軍の支援を想定しておらず、法改正が必要になる。外務、防衛両省は調査団の報告を待って、人的貢献を慎重に検討する方針だ。 [コメント]この記事に文民警察官をアフガンに派遣する場合もあると書いているが、それは100パーセントない。警察庁は国連のカンボジアPKOで派遣した文民警察官が待ち伏せで銃撃され、死亡したことで、紛争地に警察官を送ることを断念している。 安倍首相はアフガンのISAF(国際治安支援部隊)のPRTに、国際貢献が本来任務になった陸上自衛隊を派遣したいのである。むろん現行のテロ対策特措法の改正も視野に入っている。またNATO軍と自衛隊が共同して作戦行動が出来るように、正当防衛ではなく集団的自衛権の解釈変更も考えている。早ければ、今年中の自衛隊アフガン派遣もあるし、遅くとも来年前半の派遣となると推測する。その最大の根拠は守屋防衛事務次官の任期(平成15年8月から)である。すでに4年が経とうとし、内外から、あまりに長期過ぎるという批判が起きている。 そこで7月の参院選挙で自民党が大敗北した場合だが、この影響をどの程度に想定するかよくわからない。安倍首相の辞任でこのアフガン派遣計画は中止されるのか、あるいは次ぎに麻生首相(現外相)が誕生したらどうなるのか。いずれも陸自のアフガン派遣は首相が次期・米大統領に献げる恭順の証である。 イラクの次はアフガンか。自衛隊の車両に白い塗色に黒字でUN(国連)と書き、ブルーの帽子やヘルメットを被った国連平和維持活動(PKO)が懐かしい。自衛隊の国連PKO派遣では断固支持したが、イラクやアフガン派遣を支持しては自衛隊員に申し訳ないと思う。 |
| イラク特措法 2年延長 改正法成立 空自の「出口戦略」 焦点 米大統領選まで現状維持か (読売 6月21日 朝刊) |
[概要]7月末に期限が切れるイラク復興支援特別措置法を、2年延長する改正法が20日の参院本会議で可決、成立した。航空自衛隊のイラク派遣期間を来年7月末まで1年間延長する。 イラクには空自隊員210名とC130輸送機3機が派遣し、クウェートのアリ・アル・サーレム空軍基地を拠点にイラクのバグダッドやアルビルなどの空港に多国籍軍の物資や人員などの輸送を行っている。今月14日までの活動実績は、輸送回数518回、物資輸送は524トンにのぼる。イラク国内では宗派対立が激化し、治安回復の見通しが立たない中で、空自部隊撤収に向け、政府の「出口戦略」をどう描くかが今後の焦点になる。 陸自が昨年7月にイラクから撤退して以降、空自の輸送機は多国籍軍と国連の要員や物資を主に輸送している。ある自衛隊幹部は輸送の対象を「8〜9割は武装米兵などの多国籍軍要員」と打ち明ける。政府にとって空自部隊のイラク派遣は、イラク復興への象徴で、今後、極端に治安が悪化しない限り、空自の撤退は言い出しにくいのが現実だ。ある防衛省幹部は「日本が国際貢献をしていないと責められないのはイラクに派遣しているからだ。もし出していなければアフガンに陸自派遣を求められても拒否出来ない」と語る。 ブッシュ政権のイラク政策には、与党の共和党内で不満が高まっているが、長期駐留に必要性も指摘されている。米国の「出口戦略」は08年の大統領選挙まで現状維持が続き、次期大統領のイラク政策で決まるという見方が確実だ。政府内では「次期大統領のイラク政策を見極めたうえで、カードを切るのが得策だ」(防衛庁幹部)という声がある。 [コメント]数ヶ月前のことである。夜中の3時に電話の呼び出し音で起こされた。その時、胸をよぎったのは、もしかしてイラクで空自のC−130が被弾したのではという不安な気持ちだった。結局、その電話はアメリカからで時差の計算を間違えた友人からだった。 しかし空自のC−130が離陸時に、携帯式対空ミサイル(携帯SAM)で米軍のCHー47輸送ヘリを撃墜して自信を高めたイラクの武装勢力が、アルビル空港でゲリラ攻撃を仕掛けてくる可能性はある。以前、バグダッド空港でアメリカ軍の大型輸送機や民間の大型輸送機が、武装勢力が発射した携帯SAMで、4発のエンジンの一つに被弾しても緊急着陸で墜落は免れた。しかし中型輸送機のC−130だと不安がある。 本日の朝日新聞の社会面にイラクに派遣された空自隊員の話がのっている。空自パイロットの話では飛行中にミサイルの飛来を感知した警報音がかなりの頻度で鳴っている様である。中にはセンサーの誤作動もあるだろうが、警報音を聞いた乗員の緊張は大変なものだと思う。 久間防衛相がイラクの空自部隊を激励に行くという話しは、イラクの治安(情勢)悪化を理由に中止されたという。 |
| 参院外交防衛委員会 「全国民が調査対象」 自衛隊情報収集で防衛相 (毎日 6月20日 朝刊) |
[概要]久間章生防衛相は19日の参院外交防衛委員会で、陸上自衛隊情報保全隊がイラク派遣に反対する市民団体などの情報を収集していた問題で、民主党議員の質問に答えた。「自衛隊の行動、組織、保全に関することなら、あらゆる団体を調査しても違法とは言えない」と述べ、「国会議員であっても、国民として平等に情報収集の対象になりえる」として、全国民が情報収集の対象になるととの認識を示した。 自衛隊の情報収集に関して、「集めたこと自体が悪いと判断できない」と正当性を強調。一方、収集した情報を「反自衛隊的」など分類していることについては「東西冷戦当時のままでやっており、ある意味で惰性だった。『反自衛隊』という分類の仕方を検討させている」と述べた。 共産党が6日に公表した内部(情報保全隊)文書によると、この質問をした増子議員が04年(当時は衆議院議員)に自衛隊OBが組織する隊友会の祝辞で、自衛隊のイラク派遣に反対したことことについて「派遣を誹謗(ひぼう)」したと記載されている。 [コメント]私が札幌で03年11月に開催したオフ会(第5回)のタイトルは「これでいいのか! 自衛隊イラク派遣」だった。前半の講演で一通りイラク派遣の問題点を話し、後半は質疑応答に切り替えた。その時、参加者のひとりが「それであなたは派遣に賛成か、反対なのか」と質問した。彼が自衛隊の調査保全隊(旧調査隊)の者である。このオフ会が自衛隊のイラク派遣に反対する立場か調べにきたのである。その質問に私は、「賛成するか反対するか、それは皆さん自身が決めてください。私は問題点だけを話しています。それでも自衛隊はイラクに行くべきと考える人はその確かな理由を考えてください。自衛隊はイラクに行くべきでないと考えた人はその意志を示してください」と答えた。これで情報保全隊は私のオフ会を「反自衛隊活動」と分類出来なかった。これが札幌のオフ会が情報保全隊の資料に記載されていない理由だと考えている。 この情報保全隊の流出資料について、すでに10社以上のメディアから取材を受けた。今でも取材依頼の電話があるので、この内部文書から国民が受けたショックはかなり強いようだ。国民の側には、ビラ配りや、デモや、集会などは、憲法のいう言論の自由であり、なんら違法行為はしていない。それなのに戦車や機関銃などの武器を持った軍事組織(自衛隊)が、罪のない一般人を監視していることが不安だと感じているのだろう。戦前や戦中の憲兵が、国民の思想や生活を取り締まっていたことを連想する人もいるようだ。 しかし自衛隊の情報保全隊はオウムのサリン事件のように、空挺団の隊員(3曹)がオウムに引き込まれ、空挺団長の官舎の電話線に盗聴器を仕掛けた事件を挙げ、外部から隊員に違法な働きかけを警戒する正当性をいう。もし憲法や法律に違反しなければ、そのような情報保全隊の監視活動や調査は問題ないという考えである。 どうして双方にそれほど激しい不信感があるのだろうか。それは歴史が証明してくれる。明治維新、日本に中央集権の明治政府が出来た。