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更新休止のお知らせ (3月29日) |
広島に一人で住んでいる母が歩けなくなり、3月31日に大きな手術をすることになりました。その介護のために帰郷します。更新再開はいつになるかわかりませんが、手術が成功すれば10日間程度で更新できると思います。せっかくアクセスしてくださったのにすいません。
広島には携帯電話を持参しています。緊急の用事がある方は、自宅に電話をしてください。自動転送で広島の携帯とつながります。 |
| 米軍再編 遊休地返還要求へ 政府 関係知事と会合 (読売 3月29日 朝刊) |
[概要]在日米軍再編について、米軍基地がある12都道府県の知事(渉外関係主要都道県連絡協議会(渉外知事会)」と、町村外相、大野防衛長官との初の会合が外務省で行われた。政府は米陸軍相模総合補給所(神奈川県)や米海兵隊牧港補給地区(沖縄県)などの「遊休施設」を、米側に返還を求めると示した。知事からは、「キャンプ座間に米軍司令部の移転は基地の強化、増強につながるので認められない」(松沢神奈川県知事)、「厚木基地から岩国基地にNLP(夜間離着陸訓練)は容認できない」(二井山口県知事)などの意見が相次いだ。 [コメント]この記事では当該知事が、相次いで反対を表明したとあるが、本心から反対を表明しているのか疑問だ。沖合に拡張工事が行われている岩国基地では、明らかに厚木のNLPを岩国に移転させるための工事と思われる。でなければ、あれほどの大規模な工事が行われるはずがない。また座間基地では、すでに軍団司令部を受け入れる建物の建設が行われている。だから当該知事の反対表明は、政府から受け取る基地対策費を高くするための政治的なテクニックではないのか。それが「大人の落としどころ」となり、会社乗っ取り(M&A)のベテランが高笑い(自慢)する同じ姿勢に見えてくる。(自慢とは・・・「私よりM&Aの経験がある者がいるかな」という言葉) 軍事問題が軍事で語られないで、政府から基地対策費をより多く受け取る口実に利用される。だから下地島(沖縄県)に自衛隊を配備させるという怪しい話しが生まれてくる。要は基地対策費という軍事利権に、多くの政治家や官僚や企業が群がり、利権という甘い汁を吸う構図なのである。それがついには国家の戦略を誤らせ、自国民ばかりか、多くの他民族まで苦しい思いをさせることになる元凶である。 昔、日本軍として南仏(今のベトナム)に上陸した人が、南下して行くと不思議な光景を目にしたと聞いたことがある。道の両側に広がるフランス人所有のプランテーション(農園)が、逃げ出したフランス人経営者に代わり、日本企業の所有を示す看板が掲げられていたという。これはベトナムがフランス植民地からの解放ではなく、単に主人がフランス人から日本人に代わっただけの事として、ベトナム人から日本軍は激しい反撃を受けるのである。 軍事問題をお金稼ぎの手段に置き換えるなら、それは将来に大きな間違いを生むことになる。私がいつも外務省を批判するのは、そのような教訓を外務省が得ていないからである。むしろかつての軍部に代わり、利権事業の少ない外務省を、ODAや基地問題で利権体質に育ててきた姿を嫌うからである。 日本の軍事問題は軍事として、真正面から堂々と議論しょう。 |
| キルギス アカエフ政権 無抵抗崩壊 優柔不断?大統領の資質 弱体な軍 対処しきれず 議会・大統領選3ヶ月以内に (読売 3月26日 朝刊) |
[概要]野党デモ隊の攻勢で中央アジア・キルギスのアカエフ政権が崩壊した。その背景には、強権手段に徹し切れない「ひ弱な権威主義者」という大統領の資質と、わずか1万8000人という軍・治安部隊の弱体があった。また軍は「91年共産党保守派クーデター未遂事件に動員され、後に非難を浴びた経験から、政治危機に介入しないで勝者につく性癖強い傾向があった」(露政治学者)。新しい大統領代行兼暫定政府首相に選任されたバクエフ元首相(野党)は、3ヶ月以内に繰り上げた大統領選挙と議会選挙のやり直しを実施する方針を明らかにした。 [コメント]アフガンの北部に位置する中央アジアには5カ国がある。その中でもキルギスは最も民主化が進んだ国という印象が強かった。国民はイスラム教スンニ派が大部分だが、キルギスではお酒は飲めるし、女性もスカーフで顔を隠さなくともよかった。国外に逃れたアカエフ大統領は親日家であるし、アメリカに基地を提供する大統領だった。ところがアカエフ政権が14年間と長期化すると、娘婿(外国籍)に国営企業を任せたり、親族で富の独占を図るようになった。さらに憲法を改正して、大統領に留まる動きも見せいた。そこをキルギス南部の野党に突かれたようだ。 これで困ったのはロシア、米、中国である。ロシアはアカエフ政権がキルギスを支配することを望んでいた。キルギスが親ロシアであることを前提にアメリカに軍事基地を提供することを認めた。もし新政権がウクライナのように親西欧的になると、中央アジアでのバランスが取りにくくなる。アメリカもキルギスの新政権にイスラム原理主義が入り込むことを警戒している。今のところバクエフ大統領代行は米軍に継続して基地の使用を認めている。キルギスの米軍基地は規模が小さいだけに政権内の支持がなければ維持できない。また中国はキルギスと陸続きである。中国領の中にもキルギスと同じ民族が10万人程度は住んでいる。中央アジアで拡大するイスラム原理主義勢力が、キルギスを拠点に中国に浸透してくる警戒心である。 それと中央アジアの残り4カ国は、キルギスよりもはるかに民主化が遅れていることだ。もし中央アジアで反政府運動が高まると、近くにアフガンという武器供給地があるのでやっかいだ。 ワシントンのスパイ博物館の出口に、「冷戦時代にはソ連という巨大なドラゴンと戦った。しかしドラゴンが死ぬと体内から多くのヘビが飛び出してきた」という言葉を思い出した。 |
| 米海軍長官が明言 キティー・ホーク後継にJFK 横須賀の空母 (産経 3月24日 朝刊) |
[概要]イングランド米海軍長官は08年に退役する空母キティー・ホークの後継に、同じ通常型空母のジョン・F・ケネディ(JFK)を配備すると明言した。これは日本の意向を満たすためと述べた。横須賀を母港しているキティ・ホークの後継に通常型空母のJFKが決まり、座間には800人規模の司令部を縮小した案(神浦・・・400人〜500人)や、厚木基地での空母艦載機の夜間離着陸訓練(NLP)を岩国基地に移す案など、米軍内で地元の反発に配慮することが検討されている。 [コメント]これを普通の人なら、アメリカが日本人の核アレルギーに配慮した結果と考えるだろう。しかし軍事を知ればそうは考えない。やはり米海軍は無給油で高速航行できる原子力空母を、象徴的な配備の横須賀に置かないで、いつでも実戦に使える配備に決めたと考える。なにしろ原子力空母は30ノット以上の高速で何時間でも何日でも、無給油で航行が可能な超大型艦なのである。これからのトランス・フォーメーションの時代に、この原子力空母の最大利点を使わないのがおかしい。 それと比較して、JFKの横須賀配備は北朝鮮や中国に対する象徴的な配備となる。それなら通常型空母で済ませるというのが軍事流の考えである。