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New Files May-Sep 2000

海自情報漏洩 萩崎容疑者を起訴 (各紙 9月30日 朝刊)  [要約]東京地検は萩崎3佐を自衛隊法違反(守秘義務違反)で告訴した。萩崎3佐は「秘」指定文章の、「戦術概説」と「将来の海上自衛隊通信のあり方」をロシアの駐在武官ボガチェンコフ大佐に手渡した。また萩崎3佐は同大佐から58万円を受け取り、会合した際の飲食代を負担してもらっていたというものである。

[コメント]結局、萩崎3佐は自衛隊法の守秘義務違反で起訴されました。このまま二人を放置していれば、とんでもない機密情報がロシアに渡る危険があったというおまけ(推測)つきである。防衛庁はこの事件の深刻さに衝撃を受けているそうである。(本当?) ひとつだけ言えることは、これで萩崎3佐は完全に悪者になってしまった。むかしカンボジアのポル・ポト支配地区に取材で入ってみると、日本に報道されていた事情とあまりにも違うので驚いた。それで記事を書いた日本人記者に話を聞くと、過去に一度書いた自分の記事を否定する(相反する)ような記事は書けないと言う。記者も人間であり競争原理が強く働く組織(新聞社)に属している。過去に一度、誤った認識で書いた記事でも、その後はその認識を補強するような取材をしてしまうと、その記者は本音の部分で話をしてくれた。特に、今回の事件のように当事者を取材したくても、一人は留置所でもう一人はロシアでは、記者の推測割合が非常に大きくなる。だからつい秘密、機密、極秘などの説明と、警察からのリークが記事の大部分になる。そのような場合でも、アメリカ海軍の「戦術概説」などは堂々と市販されている現実を報じてほしかった。米国防省は多くの国民に軍事知識をもってもらった方が、国防上のメリットが大きいという意味からである。日本での国防は、国家が管理し民には知らせない秘め事ではだめだ。これでは国防族議員がまたスパイ防止法と無邪気に騒ぎ出すだけだ。
自衛隊漏洩 護衛艦の攻撃システムも 「秘」扱い情報 (朝日 9月28日 朝刊) [要約]スパイ事件で逮捕されている萩崎3佐は、護衛艦の攻撃システム(CIC)に関する情報をボガテンコフ大佐に渡した可能性があることがわかった。これは米軍とも共有している戦闘システムなので、アメリカ側もどのような情報がロシアに漏れたか関心を示しているという。

[コメント]朝日もこんな記事をよく1面トップに持ってくるね。あのね、護衛艦というのは戦闘をするのが目的の軍艦だよね。それが襲ってきた敵を認識し、それに効果的な攻撃をするのが攻撃システム(CIC)だよ。レーダーやソナーでつかんだ情報をコンピューターで処理して、対空ミサイルや対潜魚雷を発射して敵を破壊する。そのためのCICシステムを運用する船なんだ。戦闘機のパイロットがコクピットで操作するようなものなんだ。だから海自の幹部で護衛艦に乗っていれば、CICなんてものは戦闘機パイロットのコクピットと同じだよ。どのように米海軍と海自の護衛艦が情報網でリンクされているかは、軍事専門誌などを見れば詳しく解説してある。ただリンクに使う無線の周波数とか、探知や妨害を避けるための対策や、情報処理の細かい部分が秘密なだけなんだ。CICの全てが「秘」という訳ではないからね。そんな事実を知っていれば、米海軍と海自は情報通信網が結ばれているから、米軍が関心を示しているなんて記事は間違いではない。しかしそれは素人のこじつけに近い表現だ。そこまでして萩崎3佐を罪人にしたいのかと疑うような記事なんだ。それも関係者の証言で分かったというように、警察のリークで記事を書いているようだが、もう少しCICのことやスパイ事件の報道のありかたを研究してほしい。じ日の朝日新聞7面に、ニューヨーク・タイムス紙が26日の紙面で、異例の大型記事を掲載したことが載っている。それは中国系アメリカ人が核技術のスパイ事件で拘留され釈放された事件で、ニューヨーク・タイムス紙があやまって報道した経緯と、反省点をあげている記事だ。「事件をおどおどしく報道した。当局の証拠不足を報道しなかった。捜査当局が盗聴するほど十分な根拠がなかった。当局や議員の言葉をそのまま引用した。」などである。これを読んで、朝日新聞のこの記事に反省する点はないのか。今回は前回の宮永スパイ事件の反省から、私はややしっつこく萩崎3佐の報道内容に文句を言わせてもらっている。そろそろ新聞記者諸君も、スパイ事件報道の問題点に気がついてよ。同じ様な内容の記事は、先週のニューズウイーク誌にも掲載されています。核技術スパイ事件では捜査も報道も問題があったと。それから蛇足ながら付け加えますが、もし萩崎3佐がCICの情報をロシアの武官に渡しなのなら、裁判ではその秘密情報の内容はもちろんだが、受け取った側の立証も必要になるんだよ。萩崎3佐は明日29日に拘留満期になる。警察は自分のメンツを守るために、一人の人生を滅茶苦茶にしないようにお願いする。
スパイ事件 秘密漏洩罰則強化へ 自衛隊法を改正へ (読売 9月27日 朝刊) [要約]防衛庁は海自3佐のスパイ事件を受け、現行の機密漏洩罪の罰則を強化するために自衛隊法の改正を打ち出した。保守党は今回の事件でスパイ防止法の制定を主張し、自民党の国防族議員の中にもスパイ防止法制定を求める声がある。

[コメント]やはり予測していたように、スパイ防止法制定が浮上してきた。しかし今回は対象を国民全てではなく、自衛官に絞ってやるつもりらしい。防衛庁や国防族議員たちは、感覚がずれていることに気がつかないようだ。すでに萩崎3佐のスパイ事件では、警察は「機密漏洩罪」で送検することは難しい(軍事知識のABCを参照)ようだ。もし不起訴にならなければ、あのスパイ事件は自然消滅するかもしれないのだ。それなのに自衛官を対象にスパイ防止法を強化するというのである。この動きはどこか狂っていませんか。これほど自衛官をバカにした処置はない。自衛官はもっと怒っていい。(なお、萩崎3佐は顕正会と無関係であることがわかりました)
南北国防相会談 軍事面での和解確認 具体的な成果なし (毎日 9月26日 朝刊)  [要約]韓国の済州島と25日から始まった南北国防相会談で、南北首脳歓談の合意事項を軍事面でも支えていくことを確認した。しかし軍事ホットラインの建設や地雷の撤去など、具体的な合意には至らなかった。

[コメント]同じ新聞面に北朝鮮が干ばつなどの被害で、140万トンの食料減産であったと北朝鮮の農業省農業局長が発表している。来年も慢性の食糧不足が続くことになりそうという。昔なら、このような情報は意図的に隠されるか、あるいは敵への謀略情報として流されていた。しかし現在は、特殊な航空写真や偵察衛星からの写真分析で、アメリカは北朝鮮よりもはるかに早く、北朝鮮の穀物の収穫高を正確に知ることが可能だ。その上での南北国防相会談である。北朝鮮側のはったりや脅しは通用しない。いくら38度線付近で北朝鮮軍の演習が続いたり、兵力の削減がなされなくとも、それは対韓国というよりは自国への対策である。北朝鮮の体制が今も維持できていのは、人民軍の体制を維持できているからである。北朝鮮軍の首脳は本格的な南北交流開始後も、人民軍の体制を維持することに必至で努めるであろう。その体制維持の方法は、脅威を強調し兵士の緊張感を高めることである。しかし北朝鮮人民軍を笑えない。どこの軍隊も似たようなものだからである。困るのは、そのような現象を見て、北朝鮮が今も武力南進の準備を進めていると主張する人だ。南進にどれくらい莫大な量の物資や、大規模な兵力が必要か知らない(軍事を知らない)から、無責任なヨタ話を垂れ流す人がいる。それともアメリカのCIAのように、北朝鮮の脅威が消滅すれば仕事がなくなって困る人である。世の中には困った人が意外に多いものである。
厚木基地 夜間訓練(NLP)を突然中止 友好断絶に配慮か (朝日 9月22日 朝刊)   [要約]米海軍は厚木基地で予定していた、空母キティホークの艦載機のNLP(夜間発着訓練)を中止した。これは三沢市(青森県)や大和市(神奈川県)と綾瀬市(神奈川県)が、米海軍に対してNLP騒音が改善されないことを理由に、「友好関係の中断」を通告したことに配慮したものと思われる

