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タイトル メディア 日付 この情報の最も新しい更新日は5月31日です。
 南シナ海 中国潜水艦 火災か 海南島に向け曳航 日米が監視 (読売 5月31日 朝刊)

[概要]中国海軍所属の攻撃型「明」級ディーゼル潜水艦が、南シナ海で潜航中に事故で航行不能となり、海南島の檎林(ゆりん)海軍基地に向け航行していることが明らかになった。事故は艦内で火災が起きた可能性が高い。現場付近には中国海軍の軍艦3〜4隻や別の潜水艦が確認されており、これらの艦と共同訓練を行っていた可能性がある。「明」級潜水艦は03年に「艦番号 361号」が黄海で訓練中に事故を起こし、乗員70人が全員死亡する事故を起こしている。曳航中の潜水艦は在日米軍と自衛隊が通常の態勢で監視を続けている。

[コメント]潜水艦の乗員から潜水艦事故で特に恐いのは、浸水事故と火災だと聞いたことがある。浸水が始まれば艦が浮力が回復しないで、そのまま深い海に引き込まれ、高い水圧で致命的な損傷を受ける。また火災では艦内の酸素が急に奪われ、乗員が窒息死する危険が高くなるからだ。今回の事故で火災の可能性が高いと分析されたのは、P3C哨戒機が潜水艦の艦橋から煙を出して航行しているのを確認したか、赤外線探知から機関部以外に高い熱源を感知したからだろう。

 しかしこの記事で気になるのは、事故現場が台湾と海南島の中間海域あたりで、日本のP3Cが監視しているという点である。今まで那覇基地所属の海自のP3Cが、台湾南部の南シナ海を通常の態勢で哨戒していると聞いたことがなかった。

 ということは日本の周辺有事に、海自の作戦範囲は台湾以南や台湾海峡も含まれることになるのか。すなわち台湾有事に対して、日本政府は海自が介入することを決めたと見て良いのかという点である。日本政府はかねてより台湾有事には関与しないと答えている。明らかに矛盾するのではないか。

 旧式な「明」級潜水艦の火災事故は驚くに値しない。しかし台湾以南までP3Cが通常の態勢で哨戒を行ってるなら驚きである。(写真は明級攻撃型ディーゼル潜水艦(同型)です。事故艦艇とは関係ありません)

 バグダッド 4万人投入 掃討作戦 武装勢力は反撃声明 (産経 5月30日 朝刊)

[概要]イラク国防省は治安部隊4万人を投入し、首都バグダッド周辺で大規模掃討作戦の「稲妻作戦」を開始した。米軍もこの作戦に兵力1万人を参加させて支援する。バグダッドでは29日の早朝から臨時の検問所が設置され、バグダッドに通じる道路を封鎖した。治安部隊は市内を22の地区に分けて捜索を開始している。これは4月末のイラク移行政府発足後も、イラクの治安悪化に歯止めがかからず、ジャファリ首相ら指導部に国民の失望感が高まっていることから、首都バグダッドで大規模な治安作戦を開始したもの。これに対しザルカウィ容疑者率いる「イラク・アルカイダ聖戦機構」は、掃討作戦に対する反撃宣言をウェブサイトで発表した。

[コメント]この記事によれば、すでに容疑者約500人を逮捕したとある。しかし実態は自宅に自動小銃や拳銃を隠し持っていたものや、車のトランクに武器を持っていたものたちだろう。イラクでは一般的に自衛のために銃を持つことが普通である。日本に住むイラク人に聞くと、その男性の自宅にもAK−47があるという。何のためかと聞けば、強盗や泥棒をから家族を守るためと答えた。そのようなものが逮捕されているのだ。

 それに治安部隊に潜むスパイが、武装組織に大規模掃討作戦の実施を知らせている。だから武装勢力が持つ大量の爆薬や、自動車爆弾製造工場は巧妙に隠されていると思われる。そのように考えると、今回の稲妻作戦は大規模な掃討作戦を行って、不安がる国民の民心を安心させる効果を狙っている。

 そこで武装勢力側は反撃を行って、治安部隊に打撃を与え、国民の不安をさらに高める作戦を取るだろうか。私はそれこそ愚の骨頂だと思う。武装勢力は非正規戦を戦っている。強い敵には逃げることが大事である。米軍と併せて5万人の掃討部隊に立ち向かうなど愚の骨頂である。

 そういえばベトナム戦争の時も、米軍と南ベトナム軍はよく都市部でも掃討作戦を行っていた。(農村部はサーチ&デストロイ作戦) まず幹線道路を遮断し、市内をいくつかの地区に分け、一軒一軒調べて回るのである。しかし掃討作戦が終わると、その街で必ずベトコンの反撃が始まった。大規模掃討作戦は何の役にも立たなかったように覚えている。これも一種の焦りなのである。

 元日本兵面会 合意できず 「武装勢力が金銭要求」 本紙記者に仲介者 (毎日 5月29日 朝刊)

[概要]フィリピンのミンダナオ島で元日本兵が生存していたことで、この情報を提供した日本人男性(58歳)は、「2人が生存している山中から下山する際、通過地域を支配している武装勢力が金銭を要求してきた」と話した。この日本人によれば、二人が下山する場合に500万円を武装勢力に支払い、合計3人(二人を含む)の元日本兵を引き渡す約束があった。しかし事前に報道が流れたので、武装勢力は5倍の2500万円に金銭をつり上げたという。金銭支払いについて日本大使館は、「本人の確認ができまで支払わない」と返答した。日本人男性は、その場合は「私は仲介から退かざるを得ない」と述べている。

[コメント]私は日本には表の世界と裏の世界があると認識したことがある。以前(約20年以上も前)、フィリピンのミンダナオ島で日本人カメラマンがモロ民族解放戦線に誘拐拉致される事件が起きた。カメラマンは1年2ヶ月間もジャングルのモロ民族解放戦線の支配する村で拉致された。そこで日本ではいろいろな解放交渉が行われた。

 そのひとつとしてモロ民族解放戦線の幹部に接触を試みた。その接触に成功したのは若宮清氏である。若宮氏は陸上自衛隊少年工科学校出身の8期生である。私の4期先輩にあたる。若宮氏はアキノ上院議員(アキノ大統領の夫)がマニラ空港で射殺されたとき、アメリカからアキノ上院議員に同行しており、フィリピンでは最も有名な日本人であった。若宮氏はモロ民族解放戦線の幹部のインタビューから、「カメラマンは責任を持って解放するので、身代金などのお金は払わないで欲しい」(モロ民族解放戦線幹部)と書いた。