空母キティー・ホークが就役したのが1961年だった。これに対してJFKは1968年である。この7年の差が重要である。おそらくこれからJFKはドッグに入り、08年に退役するキティー・ホークの後継として改装を受けることになる。なお空母JFKは以前にも、予備役に編入されイラク戦争で復活した経歴がある。すでにJFKはキティー・ホークの後継として、大切に大切に保管維持されてきたのだ。 これからの最大の焦点は、北朝鮮が崩壊し、その後も横須賀に米空母を配備するかという点である。すなわちアメリカが中国をけん制するのに、横須賀配備の米空母は有効かという点である。・・・・・・その結論を出すにはもう少し時間が必要のようだ。 米海軍は横須賀や佐世保の艦艇修理施設に、大きな魅力を感じていることは間違いない。ハワイやグアムでは代替えにならないからだ。 ※ 本日、夜の10時から2時間、ラジオのニッポン放送で番組最後の生放送(全国)をやります。先日、番組の担当デレクターから私が軍事の勉強を始めた経緯などを詳しく聞かれました。別のスタッフもいろいろな企画を考えているようです。私も思い出に残る楽しい放送にするつもりです。ぜひ聞いてください。 それから深夜12時半より居酒屋で番組スタッフと打ち上げです。 |
| 米軍再編で名称変更へ 消える第1軍団 1918年結成 最古の軍団 小規模司令部に分類 (毎日 3月22日 夕刊) |
[概要]米陸軍は組織改編で司令部を大小2つに整理することがわかった。また戦闘部隊と司令部を切り離し、各部隊は作戦ごとに別の司令部の指揮下に入り柔軟編制にするという。新しい司令部は太平洋陸軍など大規模司令部(UEY)と、軍団や師団レベルの小規模司令部(UEX)となる。在日米軍再編問題で焦点の第1軍団は、極東だけを指揮するUEXとして再編することが決まった。そのため1918年に結成された第1軍団という現存する最古の名称も変更する。新しい名前は展開する地域の名前から検討されている。 [コメント]ある全国紙は、あくまで座間に来る第1軍団司令部を、中東から東アジアに広がる「不安定の弧」を管轄し、その地域の米軍部隊を指揮すると書いている。しかしそれでは日米安保条約の「極東条項」に違反することは間違いない。そこで全国紙の主張は、現状を無視している「極東条項」が悪いという「故意犯的」論理である。それを全国紙が堂々と言うので本当かと信じる人もいると思う。 しかし「不安定の弧」を指揮する第1軍団司令部が座間に来ると、日米の法律家たちから「違憲訴訟」が起きることになる。すると日本の裁判所は、「違憲判決」を出さざるを得ない状況になる。日米安保に極東条項があるかぎり、在日米軍に東南アジア、インド洋、中東、東アフリカの米軍を直接指揮することは違憲になるのだ。そのような裁判に負けて日本を追い出されれば、米軍が受ける政治的なダメージは計り知れない。 そこで米軍は座間に来る司令部を、あくまで「極東限定」に位置づけ直したのである。そこまでして米軍が座間にこだわる理由を、日系米国人向けの新聞に英文コラムに書いた。このホームページにも掲載しているので参照して欲しい。 ことの本質を語るには面倒な言葉は必要ない。要するにアメリカは中国向けに、東アジアで米軍のプレゼンスを強化したいのである。日本を中東の戦争に引き込んだり、日本に対テロ戦争の戦費負担を強いているわけではない。 それをあたかも全国紙が、米国が日本に同じ戦争を戦うことを求めているように誘導するから間違いが生じてくる。これも軍事を理解していないから生じる誤解の一種と思う。 私はこれらを駐留なき日米安保時代の始まりと見ている。トランス・フォーメーションの最終形態は、米軍の駐留なき軍事同盟であると思う。そのような動きは米ソ冷戦が終わったときよりも以前にあったような気がする。80年代にソ連軍の戦力が急速に衰退を始めたとき、すでにアメリカでトランス・フォーメーションを伺わせる胎動があった。例えば、カリフォルニアの米本土基地から日本まで、太平洋上空で空中給油を繰り返すだけで、米軍の戦闘機が編隊を組んで日本に空中機動したことがあった。あれはトランス・フォーメーションの実験であったような気がする。 そこまで周到に準備をして、米軍はトランス・フォーメーションに取り組んでいるのだ。同時多発テロは単にその動きを加速させたに過ぎない。 |
| 船長ら会見 ジャングルを転々と 拉致後、7隻を乗り継ぐ 海賊5人「兵隊のよう」 水面下で身代金交渉 海賊の手口、システム化 (朝日 3月22日 朝刊) |
[概要]マラッカ海峡で海賊に拉致され、解放されたタグボート「韋駄天」の船長と機関長が会見した。海賊は5人で「訓練された兵隊のようだった」と語った。拉致中は暴行などが行われず、それほど恐怖を感じることはなかったという。海賊は拉致後、船を7隻乗り継ぎ、最後は小川をゴムボートでさかのぼってジャングルに入った。食事は海賊のメンバーと同じものを食べ、毎日、ジャングルの中を移動して生活した。 身代金の支払いについては明らかにされていないが、現地の海賊に詳しい海事関係者は、先進国の場合は一人1000万円程度が相場という。身代金の引き渡しは、交渉後に現地の銀行に身代金が入金され、それを海賊が確認後に人質を無人島などに解放する。その人質保護を受けて、こんどは海運会社が銀行に身代金の支払いを承認するという仕組みだという。 [コメント]これくらい筋書きが読める誘拐事件は他になかったと思う。まず船長と機関長が船内の金庫を荒らされることなく誘拐された。海賊が持ち去ったのは人質以外に、韋駄天にあった船舶書類と衛星携帯電話である。これで海賊の目的は「誘拐ビジネス」と判明した。人質に危害が加えられる可能性は低い。次に誘拐保険の会社が海賊と身代金交渉を行う。当初、一部のマスコミが海賊が身代金を要求した額は30〜40万ドルと流した。この情報も誘拐保険の会社が密かに流した可能性が高い。身代金を20万ドルに値切るためである。そして誘拐保険の会社が値切って、結局、20万ドルにさせたと一部で報道させた。保険会社は身代金の情報を出さないことも、漏れたように情報を出すことも、自分たちが考えた通りに行っている。日本人一人が10万ドル(1050万円)である。まさにマラッカ海峡で言われている、「先進国の船なら一人10万ドル」という誘拐身代金の額と一致する。支払った身代金の額を、絶対に隠せないことは保険会社もわかっていて芝居をした。 これを読めない海運関係者はいないと思う。今回はそれくらい筋書き通りの誘拐事件だったのだ。しかし、これほど簡単に数十万ドルが手にはいるなら、マラッカ海峡の海賊たちは誘拐ビジネスに進出することは間違いない。いくら船会社が身代金の支払い方法を話さなくとも、海賊たちのネットワークで情報が伝わっていく。 そこで犯人だが、現地に詳しい警察や軍関係者の可能性が高い。日本で警察官や自衛官といえば、社会的信頼が高い職業だが、ほとんどの後進国では信頼された職業ではない。私は彼らを昼間は警官や軍人だが、夜は泥棒や強盗をする人と思っている。むろん彼らにも言い分がある。警官や軍人の給料が生活できるほど払われていないのだ。足りない分は自分で稼げというわけである。 そこで気の弱い警官や軍人はヤクザのように所場代を集める。しかし度胸のあるものは大金を狙って海賊を装い、誘拐ビジネスに手を出すのである。 