[コメント]三沢市が今月18日に、三沢基地の米海軍に対しNLPの騒音を理由に、友好関係の断絶を宣言した。友好関係の断絶とは、市の行事などに米海軍関係者を招かないなどの処置だという。これがどの程度の効果があるか関心があった。そして三沢市のNLP抗議(友好関係の中断)は、厚木基地に隣接する大和市と綾瀬に飛び火した。その効果は予想以上で、ついに厚木基地でNLPを中断させることに成功した。NLPの騒音に苦しむ自治体にとって、「友好関係の中断」という手段は新たな交渉手段になりそうである。これも沖縄の基地問題と同様に、市民生活を脅かすような基地は地元が許さないという証である。過去のように、地元に基地対策費が貰えるなら、多少の犠牲は我慢するという時代ではなくなったのだ。これは有無を言わさず、厚木や三沢基地などで、NLPは出来なくなるという新たな時代の始まりなのだ。世界無敵の米軍も、地元を敵に回しては存続できないことを知ったと思う。もしうアメリカのメデアが、「在日米軍基地が地元自治体から、友好関係の中断を宣言された」なんてことを報じたら、、アメリカ政府は問題の深刻さを十分に理解できるはずである。しかしこれは同時に、反NLP運動が反米運動や反体制運動と断定してはいけない。これも新たな時代の潮流なのである。それにしても、地元が被ってきたNLPの大騒音と、訓練機墜落事故の不安は計り知れない。
スパイ事件の真相 国際政治も絡み・・・・ 紙面審査から (毎日 9月19日 朝刊)  [要約]こんどのスパイ事件で、毎日新聞は裏付けのとれた事実だけを伝えていくことにしたそうだ。「スパイ事件では機密が漏れたという記事がのるが、すべて違う。それに漏れた機密を起訴するかどうかもわからない。国際情勢で判断されるからだ」と、かつてスパイ事件で取材した担当検事の話を紹介している。それでも毎日新聞は、最初の第1報では、「機密情報」という言葉を使ったが、その後は慎重に「内部資料」という表現を使ったことを紹介している。

[コメント]今回は過去の宮永事件のように、マスコミの無茶苦茶な報道は抑制できた。毎日新聞のように宮永事件を体験した記者が、今も部長クラスで残っていたことが幸いしたようだ。本日、我が家に毎日新聞の配達員が契約の延長にきたが、この記事が気に入ったので、1年分をポンと再契約しておきました。まあ私が毎日新聞にエールを送るとすればこの程度しかありませんが。
萩崎3佐と顕正会(あるいは他の宗教団体)の関係を報じる続報なし。(9月17日 午前11時現在) [コメント]この4日間、注意深く萩崎3佐の続報に注目したが、顕正会や他の宗教団体との関係を報じたものは目につかなかった。友人の新聞記者の情報によれば、自衛隊が密かに作成した現役自衛官の顕正会員リストにも、萩崎3佐の名前は載っていないようである。とすれば、NHKが放送した内容を信頼するなら、萩崎3佐は顕正会の秘密信者か、他の宗教団体と関係しているのだろうか。ところで朝日新聞(9月16日 朝刊)で田岡俊次編集委員も書いているが、今回のスパイ事件はお粗末すぎる。これが本当にスパイ事件と呼べるのだろうか。(週刊「AERA」 00.9.25号 スパイ事件は本物か? 「ロシア武官が論文指南」 田岡氏著を、推薦図書に掲載しました。こちらも参照ください)  警察と検察はどのようにこの事件を立件するか関心がある。法律的に考えておくことも大事なようなきがする。(そのあたりの感想を、軍事知識のABC「萩崎3佐のスパイ事件を分析」に書きました。興味のある方は参照してください。)まさか立件を見送って、だらか日本にはスパイ防止法が必要であるなどと言わないで頂きたい。宮永事件が起きた直後に、何も知らない政治家たちが、「だから日本にはスパイ防止法が必要である」と語っていた。今回もそれをやれば、まさに「スパイ防止法制定キャンペーン」のための事件になってしまう。
萩崎3佐 「露武官から受け取った金銭は宗教活動に必要だった金」と自供 (NHKニュース 9月14日 正午のニュースより) [要約]正午のNHKニュースは、萩原3佐は露武官から受け取った60万円の金は、宗教団体の活動に必要だった金だと自供したと報じている。防衛研究所にある萩崎3佐の所持品からも、この宗教団体の入信書が押収され、この宗教団体の集会に参加したことも確認されているという。

[コメント]おそらく警察がNHKにリークした情報だろう。もしこれが事実なら、萩崎3佐の逮捕は自衛隊内の宗教活動をめぐる事件が主で、ロシア武官スパイ事件の方は従(別件)の関係になる。まだNHKは宗教団体の名前を報じていないが、これが顕正会ならスパイ事件より深刻な事態になる。というのは自衛官にも信教の自由はあるから、顕正会に入信しているからといって罪にはならない。しかし顕彰会は最近、自衛隊幹部を重点的に勧誘している。とくに防大出身の自衛隊中堅幹部や、防大の研究科に多いいと言われている。そして顕正会に入信した幹部は、自衛官の階級より宗教団体の定めた上位の地位の者に従うという。だから本当のところ、警察は萩崎3佐をスパイ容疑で捕らえて、スパイ事件よりは自衛隊幹部と顕正会との関わりを知りたがったのではないか。この自衛隊と顕正会のことは、注目記事「自衛隊が作成したカルト教団の対策マニュアル」で説明してある。しかしまだ、NHKが宗教団体の名前を報じていないので、今の段階でこれは参考情報の段階である。ただし宗教団体がまさに顕正会なら、萩崎3佐のスパイ事件はとんでもない展開を示すことになる。なお顕正会の幹部自衛官は、今年8月に「檄文」を幹部自衛官に実名で送っている。自衛隊にとってはロシア大使館の駐在武官スパイ事件より、顕正会がはるかに深刻な新展開である。今夜の夕方のニュースに注目。しかしオリンピック開会式の前日に、こんな大情報をリークするとは警察もなかなかやるな。
スパイ事件 萩崎3佐   モスクワ駐在が夢 露武官将来を見込み工作  (読売 9月12日 朝刊) [要約]萩崎3佐は将来、モスクワの日本大使館に駐在防衛官(武官)になりことを希望しており、露駐在武官は萩崎3佐がロシア帰国後に、自衛隊対ロシア情報の中枢を占める地位に着くものとして工作を加速したものと、警視庁公安部は見ている。