そして日本に徴兵制がひかれ近代的な軍事組織が誕生した。しかし明治初期の新軍事組織は、士族の反乱や農民一揆に備えた治安部隊の性格が極めて強かった。だから敵性として一般社会に対して厳しい視点が注がれた。また戦後に自衛隊(警察予備隊)が創隊されたときも、朝鮮戦争でカラになった米軍基地を守るために自衛隊が作られた経緯がある。同時に反基地運動や反安保運動などの反戦団体を厳しく警戒した。ここでも自衛隊は一般社会を敵性と位置づけることになってしました。 これが外国では、植民地からの独立や、王制から主権を奪いとる市民武装集団として近代的な軍事組織が誕生したものが多い。軍隊とは自分たちの誇りであり、名誉ある武装組織なのである。この違いに自衛隊の不幸があると思う。 また今回の事件では、自衛隊内の情報保全を取り締まる情報保全隊の内部文書が漏れたという事情がある。この文書は秘密文書(秘密指定なし)ではないが、取り扱いに注意を要する注意文書であった。だから隊員達の中には、情報保全隊の情報管理の甘さを非難する声もあった。イージス艦の「特別防衛秘密」漏えいは防げないのに、一般市民の監視などを徹底する「外に厳しく、内に甘い」体質への批判である。 本来ならば、市民への監視は警察が行うべき仕事と思う。自衛隊の情報保全活動(カウンター・インテリゼンス)は外国の軍事組織などの暗躍から組織を防衛をするのが第一任務である。しかし日本の警察は自衛隊のクーデターや内部の機密情報漏えいを警戒して、市民の情報を自衛隊に与えることに好意的ではない。ビラまき、デモ、集会などの背景調査は、警察が担うべきことと調整出来ないか。そのような警察と自衛隊の関係を築かないと、いつまでも自衛隊は市民と敵対する関係を改善出来ない。全国でたった900人しか陸海空に情報保全隊はいない。年金問題や消費税をテーマにした市民集会まで調査していては「特防秘」は守れない。 |
| アフガン全土 治安悪化 米、イラクの関与疑う (朝日 6月19日 朝刊) |
[概要]アフガン全土で治安悪化が広がりはじめた。首都カブールでは2日連続で自爆テロがあり、17日には日本人も巻き込まれて負傷した。比較的平穏な北部でも自爆テロが続く。アフガンで「テロとの戦い」を進める米国は、イランがタリバンを支援しているとの疑いを強めている。今月4日、カブールを訪問したゲーツ米国防長官は「イランから武器が流入している」と語った。 カブールでは16日に、国際治安支援部隊(ISAF)の車列を狙った自爆テロで4人が死亡した。今年、アフガンで発生した自爆テロは少なくとも67件で、最悪だった昨年の136件を上回りかねないペースだ。 アフガン南部の山岳地帯ではタリバンが息を吹き返した。特に南部はインフラの整備が遅れ、職もなく、将来に失望した若者がタリバンに合流し始めている。東部のパクテッカ州では17日、米軍がイスラム神学校を空爆して子ども7人を殺すなど誤射・誤爆も多発。人々の反米感情が高まり、タリバンへの支持が高まっている。 比較的治安がよく戦後復興も順調に進んでいた北部でもテロが増え始めた。16日にあったテロ(民間人2人が犠牲)はタリバンに呼応するイスラム教保守派のヘクマチアル元首相の支持者が関与した可能性が強い。北部一帯を支配する軍閥のドスタム将軍(ウズベク人)とカルザイ大統領(パシュトィン人)の反目も治安悪化の一因になっている。 米国はアフガンの西隣イランがタリバンを支援していると神経をとがらせる。アフガン治安当局やISAFもイラン製のライフル銃や地雷を押収している。ただしイランはアフガン復興を支援しており、アフガン政府はイラン関与説の火消しに躍起だ。ワルダク国防相は「(国際テロ組織)アルカイダや麻薬組織など他から入ってきたのではないか」と米国の見方を否定した。 [コメント]すでに何度も書いたが、イラクの治安安定化に向けたイランとアメリカの直接交渉が始まっている。基本的にイラン、アメリカが共にイラクが安定化を目指して、米軍がイラクから撤退することに合意している。だからといって、イランがアメリカに何もしないわけではない。イランの隣国であるアフガンを混乱させ、アフガンのISAFを右往左往させればアメリカへの交渉圧力となる。そのことは戦争(停戦)交渉の常套手段である。アメリカがタリバンをイランが支援していると非難するのは、そのような理由からである。 しかしここにきてアフガン情勢の悪化で困った国がある。それは日本だ。私は日本政府が7月の参議院選挙の後に、アフガンに自衛隊を派遣することを公表すると推測している。ただし参議院選挙前には自衛隊のアフガン派遣は口が裂けてもいわない。しかし、今年になって安倍首相、麻生外相、久間防衛相の動きや発言から、自衛隊のアフガン派遣が近いと思った。 自衛隊の派遣地域はタリバンとの激戦が続くアフガン南部を避け、比較的平穏と思われた中部や北部になると考えていた。そして派遣部隊の任務はNATO(ISAF)がアフガンで行っている地方復興支援チーム(PRT)方式である。これは民間NGOとISAFの部隊が復興チームを組み、宿泊、給食、警備、通信、交通(移動)はISAFが担い、直接の復興事業(地雷撤去、道路や橋の工事、学校や病院の建設など)を民間のNGOが行うという方式である。 しかし自衛隊のアフガン派遣も、アフガン全土で治安が悪化すれば難しくなる。また7月の参議院選挙で自民党が大敗し、安倍首相が責任を取って辞めれば御破算になる。これは防衛庁が防衛省に昇格し、海外任務が付随任務から本来任務になったことで、自衛隊部隊のアフガン派遣を決めたと思う。防衛省に昇格したにもかかわらず、イラクの空自部隊以外に自衛隊が海外派遣されないことは、安倍政権の体質では考えられない。 というわけで、来月の参議院選挙では自衛隊のアフガン派遣も、その賛否が密かに国民に問われることなると思う。ただ自民党は参議院選挙が終わるまで口が裂けてもそのことを言わないだけである。3年前の参議院選挙では自衛隊のイラク(サマワ)派遣によって防衛・自衛隊票が逃げ、大敗(比例代表の全滅)を喫した悪夢の再現を避けたいからである。 |
| ミサイル防衛(MD) 日米開発SM3ミサイル 米、多弾頭化を打診
費用理由に日本側拒否 (読売 6月18日 朝刊) |
[概要]日米で共同開発中の能力向上型の迎撃ミサイル「スタンダード・ミサイル3」について、米政府は日本政府に対し、開発計画変更を打診していることがわかった。 米側はSM3の単弾頭を多弾頭にすることを求めたという。能力向上型SM3は防護範囲の拡大や命中精度向上が期待され、「敵のICBM(大陸間弾道弾)を高空飛行中に撃破することも可能になる」(防衛省幹部)という。米政府内ではロシアや中国の弾道ミサイルに対抗できるように、能力向上型SM3は「単弾頭ではなく多弾頭にすべきだ」という意見が浮上している。 しかし多弾頭だと開発予算が大きくなり、開発期限の見通しも立たないことから、米下院軍事委員会は、@日本の同意を得る。A配備時期が遅れない、などを挙げた。そこで米政府が日本政府に打診したところ、日本側は「計画が遅れ、費用も増える可能性があるので受け入れられない」と拒否した。 防衛省の試算では、能力向上型の開発費用は21億ドル〜27億ドルで、日本側負担は10億ドル〜12億ドル。2015年からの生産開始を目指している。 [コメント]北朝鮮から日本の米軍施設を狙って発射される射程1300キロのノドン・ミサイルや、イランからカタールの米軍施設(司令部や後方支援基地)を狙って発射される射程1300キロのハシャブ3・ミサイルは、日本海やペルシャ湾のイージス艦に搭載されたSM3(初期型)で対抗する。現在(初期型)のSM3・ミサイルは射程が約500キロ程度で、高度100キロ〜200キロの高度を飛翔するノドンやハシャブを迎撃することを想定してる。