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この情報の最も新しい更新日は3月31日(火)です。

米軍事研究機関が分析

北朝鮮、

実際に衛星搭載か

「ミサイル」先端部は球根状

(読売 3月31日 夕刊)

[概要]北朝鮮が舞水端里のミサイル基地に設置した発射体の先端部は、先が細くなった円すい形ではなく、人工衛星を収納する際に使用される球根型の形状であることが30日、米軍事研究機関「グローバル・セキュリティー」のミサイル専門家、チャールズ・ビッグ上級研究員の分析でわかった。

 ビッグ氏は、米デジタルグローブ社が29日に撮影した衛星写真などを分析した。それによると、先端部は弾道ミサイルに使用される円すい形ではなく、大気圏に再突入する際に必要となる姿勢制御には適していない構造だという。

 今回のテポドン2号は、06年に発射された35メートルのものより、5メートルほど長いとの情報もあるという。

[コメント]この記事を掲載したのは、「メールにお返事」の3月27日「ノーズコーンの形状は・・・・」の内容を否定するするものではない。弾頭部の大気圏再突入に関して円すい状が姿勢制御に向いてるという考えがあることを知ったからだ。いろいろな見方や考え方があると思った。

 それに私は姿勢制御という視点ではなく、大気との摩擦熱という視点だけで考えていた。お昼のテレビニュースでビッグ氏のインタビューを見たが、ビッグ氏は摩擦熱のことは一言も語らなかった。その点でガッカリして私の不勉強を恥じた。

 話しは変わるが、最近、メディアの取材を受けて驚くことが2つある。その一つは、今回のテポドン2が「ミサイル」か「人工衛星」かを質問してくる人が圧倒的に多いことだ。「人工衛星だと思います」と答えるとガッカリしたり、驚く人がほとんどだ。

 2つめは、市ヶ谷駐屯地に配備されたPAC3が、北朝鮮のテポドン2から首都圏全域をカバー(迎撃範囲)していると思っている人が圧倒的に多い。中には、市ヶ谷が東京の中心だから配備と思っている人もいる。(正しくは市ヶ谷駐屯地に自衛隊の「中央指揮所」があるから)

 これほどまで北朝鮮のテポドンや日本のミサイル防衛が日本人に理解されていないことに驚く。ミサイルの先端が円すい形か球根形かまで、なかなか話しは届かない。私は軍事ジャーナリストとして基本を繰り返し話し続けることの大事さを知った。

最新の米衛星写真

北ミサイル

 発射台へ設置

外見は3段式

(読売 3月30日 夕刊)

[概要]米商業衛星企業「デジタルグルーブ」は29日、北朝鮮の舞水端里・ミサイル発射場で、発射台に設置された3段式の衛星写真を公表した。ミサイル本体が確認されたのは初めて。

 写真を分析した米軍事研究機関「グローバル・セキュリィ−」のティム・ブラウン上級研究員は、「明らかに3段目の発射体とみられる」と指摘。

 北朝鮮が主張している人工衛星を搭載しているかどうかは、写真からは判断できないとしているが、ミサイルとロケットの技術は同じで、改良型テポドン2とみられる。

[コメント]98年8月に打ち上げられた「テポドン1」は3段式で、3段目には1段、2段と違って固体燃料だったと言われている。3段目には人工衛星「光明星1号」が搭載されていた。その人工衛星(弾頭)からモールス信号で、「金日成・金正日将軍を称える歌」の歌詞が無線で流されていた。約1ヶ月かけてアメリカはそのことを確認して、「テポドン1号は人工衛星の発射を試みたが、打ち上げに失敗して墜落した」と公式に発表している。

 北朝鮮は発射後4日目に、「人工衛星の打ち上げに成功」と公表したが、日本の旧郵政省の電波管理局が調査したが、宇宙から北朝鮮の衛星が発するモールス信号は受信できなかった。

 その後、北朝鮮のマスゲームに人工衛星の打ち上げと、人工衛星が登場するのはご存じの通りである。だから北朝鮮国内では光明星1号は無線発信の電池は切れたが、まだ地球を周回していることになっている。だから今回の人工衛星は光明星2号と名前がつけられた。北朝鮮が「試験通信衛星」というから、また無線機を搭載して革命歌かモールス信号を発信すると推測できる。

 北朝鮮が人工衛星の打ち上げと証明するためには、無線発信物を取り付けた衛星が必要という意味である。それをしないと長距離弾道ミサイルの発射で、安保理決議1718に違反する軍事活動と位置づけられる。それ以外に人工衛星の打ち上げを証明できないからだ。

 しかし人工衛星の打ち上げであっても、北朝鮮は長距離弾道ミサイルの運用能力があることを内外に誇示することができる。@自国民には国威発揚の祝砲効果 Aアメリカには長距離弾道ミサイルの威嚇 B日米韓に対しては、弾道ミサイル開発中止に同意する代わりの補償要求 Cイランなど、北朝鮮の弾道ミサイル購入国にはセールス活動(ミサイル技術も) というような効果が北朝鮮が得ることが出来る。

 といっても日本では、1970年に初の人工衛星「おおすみ」で実験済みの打ち上げである。ここは大騒ぎをしないで、冷静に北朝鮮のテポドン発射を待つしかない。いたずらに恐怖感を煽ったり、パニックなることは北朝鮮が利するだけのことである。

ゲーツ米国防長官

「北朝鮮ミサイル

 迎撃しない」

米領土狙いでなければ

(読売 3月30日 朝刊)

[概要]ゲーツ米国防長官は29日、米「FOXニュース」テレビの番組に出演し、北朝鮮が長距離ミサイルを発射した場合でも、米領土を狙ったものでない限り、迎撃する意向はないと表明した。

 ゲーツ長官の発言は、北朝鮮が予告した発射期間(4月4日〜8日)が迫る中、発射に対する米世論の過剰反応を避けるため、慎重姿勢を強調したものと見られる。

 マレン米統合参謀本部議長は先に、ミサイルが「ハワイまで到達可能と思われる」との見方を明らかにしたほか、米太平洋軍のティモシー・キーティング司令官も、命令があればミサイルを迎撃できる準備が出来ていると表明していた。

[コメント]アメリカ政府は米国民が北朝鮮の長距離弾道ミサイル・テポドン発射で、不必要に危機感を持たないように抑えに入った。同じように、日本でも土曜日(28日)頃あたたりから、政府が国民の過剰な危機感を高めることに対して抑えに入っている。それは@北朝鮮の言うような正常な打ち上げであれば見守る。A打ち上げに失敗して領土・領海に落下してきた場合のみ、ミサイル防衛で迎撃を検討する。と明確に表明しだした。

 そでまでは高度300キロの宇宙空間を飛翔するロケットを、海上のイージス艦から発射されたSM3ミサイルが迎撃するアニメを盛んに報じていたのにである。もし日本に向かっていることが証明できないミサイル(人工衛星)を大気圏外で迎撃すれば、宇宙の平和利用を決めた国際条約に違反することになる。ゲーツ国防長官はこれと同じことを話してる。

 昨日の夕方から、”嵐の前の静けさ”と思っていて我が家の電話が鳴り始めた。メディアの方からテポドン絡みでいろいろ質問されるのだが、その過激な内容に驚いてしまう。

 日本がテポドンを撃墜して北朝鮮と全面戦争に突入すれば、次は北朝鮮が日本のどこをどんな方法で攻撃してくると思うか。北朝鮮がテポドン打ち上げに失敗すれば、直ちに東京と大阪にノドン・ミサイルを撃ち込んでくるという情報があるが、どのくらいの被害が想定できるか。・・・・といった様な質問である。

 つい「本気ですか」と問い返してしまう。そこで思ったことは、今までにこのHPで説明したことでも、繰り返し、繰り返し、北朝鮮のテポドンのことや、日本のミサイル防衛の基本的な話しをすることが必要と感じた。

 「今回のテポドン発射は人工衛星の発射です」と答えただけで、記者の中には「絶句」する人さえいるのだ。そのような人を正気に戻すには、電話の会話でも1時間以上がかかってしまう。昨夜はその電話が3本である。その記者3人が、私がホームページでテポドンの特集(キャンペーン)を行っていることを知らず、まったく読んではいなかった。    

本日は更新休止

嵐の前の静けさ

3部咲のお花見

(3月29日 日曜日)

 来月4日〜8日のテポドン2の打ち上げを前に、今日は日曜で奇妙な静けさです。テポドン関連の電話がかかって来ず、新聞やテレビの扱いも小さくなっています。

 まさに「嵐の前の静けさ」だと思います。来週末はヨット仲間から「お花見」に誘われていますが、テポドン発射で、とてもそんな余裕はないと思います。そこで今日はカミさんと隅田川近くの桜の名所を散歩して、「言問(こととい)団子」を食べてきます。

 自宅の近所の公園では桜が3部咲だそうです。ちょっとお花見には早いと思いますが、嵐の前の気分転換にはなりそうです。

PAC3展開 始動

北ミサイル破壊命令

 MD導入後初

国民保護 毅然たる姿勢

(産経 3月28日 朝刊)

[概要]政府は27日、安全保障会議(議長・麻生首相)を開き、北朝鮮が「人工衛星」名目で発射する長距離弾道ミサイルが日本の領土・領海に落下する事態に備え、自衛隊のミサイル防衛で迎撃する方針を決めた。

 これを受け、浜田防衛相は、自衛隊法82条の2第3項に基づき破壊措置命令を発令した。発令期間は4月10日まで。破壊命令の発令は平成17年に自衛隊法に規定を設けてから初めての適用となる。

 また、政府は首相官邸に設置した情報連絡室を、危機管理審議官が室長の官邸連絡室に格上げした。ミサイルが発射されれば危機管理監をトップとする官邸対策室にさらに格上げし、官房長官、外相、防衛相の3閣僚による分析会議や安全保障会議も開かれる予定だ。

 北朝鮮の長距離弾道ミサイルの発射準備を受け、航空自衛隊の地対空ミサイル・パトリオットPAC3の部隊が27日夜から首都圏への展開を始めた。PAC3の部隊は移動して首都圏と東北の5カ所で迎撃に備える。

 首都圏には陸自朝霞駐屯地(東京都)、空自の市ヶ谷駐屯地(新宿区)と習志野基地(千葉県船橋市)に展開。空自の入間基地(埼玉県狭山市)や霞ヶ浦基地(茨城県土浦市)や武山基地(神奈川県 横須賀市)からPAC3の部隊が移駐を行った。東北の秋田、岩手両県には、空自浜松基地(静岡県 浜松町)から民間フェリーを使って29日〜30日にかけて移送する。

 日本海と太平洋で迎撃や探知・追尾にあたるイージス艦は3隻で、28日に横須賀や佐世保の両基地から出航する。

 日本政府は北朝鮮のミサイルが軌道をそれ、本体やブースターが日本の領土・領海に落下する可能性があれば。迎撃によって被害縮小を目指す。ミサイルが予定の軌道で上空を通過した場合は技術的な問題もあり、迎撃を見送る方針だ。

[コメント]自衛隊のことをあまり知らない人のために説明すると、なぜ関東の朝霞駐屯地と習志野駐屯地、それに市ヶ谷駐屯地の3カ所をPAC3で防衛するのかといえば、そこが日本の軍事重要拠点だからです。防衛庁がある市ヶ谷駐屯地の地下施設には、自衛隊を総合的に指揮・運用できる中央指揮所が設置されている。いわば自衛隊の頭脳の中枢機能が置かれている。