[コメント]当たり前の話である。萩崎3佐ほどの経歴と知識を持っているものが、将来にモスクワの大使館勤務を希望しない訳がないからだ。それをスパイの動機として記事にするのはこじつけである。新聞社の社会部の若い記者が、地方の支局勤務時代に警察キャリアで県警の課長クラスとつき合うのは、将来、自分が社会部の華である警視庁担当のキャップになったときに、警察庁や警視庁に帰ってきた旧知の県警課長クラスから情報を取りたいからである。それを警察のスパイにさせるために、若い記者は県警の課長クラスに取り込まれたと書いているようなものである。まったく軍事情報戦のイロハがわかっていない。国際常識では萩崎3佐の将来性に期待して、露駐在武官との接触や情報の交換など、通常の情報活動として認知されていることなのである。私の正直な気持ちは、萩崎3佐の無念さが伝わり哀れさを感じている。これからもプライドある軍事ジャーナリストの一人として、間違った社会の時流に流されず、正しいと思ったことは例え孤立しても堂々と主張したい。
スパイ事件 萩崎3佐 情報収集の特殊教育経験 陸上自衛隊調査学校に入校経歴 (読売 9月10日 朝刊)
[要約]萩崎3佐は自衛隊調査学校に1年半在籍し、軍事情報などの収集・分析など特殊な専門教育を受けていたことがわかった。萩崎3佐は捜査本部に上申書を提出、ロシア側に漏らした約10項目の情報内容を具体的に挙げた。

[コメント]今の報道の段階では、まだまだ萩崎3佐がロシア側のスパイであると断定できない。むしろ、ますます萩崎3佐は、自衛隊がロシア駐在武官と親密に交際させ、情報の交換を行っていた可能性が高くなってきた。マスコミ報道によれば、自宅から自衛隊の秘密文書が見つかったというが、海上自衛隊のエリート3佐で、自宅に秘密指定された文書を一切持っていないほうが異常である。受け取った金銭も1年半で合計10数万円という額なら、情報提供は金銭が目的とはとうてい思えない。警察は逮捕した自衛官がスパイであったことを誇示したがり、いかにもスパイらしい情報をリークするが、軍事情報戦の現実を知る人間としては、今までの報道内容ならば萩崎3佐の無実を確信してしまう。おそらく彼が書いた上申書も、軍事情報の専門家が見れば、ロシアの武官に渡しても無害なものであると判断してもらえる。と、そのように考えて書いたのではないか。なんでも秘密文書にしたがる自衛隊にも責任がある。過去の宮永スパイ事件のように、警察が早とちりで逮捕し、マスコミがスパイに仕立てるようなことはやめて欲しい。相手が秘密保持のために反論できないことをいいことに、さも大物スパイ事件を摘発したような警察の対応は問題である。自衛隊もあとで萩崎3佐の生活の面倒(ロシア語の翻訳の仕事をまわすなど)をみれば済むと思っているのではないか。自衛隊情報関係者は本当にそれでいいんですか。我々国民は、ロシア海軍の原潜の現状など、萩崎3佐にロシア大使館の駐在武官と接触して、入手して欲しい情報は山ほどあった。警察はそのことを忘れないでほしい。
海上自衛隊 幹部(3佐) 自衛隊情報 ロシアに漏らす 逮捕 (9月8日 朝刊各紙)  [要約]防衛研究所に勤務する海自3佐が、ロシア大使館に勤務する武官(GRU所属)に自衛隊情報を提供したとして逮捕された。

[コメント]この種の事件は、新聞記者の軍事的な無知と、警視庁公安部外事課の軍事的な無知、それにスパイ事件としてのスキャンダラスな面が強調され、とんでもない記事がマスコミにあふれることになりやすい。宮永事件の時は、短波無線機が押収されたとか、乱数表が見つかったという記事が出たが、それらのすべてが誤報で、FM TOKYOのラジオを聞くラジカセが短波無線機と特殊なアンテナという記事になった。金銭を受け取ったという額も、当初は数万円から数日後には数千万円に膨らんだ。もちろんこれも誤報だった。当時の新聞記者は、「とにかく書き飛ばした。裏取りはぜず、何でも書けば載るという異常な状態だった」と語っている。おそらく今回も、かつての宮永事件同様に、旧「資料(調査?)月報」を秘密情報としているのだろう。87年の横田米軍基地事件も、ワシントンに行けば海軍協会の地下売店で市販されている「Fー16戦闘機 テクニカル マニュアル」を秘密資料として逮捕している。今回もこの海自の3佐が、どんな情報をロシアの武官に渡したか、そのことが明らかになるまで空騒ぎをすべきでない。それによっては、公安部外事課の無知が問われる事態もありえる。*旧「資料月報」とは、自衛隊の資料調査隊が、各国の軍事情報(主として公開の軍事専門誌の記事)を翻訳して編集したもの。現在は「情報月報」に名前を変更している。宮永事件の時は、ソ連が欲しがっていた中国軍の情報を渡したとされたが、これは中国軍の機関誌「解放軍報」などを資料調査隊が翻訳したもの。なお「解放軍報」は中国で市販され誰でも入手できる。これから軍事オンチの情報と記事は要注意である。ここからは仮説であるが、もし逮捕された海自の3佐が、自衛隊情報機関の密命を受けて、ロシア軍の情報を得るためにロシア大使館の武官に接触していたとしたら、この事件の落とし所はどうするのだろう。どこの国のスパイでも、手持ち情報の交換、飲食接待の授受、金銭の授受などは、互いの信頼感を増すために必要な手段だからだ。(もちろん直属の上司にはそれらを報告をしておく必要はある) 彼の身分の防衛研究所・研究員というのは、対ロシア軍スパイであることを隠す仮の身分であった可能性もある。それにしても虎島防衛庁長官が陳謝したのは早すぎる。なぜもっと部下を信頼し、詳しい事実関係が明らかになるまで、公式の謝罪を延ばすことができないのか。長官がそんな弱腰では、自衛隊に優秀な情報機関は育たない。ここでスパイの常識を知っておこう。スパイは4分の情報を渡し、6分の情報をとれば優秀なスパイである。しかし6分の情報を与えて、4分の情報しかとれなければ裏切り者である。という言葉がある。
ロシア原潜事故の教訓 8月中旬に起きたロシア海軍の「クルスク」原潜沈没事件の総括  反核活動家を批判する解説を執筆中。「もし原子炉を搭載した軍用機が開発されたら、反核運動家は猛反対するだろう。軍用機自体が墜落する危険があるし、機体には爆弾やミサイルなど爆発物を搭載している。その上、軍用機は互いが破壊を目的とする戦争に使われるものだからだ。しかし彼ら反核運動家は原子炉を積んだ潜水艦が世界の海を動き回っていることに関心がないようだ。原子炉を積んだ軍用機と原子炉を積んだ潜水艦に違いはない。なぜ反核運動家は原潜の存在に反対をしないのか。それは彼らが原潜事故に無知だからである」。そんな内容の記事を書いている。夏のクルスク原潜事故の時に、過激な遊びと家事と仕事で、タイムりーで適切な解説を書かなかったお詫びである。(詳細は「私が所長です」を読んでください)
     これより以下は、8月31日以前の情報です。(長期夏休みのため、掲載情報量が少ない)
統一後も米軍が残るのがいい 金総書記 南北会談で明言 (朝日 8月9日 朝刊) [要約]6月の南北首脳会談で、北朝鮮の金総書記は韓国の金大統領に、金容淳書記が、「米軍は必ず撤退しなければいけない」というのを制して「米軍は今は撤収する必要はなし。統一後も、平和維持のために残るのがよい」と発言していた。