しかし飛翔高度が1000キロ以上の中国のICBMには対抗出来ない。 このままだと北朝鮮が崩壊し、イランがICBMの開発を断念すると、これから配備するイージス艦搭載SM3の存在価値がなくなることになる。北朝鮮あっての海自のSM3配備なのである。 防衛省は約1兆円のMD予算は正面装備の枠内の予算を削って割り振ることを決めている。安易にMD予算を拡大させれば、正面装備が削られる自衛隊側の不満を高めることになる。また日本が中国やロシアの戦略核兵器に対抗するという核戦略の変更は、集団自衛権の議論と混同されて極めて危険な傾向を国民に感じさせる。この様に防衛省としても、簡単に米政府の変更打診を受けることができない事情がある。 ところで能力向上型SM3・ミサイルの迎撃実験はどのようにして行うのか。中国がやったように宇宙空間で標的用の宇宙ロケットに命中させるのだろうか。それとも臨界前核実験のようにスーパーコンピューター上の模擬テストで済むのだろうか。実際の実験をしないことには兵器として信頼性を確認できず、配備することはできない。だんだんとMDに関しては、眉にツバをつけながら話しを聞く必要に迫られてきた。 |
| 自治政府崩壊 ハマス支配に暗然 中東の 大きな地殻変動だ 山内昌之・東京大教授 (国際関係史) (毎日 6月16日 朝刊) |
[概要]イスラム原理主義組織ハマスが支配下に置いたパレスチナ自治区のガザ地区は、ミニ国家”ハマスタン”と呼ばれ始めた。今回の事態について東大の山内教授が毎日新聞にコメントを寄せた。 「今回の事態は、イラク戦争後に起きた中東の大きな地殻変動の表れだ、イランの影響力拡大に伴うシーア派の伸長は、レバノン内紛やエジプトの影響力の後退をもたらし、穏健派は弱体化した。パレスチナでは民主的な選挙が行われイスラム原理主義のハマスが台頭し、穏健派のファタハとの2重権力状態が明確になった。ファタハは国際社会から支援を受けているが、腐敗のために国民の支持が得られていない。ハマスは市民を巻き込んだ武装闘争をやめて現実主義に転換しなければ国際社会の支持が得られない。このままガサ地区がハマスに支配されて孤立し、パレスチナ自治区のミニ国家になれば、中東のテロの拠点になると米国やイスラエルの強力な干渉を招くことになる。パレスチナの主権独立国家への展望は非常に暗いものになる。」 以上、毎日新聞に掲載された山内教授のコメント(要約)。 [コメント]昨年行われたアメリカの中間選挙で、ブッシュ大統領の共和党は大敗北を喫した。アメリカの国民が泥沼化するイラク戦争にNOを表明したからだ。そこでブッシュ政権からネオコンが追われ、ブッシュ大統領が悪魔の枢軸と呼んだイランとの直接交渉も始まった。そのようなイランなどシーア派の台頭と、アメリカのイラクからの逃げ腰で、確かに中東で大きな地殻変動が起き出したと思う。この大きな地殻変動という言葉に「確かに!」という気持ちを強く感じた。 すでに中東ではイラク後に向けて胎動を始めているのだ。今回のハマスのクーデターは中東の火薬庫に火を投げ込んだのかもしれない。 アメリカのイラク侵攻で”パンドラの箱”は開けられた。しかしパレスチナ住民が自力でこの難問を解決する力があるのか。安易に国際社会が安定化戦略も曖昧に介入しても解決にならない。やはりこの問題を議論する場は国連安保理しかないだろう。現実的に国連無用論は成り立たない。 |
| BDA問題 北朝鮮の資金送金 マカオ「2000万ドル以上」 米、自ら制裁破り 核解決へロシアと協力 (朝日 6月15日 朝刊) |
[概要]マカオの銀行バンコ・デルタ・アジア(BDA)で凍結されていた北朝鮮関連資金について、マカオ政府は2000万ドル以上の送金手続きを行ったことを発表した。今回の措置を受けて、北朝鮮が2月の6カ国協議で合意した核放棄に向けた「初期段階の措置」を行動に移すかどうかが焦点になる。 BDAの北朝鮮資金は、マカオからニューヨークの米連邦準備銀行、さらにロシア中央銀行を経て、ロシアの商業銀行にもともとあった朝鮮貿易銀行の北朝鮮口座に送られるとみられる。 ニューヨーク連銀は米国の中央銀行にあたるひとつ。これで米財務省は資金洗浄の疑い濃い資金を凍結させた制裁措置を自ら破る格好になった。この送金はライス国務長官が強く主導したとみられるが、制裁の旗を振った財務省には不満が強かった。同省高官は「政治力が働いた」と不快感を示している。 しかし北朝鮮は国際金融システムへの完全な復帰を要求しており、今回の措置で納得するかどうかの予断は許さないとの見方がでている。 核放棄に向けた初期段階措置の履行については、まず寧辺の原子炉の稼働停止・封印について北朝鮮とIAEA(国際原子力機関)の協議が必要になる。13日、IAEAの6月定例理事会(ウィーン)では、北朝鮮の核活動は不拡散体制への重大な挑戦とし、すべての核計画の完全廃棄を求める議長総括を了承した。 ロシアのロシュコフ外務次官は5日、ソウルでロシアの銀行による送金協力の意向を表明し、「ドイツでのG8(主要国首脳会議)で今回の解決方法の話しが出た」と明かした。ミサイル防衛(MD)の欧州配備で激しく対立してきた米露が協調できる貴重な材料が、北朝鮮問題だった。 [コメント]今回のBDA北朝鮮口座の凍結・解除の騒動で、各国の国際金融機関は北朝鮮絡みの口座に対して関係を断ち、新規の口座開設も断るのは間違いない。ロシア(当初)や中国までもBDAからの送金を拒否したことで、もはや米財務省が制裁を公表しなくとも各金融機関が自主判断で”拒絶”を行うことになる。すでに北朝鮮は国際金融システムから完全に排除された。今後、北朝鮮は貿易などの決済も難しくなるし、現金(ドル)による決済も外貨不足や偽ドル札で難しい。今回のBDA問題は北朝鮮を追いつめることに大きな成果を発揮した。 米露の関係だが、ロシアはG8の前に「北朝鮮へのぜいたく品禁輸」(国連安保理の決定)を発表した。ぜいたく品の中には武器やその部品も含まれている。またロシア製でなくとも、外国品であってもロシアを経由して北朝鮮に輸出することを禁じている。すなわちイランから陸路や空路(ロシア上空通過)でも、北朝鮮との物品の移動を禁じた。これまで海上交通も厳重に監視されているので、核爆弾に使うイランの濃縮ウランと北朝鮮のプルトニュームが行き来できなくなった。ドイツG8の直前にロシアが発表した「北朝鮮へのぜいたく品禁輸」措置は、米露間でもっと大きな合意があったことを推測してもいいのではないか。すなわちイランの核開発を米露が共同して阻止するという合意であると思う。 そのような大きな合意が行われたから、レバノンでシリア系武装組織「ファタハ・イスラム」とレバノン軍が激しく戦闘を始め、パレスチナ自治区のガザではイスラム原理主義のハマスが武力制圧を開始した。またイラクのシーア派聖地「イマーム・アリー・ハーディ廟」では、アルカイダ系スンニ派武装組織が黄金のミナレット(尖塔)2本を爆破した。トルコ軍はイラク北部のクルド人地域を軍事侵攻するぞと威嚇している。それぞれが各地で必死に自己主張している。しかしレバノン南部を支配するイラン系の武装組織ヒズボラは動いていない。これは米、露、イランの3カ国(シリアを除く)が、イラク問題で合意したとみるべきなのか。 アメリカのネオコンとは逆の考えだが、中東に米露主導の平和や安定化を求めず、激しく戦争が続くことを願う勢力がいる。だから、私は”平和になる前に戦闘が激化する”という経験則がある。 まずは早い段階で北朝鮮問題を片づけ、中東で広がりを見せる戦火を消すことが米露合意ではないだろうか。ロシアにとっても自分の裏庭(中央アジア)に通じる中東情勢悪化に危機感を高めてきたのではないか。 ※ 青字の部分は最初に更新して8時間後に加筆しました。これはトルコ軍には本気でイラク北部に軍事侵攻する意図はなく、あくまでイラク和平でトルコ(クルド人問題)が無視されることに反発していると意味です。 |