 そのインタビュー記事を私がいた週刊プレイボーイ誌に掲載した。当時の副編集長は少年工科学校出身の5期生だった。すると間もなく、右翼で有名な野村氏が編集部を訪ねてきた。訪ねた理由は、「日本人カメラマンの解放は、我々が武装勢力に身代金を支払うことで解決する。そのような交渉に対して、身代金を支払うなという記事は迷惑だ」という趣旨だった。野村氏とは朝日新聞社の応接室で拳銃自決した人物である。

 その後、日本人カメラマンは解放され、野村氏と記者会見をしているのをTVで見た。あとで身代金は笹川財団(現在の日本財団)が支払ったと聞いた。野村氏の解放交渉を裏で支えていたのは笹川良一氏(すでに故人)だっという。

 私はこれを聞いて、日本では裏の世界の者たちが、この人質事件を解決したと考えた。身代金がいくら支払われ、だれがどのように分配したか知らない。しかし間違いなく、日本人カメラマンは無事に解放された。さらにこの拉致事件の背後ではいろいろなことが起きたが、今、それを語るには早すぎるように思う。

 そしてこの日本人カメラマンは今でも私の大事な友人である。彼の写真の腕は私が知っているカメラマンのうちでも5本の指に入るだろう。

 そのような過去を知っている者として、私が言いたいことは、「年老いた元日本兵を弄んではならない」。そのことは表の世界も裏の世界でも同じことである。

※モロ民族解放戦線はシリアやリビアで軍事訓練を受け、武器や弾薬の支援を受けていた。しかしすでに支援は行われていない。フィリピン政府との和平交渉も進んでいる。一部が和平に反対して爆弾テロなどを起こしているが、その過激な者も含めて87歳や89歳の老人を弄ぶようなことはしない。

 比ミンダナオ島 新たに旧日本兵生存者 日本大使館員 面会探る (産経 5月28日 朝刊)

[概要]フィリピン・ミンダナオ島で旧日本軍の兵士2人が現地当局に保護された。さらに軍医の桜井元中尉(93)も生存しているという。またミンダナオ島の南にあるバルト島にも「ワタナベ」という旧海軍兵がいるという情報もある。比の日本大使館員がゼネラルサントス市に入り、本人確認と帰国の意志を確認する準備に入った。

[コメント]昨日は体調が悪く、朝食を抜いて午前中は休養した。といっても原因は二日酔い。少しばかり体調が回復した午前10時頃から電話が鳴り始めた。マスコミ各社からの問い合わせである。マスコミには、「困ったときの神浦頼み」という言葉があると聞いた。なにか困ったことがあれば、「取りあえず神浦さんに電話して相談しろ」という意味らしい。だから新人記者からトンでもない質問が来ることもある。

 昨日、「この日本兵はなぜ終戦時に帰国しなかったと思いますか?」は程度のいい質問である。中には「日本はフィリピンとも戦争したのですか」「この人達とアルカイダの関係はありますか」「出てくればフィリピン政府軍が殺しませんか」などという質問である。

 そこで私は、終戦時、日本に帰国しないで、中国人民解放軍や国民党軍に入隊した者、マレーシア北部で反政府ゲリラのマラヤ共産党で戦ったもの、戦後のフィリピンで迫害を恐れ山中に日本人村(元日本兵が主体)があったような例を話した。日本人村の日本兵は現地のフィリピン女性と結婚し、その子孫(子や孫の代)に日本国籍を求める裁判が起きていることを話した。

 今回の件で私が注目している点は2点だ。彼らは終戦を知らず、日本に帰るチャンスが一切無かったかという点である。彼らの所属していた反政府組織が、彼らの軍事知識を必要として帰国させなかった場合も同じである。すなわち帰れる状況に恵まれなかったという点である。もう一つは家族の存在や反政府組織との関係である。日本人を名乗れば帰れるチャンスはあったが、あえて日本兵を名乗らず帰国のチャンスを逃がしたかという点である。

 80歳代後半の年齢を考えれば、老人になったために組織から追放されたと考えるのは無理がある。彼らが日本の地で最後を迎えたいと希望したのではないかと言うことだ。私の経験ではモロ民族解放戦線が80代後半の老人を使い、身代金を求めることはしないと思う。もし身代金が請求されたならば、それは別の関係者が報酬を求めているにすぎない。

 いずれにせよ、彼らの希望をかなえることが大事である。例え日本の敗戦を知り、日本兵を名乗って帰国できるチャンスにも恵まれ、日本の繁栄を知っていても、ミンダナオ島で築いた家族のことを考えると帰国できなかったとする。それでも彼らが、日本に堂々と帰国できるように便宜をはかるべきだ。元は太平洋戦争により日本を離れ、日本の敗戦によって数奇な人生に巡り会った。そして思わぬ苦労をしてきた人だ。小野田さんや横井さんのようにドラマチックではないにしても、日本に帰りたいという望郷の願いをかなえてあげたい。 

 カスピ海産原油 パイプライン供用開始 露領通らず地中海へ (読売 5月26日 朝刊)

[概要]中東、ロシアに次いで石油埋蔵量のあるカスピ海産原油を、ロシア領を通らない南カフカス経由で地中海に運ぶBTCパイプラインの供与開始式が、25日、アゼルバイジャンで行われた。この石油パイプラインはカスピ海のバグー、トビリシ(グルジア)、終点の地中海岸ジェイハン(トルコ)を結ぶ全長1760キロ。露領を通過しないパイプラインは初めて。建設を主導したのは米国で、中東石油の依存を減らし、この地域で影響力を強化する戦略が背景にある。これに対しロシアは、「米国はルート沿いの軍事力配置を狙っている」(露下院のコンスタンチン・コサチョフ国際問題委員長)と指摘した。このBTCの輸送量は1日100万バーレル。

[コメント]これは今年の軍事重大ニュースに入ると思う。レバノンからシリア軍が撤退したことと、このBTCが供給を開始したことは今年の重大ニュースになる価値がある。中国がアフリカや中米などの小規模油田を押さえても、中東やカスピ海などの大規模油田は、アメリカがきちんと押さえに入っている。これは中国が飛車角抜きで、これからもアメリカと対峙しなければいけない事情を示している。そこでロシアの対応だが、アメリカの進出を押さえるためには、中国との関係強化(エネルギー・軍事)に動く可能性が高い。軍事では中ロともにイスラム過激派の勢力拡大を防ぐという意味から、軍事共同行動を取りやすい環境が生まれている。中国にとってロシアが飛車角の役割を果たすのだ。

 中国軍の近代化も、ロシアが本腰を入れて支援すれば、潜水艦、ミサイル、艦船、航空機などが一新する可能性がある。すなわち新しい国際・軍事環境が構築されることになる。これがロシア版「江戸の仇は長崎で」となり、「南カフカスの仇を東アジアで」になると、日本にとって迷惑な話である。