[コメント]どこの新聞が最初に書くか楽しみにしていた。韓国の朝鮮日報か、アメリカのワシントン・ポストか、それを日本の朝日新聞がやった。まあ無難なところである。当ホームページをご覧のかたなら、コーエン国務長官が南北首脳会談後に韓国を訪問し、その後に丁寧な礼状を金大統領あてに出したという情報が出たときに、韓国の在韓米軍は統一後も駐留を続けることが読めたと書いた。今回のこの朝日の記事で不足なのは、金総書記の発言の背後に中国政府の意志が明確にあるという点である。そのことを再度記事に出来れば、朝日のパーフェクトのスクープである。今の段階の記事なら、韓国政府が情報のリーク先に朝日に選んだということだけである。軍事はこんな予測ができるから面白い。
予備自衛官を公募 学生や社会人対象 2002年から (読売 8月6日 朝刊) [要約]防衛庁は次期中期防衛力整備計画で、予備自衛官の一部(当初は200人規模)を学生や社会人から公募することを決めた。公募するのは18歳から55歳以下の男性で、3年間に50日程度の射撃や行進の基礎訓練を行う。当初は学生の応募が見込まれることから、関東や関西を中心に募集をして、国民の理解を得ながら拡大する方針。

[コメント]新しく発足した即応予備自衛官が、不況のせいで苦戦していることは知っていた。いくら企業が防衛庁から手当をもらっても、会社を休んで度々訓練に出かけるような社員は雇用したくないという理由からだ。だからこんどは主として、大学生や専門学校生や狙っての新制度である。夏休みにアウトドア感覚で、自衛隊の訓練を体験して頂くというのがミソである。まあ軍事おたくや兵器マニアぐらいなら、この制度にとびついてくるだろ。しかし本来の本当の意味で、「予備自衛官制度」を強化することにはならないだろう。定員の不足分を、数の上でつじつまを合わせた程度のことである。このような幼稚なアイデアを採用するところが、今までの自衛隊の最大の弱点なのだ。本質を考えようとしていない。
共和党大会 ブッシュ氏大統領候補を受諾 (各紙 8月4日 夕刊) [要約]米共和党は、ブッシュ氏を大統領候補、チェイニー氏を副大統領候補、に指名した。国務長官には対中国強硬派のライス博士、国防長官に湾岸戦争の英雄であるパウエル元参謀総長という声も挙がっているが、新保守体質が強くでる政権を目指すことが考えられる。

[コメント]すでにブッシュ候補は、NMD配備を進めることを声明している。それにライス博士のタカ派的な考えが気になる。中国に対抗姿勢を強調するのは勝手だが、そのために日米同盟が重要になるとは勝手が過ぎる。日本はアメリカの属国でも植民地ではない。日本が中国とに冷戦に巻き込めれれば、それで受ける影響はアメリカの比ではない。ライス博士はアメリカの価値観や世界観を、日本に押しつけるのはやめてもらいたい。もしブッシュ大統領が誕生すれば、ライス博士と対決することになりそうだ。ブッシュ候補が外交音痴なので、国防政策を強硬なものにして劣等感を払拭しょうとする。困った傾向が見えてきた。
 緊急告知!  7月26日より、7月31日の間、夏休みのため当ホームページの「掲載を休止します」。8月から連載小説「神の軍隊」が始まります。警察と自衛隊の特殊部隊が、カルト武装集団「神の軍隊」との壮絶な戦いを描いた小説です。同時に、「コンバット・コミック誌」(7月29日 発売)で劇画も連載します。作画はコンバット漫画の第一人者の松田大秀氏です。ご期待ください。
沖縄サミットが閉幕 ミサイル拡散 多国間で監視(毎日)) 難題は先送り 残る南北問題(朝日) 国連安保改革を明記(読売) 7月24日 各紙朝刊 

[要約]
沖縄サミットは3日間の日程を終了し、7月23日にG8宣言び骨子を採択して終了した。

[コメント]具体的な成果のないサミットだった。一部の関係者がテレビで「成功だった」「成果があった」と話しているのを見て、なんと白々しい言葉と感じた。これで沖縄の基地問題解決はほとんど不可能になった。あの程度の政治家や官僚が、日本を動かしていると思うと慚愧の極みである。

沖縄 センター通りの青春 アメリカの光と影 連載7回目 (朝日 7月19日 朝刊) [要約]沖縄県ロック協会の3人を通じて、戦後の沖縄で何が起こり、どのように変わっていったかを証言した。3人は20代の頃からロックを演奏しながら、酒や麻薬に酔って荒れる米兵や、みかじめ料を要求する暴力団員と喧嘩の日々を過ごした。それでもサラリーマンの月給が50ドルの時代に、最高で月2000ドルを稼ぐこともあったという。沖縄の復帰後は、東京に進出したが沖縄ブームは長く続かなかった。それでも今の沖縄の音楽は、東京を意識しすぎていると語る。彼らは沖縄から発信する音楽を目指している。

[コメント]軍事問題は戦略や戦術以上に、その地域に住む人々の意識が重要な意味を持つ。沖縄の米軍基地を単純な戦略や兵器の質で分析するほど無意味なものはない。私がよく上げる例に、「昔は米兵のチップで、市長さんの給料以上が稼げた。しかし今は、一本500円のビール(小瓶)で何時間も粘られたのでは商売にならない。米兵は店に来て欲しくない」(元タクシー運転手で、今は基地の近くで飲み屋をするマスター)という言葉である。これが基地問題の重要な根幹部分なのである。昔は米軍基地があれば付近の人の収入は多かった。しかし米軍基地があれば、収入が減ってしまうようでは基地の存続はできない。そこで基地対策費や公共工事のばらまき行政で基地を支える。そのバランスがついに崩れてきたから、基地の存続が難しくなってきたのだ。基地反対の反戦運動や平和活動よりも、金の切れ目が縁の切れ目という言葉のほうが現実味を帯びてくる場合も多い。日本政府はそれ以外に基地存続の効果的な方法がないと信じている。それに代わる次の手を、政府も沖縄県も地元の住民も考えつかなければ基地問題は解決しない。そのためには、まずは地元の現実と歴史を知ることが大切だと思う。このような特集は繰り返して伝えて欲しい。
米上院有力民主党議員がNMD先送りを要請 (毎日 7月15日 朝刊) [要約]米上院のダシュル民主党院内総務ら有力議員は、8日に行われたNMD実験の失敗を受けて、NMD配備の決定を先送りするようにクリントン大統領に要請した。ダシュル総務は「役に立たないものを作りたくない」と語り、NMDが技術的に可能な保証がないことを強調した。

[コメント]クリントン大統領自身はNMD配備に慎重だと言われている。消極的なのである。しかし政敵の共和党から、「大統領の態度は国防力を弱体化させる」と言われたくないから、NMD配備に消極的な対応がとれないでいる。先の九州・宮崎の外相サミットでは、ロシア、ドイツについで、フランスやカナダも米のNMD配備に反対の姿勢を明確にした。歴代の米国防長官も反対、全米の科学者も反対、反対・反対がわき起こる中で、アメリカのNMD配備決定は次の大統領(次期政権)に先送りされることが濃厚になった。これでSDIに続いて再びNMDの失敗の現実味が増してきた。この間にアメリカがNMD開発に費やされた費用は600億ドルである。このお金をアジアやアフリカなどの最貧国の援助(債務の取り消し)に回していれば、地域の安定は向上するし、人々の生活も豊かになって消費も拡大しただろう。日本はいつまでもNMDで逃げ腰の姿勢をとらないで、ここはきちんと反対の姿勢を打ち出してどうか。まあ、そんなことを政府に期待するほうが無理か。朝鮮半島激変の時代を迎え、河野外務大臣の無力さ(本当は無能といいたいが、私はHPで人の悪口を言わないことにしているので・・)が気になってしかたない。今年の11月には、北朝鮮の軍人がARF(東南アジア諸国地域フォーラム)の参加で韓国を訪問する。そのときに初めて北朝鮮の軍人が韓国の軍事施設を視察する予定もある。(毎日 7月15日 朝刊) このまま日本の外交を外務省にやらせて大丈夫かな。
金総書記 「金溶淳氏を近く米に派遣」を言明 (各紙 7月12日 朝刊)  [要約]北朝鮮の金総書記は在米韓国系ジャーナリスト文明子氏のインタビューで、「近いうちに、金溶淳アジア太平洋平和委員長(党書記)と人民軍の高官の二人を、米国に派遣する」と言明した。