| トルコ軍 北イラク侵攻の可能性 二重基準 欧米を非難 一橋大学院教授 内藤正典氏 署名記事 (産経 6月14日 朝刊) |
[概要]トルコ軍が北イラクにあるクルド人地域へ侵攻する可能性が高くなっている。イラク政府は9日、トルコ側からイラク領内に砲弾が撃ち込まれたと非難する声明をだした。 トルコ軍は「同盟国がダブルスタンダード(二重基準)でテロを支援している」(同 ビュユクアヌト参謀総長 5月31日)と語り、米国と欧米が人権を盾にクルド人武装組織「クルド労働党」(PKK)を支援していることに強く憤っている。 トルコはNATO同盟の加盟国として、これまで米国と密接な関係を維持している。しかし今年3月以降、PKKがトルコでテロを繰り返し、先月末に首都アンカラで初めて死傷者100人を越える自爆テロが起きている。トルコ国内では米国に対する反米感情がかつてないほど高まっている。PKKの背後にイラク北部のクルド人自治区を率いるバルザニ氏がいて、その背後に米国がいると思っているからだ。 バルザニ氏は米軍と協力してPKKの取り締まりを約束しても実行出来ない。米国もPKKをテロ組織に認定しても、バルザニ氏に圧力をかけられないからだ。これがトルコのいうダブルスタンダードということになる。バルザニ氏はイラク北部のクルド人地区を独立させたいと思い、それまではPKKを取り締まると域内が対立すると避けている。また米国は比較的安定しているイラク北部を混乱させたくないと思っている。 今のところトルコのエルドアン政権は、軍に越境攻撃の指示をだしていない。7月の総選挙を前に、国内にいる1500万人以上のクルド人の反感を買いたくないからだ。しかしイラク侵攻の指示を出せば、トルコ人のナショナリズムを刺激し、支持を集めることができるという別の面もある。それに対して軍は、トルコ共和国の絶対不可侵という憲法の原則を守って、クルド人武装勢力と厳しく対峙する強硬な姿勢を崩さない。 EU諸国は理不尽な要求でトルコの加盟阻止を図り、米国はイラク情勢をコントロール出来ないままテロ組織を放置している。米国と欧米がテロとの戦いでダブルスタンダードを用いることが中東情勢をいかに危険にさせるか、そのことをトルコ軍は国際社会に警告している。 [コメント]このコーナーの6月7日の記事で、トルコ軍がイラク北部のクルド人地区に侵攻したと書いたが、どうやら砲撃だけで、トルコ軍は越境していない様だ。やれやれである。 トルコ軍はイラク北部に越境すれば、トルコ、イラク、イランに住むクルド人社会が猛反発して、中東全体が大変な軍事危機に襲われることは理解しているようである。また軍もエルドアン政権の指示を無視して、独断でイラク侵攻することは難しい。 ・・・・・・ちょっと急な呼び出しで、出かけてきます。・・・・・・・書きかけで中断してすいません。・・・・・・ |
| 脱北家族 韓国移送 手続き着手 政府 一時上陸認め、意思確認 (毎日 6月13日 朝刊) |
[概要]政府は脱北して青森県の港に漂着した北朝鮮・家族4人に、韓国移送に向けた手続きに着手した。4人は韓国行きを希望しているが、外務省幹部は「受け入れの障害は特に聞いていない」と述べ、意思確認後に移送手続きが取られる見通しだ。 別の政府筋は12日、在京の韓国大使館員がすでに4人と面会し、韓国移送を希望するかどうかの意思確認に入ったことを明らかにした。 [コメント]この問題で大事なことは「日本と韓国の間で脱北者に関する密約」があるかどうかのことである。というのは韓国が金泳三大統領時代の97年7月に作られた「30日計画」の中で、日本は北朝鮮が崩壊した際に100万トンの備蓄米を韓国を通じて緊急支援することを決めていると言われている。しかし日本といえども、何の見返り無しに100万トンの米を支援するわけではない。その見返りは脱北者が日本に漂着した場合、韓国政府が脱北者受け取り(韓国移送)を引き受けるというものと推測する。韓国を目指して船で脱北し、機関の故障、天候の悪化、海流の影響などで、脱北者が日本に漂着しても、すみやかに韓国移送が決められている。 今回はその日韓密約を通じて、脱北者・移送作業が順調に行われたことになる。明らかに今回は良い前例作りになったと思う。密約のことは日本ではあまり語られていないが、韓国側の過去の資料や報道でそのことを示唆するものがある。密約だからといってもそれを暴いて声高にいう必要はないが、明日にでも脱北者が日本の港に押し寄せるとか、北の武装難民が日本海側の都市を襲うというような危機扇動派の発言を聞くと、正直、勉強が足りないと思う。 だから私は今も韓国で毎年見直しが行われている”30日計画”を、これからも日本は積極的に支援するように主張する。30日計画が発動される時期が間近に迫っている。 |
| SIPRI「2007年版年鑑」 中国・国防費 日本抜く 06年 495億ドルでアジアトップ (読売 6月12日 朝刊) |
[概要]スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI 神浦・・・シュプリと読みます)は11日、「2007年版年鑑」を発表し、06年の世界の軍事支出が前年比3,5パーセント増の1兆2040億ドル(1ドル 約121円)に達し、軍事費が冷戦終結後としては過去最高額に達したことを明らかにした。アフガンやイラクに派兵する米国の軍事費増大が影響した。米国は06年で軍事費支出増加分の62パーセントを占めている。 中国は今回初めて、日本を抜いて世界第4位になった。1位は米国の5287億ドルで全体の44パーセントを占め、2位は英国で592億ドル、3位はフランスで531億ドル、4位が中国で495億ドル(前年比11,7パーセント増)でアジアトップ。日本は5位で437億ドルだった。 [コメント]中国の実質的な軍事費が、この数字(額)の2〜3倍ということはもう書かない。あまりにも常識になっているからである。それにしても毎年2ケタの伸びで拡大する中国の軍事費だが、そろそろきちんと内情を公表する時が来たと思う。10年前なら中国軍に公表しろと言うのは可哀相な気がしたが、今はいろいろな機会を設けて、世界の報道機関に積極的に公表しても恥ずかしくないと思う。というのは、中国のインターネットでは軍事マニアのサイトがあり、航空基地や演習などの写真が多く掲載されている。もう以前の様に、中国当局が軍事施設を黒いベールで覆っても、その中から漏れてくる写真などを制御出来なくなっている。 むしろこれからは内情を積極的に公開した方が、中国軍に対する誤解やデマを防ぐことができる。いつも私が主張している「情報管理を徹底したいなら秘密でない情報は積極的に公開」という情報管理のやり方である。中国軍の現場サイドでもF−10戦闘機の様に公表したがっている者たちもいる。 実は今ほど中国軍の実態を資料調査で解明出来る時代はなかった。ある程度の軍事知識があり、中国語の読み書きが出来るものなら、インターネットを通じて中国軍の最新情報や兵器の写真などを収集することは簡単である。それを痛感したのは中国空軍の早期警戒管制機が事故で墜落した時だった。日本に住む中国人の大学教授(政治学)から事故に関する中国のネット情報を見せてもらった。鮮明な機体の写真や墜落した場所、葬儀に出た軍幹部の名前、事故原因に関するものまで中国のネットには情報が氾濫していた。日本の自衛隊マニアの類ではなかった。互いに知りたいことをメールで告げると、知っているのものがすぐにメールで知らせる態勢ができていた。その情報の量や質が半端ではないのである。 例えば、「あの事故機は誰が操縦していた?」 直ちに「000が機長で、△△△が副機長だ」と返事が来る。すると「000機長は昔×××空輸部隊にいた」と別のメール。 すると「×××部隊のあとテストパイロットに選ばれて転勤した」という具合である。空軍関係者や事故機に搭乗していた親戚、友人、部下上司、知人という人たちがメールをやり取りしていた。メールをやり取りする者は互いに面識はなく、日本のように「情報保全隊(旧 調査隊)に目を付けられるぞ」という感覚はないと思った。中国では新聞などに詳細な事故情報が出ないので、真相を知りたい者がネットで事故の関連情報を共有していた。 はっきり言って、外国人(報道関係者を含む)に中国軍を見せまいと必死になっている中国軍の情報担当者がバカに思えた。だったら中国軍は情報を積極的に公開した方がいいと勧めるのである。日本、中国共に、”隠せばいい”という情報保全慣習は通用しなくなっている。 |