 この1件でわかるように、そろそろ日本も独自で国益を追求する米国非依存型国家に脱皮する必要がある。アメリカの国益追求で、これからも日本にしわ寄せがくる可能性が高くなるからだ。

 中国との関係が最も冷却している今こそ、日本の国益とは何かを考えるチャンスである。中国政府や日本の経済界のように、日本を商売国家にするだけが解決策ではない。国益と会社益とは違う。

 北京 北朝鮮の核実験 中国高官が否定 (毎日 5月25日 朝刊)

[概要]中国の沈国放外務次官補は24日、ロイター通信のインタビューに答え、北朝鮮の核実験情報について「情報を裏付ける明確な証拠はない」と述べた。中国の高官が核実験実施を否定する発言を行ったのは初めて。6カ国協議は、「5月と6月が再開のヤマ場になるだろう」と語った。(以上、毎日)

 来日中の韓国前大統領の金大中氏は、24日に朝日新聞の記者と会談して、「北朝鮮の核実験は行われない」と否定的な見通しを示した。また「北朝鮮は米国に要求受け入れを迫っても実利は得られない」と話した。(以上、朝日 5/25 朝刊)

[コメント]最近、北朝鮮が6月に核実験をすると想定した特集記事(雑誌)や番組(TV)が、次々と差し替えや放送中止になっていると聞いた。あまりにも奇想天外さに気が付いたからだ。このホームページを見ている方は、今までの馬鹿馬鹿しい騒動を作り出した者のことと、いい加減なことを言う人がいることを覚えておいて頂きたい。

 これが悲しい日本の実情でもある。「面白ければウソでもいい」という論理では軍事は語れない。

 昨日、海上保安庁の広報室に顔を出し、そのあと神田神保町まで歩いた。千鳥ヶ淵の桜が散って、木々に新緑の若葉が生い茂っていた。神保町では本を4冊買った。1年ぶりに買った「防衛ハンドブック」(17年版)では、最初に地対地ミサイル・パトリオットPAC3(対弾道ミサイル)の射程を確認した。先日の産経新聞に射程30キロと書かれていたからだ。すると、やはり防衛ハンドブックでは昨年同様に射程は20キロである。産経に書かれていた射程30キロの数字はどこから出てきたのか。それから「海上保安レポート」(2005年版)と、「海上保安庁 パーフェクトガイド」(学研社刊)と、「世界の艦船」(特集 海上保安庁 04年7月号)の合計4冊である。

 29日(日)は久しぶりに「海保の観閲式」を見学(取材)する。それまでに海保関連の3冊は読むつもりである。私は昔から海保が好きである。へき地や離島の灯台を守っている(伝統)ことや、困難で危険な海難救助を黙々とやっているからである。

 そうそう29日までにやることを思い出した。1昨年に購入したデジカメ(ニコン D70)の操作がよくわからない。説明書を読みながら、露出補正などをマスターしておくことだ。しかし海が時化れば撮影中止。塩分を含んだ海水のスプレー(霧状)はカメラやレンズの天敵だ。

 イラク 爆弾テロ、襲撃で50人余が死亡、150人以上が負傷 (NHK 5月24日 朝のニュース)

[概要]イラクで23日に4件のテロ事件が発止した。バグダッドでは自動車爆弾で10人が死亡したほか、各地のシーア派モスクやシーア派有力者、クルド人政党支部が車を使った爆弾テロで襲われた。イラク全体では50人余の人が死亡し、150人以上が負傷した模様。(以上、NHKニュース)

 バグダッドでは北部のタリビヤ地区(シーア派地区)のレストラン付近で、昼頃に自動車爆弾が爆発し、7人(神浦・・・8人)が死亡し、113人が負傷した。またバグダッド中心部のマンスール地区では、国家安全保障担当省「治安作戦最高司令室」の室長が銃撃され死亡した。(以上、読売 5/24 朝刊)

 米軍とイラク治安当局は、22日夜から、バグダッド西部で2000人の兵士を投入し大規模な掃討作戦を行い、武装勢力の285人を拘束したと発表した。(以上、毎日 5/24 朝刊)

[コメント]バグダッドのタリビヤ地区の自動車爆弾は、トラックに積んだ爆弾をイラク人警察官がよく行くレストラン付近に仕掛けたようだ。爆発時間がちょうど昼食時間帯で多くの犠牲者が出た。また各地のシーア派施設やクルド人施設を攻撃することで、イラクに宗教間紛争を起こすことを狙っているのは容易に想像できる。これはベトナム戦争では行われなかった新型の反統治・内戦誘発作戦である。

 また米軍はバグダッド西部のスンニ派地区で掃討作戦を行った。このようにアメリカ軍が行う治安作戦は、反米武装勢力が拠点としている地域を、大部隊で夜間に包囲して掃討(拘束)するしか方法はないようだ。米軍は兵士やヘリなどに夜間暗視鏡などの夜間戦闘能力があるので、夜間は治安作戦がやりやすいという利点がある。夜間なら米軍には見えても、相手に見えないからだ。

 ということは反米武装勢力にとって、米軍は夜間しか作戦が出来ないし、大部隊を投入して地域の包囲作戦しか出来ないという見方が生まれてくる。こう読まれるとますますやっかいなことになる。簡単に逃げたり、誤魔化すことができるからだ。家屋や狭い道路に仕掛け爆弾をセットすることもできる。

 アメリカ軍は本当に非正規戦が下手だと思う。イラクの反米勢力にいいように振り回されている。そのうち地下トンネルで米軍宿舎などの地下に大量の爆薬を仕掛けられて、軍事拠点が吹き飛ばされる攻撃を受けると思う。それを防ぐには拠点の周囲に堀を張り巡らせて、軍事拠点を地下トンネル攻撃から護るしか方法はない。まるで日本の戦国時代を思わせるような様相である。

 当初は、イラクで米軍は解放軍として歓迎されると報じられた。それから次は米軍は容易に反米武装勢力を鎮圧できると報じられた。最近はイラクの総選挙は大成功した。これでイラクの治安は劇的に改善すると報じられた。しかし現状はまったく逆の方向に向かっている。日本でも今までに自衛隊のイラク派遣に際して、楽観論しか言わなかった政治家や国際問題専門家の責任を問いたい。

 私は小泉首相がイラクに派遣する自衛隊に対し、「自衛隊は戦場に行くわけではない」と語ったことを忘れていない。どうしてイラクが戦場でないかを説明して欲しい。

 米紙報道 イラク米軍 駐留、4基地に集約 長期化にらみ計画 (読売 5月23日 朝刊)