[コメント]北朝鮮が核開発やミサイル発射をちらつかせながら、アメリカなどから援助を引き出す手口は終了した。次は、北朝鮮が米軍の韓国駐留を認めることによって、何らかの援助を引きだす交渉を始めるのだ。そのための訪米である。しかし米軍の韓国駐留の継続は、すでに中国の意向で決定しているのは間違いない。南北首脳会談の事前交渉が上海など、中国で行われていたことを忘れてはいけない。また先日のオルブライト国務長官の韓国訪問と、その後の丁重な謝辞を記した金大統領への手紙である。アメリカは金溶淳書記が訪米して、「我々は米軍の朝鮮半島駐留の継続を認めるので、その見返りに何らかの援助をしてくれ」という言葉を聞くことになる。そこでアメリカはまた騙されたふりをして、「それは結構なことだ。アメリカは見返りに北朝鮮にこれこれの援助をする」となる。はっきり言って、朝鮮半島の米軍駐留問題を、韓国と北朝鮮が自主的に話し合って決められるほど、朝鮮半島の国際環境は甘いものではない。あくまでアメリカや中国など、大国の都合と国益が最初に優先される。逆に北朝鮮はそのような国際社会を利用しながら、大国から援助を引き出す方法で延命してきた国なのだ。
ユダヤの絆 北朝鮮と合意も 中東のミサイル輸出 「宗教と政治」第5部 (毎日 7月11日 朝刊) [要約]イスラエルは在米ユダヤ人の仲介で、92年に北朝鮮とピョンヤンで秘密交渉を持った。北朝鮮に対し、中東(主としてイラン)にミサイル技術を供与しないかわりに、北朝鮮の観光開発に投資するという密約である。しかし北朝鮮がイスラエルの援助に逃げ道を見つけることを警戒し、アメリカはイスラエルの秘密交渉を中断させた。その結果、イランは98年に「シェハブ3」の発射実験に成功した。このような秘密交渉の背後にはユダヤ人組織をバックにした、強力な政治ネットワークが存在してからだ。

[コメント]20世紀は主として全体主義と民主主義の戦いだった。私は21世紀は、「宗教と非宗教、あるいは宗教対宗教」をめぐる戦いになるような気がする。21世紀は科学技術によって人々の生活はさらに豊かになる。しかしその生活の豊かさに精神的な豊かさがついていない。その精神の部分をいろいろな宗教が占めてくる。そこで互いの違いから戦いが始まるのだ。インドネシアで起こっているキリスト教徒とイスラム教徒の戦い。チベットをめぐる中国との対立。タリバンなどイスラム原理主義過激派の動き、世界中で宗教的な問題を巡って戦いが多発している。宗教が違うことによって生じる争いを防ぐ話し合いが必要である。日本がそのような国際的な会議を世界に呼びかけるべきだ。
沖縄サミット開催 10日前 「米国は沖縄に何をもたらしたか」  (朝日 7月11日 朝刊) [要約]沖縄と米国のかかわりを、1853年のペリー艦隊琉球寄港から説明し、米国の戦略要衝地としての沖縄の位置づけをしている。第2次大戦の沖縄戦で被った住民の被害、その後の米軍占領政策の横暴さなどを証言で紹介。そして、沖縄サミットで基地問題の取り上げ方に注目する。朝鮮半島で和解が始まったことで、沖縄の戦時体制がどのように変化するかに注目している。

[コメント]基本的なことでは記事の内容に同意するが、次の2点については再検討してほしい。まず沖縄の戦略的な価値だが、ペリーや第2次大戦終了の時代から大きく変化している点である。米軍が沖縄に軍事力を維持するのは、主として対朝鮮半島情勢のためである。沖縄を対中国や対東南アジアとするには無理がある。また中東向けであっても、ハワイやグアム島の駐留でもなんら問題はない。今の時代で最もアメリカが沖縄の基地依存に重点を置いているのは、日本の思いやり予算による援助と、新ガイドラインにみられる日本の米軍バックアップ新体制である。第2点は、米軍が基地を維持するエネルギーと、住民が基地を不要とするエネルギーがバランスが時代とともに変化し、住民に基地不要のエネルギー(いわゆるマグマ)が大量に蓄積している点である。昔、貧困のために基地で働くしか、家族を養うことが出来なかった時代とは、基地に対する住民の気持ちが明らかに変わっているのだ。この2点について、記事に何も書かれていないことが気になった。
米、NMD実験また失敗 「2005年配備」見直し必死 (各紙 7月9日 朝刊) [要約]米国防省は8日、三度目のNMD迎撃実験に失敗した。原因はミサイルに見立てた標的に直撃するはずの迎撃体が、打ち上げロケットから分離しなかったという初歩的なミスだった。これでNMDを2005年配備としていた当初の計画は見直しを迫られることが必至になった。

[コメント]私はアメリカのNMD配備に反対であるという理由はすでに書いた。核戦略の軍事バランスを崩すこと、莫大な予算を投入すること、性能的に無理で不安定要素になること、軍拡競争を招くことなどが理由である。私はこの実験失敗でほっとした。昨日の夕方、ニューヨーク・タイム紙の速報(ホームページ)を見て、失敗のニュースに思わず歓声をあげてしまった。私はクリントンさんも結構ほっとしていると思っている。次は沖縄のサミットの会議で、NMDでどんな駆け引きが起こるのか楽しみだ。とにかく、NMDを開発する経費と、NMDを無力化する経費を比較すれば、おそらく数千分の1ぐらいの割合で無力化するほうが有利である。NMD開発論者の頭の中には、超軍事大国に対するおごりがある。そんなおごった考え方をしていると、必ず神様のばちがあたるよ。
中ロ首脳会談 NMD阻止で一致 TMDにも反対を表明 (各紙 7月6日 朝刊) [要約]中国の江沢民主席とロシアのブーチン大統領は5日、タジグスタンの首都ドゥシャンベで初の首脳会談を行った。両首脳は米国の弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約修正の動きに反対する立場を表明し、米本土ミサイル防衛(NMD)配備の動きを阻止する姿勢で一致。またアジア地域への戦域ミサイル防衛(TMD)の配備は地域の安定と安全を脅かし軍拡につながると非難した。また両首脳は、イスラム原理主義勢力タリバーンの干渉を許さないという共通の立場を表明した。