| クラスター爆弾禁止条約 政府、賛成表明へ 積極関与 実効性確保狙う (産経 6月10日 朝刊) |
本日は新聞休刊日のため昨日の産経新聞を掲載しました。 [概要]日本政府は19日からスイスのジュネーブで開かれる特定通常兵器使用禁止条約(CCW)政府専門会合で、クラスター爆弾禁止条約の制定過程で積極的に賛成を表明することとした。これは即時全廃を唱えるノルウェー、ペルーなどを牽制し、同時に米国、中国、ロシアといったクラスター爆弾の生産・保有大国を巻き込む考えだ。 外務・防衛両省が調整した結果、@CCW専門家会合や今年11月のCCW締約国会議に「基本的に賛成」の立場で臨む。A「即時全廃ではなく代替兵器の開発まで十分な移行期間を設ける」「大量保有する米中露の参加を得て条約の実効性を確保する」といった日本の考えを条約に反映させるーーーなどの戦略をまとめることにした。 クラスター爆弾は米、イスラエル軍がイラク、アフガン、レバノンなどで使用し、不発弾で多数の民間人に犠牲が出ている。このためCCWで議論が進まないことに不満を持った有志国が今年2月、ノルウェーのオスロで2008年までに条約制定を目指す「オスロ宣言」をまとめた。しかし同宣言には米国、中国が加わっておらず、ロシアもオブザーバー参加にとどまっている。 日本は長い海岸線や離島が多いという特性から、敵の上陸をくい止める防御手段としてクラスター爆弾が必要という立場をとっている。それでも政府がCCWに積極的に取り組むというのは、平成9年(97年)の橋本内閣時代に小渕恵三外相(当時)が、政治判断で対人地雷の全廃を決めた事態の再来を懸念しているからだ。日本が対人地雷禁止条約に参加したことで、「北朝鮮、韓国を含めた周辺国すべてが廃止しない中で、敵の上陸をくい止める能力を著しく減少させた」(陸自幹部)という思いがあるからだ。 政府としては、急進色が濃いオセロ・プロセスではなく、米中露を含む100カ国以上が参加するCCWで議論をすることで現実的な条約作りを目指すことにした。 [コメント]これでは国際的なクラスター爆弾禁止の動きに合わせたことにはならない。むしろ逆の姿勢を示したことになる。なぜならCCWは基本的に全会一致が原則になっている。クラスター爆弾禁止に反対か消極的な米中露がCCWにいるかぎり、いくら日本がCCWで禁止を表明しても禁止条約がまとまるはずがないからである。そのことを日本は百も承知でCCWで反対を表明するというのだ。これでは日本が”ずるい国”というイメージが広まっていくことになる。日本は平和大国というイメージには決してならない。 対人地雷禁止がオタワ・プロセスでまとまり、日本も対人地雷禁止条約を締結して自衛隊の対人地雷を破棄した。そのような国際的な動きの中で、アメリカは対人地雷禁止条約を締結していないが、朝鮮半島以外で対人地雷を使用しないことを表明した。実際にも、アフガンやイラク戦争でアメリカ軍は対人地雷を使用していない。オタワ・プロセスが主導した対人地雷禁止条約は効果を発揮している。 日本は長い海岸線で敵の上陸から防衛するためにクラスター爆弾が必要というが、長い海岸線でクラスター爆弾を使用することで深刻な被害を住民に与える可能性が高い。またゲリ・コマ(対ゲリラ・コマンドとの戦闘)でクラスター爆弾を使う戦術は考えられない。事実、自衛隊でそのようなクラスター爆弾の使用を想定した訓練は行われていない。 防衛庁が喉まで出かけて言えないことは、無人の尖閣諸島に中国軍が上陸したことを想定した場合に、クラスター爆弾があれば中国軍上陸を抑止出来るという考えだと思う。しかし軍事の想定だけで話しを進めていけば、尖閣諸島の中国軍をクラスター爆弾で攻撃した場合は、直ちに陸上自衛隊が尖閣諸島に上陸して実効支配しなければ意味がない。大量の不発弾が散乱する島に自衛隊が上陸することになる。また、そのような離島をめぐる中国と日本の闘いを想定することが軍事常識にあるのだろうか。 なんでもかんでも、国民に軍事脅威や不安感をまき散らして膨らませ、無用な緊張を人為的に作り出す人たちがいる。出来もしない戦闘や、アリもしない脅威をまき散らす。 外務・防衛両省は日本がクラスター爆弾禁止をCCWで主張するというやり方を自画自賛すると思う。「うまい手を考えた」と。しかしそのインチキさはすぐに世界の知るところとなる。日本のこの姿勢がアメリカや中国やロシアにバカにされないわけがない。日本人が誇り高く生きる民族であることを踏みにじらないで頂きたい。 |
| ハイリゲンダム サミット MD施設配備 露、拒否覚悟の提案 米受け入れ困難 ロシア主導権誇示図る 米、軍事上の有効性疑問視 (毎日 6月8日 夕刊) |
[概要]ロシアのプーチン大統領は7日の米露首脳会談で、米国が計画する東欧でのMD計画の代替案として、カスピ海沿岸のアゼルバイジャンにあるレーダー施設を米露で共同使用する逆提案をした。しかし同施設はイランに近接し、米国が戦略上受け入れがたい提案だ。これでロシアは米露対立の主導権を握った形になったが、対立の解消は困難な情勢だ。 アゼルバイジャンの「ガバラ・レーダー施設」はロシアが85年に運用を開始し、中東やインド洋を監視してきた旧ソ連の主要なレーダーのひとつ。今回のサミットで米国の欧州MD計画に逆提案したことで、MD交渉でロシアが主導権を取ったことを印象付け、露下院選挙(年末)と露大統領選(来年3月)を前に堂々とやり合う姿を国民に印象づけた。 しかし「イラン空軍が容易に爆撃出来る位置にあり、米側が絶対に受け入れられない提案」(ロシアの軍事アナリスト フェリゲンガウエル氏)と指摘し、プーチン大統領も拒否されるのを覚悟で持ち出した可能性があるという。 米国内ではロシアの逆提案に対して、軍事上の有効性を疑問視する見方がでている。米国がチェコに配備する予定のレーダーはXバンドで、これは弾道ミサイルを探知する早期警戒と同時に迎撃ミサイルを誘導する管制機能がある。しかしガバラ・レーダーでは管制機能が含まれない。またレーダー探知とミサイル発射には緊密な連携が必要だが、米露の共同使用では困難との見方がある。米ミサイル防衛局報道官は7日、AP通信に「アゼルバイジャンを想定した研究はしていない。配備先として我々の要求を満たすのはポーランドとチェコだ」と語り、ガバラ・レーダーが防衛網として機能するかどうか「分からない」と見方を示した。 [コメント]今回の米露会談は軍事上の優位を話し合うものではなかった。あくまで米露の政治問題を優先させた首脳会談となっている。もしガバラ・レーダーがイランの弾道ミサイルだけを想定しているなら、囮(おとり)などの疑似弾頭を識別できるXバンド・レーダーは必要ない。