これからマラッカ海峡の誘拐ビジネスは増える。そこで日本人一人が身代金10万ドルという額が高いか安いかという議論になる。これは誘拐保険会社にとって安いのである。これを比較するものに、最近、イラクやアフガンで大流行の民間軍事会社の給料である。アメリカやイギリスの特殊部隊にいた者が、民間軍事会社にリクルートされ、要人警護や重要施設の防護を行う。彼らの日給は最低でも1000ドル(10、5万円)が支払われる。1ヶ月の月給に換算すると3万ドルである。これが最低の金額なのである。もし階級が指揮官級や教官レベルになると、給料は2〜3倍になるという。日額30万円が支払われるのである。日本人人質一人が1000万円なら、民間軍事会社の現地責任者(指揮官)一人の月給程度の金額でしかない。保険会社は民間軍事会社の経費と海賊の身代金を比べているのだ。 しかしインドネシアの海賊にとって、1000万円という金額は日本人が1億円と聞く金額に似た響きを感じるだろう。そのように考えていくと、日本と東南アジアの貧富の差が、海賊事件の根底にあることも指摘できるのである。 |
| レバノン ヒズボラ 武装解除拒否 シリア軍撤退後の難問 (毎日 3月18日 朝刊) |
[概要]レバノンのイスラム教シーア派民兵組織「ヒズボラ」のナスララ党首は、米の武装解除要求を拒否する考えを示した。ヒズボラはシリア、イランの支援を受けた武装組織で、00年にレバノン南部に駐留していたイスラエル軍を撤退に追い込み、現在もレバノン領内の一部(シャバア農場)をイスラエルが占領していると闘争を継続している。一方、アメリカはヒズボラをテロ組織に指定し、レバノン内戦(75〜90年)の終結を決めたタイフ合意(89年)や、国連安保理決議はレバノン各派の武装解除を要求しているとして、ヒズボラに武装解除の圧力を強めている。しかしヒズボラはイスラエル闘争の成功でレバノン内では人気が高く、レバノン政府は今後、国内外から突き上げを受け、苦しい立場に立たされそうだ。 ただしレバノン内のシリア軍撤退は第1段階を終え、首都ベイルートからシリア兵はいなくなった。ベカー高原に撤退したシリア軍は、第2段階としてベカー高原からシリアに撤退させることになっている。 [コメント]ヒズボラが簡単に武装解除しないことはアメリカも計算している。逆にアメリカがレバノンに軍事拠点を築くなら、その軍事進攻する理由にヒズボラの武装解除を掲げる可能性が高い。むろんそれには国連安保理決議が錦の御旗となるだろう。もしヒズボラの武装解除をアメリカが行えば、あまりにも露骨な米軍事介入を印象付けることになるなら、ヒズボラの武装解除をフランスにやらすことも可能だ。フランスやドイツがアメリカのイラク侵攻に反対したのは、アメリカの好戦的な政策を嫌ったからではない。あくまで自国の国益がアメリカに奪われることを嫌ったからである。もしフランスがレバノンに軍事拠点を築くチャンスを与えられれば、フランスは喜んでヒズボラの武装解除に乗り込んでくる。 アメリカが最も欲しいのは、イラク情勢を逆転できる「地中海沿岸からイラクへの輸送路の確保」なのである。そのためならレバノンをフランスに委ねることも許すだろう。 その次はシリアである。シリアは周囲を親米的な国に囲まれ、アサド大統領の政治力は急速に低下する。いくらアサド大統領がイランやサウジに泣きついても、クーデターなり騒乱で政権を追われる日は遠くない。そのようなアメリカの戦略を考えると、武装解除しないヒズボラは絶好の獲物なのである。 戦争をテーマにする国際ジャーナリストは、そろそろベイルートに拠点を移すことを考える時が来たようだ。近い将来、シリアのビザをとって、ベイルートからシリアを抜け、イラク国境に至る道を走破することをお勧めする。アメリカのネオコンにとって、喉から手が出るほど欲しい道である。 中国にとって、東南アジアに進出するメコン川ルートにも匹敵する最重要な戦略路である。 |
| 伊良部・下地島 空自、民間用空港使用へ 対中有事の根拠基地 (産経 3月17日 朝刊) |
[概要]航空自衛隊が有事を想定して、宮古島(沖縄県)に隣接する下地島空港を、航空部隊の作戦根拠基地として使用する方針が、「航空自衛隊防衛警備計画」(平成16年度)に明記されていることがわかった。これは中国軍の近代化や海洋活動範囲の拡大を受けて、航空自衛隊が南西方面の中国シフトを強化する一環である。陸自も石垣島や宮古島に普通科中隊を配備する方向で検討している。 下地地島空港は三千メートルの滑走路があるが、民間パイロットの訓練としてしか活用されていない。空自は下地島空港に、有事が想定される作戦準備段階で、燃料や弾薬を集積し、宿泊施設などの準備を開始する。その後に要撃戦闘機、支援戦闘機などの航空部隊を前進展開させる「根拠基地」にする計画である。空自の調査によれば、空港周辺のサトウキビ畑などに高射部隊や移動警戒部隊(レーダー)の展開も可能だという。 [コメント]なんだか勇ましい記事だが、ことの本質は下地島で空自は何もしないということである。そのキーになる言葉は、「有事が想定された場合、・・・・・・・」という表現である。要するに「中国軍が攻めてきた場合」には、という仮の事態を想定している。中国軍が日本に攻めて来なければ何もしません。何もなければ空自は中国軍を挑発しませんという意味になる。 もし中国が攻めてくる(有事)ことになれば、下地島空港どころか、宮古島や石垣島も軍事基地化することになる。私は20年前に、下地島、宮古島、石垣島、与那国島をまわり、これらの島の軍事利用を調査したことがある。そのときも思ったが、確かに南西諸島は台湾や中国に対して、その戦略的な価値は計り知れない。しかしここに日本の軍事力を展開すれば、中国に対してのど元にナイフを突きつけるほどの威力がある。だから有事以外では使えない技なのである。 米ソ冷戦時代、空自は北海道の東側空域を戦闘機(ジェット機)の飛行禁止にしていた。誤って北方領土に進入し、ソ連軍を刺激したくないという配慮からだった。そのような事実を知るのもとしては、「有事の場合には、・・・・」という仮説の言葉は、まあちょっと威嚇しておくかといった程度で、中国向けと言うより日本国内向けである。空自は高い戦闘機などを国民の税金で買ってもらっている。だから日本防衛に貢献していると国民に言いたいのである。 中国もそのあたりは十分知っている。韓国の竹島問題のように、下地島に空自の戦闘機部隊を配備すると目くじらを立てて怒ったりしない。韓国で騒いでいる竹島問題は、韓国の外交交渉術の未熟さを示す社会現象なのである。いわば大人になるための反抗期のようなものである。日本は反抗期の者には、怒鳴りつけるだけでは解決しないことを知っている。 |
| 対インドネシア 海賊対策に巡視艇提供 政府、ODAで (朝日 3月16日 朝刊) |