[コメント]
アメリカがNMDを新たに配備するという動きに、ロシア、中国、ドイツが反対の態度を表明している。これにTMD配備反対の論調まで拡大してきた。数日後にNMDの迎撃テストが行われる。もしテストに失敗すれば、クリントン大統領は配備の延期を決定できる。しかしテストが成功すれば、大統領選挙のからみで、配備の延期をするのは難しい。民主党(ゴア候補)の外交政策が弱体と批判されるからだ。クリントン大統領としては、テストが失敗をするのを祈るような気持ちというのが本音かもしれないう。今までは米国も日本も、北朝鮮のミサイル脅威をNMDやTMD配備の第一の根拠に挙げてきた。しかし南北首脳会談で、北朝鮮脅威論に陰りが見えてくると、最近は対中国脅威論が拡大してきた。今年の防衛庁の「防衛白書」(7月下旬に閣議了承)も、北朝鮮から中国に脅威対象を移してきたという。莫大な予算を必要とするNMDやTMDで大儲けできる軍需産業と政治家、そのために脅威をあおる情報操作が行われる。もう何度も見てきた欲ぼけの茶番劇である。そろそろ軍需(兵器)に頼らないで、社会資本の向上という基本政策に転換してどうか。私はNMDやTMDの配備に反対である。もっと平和で安定し繁栄する国際環境を作りたいなら、軍事力以外の方法があることを追求すべきと思うからだ。日本が必要以上の軍事力に頼らなかったから、戦後の繁栄が築かれたことを知って欲しい。
米国務長官「訪韓で誤解解けた」 「丁寧な説明」と絶賛 韓国筋明かす (朝日 6月30日 朝刊) [要約]23日に金大中大統領と会談したオルブライト米国務長官が、「丁寧な説明で誤解が解けた」と、謝意を表す書簡を金大統領に送ってきた。オルブライト長官は南北首脳会談の共同声明に、「統一問題の自主的解決」という文章が盛り込まれたので、金大統領に説明を求めるために訪韓していた。金大統領の説明に対し、「金大統領から丁寧な説明で誤解が解け、南北首脳会談は朝鮮半島の平和と安定に寄与するとみており米国も支援を惜しまない」と、書簡で絶賛している。金大統領はオルブライト長官に、今後在韓米軍問題を南北で話し合う際は必ず事前に米国と協議することを約束した

[コメント]この書簡で読めた。中国は在韓米軍が韓国に今後も駐留することを了解したのだ。南北首脳会談は北朝鮮や中国がそのことを認めた上で開催されたのである。在韓米軍の駐留が今後も続けば、沖縄の米軍駐留の意義も失われない。アメリカは朝鮮半島や日本(極東アジア)で、これからも強いプレゼンスを保つことができる。そのような根回しをオルブライト長官は確認して、金大統領の説明に満足し、絶賛し、協力することを約束したようだ。中国は国内経済の舵取りに必死で、今は朝鮮半島が不安定になることを嫌っているのだ。中国は侵略的な規模の軍事力でなく、今の朝鮮半島の治安維持程度の米軍事力なら、このまま韓国に駐留するすることを同意したようだ。日本政府も特使を派遣して、そのことを確認するぐらいの外交を行わなくてはいけない。同時にアメリカにも特使を派遣して、沖縄の基地問題の将来を検討するぐらいのことをやること。7月の沖縄サミットでアメリカが何か言ってくるだろうと、のんびりしているようでは怠慢である。ところで南北首脳会談でこれほどの仕掛けを盛り込んだ仕掛け人は誰か。私はその人物を、3年前に北朝鮮から韓国に亡命した黄書記ではないかと思う。これはあくまで勘である。彼は亡命者ではなく、金正日が送った密使ではなかったのか。2年前に出した私の本「北朝鮮最終戦争 99の極秘情報」で、私は黄書記は密使のような気がしてならないと書いた。中国が米軍の朝鮮半島駐留を認めれば、アメリカが中国対する謝礼はNMD配備の中止だろう。クリントン大統領が最後の打ち上げる花火は、朝鮮半島の駐留継続とNMD配備の延期(中止とは言わない)の可能性が大きくなった。
三宅島地震 予知・避難 今回は順調 自衛艦は余るほど (朝日 6月28日 朝刊) [要約]陸海空自衛隊は気象庁が緊急火山情報を発表した26日から、三宅島島民の島外避難に向けて準備を始め、「自主派遣」(災害派遣要請ではない派遣)の形で警戒や監視活動に入ることを決めた。同日の午後9時には掃海母艦の2隻が三宅島沖に到着し、そのまま待機態勢をとった。その後も護衛艦、補給艦、輸送艦など10隻が三宅島近海で待機態勢に入った。大型輸送艦「おおすみ」も、いったんは派遣を決定したが、すでに数が足りていたので、派遣を中止し本来の任務に戻した。海上保安庁も島民避難のために派遣した巡視船艇は17隻にのぼった。

[コメント]今や自衛隊が災害派遣にかける意気込みは尋常ではない。10年前に北海道(北方総監部)で行われた「ビッグ・レスキュー演習」(当時は志方北方総監)を取材したとき、私は「自衛隊が今まで災害派遣の演習を行わなかったことが理解できない。今回初めての大規模災害の派遣訓練を見て、自衛隊の今までの怠慢に強い怒りすら感じる」と記事を書いたことがある。それから奥尻島の大津波や、淡路・阪神大地震や、オウムの地下鉄サリン事件などが起きた。そのたびに自衛隊は災害派遣に全力を尽くし、国民から大きな喝采を受けてきた。自衛隊の存在そのものに反対だった革新議員さえもが、「自衛隊を災害派遣隊として再編するなら、自衛隊の存在に賛成する」と私に語ったこともあった。自衛隊のもつ災害派遣能力を認めないわけにはいかなくなったのだ。日航機が御巣鷹山に墜落した当時(15年前)、「なぜ自衛隊は大規模災害の訓練や資材の準備を行わないのか。日航機墜落事故で露出した初動のモタモタは国民に強い自衛隊不信を与えたのではないか」と、当時の自衛隊幹部(陸将)に聞いた。するとこの幹部は、「災害派遣は自衛隊の主任務ではない」と、答えたのを覚えている。また地方自治体の中には、災害訓練に自衛隊は呼ばないと決めていた所もあった。そういう経緯を思い起こせば、自衛隊もずいぶん変わったものである。もう輸送艦「おおすみ」をヘリ空母に転用などと考えずに、5つの高度手術室や100以上のベッドと病室が備わった災害病院船の転用を検討したほうが、「おおすみ」の活用でははるかに効果が大きい。超高速・ステレス・長射程・精密誘導(移動目標も誘導可能)の対艦ミサイルの登場で、空母が姿を消す時代がもう目前にやってきているからだ
朝鮮 ミサイル凍結を継続 米の制裁緩和を受け表明 (毎日 6月22日 朝刊) [要約]北朝鮮外務省スポークスマンは、「(北朝鮮高官が訪米して行なわれる)ワシントン会談開催の準備が続いているため、同処置(ミサイル発射の凍結)は依然として有効である」と述べた。米国と北朝鮮は昨年9月、経済制裁緩和と北朝鮮のミサイル発射凍結をそれぞれ発表していた。

[コメント]南北首脳会談を受けて、19日にアメリカは北朝鮮への経済制裁緩和を発表した。しかしこれでアメリカの北朝鮮への制裁が全面解除されわけではない。まだ主要な経済制裁は解除されていないし、テロ支援国指定を取り消したわけではない。まだアメリカの北朝鮮への基本的な対応では敵国政策が継続されている。南北会談は大きな堤防の土手に、小さな穴が開いた程度と考えたほうがいい。一気にこの穴が広げれば、韓国に大量の水量が流れ込み、大洪水になる可能性がある。北朝鮮は南北首脳会談の成果として、はっきりと国民にわかる大規模かつ緊急の援助が欲しいところだろう。実は今後の南北関係でいえば、本当に難しい舵取りはこれからである。(首脳会談は入り口にすぎない) 金正日の腹がでていたとか、饒舌で演技上手、心理を読むのがうまいなどという評価は、これからの南北関係ではさほど重要なことではない。またこれで朝鮮特需が直ちに発生するという考え方も現実的ではない。ただ金正日がいなければ、北朝鮮には彼に代わる交渉相手はいないということである。南北に築かれた巨大な堤防を、一気崩す政策ほど危険なものはない。
歓迎のち当惑 米中ロ揺れる戦略 米国「在韓米軍」協議に不快感 (朝日 6月17日 朝刊) [要約]南北首脳声明で、「自主的独立」が盛り込まれたことで、韓国に駐留し朝鮮半島で強い影響力を持つ米国が不快感を示した。米国は至急オルブライト国務長官を韓国に派遣し、金大統領から直接説明を受けることにした。これは南北統一が現実的になると、在韓米軍の撤退問題が浮上し、そのなりゆきいかんでは、朝鮮半島で米国のプレゼンスが大きく後退することになる。朝鮮半島急変の予兆を受けて、米中ロは東アジア戦略の見直しに迫られてきた。