 朝霞駐屯地には中央即応集団司令部が置かれ、首都圏ばかりか、全国規模で緊急事態に対応できる実働部隊の司令部である。また習志野駐屯地は中央即応部隊の特殊作戦群や第一空挺団が配備され、第一ヘリ団(千葉県木更津)の支援を受けて緊急展開に備える実働部隊である。

 空自の浜松基地には、PAC3の高射教導団があり、PAC3の教育や訓練、それに演習展示などを行う研究・訓練部隊がある。今回はこのPAC3教導隊の機材と要員を東北に移送するという訳である。

 このPAC3の動きをみると、まるで教科書(計画書)通りの動きで、自衛隊が北朝鮮のノドン(中距離弾道ミサイル)の攻撃に対して、どのようにPAC3で迎撃するのか、その防衛順位はどのようになっているかを示している。ただし今回は、在日米軍基地司令部(横須賀、座間、横田)の防衛を想定しない想定となっている。(米軍を巻き込んだ有事には、武山部隊は横須賀基地、横田基地に浜松部隊の移駐が考えられる)

 ところで、先日、産経新聞がPAC3の迎撃高度を十数キロと書いたことをお知らせしたが、昨日あたりから今までの数十キロ十数キロに訂正する新聞記事が出始めた。これで大きな間違いがひとつ訂正されたようだ。(そのままの新聞もある)

 またイージス艦搭載のSM3の迎撃高度だが、もし高度が200キロや300キロなら宇宙で空間で迎撃することになる。しかし産経新聞が報じたように100キロなら、ギリギリ日本の領空(領土・領海上空)侵犯で対処できる。

 しかし今回のイージス艦は公海に待機して、高性能レーダーを使ってミサイルの捕捉・追尾を行うことが主任務である。また高度100キロ以上の宇宙空間を飛翔する弾頭(人工衛星も)で、日本に向かって飛来(落下)してくるもの以外は迎撃できない。だからイージス艦搭載のSM3を発射することは考えられない。

 今日の朝刊の見出しを見ながら、「戦争はこうやって始まるのか」と考えてしまった。「国民保護 毅然たる姿勢」か。それにしてもソマリヤ沖の海賊対策も自衛隊法82条が発令された。

 今回も自衛隊法82条が適応された。能登半島沖の不審船事件(99年3月)で、海自のP3C哨戒機が初めての武器使用の爆弾投下(機雷 深度ゼロ)を行ったのも自衛隊法82条だった。何かともお騒がせな自衛隊法82条という印象が強くなった。

 防衛出動や治安出動が考えられない今、自衛隊の任務は第82条の例外規定と災害派遣が主軸になるのか。皆さん、この偶然に気がついていましたか。

アフガン安定化会議

イランが参加へ

開催国オランダに伝える

(毎日 3月27日 朝刊)

[概要]オランダのハーグで31日に開かれるアフガン安定化閣僚級会議に、米国と断行中のイラン代表団が参加する。オランダのフェルハーヘン外相が25日に明らかにした。

 クリントン米国務長官が今月5日、同会議にイランを招待する意向を表明していた。イラン外務省報道官も26日、参加すると表明した。「しかしどのレベルの誰が参加するか明かでない」(フェルハーヘン外相)。

 オバマ大統領は20日、イランの国民と指導者に向けたビデオメッセージ出し、「米国とイラン、国際社会の建設的な関係」を呼び掛けている。ブッシュ前政権と異なり、オバマ政権はイランとの対話に積極的だ。

 オバマ政権でアフガン・パキスタンを担当するホルブルック特別代表は21日、ハーグでの米・イラン対話の可能性について、「イランから誰が参加するか、どう物事が進むかを見極めたい」と述べ、27日にモスクワで開かれる上海協力機構のアフガン国際会議へのイランの対応を踏まえて検討する考えを示唆した。

[コメント]今月中に米欧が主導するアフガン安定化会議と、中露が主導する上海協力機構のアフガン国際会議が相次いで開催される。ともにイランは代表団を送ると表明した。

 イラクから米軍の主力戦闘部隊が撤退することは決まっている。しかしアフガンへは米軍増派(1万7000人)が決定した。アフガンをベトナム戦争の様な泥沼にさせないためにも、イランがアフガンの安定化に果たす役割は小さくない。

 今までのように、中東でイランの影響力拡大を恐れて、イランを封じ込めるアメリカの政策は効果をもたらさなくなった。むしろイラク戦争の深刻化で、イランを孤立化させることの危険度が高まっている。

 中東全域の地図を見ながら、北朝鮮のテポドン2を考える時、日本は世界の動きを正しく捉えているのかと気にかかる。

 再び日本でテポドン騒動が始まりそうだ。「もし、テポドンが誤って日本に向かって飛んできたら、大変ですよ」という質問に何と答えたらいいのか。「可能性はゼロではないでしょう」と更に質問される。不安そうな顔で「政府は国民を守ってくれないのですか」。毎日、毎日、繰り返される同じ質問に虚しさを感じてしまう。

 アメリカがイランと国交を回復させ、ともに中東やアフガンの安定化に協力できないか話し合う時代が始まろうとしている。北朝鮮とイラン、この政治問題のギャップに戸惑ってしまう。

米テレビ報道

「北朝鮮

 発射台に設置」

ミサイル先端部に覆い

(朝日 3月26日 朝刊)

[概要]米NBCテレビ(電子版)は米東部時間の25日午前(日本時間の同日夜)、複数の米政府当局者の話しとして、北朝鮮がムスダンリ発射台に長距離弾道ミサイル「テポドン2」1基を設置した、と報じた。

 ミサイルは2段分が見えており、先端部に覆いがかけられているという。NBCは「ミサイルが数日で発射できる状態になった」との見方を示した。

 北朝鮮は、人工衛星「光明星2号」を運ぶロケット「銀河2号」を打ち上げると国際民間航空機関(ICAO)など国際機関に通知。打ち上げは来月4日〜8日までとしている。

[コメント]ここで疑問が生じるのは、北朝鮮はなぜ先端部に覆いをかけているのか。雨や雪が降るので”傘代わり”というのは科学的でない。

 そこで思い出して欲しいのは、今でもテレビなどで流される98年の「テポドン1号」の発射シーン(北朝鮮が公開)である。この映像では北朝鮮が人工衛星打ち上げを強調(当時)するために、ミサイルの先端が平べったい円形になっている。

 (※)これではテポドンを弾道ミサイルとして使うためには、大気圏に再突入した際に、大気との摩擦熱に弾頭が耐えることができない。そのためスッカド・ミサイルなどでは先端(弾頭)が尖った形状になっている。尖らせることで大気との摩擦を最小限に抑えるためである。

 おそらく今回は先端が平べったい円形になっているのではないか。ミサイルが発射され、空気の密度が濃い大気圏(対流圏)を上昇する間は、まだミサイルは上昇・加速中で高温の摩擦熱は発生していない。しかし弾道ミサイルが地上に再突入する終末段階では、弾頭はマッハ5以上の高速で空気密度の濃い大気圏に一気に突入する。北朝鮮のように弾道ミサイル技術の低い国では、弾頭を摩擦熱から守るためには先端を尖らせる以外に方法はない。

 しかし弾頭の先端を尖らせると、弾頭部に人工衛星「光明星2号」(試験通信衛星)を搭載する容積を確保することは難しくなる。今回、北朝鮮が人工衛星であることを証明するためには、光明星2号から電波を地上に向けて発信する以外に方法はない。だから北朝鮮は「実験通信衛星」と主張できるのである。

 このように先端部の形状を見せることで、人工衛星か、大気圏への再突入を考えた弾道ミサイルかの区別が容易につく。そのことを北朝鮮は隠したいのである。本当は人工衛星の打ち上げでも、できるだけ長距離弾道ミサイルの打ち上げを演出したいからだ。

 これから4月のテポドン2の発射までに、テレビで何度も98年のテポドン1号の発射シーンが流されると思う。その先端の形状に注目して欲しい。昔からの弾道ミサイルで、弾頭部を地上に再突入させるスッカド・ミサイルは先端が尖った形状である。

 北朝鮮もポンコツ人工衛星の打ち上げでも、最大の演出(政治)効果を得るために、いろいろと苦労している様子が窺(うかが)える。

27日の「メールにお返事」にノーズコーン(ミサイルの先端)が尖っているのは、大気圏に再突入した際に高速を得て、迎撃を避けるためで、摩擦熱から弾頭を守るためには平らな円形でもよいという指摘が届いています。そのため、私が間違っていたことを隠さないために、この注意書きと赤字を加えてこのまま掲載します。

自衛隊 ミサイル防衛

迎撃ミサイル

 命中精度に注目

PAC3 秋田、岩手に移動

(読売 3月25日 朝刊)

[概要]北朝鮮の弾道ミサイルを自衛隊のミサイル防衛(MD)が迎撃できるか。政府筋が「当たるわけがない」と発言したことで、その精度に注目が集まっている。

 北朝鮮から発射された弾道ミサイルは日本着弾まで約10分と短時間のため、自衛隊法第82条の2の「破壊措置命令」が発令済みなら、部隊指揮官が迎撃を命令する。

 地上配備のPAC3は03年のイラク戦争で使われ、「迎撃範囲内ではすべて成功」(米政府)。海上配備のSM3は迎撃実験で、米軍が16回中13回、海自は2回中1回成功、単純計算だと命中率は約8割だ。政府のこれまでの説明通り、「命中精度は相当高い」と言える。

 ただ日本のMDシステムは北朝鮮の中距離弾道ミサイルへの対処が主眼で、今回のような長距離弾道ミサイルが正常に飛行した際は迎撃能力はない。テポドンの打ち上げ失敗による迎撃の場合は、大気圏外に出る前に制御を失うと、「弾道計算は非常に難しい」(防衛省幹部)。

 政府は本日(25日)、官房長官、防衛相、外務相の「3大臣会合」で破壊措置命令発令の方針を決めるが、日本に本体や部品が落下する可能性は「極めて低い」(政府筋)として、「事態急変に備える」ために認められる「閣議決定を経ない発令方法」をとる見通しだ。

 北朝鮮の予告通りなら秋田、岩手両県の上空を飛ぶため、発令後、航空自衛隊の浜松基地(静岡県)のPAC3を陸上自衛隊秋田、岩手両駐屯地に移す。しかしPAC3の防衛範囲は半径数十キロのため、都市部を優先。防衛省は25日に東北6県と仙台市の担当職員に説明を行う。

[コメント]防衛省も東北6県に対して苦しい説明を行わなくてはいけない。もし防衛省が説明する通りにPAC3で都市部を守れるなら、青森市や仙台市などから、秋田市、盛岡市(岩手県)だけを優先する理由を説明しなければならない。それにアメリカ軍からはなぜ三沢基地(青森県)にPAC3を持ってこないのかと不審がられる。

 だから防衛省に代わって他市の担当者や住民に説明(義理はないが)すれば、「PAC3で迎撃でいる訳ではないが、何もしないと国民を不安にさせるので、”鰯(いわし)の頭も信心”で両市に配備します」ということになる。PAC3の射程が20キロしかないので、コントルールを失った弾道ミサイルなどを、迎撃できる訳がないのだ。

 それにSM3は迎撃実験で8割の成功といっても、一昨日の政府筋が話したように、「あらかじめ発射時間を決め、飛翔コースや高度を決めた上の実験で、さらにはレーダーに映りやすいようにミサイルに反射板を取り付けた(やらせ)実験」である。これは昨日の「メールにお返事」で、確率を偽装するのは詐欺師の騙しのテクニックの言葉通りである。