また迎撃ミサイルの誘導との連動も、軍事衛星を介した専用リンクを構築すれば解決する。事実、日本のMDシステムは海上のイージス艦(日米)、本土のガメラ・レーダー、監視衛星(米)などの監視網をリンクさせる監視システムで作り上げる。 さらに重要なことはXバンドは移動式ということである。移動式だから簡単に移動して欧州に展開出来る。昔(冷戦期)、佐渡島の山頂にある空自の警戒群レーダーで、「こんなにソ連から近いと簡単に空爆されませんか?」と質問したことがある。すると、「無論、戦争になれば佐渡のレーダーは真っ先にやられるでしょう。しかし基地防衛の対空部隊は配備されていません。機関銃が1丁ぐらい(当時)ぐらいです。空爆されたら緊急移動のレーダーが再配備されます。そのときは防空部隊も一緒にくるでしょう」と聞いたことがある。平時の監視レーダーとはそのような概念で運用されているようだ。 まあ、今の段階ではアメリカもロシアに出来るだけ高く欧州MD計画の変更を売りたい。プーチン大統領の逆提案をハイハイと即応で受けることはない。アメリカの最終目的はあくまでイランの核開発阻止である。 |
| 米露首脳会談 露レーダー施設 共同利用を ブッシュ大統領「提案」 慎重に検討 恫喝と柔軟 プーチン周到 (産経 6月8日 朝刊) |
[概要]ドイツでの主要国首脳会議(ハイリゲンダム・サミット)に出席しているブッシュ米大統領とプーチン露大統領が、同地のホテルで7日午後に会談した。この会談で東欧地域への米ミサイル防衛(MD)計画に反発してきたプーチン大統領は、中央アジアのアゼルバイジャンでロシアがすでに使用しているレーダー施設を共同使用するように提案した。もし実現すれば、アメリカの欧州MD建設によって、再びロシアは欧州を弾道ミサイルの攻撃圏に置くとした警告を撤回すると語った。 この提案にブッシュ大統領は、「これは重要な問題だ」、「戦略的な対話を進めることで米露が合意できた」と評価した。両首脳は引き続き、7月1日、2日に米東部メーン州のケネバンクポートで行われる米露首脳会談で協議する考えを示した。ハドリー米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は米MD計画でアゼルバイジャンのロシア・レーダー施設を共有する提案に対しては、「興味深い提案だ」「(実際の影響は)米側の専門家が検討する」と指摘した。 会談に先立ってブッシュ大統領は一部の米メディアに、「ロシアは敵ではない。戦争をしているわけではないので、軍事的な反応は必要ない。ロシアが欧州を攻撃する事態はない」と述べ、ロシアを刺激することを避ける姿勢を示し、米露関係の冷却化を懸念する欧州諸国の不安解消に努めていた。 サミット直前まで米欧に挑発的な発言を繰り返したプーチン大統領は、ハイリゲンダムに入るとそれまでの強面を一変させた。各国の首脳との会談でも余裕の表情をのぞかせた。アゼルバイジャンのロシア・レーダーを共同使用することも、「前日、アゼルバイジャンの大統領に了承を取り付けている」と入念に準備した秘策であることを明かした。プーチン大統領は「(アゼルバイジャンのレーダーなら)欧州を(イランなど)例外なくミサイル攻撃から防衛できるうえ、ミサイルの破片が欧州に落ちる危険すらなくなる。ロシアが欧州を標的にする必要もなくなる。アメリカのMD計画がロシアを対象としないこともわかる」と米国を試す姿勢をみせた。 米露両国は01年9月11日の同時多発テロ直後に、「対テロ強調」を旗印に大きく接近した。直後のアフガン戦争では、ロシアは”裏庭”である中央アジアにタリバン掃討のために米軍駐留まで許した。しかしイラク戦争では米露の見解の相違は顕在化し、その後のロシアは中国やイラン、ベネズエラなど反米・強権国家との関係緊密化に邁進。旧ソ連圏で影響力拡大を目指して米欧と緊張していた。今回のMD問題で今後の米露関係を占う意味合いが出てきた。恫喝と新提案で米国を試すプーチン大統領に、米国がどんな「次の一手」を打ってくるか。 [コメント]ブッシュ大統領が会談後に、「米露で戦略的な対話を進める合意ができた」と評価してみせたのは、イランの核問題で米露が戦略的な対話(協調)が可能になったという意味である。またハドリー米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)が「米側の専門家が検討する」といっても、問題は弾道ミサイルやMDの性能やシステムではなく、最重要はロシア国家の政治性である。もしプーチン大統領が来年のロシア大統領選で選ばれるという確実性があれば、そのロシアの政治性はアメリカにとって問題ないと判断されることになる。今回のプーチンの新提案でその確実性がほぼ保証された。すなわちアメリカはプーチン新提案に合意するという意味である。 アメリカがアゼルバイジャンのレーダー施設を米露で共同で使用する案に合意すれば、つぎはイランの核問題でロシアが核開発阻止を表明することになる。すでにロシアは国連安保理でイラン核開発への制裁決議に賛成している。だからプーチン大統領がイランの核開発阻止を表明しても、ロシア国内でアメリカに譲歩したとは評価されない。まずロシア国民はプーチン大統領が欧州MDを阻止した外交成果の評価するだろう。 イランもイラクの安定化協調をアメリカに約束することで、経済制裁や孤立から抜け出して産業やインフラの再開発を本格的に始動できるようになる。イランの核開発はアメリカの中東政策で喉に刺さった魚の骨だった。これが取り除かれれば、中東情勢は大きく転換することは間違いない。 私はこれでやっとイラク問題の出口が見えてきたと思っている。アメリカにとってイラク問題の出口とは、イラクから駐留米軍の大部分が撤退出来る状況が生まれることである。イラク安定化国際会議の開催、米国・イラク・イランの大使級会談の開催などである。しかしベトナム戦争もそうだったが、やっと出口が見えてからも実際に具体化するのは時間がかかった。むろんその間にも、戦闘が激化することもあるし、多くの犠牲者が出ることが避けられなかった。出口が見えてきたぐらいでなかなか油断はできない。皆さんも決して油断しないように。 |
| クルド人問題 トルコ軍が イラクへ越境 数千人規模 (毎日 6月7日 朝刊) |
[概要]AP通信によると6日、数千人のトルコ軍部隊がクルド武装勢力の掃討作戦で、ゲリラの出撃拠点があるイラク北部に越境した。トルコの治安当局者(複数)によると、越境は限定的なもので、大規模な侵入とは異なるという。イラク北部のどの地域に越境し、いつまで作戦するか明らかにしていない。 [コメント]正規軍であるトルコ軍数千人の部隊といえばかなり大きな規模である。周到な準備のもとに、作戦の目的、期間、投入部隊を決めて、イラク越境作戦を実施したことが想像出来る。 今のところ詳細な情報はないが、今までにもトルコ軍はイラクに越境して掃討作戦を行っていたのだろうか。 イラク北部のクルド人地区では最近になって、アルカイダやスンニ派武装組織が自爆テロや襲撃事件を多発させている。その理由はクルド人部隊がイラク全域での治安作戦に投入されることが多くなったからである。米軍がイラクのシーア派とスンニ派に治安作戦を任せられないからである。だからアルカイダやスンニ派に狙われている。 ここにきてトルコ軍までもイラク北部のクルド人地区に侵攻を開始したなら、比較的治安が安定して復興著しいイラク北部が大混乱することになる。 ちなみに多数のクルド人が住むイラク北部は、南部のシーア派支配地区と同じく豊富な油田に恵まれ、安定すれば大きな経済成長が期待出来る。だからトルコが警戒して軍事侵攻を図ったということも考えられる。 日本は大金をかけて自前の偵察衛星を持っているのだから、国産衛星の写真情報からトルコ軍の作戦規模、目的、作戦地域などを、日本独自の解析能力で分析して欲しい。 トルコの治安当局者(複数)の話すことは、まったく信頼できる話しではない。限定的という言葉そのものが曖昧(あいまい)である。 |