[概要]米ワシントン・ポスト紙は22日、米政府は100カ所あるイラクの米軍基地を、4カ所の空軍基地に集約する計画を作成したと報じた。南部はサマワ近くのタリル、西部はアルアサド、中部がバラド、北部はアルビルかカイヤーラなどが検討されている。米軍は宿舎や管理棟を堅固なコンクリート製とし、迫撃砲弾に耐えられるようにする。この集約化は米軍の長期駐留に備えるためと、撤退した米軍基地を新生イラク軍に明け回す渡すためである。

[コメント]この集約計画の前提条件は、新生イラク軍が順調に育成され、各地の治安回復をイラク軍で行うようになることが必要である。それ以前の米軍集約は事実上の部分撤退と見られ、反米武装勢力を勢いづけさせる可能性がある。しかしイラクの泥沼に足を取られた米軍にとって、100カ所の基地を維持する方が危険であることは間違いない。

 さてこの米軍の集約作戦が吉と出るか凶とでるかである。私はこれが凶と出ると予測する。米軍は犠牲を出さないように4カ所に籠もりたいのであろうが、それこそがイラク軍やイラク警察を孤立させることになる。イラク軍やイラク警察は米軍と行動を同じにすることで、その役割を果たしている。もし米軍と切り離されれば存在できない。大きな被害に見舞われるだろう。また対ゲリラ作戦は柔軟に対応することが必要である。その作戦は警察任務から軍事作戦まで、幅広い対応が必要なのである。基地を巨大な拠点4カ所に集約すると、米軍は柔軟な作戦を行うことが難しくなる。米軍が守っているのは4カ所の基地だけという状況が生まれる可能性がある。

 ここは原点のイラクはイスラム国家という認識に立って、今後のイラク政策を考える必要がある。米軍がイラクに駐留するかぎり、イスラム教徒と異教徒の関係が続くだろう。すなわち米軍ではイラク問題は解決できないのだ。

 ウズベク大統領 国際調査団を拒否 暴動鎮圧 強化鮮明 軍指揮官離反の恐れ (読売 5月21日 朝刊)

[概要]ウズベクのカリモフ大統領は、20日までに最大1500人の市民が死亡したと伝えられる反政府暴動鎮圧事件で、「国際調査団」の受け入れを拒否し、情報を統制しつつ、徹底的に武力掃討する考えを鮮明にした。ウズベク軍の兵士は国民の平均月収が10ドルに対し、120ドル以上という中央アジアでは破格の厚遇をしている。このためカリモフ大統領は東部アンジジャンなどの暴動鎮圧では、軍を躊躇なく投入できたという。しかし軍の内部に大量の流血を嫌う動きが生まれる可能性があり、さらに流血の暴動鎮圧が続けば、指揮官に離反の動きが出るという予測(露シンクタンク「地政学アカデミー」副総裁・レオニード退役大将)もある。さらに穏健派の宗教組織が弾圧で過激化し、テロ組織と連携する恐れもある。ウズベクの暴動は東部でさらに拡大する可能性を強めている。

[コメント]昨夜、大先輩の古希を祝うパーティーがあった。20代で少年マガジン誌(講談社)の編集長となり、数々の伝説を語られているマンガ編集者の内田勝氏である。そのお祝いパーティーには、みずきしげる氏、藤子フジ夫A氏、永井豪氏など、日本ばかりか世界で活躍する漫画界の大家が出席されていた。内田氏は古希とはいえ、現役バリバリの仕事怪獣なのである。

 内田氏と私の縁は、内田氏が創刊された「ホットドッグ誌」であった。若者の情報誌として創刊された2年目頃に、内田氏が軍事ものを「ホットドッグ誌」でやると決められた。その軍事企画で私が起用された。それから連載開始まで、内田編集長(当時)や担当の竹内編集者(のち編集長)の3人で、何度も何度も企画内容の検討や議論を行った。検討したのは企画テーマというより、「若者のと軍事の関係」を考えるものだった。今から20年前の話しである。このときの体験が私の貴重な財産(知力)となった。そして連載第1回目に選んだテーマは「僕たちの徴兵制」である。

 ホットドッグ誌はファッションなど最新情報はもちろんだが、斬新なデザインと美しいカラー印刷で支持されていた。そこに軍事企画ものが4〜5ページ入るのである。かなり衝撃的だった。編集部には読者から反響のハガキが多数届いたのを思い出す。さらに嬉しかったのは、編集デザインを担当された方から「おもしろ」といわれたことである。「軍事が兵器マニアのものではないことを知りました」と感想を言われた。その方々も昨夜のパーティーに出席されていた。当時20代の若手も、今は40代の働き盛りで貫禄さえある人もいた。

 2次会では衛星アニメ放送の若い社員の方と、軍事取材の体験談で盛り上がった。その衛星アニメ番組は、契約件数が500万件を越えているという。内田氏が顧問の会社である。もちろん日本最大の契約数だという。

 軍事専門の衛星チャンネル(有料)も可能なような気がしてきた。しかしそれを支える若い人材があまりにも少なすぎる。

 先日、シネマ・ジャパンの古屋さん(社長)から「ファイターパイロット」DVDが届いた。その鮮明で迫力ある映像に驚いた。軍事・衛星チャンネルは面白いかもしれない。

 そうそう、そのパーティーに「DAYS ジャパン誌」の広河さん(編集長兼戦場カメラマン)が来ていた。広河氏とは昔からの知り合いである。これからは中央アジアが面白くなると話しあった。むろん、面白いとは興味深いという意味である。ウズベク東部の中央アジアの火薬庫に火が入った。広河さんも現地取材をやりたくてウズウズしていた。

 防衛庁検討 対北ミサイル防衛 府中にPAC3部隊 首都防衛の要に (産経 5月19日 朝刊)

[概要]北朝鮮の弾道ミサイルに対処するミサイル防衛(MD)で、防衛庁は空自に配備予定のPAC3を府中基地(東京都)にすることを検討している。米軍のトランスフォーメーションで府中の航空総隊司令部が横田に移転するので、その空きスペースに配置するという。PAC3は射撃管制装置や電源などを積載した車両で構成され、少なくとも学校のグランドほどの広さが必要になる。ただし常駐するか、展開地と利用するかは検討中。PAC3は射程30キロで、ほぼ垂直に落下する弾道ミサイルを迎撃するので、横田基地や米陸軍第1軍団が移転を検討中の座間基地を防衛することが可能になる。

[コメント]PAC3の射程が30キロでも、ほぼ垂直に落下してくる弾道ミサイルを迎撃するとなると、その迎撃エリアは半径10キロに満たない地域である。これが首都圏全域とか東京中枢を防衛できるわけではない。あくまで横田と座間を防衛する程度であることを忘れてはいけない。というわけで、府中に配備を検討ではなく、座間と横田を守るためにはPAC3を配備するのは府中しかないのだ。