 昨日、国会内で石破農水相が記者の質問に答え、「ミサイル防衛の精度が向上したから(迎撃が)できる」と話していたが、現在、イージス艦搭載のSM3と空自に配備されているPAC3で、何をどのように精度が向上したか説明できるのか。現在、実験中の迎撃ミサイルのことではない。現在の事態に対応するための配備済MDシステムのどこが精度を上げたというのか。これも騙しのテクニックである。

 

※本日の産経新聞の6面(オピニオン)で、SM3の迎撃可能高度を100キロと解説している。今までに産経新聞だけが、SM3の射程を300キロと報じていた。射程は300キロでも迎撃できる高度は100キロという意味である。

 PAC3に関しては、迎撃高度を十数キロと報じている。今まで各メディアは数十キロと報じていた。私はPAC3の本体の大きさ(固体燃料の量)から、この産経新聞の数字を信じることができる。

 やっと政府関係者がSM3やPAC3の正確な性能を公表する気になったのだろう。(この記事の数値はまさにMDの急所で、確実にスクープである)

 これで、やっと日本でも正確な数値の元でミサイル防衛議論が出来るようになった。インチキな数値と勝手な思いこみの数値で、これからの不毛の議論を行うべきでない。

 図は本日の産経新聞に掲載されたミサイル防衛システムの説明図。先日の「当たるわけがない」という政府筋の発言を批判している者たちには、強烈なビンタになるMDの”急所”情報である。

※この図では、SM3の高度と射程の数字が入れ違っている。SM3の射程が100〜300キロで、高度は100キロが正しい。またPAC3の説明文では十数キロとなっているが図では数十キロと記入されている。単純な間違いと思うので、皆さんも気がついたと思います。迎撃(防空)ミサイルの射程と迎撃可能高度の違いがわかれば、図の記入の間違いに気がついたはずだ。せっかくのスクープなのに惜しい間違いである。

北ミサイル迎撃で政府筋

「7,8分たったら

  終わっている」

迎撃手続きに時間がかかると

  撃ち落とすチャンスがない

(産経 3月24日 朝刊)

[概要]政府筋は23日、北朝鮮が弾道ミサイルを発射した場合に備える日本のミサイル防衛(MD)について、「(事前予告がなければ、ミサイル発射から)7,8分たったら、浜田靖一防衛相から麻生首相の所に報告に行ったら終わっている」と述べ、政府内での迎撃手続きに時間がかかると、撃ち落とすチャンスがないとの見方を示した。

 また、「『鉄砲の弾で鉄砲の弾を撃ちようなものだ。当たると思うか』と、石破(農水相)と昔、話したことがある。すると、(石破氏は)「『当たると思う』と答えた」と、石破氏のやり取りを紹介した。

 さらに政府筋は、「『実験で今から撃ちますと言って、ぴゅーっと来るから当たるんで、いきなり撃たれたら当たらないよ』と言ったら、石破氏は『それは信じよう』と語った」とも述べた。

[コメント]北朝鮮のノドン・ミサイル(射程1300キロ)が日本をターゲットしており、それを迎撃するのが日本のミサイル防衛(MD)の役割である。しかしノドンは移動発射台(大型のトラック)の載せられ、後部に搭載しているノドンを垂直に立てて発射させる。テポドンのように発射台で組み立てて発射させるシステムではない。(だからノドンは発射準備時間が極端に短い)

 ノドンが配備された地下トンネルから出てきて、数時間で発射準備完了になる。その間に、日本のイージス艦が呉(広島県)、佐世保(長崎県)、舞鶴(京都府)から急いで出航しても、日本海のノドンの飛翔コース下(SM3は射程が短い)で待機するのには間に合わない。

 また地上発射のパトリオットPAC3の配備が拠点防御(ピンポイント・デフェンス)のために移動・待機するにも間に合わない。PAC3の射程(20キロ)が短いからである。

 そのことをなぜ政府筋の者が石破(農水相)に問いただしたかというと、石破氏が防衛長官(当時)にMDを導入した張本人だったからである。

 同じニュースを昨夜のBS(NHK衛星第一 夜9時)のニュースで見たが、この政府筋は、「国会の議論は”迎撃できるか、出来ないの憲法論議だけ”で、技術論の議論はなかった。あんなものは当たらない」と話した報じていた。相当に表現は強烈である。

 しかし、まったく当たり前の話しである。当時、石破防衛長官は、国会でMDが迎撃する理由を、「北が『日本に軍事的な制裁を加える。東京を火の海にする』と繰り返して声明をだし、弾道ミサイルの発射準備に着手したのに、日本が何もしないでいることは無防備すぎる」と発言していた。まさに自分で勝手に危機を作り出していたのだ。

 今のように北が人工衛星を発射すると表明し、テポドンという長距離弾道ミサイルの発射準備をしていることとは全く違う状況なのである。これでは日本のミサイル防衛(MD)で迎撃できないし、迎撃準備に入るための自衛隊法82条第2項(日本に危害が加えられるおそれがあるミサイル攻撃を迎撃)とは、まったく違う状況なのである。

 このことを指して、私は政府やメディアが「裸の王様」状態になっていると指摘している。今回、やっと政府筋のコメントして、「王様は裸だ」という者が出始めたということだ。

 いかに石破氏が国会でいい加減な答弁を繰り返したか、いかに野党の追及が甘かったのか、そのため国民の税金1兆円を「ドブに捨てた」ことが起きたのか。このことをきちんと説明しないと、石破氏は国会と国民を騙した詐欺師になってしまう。

韓国主要紙が報道

金総書記、激やせ?

「後遺症」「ダイエット」

   韓国で議論

(朝日 3月23日 朝刊)

[概要]昨年夏以来、健康不安説がついて回る北朝鮮の金総書記の「激やせ」の写真が、韓国の主要紙で波紋を広げている。各紙は専門家の見方を大きく報じている。

 韓国紙の中央日報は「顔の皮膚は垂れ下がり、老人そのものだ」としつつも、ソウル大病院の教授の話として、「専門家の助言を受けて正常体重に戻した」との見方を紹介。一方、朝鮮日報は脳卒中の後遺症で飲食物を飲み込むのが困難なためではないか、とい専門医らの話しを伝えた。

[コメント]絶対権力者(独裁者)の健康不安は統治のマイナス要素となる。弱さを見せれば後継者争いを激化させ、ひいては独裁者自身の統治の弱体化にも直結するからだ。

 だからといって、健康悪化説が流れているのに、姿を現さないのも更なる悪化説が強まるだけ。そこで激ヤセしたお腹に座布団を巻き、マヒした左手には見えないように固定したサングラスを取り付けるような細工を行う場合があるだろう。この写真では左手をパイプに置き、マヒしていないことを偽装したのではないだろうか。

 しかしどうしても偽装できないのが顔の表情である。病気による激ヤセによって「老化」した表情は変えられない。だからといって健康な影武者を使うことは意味がない。あくまで最も健康不安説を払拭したいのは自分の権力下にいる部内の者たちだからだ。金正日の影武者の存在と本物との違いを知っている者たちなのである。

 同時に公表された写真には、サングラスをとった表情の写真があるが、病気やつれを通り越して衰弱している様子を感じた。

 北朝鮮当局がこの様な写真を公表した意図だが、今後起きる北朝鮮の混乱を最小限に押さえたいために、あえて体制内に衰弱した独裁者の姿を見せたような気がする。それにしてもこれほど生々しい金正日の様態を窺(うかが)わせる写真を見たのは初めてだ。周囲の軍人や随行者の表情は芝居とは思えない。

 金正日の様態悪化とテポドン2の打ち上げは密接な関係がありそうだ。単に最高人民会議の第12期第1回会議で、金正日が国防委員長に再度推戴されたことだけの祝砲ではないことだ。

最高指導者のハメネイ師

「イラン敵視

   転換を」

オバマ氏呼び掛けに返答

(毎日 3月22日 朝刊)

[概要]イランの最高指導者ハメネイ師は21日の演説で、オバマ米大統領に対し「あなたが米国のイラン政策転換を導くのであれば、我々も変わる用意がある」と述べ、両国の新たな関係構築はイラン敵視政策の変更が前提と主張した。

 これはオバマ大統領が、20日にイラン暦新年を祝う異例のビデオメッセージで、イランとの対話を呼び掛けたのに答えたもの。

 ハメネイ師はオバマ大統領がビデオ・メッセージで、「新たな関係」を求めながら「イランがテロを支援し、核兵器開発を目指していると非難した」と指摘、強い不快感を示した。また、「米国はイラン革命以来、反イランのテロ組織を支援し、今も続けている」と非難、イラン南東部シスタン・バルチスタン州で少数民族バルチ人の反体制武装闘争を米国が支援していると示唆した。

 ハメネイ師はイラン・イラク戦争(80年〜88年)で米国がフセイン前イラク政権を支援し、88年には米艦船がイラン民間機を撃墜したこと、特にブッシュ政権がイランを「悪の枢軸」の一角と指弾し、核問題でイランとの対話を拒否したことなど「悪行」を羅列した。まずはイランへの謝罪から始めるべきだとの認識を示した。

 一方、オバマ大統領は先日、対イラン制裁の1年間の延長方針を示した。 

[コメント]イラン北東部のマシャドで演説(一部)するハメネイ師をテレビで見たが、表情は思ったより穏やかな感じを受けた。従来の激しい反米演説とは明らかに違うものである。聴衆もいつもの「アメリカに死を!」という気勢で答えていない。

 敵対していた両国が正常化するためには、まずは問題点となっていたことを羅列し、そこから和平(正常化)の交渉が始まるのが一般的である。これからアメリカとイランの正常化交渉は、一方が降伏したことで始まる訳ではないからだ。

 これで思い出すのは、田中元首相が中国と国交正常化で初めて訪中したときである。周恩来首相(当時)と激しく議論をした後、田中首相が毛沢東主席(当時)と初めて会談した際、「喧嘩は終わりましたか」と毛主席が話しかけた言葉だ。喧嘩していた者同士が仲良くなるためには、喧嘩をしなければならないという軽いジョークだった。

 だから今回のオバマ大統領のビデオ・メッセージと、ハメネイ師のマシャドでの対米演説は、アメリカとイランの国交正常化が確実に前進しているものと確証した。おそらく今回の演説で、アメリカとイランの外交交渉(非公開)が第3国で始まったと思う。

 イランもアメリカも互いに敵対するよりも、国交を正常化して協力する方が大きな国益を得られると考えるようになったからだ。オバマ政権でイラン問題とアフガン問題が、意外と早く展開するので驚いている。

 アメリカでイラク問題が片づき(米軍撤退)、イランと国交正常化し、アフガンでカルザイ政権がタリバンと和解すれば、残る大きな外交課題は北朝鮮問題だけである。それもいよいよ先が見えてきたように思う。2日前に公開された金正日のあの激ヤセした写真である。

 この辺りにアメリカが未曾有の金融危機から脱する道があるように思う。それまでに腐った資本主義体制を改善する必死の努力を期待したい。

北朝鮮

来月9日

 最高人民会議

「衛星打ち上げ」で

   盛り上げ?