| 米、チェコ MD配備合意 米露対立 サミットに影 地元欧州はただ困惑 (読売 6月6日 朝刊) |
[概要]欧州歴訪中のブッシュ大統領は5日、最初の訪問国チェコでクラウス大統領と会談し、ロシアが猛反発するミサイル防衛(MD)用のレーダー施設を配備することで合意した。アメリカのMD施設を欧州に配備することで合意したのは初めて。ブッシュ大統領はロシアに対して、欧州MDはロシアに敵対するものではなく、ロシアもこのMDシステムに参加するように求めている。 このレーダーは移動式早期警戒レーダー(Xバンド・レーダー)で、プラハ南西のプルディ軍事基地に配備される可能性が高い。Xバンド・レーダーが配備されるのは日本(神浦・・・・青森県 車力基地)に次いで2番目。ブッシュ大統領は主要国首脳会議(サミット)終了後の8日にポーランドを訪問し、MD迎撃ミサイル10基を配備することに合意をとりつける方針。 米政府は2012年までにチェコとポーランドにMD施設を配備したいとしている。ただイランが米国に到達可能な5000キロ以上の長距離弾道ミサイルを実戦配備するのは早くても2015年とされ、その間に欧州全体を射程に収めるミサイルを持つのはロシアだけで、同国の強い不信感を招く原因となっている。6日から始まる主要国首脳会議(ハイリゲンダム・サミット)の議論にも影を落とすことは必至だ。 NATOはロシアとの技術協力で2010年までに戦域ミサイル防衛(TMD)開発を目指していた。しかしプーチン大統領が「(欧州MDを配備すれば、ロシアは)欧州にミサイルの照準を合わさざるを得ない」と発言し、欧露関係に否定的な影響を与えかねない状況になっている。またNATO内部にとってイランからのミサイル発射を想定すれば、チェコとポーランドへのMD配備では、両国の南部にあるトルコ、ギリシャ、ブルガリア、ルーマニアでは対処出来ない。4カ国はこれに不満を持っており、NATOのデホープヘッフェル事務総長は、アメリカに4カ国を守れる短射程のシステムを配備するように求めている。 [コメント]今回のNATOのドタバタを見ていると、日本がテポドン・ショックに襲われた98年夏のテポドン騒動を思い出す。テポドンは北朝鮮がノドンとスカッドを組み合わせ、人工衛星の打ち上げに失敗したと説明しても、明日にでも東京に北朝鮮からミサイルが雨のように撃ち込まれると大騒ぎしたテポドン騒動である。あの騒動で日本は莫大な予算を投入して、自前の偵察衛星を導入し、アメリカのMD網を導入することを決めた。あの時、これほど人間(日本人)は簡単に集団ヒステリーになるものかと驚いた。しかしミサイルショックに弱いのは日本人だけではないようだ。 私はイランのミサイル攻撃に備えて欧州にMDを配備せよということより、イランのラリジャニ氏が言う「欧州はイランの最重要貿易相手だ。それをイランが攻撃する訳がない」という方に説得力を感じる。 一方のプーチン大統領も問題がある。来月にはアメリカ・メーン州でブッシュ家の別荘に招待されているのに、ヨーロッパにロシアの核ミサイルを照準ると脅している。いくら自分の大統領選挙が掛かっているといっても”脅かしすぎ”である。ロシア人の民族性は開かれた民主制度よりも、強い指導者に護ってもらう方を好むという。プーチンは選挙戦術で強いロシア大統領を演じたいようだ。 日本人は今回の欧州でのMD騒動から、”集団ヒステリー”で誘導される人々をよく見ておこう。世論操作、心理誘導(扇動)、洗脳など、多くの学術的な社会心理現象を見られると思う。 |
| イラン・ラリジャニ氏が 米MD構想批判 イラン脅威論 「今年一番のジョーク」 (朝日 6月5日 朝刊) |
[概要]イランの国営通信によると、同国のラリジャニ最高安全保障委員会事務局長は3日、米国が欧州にミサイル防衛(MD)施設を配備する理由にイランからの脅威を上げていることを、「今年一番のジョークだ」と語った。 ラリジャニ氏はイランのミサイルが欧州には届かない射程だと言う。イランの中距離弾道ミサイル・シャハブ3の射程は1300キロで、これをイランが改良して射程2000キロまで向上させたと言われている。2000キロならイランからイスラエルには届くが、欧州には届かない。 またラリジャニ氏は「欧州は我々の最大の貿易相手だ」とし、攻撃意図を否定。「米国は最近、この手の冗談ばかり言っている」と話した。 [コメント]イランのシャハブ3は、北朝鮮がスカッド・ミサイルを改造して作った射程1300キロのノドン・ミサイルと同じ(輸出版)と言われている。このWhat New の5月31日のコメントで紹介したが、ロシアもイランや北朝鮮のミサイルは、射程が2500キロを超えるものを技術的に開発することが出来ないと見ている。(月刊誌「軍事研究」 6月号 「東欧に米ミサイル迎撃システムを配備することは不幸を招く」) やはりブッシュ政権が東欧にMD施設を配備する理由に、イランのミサイル脅威を持ち出すのは悪い冗談だ。さらに本日の朝刊で別の悪い冗談を見つけた。それはロシアのプーチン大統領が「アメリカが東欧にMDを配備すれば、再びロシアは中距離弾道ミサイルを欧州に照準も」(読売 6月5日 朝刊)と発言したことだ。このプーチン発言が悪い冗談だというのは、プーチン大統領はアメリカが東欧にMD施設(警戒レーダー)を配備しないことを知って発言しているからだ。プーチン大統領が言うまでもなく、もし東欧にアメリカがMD施設を建設すれば、苦労してロシアと結んだINF全廃条約(射程500キロ〜5500キロ・ミサイル全廃)の見直しを迫られること必至である。しかし、そこまでのリスクを覚悟して、今、アメリカが東欧にMDの配備を急ぐ理由(脅威)はない。 すでにこのHPで書いたことがあるが、アメリカが東欧にMD施設を建設するというのは、イランの核開発をロシアに止めて欲しいからである。ロシアのプーチン大統領がイランのウラン濃縮計画阻止を約束すれば、アメリカはプーチン大統領との首脳会談に応じ、欧州にMD配備計画を破棄すると発表する外交取引で、それが行われるのが7月1,2日の米露首脳会談である。 プーチン大統領はアメリカの欧州MD計画を阻止したロシア大統領として、今年のロシア下院選挙と来年のロシア大統領選挙に勝利し、さらにロシア大統領の任期4年(現行)を6年に延長させる憲法改正を狙っている。いわばブッシュとプーチンが組んだ米露・大統領選向けの八百長外交なのである。ブッシュ大統領もイランの核兵器開発を中止させれば、来年の大統領選では共和党が有利になる。 この八百長シナリオをどちらが書いたかといえば、私はこれをKGB臭いと見ているのでプーチン側だと推測している。欧州にMDを配備することなど、アメリカの発想では出てこない。その配備理由に、存在しないイランのミサイル危機を使う幼稚さが、いかにもKGB流で荒っぽすぎる。 すでにイランもウラン濃縮停止に向けて動き出している。イランのラリジャニ氏自身が先週にはE Uに行って、ウラン濃縮を中止するために話し合いに応じる用意があると発言した。すなわちイランのウラン濃縮中止をEUに高く売ろうとしているのである。イラン人は転んでもただでは起きない交渉上手なペルシャ民族なのである。 日本に情報機関を作るということは、この程度の国際的謀略を日本から仕掛ける情報戦能力が必要になる。とりあえず情報機関が入る建物を作り、机と椅子を置いて、情報機関員の名刺を作れば済むということではない。小池百合子首相補佐官がアメリカで米NSCのカウンター・パートナーになると言った時は、日本人もこれほど質の悪いジョークが言えるようになったのかと驚いた。まず国民の死活問題である年金記録を確実に管理出来る政府になってから、ヒマな時に日本版NSCを考えてみるのもいい。 |