[概要]マラッカ海峡の海賊対策として、日本政府はインドネシアに巡視艇をODAで供与する方針を固めた。これは船体が20メートル程度のCL級(クラフト・ラージ型)と呼ばれる中型巡視艇。輸送費を含めて1隻7億円程度かかり、06年度中に2〜3隻を無償で援助する。この巡視艇には武装を搭載していないが、速度が速く、小回りも効いて海賊対策に向いている。大型船だとインドネシア政府が反政府組織の取り締まりに使う可能性があり、「軍事的用途及び国際紛争助長への使用を回避する」というODA大綱に触れる可能性からCL級にした。政府は日本人船長が海賊に襲われた「アロンドラ・レインボー号」事件以後、00年より、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポールと、海上保安庁が共同訓練を毎年実施している。 [コメント]なんとも素早い政府のODA関連の動きだが、今回の海賊事件をきっかけに「ODAビジネス」を狙った利権がらみの臭いがプンプンする。というのは今年はインドネシア向けの2〜3隻だが、これで突破口を開けば、あとはマレーシア、インドネシア、フィリピン、シンガポールと、新型警備艇をめぐるODA事業は一気に拡大する。つい10年前までは、中古で廃船同様の警備艇であっても、武器輸出3原則に觝触するとして、日本は東南アジアに輸出することを控えていた時期があった。ところがわずか2日間で、政府はそのような過去のしがらみを断ち切った。 そこで、ここで問題になるのは、今回の海賊がアチェの分離運動を行っている反政府組織であればどうするのかという点である。ODA大綱との関係をどのようにクリアーさせるのだろうか。政府の今までのやり方なら、CL級が良ければ次はもっと大型というように動くのは必然である。今後はODA大綱も踏みにじる姿勢なのだろうか。 私は日本が軍事的な野心がないので、マラッカ海峡の海賊取り締まりにリーダーシップを取るべきと書いた。しかし日本のODA援助が地域の紛争支援型になれば、ODA援助はより「きな臭い」体質を好むようになる。それは結果的に軍事的な野心があることと同列である。すなわち「死の商人」的な体質であるからだ。 もし日本が本気でマラッカ海峡の海賊問題に取り組むなら、新型で高価なCL級が2〜3隻でなくとも、中古のCL級でいいから10隻〜20隻を提供すべきだった。これではせっかくの日本のODA援助も、日本の政治家と官僚が組んだ、利権あさりのODAビジネスに利用されたと考えられてもしかたない。まあ、外務省がやることといえば、このようなODA利権あさり直結型が常であった。 ※ 誘拐された3人に対して、身代金の連絡をしてこないというのは、中間にたって交渉を仲介するリスク・コントロール社(誘拐保険請負会社)などが、そのような「身代金情報」を公開しないように求める場合が多い。今回の誘拐事件では、海賊は船舶関係の書類を持ち去っている。これは身代金目的の誘拐事件と見るべき新しい特徴である。 |
| マラッカ海峡 日本人船長ら3人拉致 海賊銃撃、乗り込む (朝日 3月15日 朝刊) |
[概要]海賊行為を監視する海賊情報センター(クアラルンプール)によると、マーレーシア沖のマラッカ海峡で、14日の午後6時頃、日本のタグボート「韋駄天」が海賊に襲われ、日本人船長と機関長を含む3人が拉致された。海賊は3隻の漁船に乗り、銃を威嚇しながらタグボートに乗り込んできた。日本政府は外務省と在マレーシア日本大使館に対策本部を設け、マレーシア、シンガポール、インドネシアの3国に情報提供を依頼した。この海峡ではたびたび海賊に襲われ、拉致された後、身代金を要求する事件が起きている。インド洋津波が起きた2ヶ月間は海賊被害がなかったが、2月28日に襲撃事件が起き、今月12日にもインドネシアのタンカーが襲われ、船長と機関長が拉致され、身代金を要求する事件が起きている。 [コメント]タグボートはえい航したり、大型船を押す力を強めるために、スピードよりもけん引力を重視する性能となっている。さらに小型のために、漁船から乗りこみ易い船型である。そこを海賊に突かれれば、日本のタグボートは格好の獲物になる。大型石油タンカーのように放水などでは防ぎきれない。 それではハイテクを使った海賊対策として何が考えられるか。それは各船に緊急通信装置や、自船無線確認システム(IFF)を搭載することである。まずマラッカ海峡各地に無線通報監視施設を設置する。そして沖合を航行中の船舶に、無線で自動的に問いかけを行い、自動的に応答してもらうシステムを設置するのである。これで多くの船舶が常時、電子地図上に位置が記録される。 このような海のバッジシステム(日本の防空システム)を作るのである。その上で異常を通報した船、異様な動きを見せる船に対して、最寄りの飛行場から航空機で追跡を開始する。さらに高速警備船が海賊船を追跡する。もし追跡に必要なら、空から特殊ペンキなどの着色塗料弾を海賊船に投下して、警備艇の追跡を容易にする。 このようにマラッカ海峡に電子の網、航空機や警備船の追跡網、また海賊専門の特殊部隊の創設(多国籍部隊)を行う。そのようなマラッカ海峡での海賊対策が重要である。そしてその中心は日本の海上保安庁がリードすることが必要だ。まちがっても海賊対策に海軍を使っていけない。もし海賊対策に海軍が出れば、各地の海賊情報が集まらなくなるし、過剰に海賊を攻撃して事態を悪化させる危険があるからだ。 私なら海賊退治には海賊を使う。海賊を行って捕らえた者を、海賊退治の情報収集に投入するのである。そもそも海賊の元凶は貧困である。そして武器が大量に流れていることにも一因がある。そのような海賊の元凶を改善しつつ、海賊の情報を収集して先手を打つ。また海賊行為を行った者に関しては、徹底した追跡を行って壊滅させる。これが軍にはできない。 海のバッジシステムについては、もう20年も前に海上保安庁の人から船舶監視システムの説明(西太平洋を想定)を受けたことがある。海賊を「もぐら叩き」のように取り締まっても効果はない。 |
| 防衛庁 衛星で不安定の弧カバー 情報戦略計画全容 米軍と共有化進める (毎日 3月13日 朝刊) |
新たな通信衛星システムでは、現在の西太平洋範囲で音声中心の低速・少容量(Xバンド)から、中東やアフリカの一部を含む地域に拡大し、映像通信が可能なKuバンドを利用し、イージス艦ばかりか空自や陸自でも米軍と情報の共有化を図る。そのため近く米軍と協議を始める。しかし防衛庁ペースで極東の範囲を越えて、軍事情報が米軍と一体化することに国民の不信感が増すことになる。 [コメント]私は現在、17年度の防衛関係予算を調べている。確かに、その防衛予算の中に、「衛星通信ネットワークの再構築」という記述がある。インド洋上に映像通信が可能なKuバンドを新規に整備するとしている。しかし防衛予算案では、あくまでイージス艦など海自との海上データーリンクで、陸自や空自が米軍と関係を強化するとは触れていない。これは現在の潜水艦探知・識別システムのように、まずは米軍と関係が強い海自に先頭を走しらせ、そのあとを陸自や空自に地ならしをさせる作戦なのか。 しかしこれでは日米安保で決められた極東の範囲を越えてしまう。自衛隊を米軍の一翼に入れて使いたい米国に引き込まれてしまう。 音声よりは映像、小容量よりは大容量、低速よりは高速、限定範囲よりは広範囲と、軍事を行うものはより高性能な兵器を持ちたがる。それは本能に近いものがある。しかしそこに歯止めを掛けるのが政治である。日本が核兵器や生物・化学兵器などの大量破壊兵器を禁じているように、日本の軍拡によって不必要な軍事緊張を生まないための限界が必要だ。それが日米安保を極東に限定した先人の知恵であった。そのことを新たな衛星通信ネットワークは破り捨てることになる。同時に軍事組織が持つ本能を解き放すことも意味している。 国会で日米安保条約の極東条項を議論される前に、防衛庁が勝手に日本の防衛範囲を中東やアフリカの一部に拡大する。防衛庁はこのことに国民が気がつかないとでも思っているのだろうか。 (図は17年度 防衛予算の概要より。青い部分が現在の衛星通信ネットワークである。ピンクの部分が新たに構築する衛星通信ネットワーク。これで米軍が進める「不安定の弧」作戦への関与が強まることになる) |