(産経 3月21日 朝刊)

[概要]朝鮮中央通信は20日、北朝鮮の最高人民会議(国会に相当)第12期第1回会議を4月9日に閉場で招集することを、同会議常任委員会が今月16日付けで決定したことを報じた。

 金正日総書記が最高ポストの国防委員長に再び推戴(すいたい)され、金正日体制の3期目がスタートする。

 北朝鮮では、1998年8月末にも長距離弾道ミサイル「テポドン1号」を打ち上げた際も、発射直後に最高人民会議第10期第1回会議が開催され、金正日体制スタートを祝賀する雰囲気を盛り上げた。

 今回は4月4日から8日の間に、人工衛星として「テポドン2号」を打ち上げるのも、同じように国威発揚を図り、内外に軍事力をアピールするのが狙いとみられる。

 今月8日に開かれた最高人民会議第12期代議員選挙では、金総書記をはじめ687人が選出された。代議員の半数が入れ替わったが、主要なメンバーはそのままだった。後継者問題が取りざたされる中、金総書記の3人の息子の名前はなかった。

[コメント]昨日(20日)、訪中している浜田防衛相が中国の梁光烈国防相と会談した際、「北朝鮮は発射しないほうがいい」と発言したと報じられている。しかしこれは中国が北朝鮮にミサイル(人工衛星)発射を許さないという訳ではない。

 それどろか、中国ばかりか、アメリカや日本まで、北朝鮮へのさらなる制裁を回避する方向で動き出した。

ーー読売新聞 3月21日 朝刊ーー

(引用)

 北朝鮮が「人工衛星」と主張する長距離弾道ミサイルを発射を発射した際の国連安保理での対応について、中国が制裁・非難決議に反対する立場を関係国に伝達し、日米は拘束力のない議長声明を視野に文案作成を始めたことがわかった。国連外交筋が19日、明らかにした。

(以上、引用終わり)

 中国の国連大使が日米韓の国連代表部を訪れ、「北朝鮮が人工衛星を発射しても、弾道ミサイル計画の停止・放棄を求めた過去の安保理決議違反とはいえない」との見解を伝え、米国も中国の主張に異論を唱えなかったという。そこで、日米は拘束力のない議長声明で「遺憾の意」を想定した文案作りに着手したという。最終的に中国が合意するかが落とし所となる。

 北朝鮮としてはあくまで人工衛星の発射であって、弾道ミサイルの発射ではないとの1点で、中国の合意を取り付けたことになる。これで政治的に6カ国協議を分断させたつもりだろう。しかしアメリカは北朝鮮の意図を察し、日米韓と中国が対立することを避けた措置を選択した。

 それほど北朝鮮の人工衛星(長距離弾道ミサイル)は、日米韓が大騒ぎすればするほど、北朝鮮に利するだけのもので、打ち上げに成功しても劣悪(ポンコツ)な性能のものでしかない。

 韓国政府は北朝鮮がテポドン2を発射すれば、PSI(大量破壊兵器拡散防止機構)への正式参加を検討する旨を表明した。これは日本海や東シナ海で、アメリカ、日本、韓国が、北朝鮮から弾道ミサイルや核物質の搬出(搬入も)を想定して、容疑船の停船や臨検を求める訓練や配備を行うことに直結する。

 韓国のPSI加盟は北朝鮮に対して大きな圧力になることは間違いない。日本も国連安保理で追加の制裁ができないなら、日本にある北朝鮮資産の凍結などを実施するくらいの覚悟は必要だと思う。

国民の不安懸念

北、ミサイル迎撃

 閣議決定が焦点

日本がパニック

 北朝鮮に利する見方も

(朝日 3月19日 朝刊)

[概要]北朝鮮の「人工衛星打ち上げ」の通報を受け、政府は自衛隊法に基づく「弾道ミサイル破壊措置命令」を閣議決定するかどうかの検討に入った。

 ただ、かえって国民の不安をあおったり、北朝鮮の反発を招いたりする可能性があり、慎重に判断する方針だが、閣議決定は国民の不安を高めるという慎重論もある。内閣官房幹部は、パニックになって多くの国民が外出を控えれば、北朝鮮を利するだけとの見方を示した。

 破壊措置命令は05年の自衛隊法改正で定められ、発令されれば初適応になる。対象は日本に落下するなら人工衛星を打ち上げるロケットでも構わない。同法には、閣議決定を経て防衛相が自衛隊に命じるものに加え、事態の急変に備え、閣議決定なしに、あらかじめ防衛相が命じておくものの2種類がある。

 防衛省では閣議決定を経た命令にすべきとの意見が強い。防衛相だけの判断で発令すれば、防衛省が一手に責任を負わされるからだ。政府高官は、「閣議決定が必要かどうかは、防衛省が一義的に判断する。それを踏まえて政府が検討する」と同省の意向を尊重する考え。近く官房長官、外相、防衛相の3大臣会合を開き、最終調整する見通しだ。

 また、北朝鮮の通報通りに東北地方の上空を通過すれば、自衛隊の迎撃ミサイルのPAC3は、現在、関東や中部地方の9高射隊に置かれいるため東北地方に移動することになる。PAC3が防護できる範囲は半径数十キロ以内で、あらかじめ防護施設の近くに配備する必要があるからだ。どこに配備するのか、難しい判断を迫られる。

[コメント]北朝鮮のミサイルを自衛隊のPAC3で迎撃するという話しなら、関東配備の一部部隊を三沢基地(青森県)に移動させるのは間違いない。陸上配備のPAC3が第1次的に防衛するのは重要軍事施設(カウンターフォース・対兵力戦略※)からである。ミサイルが飛んでこようが、こまいが、細かいことは関係ない。拠点防御のPAC3で防衛するのは三沢基地である。

 現在の拠点防御施設(関東)は、防衛省のある市ヶ谷駐屯地、米軍と海自の司令部がある横須賀基地(神奈川県)、空自の総隊司令部(東京都・府中市)と横田米軍基地(東京都)、中央即応集団の第一空挺団と特殊作戦群のある習志野駐屯地(千葉県)、空自部隊の入間基地((埼玉県)か百里基地(茨城県)である。このうちの一高射隊を臨時配備で三沢基地に回すことになる。

 そこで三沢市の住民に与えるショックと、軍事上の判断を優先させるかの問題である。

 それにしても、自衛隊のPAC3は味方の重要軍事目標に正確に飛来する敵の弾道ミサイルを迎撃するための兵器である。北朝鮮のポンコツ・ロケットのように、どこに飛んでいくのかわからず、切り離された第1弾ロケットの落下を迎撃するのは無理である。今回のミサイル迎撃会合では、政府も防衛省も外務省も、何を考えているのかわからない。これは歴史的な笑い話となるだろう。

 イージス艦搭載のSM3でも、長距離弾道ミサイルならSM3の射程(300キロ〜400キロ)のはるか上空を通過するだけである。SM3でも迎撃が不可能なことは中学生でも知っている。政府や防衛省や一部メディアは、「裸の王様」状態になっていることに気がついていない。

 まさに北朝鮮を喜ばすだけのもので、北朝鮮軍の報道官が、「我が国の人工衛星を撃墜する行為は宣戦布告とみなし、断固とした制裁を加える」と、偉そうに声明を発表する機会を与えるだけだ。本気で北朝鮮がそう思っているわけがない。

 日本がこんな対応を繰り返していたら、北朝鮮の恐喝(瀬戸際)外交を勢いつかせるだけだ。また今回のことで、日本のMD(ミサイル防衛)が”鰯の頭も信心”であることが問われている。

この件について、メールが届いています。3月24日のメールにお返事に掲載します。

ロシア政府が主導

アフガン安定化会議

 イランを招請へ

「上海協力機構」の枠組み

(毎日 3月18日 朝刊) 

[概要]ロシアは自らの主導で27日に開催するアフガン安定化に関する国際会議に、イランを招請することを決めた。欧米も31日に同様のアフガン問題で国際会議を開く予定で、イランの出席が焦点の一つになっている。ロシアはイランとの関係を重視して、アフガン情勢に関して発言力の強化を図ると見られる。

 ロシアのラブロフ外相は16日にカブールを訪れ、スパンタ・アフガン外相と安定化会議について調整を行い、共同でテロ対策とアフガン産麻薬撲滅を主要議題にする考えで表明。アフガンに強い影響力を持つイラン、パキスタン両国を招請することを明らかにした。

 ロシアは中国と中央アジア4カ国で構成する「上海協力機構」の枠組みで国際会議を催すのに対し、欧米側は国連やNATOの主導で同様の会議を開く。ロシアと欧米はともに相手側の会議にも代表団を送る意向を示している。

 ロシアは欧米が主導する対テロ戦争を支持しながら、中央アジア諸国で欧米の影響力拡大を懸念すしている。

[コメント]31日に欧米が主導するアフガン安定化会議に、オバマ政権はイランに招待状を送付し、イラン政府も前向きに出席を検討していると聞いた。だから私はアフガン安定化会議の開催と成功に期待している。

 しかしロシアとしては、西からイラク、イラン、アフガン、パキスタンと、欧米の影響力が強まれば、レバノンとイラク、そして親米国のヨルダン、トルコに挟まれたシリアが、今の反米親露政策を維持することは難しくなる。

 かつてブッシュ政権のネオコン勢力が、軍事力で確立しようとした地中海からインド洋に繋がる中東大回廊を、オバマ政権はアフガンの安定化会議で獲得して、中東における欧米の影響力を飛躍的に強めることが可能になる。まさに「上海協力機構」に加盟するロシア、中国、中央アジア4カ国にとっては最悪の悪夢である。

 そこでロシアはイランを取り込み、中国はパキスタンを取り込むことで、上海協力機構が主導するアフガン安定化で欧米に対抗する位置づけと考えられる。

 肝心な点は、アメリカとロシアの”イランの奪い合い”で、中東での影響力(プレゼンス)を競っていることである。しかし米欧露中が互いに激しく対抗すれば、アフガンでさらなる不安定を増すことになりかねない。ここは互いに国際会議に代表団を派遣し、ひとまず協調のバランスを取ろうとしている。

 私はこのような米露とイランの動きを見て、アフガンへの米軍増派がオバマ政権のベトナム戦争化(泥沼)とは考えていない。今のアフガンは安定化に向かって動いていると確信している。

イラク駐留米軍

イラン無人機撃墜

米戦闘機が1時間10分追跡

(読売 3月17日 朝刊)

[概要]イラク駐留米軍は16日、イラク領空内で先月の2月25日、イランの無人偵察機を撃墜したと発表した。無人機は偵察機とみられるが、イラク上空にいた理由は不明。

 米軍の声明によると、米軍戦闘機が1時間10分にわたって追跡した後、首都バグダッドの北東約100キロの上空で撃墜した。

[コメント]まさかイランが無人機の誘導の間違いや機械の故障で、バクダッドの北東100キロまで侵入したとは思えない。手持ちの地図で確認すると、首都バクダッドからイランの国境まで北東に約100キロの距離がある。

 故意にイラク領空に侵入し、1時間10分の偵察飛行の後、イラン領内に戻ろうとした時にイラク領空(国境付近)で撃墜されたようだ。

 なぜイランはイラクに無人機を侵入させたのか。考えられる理由は、@イランがイラク米軍に威力偵察を行った。A6月のイラン大統領選で、オバマ米大統領との対話路線を潰す挑発行為、 の2点である。

 私はAの可能性が高いと思う。6月のイランの大統領選では、イランの改革派、保守派ともに、オバマ大統領が公約した直接対話路線に期待している。そのことにイラン革命防衛隊が反発し、イラク駐留米軍を無人機で挑発したのではないか。

 イランで無人偵察機は革命防衛隊によって運用されている可能性が高い。革命防衛隊は無人偵察機を米軍戦闘機に撃墜させることで、アメリカとイランの緊張を高めようとした。そのことを考量して、イラク駐留米軍は無人機撃墜を今まで公表しなかった。

 イランの革命防衛隊とはそのような謀略をやる連中である。いわば反米・徹底抗戦派で、アメリカと戦うことがイスラム教徒の使命と考えている。6月のイラン大統領選まで無謀な暴走しないことを祈るばかりだ。