| 先月27日 清津出た」 「脱北」4人 韓国行きを希望 「脱北者漂着」増加も 態勢整備が急務 日本の対応 人道理由で在留許可など (読売 6月3日 朝刊) |
[概要]青森県新浦町の新浦港近くで、脱北者とみられる男女4人が乗った船が見つかった。この4人は夫婦と子供2人の”漁師”家族で、生活が苦しく、5月27日に北朝鮮北部の清津付近を出発したと話している。武器は所有していなかったが、北朝鮮当局に拘束された際に備え毒薬を所持していた。4人は韓国行きを希望しているという。 政府は4人の身元を確認した上で、入管難民法に基づいて対応していく方針。脱北者と判明した場合でも、北朝鮮への強制送還は行わず、最終的な対応を決めるまで、6ヶ月以内の日本滞在を許可する「一時庇護」の申請を認める方向だ。その上で韓国など第3国への出国を外交ルートで交渉する。 [コメント]このニュースが韓国内で報道されると、韓国にいる脱北者たちが行っている脱北ビジネスが関心を示すだろう。この程度の小型木造船(全長7,3メートル 幅1,8メートル)なら北朝鮮の漁港に山ほどあるからだ。エンジンは旧式で耕耘機程度のものだという。 脱北ビジネスとして考えられるのは、まず天候が比較的安定した日に、北朝鮮から夜陰に隠れて寒村部の入り江などから小型木造船で沖合の集合点に向かう。沖合の集合点では外国船籍のやや大型の貨物船や漁船に収容する。そして小型木造船をけん引して日本近海に向かう。そこで再び脱北者を小型木造船に乗せて日本の漁港に向かわせる。 脱北者が日本の港に到着すれば、入管難民法の”一時庇護”(6ヶ月以内の滞在許可)と、日本が昨年制定した北朝鮮人権法の「脱北者の保護、支援に関し、施設を講じるように務める」に従って支援を行うことになる。 最終的に脱北者は6ヶ月以内に韓国など第3国に移送されることになる。これだと北朝鮮から逃れ、タイやラオスなどに中国を縦断して陸路で移動する脱北コースよりも、はるかに安い経費でリスクも抑えられる。これが脱北ビジネスとして日本海を使った新たなルート作りが考えられる。韓国の脱北ビジネス組織だけでなく、この日本海ルートは北朝鮮向けに人道的支援を行うNGOも活用すると思う。 先日、北朝鮮に韓国から緊急食糧支援を行う話し合いが決裂した。北朝鮮が核廃棄に向けた動きを拒否したからだ。考えてみれば、北朝鮮が核カードを自分で破り捨てるなどできない。これで韓国の緊急食糧支援がないから、さらに深刻な食糧危機(飢餓)が襲いかかってくる。 北朝鮮が強く求めていたバンコ・デルタ・アジア(BDA)の2500万ドル返還も、わずか30億円程度の話しである。松坂投手の契約金1億ドルの1/4でしかない。アメリカが金正日に「30億円をやるから核施設を封鎖し、IAEAの査察を受け入れろ」といっても、北朝鮮が受け入れられるはずがない。金正日にとっては明らかに”毒入りまんじゅう”であるからだ。 北朝鮮は中国や韓国やアメリカの事情など待つことなく、核実験をしたことで自滅装置のスイッチを押したことは間違いない。 日本が北朝鮮に厳しい経済制裁を行うよりも、日本に脱北したこの4人に温かい食事や、清潔な寝具の宿舎を提供して差し上げる方が、はるかに北朝鮮を追いつめることになる。この4人にはそのような強い政治性が秘められている。これを見て、昔(89年)、ベルリンの壁が崩れた時を思い出した。東ドイツが崩壊する直接の原因になったのは、東ドイツの亡命者をハンガリーやチェコが拒否することなく受け入れたことだった。日本が北朝鮮の脱北者を恐れることなく受け入れれば、北朝鮮は確実に崩壊する。 |
| 米印原子力協定 「核実験凍結」焦点に 最終協議 インド国内反発強く (毎日 6月1日 朝刊) |
[概要]核拡散防止条約(NPT)に非加盟のインドに、米国が民生用原子力技術・燃料を提供する米印原子力協定の最終協議が31日、ニューデリーで始まった。アメリカはこの協定でインドの核実験の凍結や使用済み核燃料の再利用禁止を求めている。 インドでこの協定は、「環境に悪影響を与えず高度成長を持続出来る」と受け止められているが、インドで最大野党「インド人民党」や核開発に携わってきた技術者らは「主権の侵害」と激しく非難している。核保有国の中国、パキスタンと緊張関係にあることから、軍部も「両国が核実験をすれば対抗せざるをえない」との意見が出たという。 しかしブッシュ大統領は昨年12月、すでに協定法案に著名しており、米側が大きな譲歩をすることは考えにくい。米印政府は6日からドイツで始まる主要国首脳会談で、最終的に合意したいとしている。 [コメント]これは今までの核戦略ではなかった新しい判例が出るほど重要な協定となる。アメリカはインドの核実験を封じて、核の民生利用だけに限定させるという目的を含んでいるからだ。これをインド軍部から見れば、核武装の放棄や解除とはいわなくとも、インドの核戦略を将来的に凍結(無力化)させるという軍事的な意味が確かにある。 今まで報じられていたブッシュ政権の対印・核戦略では、アメリカはインドに例外的な核協力を行うことで、中国やロシアをけん制すると言われてきた。アメリカは核援助を通じてインドを南アジアの親米国家にしたいという説明だった。そこには爆発的に経済発展する中国へ国際投資などが集中することを避けたいという考えが指摘されていた。しかしそれ以上にアメリカは、核兵器保有国のインドから核兵器を無力化させることが強かったということになる。 果たしてインドが最終協議でアメリカのいうことを聞くかと言えば、絶対に「聞くことになる」。インドはパキスタンのような不安定な核兵器保有国の隣国にいることが耐えられない苦痛だからだ。インドは長い間、核実験をしても核兵器を製造・配備してこなかった歴史がある。それを中国がパキスタンを支援して核実験を行わせた。そこでインドは対抗するために再び核実験をして、弾道ミサイルを発射して、核兵器保有国を宣言した。パキスタンや中国の核兵器がインドに指向しなければ、インドは核武装をしない国だったのである。というよりも、インドは核武装の重さに耐えられないのだ。 しかし同時多発テロでパキスタンは中国からアメリカの影響力下に移った。パキスタン政府はカーン博士をパキスタンの核政策の外に追放した。同時にパキスタンもインド同様に核兵器の重さに耐えられなかったのである。 今回の米印原子力協定書に明記されていないが、アメリカはインドにパキスタンや中国の核攻撃を抑止する「核の傘」を提案(保証)したはずだ。これでインドはアメリカと核協定を結ぶことに合意したと推測する。保証を具体的に例えれば、もし中国がインド全域を攻撃出来る中距離・核ミサイル(IRBM)を中国南西部に配備すれば、アメリカはインドにIRBMの先端技術を供与するという対抗策である。だから中国はインドを狙えるIRBMを中国・南西部に配備することができない。(だからインドは現在の核バランスを維持すると言い方は間違いではない) 最近、日本の核武装を論じる本を読んだが、あまりにも幼稚というか、童話的な内容に驚いた。桃から元気な男の子が生まれるからと、大きな桃を産婦人科に持ち込むようなことを書いているものがあった。日本が大きく発展したのは核武装をしなかったことが理解されていない。 |
※これ以前のデータはJ−rcomFilesにあります。