 それなら横須賀(米海軍)はどうするかといえば、イージス艦搭載のSA3で防衛するという説明になる。弾道ミサイルが垂直に落下してくる最終段階で、SM3が弾道ミサイルを迎撃できるかといえば、まず不可能と思う。それなら横須賀の武山駐屯地に配備している空自のパトリオットを、新型のPAC3に転換すれば可能かといえば、武山駐屯地から横須賀基地まで離れすぎているように思う。北朝鮮が不審な兆候を見せたとき、武山からPAC3部隊が緊急移動して、横須賀基地で展開することは理論上は可能である。

 正直言って、正論でこれをうまく説明しょうとすると、PAC3で地上基地を防衛することは非常に苦しい。まして首都防衛などPAC3には到底無理である。

※それではこれれから、昨日の「メールにお返事」で予告しましたように、六本木ヒルズに向かいます。その前に、ちょっと髪が伸びたので、散髪して行くつもりです。いろいろお世話になりました。明日は空自の熊谷基地(埼玉県)に行く予定です。明日の更新はできないと思います。

 日本政府 サマワに発電所 無償で年内着工 (産経 5月18日 朝刊)

[概要]政府は陸上自衛隊が活動しているイラク南部に、6万キワットの火力発電所を建設することを決め、ムサンナ県のハッサン知事と覚え書きに調印した。このような事業を政府が無償援助で行うのは「極めて異例」(外務省経済協力局)という。火力発電所は平成19年中の稼働稼働を目指す。資金はイラク復興支援の無償協力金15億ドルのうち、道路建設や医療機器供与で使ったのが14億ドルで、残った1億ドルを建設費に使うというもの。政府は発電所建設という目に残る形で復興支援を始め、日本の存在をアピールするという。

[コメント]もうこの機会に、だれがこの企画案を出したか、どこの企業が建設を請け負うのか、また地元勢力の誰が恩恵を受けて、誰が恩恵から外されたのか、そのようなことをあえて聞かないつもりだ。

 従来のように日本企業がODAを受け易いように企画書を書き、現地の政府(地方自治体)を通じて日本政府(現地の日本大使館)に提出し、日本の企業が工事を受注するという外務省の悪しき習慣でなければいいが。

 というより、日本政府の無償資金協力金の15億ドルを、予算を使い切るための消化企画案でなければいいのだが。

 最近、イラクの要人が盛んに来日していたので、大型援助が検討されていると思っていたが、まさにそれがこれだった様である。これが日本型の国際援助というより、従来の外務省型援助の典型でなのある。

 そういえば、イラクで米軍の軍事部門を受け負うPMC(民間軍事会社)は、発電所や送電線の警備や、その建設・管理・修理を行う技術者の警護も業務内容に上げていた。日本の1億ドルがPMCの仕事を増やすことになりそうだ。戦場での支援はもっと慎重に行うべきである。

 ウズベク危機拡大 東部2カ所 暴動情報 (読売 5月17日 朝刊) [概要]ウズベク東部で15日、大規模な反政府暴動が起きたが、さらに別の2カ所でも焼き討ちや治安部隊と衝突があった模様。このため騒乱拡大の危機は去っていないと思われる。また隣国キルギスとの国境地帯で、武装勢力がウズベクの治安部隊を襲い、銃撃戦で双方11人が死亡したという報道も流れた。なおAFP通信はアンジジャンの暴動で、治安部隊が決行した治安作戦で「少なくとも600人が死亡」と報じた。

[コメント]ウズベクの東部アンジジャンで起きた暴動では、治安部隊が群衆や反政府勢力に無差別発砲を行ったようだ。これはキルギスのアカエフ大統領が反政府暴動に強権で臨まなかったから、政権が崩壊したと考えているからだろう。しかしウズベク東部は非常に貧しく、イスラム過激派を支持する環境があることも事実である。さらにここは、タジキスタンやカザフスタンと接する要衝にあたる地だ。まさに中央アジアの火薬庫にふさわしい場所である。ここに火がついたのである。ここには北朝鮮並みの独裁政権が支配している国もある。中央アジアと接するロシアや中国、アフガンに部隊を送っているアメリカと、ロシアやアメリカが治安悪化に危機感を高めていることは容易に想像できる。

 中央アジアは21世紀の火薬庫になり、イスラム原理主義と世俗主義の軍事対決を決する地域として浮かび上がってきた。

 イラク武装勢力か ネット上に襲撃映像 斎藤さんの姿なし (朝日 5月16日 朝刊) 

[概要]イラクで拘束されたとみられる斎藤昭彦さんが、襲撃を受けた際の映像がインターネットで公開された。しかし斎藤さんは映っていなかった。公開された映像では、乗用車やトッラクが路上で炎上、10体前後の遺体が映っていた。倒れた4人を集め、とどめを刺すように銃を乱射する場面もあった。

[コメント]昨夜は在京TV局で、この映像をアラビア語の通訳つきで繰り返し詳しく見た。そこで気が付いたことは、待ち伏せ場所が市街地のロータリーであったことだ。斎藤さんたちは戦車や装甲車が護衛に付かない分、高速走行することで危険度を下げる戦術をとる。そこで襲撃する側は、車列のスピードが落ちる急カーブや、右折や左折をする交差点で待って襲撃する。今回は市の中央部にあるロータリーが選ばれた。そして道路に爆薬を仕掛ける。車列の先頭車両が爆薬の上にくると爆破させる。そして前方を塞いで2両目、3両目に対戦車ロケット(RPG)を発射する。さらに前方を厚く塞いで、後続の車が加速して襲撃現場から逃亡できないようにするためだ。そして両側に隠れたものが、止まった車列に向かい一斉に機関銃や小銃を発射する。

 銃弾を受けた車両から燃料のガソリンが流れ出てくる。そのガソリンに火がついて車が炎上を始める。その段階で隠れて射撃を行っていた者は姿を現して車に近づく。もし生きていれば、炎上する車の中にいることはできない。炎上する車の中にいる者は、死亡した者か、重傷を負った者になる。そこで車から負傷した者を引きずり出して、トドメの銃弾を撃ち込むのである。まさのその通りの光景がビデオ映像に映っていた。

 武装襲撃部隊は米軍の援軍(武装ヘリ)が飛来しないうちに、現場から逃走する待ち伏せ作戦である。この映像の中に、タイヤだけがなくなり、車体(セダン)はそれほど損傷を受けたいないものがあった。これは地面に埋められた爆薬で爆破されたもので、車列の先頭車両ではないかと思った。(のちに炎上)。

 映像の中で右から左に横切る者が、対戦車ロケット(RPG)らしきものを持っているのがある。道路に爆薬を仕掛け、RPGや自動小銃を持った勢力なら、普通の乗用車やトラックで対抗することは出来ない。危険というより、無謀に近い警備任務になる。そのような危険な任務を、PMC(民間軍事会社)が高額で請け負うのである。戦争のスペシャリストしか請け負うことが出来なく仕事で、最高度の危険を承知で請け負うのである。