※参照した地図は、「西南アジア アフガンとその周辺」(昭文社刊 500円)です。01年10月のアフガン戦争開始時に発売されました。海賊で問題になっているアデン湾も含まれています。時々の中東情勢を知る上で重宝しています。

南・東シナ海「主権防衛行動」

中国海軍力増強

 近海「支配を強化」

周辺関係国と摩擦も

(読売 3月16日 朝刊)

[概要]海軍力増強を急ぐ中国が、同時に並行するように、南・東シナ海で強硬措置による「主権防衛行動」を拡大しつつある。大国意識を強める中国が「自らの海」を大胆に抱え込もうとする動きだ。そのため、日本を含む周辺諸国、さらには米国との摩擦も表面化し始めている。

 海南島沖の南シナ海で今月8日、中国船5隻が米軍調査船に異常接近した上、材木を海上に放出し航行を妨害した問題で、中国政府は「米艦は中国の許可を得ず、中国のEEZ(排他的経済水域)で活動した」とし、米国に関連活動の即時中止と再発防止を求めている。中国での報道も「米スパイ艦」への批判一色だ。

 しかし米国側は、公海での沿岸国による規制を認めていない。また、日中間の合意事項となっている事前通告なしに、中国の調査船が日本のEEZ内で活動するケースが相次いでいる。それにもかかわらず、中国は今回「中国の主権が脅かされた」(中国紙)として、実力で米艦を阻止、事実上、米軍に「中国の海で活動するな」と宣言した。

 同じく南シナ海で6カ国・地域が領有権を主張する南シナ海のスプラトリー(南沙)諸島。今月、フィリピン、マレーシアが一部領有を改めて確認した。これに対し、全諸島の領有を主張する中国は、東南アジア諸国連合(ASEAN)と中国が、問題の複雑化回避などで合意した「南シナ海行動宣言」に違反すると激しく反発した。ただ、中国も南沙諸島の主権を主張し、実効支配の強化を進めており、新華社電によると、中国は15日、人民解放軍・南海艦隊の退役船を改装した最大級の漁業監視船を南シナ海に配備した。

 中国の「主権防衛行動」では、日本と主張がぶつかる東シナ海でも強化されている。昨年12月、中国船2隻が尖閣諸島沖の日本領海内に9時間にわたって侵入した事件は、中国紙が「主権を示す」ために行ったことを明らかにしている。日中合意に反する形でのガス田開発でも、「中国のEEZ内に位置する」として日本の申し入れに耳を傾けない。

 中国共産党政権はもともと、「力の信奉者」(共産党関係者)だ。海を巡る最近の行動は、「軍事力を含む総合的な国力の増大で独自の極を目指す」(同)という大国戦略と、もはや多少の対外摩擦は恐れないという強硬姿勢の表れだ。空母建造・保有論もこの流れの中にある。

[コメント]ここで中国は海洋交通で公海の自由航行権について認識が浅いことに気がつく。日本やアメリカのような海洋国家は、公海の自由航行で巨大な国益を得ている。中国はその公海を周辺海域であっても、制限を加えることは自分で自分の首を絞める行為と気がついていない。日本の港にいろいろな国の船が自由に航行できるから日本は繁栄できるのである。

 自分で都合よくルールを決めるのではなく、世界のルールに従うことが自国の国益になることを知るべきだ。中国はその大人に成りきれていないという意味である。

 この記事にある様なことを、日本やアメリカの海軍(海自)関係者はどう思っているかといえば、中国の幼稚さを感じるだけのことで、軍事力を使って解決すべき問題とは考えていないだろう。なぜなら海南島の近海には、海底に日米の潜水艦探知システムが敷設され、すでに活動していることを知っているからだ 。

 日本周辺で行われていた北朝鮮の不審船の活動を、日本は自衛隊の電波傍受と上空からのP3C哨戒機でほぼ完璧に把握していた。ただそのことを公開していなかっただけの話しである。

 中国が問題なのは、台頭する軍事力ではなく、国際常識に慣れない幼児性が問題だと思う。中国はこれから何度も苦い水を飲みながら、学んでいくしかないだろう。

 まあ、日本はイライラしないで、大人の対応をすればこの問題は自然に消滅する。長期的に見れば中国の国益を失う行為にほかならないからだ。

ーー追加、加筆ーー(3月16日の午後3時に加筆)

 かつて江沢民前主席は反日教育を”国家統合”のための政治手段として使った。現在の胡錦涛主席は”海権(ハイチュワン)”を”国家統合”の政治手段として使おうとしているのではないか。”海権(ハイチュワン)”という新語が、いま中国で熱く語られているという。(What New の3月11日のコメントを参照してください)

 今、図書館から借りて、「インドの衝撃」(NHKスペシャル取材班編著 文藝春秋社刊)を読んでいます。その中にインドが核実験(98年5月11日)を行った前後を取材した「第V 台頭する政治大国 第2章 インド Vs アメリカ 核を巡る攻防」という個所があります。インドは核武装がしたくて核実験を行ったのではなく、アメリカと対等に対話(交渉)したくて核実験を行ったという記述がありました。

 その個所を読んでいて、インドの核実験と、中国が異常に”海権(ハイチュワン)”に拘る理由と同じものを強く感じました。 

世界の論調

 バンコク・ポスト(タイ)社説

   電子版 11日付

ダルフールに

 タイ軍は必要か

維持すべき平和がないときの

  平和維持軍とは何か

(朝日 3月15日 朝刊)

[概要]タクシン政権のつまらない置きみやげの一つが、スーダンでの平和維持活動(PKO)への部隊派遣の約束だ。先週、国防省が800人の大隊に訓練開始を命じたが、疑問が多い。

 なぜタイ軍が危険で不安定な(スーダンの)ダルフール地方には派遣されるのか、政府にも明確な考えがないようだ。タイ軍がどうすれば、悲惨な紛争に平和をもたらす貢献ができるか説明されていない。

 タイ軍はこれまで、東ティモールやイラク、アフガンで任務を成功させてきたが、ダルフールは別だ。スーダン政府は非アフリカ系部隊の駐留を何年も禁止してきたし、タイやアジア系諸国の軍が歓迎されないのは確かだ。

 残忍な独裁者のバシル大統領は国際刑事裁判所(ICC)から逮捕状を出された報復に、国際支援の従事者をダルフールから追放した。数百、数千の市民が犠牲になることは確実だ。

 維持すべき平和がない時の平和維持軍とは何なのか。スーダン政府は、住民の殺害や脅迫のために、完全武装した残虐な集団を援助しているともいわれ、通常の平和維持活動など不可能だ。ダルフールには地元に精通した部隊が求められている。タイ軍には、よりふさわしい任務がある。

[コメント]スーダンには西部のダルフール地方にアフリカ系の住民(黒人)が組織した反政府・独立武装組織があり、それをスーダン政府が援助して、中東系の住民(アラブ人)を武装させて襲撃させる紛争がある。これがダルフール紛争がある。ダルフール地方に活動中の平和維持部隊は主にAU(アフリカ連合)から派遣されている。

 それとは別に、スーダン南部にも独立をめざした政治組織がある。 それがスーダン政府(北部政府)と2005年1月の南北包括和平合意(CPA)署名して以降、統一選挙をめざして国連から派遣された平和維持軍の約1万人が活動中である。日本の自衛隊もこの司令部に情報と後方支援(兵站)の担当者2名を派遣している。

 このバンコク・ポスト紙の社説は、そのどちらにタイ軍が派遣されるのか明確ではないが、スーダン政府やバシル大統領が信頼に足りない人格欠落者で、平和を求める人物ではないと非難している。そのような政府や大統領に空手形のタイ軍兵員800人を送るなと主張している。

 どの国も自国の兵士を戦地に送る場合、その意味や国際貢献度を深く考え、無用で危険な派兵は行うべきでないと主張している。

 日本にも自衛隊・国際貢献調査評価センターなるものを作り、多角的な視点から分析を行い、現地での問題点、リスク、期待度、費用対効果、法律との整合性など、総合的に評価して国民に情報を提供できるものが必要な時代がくるのではないか。当然ながら現地政府の指導者たちも評価の対象になるだろう。

ソマリア沖の海賊に

  海上警備行動発令

武器使用に制約

「海賊新法」成立見えず

(産経 3月14日 土曜日)

 

[概要]政府は13日、安全保障会と閣議を開き、ソマリア沖の海賊対策で海上自衛隊・護衛艦派遣を決定し、浜田防衛相が海自自衛艦隊司令官に海上警備行動を発令した。14日に呉基地(広島県)から護衛艦「さざなみ」と「さみだれ」が出航して、4月上旬から日本関係船の護送を開始する。

 護衛艦の乗員は計約400人。海自の特別警備隊のほか、海上保安官(司法警察権を持つ)8人が同乗する。護衛艦は哨戒ヘリ各2基を搭載、特別機動船2艇を搭載している。

 海上警備行動では護衛対象が日本関係船に限られるため、政府は外国船の護衛も可能とする海賊対処法案(海賊新法)も閣議決定した。成立後、護衛艦の派遣根拠を切り替える。しかし海賊新法が成立するまでは武器使用に制約があり、その海賊新法も成立への見通しは立っていない。

 護衛艦には哨戒ヘリ各2機を搭載し、海賊船を哨戒ヘリで早期に発見し、接近を食い止めるために威嚇射撃が重要となる。そのため対物狙撃銃を持ち込むことになった。また隊員の威嚇射撃が外れて死傷者がでれば、隊員が法律違反で裁かれることになりかねないため、特殊音で相手を追い払う大音響装置も新規調達の上、据え付けた。

 政府は今回、「海賊対策は警察活動」と仕分けした上で、「任務遂行のための武器使用」となる停戦目的での危害射撃を初めて認めた。ただし「確実に海賊船と判断出来ない限り、停戦目的射撃は慎む」(防衛省幹部)との声も漏れてくる。

 民主党は鳩山由紀夫幹事長が記者会見で、海上警備行動の発令を批判。海賊新法について修正協議に含みを残したが、新法案への賛否は明らかにしておらず、新法成立の行方は不透明。

[コメント]護衛艦と日本では呼んでも、国際的には戦闘艦(軍艦)の駆逐艦である。その軍艦の甲板に大音響発生装置を据え付けたと聞いて驚いた。確かに、大きな音を流せば、海賊は驚くし、音質から不快になるだろう。それ以上に、威嚇のための砲弾が飛んでこないことに驚くと思う。

 威嚇射撃が可能なら機関銃射撃や対物狙撃銃に限定する必要はない。護衛艦が搭載している単装速射砲を威嚇射撃で使うこともできる。射程は16キロ〜24キロもあるので、哨戒ヘリが運用出来ない時は、単装速射砲が海賊船の周囲に撃ち込まれて”水柱”をあげる。

 やはり護衛艦の甲板に大音響発生装置は邪道だとおもう。何か、今度も自衛隊を派遣する意味が理解されていない。各国が軍艦を派遣する理由は、海賊行為を厳しく処断する強い意思を示すためで、海賊を捕らえて裁判にかけるための警察活動ではない。

北朝鮮 「人工衛星」発射

秋田沖など

日本海に危険区域

国際海事機関に

 北朝鮮の通告確認

(毎日 3月13日 朝刊)

[概要]北朝鮮が国際海事機関(IMO 本部ロンドン)に対し、4月4日から8日の間に、実験通信衛星を打ち上げると事前通告した。通告は「ロケット」の一段目が日本海に、2段目が太平洋に落下する内容。今回の発射は、98年の長距離弾道ミサイル「テポドン1号」と同様に、日本列島をと飛び越える可能性が高い。