| 中国 衛星発射基地 海南島に新設へ 軍事分野での宇宙利用加速も (産経 3月12日 朝刊) |
[概要]11日の新華社電によると、中国は南部の海南島に国内4カ所目の宇宙衛星の発射センターを建設する方針を固めた。海南島での衛星打ち上げは2010年の上海万博までを目指すという。海南島でのメリットは赤道に近いために、静止衛星の軌道に乗せやすいほか、海上輸送の容易さや、航空管制など安全に関する利点がある。中国の内陸部ではなく、沿海州に発射基地が建設されるのは初めて。 中国は一昨年に7回、昨年は8回を打ち上げ、今年は18回の衛星打ち上げを予定している。2020年までには100基以上の打ち上げを目指している。これは世界的な衛星需要の拡大で、人工衛星の市場規模は年間1千億ドルと見込まれ、中国が国際衛星ビジネスに参入するためと思われる。中国の打ち上げ費用は五千万ドル(一回)と安い。 軍事面でも偵察衛星などに力を入れており、特に中国は宇宙からの情報収集能力の向上に力を入れている。中国軍は陸海空の3軍に続いて、宇宙軍や電子軍を加えた「5次元1体の統合作戦を重視する」(熊光櫂副総参謀長)と語ったことが明らかになっている。 [コメント]この情報で特に注目するのは、中国がいよいよ沿海州に出てきたといういう点である。中国は今までに、酒泉、太原、西昌というように、内陸部に衛星発射基地を建設し運用してきた。それは公海上空から偵察する米軍機から、衛星発射技術の機密を守るためと、敵の奇襲攻撃を防ぐ目的があった。しかしそのような不安感は払拭したと思われる。これで中国の衛星技術は開発段階から、実用段階に移行したことを示している。しかし海南島は米軍偵察機の厳重な監視下にあることは間違いない。そこで海南島は衛星ビジネスの民生用基地として使い、ICBMや偵察衛星に関する軍事目的は、内陸部の酒泉・衛星発射センターで行われることになりそうだ。 それにしても中国は今年だけで18回の衛星発射を予定し、その中には第2回目となる有人宇宙船「神船6号」があるという。日本にとって中国は、このハイペースが脅威なのである。それはアフリカなどの未開発地域で、道路よりも空路が先に整備され、日本とは異なった交通インフラが整備されるのと似ている。日本が北朝鮮の次は、中国の中距離弾道ミサイルに対抗するMDと言っても、中国の弾道ミサイルが先に行って日本のMDは無駄な投資になってしまう。道路に沿って障害物を施設しても、敵は空から攻撃しにやってくるという例である。 このように中国の軍事脅威に対応することは、たとえ中国と戦争をしなくとも難しいのである。安易な脅威論では通用しない。 それにしても衛星打ち上げ費用が1回五千万ドルとなると、日本の民間企業が中国で打ち上げて、自衛隊の偵察衛星よりも鮮明な画像情報を提供することも可能になる。それもかなり格安である。これでは今までの「防衛はコスト無視」という定義もあやしくなる。 日本のトップレベルの頭脳を集め、中国との関係をどのように構築するかを研究する時期がきたようだ。 |
| 政治の現場 揺れた日本の「主体」 続 小泉外交 2 (読売 3月11日 朝刊) |
[概要]これは昨日から始まった連載特集「政治の現場」の第2回目である。今回は小泉政権下で最大の外交試練となり、日米関係に強い影響を与えた自衛隊のイラク派遣を特集している。米国がイラク戦争を開始すると、ブッシュ政権から小泉首相に自衛隊をイラクに派遣するように強く要請してきた。しかし日本としてはイラクの治安が悪く、簡単に自衛隊をイラクに派遣することができなかった。そこで日本はイラク派遣の目的を、米軍支援からイラクの復興支援に切り替え、現地に調査団を送って米軍に依存しない地域が選択された。それが結果的にイラク南部のサマワということになった。 [コメント]これは小泉政権がイラク派遣を、いかに泥縄式に進めていたことをうかがわせる内容である。もしイラクで自衛隊員の多数が戦死し、自衛隊員もイラク人を射殺していれば、自衛隊のイラク派遣は極めて危ない選択だった。その点では、まだ「結果オーライ」という段階ではない。と、同時に、日本という国であっても、政治が誤れば簡単に戦争を行う国になることを知ることが出来た。 今、自衛隊はイラクで1発の銃弾を発射していないことを誇っている。しかし世界中の国々で、どこに銃を撃たない自国の部隊を誇る国があるだろうか。まさに日本だけなのである。アメリカ人はそのことに価値があることさえ気がつかないだろう。 このように日本とアメリカの認識が違うことを考えれば、自衛隊と米軍を分離させるサマワの地を選択したことは、不幸中の幸いだったかもしれない。しかしサマワには米軍と同じ認識を持つ英軍がやってきた。英軍も銃弾を1発も発射しないことに価値を見い出せない部隊である。 まだまだ自衛隊の緊張した期間は続く。 |
| 手詰まり普天間飛行場移転 「進まぬ辺野古やめろ」 日米協議直前 首相 見直しを指示 代案作り難航 (毎日 3月10日 朝刊) |
[概要]先月19日から、ワシントンで開かれた日米安全保障協議委員会(2+2)の3日前、この委員会に出席する外務・防衛の局長に、小泉首相が普天間基地(沖縄県)の名護市辺野古沖への移転計画を見直すように指示していたことがわかった。しかし辺野古移転は閣議決定しており、代替え案のないままの再検討指示に、外務・防衛当局者は頭を抱えている。これに対し米軍は嘉手納基地移転を前向きに考えているが、先日、嘉手納基地の「騒音訴訟」で国に賠償を求める判決が出ており、地元も嘉手納移転で基地公害が悪化することを警戒しているので、嘉手納移転は困難という見方が強い。防衛庁は九州の空自基地に、嘉手納(米空軍)のF−15戦闘機を分散配備する案を検討している。 [コメント]この問題の結論はすでに見えている。まず普天間基地は間もなく日本に返還される。辺野古沖の埋め立ては100パーセントない。それから下地島空港への移転も100パーセントない。下地島空港では軍用飛行場として成り立たない。軍用飛行場は滑走路だけでは済まない。中国に近いという理由もあるが、軍事基地を守る対空部隊や、整備や弾薬などを担当する者も必要であるが下地島空港にはそれがない。日本では高速道路を臨時の軍用飛行場として使えないのと同じ理由である。それから嘉手納基地移転も先の判決(基地騒音訴訟)で100パーセントなくなった。 といって米軍はグアムに下げたいのが本音だが、それでは米空軍が東アジアから撤退していくとイメージが強すぎる。そこで使える裏技は、「本籍が九州(岩国基地を含む)で、現住所がグアム(あるいは米本土やハワイ)」というやり方である。まず嘉手納のF−15を九州の空自基地に配備(本籍を移す)することにする。また海兵隊の普天間ヘリ部隊や空中給油機は岩国基地や九州の自衛隊基地に本籍を移すが、住むのは現住所のグアムである。米軍機が本籍に飛来してくるのは、日米共同演習が実施される短期間や、通常期は当番機という数機で飛来させる案である。 まさに米軍が取り組んでいるトランス・フォーメーションが、このような考え方をバックボーンにしている。すなわち米軍が東アジアに縛られることなく、自由自在に機動しながら展開できることである。 そもそもこの問題は、外務省が辺野古沖を埋め立てて、海上基地を建設するという土木利権のために発生した。そこに軍事知識が欠落して、欲ばかりが前面に出て動けなくなったのだ。まさに利権政治を乱舞した橋本元首相時代の遺物なのである。もろん官僚たちの利権依存の責任も無視できない。 |