 韓国情報機関 北朝鮮・吉州の核実験を否定 (読売 5月14日 朝刊)

[概要]韓国の情報機関、国家情報院の高ヨング院長は、13日、国家情報委員会所属議員との懇談会で、「北朝鮮の吉州でトンネルが埋められ、観測台が設置されたなど、核実験準備動向がとらえられたという一部マスコミの情報は事実でない」と述べた。これは出席した議員の話を聯合ニュースが報じた。

[コメント]ここ数日間に中国政府の高官(複数)が、北朝鮮の核実験に強い反対を表明した。そこで米CIAは韓国の国家情報院に、北朝鮮の核実験否定情報の公開を許可したのだろう。それを受けて高院長が情報委員会所属の国会議員に説明が行われたと見る。いくら事実と違っていても、CIAの情報を韓国の情報機関が勝手に否定することはないからだ。ということは、アメリカの情報機関が流した北朝鮮の核実験情報は、中国政府の「北朝鮮の核武装に強く反対する」という言葉を得るための謀略(情報戦)と推測できる。中国政府が「北朝鮮の核実験に強く反対する」と表明することは、北朝鮮の核カード(交渉手段)を封じたことになるからだ。これが情報機関の役割(仕事)なのである。

 日本に国家情報機関を作ることが議論されているが、いつもCIAの顔色を伺うような情報機関なら作らない方がマシである。しかしアメリカを無視できるほどの情報機関を作る能力が日本にあるだろうか。残念ながら日本にはない。となれば日本は情報戦の実態を正確に把握し、その被害を避ける知恵を持つことが大事ではないか。私はそれもまた軍事知識の普及だと思っている。

 中国共産党の部長 北朝鮮が核実験実施すれば 中国、「強烈な反応」 (毎日 5月13日 朝刊)

[概要]中国共産党の王対外連絡部長は、訪中している民主党の仙谷由人政調会長らと会談し、北朝鮮が核実験に踏み切った場合、「中国は強烈な反応を示すだろう」と述べた。中国政府の幹部が北朝鮮の核実験に明言したのは今回が初めて。王部長は「北朝鮮の核実験に反対しない国はない」と述べ、核実験を行えば北朝鮮は国際社会から一切受け入れられなくなるという認識を示した。また、「北朝鮮の人民が餓死しないように、中国は一般の人に支援が行き渡るように配慮している」と述べ、引き続き北朝鮮を支援していく方針を強調した。

[コメント]何と言っても、北朝鮮の殺生与奪権を握っているのは中国である。その中国が北朝鮮の核武装化に強く反対している。だから北朝鮮の核武装化を阻止するには、日本としては中国に働きかけるしか方法はない。日本政府はもっと早く中国政府の高官から、このような発言を得るように努力すべきだった。お互いに「あうんの呼吸」で理解しているだけでは済まない場合もある。

 この記事を読んで、やれやれと思った。このようなニュースは新聞なら1面トップ、TV報道ならトップニュースで、大々的にやって欲しかった。この仙谷さんがどのような方か知らないが、ちょっとばかり応援したくなった。とにかくこの会談で、仙谷さんは北朝鮮外交で「1本」とは言わないが、「技あり」をとったことは間違いない。

 今朝、7時15分台の文化放送(ラジオ)で、北朝鮮の核兵器開発状況と核実験について話し合った。(生放送) 最後にキャスターの蟹瀬さんから、「北朝鮮の核武装計画で、我々日本人は何が出来ますか?」と質問された。私の答えは、「たいしたことは出来ないが、やるなら中国を通じて北朝鮮に圧力を強めること」と話した。北朝鮮の核武装話は、アメリカから金正日体制存続の保証と、経済や食糧などの援助を勝ち取るための情報・心理戦である。これを瀬戸際外交と言えばカッコいいが、所詮は大ボラと詐欺の恫喝である。日本は北朝鮮の核武装宣言に、放って置けばいいとまでは言わないが、せめて振り回されることだけは止めて欲しい。

 

北朝鮮・外務報道官発表 北、燃料棒取り出し 核兵器増産狙う 寧辺 「8000本作業終了」 (読売 5月12日 朝刊)

[概要]朝鮮中央通信によると、北朝鮮の外務省報道官は寧辺にある5000キロ・ワット黒鉛減速炉から「8000本の使用済み燃料棒を取り出す作業を成功裏に終えた」と表明した。さらに「現情勢に対処した防衛目的から核兵器庫を増やす上で必要な措置を引き続きとっている」と述べ、核兵器が量産体制確立にあることを強く示唆した。2月の核保有宣言で高めた危機をさらにエスカレートさせ、米国を揺さぶる狙いがあると見られる。国際原子力機関(IAEA)のエルバラダイ事務局長は8日、北朝鮮が5〜6個の核兵器を保有している可能性があることを指摘している。これに対し米ホワイトハウスの報道官は、「さらなる挑発は北朝鮮の孤立を招くだけ」と述べ、「6カ国協議に復帰すること」と中国に影響力行使の期待感を表明した。

[コメント]最近、各メディアから北朝鮮の核実験に関する問い合わせが殺到している。イラクの斎藤さんの件で多忙しているにも関わらず、そこに電話で、「北朝鮮が核実験をすると日本に放射能が降り注ぎますか?」というような質問の嵐である。さらに「米軍が北朝鮮の核実験場を空爆するそうですが、どのような作戦か教えてください」というのもある。心の中では、「もう勘弁してください。同じ説明を繰り返したくありません」と言いたいところだ。そこをぐっとがまんして、「それでは簡単に説明しますよ。北朝鮮の核実験はありません。その理由は・・・・・・・」と、20〜40分程度の説明を繰り返すのである。そして最後に相手が、「そうですか、それでは企画になりませんね」で電話が終わる。その瞬間に、私がどっと疲れを感じるときである。

 この時期、北朝鮮はアメリカを直接交渉のテーブルに引きずりだしたくて、核兵器開発や核実験の脅しに必死になっている。北朝鮮にはアメリカを交渉に引き出すには核カードしかないからだ。そして直接交渉で核兵器開発を放棄するという条件で、アメリカから体制存続の保証と、経済支援や石油援助を受けたいからである。そこはアメリカも十分に承知している。いくら北朝鮮が激しく挑発しても、「やれるならやりなさい。中国がそれで済ましますか。中国は朝鮮半島の非核化を支持していますよね」と、今度は中国の圧力を期待するのである。