 IMOから日本と韓国に入った連絡によると、4月4日から8日の間、午前11時から午後4時(日本時間)まで、秋田県西方沖の日本海や、日本列島から東に2000キロ以上離れた太平洋に船や航空機が接近しないように危険区域を設定した。

 北朝鮮が長距離弾道ミサイル発射で、国際機関に事前通告したのは初めて。

 北朝鮮は今回の「テポドン2」の発射を、実験通信衛星「光明星2号」を積んだロケット「銀河2号」だと主張している。北朝鮮はIMOのほか国際民間航空機関(ICAO 本部モントリオール)にも打ち上げに関する情報を通告した。IMOなどは、締結国にミサイル発射などの事前通告を義務化している。

 北朝鮮は国際社会の批判をかわすため、人工衛星発射のルールに沿った手続きをとった可能性が高い。

 北朝鮮が人工衛星の打ち上げをIMOに通告した問題で、海上保安庁は12日深夜、日本海と太平洋に危険区域を設定し、航行警報をだして付近を航行する船舶に注意を呼びかけた。政府も12日夜、打ち上げの情報収集のため、首相官邸に情報連絡室を設置。外務省も連絡室を開設した。

[コメント]北朝鮮式の考えに従うなら、98年8月に打ち上げたテポドン1はロケットが「白東(頭?)山1号」で、搭載されていた人工衛星が「光明星1号」だそうである。北朝鮮で編集された”北朝鮮大百科事典”の第28卷(2001年に発行)には、北朝鮮が初の人工衛星に成功したとして”白東山1号”と”光明星1号”の写真まで掲載されている。

 06年7月に打ち上げに失敗したロケット(弾道ミサイル)はテポドン2ではく、北朝鮮風なら「銀河1号」ということになる。今回はその改良型(大型化)で「銀河2号」と呼ぶそうだ。でも分けて呼ぶのは面倒臭いし、どうせいい加減なのだから、テポドン2の改良型(大型化)でいいと思う。

 なぜ大型化したことが分かるといえば、偵察衛星が撮った地上の組み立て施設が拡充されており、以前よりも大型のロケットが組み立てられていると推測したからだ。

 なぜ大型化する必要があったかといえば、98年8月のテポドン発射では地球の引力圏から脱する秒速約8キロの第一宇宙速度が出せなくて失敗したと思っているからだ。そこでロケットを大型化して、さらなる推力を増せば、光明星2号を地球の周回軌道に投入できると考えている。

 そこで1段目のロケットが日本海に落下し、2段目のロケットが太平洋に落下する。3段目(おそらく固体燃料)は人工衛星(光明星2号)を宇宙に放出しないで、そのまま分離せず人工衛星と一体化して地球を周回する可能性がある。こうなると弾道ミサイル兵器として核弾頭搭載能力が高まることになる。

 国民に十分な食糧を与えることもできず、国の発展をなんら期待できない北朝鮮が、いくら交渉カードが何もないからとして人工衛星を打ち上げるバカバカしさに呆れる。

 98年8月のテポドン騒動で起きた日本のあまりのバカバカさに、私は軍事知識の普及を願ってこのホームページを立ち上げたようなものである。今回は北朝鮮のテポドン2発射だけでなく、あわよくば第2のミサイル防衛(MD)特需を狙って、日本で危機を煽るような動きも注視したい。

 98年8月のテポドン発射では、「北朝鮮が米軍三沢基地(青森県)を狙って発射した」というコメントまで謀新聞(全国紙)に掲載されていたのを思い出す。

浜田防衛相

日本上空通過なら

迎撃せぬ意向

北朝鮮ミサイルで防衛相

(朝日 3月12日 朝刊)

[概要]浜田防衛相は11日の予算委員会で、北朝鮮の長距離弾道ミサイル発射のへの対応について、98年に北朝鮮が発射したテポドン1のように、日本上空を通過して領土外に落下するとみられる場合は、自衛隊が迎撃できないとの考えを示した。

 自衛隊法はミサイルなどの落下で、日本の領域内で人命、財産に対する被害を防止する必要がある場合に限って迎撃を認めている。浜田防衛相は「我が国に飛来しないミサイル等については、(ミサイルの破壊を定めた)自衛隊法82条の2の処置の対象にはなっていない」と述べた。

[コメント]これで、日本上空を通過する北朝鮮の弾道ミサイルを自衛隊は迎撃する(できる)と乱暴な考えを修正した。防衛相を補佐する防衛省や自衛隊は、防衛大臣には正確な知識や情報を提供して欲しい。

 日本上空を通過して領土外に飛びさる弾道ミサイルは迎撃しないことになったが、物理的に迎撃が出来ないことも知っておく必要がある。先日の産経新聞によれば、1面のMDシステム解説図では、海自のイージス艦搭載のSM3対弾道ミサイルの射程を300キロと書いていた。

 日本上空を通過し、グアム、ハワイ、米本土に向かうような長距離弾道ミサイルなら、日本上空の通過する高度は1000キロ以上が推測される。撃ち落としたいと思っても、届かないのである。このような技術論が無視されて”集団的自衛権”の論議が行われる。これが政治の暴走でなくてなんだろう。

米海軍調査船へ妨害

中国 潜水艦探知

  けん制か

海域、情報戦の最前線

(読売 3月11日 朝刊)

[概要]中国・海南島の南120キロの公海上で、航行中の米海軍調査船「インペッカブル」に中国の艦船5隻が異常接近し、航行を妨害したのは、中国潜水艦の探知を巡る米中の激しい攻防戦が背景にあるとみられる。

 妨害を受けた米調査船は、潜水艦のスクリュー音を特定したり、潜水艦の捜索に必要な水質データを収集する任務艦だ。米国防省は妨害にあった当時、日常的な探査活動を行っていたとしており、対潜水艦活動を意味するかは不明だ。

 米国防総省は中国軍の艦船が、米調査船に約7,5メートルまで異常接近したうえ、前方に木材を放出して緊急停止させるなど「衝突などの危険性」が大きくました点を批判している。

 事件があった海域は、中国の排他的経済水域(EEZ)内で、米国も中国のEEZであることを認めているが、「沿岸国はEEZ内での外国の軍事活動を規制する権利を持たない」と主張している。このため米中情報戦の最前線のひとつとなっている。01年4月に米海軍の電子偵察機と中国軍の戦闘機の接触事故が起きたのも海南島周辺だった。

 中国外務省の馬朝旭・報道局長は10日の定例記者会見で、「調査船は中国の許可を得ずにEEZで活動しており、米国側の主張は事実に反し、受け入れられない」と強く反発し、米国側に活動停止を求めた。

[コメント]この事件の”非”は明らかに中国側にある。国際海洋法条約で決められたEEZ水域の200海里(約370キロ)海域では、各国の艦船が自由に航行できるし、軍用機が上空を飛行することも認められている。それ以上にEEZ内であっても、沿岸国でないものが海底に電線を施設したり、海底パイプラインを施設すらできるのだ。

 それでは沿岸国がEEZで認められた権利とは、EEZ内の水産物や海底の鉱物資源を領有し開発できることである。そのかわり沿岸国は海洋汚染防止の義務を負う。国際海洋法条約のどこにも「他国の軍艦が立ち入ったり、調査活動をしてはならない」とは規定されていない。

 最近、近所の区立図書館から借りて、「中国を読む『新語』」(莫 邦富氏著 NHK出版協会刊)を読んだ。その中に、「海洋に目覚め始めた中国」という項がある。明、清王朝時代は、中国で航海禁止令が出され、中国人が海外に出ることは許されなかったという。中華人民共和国建国後も、長い間、国民の海外渡航を実質的に禁止する鎖国政策を行っていた。

 しかし改革・開放による国力の向上で海洋権益に目覚め、海洋を見つめる中国人の目を熱くしていると指摘している。中国人がこれほど熱く”海権(ハイチュワン)”という新語を通して海を語るのは唐王朝以来だと書かれている。

 だから今回の妨害事件は、中国政府や中国海軍に、国際海洋法などの知識が不足しているために起きた事件だと思う。(むろん知ってやった可能性がさらに高い) 

 しかし米海軍は01年4月の米軍電子偵察機の接触事故を教訓として、今回のような様な事件が発生することを予測し、米海軍所属の「インペッカブル Impeccable」でありながら、乗組員全員を民間人(元軍人を含む)で運用している。以前なら、海軍調査船の乗組員35人の内で、約1/3の11〜13人ぐらいが現役の軍人だった。

 これは米中両国が正規の軍人同士が直接対峙することを避けるための措置である。このおかげでクリントン国務長官の訪中で解禁された米中軍事交流は中断されることを回避できる。

 これと同じことは、近い将来に南北朝鮮が統一されれば、在韓米軍が朝鮮半島から撤退する理由のひとつになり、陸続きになった中国軍と米軍が直接対峙することを避けるためでもある。

対中緩和・若者離れ

台湾徴兵制

 5年後に全廃

志願制に一本化

(朝日 3月10日 朝刊)

[概要]台湾の陳肇敏・国防部長(国防相)は9日、19歳以上の男子に義務として課せられていた徴兵制を、5年後の14年に全廃することを明らかにした。この背景には、中国との緊張緩和を進める馬英九政権の登場と、若者が兵役を嫌がる傾向が広がったことがある。

 台湾では99年まで、高校・大学を卒業後の2〜3年間が徴兵に課せられていたが、財政負担の軽減や世論の要求で次第に短縮され、現在は1年間。国防部内では「1年の兵役では習熟度が足りない」という意見があった。馬総統も「2等兵に毎月3万台湾ドル(約8万5千円)を出しながら、掃除しかさせていない」と批判していた。

 陳部長によれば、昨年は16万人が徴兵(志願制を含む)されたが、来年からは段階的に減らしていき、14年には志願制に一本化される。ただし4ヶ月の軍事教練は義務として残る。

 台湾では夫婦共働きが多く、合計特殊出生率は日本より低い1,10で、一人っ子を兵役に取られる両親の反発は強い。また兵役中に恋人を失うことや過酷な兵役生活を恐れ、海外に長期滞在したり、故意に過食して制限体重を意図的に越える「体験談」も、ネットの掲示板で紹介されている。

 台湾では90年代まで兵力50万人を維持したが、現在は25万人。徴兵制廃止後は最終的に20万人以下に減る見通し。

[コメント]台湾の総人口は約2300万人だから、すべて志願制で20万人の兵力体制を維持することは無理ではない。しかし志願制の場合に2等兵の給与が8万5千円では低すぎる。徴兵制の廃止で兵員数が減った分を志願兵士の給与を上げることになる。それは今の倍の16〜18万円(月給)程度の額は必要と思う。

 台湾軍の現状を考えるなら、このような一種のリストラは絶対に必要である。今では兵員数が減ったら、全体の戦力が低下したという時代ではない。逆に未熟な兵士を多数抱える軍事組織が戦力の大幅な低下に結びつく。

 そこで気になる「4ヶ月の軍事教練」は義務として残された点である。これは日本の即応予備自衛官の教練レベルのようなもので、普通の人間を兵士に育てる最短の養成期間を3〜4ヶ月としている。それを会社や学校の長期休暇(春休み、夏休み、冬休みなど)に振り分けて実施する。

 その3ヶ月間を大雑把にいうと、最初の1ヶ月は基本動作や徒歩行進などの生活環境適応訓練を重視した訓練を実施する。2ヶ月目は小銃などの執銃訓練を行い、武器に慣れるための訓練を行う。初の実弾射撃訓練は2ヶ月目に行う。3ヶ月目は屋外や演習場で分隊や小隊での戦闘訓練を行う。雨天や夜間の戦闘訓練も体験させる。(これらの訓練は重複して実施される)