[コメント]この問題は現実的な問題として必ず浮上すると予測していた。朝鮮半島の地政学的な分析では、大陸国家の中国とロシア、海洋国家のアメリカや日本の国益が朝鮮半島で押し合う関係になるからだ。グランドパワーとシーパワーの関係である。朝鮮半島が統一されれば、陸続きの中国やロシアの影響力が強まる。そして日本や太平洋の海洋国家がその直接の影響を強く受けやすい。といって、朝鮮半島に米国の軍事力が存在し続ければ、中国やロシアは喉元に短刀を突きつけられたことになる。といっても、朝鮮半島を中立地帯として、スイスのようなような国を作れば、その存在はさらに地域の不安定さを増すだけである。いまオブライト長官が説明を受けるのは、韓国の金大統領ではなく、北朝鮮の現体制の存続・保護を決めたペリー元国防長官である。彼が今日の情勢変化をどのように予測し、98年のペリー報告を行ったかということである。なお、朝鮮半島の地政学的な分析は、6月の下旬に発売される月刊誌「丸」8月号に、「朝鮮戦争はなぜ起きたのか。金日成の勝算と誤算」(拙稿)に書いたので、興味のある方はぜひ読むことをお勧めする。朝鮮戦争という具体例を示しながら、朝鮮半島の地政学的な分析を行った。この記事を読めば、これからの朝鮮半島での新展開は、中国、アメリカ、日本、ロシアの強い影響化で行われることが理解できると思う。金大統領も金総書記もそのような外圧を利用しながら、安定と統一を行わなければ、経済発展は難しいということである。
南北首脳が共同宣言 金総書記 ソウル訪問を受諾 (朝刊各紙 6月15日) [要約]金大中大統領と金総書記は、離散家族の相互訪問、南北問題の自主的解決、経済・文化などの相互交流、金総書記のソウル訪問など合意を宣言した。これによって南北首脳会談は、第一段階の成果を上げたことを確認した。なお金総書記のソウル訪問は早い時期とされており、日程は今後の調整によって決まる。

[コメント]私が予想以上の成果と思うのは、共同宣言で金総書記のソウル訪問を確認した点である。事前に金総書記の8月15日訪韓説が流れていたが、それほど早い訪韓は難しいと考えていた。まず8月15日に離散家族の相互訪問を行い、その反応を見て訪韓に踏み切る作戦なのか。北朝鮮も急な変化が怖いのである。石橋をたたいて渡る慎重さで一歩一歩進めている。このビジアルな時代の心理変化は過激である。いまのほのぼのとした友好ムードが、ある出来事(映像)をきっかけに一気に変化することは十分に考えられる。決して見かけの友好に心を失ってはいけない。真の問題は何かを見据えて、南北の友好交流の拡大をはかるべきである。
南北首脳会談 敵対関係の清算と離散家族の再会交渉 (朝刊各紙 6月14日 ) [要約]ピョンヤン空港に到着した金大中大統領を、金正日総書記が出迎えて南北首脳の直接会談が始まった。韓国やアメリカ、中国やソ連、それに日本のマスコミは、この会談の行方を好意的に伝えている。しかしまだ会談は始まったばかりで、その成果がどう出るかが問題であり、韓朝間には簡単に結論がでないことも多い。しかし昨日の段階では、南北直通電話の設置、離散家族の再会問題は前進しそうである

[コメント]北朝鮮側の目的は、韓国から援助を引き出し、自国の再建に投入したいだけである。しかしそのためには、韓国側の憎しみや不審を解消し、友好的なムードを作り出すことが必要である。だからといって、韓国にへりくだって媚びを売るような印象は与えたくない。そんな心理で昨日の演出は行われた。その事情を考えずに、金正日総書記が巧みな外交手腕と評価するのは間違いである。離散家族も北朝鮮は、名簿を出させ、問題のないものだけを会わせるだろう。行方不明になったり、処刑された人はどうするのか。大きな期待を生めば、その失望はより深くなることを考えなくてはいけない。北朝鮮の全土で自由な往来ができるわけでない。今後、ナチのユダヤ人強制収容所よりも、もっと悲惨な北朝鮮の強制収容所の実体が明らかになる。北朝鮮の熱烈歓迎の裏に潜む、危険な現実を注意深く見守る必要がある。ともあれ、これで戦争の危機は少しは遠のいたことは間違いない。
10日間の中断をお詫びします。緊急の原稿執筆が終わりました。今日から復帰します。
(6月13日)


 南北首脳会談の件で、急に原稿の依頼が来て、それが2本も同時に重なったので、この10日間は原稿書きに集中していました。そのため当ホームページの書き込みが出来ませんでした。その仕事も昨日でやっと終わって、今日は久しぶりにゆっくりしています。そしてお昼の11時に、テレビのスイッチを入れたら、金大中大統領が飛行機から降りてきて、金正日総書記と握手している映像が飛び込んできました。いよいよ始まりましたね。これから虎が出るか,蛇が出るか。そこで明日から、また、活発にホームページの書き込みを行います。今日のところはゆっくりさせてください。今回の原稿の一方のテーマは、朝鮮半島の地政学的な分析です。ロシア、中国、日本、アメリカにとって、朝鮮半島は政治・軍事・経済でどのような位置にあるのか。秀吉の朝鮮半島攻略、三国干渉、朝鮮戦争と、山のように資料を集めて、いろいろ文献をあさりました。そうしたら、おもしろい発見がありました。また別の機会に話します。ご期待ください。


金総書記、17年ぶり訪中 江主席と会談 (朝刊各紙 6月1日) [要約]北朝鮮の金正日総書記は31日まで中国を非公式に訪問し、江沢民国家主席と会談した。金総書記の外国訪問は17年ぶりである。12日から3日間、平壌で開かれる南北首脳会談の前に、中国を訪れたことは対中関係の重視をアピールする目的があったと思われる。金総書記が中国を訪問したのは、金日成主席が死去して初の外国訪問であった。