 中国は中国で、北朝鮮が中国の顔に泥を塗ってまで核実験(核武装)するわけがないことを知っているから、北朝鮮が激しくアメリカを挑発することに無関心である。さらに北朝鮮の挑発に乗る方がバカ(悪い)という考え方もしている。

 そこに元CIA高官やエルバラダイ事務局長が、アメリカ政府にゴマをするために、北朝鮮は核兵器を持っている可能性があるとぶち上げるのである。北朝鮮の核武装をほのめかすことで、北朝鮮の国際的な孤立化を深め、北朝鮮の悪役ぶりを際立たせるためだ。「核兵器保有の可能性がある」というのは、「核兵器を保有している」と断定したわけではない。だからエルバラダイ氏の経歴に傷をつけることにならない。むしろイラクの大量破壊兵器をめぐる際に出来た米政府との対立を解消し、IAEAにおける自分の地位(事務局長)を固めたいためのゴマすりなのだ。

 そこで最大の被害者は日本ということになる。そのあたりの事情を何も知らない日本人は、北朝鮮が核実験して、アメリカが北朝鮮を空爆する、いよいよ朝鮮半島で戦争が始まる兆候かと大騒ぎになる。そこで私の電話が鳴り響くのだ。それは本当にもう勘弁してくれと言いたい。それは単に、核カードでアメリカを挑発する北朝鮮と、それをさらに拡大して北朝鮮を孤立化しようとするCIAと、北朝鮮を悪者に仕立てることで米政府にゴマをする者たちの構図である。

 さらに言いたいのは、核兵器や核戦略を知らず、何の情報を持たない一部の北朝鮮 ウォッチャー である。「まあ、北朝鮮は核兵器を5、6個は持っているでしょう」「アメリカは間もなく北朝鮮の核施設を空爆します」といういい加減な話しを流さないで欲しい。その説の根拠を求めると、CIAがそのように話していますという。オイオイ、CIAがデタラメな北朝鮮情報を垂れ流していることを、北朝鮮の専門家なら絶対に知っていて欲しい。今のCIAが北朝鮮に行う第1の仕事は、北朝鮮の核開発情報を公表することではなく、情報操作で北朝鮮の国際的なイメージを悪くすることなのである。そのためなら平気で偽情報や誇大情報を流すのがCIA流なのである。本当に、もうこの話は勘弁してもらいたい。

 第1空挺団出身の元自衛隊員がイラクで武装勢力に拘束? (5月11日)

[コメント]昨日、イラクで武装勢力の待ち伏せにあい、ロンドンの民間軍事会社(PMC)と契約した日本人の斎藤さんが連れ去られる事件が発止した。その事件が報じられる中で、「斎藤さんは陸上自衛隊で『最強』といわれる習志野の第1空挺団での勤務歴を持つ」と解説されていた。昨日の夕刊や今日の朝刊各紙には、「元第1空挺隊員」とか「元自衛官がイラクで拘束される」というものが多くあった。

 私はこのようにことさら「元自衛官」を強調する報道に違和感を覚えた。斎藤さんは79年に一般自衛官として入隊した。それから前期・後期の新隊員教育を経て、美幌(北海道)の第6普通科連隊に配属されている。その美幌勤務期間は約1年だが、それは隊員見習いという程度のものである。それから第1空挺部隊に転属し、約5ヶ月間ほど空挺隊員として勤務した。その後、入隊から2年間(1任期)で自衛隊を除隊している。だから5ヶ月間の空挺団では基礎的な降下訓練しか受けていないのだ。厳しい空挺レインジャー訓練は受けていないはずである。だから最精強の第1空挺団出身という報道には、むしろ第1空挺団の隊員たちが違和感を持つのではないか。

 斎藤さんは自衛隊を辞めてから、21年間のフランス外人部隊での勤務の内容が凄いのである。フランス外人部隊で受けた訓練や実戦経験、それにフランス語や英語の能力がPMC(民間軍事会社)に評価されたのだ。

 それではなぜ斎藤さんは精鋭といわれる第1空挺団を辞めてフランス外人部隊に入ったのか。ここからは私の推測だが、斎藤さんの経歴から読めるのは「第1空挺団に失望した」からではないかと思う。

 北海道の美幌で陸自最強といわれる第1空挺団の入隊を目指して誠心誠意頑張ったはずだ。そして厳しい空挺団の入隊審査に合格し、晴れて入隊することが出来た。しかし自分が思い描いてきた空挺団と違っていたのではないか。斎藤さんが想像した空挺団とは、まさにフランス外人部隊のように戦争のプロを目指した集団と思ったと感じた。しかし現実の空挺団は訓練のための部隊で、実際に戦争をするような戦闘集団ではなかった。恒例の演習では決められた場所に穴を掘り、演習期間が過ぎれば部隊に帰るサラリーマン公務員でしかなかった。週末は友人たちと居酒屋で酒を飲み、月曜になると1週間のスケジュールが始まる。そのような決まり切った生活に失望したと思う。私は空挺部隊よりも厳しい生活や環境を求めて、フランス外人部隊に入ったものを知っている。だから斎藤さんは21年間も、フランス外人部隊で高い評価を受けて勤務できたのである。

 確かに第1空挺団は陸自最強の部隊である。しかしあくまで現憲法下の自衛隊であることは間違いない。国際紛争を武力で解決することを憲法で禁じられた国の精鋭・戦闘集団なのである。自衛以外に戦闘を厳しく禁じられた精鋭部隊なのだ。だから第1空挺団で10年、20年と厳しく育てられた隊員でも、実戦の経験のない第1空挺隊員はPMCなどは相手にしない。

 斎藤さんのことを、「第1空挺団出身の元自衛隊員」という呼び方に、マスコミの軍事に対する不理解と、自衛隊への無知を感じてしまうのである。斎藤さんを最強の第1空挺団出身というのは、やはり間違いだと思う。正確にはフランス外人部隊での経歴を詳しく報じるべきなのである。それでないと今回の拘束事件の本質が見えてこない。戦争のプロにふさわしい経歴や技能を持ったものが、PMCに高給で雇われて、極めて危険な任務に従事するのである。この現実を日本人は知る必要がある。

 今後は斎藤さんの生存映像の公開と、武装勢力側からの要求条件に注目している。

 

 イラクで日本人が拘束 武装勢力が声明 米軍施設で働く (共同配信 5月10日 )

[概要]イラクの武装勢力「アンサール・スンナ軍」を名乗るグループが、日本人を拘束したと声明を発表した。この日本人はパスポートから「斎藤昭彦」(東京出身)さんと見られ、イラク西部のヒート近くでの戦闘で負傷している模様。斎藤さんは米軍の民間警備会社の関係者と見られる。