 これらの訓練が、どこの国でも行なわれている一般的な初級軍事訓練である。この基礎訓練が終わって、砲兵、通信、戦車、衛生などの専門的な訓練に移る。

 台湾の国防部が徴兵制をやめて志願制に切り替える内情とはこんなものである。台湾が近代軍に成長するためには避けられない”脱皮”なのである。

オバマ米大統領

タリバン穏健派と

  対話も

「アフガンで未勝利」と認識

(産経 3月9日 朝刊)

[概要]オバマ大統領は8日付の米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)とのインタビューで、最大の外交課題と位置づけるアフガン情勢について、「現状では米軍は勝利していない」と厳しい認識を示した。

 その上で、タリバンの穏健派との対話も安定化の選択肢として検討していることを明らかにした。大統領が就任後、タリバンとの対話に言及したのは初めて。

 オバマ大統領は、イラクでスンニ派武装組織への働きかけを通じて、国際テロ組織アルカイダとの分断に成功、治安改善に繋がった例に言及し、「アフガンやパキスタンでも同様の機会があるかもしれない」と述べた。ただアフガンの状況はイラクより複雑で、治安回復には時間がかかるとの見通しを示した。

 タリバン穏健派との対話は、ブッシュ前政権の末期から検討されていた。対話で武装抵抗の沈静化を図り、同時に組織内の急進派を排除する狙いがあるとみられている。

 オバマ大統領は対テロ作戦のやり方について、「米国と犯人引き渡し条約を結んでいない第3国にアルカイダ工作員が現れる可能性がある」と述べ、工作員が潜伏した国の協力が得られなくとも、米軍がテロ容疑者の捕捉作戦を実施する可能性に含みを残した。

[コメント]単にイスラム武装勢力のタリバンと呼んでも、タリバンの内情は千差万別である。アルカイダと共闘する過激なタリバンがいれば、異教徒のアメリカ軍と戦うイスラム原理主義のタリバンがいる。また家族や友人をアメリカ軍の攻撃で失った者が、復讐のためにアメリカ軍と戦うタリバンもいる。また、家族を養うためにタリバンに入る者もいるだろう。さらにはアヘンの密売や密輸で儲けるタリバンも少なくない。

 とにかくアメリカ国民がアフガン戦争の勝利を自覚するためには、01年9月の同時多発テロを起こしたアルカイダをアフガンやパキスタン北西部から放逐することである。それとアルカイダを率いるビンラディン氏とザワヒリ氏を殺すことである。その2点を達成して、アメリカはテロとの戦争に勝利感を得ることができ、テロとの戦いで終結宣言が出来るのである。

 ビンラディンとザワヒリの逮捕は、さらなる奪還テロを引き起こすので必要ない。また二人の死体や埋葬地も、その場所が聖地として利用されるので、遺体をDNAで確認後に秘密裏に処理されるだろう。

 まずはアフガンへの十分な兵力を維持できる米兵の増派である。その間に、隣国のイランやパキスタンからタリバン掃討作戦への協力を得られる体制を築き、ロシア経由でウズベクから非軍事物資の物資輸送ルートを確立させる。

 オバマ大統領の今回の発言は、その体制が整った最終段階で、米軍のパキスタン越境作戦が実施される可能性があると考えられる。もしアルカイダがパキスタン北西部から逃げ出し、中央アジアなどに逃亡した場合は、アメリカは犯人引き渡し条約を結んでいない国でも追跡するということである。

 ここでアフガンが抱える最大の政治問題は、カルザイ政権の汚職体質である。国家や民族の発展や安定化といった認識がない者が、01年のアフガン戦争で恩賞からアフガン政府の要職につき、国際社会の復興支援金を私財(汚職)にしてしまう。

 これでは健康体に必要な栄養や酸素が体の細部に届かないのと同じである。アフガン政府の政治・行政機構を、汚職体質を存続させない様、根本から組み直すことが必要である。政治と金はどこの国でも国家を悩ませる深刻な問題である。 

米露外相会談

米露改善の

  一里塚

START1やMDなど軸

(毎日 3月7日 朝刊)

[概要]クリントン米国務長官とラブロフ・ロシア外相は6日午後(日本時間7日未明)、ジュネーブでオバマ政権発足後、初の米露外相会談を行う。

 会談では今年末に失効する第1次戦略兵器削減条約(START1)の改定問題や米国のミサイル防衛(MD)東欧配備計画が協議される見通し。双方はブッシュ政権下で冷却化した関係改善の一里塚としたい考えだ。

 会談に先立ちクリントン長官は6日、MD配備計画について「米露は協力して研究・開発し、将来は合同配備さえ実施する機会がある」と述べ、ロシアのMD参加を促した。ロシア外務省は6日に声明を発表し、両国にはアフガニスタン情勢やテロとの戦いなど立場が近接または一致するテーマがあり、外相会談の結果を「控えめに楽観している」と述べた。

 またロシア外務省は、今回の外相会談が4月2日にロンドンで行われるオバマ米、メドベージェフ露両大統領の初会談に向けたステップにあると位置づけた。

 ロシアはこれまで、アメリカのMD東欧配備をロシアの戦略核ミサイルの威力を損なうと反発してきたが、オバマ政権は「イランの脅威がなければ東欧のMDは必要ない」(ゲーツ国防長官)との姿勢で、イラン核問題での協力で、MD配備を対露交渉で交渉材料に使う可能性が高い。

 ただ、グルジア紛争でロシアがグルジア領内の南オセチアとアブハジアの独立を承認した問題では、米国は独立を認めない姿勢を崩す気配はなく、米露が歩み寄るのを期待するのは難しそうだ。

[コメント]核戦力制限交渉を考える上で、”オーバーキル”という言葉が常に出てくる。私が若い頃にアメリカの射撃場で、拳銃を使ったコンバット・シューテング(戦闘射撃)を教わったことがある。そのアメリカ人教官は、「一人に顔(頭)に2発、胸に2発の銃弾を撃ち込め。これが敵の攻撃力を奪うワン・キル(致命傷射撃)だ」と訓練生に教えていた。それ以上の弾丸を撃ち込むことはオーバーキル(過剰な攻撃)で、非効率で無駄な攻撃だという意味でもあった。

 91年に米露でSTART1が調印されたとき、米露双方には各1万発を超える戦略核弾頭が配備・貯蔵されていた。互いにオーバーキルをはるかに超える過剰な量である。互いの不信感と不安が1万発の核弾頭を必要にしたのだ。

 そのため”国家として存続できないほどの打撃”を戦略核兵器で与えるのは、双方が戦略核弾頭を6000発以下でも十分としてSTART1が調印された。この核戦力削減の考え方の根本には、従来からの相互確証破壊戦略(MAD)は否定されていない。

 さらに93年には核弾頭を3000〜3500発に減らすSTART2が調印されたが、アメリカは修正した議定書に調印しなかった。しかし2002年には2012年までに核弾頭を1700〜2200発まで削減する「モスクワ条約」が調印されている。今でも米露は互いに対等の立場で、過剰なオーバーキルの状態を下げようと自覚している。ここにも確証破壊戦略の考えはまだ生きている。(※中国の戦略核戦力は確証破壊戦略に従っていない)

 START1やモスクワ条約のその背景には、過剰な核兵器競争によって、米露が不安定な関係に陥ることへの警戒心や、核兵器開発に投入する軍事費を押さえたい要求もある。

 私は確証破壊戦略の考えを肯定するなら、米露双方の戦略核弾頭の数は1000発以下でも削減交渉は成立すると思う。しかしアメリカがミサイル防衛を強力に推し進めれば、ロシアは確証破壊戦略を維持するために、アメリカのMD網を破る数千発の核弾頭を配備して、アメリカに致命的な攻撃力を与える核戦力を維持するだろう。ロシアにとってアメリカのMDとは、かつてのABM(対弾道迎撃ミサイル)の何ものでもない。

 このように考えていくと、年末に失効するSTART1をモスクワ条約に切り替えるためには、アメリカが東欧配備のMD計画を中止することが重要な要素となる。むしろアメリカはロシアがSTART1の失効を機にロシアが戦略核兵器の増強を防ぐために、東欧配備のMD計画を交渉材料にするために仕掛けた可能性があるぐらいだ。

 イランの長距離弾道ミサイルや核兵器の開発阻止を、ロシアにも協力してもらうという理由は主従の従のような気がしてきた。あくまでアメリカの主の狙いは「ロシアの戦略核戦力の脅威を下げることを最重視している」のではないか。

 旧ソ連が核実験や人工衛星の打ち上げに成功してから、アメリカ人の深層心理の中に、ある日、ロシアから発射された核ミサイルが、アメリカ各地に雨のように降り注いで核爆発するという強い恐怖心があると思う。その深層心理が理解できなければ、アメリカ政府の核戦略(MDを含む)を理解できない。

 日本に2度の核攻撃を行い、その正当性を説くアメリカが、次は自国への核攻撃に怯える深層心理に日本人はすぐに気がつく。

本日、更新休止

(3月6日 金曜日)

  昨夜、緊急の原稿書きで”徹夜”をしました。今日の午前10時までの締め切りで原稿を編集部に送りました。今朝はこれから眠ります。まだ今日の新聞(朝刊)を読んでいません。本日の更新は”休止”します。すいません。

 午後に目が覚めたら、更新をするかもしれません。でも新聞を読んでから決めます。今日は1日雨だそうです。大きな事件が起こらないことを祈っています。

国際刑事裁判所(ICC)

スーダン大統領に

 逮捕状を発行

ダルフール紛争で

 戦争犯罪と人道に対する罪

(朝日 3月5日 朝刊)

[概要]「世界最悪の人道危機」と言われるスーダン西部ダルフール紛争で、国際刑事裁判所(ICC 本部ハーグ)の予審裁判部は4日、スーダンのバシル大統領(65)など12人の逮捕状を発行したと発表した。現職の国家元首の逮捕状は初めて。スーダンの司法相は4日、AFP通信に対してICCに協力する考えはないと言明した。

 これでICC加盟国(108カ国)に逮捕などへの協力義務が生じるが、バシル氏がスーダン内にとどまれば拘束の可能性は低い。スーダンはICCに非加盟だが、責任追及を求める国際世論の高まりを受け、国連安保理が05年、ダルフール問題をICCに付託する決議を採択した。

 ダルフール紛争は、アラブ系政府に反発する黒人系の反政府組織が03年に蜂起。これに対し、アラブ系民兵が黒人住民を組織的に襲撃し、国連などによると、約30万人が死亡し、約250万人が国内難民になった。ICCによると、バシル大統領の容疑は、03年以降の殺人、強姦など人道に対する罪と戦争犯罪で、軍や民兵にアフリカ系(黒人)住民の襲撃を命じた疑いがもたれている。

 逮捕状発行でスーダン政府が態度を硬化させるのは確実で、スーダンには南北内戦の和平合意を監視する国連スーダン派遣団(UNMIS)やダルフール地方での平和維持部隊などの活動への影響が懸念される。UNMISには日本から自衛官2名が派遣されている。国連の潘基文事務総長は4日、「国連はスーダンでの平和維持、人道、開発活動を継続する。スーダン政府の全面的な協力と、市民や国連要員の安全の保証を求める」との声明を発表した。

[コメント]国際機関が現職の国家元首に逮捕状を発行し、108カ国の加盟国に身柄拘束の協力(義務)を求めた初のケースである。バシル大統領がスーダン国内に留まる限り身柄の拘束(逮捕)は難しいが、中国のようにスーダンで石油開発を条件に、開発援助を拡大している国は国際的な圧力を受けることになる。