| 中国 反国家分裂法案 国際社会に一定の配慮 「武力行使」の表現避ける 「中台」現状維持狙う (毎日 3月9日 朝刊) |
[概要]中国で開かれれている全国人民代表者大会(全人代)で、8日、台湾有事に備えた「反国家分裂法案」の審議が始まった。台湾独立の動きに対して、「非平和的方式を取る」という文言にとどめ、「武力行使」といった刺激的な表現を避ける内容になっている。これは日米などの国際社会に配慮するとともに、中台関係の現状維持に重点を置いている。台湾では昨年3月に、台湾独立を主張する陳水扁総統が再選されたが、昨年12月の立法院選挙で与党が敗北して、台湾独立反対の野党が過半数を取った。今年は春節(旧正月)に中台直行チャーター便が実現し、胡錦涛主席も「台湾海峡に緊張緩和の兆しが出てきた」と発表している。 台湾では対中国政策を主管する大陸委員会が、「武力で台湾を併合し、地域に覇権を打ち立てる企てが暴露された。軍に白紙の小切手を渡した」と非難したが、法案が事前に予測された範囲内であったので、台湾の株価市場は大きく下落することはなかった。 [コメント]産経新聞(9日付)に掲載された同法案を読んだが、とくに戦争を意識した内容ではないと思った。これで中台間の危機が高まるとか、より中台戦争に近づいたという気はしない。むしろ中国の軍部や国内向けとして、台湾に圧力をかけつつ、現状を友好的に発展させる内容と言えるのではないか。台湾に高度自治を認めると明記するなど、台湾を最大限に配慮した内容を含んでいる。これでは台湾の独立反対派を鼓舞する効果がありそうだ。これも中国流の心理戦である。 先日、台湾出身の大学教授(国際関係論)と話をした。漢字の名刺を頂いたので、英語で中国人ですかと質問したら、「ノー、タイワニーズ」という答えが返ってきた。数年前に、横浜のラーメン博物館でも、台湾からの若い女性旅行者から、「アイアム タイワニーズ」と言われたことがある。もともと台湾で生まれ、台湾で育った人は、自分をチャイニーズと呼ばないで、タイワニーズというようである。中国の国共内戦で、台湾に逃げてきた大陸人(外省人)と違うことを主張しているようだ。しかしその大学教授は、何度も北京に行ってきたと話していた。完璧な北京語が話せるそうである。北京の学者とも交流があるそうだ。その教授は中国の武力併合には絶対に反対するが、台湾人として中国で特権を得られることには満足しているようだった。 そのような台湾人の気持ちを考えると、名称は反国家分裂法となっているが、きちんと台湾人の特権を認めつつ、独立さえしなければ何でもOKという甘い感じもする。まさに中国の心理戦にふさわしい内容である。 今日の各新聞で反国家分裂法の記事が、新聞社ごとにまったく異なった説明になっているのが面白かった。その記事の中には、「さあ、中台の戦争だ!」式から、「緊張高まる!」式や、「予想より厳しくなかった」式など賑やかである。私はこれが中台の軍事的な緊張を高め、日米の警戒心を招くものとは思わなかった。これで大きな変化は生まれないと思う。 |
| 防衛庁 守屋事務次官が近く訪中 (産経 3月8日 朝刊) |
[概要]防衛庁の守屋事務次官は7日、「中国は国防費の透明性が不足する一方、日本の防衛計画の大綱に関心を持っており、双方が話し合う議題がある」と述べ、近く訪中し、人民解放軍の熊光櫂副総参謀長と次官級協議を行う方針を明らかにした。中国は先の日米安全保障協議会(2プラス2)で合意した共通戦略目標で。台湾海峡の平和的解決を盛り込んだことに反発しているので、守屋次官が中国側に説明する意図もある。 [コメント]日本が旧ソ連と対峙した冷戦時代のような構図に、日本と中国が将来的になり得ないことを知る必要がある。旧ソ連時代の大工場地帯はモスクワが位置するソ連の西部地方にあった。シベリアなどウラル山脈から東側には400万人のロシア人しか住んでいなかった。西部と東部を結ぶ輸送路もシベリア鉄道のみで、シベリア鉄道のトンネルや鉄橋を爆破すれば、日本に近い沿海州は陸の孤島になる危険があった。ソ連はそのことに怯えていたようだ。そのような地政学上の特徴は、100年前の日露戦争当時とほとんど変わらない。そのような環境の中で米ソ冷戦が形づけられた。 だから日本の防衛当局はソ連軍の約4個師団程度が、日本に上陸する可能性があるとして軍事力の整備を行った。これが日本の冷戦時代の軍事情勢である。今から考えれば、これは日本にとって都合のいい規模の戦争想定だった。この程度なら自衛隊は侵攻してくるソ連軍に勝つことができるからである。 しかし中国はこれと同じ構図にはならない。まず中国はすでにアメリカを抜いて日本の最大貿易相手国である。また海外から来日する外国人のうち、中国人が約10パーセントで、、また、日本における外国人犯罪の45パーセントが中国人である。また日本の生命線になってきた食糧や工業製品も中国からの輸入割合が増加している。だから日本が旧ソ連と中国を同じよう軍事対立すると見ることは危険である。 アメリカと中国の道徳観(価値観)が違いすぎ、それを共有出来ないから、米中は軍事対立するという仮想を立て、だから日本はアメリカと同じ道徳観で中国に対峙するという見方が出てきた。これが日米共通の戦略目標を持ち、日米軍事同盟の強化が必要という考えである。(産経新聞 3月8日付け 正論より) このような単純な戦略論が日本に無用な戦争を誘発する。まずアメリカは中国を軍事封鎖したいと思っていないし、それが出来ないことを知っている。それを先取りして、日本は中国包囲網を強化し、対米軍事協調を急ぐべきという考え方は、対米追随どころか日本を滅ぼす亡国論ですらある。 日本は中国に関して、もっと深い読みと対応が必要である。靖国問題や東シナ海の油田開発の問題などは、日中関係全般から見ればごく一時の一部でしかない。これは政治や外交で片づく問題なのに、日本政府の対応のまずさを中国に突かれているだけだ。(私は毎年、水死した同期生13人に会うため、靖国神社に参拝している) そのうち水深の浅い東シナ海は、潜水艦が潜って航行できないほど、日本や中国の大型貨物船や高速フェリーが行き交う海になるだろう。近い将来、朝に東京(日本)を発ち、昼は台湾の台北で会議に出る。そして午後の便で台北から上海に向かい、夜は韓国(コリア国)や台湾、それに中国などの関係者とレセプションに出ることが普通の生活になる。むろんアメリカ人やオーストラリア人もその中に加わっている。これからは、そのような時代の安全保障を考える必要があるのだ。日本が竹のカーテンを作って、、中国を遮断してはいけない。そのような時代がくれば、中国自身も変化することが避けられないからだ。 |