[コメント]動く、動く、動く、朝鮮半島情勢が、まるで氷塊から解凍されて、再び泳ぎだした金魚のように動き出した。言うまでもなく、北朝鮮がもっとも頼りにしているのは中国である。飢餓が深刻な北朝鮮だが、中国の北朝鮮国境付近には食料があふれている。中国なら北朝鮮に燃料やエネルギーを送るのも、韓国や日本よりも容易である。いよいよこれで、南北首脳会談の舞台裏のセットは完了した。北朝鮮としては首脳会談で、一気に大規模な援助を要請するより、小さな援助要請から始めるだろう。北朝鮮にとって大きな変化は、現体制を危うくすることに直結する。それよりも、政治的な効果を期待するはずである。敵対していた韓国の大統領が、恭順の意志を示しに平壌にやってきたという効果である。ここはお芝居であることがわかっても、韓国の大統領は北朝鮮におつき合いをする必要もありそうだ。今、北朝鮮が崩壊すれば、経済で悪戦苦闘している韓国の肩にのしかかってくる。それこそ朝鮮半島の不安定化で、経済ばかりか軍事的にも深刻な危機を招く可能性があるからだ。いまのところ、アメリカ、日本も、金総書記の訪中を好意的にとらえている。これで北朝鮮は開放改革に一歩踏み出すことになる。いよいよ正念場だ。
イスラエル軍撤退の南レバノン ヒズボラ進出 シリアの出方が焦点 (読売 5月25日 朝刊) [要約]南部レバノンから撤退を行なったイスラエル軍に連動して、イスラエルに支援されていた南レバノン軍(SLA)が崩壊した。その空白地帯にヒズボラが進駐し、イスラム系住民の大歓迎を受けている。イスラエル軍は南部レバノンの占領で900人以上の戦死者を出した。実質的に敗走したことになったイスラエル軍に、パレスチナなどの反イスラエル勢力は勝利気分を高揚させている。最後に残ったシリア領のゴラン高原にたいして、シリアがどう出るかが注目されてきた。(Coffee Breckに 「南レバノン取材記」を掲載しています) イスラエルをめぐる中東情勢は戦略地図の地殻変動につながる可能性がでてきた

[コメント]総人口が590万人のイスラエルで900人の戦死者は深刻である。それに大規模な戦争ではなく、低烈度のゲリラ戦をし掛けてくるヒズボラやパレスチナ住民の抵抗は、人口の少ないイスラエルにとって長期間消耗戦という苦しい戦いになる。今まではテロに対して、レバノンへの空爆や砲撃も辞さないイスラエルの対抗手段は、すでに限界が見え初めてきているからだ。もしヒズボラを口実にシリアを空爆すれば、イスラエルをめぐる中東情勢は一気に地殻変動を起す。これからイスラエルは、今の準戦時体制という国家戦略を見直すことになるだろ。軍事力で周辺地域を支配する時代は終焉した。写真はイスラエルと南レバノンの境界線。SLAの関係者はイスラエルに働きにきたり、買い物に行くためにこのゲートを使っていた。
防衛白書原案 北朝鮮国家運営 「一定軌道に」 (読売 5月24日 朝刊) [要約]防衛庁の2000年版防衛白書の原案で、北朝鮮の現体制は崩壊の危機を脱し、国家運営が軌道に乗り始めているとする分析を行っていることがわかった。金正日・労働党体制は、食糧危機や燃料危機など重要懸案を抱えながらも、当分はこのまま続くことを前提にして、有事法制や各種事態への対応などに取り組むべきとしている。

[コメント]アメリカの外交政策が、北朝鮮崩壊待望論(旧ソ連の崩壊のような)から、99年のペルー報告で積極関与政策に変更された。すなわち北朝鮮の現体制の存続をアメリカが支えるというものである。これにはアメリカの対中国政策から生み出された戦略の変更である。アメリカは在韓国の米軍兵力を削減しないまま、米軍施設の40%の返還を韓国政府に申し出ている。(朝日新聞 5月24日 朝刊) 今後も北朝鮮の変化を受けて、朝鮮半島情勢はここ10年で激変するだとう。今、東アジアの軍事情勢分析とその予測(は最高に面白い。5月25日 米MITの研究グループが、日本の近未来危機シナリオを「文芸春秋』〔臨時増刊号)で発表する。当然ながら、沖縄の米軍基地も大きく変わるだろう。
東南アジア諸国連合ASEAN) 地域フォーラム(ARF) 北朝鮮の加盟を承認 (毎日 5月20日 朝刊) [要約]ARFの高級事務レベル協議は、北朝鮮から申請がでていた加盟を承認した。正式には7月27日にバンコクで行なわれるASEAN閣僚会議で決定されるが、今回の事務レベルでの合意で北朝鮮の加盟が事実上決まった。

[コメント]6月の南北首脳会談後に、北朝鮮の加盟申請に最終判断が出ると思っていた。しかしARFはその前に加盟を承認し、6月の南北首脳会談を後押しする形での承認を選んだようだ。北朝鮮は1月にイタリアと国交樹立させ、今月にはオーストラリアと大使級外交関係を再開させている。今のところは南北首脳会談の話し合いにも前向きな対応を見せている。今までの戦時色の濃い鎖国政策を転換させ、経済重視の開放型社会に転換させるのは本気のようだ。問題は北朝鮮の社会全体が、今までのように情報統制が効かなくなり、それで新しい社会環境に耐えれるかということである。言うまでもなく北朝鮮の現体制は耐え得ると判断し、今回のような鎖国政策の転換を決めたはずである。我々としても北朝鮮の、これからの展開予想は難しい。ただ言えることは、昨年のペリー報告ですべてが動き出したのと、朝鮮半島で大規模な戦争が起こる危険度は低下したということである。日本やアメリカ〔日米安保)で北朝鮮の軍事的な脅威が下がれば、次は中国との軍事関係が緊張してくるということか?もうそろそろ脅威論から始まる国防戦略〔政策)は終わりにしなければ、我々人類はいつも戦争の脅威の中で生存させられることになる。
曲がり角の軍事5大国 NMD強行は軍拡誘う (毎日 5月16日 朝刊) [要約]仏国際戦略関係研究所長のパスカル・ボニファス氏は、アメリカのNMD配備は対中国を意識した配備だと指摘した。もしNMDの配備を行なえば、中国の反発はもちろん、ロシアやインドの対抗を招き、それが緊張を高める危険があると指摘した。またヨーロッパに対しても、同盟関係の亀裂を深めていくことになると分析した。

[コメント]もはや米国では9対1でNMD配備は無理になった。これはNMDの技術的な問題以外にも、4月24日からニューヨークで始まったNPT(核拡散防止条約)再検討会議で、米国のNMD計画に各国から非難が集中したからである。それは「袋だたき」という言葉で表現されるほど激しいものだった。ロシア、中国、フランスなどの欧州や、アメリカの科学者や、マクナマラ氏などもNMDの配備に反対を表明した。もはやこれ以上、軍拡を激化させるNMDが配備されることは難しくなった。それでも米国が強引にNMDを推し進めば、ロシアと中国が共同でNMDを無力化する対抗手段(技術)を公開するだろう。それでNMDは無残な敗北をとげることになる。それを避けるためには、アメリカはNMDの配備を延期〔中止ではない)するしかない。配備予算も当初の数倍に膨らんだし、そろそろアメリカはNMD構想で、ロシアや中国を威嚇するのをやめる潮時である。それにしても北朝鮮のテポドン騒動だけで、TMD研究の参加を決めた日本はまた恥をかくことになった。日本の政治家や官僚の軍事知識の低さは問題がある。
バスジャック事件を緊急分析。(各国のHRU部隊の写真を掲載しています)  西日本で発生したバスジャック事件。私はこの間に伊豆方面にヨットでセーリングに出かけていました。そのためにJ−rcomをバスジャック事件では全面的に対応することが出来ませんでした。その経緯を所長紹介のコーナーに書いて置きました。しかしこの事件の特徴などの分析をこれから行ないました。テロ対策として、バスジャック事件に興味のあるかたは、軍事常識のABCを読んでください。(英軍特殊部隊SASのバス突入訓練の写真も掲載しています)
 一言で言えば、今回のバスジャック事件で警察がとった対応は、まさにバスジャック対策に関するマニュアル通りの基本形です。その基本パターンを正確に知ってください.そうすれば、「警察は犯人を狙撃すべきだった」と言うような無知な暴論は絶対にできません。
ここから上は5月12日(金)以降の情報を掲載しています。