 問題は、ダルフール地方にはアフリカ連合を(AU)による平和維持部隊が展開し、南部には国連スーダン派遣団(UNMIS)など合計2万5000人が活動していることである。その他には、アラブ系民兵の襲撃から逃れたアフリカ系(黒人)難民の救済にあたる国際NGOの人もいる。その人たちが襲撃や嫌がらせを受ける可能性があることだ。敵の味方は敵という短絡した思考からである。

 ダルフール地方の対立は、アラブ系(中東)対黒人(アフリカ)と、イスラム教対キリスト教という対立軸でもある。まさしく民族や宗教を超えた和解と共存が可能かどうかが問われている。中国はその対立を利用して、一方のアラブ系政府に接近し、援助を与えて懐柔し、石油を得ようとするやり方は非難されるべきと思う。

 中国は東アジアや東南アジアなど近隣諸国の場合は、経済や流入人口の増加で飲み込む「併呑政策」で覇権を拡大する。また、中南米やアフリカなど遠方国家には、反米を掲げる国を援助して覇権を拡大しようとしている。単に中国の石油獲得戦略と片づけるには規模が大きすぎるように思う。

 アメリカがイラクやアフガンの泥沼に足をとられ、イランや北朝鮮に振り回されているうちに、中国の覇権は世界で急速に拡大した。この現実をオバマ政権はどのように見ているのか。これから東アフリカのスーダンやソマリアで起こることは、互いに軍事力に依存しない中国とアメリカの外交という戦争が始まると思う。

 ICCは国連安保理に対して、スーダンへの制裁を求めるのが次のステップになる。当然、中国の拒否権行使を想定しているが、スーダン制裁が国連で議論できることは人道主義の前進である。(国連・無能論にはあたらない)

ニューヨーク・タイムズ紙報道

米大統領、

 露に秘密書簡

「イランの核阻止なら

  東欧MD計画撤回」

(産経 3月4日 朝刊)

[概要]3日付の米紙ニューヨーク・タイムズは、オバマ大統領が先月ロシアのメドベージェフ大統領に秘密書簡を送り、イランの長距離弾道ミサイル開発阻止に協力すれば、米国が東欧で計画しているミサイル防衛(MD)計画を撤回する用意があると提案したと報じた。

 この書簡では核開発阻止をMD配備中止の交換条件にしていないが、対イラン政策で「共同戦線」を張ることを促す狙いがあるという。しかしロシアが直ちに方針転換する可能性は低いが、秘密書簡を公表することで、オバマ政権がMD計画に反対するロシアに対し、融和的になっていないことを米国内に誇示する狙いがあるとみられる。

 書簡では、今年末に失効する第1次戦略兵器削減条約(START1)に関する交渉や、アフガンでの協力についても言及しているという。

 アメリカのMD計画では、ポーランドに地上発射型迎撃ミサイル、チェコにレーダー施設をそれぞれ配備する予定。これに対し、メドベージェフ大統領はオバマ大統領が当選した直後の昨年11月、MD計画に対抗し、ロシア西部に最新ミサイルを配備すると表明して、米側を牽制してきた。

※「オバマ米大統領、露との外交取り引き否定」と、産経新聞(3月5日 朝刊)が報じました。ただし書簡を送ったことは認めた。

[コメント]この記事と直接関係しないが、最近、中国とロシアが韓国政府に対して「北朝鮮が人工衛星を発射した場合、制裁を加えるのは難しい」と伝えてきたという。(韓国・聯合ニュース 3日付) 中露の考えは、北朝鮮にも人工衛星発射の権利があるというもの。(読売新聞 3月4日 朝刊) これで6カ国協議の足並みが揃わなくなった。北朝鮮の思うつぼである。

 この2つの記事を合わせて考えると、中露は北朝鮮のミサイル発射を阻止したいなら、手土産を持ってお願いしに来いという意味になる。またアメリカが東欧にMDを配備する動きを見せたのは、イランの長距離弾道ミサイルや核開発の阻止に、ロシアに協力してもらうための手土産(計画中止)だった可能性もあるようだ。

 オバマ政権がこの秘密書簡をメディアに公表したことで、今後、イランがより高度な人工衛星(長距離弾道ミサイル)を発射すれば、イランの背後でロシアが協力(あるには黙認)している印象が濃くなることは確かだ。今までイランのミサイル開発は北朝鮮との二人三脚の支援があったといわれてきた。これからイランの弾道ミサイルの開発をロシアが担うことえの牽制でもある。

 ロシアとしては年末までに、重視しているSTART1の継続問題が控えている以上、オバマ政権の提案を無視できない要素も重要である。

 ところで北朝鮮が2段式か3段式の弾道ミサイルを打ち上げた場合、日本はたとえ人工衛星であっても撃墜するという話しが新聞に出ている。海上に待機するイージス艦がいても、射程300キロ(産経新聞が報道)のSM3対弾道迎撃ミサイルで届くと思っているのだろうか。射程が1300キロのノドン・ミサイルならギリギリ届く高度かもしれないが、射程が6000キロ以上と想定すれば、上昇段階(ブースト段階)が続く日本海でも300キロを遙かに超える高度となる。

 このあたりの話しは、日本のロケット開発関係者に取材をすればわかるロケットの常識である。そろそろ98年8月のテポドン騒動のように”いい加減”な話しがメディアに溢れてきた。北朝鮮の弾道ミサイル発射に対しては、もっと日本人の知恵を出して対抗すべきである。

オーストラリア南部

タスマニア島沖合のキング島

クジラ イルカ

 200頭が漂着

原因は不明

(読売 3月3日 朝刊)  

[概要]オーストラリア南部のタスマニア島沖のキング島で1日夜、ゴンドウクジラ194頭、バンドウイルカが7頭、浜辺に打ち上げられているのが見つかった。

 タスマニア州野生動物保護当局は、同島に職員を派遣し、少なくとも50頭以上が生きており、地元民と濡れた毛布で体を湿らせ、ボートで沖合に戻す作業をしている。

 タスマニアでは昨年11月にゴンドウクジラ150頭以上、今年1月にはマッコウクジラ48頭が岸に打ち上げられて死んだが、原因はわかっていない。

[コメント]世界各地というより、主に太平洋の海で起きている怪奇な事件である。この原因としては、クジラやイルカの内耳や脳に微生物が入り、方向感覚を狂わせた可能性があるが、死んだクジラなどの解剖からは微生物が見つかった報告はない。

 そこで疑われたのは、海中の潜水艦を探知する低周波ソナーの大出力(高エネルギー)で、内耳にある三半規管を破壊されたと野生動物保護団体からの指摘(訴訟)である。

 そのため米海軍では太平洋での大出力・低周波ソナーの使用を禁じたが、日本周辺だけは特別な事情で例外(使用可)とされてきた経緯がある。

 大出力・低周波ソナーは東シナ海のような浅い海で、広い範囲で潜水艦を探知できるという。その実験か訓練をタスマニア近海で行っていた可能性はないだろうか。

 フランスが北アフリカのサハラ砂漠で核実験(原爆)を行った時、その周辺が沙漠の一角で、世界で最も人口密度が低い地域だからと説明していた。

 今回の事件も、米・豪の海軍の関係者に説明を求めることは必要と思う。

北ミサイル発射準備

「衛星でも

 安保理決議違反」

日本政府、中国に表明

(読売 3月2日 朝刊)

[概要]中曽根外相は1日、北京で温家宝首相と会談し、「北朝鮮から人工衛星打ち上げと説明があっても、明らかに国連安保理決議に違反する」との日本政府の見解を伝えた。これに対し、温家宝首相は安保理決議との関連には言及しなかったが、北朝鮮に発射の自制を求めていくことで一致した。

 国連安保理は、06年7月の弾道ミサイル「テポドン2」などの発射を受け、北朝鮮にミサイル発射凍結を求めるとともに、国連加盟国にミサイル関連物資・技術の北朝鮮への移転阻止などを要求する決意を採択した。同年10月の核実験を受けた決議でも、ミサイル放棄を求めている。

[コメント]日本側の主張には、大領破壊兵器搭載の弾道ミサイル発射も、試験通信衛星の人工衛星発射であっても、運搬手段には共通のテポドン2(ロケット)が使われ、それは安保理決議違反のテポドン2のミサイル発射に他ならないとしている。このことはアメリカと韓国も日本と共通認識を確認している。そのことに中国の理解と同調を求めた中曽根外相の言葉だが、中国は同調とまではいかなかったようだ。

 また06年7月のテポドン2発射(失敗)と今回が大きく違うことは、今年2月2日にイランが人工衛星を打ち上げて成功した「サフィール2」を、北朝鮮のミサイル開発技術者集団が現地でロケット打ち上げを支援していることである。その技術データが今回のテポドン2発射に活用されている。だから今回の北朝鮮のテポドン打ち上げ成功率は高まっている。

 しかし軍事問題として理解しておくことは、宇宙ロケットが弾道ミサイルとして兵器になるには、ミサイルの弾頭重量(運搬重量・ペイロード)と誘導技術の壁があることを知る必要がある。

 核弾頭をミサイルに搭載するためには、核爆弾の小型化を行い、原始的な核弾頭でも重量を1トン以内にしなければならない。これが北朝鮮のような技術が未熟な国は至難の至難の業なのだ。北朝鮮が98年8月に行った人工衛星の打ち上げ(失敗)は、人工衛星の重量(ペイロード)が40キロ程度だといわれている。とても核・生物・化学兵器という大量破壊兵器を搭載できる容量ではない。

 また北朝鮮は核弾頭の小型化核実験を行っていない。このあたりはパキスタンの核実験と大きく異なる点である。パキスタンの核兵器開発は中国が指導して核弾頭の実験を行った。イランのミサイル開発は北朝鮮が指導し支援した。この辺りに差が出ているようだ。

 また未熟な人工衛星なら、地球の引力圏を脱することができれば、楕円軌道で地球を周回させることはできる。そして衛星に内蔵した電池が切れるまで、無線機を使ってモールス信号や音楽を放送できる。しかし兵器としては大気圏に再突入させ、弾頭を目標に誘導(命中)するさせることが至難の業なのである。北朝鮮やイランにそのような高度なミサイル誘導技術はない。

 だから人工衛星に生きた猿や犬を乗せ、宇宙に打ち上げた後、地上で回収するというロケット打ち上げ実験は軍事的にも大きな意味を持っている。

 とにかく、北朝鮮がミサイルを発射しても、日本は不必要にバカ騒ぎせず、安保理決議1718に従って、北朝鮮に制裁を下すことが、東アジアの安定を崩さないために必要である。

 ちなみに私が中国の高官で、北朝鮮にミサイル発射をして欲しくないと考えたら、北朝鮮に潜入している中国の工作員に指示し、ミサイル発射直後に爆発するように、ミサイルの燃料供給部に粗悪な部品を取り付けることを命じる。ミサイルの姿勢を崩して、爆発させることができるからだ。

※、ちなみに北朝鮮から発射された弾道ミサイルが、アメリカに向かっているか、日本に向かっているか、あるいは宇宙に向かう人工衛星かは、ロケットエンジンの上昇(ブースト段階)が終わり、中間段階(ミッドコース)に移った時に判断(速度・高度・角度)します。日本海上空、日本上空であっても、ロケットエンジンが稼働し、ミサイルが加速・上昇中であれば、その弾頭が何の目的で、どこに向かうかは判別できません。

 



※これ以前のデータはJ−rcomFilesにあります。