| 解放イタリア記者 銃撃「検問所でなかった」 米軍の説明 全面否定 (朝日 3月7日 朝刊) |
[概要]イタリアの左派系新聞マニフェスト紙の女性記者が、イラクの武装勢力に拉致され、解放直後に米軍に銃撃されたことで、イタリア国内で反米感情が高まっている。米軍は車が検問所で停車命令に従わず、猛スピードで向かってきたので銃撃したと説明した。しかし負傷したジュリアーナ・スグレナ記者は、「検問所で発砲されたのではなく、スピードも通常の速度だった。米軍にはあらかじめ空港に向かうことを連絡していた」と全面否定した。この銃撃事件は空港の手前700メートルの路上で、突然、車が投光器に照らされ、直後に300〜400発の銃弾を撃ってきたとスグレナさんは話した。この銃撃でイタリア情報機関の高官ニコラ・カリパリさん(50)が、スグレナさんをかばって銃弾を頭部に受けて死亡した。ローマ空港に到着した遺体を、ベルルスコーニ首相やチャンピ大統領が出迎えた。葬儀は9日に国葬で行われれる。 [コメント]いくら誤射の可能性があるとはいえ、米兵に撃たれた者を国葬にするとはイタリアの対応は立派である。これ以上、厳しい抗議の姿勢はないほど、イタリアの激しい怒りが伝わる。発射されたのは300〜400発の銃弾というから、車内の全員が死ななかったことが奇跡である。この車を運転していた者も、スピードは時速50キロ程度と証言している。警戒厳重な空港手前で、車が高速を出すことはありえない。といっても、米軍が意図的に銃撃したとも考えられない。 なぜ米兵は銃撃したのか。運転手の証言では手前にある2カ所の検問所では問題なく通過したという。このナゾを解くのは、銃撃した米軍兵士に真実を語らす以外に方法はない。銃撃はスグレナ記者を殺すことが目的とは思わないが、アメリカが真相の解明を誤ると同じことになってしまう。 |
| 空自2008年度 那覇基地にF−15配備 中国軍近代化に対応 (読売 3月4日 朝刊) |
[概要]防衛庁は2008年度中を目指して、那覇基地(沖縄県)のF−4戦闘機に代え、対空戦闘能力の高いF−15戦闘機を配備する方針を固めた。具体的には那覇基地に配備している24機のF−4を百里基地(茨城県)に移し、百里基地に配備してあるF−15の20機を那覇に移すという。そのために必要な那覇基地の格納庫整備費を、06年度の防衛予算案に盛り込む。F−15は対空戦闘にすぐれ、中国軍が配備を進めているロシア製のスホーイ30戦闘機に対抗できる能力がある。以前から那覇基地にF−15を配備する意見はあったが、「中国との摩擦を避けるため先送りされてきた」(防衛庁幹部)という。「米軍嘉手納基地を空自と共同使用にすれば、米側のF−15を削減でき、騒音などの地元負担を軽減できる可能性がある」(防衛庁幹部)と期待している。 [コメント]これは地元の負担を軽減させる変更というより、米軍のトランス・フォーメーションによって嘉手納基地のF−15が撤退し、代わりに空自のF−15を嘉手納に配備するという変更である。それを中国軍の近代化に対するための対応とか、スホーイ30とパワー・バランスを持たせるためと説明するとおかしなことになる。もし中国軍のスホーイ30が東シナ海に出てくれば、海自のイージス艦で格好のターゲットとして始末できる。また今後の制空戦では、長射程の対空ミサイルがより重要(主役)になる。東シナ海で空自のF−15と中国のスホーイ30が、入り乱れて空中戦をするような時代ではない。 このような場合、いたずらに中国の軍事的脅威を強調するのではなく、これは嘉手納の米空軍F−15が撤退するので、地域の軍事的な空白を生まないための対応といった方がいい。でないと、また日米が中国と冷戦を始めるのかと誤解するからだ。最近の読売の記事は、沖縄方面で何か動きがあると、すぐに中国の軍事的脅威に対応するためと説明する。まるで日本を中国との軍事対決(冷戦)に引き込みたいのかと疑ってします。そんな脅威論的な思考は、15年以上前の古い考え方である。もし脅威論でなんでも済ますなら、むしろ中国のほうが遙かに強い脅威を日本に感じていると思う。 そのことを実感したいなら、那覇基地に配備してある海自のP3C哨戒機に搭乗してみるといい。たまに東シナ海に姿を見せる中国海軍の哨戒機は、赤外線探知やMAD(磁気探知装置)を持たず、もっぱら乗員が窓を覗いて目視で哨戒飛行を行っている。同じ哨戒機でも海自のP3Cとは雲泥の差があるのだ。 それに日本は台湾問題に軍事的介入する意志はまったくない。間違っても台湾有事に備えるためと書いて、ありもしない危機を作り出さないで欲しい。軍事記事は天気予報とは違うのだ。天気予報のように晴れといって雨でごめんなさいでは済まされない。軍事危機だ、危機だと書くことで、その記事が間違っていても社会に危機的な状況を作る出す要素があるからだ。 |
| 米が確認 放射性ガス、昨年も 北朝鮮「再処理完了」から1年以上 (朝日 3月3日 朝刊) |
[概要]米国が昨年12月、北朝鮮周辺で採取した大気から、使用済み燃料棒を再処理する際に発生する放射性ガス「クリプトン85」を検出していた。これは日本海などで米軍が監視飛行させているWC−135気象観測機が、北朝鮮から流れてくる大気のサンプルから見つかった。クリプトン85は北朝鮮で03年7月ごろに検出されたが、北朝鮮が再処理の「完了」を宣言した03年9月には再処理施設が停止していたとみていた。それから1年以上もたった昨年12月に、再びクリプトン85が見つかったのは、?存在が知られていない別の核処理施設がある、?寧辺で行った以前の再処理が難航し、今も再処理を続けている。という2つの可能性と米国は考えている。これで北朝鮮の核問題は、再開を目指して調整が続けられている6者協議に大きな影響を与えると見られる。 [コメント]03年7月のクリプトン85検出は、平壌のロシア大使館の屋上にある監視装置で検出された。それから米国の偵察衛星が、寧辺の使用済み燃料棒が貯蔵してある核施設で、多数のトラックが何かを運び出す様子をとらえた。しかしトラックは各地に分散し、その正確な行方はつかめなかった。 また米国の偵察衛星は、寧辺の核再処理施設から水蒸気の発生や建物の温度変化をとらえている。そのような動きがあった後、北朝鮮は使用済み燃料棒の再処理の完了を宣言したという経緯があった。 私はこれを北朝鮮流の脅しと考えている。クリプトン85は微量でも大気中に放出されると検出可能である。北朝鮮はこれを使用済み燃料棒の再処理で発生させたのではなく、別の方法でクリプトン85を空気中に放出させたのだ。あるいは微量のクリプトン85を発生させた。 これは核実験ではないが、いかにも再処理を装うための偽装演出であると思う。北朝鮮はさらに寧辺の使用済み燃料棒を運び出す振りをして、米国の偵察衛星が上空を通過する時間にトラックを大量に並べたのである。そして次に偵察衛星が上空に来たときに、そのトラックは姿を消すように細工した。また沖縄や韓国から北朝鮮沿海を飛行する米軍の側方開口レーダー(公海上から北朝鮮国内の車の動きを追跡・把握できる)搭載の偵察機から、トラックを各方向に向かわせて追跡を混乱させた。また寧辺の核施設で確認された再処理施設の水蒸気と熱は、わざと再稼働を演出させるために、意図的に水蒸気を発生させて熱を出したものだ。