[コメント]これまでの情報から斎藤さんは民間軍事会社に勤務し、イラクの米軍から警備などの業務を請け負っていたと考えられる。しかし民間軍事会社は高度な軍事訓練を受け、実戦経験など豊富なものが採用される。だから斎藤さんも米軍の特殊部隊などに勤務していた可能性が高い。階級が軍曹など下士官クラスなら、日本のパスポートを持ち、アメリカのグリーンカード(永住権)を持っている場合がある。

 斎藤さんは軍隊を退職後に民間軍事会社に勤務したようだ。なお、今朝のニュースでは斎藤さんが契約した民間軍事会社はイギリスの会社のようである。民間軍事会社は最近成長した軍事関連企業で、アメリカやイギリスで雨後の竹の子のように新会社が設立されている。

 なぜそのように高度な軍隊経験者を採用するかと言えば、特殊部隊であればあらゆる武器を使いこなせ、衛星電話などの通信手段でコミニケーションをとれる技術があるからだ。

 リクルートは特殊部隊の隊員(元を含む)などに、「あなたのキャリアを生かして、高給と冒険を手にできる」と勧誘する。給料は平均で一日1000ドル(10万円)程度である。平均では1ヶ月だと300万円になるが、作戦立案能力がある佐官クラスだとさらに高給が与えられる。

 米軍が民間軍事会社を契約するメリットは大きくわけて2つである。ひとつは米軍の死傷者数を少なくすることができること。もうひとつは高度な軍事訓練を終了したものを使うことが出来るという点である。

 以前、ファルージャでアメリカ人4人が殺され、橋に吊されたのはこの民間軍事会社のものであった。

 問題はこの者たちの法的な立場が明確ではないことである。ジュネーブ条約で保護された兵士ではないし、ゲリラやスパイでもない。もし民間軍事会社のものが誤って民間人を殺しても、だれがどのような立場で裁くかといった問題が曖昧である。また裏切りや逃亡、反抗や反乱などをどのように取り締まるか不明なことが多い。

 アメリカでは特殊部隊の隊員に民間軍事会社の引き抜きが多く、特殊部隊の隊員の給料やボーナスをアップし、引き抜きを防止している現状がある。

 ここで注意しておきたいのは、日本人が単に元自衛官であるというような理由で、このような民間軍事会社を訪ねても相手にされない。高度な訓練と実績のキャリアが必要なのである。(8時15分)

※ 先ほど、斎藤さんが習志野の空挺団出身者と判明したことがわかった。いつ空挺団(あるいは自衛隊)を退職したか、どのような経緯でイギリスの民間軍事会社に就職したか不明である。(10時20分)

※ 斎藤さんは自衛隊に79年に入隊し、2年後に退職してることがわかった。それから渡仏して、フランス外人部隊に入隊したようだ。フランス外人部隊では21年間勤務して、階級は曹長で小隊長をしていたという情報もある。しかし詳細は不明である。(10時45分)

 核保有を国際社会 黙殺 北の核実験 現実味 「認知迫り強行」 専門家分析 (産経 5月9日 朝刊) 

[概要]北朝鮮が核実験に踏み切る懸念が高まっている。国際社会は2月に北朝鮮が行った「核保有宣言」を黙殺した。金正日体制は核兵器保有を米国に認知させることが体制維持の保証と考えている。米メディア報道では、北部の吉州でトッラクの活発な動きや、トンネルの建設、観覧スタンドの建設など、核実験準備の兆候が続いている。もし北朝鮮が核実験を行えば、国連安保理で経済制裁などの討議は避けられないなど、国際的な孤立と制裁で核実験は行わないとの見方が強い。しかし体制維持のため、核実験で核保有の認知をさせ、米国と交渉するしか方法がないという専門家の考え方もある。北朝鮮の核危機は最大の厳しい局面を迎えた。

[コメント]テポドン2の時もそうだった。北朝鮮はテポドン(98年8月)よりも高い発射台を組み立てて、いかにもテポドン2が存在するような素振りを見せた。しかしテポドン2は姿を見せることなく、発射台は間もなく解体された。それだけでテポドン2の亡霊はアメリカで一人歩きを始め、それはアメリカに届く弾道ミサイルとなり、この春には核弾頭搭載可能な弾道ミサイルと米政府高官が発言した。(後に訂正)。

 アメリカには北朝鮮の危機を煽り、米朝・軍事対決の構図に持ち込みたい勢力がある。それが北朝鮮のカラ脅しに、化粧をつけた誇大情報でメディアに公表する。そのような形が出来上がっているようである。その勢力とはCIAなど危機発生によって成長する組織である。

 しかし北朝鮮が追い込まれていることは確かである。北朝鮮が作っている偽札のドルや円は厳しく監視されている。また覚醒剤や麻薬、弾道ミサイル(スカッド)や核物質の密輸も、海外の北朝鮮大使館員を厳しく監視することで、北朝鮮が国策で行う外貨稼ぎを封じ込めている。

 金正日が核兵器保有を最後の生き残り策と考えていることも理解出来る。しかし核実験を行えば、間違いなく北朝鮮は孤立と制裁で崩壊する。

 北朝鮮の吉州で核実験を装っているのは、あくまで北朝鮮流の対米瀬戸際外交で、アメリカ相手に使うカードがないことを証明している。やはり北朝鮮が核実験の動きを見せているのは、北朝鮮流の謀略と、北朝鮮危機を煽りたい勢力が、奇妙な共鳴を起こしている現象と思う。北朝鮮の6月核実験はないと思う。

 (本日のメールにお返事のコーナーでも、同じ問題を扱っています)

 北朝鮮 シルクワームを発射か (5月2日)

[概要]北朝鮮が昨日、東側から射程90キロ程度のミサイルを日本海に発射した。おそらく地対艦ミサイル・シルクワームと思われる。ミサイル発射の目的が訓練か実験かわからないが、政治的な意図があることも考えられる。

[コメント]今朝、地対艦ミサイル・シルクワームを地対地ミサイルと間違え、地上目標を狙えると解説したのを聞いた。シルクワームは海上の艦船を攻撃するもので、陸上では地対艦ミサイル、海上では艦隊艦ミサイルとして使えるが、地上の目標をシルクワームで狙うことは出来ない。それは終末誘導がレーダー・ホーミングだからだ。シルクワームは目標上空に飛来すると、自らレーダー波を照射して目標(艦船)の位置を捉える。地上目標は乱反射でできない。だから地対艦であっても海軍配備なのである。北朝鮮軍が配備してる地対艦シルクワームの発射基地は6カ所とミリタリーバランスに記述してある。

 射程95キロ程度のシルクワームを怯える必要はない。ちょっと誇大解説が多すぎる。今朝のTVを見て驚いた。

 北朝鮮はシルクワーム1発で大騒ぎしてくれる日本のマスコミに感謝していることだろう。


※これ以前のデータはJ−rcomFilesにあります。