その直後に、北朝鮮は再処理完了を宣言したというのが私の分析である。本気で北朝鮮が使用済み燃料棒の再処理をすれば、中国がだまっていることができないからだ。 北朝鮮は今回も6カ国協議の再開を迫る米国を相手に、再び、2年前に行った脅しのテクニックを試しているのではないか。要するに北朝鮮流の、いつもの脅しの手口なのである。北朝鮮はいかに核兵器開発を行わないで、アメリカに核兵器の保有を信じ込ませるかのテクニックである。その偽装した部分では、中国も「まったく、しょうがない奴」と、本気で怒らないとわかっているからだ。北朝鮮流の「振り込め詐欺」である。 そのことはアメリカの核兵器の専門家はわかっている。しかしわからないのは日本の政治家である。これで再び、北朝鮮が核弾頭を6〜8個を保有していると証明書を与えるのか。こまったものである。 日本は国家が核武装するという本質的な意味(問題)を考えて欲しい。核兵器が「鰯(いわし)の頭」では困るのだ。明らかに北朝鮮はアメリカに心理戦を仕掛けている。日本はそれに巻き込まれない正確な軍事知識が必要である。 |
| つまらないことですが、33が3、333、333のようです。(3月2日) | 今、気がついたのですが、明日、3月3日(水)にこのホームページの総アクセス数が3,333,333件に達するようです。あるんですね、こんな偶然が。ちょっと楽しくなってきました。
そうそう、今日の夕刊に出ていましたが、やはりシリアはレバノンからの撤退を表明したようです。(下段の記事) しかし撤退時期は表明していません。やはり5月の総選挙の争点にされ、レバノンの野党に利用されるのを嫌ったかたでしょう。インドネシアといい、イラクといい、北朝鮮といい、世界は激しく動いていますね。 |
| レバノン内閣総辞職 シリアの威信低下 野党、平和的軍撤退目指す (読売 3月2日 朝刊) |
[概要]中東レバノンのカラミ内閣は、28日、ハリリ前首相の暗殺事件を契機に沸き上がった民衆パワーで総辞職に追い込まれた。そしてシリア政府が後押しするラフード大統領は、内外からシリア軍撤退の圧力にさらされている。しかしレバノンの野党は、シリアと必要以上に緊張を避ける構えを見せている。レバノンでは5月に総選挙が行われるが、シリアのレバノン支配が最大の争点になることは確実だ。シリアのアサド大統領は、ハリリ氏暗殺事件の関与を否定しつつ、シリアのレバノン占領が、大きな国際問題化していることに当惑している。だがシリア軍がレバノンから名誉ある撤退をするしか選択肢はなさそうだ。 [コメント]もともとレバノンは1860年にフランスが作った国である。シリアからキリスト教徒保護を理由に分離させた。しかし75年から始まったレバノン内戦を沈静化させたのは、主にシリア軍で構成された「アラブ平和維持軍」(アラブ連盟が派遣決定)である。それ以後、レバノンではシリアの秘密情報機関が暗躍し、シリア支配に反対する者を次々と暗殺してきた。今でもシリアの情報機関はレバノン内で強い影響力を誇示している。現在のレバノン議会でも親シリア派が大多数なのである。 そこでレバノンの野党が政治力を回復するのは、まずはシリア軍のレバノン撤退よりも、シリア軍の撤退を叫んで、5月の総選挙を勝利することである。逆に言えば、野党としては総選挙までシリア軍がレバノン駐留することが望ましいと考えている。その反発で民衆パワーを維持できるからである。そこで野党としては5月までは急がないと考えているのだろう。 これでアメリカとフランスが話し合い、レバノンというパイをどのように分け合うことにしたか気になるところだ。そこでシリアがレバノンを失った場合だが、レバノンの首都ベイルートは中東の表玄関である。シリアはその表玄関を失い、出入りは横の勝手口を使うようになる。この政治・経済的な影響力は計り知れないし、国際的なマイナス・イメージは大きいだろう。シリアの人口は1713万人。言わずと知れた秘密警察国家である。これからシリアはどう動くか、そしてアメリカはシリアをどう料理するか。これからもシリア情勢から目が離せない。 |
| 対インドネシア 米、軍事訓練支援へ テロ封じ再開 米との正常化期待 (朝日 3月1日 朝刊) |
[概要]米国務省は92年から中断していたインドネシアに対する軍事訓練の支援再開を決めた。アメリカは92年にインドネシアの東チモール独立運動への弾圧を理由に、国際軍事訓練計画(IMET)の中断を決めた。しかし最近になり、インドネシア当局がパプア州の「米国人殺害(02年8月)」の容疑者である独立派メンバーを殺人罪で逮捕・起訴したことで関係が改善されていた。駐インドネシア大使を務めたこともあるウォルフォウィッツ国防副長官も、かねてからIMETの再開を訴えていた。インドネシアは東南アジア最大のイスラム国で、人口の9割がイスラム教徒である。またインドネシアは東南アジアで活動するイスラム過激派ジェマー・イスラミア(JI)が拠点を置いていると見られ、米国がてこ入れすることでイスラム過激派を弱体化する狙いがある。また第2期ブッシュ政権が外交の主軸である、「自由の拡大」政策の一種とも言える。 [コメント]かつてベトナムで痛い目にあった米国は、それがトラウマになったと思えるほど東南アジアで軍事に関与することを嫌っていた。90年代前半のカンボジアでの国連PKOでは、アメリカははっきりと一線を引き、数歩下がった位置から関わっていた。しかし東南アジアの軍事には関与しないが、IMFという経済力では関与を強めていた。それがいよいよインドネシアで軍事問題に関与すると公言したのだ。アメリカはベトナム戦争から立ち直り、再び東南アジアの戦争に向かって動き出したと言える。 この記事でも指摘しているが、同時多発テロ以降、アメリカはフィリピンでイスラム過激派のアブサヤフを相手に、フィリピン軍を指揮し支援するという口述で、限りなく「実戦」に近い「訓練」で弱体化させた実績をもっている。しかしアブサヤフは山賊や海賊に近い集団である。背後の支援組織や住民の支持を得ていない。しかしインドネシアのJIは明らかに違う。自らが宗教学校を持ち、子供たちに殉教の精神を教えるイスラム集団である。またインドネシアにはJIに関与している国会議員も存在している。アブサヤフのように単純な組織ではない。この記事を読んで、戦争がインドネシアにヒシヒシと押し寄せてくる予感がした。 このために米軍はグアムの基地を強化させるのである。グアムからインドネシアのJI拠点に、空からはステレス爆撃機が襲い、特殊作戦機に乗った特殊部隊が襲撃する。また海中から潜水艦で潜入したSEALSが襲うだろう。そのような新しい戦争が始まると見ていい。東アジアで行われる米軍のトランス・フォーメーションは、このための戦争体制の準備と考えるべきなのである。 アメリカの戦略は、アフガンの次がイラクで、イラクの次がシリアで、シリアの次はインドネシアで、その次がイランということなのか。これは同時に、東南アジアで勢力を拡大する中国をけん制し、中国への石油ルートであるマッラカ海峡をアメリカが支配する意味でもある。だから中国がJIを暗に支援する可能性もあるのだ。また東南アジアで戦争が始まる。 |
※これ以前のデータはJ−rcomFilesにあります。